JPH0910566A - 半透性複合膜 - Google Patents

半透性複合膜

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JPH0910566A
JPH0910566A JP16618595A JP16618595A JPH0910566A JP H0910566 A JPH0910566 A JP H0910566A JP 16618595 A JP16618595 A JP 16618595A JP 16618595 A JP16618595 A JP 16618595A JP H0910566 A JPH0910566 A JP H0910566A
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membrane
composite membrane
active layer
organic group
semipermeable composite
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JP16618595A
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English (en)
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Kazuhide Nitta
和秀 仁田
Koji Oguro
宏司 大黒
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分子重合体からなるナノろ過膜及び逆浸透
膜に関するものであり、超低圧条件下でも水透過性能に
優れ、しかも塩素等の耐酸化剤性にも優れるナノ濾過複
合膜並びに逆浸透複合膜を提供する。 【構成】 半透性複合膜における分離活性層が、 【化1】で表される分子内に少なくとも1つは3級及び
/又は4級炭素を含む脂肪族の2官能反応性アミノ化合
物を主たるアミン成分とし、該アミン成分とハロゲン化
カルボニル基を1分子中に2個以上有する多官能反応性
酸ハロゲン化物とを重縮合したポリアミドからなり、操
作圧力1〜10Kg/cm2で、供給液濃度が500mg/l の硫酸マ
グネシウムに対する除去率が10%以上である半透性複合
膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液状混合物からの固体あ
るいは溶質の分離を選択的に透過分離するのに使用され
る半透性分離膜に関するものであり、さらには逆浸透膜
及び逆浸透膜と限外ろ過膜の中間の選択分離特性を有す
るナノろ過膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】膜法による液状混合物の分離・濃縮は、
蒸留などの分離技術に較べ省エネルギー法でありかつ物
質の状態変化を伴わないことから果汁の濃縮、ビール酵
素の分離などの食品分野、海水及びかん水の淡水化によ
る飲料水、工業用水などの製造、電子工業に於ける超純
水の製造や医薬品工業や医療分野に於ける無菌水の製造
などの水精製分野あるいは工業廃水からの有価物の回収
といった多分野に於いて幅広く利用されている。このよ
うな利用用途の拡大が、新しい分離膜並びに分離膜を利
用した新しい分離技術の開発を促進し、特に近年急激な
発展を見た。このような発展に拍車をかけたのは、半導
体の高度集積化に伴いより高品位なものへと要求が高度
化した超純水分野でのニ−ズであり、またこの要求に応
える形で進歩を遂げた界面重合法による複合膜化技術の
確立であろう。
【0003】一般に分離活性層と支持層が同一素材でで
きているものは非対称膜と呼ばれ、これらが異なった素
材でできているものが複合膜と呼ばれている。非対称膜
は一般に相転換法により得ることができ、一方複合膜は
非対称膜と同様の操作で支持層となる支持膜を製膜した
後、このものの表面にコート法や界面重合法、プラズマ
重合法等により薄い分離活性層を形成させることで得る
ことができる。これらのうち界面重合法は、相互に反応
する2種類以上の反応性モノマーを水及び水と混和しな
い有機溶媒にそれぞれ溶解し、それらの溶液を接触さ
せ、その界面で反応させ、ポリマーを生成する界面重合
反応を例えばポリスルホンからなる微細孔性支持膜表面
上で行い、複合膜を得る方法である。本発明は、この界
面重合法により得られる複合膜に関する。
【0004】界面重合法による逆浸透複合膜の研究は、
主として米国の North Star Research and Development
Instituteで行われ、その具体的成果はNS-100 (1972
年) 、NS-200 (1973年) 、NS-300 (1977年) 及びFT-30
(1978年) 等といった形で公表されている。これらのう
ち、NS-100はポリスルホン限外濾過膜の上に水溶性アミ
ンであるポリエチレンイミンの水溶液を塗布し、アミノ
基と反応する2官能性モノマーであるトリレンジイソシ
アナートを含むヘキサン溶液を接触させ、尿素結合をも
つ水不溶性ポリマーを形成したものである(特開昭49-1
33282 )。またNS-200は、前記ポリエチレンイミンの代
わりにフルフリルアルコールを用い、これと酸触媒とし
て硫酸等を含む水溶液をポリスルホン微細孔性支持膜表
面に塗布し、150C程度で熱処理することにより架橋高分
子化とスルホン化を同時に行わせて、水不溶性ポリマー
からなる活性層を形成させたものである(J.E.Cadotte
et.al., OSW PB-Rep., No.982 (1974))。さらにNS-300
は、前記ポリエチレンイミンの代わりにピペラジンを用
い、これと酸捕捉剤として塩基性化合物を含む水溶液を
ポリスルホン微細孔性支持膜表面に塗布し、2官能性及
び3官能性カルボン酸クロリドを含むヘキサン溶液と接
触させ、アミド結合をもつ水不溶性ポリマーを形成した
ものであり(特公平1-38522 、USP-4,259,183 、J.E.Ca
dotte et. al., OSW PB-Rep., 80-127574 )、FT-30 は
前記ピペラジンの代わりにメタフェニレンジアミンを用
いNS-300と同様の方法でアミド結合をもつ水不溶性ポリ
マーを形成したものである(USP-4,277,344 、特開昭55
-147106 )。
【0005】上記逆浸透複合膜は、その開発の歴史的背
景から海水淡水化を目標に開発されたものであり、高い
脱塩性能並びに水透過性能を有し、特にFT-30 は現在で
も実用に供されている。しかしながらNS-100は、カン水
を脱塩する際の低圧下での逆浸透処理に供される場合
に、水の透過性が低くなり満足すべき膜性能が得られな
いことが多く、また耐塩素性も十分でないという欠点を
有しており、一方NS-200、NS-300は活性層を非常に薄く
塗るため、微細孔性支持膜の傷あるいは異物等により欠
点を生じ易く、安定に再現性良く高性能な逆浸透膜を得
ることが困難であった。このような欠点はあるもののNS
-300に関しては、この逆浸透複合膜が2級アミノ 基からな
るピペラジンを利用しているため、逆浸透膜を実際に使
用する上で重要な耐酸化剤性に優れるといった特性を有
していることも見いだされていた。
【0006】その後多様化する利用用途、要求水質の高
品位化に対応するために、この界面重合反応を利用した
各種の水溶性ポリマーとモノマーあるいはモノマーとモ
ノマーの組み合わせの検討がなされ、種々の逆浸透複合
膜が実用化されている。なかでも被処理液中の溶質濃度
が低く、浸透圧が低い場合に用いられる低圧用逆浸透複
合膜の進歩はめざましく、現在では i) より低い運転
圧力で高い逆浸透性能を有する低圧高阻止逆浸透膜、i
i) 低い運転圧力で限外濾過膜と逆浸透膜の中間の阻止
性能を有する低圧低阻止逆浸透膜に大別され、低圧低阻
止逆浸透膜はまたナノ濾過膜と呼ばれている。
【0007】低圧高阻止逆浸透膜は、15〜20Kg/cm2の運
転圧力でも塩化ナトリウムの阻止率が98〜99.5%と非常
に高く、また水透過性能にも優れ、例えば特開昭55-147
106、特開昭55-137005 、特開昭57-27102あるいは特開
昭63-218208 に見られるように、複合膜の活性層に界面
重合反応によって形成された芳香族架橋ポリアミドを主
成分としたものが多く知られている。
【0008】一方、塩化ナトリウムの阻止率が90% 未満
の逆浸透膜がナノ濾過膜と定義されており、この膜はま
た分子量が数百の有機物に対し高い阻止率を有するとい
った特徴をもっているため硬度が高い水の軟水化、糖や
有機酸など分子量が100 以上の水溶性有機物の脱塩、ア
ミノ酸の脱塩・濃縮、食品工業における低分子量有機質
有価物の濃縮・回収等に利用されており最近では、簡易
水道施設での溶解性有機物質除去を目的とした浄水処
理、工業排水等の回収を目的とした排水処理などでの利
用が注目され検討されている。現在公表されているナノ
濾過膜は低圧高阻止逆浸透膜と同様複合膜であり、無機
化合物からなるものも報告されているが、活性層にはス
ルホン化ポリスルホンや界面重合反応によって形成され
た脂肪族成分を含む架橋ポリアミドを主成分としたもの
が多く知られている。
【0009】脂肪族成分を含む架橋ポリアミドを活性層
とする複合膜としては、これまで多官能芳香族アミンと
多官能脂肪族酸ハロゲン化物との界面重合によって生成
するポリアミドからなる活性層を微細孔性支持膜上に形
成させたものが知られている(例えば、特開昭62-25870
5 号、特開昭63-218208 号等)。また前述したNS-100同
様、多官能脂肪族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物
との界面重合によって生成するポリアミドからなる活性
層を微細孔性支持膜上に形成させたものも知られている
(例えば、EP-A1-0313354 、特公平2-53089 号、特公平
2-39299 号、特公平5-65213 等)。
【0010】しかしながら、これらの複合膜は例えば5k
g/cm2 以下の超低圧運転条件下では水透過性能が不十分
であり、このような超低圧条件下でも水透過性能に優れ
るナノ濾過膜並びに逆浸透膜が求められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、超低圧条件
下でも水透過性能に優れ、しかも塩素等の耐酸化剤性に
も優れるナノ濾過複合膜並びに逆浸透複合膜を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、薄い分離
活性層とこれを支持する微細孔性支持膜とからなる半透
性複合膜に於いて、上記分離活性層が、
【化3】 (式中R1 及びR3 は、炭素数1の有機基を示し、R2
は分子内に少なくとも1つは3級及び/又は4級炭素を
含む炭素数2〜13の線状の脂肪族の有機基を示し、R
4 及びR5 は水素又は炭素数1〜11の線状の脂肪族の
有機基を示し、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は独立
に同一であるか、または異なることができ、R1 、R2
、R3 、R4 及びR5 を構成する全て有機基の合計の
炭素数は15以下である)で表される2官能反応性アミ
ノ化合物を主たるアミン成分とし、該アミン成分とハロ
ゲン化カルボニル基を1分子中に2個以上有する多官能
反応性酸ハロゲン化物とを重縮合したポリアミドからな
り、操作圧力1〜10Kg/cm2で、供給液濃度が500mg/l の
硫酸マグネシウムに対する除去率が10%以上であること
を特徴とする半透性複合膜を提供する。
【0013】本発明における分離活性層とは、2官能反
応性アミノ化合物と多官能反応性酸ハロゲン化物との重
縮合反応によって得ることができるポリアミドからなる
実質的に分離性能を有する薄膜層である。薄膜層の厚み
はピンホールがなければ薄いほど好ましいが、機械的強
度あるいは耐薬品性を維持するためには適当な厚みを持
たせなければならず、製膜安定性、透過性能等を考慮す
ると1.0 μm以下が好ましく、0.5 μm以下がより好ま
しい。この分離活性層の表面に必要に応じて、例えばポ
リビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロ
リドンからなる保護層が形成される場合もある。
【0014】本発明でいう2官能反応性アミノ化合物と
は、本質的に単量体化合物であって、分子内に2つの1
級アミノ基又は2級アミノ基を有し、しかも分子内に少
なくとも1つは3級及び/又は4級炭素を含む分枝した
有機基をもつ全炭素数4〜15の本質的に線状の脂肪族ア
ミノ化合物を示す。
【0015】具体的には、例えば、2−メチル−1,5
−ペンタンジアミン、2,2−ジメチル−1,5−ペン
タンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン
ジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、
2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジアミン、
N,N’,2−トリメチル−1,3−プロパンジアミン
などを挙げることができ、これらの単独あるいは混合物
も用いることができる。本発明に於いては、特に2,2
−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−エチル−
2−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’,2
−トリメチル−1,3−プロパンジアミンが好ましく用
いられる。
【0016】本発明に用いられる多官能反応性酸ハロゲ
ン化物とは、本質的に単量体で一分子中に2個以上のハ
ロゲン化カルボニル基を有する芳香族あるいは脂肪族の
酸ハロゲン化物であり、この内芳香族酸ハロゲン化物と
してはトリメシン酸ハライド、トリメリット酸ハライ
ド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ピ
ロメリット酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン
酸ハライド、ビフェニルジカルボン酸ハライド、ナフタ
レンジカルボン酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハラ
イドなどを挙げることができ、これらの単独あるいは混
合物も用いることができる。本発明においては、特にト
リメシン酸クロリド単独、あるいはトリメシン酸クロリ
ドとイソフタル酸クロリドの混合物、またはトリメシン
酸クロリドとテレフタル酸クロリドの混合物が好ましく
用いられる。
【0017】また、脂肪族酸ハロゲン化物としては、シ
クロブタンジカルボン酸ハライド、シクロペンタンジカ
ルボン酸ハライド、シクロペンタントリカルボン酸ハラ
イド、シクロペンタンテトラカルボン酸ハライド、シク
ロヘキサンジカルボン酸ハライド、シクロヘキサントリ
カルボン酸ハライドなどの多官能性脂環式酸ハロゲン化
物、あるいはプロパントリカルボン酸ハライド、ブタン
トリカルボン酸ハライド、ペンタントリカルボン酸ハラ
イド、こはく酸ハライド、グルタル酸ハライド等を挙げ
ることができ、これらの単独あるいは混合物も用いるこ
とが可能で、さらには上記した多官能性芳香族酸ハロゲ
ン化物との混合物も用いることができる。
【0018】さらに本発明における微細孔性支持膜と
は、分離対象物に対して実質的に分離性能を示さず、上
記分離活性層を支持する膜であり、従来公知の微多孔性
支持膜であればどのようなものでもよいが、その外表面
に好ましくは0.1 μm以下、より好ましくは0.05μm以
下の微細孔を有し、外表面以外の裏面までの構造は流体
の透過抵抗を必要以上に大きくしないために、外表面の
微細孔より大きな細孔からなるものが好ましく、網状、
指状ボイドまたはそれらの混合構造のいずれでもよい。
また、これらの微細孔性支持膜は、織布や不織布で裏打
ちされ補強されていてもよい。その透過性能は 0.2〜10
m3/(m2・日・(kg/cm2) )、好ましくは0.5〜5m3/(m2
日・(kg/cm2) )であり、透水量が小さすぎると得られる
複合膜の透過性能も小さくなり、あまりにも大きくなり
すぎると支持膜としての強度が小さくなるため操作圧力
によっては微細孔性支持膜が破壊される場合がある。
【0019】かかる微細孔性支持膜の素材としては、微
細孔性支持膜に形成できるものであればどのようなもの
でも使用できる。ただし、複合膜を製造するにあたり使
用する溶媒によって微細孔性支持膜が化学的に損傷を受
けないことが必要であり、耐薬品性、製膜性、耐久性等
の観点からポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
アクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リアミドから選ばれる少なくとも一種を主成分とするこ
とが好ましく、より好ましくはポリスルホン、ポリエー
テルスルホンから選ばれる少なくとも一種を主成分とす
ることが好ましい。
【0020】また微細孔性支持膜が中空糸型である場
合、微細孔性中空糸支持膜の寸法は特に限定されない
が、製膜時の操作性、モジュールの膜面積、耐圧性を考
慮すると外径が 100(μm)〜2000(μm)、内径が30
(μm)〜1800(μm)の範囲のものが好ましく、外径
が 150(μm)〜500(μm)、内径が50(μm)〜300
(μm)がより好ましい。さらに少なくとも複合中空糸
膜としての操作圧力以上の圧力に耐え得ることが必要で
ある。かかる微細孔性中空糸支持膜も上記素材から選択
可能であり、通常は公知の乾湿式製膜法または溶融製膜
法により製造することができる。さらに必要に応じて、
製膜後の微細孔性中空糸支持膜に公知の湿熱処理(PB
レポート76-248666 、特開昭58-199007 号公報)や熱水
処理(特開昭60-190204 号公報)を施すことも可能であ
る。
【0021】本発明における半透性複合膜は、例えば上
記微細孔性支持膜表面上に、前記2官能反応性アミノ化
合物を含有する水溶液からなる第1溶液をコーティング
法や浸漬法等により均一に且つ連続的に被覆させ、次い
で過剰に塗布された第1溶液を自然流下法や圧搾法、乾
燥法等により液切りした後、前記多官能反応性酸ハロゲ
ン化物を含有する水非混和性有機溶剤溶液からなる第2
溶液を、上記の手段等を利用して塗布することにより進
行する界面重合反応によって、上記微細孔性支持膜表面
上にポリアミドからなる分離活性層を形成させることで
得ることができるが、必ずしもこれらの方法に限定され
るものでない。
【0022】このようにして得た半透性複合膜を、引き
続き約20〜150 ℃、好ましくは50〜130 ℃で約1〜10分
間、好ましくは2〜8分間加熱処理することが、本発明
における半透性複合膜の製造方法としてより好ましい。
【0023】上記第1溶液及び第2溶液中に含まれる2
官能反応性アミノ化合物及び多官能反応性酸ハロゲン化
物の濃度は、これら多官能反応性化合物の種類、溶媒に
対する分配係数により異なり特に限定されるものではな
いが、2官能反応性アミノ化合物は通常約0.1 〜10重量
%、好ましくは約0.5 〜5重量%が適当であり、多官能
反応性酸ハロゲン化物では約0.01〜10重量%、好ましく
は約0.1 〜5重量%のものが適当である。これらの濃度
が低いと界面重合薄膜の形成が不完全で欠点が生じやす
く分離性能の低下を招き、逆に高すぎると界面重合薄膜
が厚くなり過ぎて透過性能の低下を生じたり、製造膜中
の残留未反応物量が増加し、膜性能へ悪影響を及ぼす可
能性がある。
【0024】また、上記第1溶液の溶媒及び第2溶液の
溶媒としてはそれぞれ上記2官能反応性アミノ化合物及
び多官能反応性酸ハロゲン化物をそれぞれ溶解し、各溶
液が接した場合液々界面を形成し微細孔性支持膜を損傷
しないものであれば特に限定されない。かかる溶媒とし
て例えば、第1溶液の溶媒としては水、アルコールの単
独あるいは混合物が、また第2溶液の溶媒としてはn−
ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタ
ン、n−ノナン、n−デカン等の炭化水素系溶剤の単独
あるいは混合物を挙げることができる。
【0025】さらに、上記界面重合反応を促進するため
に、反応により発生するハロゲン化水素を除去しうる酸
捕捉剤としてアルカリを使用したり、微細孔性支持膜と
の濡れ性を向上させるなどのために界面活性剤を利用し
たり、あるいは反応を促進するための触媒を必要に応じ
て利用することも可能である。酸捕捉剤の例としては、
水酸化ナトリウムのようなカ性アルカリ、リン酸三ナト
リウムのようなリン酸ソーダ、炭酸ナトリウムのような
炭酸ソーダ、あるいはトリメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリエチレンジアミンのような3級アミン等が挙
げられ、界面活性剤の例としてはラウリルスルホン酸ナ
トリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、ま
た触媒の例としてはジメチルホルムアミドなどが挙げら
れる。これらは予め上記第1溶液中あるいは第2溶液中
に含ませることが可能である。
【0026】このようにして得られた半透性複合膜は、
これだけでも十分良好な膜性能を発現するが、さらに該
半透性複合膜を特公昭63-36803号公報に開示されている
ように、次亜塩素酸等による塩素処理を行って塩除去性
能を向上させることも可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明による半透性複合膜は、分離活性
層がその構成成分として特定の成分を含むため、1〜10
Kg/cm2という超低圧力での運転条件下においても水透過
性能に優れ、しかも塩素等の耐酸化剤性にも優れるとい
った特徴を併せ持ち、超低圧力運転条件下での実用性能
あるナノ濾過を可能にする半透性複合膜を提供し、例え
ば硬度が高い水の軟水化、糖や有機酸など分子量が100
以上の水溶性有機物の脱塩、アミノ酸の脱塩・濃縮、食
品工業における低分子量有機質有価物の濃縮・回収、簡
易水道施設での溶解性物質除去を目的とした浄水処理、
工業排水等の回収を目的とした排水処理等の利用分野で
好適に用いることができる。
【0028】
【実施例】以下実施例及び比較例を示して本発明を説明
するが、ここで挙げる実施例は本発明を規制するもので
ない。 実施例 1 2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン2.0 重量
%、ラウリル硫酸ナトリウム0.1 重量%、炭酸ナトリウ
ム0.2 重量%を含有した水溶液に市販のポリスルホン微
細孔性支持膜(東洋濾紙製 UK−50)を25℃で数分
間浸漬した後、圧搾法により過剰の上記水溶液を除去し
て、支持膜上に水溶液の液膜層を形成した。
【0029】次いで、かかる支持膜に、トリメシン酸ク
ロリド0.4 重量%を含有したヘキサン溶液を25℃で数秒
間接触させ、数分間空気中に放置した後、50℃の熱風乾
燥器中に4分間保持し、支持膜上に分離活性層を形成さ
せて目的とする半透性複合膜を得た。
【0030】得られた半透性複合膜は十分に水洗した
後、膜性能評価セルに装着し、供給液中の硫酸マグネシ
ウム濃度:0.05%、供給液pH:6.5 、供給液温度:25
℃、操作圧力:5Kg/cm2 、回収率:5%の条件で評価し
たところ、透過液の電導度測定における塩除去率は95.5
%であり、透過水量は0.5m3/m2・日であった。なお電導
度測定における塩除去率とは、塩除去率(%)=[1−
(透過液の電導度)/(供給液の電導度)]×100に
て定義される。
【0031】実施例 2 実施例1で得られた半透性複合膜を、さらに500mg/l の
次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に25℃で15時間浸漬した
後に、実施例1と同一の条件で膜性能を評価したとこ
ろ、透過液の電導度測定における塩除去率は97.1%であ
り、透過水量は0.4m3 /m2・日であった。この膜を、さ
らに300mg/l の亜硫酸水素ナトリウム水溶液中に25℃で
60分間浸漬した後に、再度実施例1と同一の条件で膜性
能を評価したところ、透過液の電導度測定における塩除
去率は95.7%、透過水量は0.5m3 /m2・日であり膜性能
及び塩素暴露後の性能回復性も良好であった。
【0032】実施例 3,4,5 実施例1において、2官能反応性アミノ化合物として2
−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−エチル−2
−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’,2−
トリメチル−1,3−プロパンジアミンを用いた以外
は、実施例1と同様にして半透性複合膜を作成した。こ
れらの膜性能を併せて表1に示す。
【0033】実施例 6 実施例1において、多官能反応性酸ハロゲン化物として
1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸クロリドを
用いた以外は、実施例1と同様にして半透性複合膜を作
成した。これらの膜性能を併せて表1に示す。
【0034】実施例 7 実施例1において、多官能反応性酸ハロゲン化物として
トリメシン酸クロリドとイソフタル酸クロリドの混合物
を用いた以外は、実施例1と同様にして半透性複合膜を
作成した。これらの膜性能を併せて表1に示す。
【0035】比較例 1〜4 実施例1において、2官能反応性アミノ化合物としてメ
タフェニレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、
1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジエチルエチレ
ンジアミンを用いた以外は、実施例1と同様にして半透
性複合膜を作成した。これらの膜性能を併せて表1に示
す。
【0036】参考例 1 芳香族ポリスルホン(UDEL P−3500,アモコ
社製)25重量部、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム0.5 重量部、ポリエチレングリコール(分子量:400
)5重量部及びDMAC69.5重量部からなる製膜溶液
をチューブインオリフィスノズルより空中走行部を経て
凝固浴中に吐出させ微細孔性中空糸支持膜を得た。
【0037】得られた中空糸膜は十分に水洗した後、85
℃で30分間熱処理し、ミニモジュールを作成した。かか
るミニモジュールを限外ろ過膜性能評価セルに装着し、
供給液中のデキストラン(分子量:18.5万)濃度:500m
g/l 、供給液温度:25℃、操作圧力:2Kg/cm2 の条件で
限外ろ過膜性能を確認したところデキストラン除去率は
87.1%、透過水量は7.0m3/m2・日であった。なお、供給
水及び透過水中のデキストラン濃度はアントロン−硫酸
法により測定した。
【0038】実施例8 2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン2.0 重量
%、ラウリル硫酸ナトリウム0.1 重量%、水酸化ナトリ
ウム0.2 重量%を含有した水溶液に参考例1で得られた
ポリスルホン微細孔性中空糸支持膜を25℃で数分間浸漬
した後、熱風法により過剰の上記水溶液を除去して、支
持膜上に水溶液の液膜層を形成した。
【0039】次いで、かかる支持膜に、トリメシン酸ク
ロリド1.0 重量%を含有したヘキサン溶液を25℃で数秒
間接触させた後、50℃の熱風乾燥塔内を数秒間通過させ
ることで支持膜上に分離活性層を形成させ、目的とする
半透性中空糸複合膜を得た。
【0040】得られた半透性中空糸複合膜は十分に水洗
した後、膜性能評価セルに装着し、供給液中の硫酸マグ
ネシウム濃度:0.05%、供給液pH:6.5 、供給液温
度:25℃、操作圧力:5Kg/cm2 、回収率:1%の条件で
評価したところ、透過液の電導度測定における塩除去率
は87.7%であり、透過水量は0.8m3 /m2・日であった。
【0041】実施例9 実施例8で得られた半透性中空糸複合膜を用い、供給液
中の硫酸マグネシウム濃度:0.05%、供給液pH:6.5
、供給液温度:25℃、操作圧力:2Kg/cm2 の条件で評
価したところ、透過液の電導度測定における塩除去率は
75.7%であり、透過水量は0.3m3 /m2・日であった。
【0042】実施例10 実施例8で得られた半透性中空糸複合膜を用い、供給液
中の硫酸マグネシウム濃度:0.05%、供給液pH:6.5
、供給液温度:25℃、操作圧力:10Kg/cm2の条件で評
価したところ、透過液の電導度測定における塩除去率は
94.9%であり、透過水量は1.5m3 /m2・日であった。
【0043】比較例5 実施例11において、多官能反応性アミノ化合物として
メタフェニレンジアミンを用いた以外は実施例11と同
様にして半透性複合膜を作成し、実施例1と同一の条件
で膜性能を評価したところ、透過液の電導度測定におけ
る塩除去率は98.2%であり、透過水量は0.2m3 /m2・日
であった。
【0044】この半透性複合膜を、さらに500mg/l の次
亜塩素酸ナトリウム水溶液中に25℃で15時間浸漬した後
に、実施例1と同一の条件で膜性能を評価したところ、
透過液の電導度測定における塩除去率は57.1%、透過水
量は0.5m3 /m2・日となり、塩素暴露によって分離活性
層が分解し性能が低下した。
【0045】
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄い分離活性層とこれを支持する微細孔
    性支持膜とからなる半透性複合膜に於いて、上記分離活
    性層が、 【化1】 (式中R1 及びR3 は、炭素数1の有機基を示し、R2
    は分子内に少なくとも1つは3級及び/又は4級炭素を
    含む炭素数2〜13の線状の脂肪族の有機基を示し、R
    4 及びR5 は水素又は炭素数1〜11の線状の脂肪族の
    有機基を示し、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は独立
    に同一であるか、または異なることができ、R1 、R2
    、R3 、R4 及びR5 を構成する全て有機基の合計の
    炭素数は15以下である)で表される2官能反応性アミ
    ノ化合物を主たるアミン成分とし、該アミン成分とハロ
    ゲン化カルボニル基を1分子中に2個以上有する多官能
    反応性酸ハロゲン化物とを重縮合したポリアミドからな
    り、操作圧力1〜10Kg/cm2で、供給液濃度が500mg/l の
    硫酸マグネシウムに対する除去率が10%以上であること
    を特徴とする半透性複合膜。
  2. 【請求項2】 【化2】 (式中R6 及びR8 は、炭素数1の有機基を示し、R7
    は分子内に少なくとも1つは3級及び/又は4級炭素を
    含む炭素数2〜7の線状の脂肪族の有機基を示す)で表
    される2官能反応性アミノ化合物を主たるアミン成分単
    位とするポリアミドからなることを特徴とする請求項1
    記載の半透性複合膜。
  3. 【請求項3】 多官能反応性アミノ化合物が、2,2−
    ジメチル−1、3−プロパンジアミン又は2−エチル−
    2−メチル−1,3−プロパンジアミンであることを特
    徴とする請求項1記載の半透性複合膜。
  4. 【請求項4】 多官能反応性酸ハロゲン化物が、芳香族
    多官能酸塩化物であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の半透性複合膜。
  5. 【請求項5】 半透性複合膜が、中空糸型の半透性複合
    膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の半透性複合膜。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001510730A (ja) * 1997-07-24 2001-08-07 ユニバーシティ オブ ウエスタン シドニー、ホークスベリ 食品加工処理物から栄養素を精製するための処理工程
JP2010070474A (ja) * 2008-09-17 2010-04-02 Toray Ind Inc コハク酸の製造方法
JP2010142191A (ja) * 2008-12-22 2010-07-01 Toray Ind Inc コハク酸塩の製造方法
US11926534B2 (en) 2020-02-28 2024-03-12 The Procter & Gamble Company Method of using nanofiltration and reverse osmosis to remove chemical contaminants

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