JP3784535B2 - 複合逆浸透膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状混合物の成分を選択的に分離するための複合逆浸透膜に関し、詳しくは、微孔性支持膜上に特定構造を持つポリアミドを主成分とする薄膜を備えた、高塩阻止率と高耐塩素殺菌剤性を有する複合逆浸透膜に関する。かかる複合逆浸透膜は、超純水の製造、かん水の脱塩等に好適であり、また染色排水や電着塗料排水等の公害発生原因である汚れ等から、その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去回収し、排水のクローズ化に寄与することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、非対称逆浸透膜とは構造の異なる逆浸透膜として、微孔性支持膜上に実質的に選択分離性を有する活性な薄膜を形成してなる複合逆浸透膜が知られている。
【0003】
現在、かかる複合逆浸透膜として、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハライドとの界面重合によって得られるポリアミドからなる薄膜が、支持膜上に形成されたものが多く知られている(例えば、特開昭55−147106号、特開昭62−121603号、特開昭63−218208号、特開平2−187135号等)。
【0004】
また、多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハライドとの界面重合によって得られるポリアミドからなる薄膜が、支持膜上に形成されたものも知られている(例えば、特開昭61−42308 号等)。
【0005】
上記複合逆浸透膜は、高い脱塩性能及び水透過性能を有するが、最近の超純水製造装置システムでは、さらに高い脱塩性能が求められている。 また、かん水の脱塩用途などでは、その原水中に多種のイオンが含まれるため、さらに各種混合イオンでの高い脱塩性能が求められている。 またこのようなシステムの長期使用に際しては、雑菌などの繁殖による水質低下を防ぐため、次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を使用するが、その殺菌剤により膜自身が劣化するため、さらに高い耐殺菌剤性が求められている。 これらの要求を満たすためには、現在の複合逆浸透膜では不十分であり、さらに高い塩阻止率と高耐塩素殺菌剤性を有する複合逆浸透膜が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高塩阻止率と高耐塩素殺菌剤性を併せ有し、比較的低圧で実用性のある高塩阻止率での脱塩を可能にする複合逆浸透膜を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、薄膜とこれを支持する微孔性支持膜とからなる複合逆浸透膜において、上記薄膜が(a)分子内に1級および2級アミノ基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体成分、(b)多価アミン系単量体成分および(c)多価カルボン酸系単量体成分とからなるポリアミドを構成成分とする複合逆浸透膜が、上記目的に適う複合逆浸透膜であることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0008】
【発明の実施の態様】
本発明で用いる(a)分子内に1級および2級アミノ基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体は、分子内に1級または2級アミノ基を含有するビニルアルコール系重合体であれば特に制限はない。
この官能基を有するビニルアルコール系重合体(以下、PVAと略記する場合がある。)は様々な方法により得ることができるが、例えば、次のような方法が挙げられる。
(1).後述する製造例2〜3に記載されているような1級アミノ基または2級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、または加水分解等により1級アミノ基または2級アミノ基を生成しうる官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、酢酸ビニルとを共重合させた後、鹸化する方法、
(2).後述する製造例1に記載されているようなアリルグルシジルエーテルなどのエポキシ基を有する単量体と酢酸ビニルからなる重合体の側鎖のエポキシ基に、アミノ基を有するメルカプタンを水酸化ナトリウム等を触媒として付加反応させた後、鹸化する方法、
(3).ポリビニルアルコールの水酸基と反応しうる官能基を分子内に有し、かつ、1級あるいは2級アミノ基を有する化合物をビニルアルコール系重合体に反応させる方法、
(4).メルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下で、1級アミノ基または2級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体を重合し、ポリビニルアルコール系ブロックポリマーを得る方法。
【0009】
本発明で用いる(a)分子内に1級および2級アミノ基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体は、分子内に1級または2級アミノ基以外の官能基を有していても本発明の効果を損なわない限り差し支えない。このようなアミノ基以外の官能基を与える単量体単位としては、エチレン,イソブチレン,アクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリル酸,メタクリル酸,(無水)フマル酸,(無水)マレイン酸,(無水)イタコン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸スルホプロピル及びそれらのアルカリ塩、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド,エチルビニルエーテル,ブチルビニルエーテル,N−ビニルピロリドン,塩化ビニル,臭化ビニル,フッ化ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン,テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。 また、チオール酢酸,メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を重合することによって、末端に官能基を含有させたものであってもも良い。
【0010】
本発明で用いる(a)分子内に1級および2級アミノ基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体における1級アミノ基または2級アミノ基の含有量は、特に制限はなく各種の状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は、該官能基を含有する単量体単位として0.1から30モル%、好ましくは0.5〜25モル%である。該官能基が0.1モル%未満では官能基を導入したことによる効果が十分に発現しない場合があり、一方、30モル%をこえるとビニルアルコール系重合体本来の特性が十分に発現しなくなる恐れがある。
また、この官能基を有するビニルアルコール系重合体の重合度は、使用目的により異なり、一義的に定めることはできないが、100以上が好ましく、特に200〜8000がより好ましい。また、このビニルアルコール系重合体の鹸化度についても特に制限はないが、50モル%以上が好ましく特に80〜99.9モル%がより好ましい。
【0011】
本発明で用いる(b)多価アミン系単量体成分とは、少なくとも2個の1級または/および2級アミノ基を有するアミン化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含む多官能アミンであれば特に限定されず、芳香族、脂肪族、または脂環式の多官能アミンが挙げられる。また、ここで多価とは、2価、あるいは3価以上を意味する。
【0012】
かかる芳香族多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸、2,4-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジアミン等が挙げられる。 また脂肪族多官能アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリス(2- アミノエチル) アミン等が挙げられる。 また、脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、4-アミノメチルピペラジン等が挙げられる。 これらのアミンは、単独として用いられてもよく、混合物として用いられてもよい。
【0013】
本発明において用いられる(c)多価カルボンン酸系単量体成分とは、多価カルボン酸ハライド単量体成分、多価カルボン酸単量体成分、多価カルボン酸エステル単量体成分が挙げられるが、このうち多価カルボン酸ハライド単量体成分が最適である。ここで多価カルボン酸ハライド単量体成分としては、少なくとも2個の酸ハライド基を有する酸ハライド化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含む酸ハライド成分であれば、特に限定されず、芳香族、脂肪族等の酸ハライドが挙げられる。ここで多価とは、2価、あるいは3価以上を意味する。
【0014】
かかる芳香族酸ハライドとしては、例えば、ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、ビフェニレンジカルボン酸ジクロライド、テルフェニルジカルボン酸ジクロライド、クアテルフェニルジカルボン酸ジクロライド、メチレン−二安息香酸ジクロライド、イソプロピリデン二安息香酸ジクロライド、ビベンジルジカルボン酸ジクロライド、スチルベンジカルボン酸ジクロライド、トランジカルボン酸ジクロライド、プソイドジカルボキシパラシクロファンジクロライド、カルボニル二安息香酸ジクロライド、オキシ二安息香酸ジクロライド、ジチオ二安息香酸ジクロライド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロライド、エチレンジチオ二安息香酸ジクロライド、ビス(p−カルボキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドのジクロライド、ビス(p−カルボキシメトキシフェニル)メチルホスフィンオキシドのジクロライド、ジベンゾフランジカルボン酸ジクロライド、オキソキサンテンジカルボン酸ジクロライド、ジベンゾジオキシンジカルボン酸ジクロライド、チアントレンジカルボン酸ジクロライド、フェナジンジカルボン酸ジクロライド、トリメシン酸ハライド等が挙げられる。
【0015】
また脂肪族酸ハライドとしては、グリタリルハライド、アジポイルハライド、セバコイルハライド、プロパントリカルボン酸クロライド、ブタントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸クロライド、ブタンテトラカルボン酸テトラクロライド、ペンタンテトラカルボン酸テトラクロライド、ビフェニルコハク酸ジクロライド等のように、側鎖にペンダント状にベンゼンがあるものや、メチレンビフェニレンジプロピオン酸ジクロライド、オキシビフェニレン二酪酸ジクロライド、イソプロピリデンビフェニレンジオキシ二酢酸ジクロライド等が挙げられる。
【0016】
また、脂環式酸ハライドとしては、シクロブタントリカルボン酸クロライド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボン酸クロライド、シクロヘキサンヘキサカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸クロライド等が挙げられる。
【0017】
本発明においては、最適には前記(a)ビニルアルコール系重合体成分、(b)多価アミン系単量体成分および上記(c)多価カルボン酸ハライド単量体成分などの多価カルボン酸系単量体成分とを、界面重合させることにより、微孔性支持膜上にポリビニルアルコール系重合体成分を含む架橋ポリアミドを主成分とする薄膜が形成された複合逆浸透膜が得られる。
【0018】
より詳細には、微孔性支持膜上に、前記(a)ビニルアルコール系重合体成分および(b)多価アミン系単量体成分を含有する水溶液からなる第1の層を形成し、次いで、前記(c)多価カルボン酸ハライド単量体成分などの多価カルボン酸系単量体成分を含有する水非混和性有機溶剤溶液からなる層を上記第1の層上に形成し、界面重縮合を行って、ポリビニルアルコール系重合体成分を含む架橋ポリアミドからなる薄膜を微孔性支持膜上に形成することによって得ることができる。
【0019】
前記(a)ビニルアルコール系重合体成分および(b)多価アミン系単量体成分を含有する水溶液は、製膜を容易にし、あるいは得られる複合逆浸透膜の性能を向上させるために、さらに、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の水溶性重合体や、ソルビトール、グリセリン等のような多価アルコールを含有させることもできる。
【0020】
また、特開平2−187135号公報に記載のアミン塩、例えばテトラアルキルアンモニウムハライドやトリアルキルアミンと有機酸とによる塩等も、製膜を容易にする、アミン溶液の支持膜への吸収性を良くする、縮合反応を促進する等の点で、好適に用いられる。
【0021】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を含有させることもできる。 これらの界面活性剤は、多官能アミンを含有する水溶液の微孔性支持膜への濡れ性を改善するのに効果がある。 さらに、上記界面での重縮合反応を促進するために、界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去し得る水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムを用い、あるいは触媒として、第4級アンモニウム塩、アシル化触媒、相間移動触媒等を用いることも有益である。
【0022】
上記(c)多価カルボン酸ハライド単量体成分を含有する水非混和性有機溶剤溶液を調製するための有機溶剤としては、用いる酸ハライドをよく溶解し、かつ用いる微孔性支持膜を溶解しない有機溶剤であればよく、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素、トリクロロトリフルオロエタンを含有するフレオン(デュポン社商標)のようなハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。
【0023】
上記(a)分子内に1級および2級アミノ基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体を含有する水溶液において、該ビニルアルコール系重合体の濃度は、特に限定されるものではないが、通常 0.01〜10重量%、好ましくは 0.1〜8重量%、より好ましくは 0.3〜5重量%である。(a)の濃度が0.01重量%より少ない場合、(a)の配合効果が現れず、10重量%より多い場合には、複合逆浸透膜の形態安定性が低下する。
【0024】
上記(b)多価アミン系単量体成分を含有する水溶液において、アミン化合物の濃度は特に限定されるものではないが、アミン化合物は、通常 0.1〜10重量%、好ましくは 0.5〜5重量%である。
【0025】
上記(c)多価カルボン酸ハライド単量体成分を含有する有機溶剤溶液において、酸ハライドは通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%である。
【0026】
このようにして、微孔性支持膜上に(a)分子内に1級および2級アミノ基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体および(b)多価アミン系単量体成分を含有する水溶液を被覆し、次いで、その上に(c)多価カルボン酸ハライド単量体成分を含有する有機溶剤溶液を被覆した後、それぞれ余分の溶液を除去し、次いで、通常、約20〜150℃、好ましくは約70〜130℃で、約1〜10分間、好ましくは約2〜8分間加熱乾燥して、ポリビニルアルコール系重合体成分を含む架橋ポリアミドからなる水透過性の薄膜を形成させる。 この薄膜は、その厚さが、通常約0.05〜1μm、好ましくは約0.15〜0.5 μmの範囲にある。
【0027】
また本発明の複合逆浸透膜を、特公昭63−36803 号公報に記載されているように、次亜塩素酸等による塩素処理を行って塩阻止性能をさらに向上させることもできる。また、本発明においては、微孔性支持膜状に(a)の水溶液を被覆し、次いで(b)の水溶液を被覆し、さらに(c)の水溶液を被覆した後、加熱乾燥して薄膜を形成することもできるし、また(a)の水溶液を被覆し、次いで(b)と(c)の水溶液を被覆するか、または(a)と(b)と(c)の水溶液を被覆し、以下同様にして加熱乾燥して薄膜を形成することもできる。
【0028】
本発明において上記薄膜を支持する微孔性支持膜は、薄膜を支持し得る物であれば特に限定されず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンなど種々のものを挙げることができるが、特に、化学的、機械的、熱的に安定である点から、ポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる微孔性支持膜が好ましく用いられる。 かかる微孔性支持膜は、通常、約25〜125μm、好ましくは約40〜75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
製造例1(1級アミノ基を含有するビニルアルコール系重合体の製造例)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた反応器に、酢酸ビニルモノマー405部、アリルグリシジルエーテル11部およびメタノール30部を仕込み、窒素ガスを15分バブリングして脱気した。別途、メタノール15部に2,2-アゾイソブチロニトリル4.5部を溶解した開始剤溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。
反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、別途調製した開始剤溶液を添加し重合を開始した。60℃で4時間重合し冷却して重合を停止した。この時の固形分濃度は54.8%であった。続いて30℃、減圧下にメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液(濃度44.5%)を得た。このメタノール溶液の一部をエーテル中に投入してポリマーを回収し、アセトン-エーテルで2回再沈精製した後、40℃で減圧乾燥した。この精製ポリマーについて、CDCl3を溶媒にしてプロトンNMR(日本電子(株)製GSX-270)測定およびアセトン中の極限粘度測定(JIS)を実施し粘度平均分子量を算出したところ、アリルグリシジルエーテル単位(エポキシ基)を2.1モル%含有する粘度平均分子量が80×103の酢酸ビニル系共重合体であった。
【0030】
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた反応器に、上記で得たエポキシ基を有する酢酸ビニル系共重合体のメタノール溶液(濃度44.5%)100部を計り取り15分窒素ガスをバブリングした後、2−アミノチオフェノール8.0部と水酸化ナトリウム0.03部をメタノール48部に溶解したものを仕込んだ。撹拌しながら50℃で2時間反応させた後、40℃に冷却してから10%濃度の水酸化ナトリウムのメタノール溶液を25部添加しけん化を行った。40℃で5時間放置した後粉砕し、酢酸8部を加えて中和してからソックスレー抽出器を用いてメタノールで48時間以上洗浄し、60℃で20時間以上乾燥して、アニリン基含有ビニルアルコール系重合体(PVA−1)を得た。該重合体は、2.1モル%のアニリン基が導入されており、ビニルアルコール含量は98.2モル%、重合度1000であった。
【0031】
製造例2(1級アミノ基を含有するビニルアルコール系重合体の製造例)
公知の方法(特開平4−308269号公報などに記載された方法)により、ビニルホルムアミドと酢酸ビニルを共重合した後けん化して、1級アミノ基含有PVA(重合度1050、けん化度98.5%、1級アミノ基含有量3.0モル%、PVA−2)を得た。
【0032】
製造例3(2級アミノ基を含有するビニルアルコール系重合体の製造例)
公知の方法(特開平4−308269号公報などに記載された方法)により、メチルビニルアセトアミドと酢酸ビニルを共重合した後けん化して、2級アミノ基含有PVA(重合度990、けん化度98.2%、2級アミノ基含有量2.2モル%、PVA−3)を得た。
【0033】
実施例1
製造例1で得た1級アミノ基含有PVA(PVA−1)2.0重量%、m−フェニレンジアミン2.0重量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.25重量%、トリエチルアミン2.0重量%、カンファースルホン酸4.0重量%を含有した水溶液を、微孔性ポリスルホン支持膜に5秒間接触させて、余分の水溶液を除去して支持膜上に上記水溶液の層を形成した。次いで、かかる支持膜の表面に、イソフタル酸クロライド0.20重量%を含むヘキサン溶液を接触させ、その後120℃の熱風乾燥機の中で5分間保持して、支持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透膜を得た。
【0034】
得られた複合逆浸透膜の性能は、1500ppmの塩化ナトリウムを含むpH6.5の食塩水を、15kg/cm2の圧力で評価したところ、塩阻止率は99.7%、透過流束は0.3m3/m2 ・日であった。 また、塩を800ppmの塩化ナトリウムと750ppmの塩化カルシウムを含むpH6.5の混合水にかえ、同様の方法で評価したところ、透過液電導度による塩阻止率は99.2%、透過流束は0.3m3/m2・日であった。 また、塩を1500ppmの硝酸アンモニウムを含むpH6.5の硝酸アンモニウム水にかえ、同様の方法で評価したところ、塩阻止率は97.4%、透過流束は0.4m3/m2・日であった。
【0035】
この膜を塩素原子濃度100ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液(殺菌剤)に浸漬し、室温で6日間放置後、再度、1500ppmの塩化ナトリウムを含むpH6.5の食塩水で評価した。 その結果、塩阻止率は98.3%、透過流束は1.6m3/m2・日であり、各種塩の阻止率、耐塩殺菌剤性とも非常に良好であった。
【0036】
実施例2
実施例1において、PVA−1の代わりにPVA−2を用いる以外は、実施例1と同様にして複合逆浸透膜を得た。その結果を表1に示す。
【0037】
実施例3
実施例1において、PVA−2の代わりにPVA−3を用いる以外は、実施例1と同様にして複合逆浸透膜を得た。その結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
実施例1において、PVA−1を用いない以外は、実施例1と同様にして複合逆浸透膜を得た。その結果を表1に示す。
【0039】
実施例4
実施例1において、イソフタル酸クロライドの代わりに1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸テトラクロライドを用いる以外は、実施例1と同様にして複合逆浸透膜を得た。結果を表1に示す。
【0040】
比較例2
実施例4において、PVA−1を用いない以外は実施例4と同様にして複合逆浸透膜を得た。結果を表1に示す。
【0041】
実施例5
実施例1において、イソフタル酸クロライドの代わりに1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸クロライドを用いる以外は、実施例1と同様にして複合逆浸透膜を得た。結果を表1に示す。
【0042】
比較例3
実施例5において、PVA−1を用いない以外は実施例5と同様にして複合逆浸透膜を得た。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明による複合逆浸透膜は、薄膜がその構成成分として特定の成分を含むため、従来のものに比べ,極めて高い各種塩の阻止率と高耐塩素殺菌剤性を併せ有し、比較的低圧で実用性のある脱塩を可能にする複合逆浸透膜を提供し、例えば、かん水、海水等の脱塩による淡水化や、半導体の製造に必要とされる超純水の製造等に好適に用いることができる。
Claims (2)
- 薄膜とこれを支持する微孔性支持膜とからなる複合逆浸透膜において、上記薄膜が(a)分子内に1級および2級アミノ基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体成分、(b)多価アミン系単量体成分および(c)多価カルボン酸系単量体成分とからなるポリアミドを構成成分とすることを特徴とする複合逆浸透膜。
- 多価カルボン酸系単量体成分が多価カルボン酸ハライド単量体成分である請求項2記載の複合逆浸透膜。
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1998
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