JP3972167B2 - ホスホン酸ジエステル誘導体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なホスホン酸ジエステル誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明誘導体は文献未載の新規化合物である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は医薬品として有用な化合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式(1)で表される新規なホスホン酸ジエステル誘導体が提供される。
【0005】
【化2】
[式中、R1は低級アルキル基、R2は水素原子又は低級アルキル基、R3はアルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基、置換基として低級アルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することのあるフェニル低級アルキル基、フェニル低級アルケニル基又はシクロアルキル基、R4は水素原子、低級アルコキシ基又はハロゲン置換低級アルコキシ基、R5は水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基、Xはカルボニル基又はスルホニル基及びYはN−R6(R6は低級アルキル基又はフェニル低級アルキル基を示す)又はSをそれぞれ示す。]
【0006】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「低級」なる語は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状を意味する。従って、低級アルキル基なる語は、これが単独で用いられる場合及び他の基の一部として用いられる場合のいずれも、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等を包含する。低級アルコキシ基及び低級アルケニル基なる語も、同様に単独で用いられる場合及び他の基の一部として用いられる場合の両者において、それぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基及び炭素数2〜6の直鎖状又は分枝鎖状アルケニル基、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル基等を包含する。
【0007】
また、アルキル基は、上記低級アルキル基の他、例えばヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ウンデシル基等の炭素数7以上、通常18までの直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を包含する。
【0008】
ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が包含される。
【0009】
低級アルコキシカルボニル低級アルキル基としては、例えばメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、ペンチルオキシカルボニルメチル、ヘキシルオキシカルボニルメチル、1−(メトキシカルボニル)エチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)ブチル、5−(メトキシカルボニル)ペンチル、6−(メトキシカルボニル)ヘキシル、1−(エトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(エトキシカルボニル)ブチル、5−(エトキシカルボニル)ペンチル、6−(エトキシカルボニル)ヘキシル基等を例示できる。
【0010】
置換基として低級アルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することのあるフェニル低級アルキル基としては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル基等の無置換のフェニル低級アルキル基の他、(2−メチルフェニル)メチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、3−(4−メチルフェニル)プロピル、(2−クロロフェニル)メチル、4−(3−クロロフェニル)ブチル、6−(4−クロロフェニル)ヘキシル、3−(2−ブロモフェニル)プロピル、5−(4−ブロモフェニル)ペンチル、(2−フルオロフェニル)メチル、2−(4−ヨードフェニル)エチル、(3−ニトロフェニル)メチル、3−(4−ニトロフェニル)プロピル、6−(3−ニトロフェニル)ヘキシル基等を例示できる。
【0011】
フェニル低級アルケニル基としては、シンナミル、2−フェニル−2−プロペニル、4−フェニル−3−ブテニル、5−フェニル−4−ペンテニル基等を例示できる。
【0012】
シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基が包含される。
【0013】
ハロゲン置換低級アルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ、2−(1,1,1−トリフルオロ)エトキシ、ペンタフルオロエトキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、ノナフルオロブトキシ、ウンデカフルオロペンチルオキシ、トリデカフルオロヘキシルオキシ基等を例示できる。
【0014】
本発明に係わるホスホン酸ジエステル誘導体は、血糖降下作用、脂質低下作用等を有し、糖尿病及び高脂質血症の治療及び予防剤等として有用である。
【0015】
之等医薬用途に適した本発明誘導体としては、例えば前記一般式(1)中、R1及びR2が低級アルキル基、R3がフェニル低級アルキル基、R4が低級アルコキシ基、及びR5が水素原子又はハロゲン原子であるものを例示することができる。かかる医薬用途に適した本発明誘導体の具体例は、後記実施例に記載する。
【0016】
以下、本発明誘導体の製法につき詳述する。本発明誘導体は、例えば下記反応工程式に示す方法に従って製造することができる。
【0017】
【化3】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、X及びYは前記に同じ。Zはハロゲン原子を示す。]
反応工程式−1においては、公知化合物(2)を化合物(3)と反応させることにより、本発明化合物(1)を得ることができる。該反応は、無溶媒又は適当な不活性溶媒中、脱酸剤の存在下に実施できる。ここで脱酸剤としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、ルチジン等の3級アミン類を好ましく例示できる。之等は原料化合物に対して1〜過剰モル量で用いることができる。また之等は溶媒を兼ねるので、特に他の溶媒を用いる必要はないが、適当な不活性溶媒を用いて反応を行なうことも可能である。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル等の芳香族乃至脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等の鎖状乃至環状エーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等を例示できる。
【0018】
上記反応において、化合物(2)は、化合物(3)に対して通常1〜少過剰モル量の範囲で用いるのがよく、反応は0℃〜溶媒の還流温度範囲の温度条件下に3〜24時間程度を要して実施できる。
【0019】
【化4】
[式中、R3、R4、R5及びZは前記に同じ。]
上記反応工程式−2によれば、公知のアミン誘導体(4)の環内N−アルキル化反応によって、前記反応工程式−1で用いられる化合物(3)中、Yが硫黄原子である化合物(3a)を得ることができる。即ち、アミン誘導体(4)にアルキル化剤(5)を、アルコール溶媒中で、室温から溶媒の還流温度範囲の条件下に、12〜100時間程度反応させることによって、所望の化合物(3a)を得ることができる。ここでアルコール溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等を使用できる。アルキル化剤(5)は、一般にアミン誘導体(4)に対して1〜3倍モル量程度の範囲で用いられる。かくして、所望の化合物(3a)を収得できる。
【0020】
【化5】
[式中、R3、R4、R5、R6及びZは前記に同じ。]
反応工程式−3に示す方法によれば、化合物(6)にアルキル化剤(7)を反応させ、得られる化合物(8)に更にアルキル化剤(5)を反応させることにより、前記反応工程式−1において原料化合物として利用する化合物(3)中、YがN−R6基である化合物(3b)を得ることができる。
【0021】
上記化合物(6)とアルキル化剤(7)との反応は、強塩基の存在下、不活性溶媒中で実施できる。ここで強塩基としては、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等を挙げることができる。また、不活性溶媒としては、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を使用することができる。上記反応において、各原料化合物の使用割合は特に限定されず広範囲から適宜選択できる。通常、化合物(6)に対してアルキル化剤(7)及び強塩基は、それぞれ1〜少過剰モル量の範囲で用いるのがよい。反応は0℃〜室温の範囲の温度条件下に3〜24時間程度を要して実施できる。
【0022】
上記に引き続く化合物(8)とアルキル化剤(5)との反応は、アルコール溶媒中、室温〜溶媒の還流温度範囲の温度条件下に、12〜100時間程度を要して実施することができる。ここでアルコール溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等を使用できる。アルキル化剤(5)は、化合物(8)に対して1〜3倍モル量程度の範囲で用いられるのがよい。かくして、所望の化合物(3b)を収得できる。
【0023】
【化6】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びZは前記に同じ。]
反応工程式−4によれば、化合物(9)とアルキル化剤(5)とを、強塩基の存在下、不活性溶媒中で反応させることによって、本発明化合物(1a)を得ることができる。ここで強塩基及び不活性溶媒としては、それぞれ前記反応工程式−3で例示したものと同様のものを用いることができる。上記におけるアルキル化剤(7)及び強塩基の使用割合は、それぞれ化合物(6)に対して1〜少過剰モル量の範囲とするのがよく、反応は0℃〜室温の範囲の温度条件下に3〜24時間程度を要して実施できる。
【0024】
【化7】
[式中、R1、R2、R3、R4及びR5は前記に同じ。]
反応工程式−5によれば、本発明化合物(1a)をハロゲン化リチウムと反応させた後、鉱酸で処理することにより、本発明化合物(1b)を得ることができる。
【0025】
本反応に用いられるハロゲン化リチウムとしては、例えば塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等を例示できる。また、鉱酸としては例えば塩酸、硫酸等を例示できる。該反応は不活性溶媒中で、化合物(1a)に対して過剰量のハロゲン化リチウムを用いて、室温〜溶媒の還流温度範囲の温度条件下に、5〜100時間程度を要して実施することができる。ここで不活性溶媒としては、アセトニトリル、DMF等を好ましく利用できる。
【0026】
上記各反応工程式に示す各工程における目的化合物及び本発明化合物は、通常の単離、精製手段により容易に単離精製できる。その手段としては、例えば吸着クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、溶媒抽出、再結晶、蒸留等の方法が例示できる。
【0027】
本発明のホスホン酸ジエステル誘導体は、これを医薬として実用するに当たっては、通常適当な製剤担体を用いて一般的な医薬製剤組成物の形態とされる。該製剤担体としては製剤の使用形態に応じて、通常この分野で使用されている充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤乃至賦形剤を例示でき、之等は得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0028】
上記医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択できる。その代表的なものとしては錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等を例示できる。
【0029】
錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウム等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の崩壊剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等の界面活性剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0030】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0031】
坐剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を使用できる。
【0032】
カプセル剤は常法に従い通常本発明の有効成分化合物を上記で提示した各種の製剤担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。
【0033】
本発明薬剤が液剤、乳剤、懸濁剤等の注射剤として調製される場合、之等は殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましく、之等の形態にするに際しては、希釈剤として例えば水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。尚、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを本発明薬剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0034】
更に、本発明医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させることもできる。
【0035】
上記医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0036】
本発明薬剤中に含有されるべき一般式(1)で表される有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択されるが、通常医薬製剤中に約1〜70重量%程度含有されるものとするのがよい。上記医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常有効成分である本発明化合物の量が1日成人体重1kg当り約0.05〜100mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1回又は2〜4回に分けて投与することができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明化合物の製造のための原料化合物の製造例を参考例として挙げ、次いで本発明化合物の製造例を実施例として挙げる。尚、各例で得られた化合物は、その構造及び融点を第1表に記載する。そして、油状物については、1H−NMRスペクトルデータを同表に示す。尚、1H−NMRスペクトルは、内部基準としてTMS(テトラメチルシラン)を用いて測定し、測定溶媒としては、重クロロホルムを用いた。
【0038】
【参考例1】
2−イミノ−4−メトキシ−3−メチル−3H−ベンゾチアゾール・ヨウ化水素塩の合成
2−アミノ−4−メトキシベンゾチアゾール9.0g(50ミリモル)のエノール40ml懸濁液にヨウ化メチル14.2g(0.1モル)を加え還流下に6時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却後、析出した結晶を濾取した。ジエチルエーテルで洗浄後、目的化合物のヨウ化水素塩14.7gを得た。
【0039】
【参考例2】
1−ベンジル−3−(2−フェネチル)−2(3H)ベンズイミダゾールイミン・臭化水素塩の合成
2−アミノベンズイミダゾール25g(188ミリモル)のDMF150ml溶液に60%水素化ナトリウム9.0g(225ミリモル)を少量ずつ加え、室温で15分間攪拌した。続いて反応混合物にフェネチルブロミド34.8g(188ミリモル)のDMF50ml溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、更に室温で12時間攪拌した。
【0040】
反応混合物に水50mlと10%塩酸50mlとを加えて反応を停止させた後、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性とした。析出した結晶を濾取して、2−アミノ−3−(2−フェネチル)ベンズイミダゾール12gを得た。
【0041】
上記で得られた化合物3.56g(15ミリモル)のn−ブタノール15ml溶液にベンジルブロミド5.13g(30ミリモル)を加え、8時間還流下に攪拌した。室温に冷却後、析出した結晶を濾過し、エタノール20ml及びジエチルエーテル20mlで洗浄して、目的化合物3.4gを得た。
【0042】
【実施例1】
ジエトキシ 4−[4−メトキシ−3−メチル−2(3H)ベンゾチアゾリデンカルバモイル]ベンジルホスホナートの合成
4−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルクロリド8.7g(30ミリモル)をジクロロエタン30mlに溶解させ、氷冷攪拌下に参考例1で得た2−イミノ−4−メトキシ−3−メチル−3H−ベンゾチアゾール・ヨウ化水素塩9.7g(30ミリモル)のピリジン60ml懸濁液を加えた。室温で18時間攪拌後、反応混合物中に水50mlを加えクロロホルム抽出した。クロロホルム層を10%塩酸水溶液100mlで2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:酢酸エチル=1:1)で精製し、更にジクロロメタン−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物の無色結晶9.7gを得た。その構造及び物性を第1表に示す。
【0043】
【実施例2】
ジエトキシ 4−[3−エチル−4−メトキシ−2(3H)ベンゾチアゾリデンカルバモイル]ベンジルホスホナートの合成
60%水素化ナトリウム0.48g(12ミリモル)のTHF30ml懸濁液に、0℃でジエチル 4−[(4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)カルバモイル]ベンジルホスホナート4.3g(10ミリモル)溶液をゆっくりと滴下した。その後室温に戻して15分間攪拌した。次いで、臭化エチル1.1g(10ミリモル)のDMF10ml溶液をゆっくりと滴下し、室温で18時間攪拌した。反応混合物中に10%塩酸水溶液50mlを加え、クロロホルムで抽出した。有機層を集めて無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:酢酸エチル=1:1)で精製し、ジクロロメタン−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物の無色結晶2.4gを得た。その構造及び物性を第1表に示す。
【0044】
【実施例3】
エチル 4−[4−メトキシ−3−(3−メチルフェニル)メチル−2(3H)ベンゾチアゾリデンカルバモイル]ベンジルホスホナートの合成
ジエチル 4−[4−メトキシ−3−(3−メチルフェニル)メチル−2(3H)ベンゾチアゾリデンカルバモイル]ベンジルホスホナート0.68g(1.26ミリモル)と臭化リチウム0.55g(6.3ミリモル)のアセトニトリル10ml懸濁液を還流下、24時間攪拌した。反応混合物に10%塩酸20mlを加え、析出した結晶を濾取した。水10ml及びジエチルエーテル10mlで洗浄して、目的化合物0.21gを得た。その構造及び物性を第1表に示す。
【0045】
【実施例4〜21】
実施例1と同様にして、第1表に記載の各実施例No.の化合物を製造した。
【0046】
【実施例22〜24】
実施例1においてベンゾイルクロリドの代わりに対応するスルホニルクロリドを用いて同様にして、第1表に記載の各実施例No.の化合物を製造した。
【0047】
【実施例25】
参考例2で得た化合物を用いて実施例1と同様にして、第1表に記載の化合物を製造した。
【0048】
【実施例26】
実施例25と同様にして、第1表に記載の化合物を製造した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
次に、本発明化合物を用いた製剤例を挙げる。
【0057】
【製剤例1】
錠剤の調製
有効成分として、実施例1で得られた化合物を用い、1錠当りその250mgを含有する錠剤(1000錠)を、次の処方により調製した。
【0058】
即ち、上記処方に従い、実施例1で得た化合物、乳糖、コーンスターチ及びカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分に混合し、メチルセルロース水溶液を用いて顆粒化し、24メッシュの篩を通し、ステアリン酸マグネシウムと混合して錠剤にプレス成形した。
【0059】
【製剤例2】
カプセルの調製
有効成分として、実施例6で得られた化合物を用い、1カプセル当りその250mgを含有する硬質ゼラチンカプセル(1000個)を、次の処方により調製した。
【0060】
即ち、上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混和した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセルを得た。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なホスホン酸ジエステル誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明誘導体は文献未載の新規化合物である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は医薬品として有用な化合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式(1)で表される新規なホスホン酸ジエステル誘導体が提供される。
【0005】
【化2】
[式中、R1は低級アルキル基、R2は水素原子又は低級アルキル基、R3はアルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基、置換基として低級アルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することのあるフェニル低級アルキル基、フェニル低級アルケニル基又はシクロアルキル基、R4は水素原子、低級アルコキシ基又はハロゲン置換低級アルコキシ基、R5は水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基、Xはカルボニル基又はスルホニル基及びYはN−R6(R6は低級アルキル基又はフェニル低級アルキル基を示す)又はSをそれぞれ示す。]
【0006】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「低級」なる語は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状を意味する。従って、低級アルキル基なる語は、これが単独で用いられる場合及び他の基の一部として用いられる場合のいずれも、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等を包含する。低級アルコキシ基及び低級アルケニル基なる語も、同様に単独で用いられる場合及び他の基の一部として用いられる場合の両者において、それぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基及び炭素数2〜6の直鎖状又は分枝鎖状アルケニル基、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル基等を包含する。
【0007】
また、アルキル基は、上記低級アルキル基の他、例えばヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ウンデシル基等の炭素数7以上、通常18までの直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を包含する。
【0008】
ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が包含される。
【0009】
低級アルコキシカルボニル低級アルキル基としては、例えばメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、ペンチルオキシカルボニルメチル、ヘキシルオキシカルボニルメチル、1−(メトキシカルボニル)エチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)ブチル、5−(メトキシカルボニル)ペンチル、6−(メトキシカルボニル)ヘキシル、1−(エトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(エトキシカルボニル)ブチル、5−(エトキシカルボニル)ペンチル、6−(エトキシカルボニル)ヘキシル基等を例示できる。
【0010】
置換基として低級アルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することのあるフェニル低級アルキル基としては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル基等の無置換のフェニル低級アルキル基の他、(2−メチルフェニル)メチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、3−(4−メチルフェニル)プロピル、(2−クロロフェニル)メチル、4−(3−クロロフェニル)ブチル、6−(4−クロロフェニル)ヘキシル、3−(2−ブロモフェニル)プロピル、5−(4−ブロモフェニル)ペンチル、(2−フルオロフェニル)メチル、2−(4−ヨードフェニル)エチル、(3−ニトロフェニル)メチル、3−(4−ニトロフェニル)プロピル、6−(3−ニトロフェニル)ヘキシル基等を例示できる。
【0011】
フェニル低級アルケニル基としては、シンナミル、2−フェニル−2−プロペニル、4−フェニル−3−ブテニル、5−フェニル−4−ペンテニル基等を例示できる。
【0012】
シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基が包含される。
【0013】
ハロゲン置換低級アルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ、2−(1,1,1−トリフルオロ)エトキシ、ペンタフルオロエトキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、ノナフルオロブトキシ、ウンデカフルオロペンチルオキシ、トリデカフルオロヘキシルオキシ基等を例示できる。
【0014】
本発明に係わるホスホン酸ジエステル誘導体は、血糖降下作用、脂質低下作用等を有し、糖尿病及び高脂質血症の治療及び予防剤等として有用である。
【0015】
之等医薬用途に適した本発明誘導体としては、例えば前記一般式(1)中、R1及びR2が低級アルキル基、R3がフェニル低級アルキル基、R4が低級アルコキシ基、及びR5が水素原子又はハロゲン原子であるものを例示することができる。かかる医薬用途に適した本発明誘導体の具体例は、後記実施例に記載する。
【0016】
以下、本発明誘導体の製法につき詳述する。本発明誘導体は、例えば下記反応工程式に示す方法に従って製造することができる。
【0017】
【化3】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、X及びYは前記に同じ。Zはハロゲン原子を示す。]
反応工程式−1においては、公知化合物(2)を化合物(3)と反応させることにより、本発明化合物(1)を得ることができる。該反応は、無溶媒又は適当な不活性溶媒中、脱酸剤の存在下に実施できる。ここで脱酸剤としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、ルチジン等の3級アミン類を好ましく例示できる。之等は原料化合物に対して1〜過剰モル量で用いることができる。また之等は溶媒を兼ねるので、特に他の溶媒を用いる必要はないが、適当な不活性溶媒を用いて反応を行なうことも可能である。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル等の芳香族乃至脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等の鎖状乃至環状エーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等を例示できる。
【0018】
上記反応において、化合物(2)は、化合物(3)に対して通常1〜少過剰モル量の範囲で用いるのがよく、反応は0℃〜溶媒の還流温度範囲の温度条件下に3〜24時間程度を要して実施できる。
【0019】
【化4】
[式中、R3、R4、R5及びZは前記に同じ。]
上記反応工程式−2によれば、公知のアミン誘導体(4)の環内N−アルキル化反応によって、前記反応工程式−1で用いられる化合物(3)中、Yが硫黄原子である化合物(3a)を得ることができる。即ち、アミン誘導体(4)にアルキル化剤(5)を、アルコール溶媒中で、室温から溶媒の還流温度範囲の条件下に、12〜100時間程度反応させることによって、所望の化合物(3a)を得ることができる。ここでアルコール溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等を使用できる。アルキル化剤(5)は、一般にアミン誘導体(4)に対して1〜3倍モル量程度の範囲で用いられる。かくして、所望の化合物(3a)を収得できる。
【0020】
【化5】
[式中、R3、R4、R5、R6及びZは前記に同じ。]
反応工程式−3に示す方法によれば、化合物(6)にアルキル化剤(7)を反応させ、得られる化合物(8)に更にアルキル化剤(5)を反応させることにより、前記反応工程式−1において原料化合物として利用する化合物(3)中、YがN−R6基である化合物(3b)を得ることができる。
【0021】
上記化合物(6)とアルキル化剤(7)との反応は、強塩基の存在下、不活性溶媒中で実施できる。ここで強塩基としては、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等を挙げることができる。また、不活性溶媒としては、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を使用することができる。上記反応において、各原料化合物の使用割合は特に限定されず広範囲から適宜選択できる。通常、化合物(6)に対してアルキル化剤(7)及び強塩基は、それぞれ1〜少過剰モル量の範囲で用いるのがよい。反応は0℃〜室温の範囲の温度条件下に3〜24時間程度を要して実施できる。
【0022】
上記に引き続く化合物(8)とアルキル化剤(5)との反応は、アルコール溶媒中、室温〜溶媒の還流温度範囲の温度条件下に、12〜100時間程度を要して実施することができる。ここでアルコール溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等を使用できる。アルキル化剤(5)は、化合物(8)に対して1〜3倍モル量程度の範囲で用いられるのがよい。かくして、所望の化合物(3b)を収得できる。
【0023】
【化6】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びZは前記に同じ。]
反応工程式−4によれば、化合物(9)とアルキル化剤(5)とを、強塩基の存在下、不活性溶媒中で反応させることによって、本発明化合物(1a)を得ることができる。ここで強塩基及び不活性溶媒としては、それぞれ前記反応工程式−3で例示したものと同様のものを用いることができる。上記におけるアルキル化剤(7)及び強塩基の使用割合は、それぞれ化合物(6)に対して1〜少過剰モル量の範囲とするのがよく、反応は0℃〜室温の範囲の温度条件下に3〜24時間程度を要して実施できる。
【0024】
【化7】
[式中、R1、R2、R3、R4及びR5は前記に同じ。]
反応工程式−5によれば、本発明化合物(1a)をハロゲン化リチウムと反応させた後、鉱酸で処理することにより、本発明化合物(1b)を得ることができる。
【0025】
本反応に用いられるハロゲン化リチウムとしては、例えば塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等を例示できる。また、鉱酸としては例えば塩酸、硫酸等を例示できる。該反応は不活性溶媒中で、化合物(1a)に対して過剰量のハロゲン化リチウムを用いて、室温〜溶媒の還流温度範囲の温度条件下に、5〜100時間程度を要して実施することができる。ここで不活性溶媒としては、アセトニトリル、DMF等を好ましく利用できる。
【0026】
上記各反応工程式に示す各工程における目的化合物及び本発明化合物は、通常の単離、精製手段により容易に単離精製できる。その手段としては、例えば吸着クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、溶媒抽出、再結晶、蒸留等の方法が例示できる。
【0027】
本発明のホスホン酸ジエステル誘導体は、これを医薬として実用するに当たっては、通常適当な製剤担体を用いて一般的な医薬製剤組成物の形態とされる。該製剤担体としては製剤の使用形態に応じて、通常この分野で使用されている充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤乃至賦形剤を例示でき、之等は得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0028】
上記医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択できる。その代表的なものとしては錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等を例示できる。
【0029】
錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウム等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の崩壊剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等の界面活性剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0030】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0031】
坐剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を使用できる。
【0032】
カプセル剤は常法に従い通常本発明の有効成分化合物を上記で提示した各種の製剤担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。
【0033】
本発明薬剤が液剤、乳剤、懸濁剤等の注射剤として調製される場合、之等は殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましく、之等の形態にするに際しては、希釈剤として例えば水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。尚、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを本発明薬剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0034】
更に、本発明医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させることもできる。
【0035】
上記医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0036】
本発明薬剤中に含有されるべき一般式(1)で表される有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択されるが、通常医薬製剤中に約1〜70重量%程度含有されるものとするのがよい。上記医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常有効成分である本発明化合物の量が1日成人体重1kg当り約0.05〜100mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1回又は2〜4回に分けて投与することができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明化合物の製造のための原料化合物の製造例を参考例として挙げ、次いで本発明化合物の製造例を実施例として挙げる。尚、各例で得られた化合物は、その構造及び融点を第1表に記載する。そして、油状物については、1H−NMRスペクトルデータを同表に示す。尚、1H−NMRスペクトルは、内部基準としてTMS(テトラメチルシラン)を用いて測定し、測定溶媒としては、重クロロホルムを用いた。
【0038】
【参考例1】
2−イミノ−4−メトキシ−3−メチル−3H−ベンゾチアゾール・ヨウ化水素塩の合成
2−アミノ−4−メトキシベンゾチアゾール9.0g(50ミリモル)のエノール40ml懸濁液にヨウ化メチル14.2g(0.1モル)を加え還流下に6時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却後、析出した結晶を濾取した。ジエチルエーテルで洗浄後、目的化合物のヨウ化水素塩14.7gを得た。
【0039】
【参考例2】
1−ベンジル−3−(2−フェネチル)−2(3H)ベンズイミダゾールイミン・臭化水素塩の合成
2−アミノベンズイミダゾール25g(188ミリモル)のDMF150ml溶液に60%水素化ナトリウム9.0g(225ミリモル)を少量ずつ加え、室温で15分間攪拌した。続いて反応混合物にフェネチルブロミド34.8g(188ミリモル)のDMF50ml溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、更に室温で12時間攪拌した。
【0040】
反応混合物に水50mlと10%塩酸50mlとを加えて反応を停止させた後、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性とした。析出した結晶を濾取して、2−アミノ−3−(2−フェネチル)ベンズイミダゾール12gを得た。
【0041】
上記で得られた化合物3.56g(15ミリモル)のn−ブタノール15ml溶液にベンジルブロミド5.13g(30ミリモル)を加え、8時間還流下に攪拌した。室温に冷却後、析出した結晶を濾過し、エタノール20ml及びジエチルエーテル20mlで洗浄して、目的化合物3.4gを得た。
【0042】
【実施例1】
ジエトキシ 4−[4−メトキシ−3−メチル−2(3H)ベンゾチアゾリデンカルバモイル]ベンジルホスホナートの合成
4−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルクロリド8.7g(30ミリモル)をジクロロエタン30mlに溶解させ、氷冷攪拌下に参考例1で得た2−イミノ−4−メトキシ−3−メチル−3H−ベンゾチアゾール・ヨウ化水素塩9.7g(30ミリモル)のピリジン60ml懸濁液を加えた。室温で18時間攪拌後、反応混合物中に水50mlを加えクロロホルム抽出した。クロロホルム層を10%塩酸水溶液100mlで2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:酢酸エチル=1:1)で精製し、更にジクロロメタン−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物の無色結晶9.7gを得た。その構造及び物性を第1表に示す。
【0043】
【実施例2】
ジエトキシ 4−[3−エチル−4−メトキシ−2(3H)ベンゾチアゾリデンカルバモイル]ベンジルホスホナートの合成
60%水素化ナトリウム0.48g(12ミリモル)のTHF30ml懸濁液に、0℃でジエチル 4−[(4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)カルバモイル]ベンジルホスホナート4.3g(10ミリモル)溶液をゆっくりと滴下した。その後室温に戻して15分間攪拌した。次いで、臭化エチル1.1g(10ミリモル)のDMF10ml溶液をゆっくりと滴下し、室温で18時間攪拌した。反応混合物中に10%塩酸水溶液50mlを加え、クロロホルムで抽出した。有機層を集めて無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:酢酸エチル=1:1)で精製し、ジクロロメタン−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物の無色結晶2.4gを得た。その構造及び物性を第1表に示す。
【0044】
【実施例3】
エチル 4−[4−メトキシ−3−(3−メチルフェニル)メチル−2(3H)ベンゾチアゾリデンカルバモイル]ベンジルホスホナートの合成
ジエチル 4−[4−メトキシ−3−(3−メチルフェニル)メチル−2(3H)ベンゾチアゾリデンカルバモイル]ベンジルホスホナート0.68g(1.26ミリモル)と臭化リチウム0.55g(6.3ミリモル)のアセトニトリル10ml懸濁液を還流下、24時間攪拌した。反応混合物に10%塩酸20mlを加え、析出した結晶を濾取した。水10ml及びジエチルエーテル10mlで洗浄して、目的化合物0.21gを得た。その構造及び物性を第1表に示す。
【0045】
【実施例4〜21】
実施例1と同様にして、第1表に記載の各実施例No.の化合物を製造した。
【0046】
【実施例22〜24】
実施例1においてベンゾイルクロリドの代わりに対応するスルホニルクロリドを用いて同様にして、第1表に記載の各実施例No.の化合物を製造した。
【0047】
【実施例25】
参考例2で得た化合物を用いて実施例1と同様にして、第1表に記載の化合物を製造した。
【0048】
【実施例26】
実施例25と同様にして、第1表に記載の化合物を製造した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
次に、本発明化合物を用いた製剤例を挙げる。
【0057】
【製剤例1】
錠剤の調製
有効成分として、実施例1で得られた化合物を用い、1錠当りその250mgを含有する錠剤(1000錠)を、次の処方により調製した。
【0058】
即ち、上記処方に従い、実施例1で得た化合物、乳糖、コーンスターチ及びカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分に混合し、メチルセルロース水溶液を用いて顆粒化し、24メッシュの篩を通し、ステアリン酸マグネシウムと混合して錠剤にプレス成形した。
【0059】
【製剤例2】
カプセルの調製
有効成分として、実施例6で得られた化合物を用い、1カプセル当りその250mgを含有する硬質ゼラチンカプセル(1000個)を、次の処方により調製した。
【0060】
即ち、上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混和した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセルを得た。
Claims (2)
- 一般式
で表わされるホスホン酸ジエステル誘導体。 - R1及びR2が低級アルキル基、R3がフェニル低級アルキル基、R4が低級アルコキシ基、及びR5が水素原子又はハロゲン原子である一般式で表わされる請求項1に記載のホスホン酸ジエステル誘導体。
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