JP3785490B2 - コンクリート擁壁壁面の緑化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モタレ式擁壁の正面部であるコンクリート擁壁壁面の緑化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の擁壁は、図10に示すように例えば縦横各15cm位の角柱形状の棒状ブロック1を、連結用鉄筋2を用いて交互に組み立てて井桁状の枠3とし、該枠3内に玉石4とか栗石を詰めて形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記擁壁においては、各棒状ブロック1間に該ブロック1の厚さ分(15cm位)の大きな隙間5ができるため、緑化のために枠3内に土を詰めても、土粒子を所定の位置に安定的に確保できない。そのため、植栽基盤を設けることが困難であり、植栽が難しいという問題があった。
【0004】
また、図11に示したブロック積み擁壁6は、胴込めコンクリート7を施して一体構造にするため、植栽基盤を設けることは不可能であった。
【0005】
そこで、従来このようなコンクリート擁壁壁面を緑化するには、コンクリート表面をネットで覆い、ツル性の植物を這わせる等の方法を行っているが、植える植物の種類が限定される、ツルが延びるまで地上の高い所では緑化するまでに時間がかかり、良好な緑化景観が当初から確保できない等の問題があった。
【0006】
本発明は上記した問題点を解消すべくなされたもので、植栽基盤を任意の位置に安定的に設けることができると共に、多くの種類の植物を植栽することができ、かつ短期間での緑化を可能としたコンクリート擁壁壁面の緑化方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、
複数の井桁状のブロックを基礎上に順次傾斜状に組み立てて形成されるモタレ式擁壁であって、前記各ブロックの前壁間に隙間を設けると共に、その隙間の裏側の任意の個所に植栽基盤を設け、該植栽基盤に植物を植えるコンクリート擁壁壁面の緑化方法において、
下位のブロックの前壁の前面上角部が、上位のブロックの前壁の後面下角部よりも上位に位置するように、前記隙間を傾斜状に形成したことを特徴している。
【0010】
また、請求項2の発明は、
複数の井桁状のブロックを基礎上に順次傾斜状に組み立てて形成されるモタレ式擁壁であって、前記各ブロックの前壁間に隙間を設けると共に、その隙間の裏側の任意の個所に植栽基盤を設け、該植栽基盤に植物を植えるコンクリート擁壁壁面の緑化方法において、
前記隙間と植栽基盤との間に、植物を植えるための孔を設けた板状の吸い出し防止材を配したことを特徴としている。
【0011】
【実施例】
実施例1
図1〜図6に示した実施例1において、井桁状のブロック10は、図3に示すように前壁11と後壁12とを二本の梁13で連結して成り、かつ前壁11の上下方向の幅を後壁12のそれよりもやや小さく形成してある。
【0012】
このブロック10を他のH型ブロック14等と組み合わせて、基礎15上に順次傾斜状に組み立て、内部に中詰め材として詰石、砕石及び擁壁を施工するために発生した土(以下、現地発生土という)等を投入して、モタレ式擁壁が形成される(図1,図2)。
【0013】
この組立状態において、各ブロック10の前壁11の上下間に隙間16が形成される。なお、この隙間16の有無及び上下幅は、ブロック10の前壁11の上下幅を変えることによって調整可能であるので、隙間16は植栽に必要な部分のみに、かつ植物の種類に応じた任意の大きさで設けることができる。
【0014】
そして、この隙間16部分の擁壁内の任意の個所に植栽基盤17を設け、そこにツル性のツタ類やシバザクラ、ムラサキカタバミ等の多種類の草花類を植える。
【0015】
植栽基盤17は、中詰め材が現地発生土であり、かつこれが植物の生育に適している場合には、この現地発生土で形成する。
【0016】
図4は、現地発生土等の中詰め土砂18が、隙間16からブロック10の正面側へ流出しないようにした構造を示したもので、下位のブロック10の前壁11の前面上角部19が、上位のブロック10の前壁11の後面下角部20よりも上位に位置するように設定すれば、重力の法則により中詰め土砂18の先端21が前面上角部19まで到達することはないため、土砂18の流出は防止される。
【0017】
また、中詰め土砂18の流出をより確実に防止するために、図5に示すように隙間16の裏側に板状の吸い出し防止材22を配置してもよい。この吸い出し防止材22には、擁壁の施工中又は施工後にカッター等で孔23を開け、該孔23を通して植物を植える。
【0018】
また、中詰め材として玉石、砕石のみを使用した場合、あるいは現地発生土が植物の生育に不適切と判断されるような場合には、図6に示すように、特別に配合した専用の植栽土24(約15〜20リットル)を袋25に詰めたものを、隙間16の裏側に連続的に又は所々の任意の位置に配置して植栽基盤17とする。この袋25には、擁壁の施工中又は施工後に開口部26を設け、そこに植物を植える。
【0019】
植栽土24の成分は、バーク堆肥、加工用土、ピートモス、牛糞堆肥、クン炭、化成肥料、乾燥防止剤等が、植栽される植物に合わせ、その都度適宜配合され混合される。ここで、ツル性植物の場合の配合割合の一例を述べると、おおむね次のようになる。バーク堆肥40%、加工用土30%、ピートモス15%、牛糞堆肥10%、クン炭5%、化成肥料少々、乾燥防止剤少々、となる。
【0020】
実施例2
図7〜図9に示した実施例2において、井桁状のブロック10aは、梁13aの上端に台形状の一対の係合凸部27を設けると共に、下端に台形状の一対の係合凹部28を設け、また前壁11aの上下幅だけでなく、左右幅も、側面下部の突条29部分を除いて、後壁12aよりもやや小さく形成してある。
【0021】
このブロック10aは、図7に示すように梁13aの上下端の係合凸部27と係合凹部28とを係合させて組み立てる。この組立状態においては、各ブロック10aの前壁11aの上下間のみならず、左右間の上部にも隙間16が形成される(図8)。
そして、これらの隙間16の裏側の任意の個所に植栽基盤17を設けることは、実施例1と同様である。
【0022】
以上のようなブロック10、10aを河川の擁壁に使用した場合には、植栽が可能であるばかりでなく、ブロック間の隙間16を利用して、河川に生息している昆虫類や小魚の住家を提供するという効果も得られる。この効果は、ブロックの上下間だけでなく、左右間の隙間16も設けることにより一段と促進される。
なお、前記袋詰め植栽土24は、種子入植栽土としてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
( 1 ) 請求項1の発明によれば、下位のブロックの前壁の前面上角部が、上位のブロックの前壁の後面下角部よりも上位に位置するように、前記隙間を傾斜状に形成することにより、中詰め土砂の正面側への流出を防止することができる。
( 2 ) 請求項2の発明によれば、隙間と植栽基盤との問に、植物を植えるための孔を設けた板状の吸い出し防止材を配することにより、中詰め土砂の流出をより確実に防止することができる。
( 3 ) また、本発明によれば、擁壁正面部の任意の位置に、任意の大きさの植栽用隙間及び植栽基盤を安定的に設けることが可能となる。従って、植物の種類が限定されることなく、多種類の植物を植栽することができ、より自然に近い状態の緑化を短期間で達成することができる。
( 4 ) さらに、本発明を河川の擁壁に適用した場合には、河川に生息している昆虫類や小魚の格好な住家を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る擁壁の側面図である。
【図2】同擁壁の正面図である。
【図3】同擁壁を構成するブロックの傾斜図である。
【図4】同擁壁の土砂流出防止構造を示す要部拡大断面図である。
【図5】同擁壁の土砂流出防止構造を示す要部拡大断面図である。
【図6】植栽基盤を袋詰め植栽土とした例を示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る擁壁の側面図である。
【図8】同擁壁の正面図である。
【図9】同擁壁を構成するブロックの斜視図である。
【図10】従来技術を示す斜視図である。
【図11】他の従来技術を示す、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
10、10a ブロック
11、11a 前壁
12、12a 後壁
13、13a 梁
15 基礎
16 隙間
17 植栽基盤
18 中詰め土砂
19 前面上角部
20 後面下角部
22 吸い出し防止材
23 孔
24 植栽土
25 袋
26 開口部
27 係合凸部
28 係合凹部
29 突条
Claims (2)
- 複数の井桁状のブロックを基礎上に順次傾斜状に組み立てて形成されるモタレ式擁壁であって、前記各ブロックの前壁間に隙間を設けると共に、その隙間の裏側の任意の個所に植栽基盤を設け、該植栽基盤に植物を植えるコンクリート擁壁壁面の緑化方法において、
下位のブロックの前壁の前面上角部が、上位のブロックの前壁の後面下角部よりも上位に位置するように、前記隙間を傾斜状に形成したことを特徴とするコンクリート擁壁壁面の緑化方法。 - 複数の井桁状のブロックを基礎上に順次傾斜状に組み立てて形成されるモタレ式擁壁であって、前記各ブロックの前壁間に隙間を設けると共に、その隙間の裏側の任意の個所に植栽基盤を設け、該植栽基盤に植物を植えるコンクリート擁壁壁面の緑化方法において、
前記隙間と植栽基盤との間に、植物を植えるための孔を設けた板状の吸い出し防止材を配したことを特徴とするコンクリート擁壁壁面の緑化方法。
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JP20009096A JP3785490B2 (ja) | 1996-07-30 | 1996-07-30 | コンクリート擁壁壁面の緑化方法 |
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JP20009096A Expired - Fee Related JP3785490B2 (ja) | 1996-07-30 | 1996-07-30 | コンクリート擁壁壁面の緑化方法 |
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1996
- 1996-07-30 JP JP20009096A patent/JP3785490B2/ja not_active Expired - Fee Related
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