JP4213789B2 - 液体分離膜の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液状混合物中の成分を選択的に分離する液体分離膜の洗浄方法に関する。さらに詳しくは、多孔性支持体上にポリアミドを主成分とする薄膜を備えた複合液体分離膜から未反応残存物を除去する方法に関する。かかる液体分離膜は、超純水の製造、海水またはかん水の脱塩等に好適であり、また公害原因となる染色廃水や電着塗料廃水などから、汚染源あるいは有効物質を除去回収しプロセスのクローズド化を可能とする。また、食品工業などにおける有効成分の濃縮などにも用いられる。
【0002】
【従来の技術】
非対称液体分離膜とは構造の異なった液体分離膜として、多孔性支持体上に異質的に選択分離性を有する薄膜を形成してなる複合液体分離膜が知られている。現在、かかる液体分離膜として、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合により得られるポリアミドからなる薄膜を、支持体上に形成したものが多数提案されている(例えば、特開昭55−147106号、特開昭62−121603号、特開昭63−218208号、特開平2−187135号など)。また、多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミドからなる薄膜を支持体上に形成したものも提案されている(例えば、特開昭61−42308号など)。また前記複合液体分離膜の水透過性をさらに向上させるため添加剤(水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムなど)を用い、界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去する方法や、公知のアシル化触媒、また界面反応時の反応場の界面張力を減少させる化合物なども提案されている(例えば特開昭63−12310号、特開平6−47260号、特願平6−319716号など)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の分離膜を使用し、実際に透過液あるいは非透過液として濃縮あるいは精製された目的物質を得ようとすると、膜あるいは膜モジュールを構成する部材から溶出、流出する不純物により目的とする液の純度の低下を招く。このため、これら分離膜および膜モジュールは使用に先立ち充分な洗浄をおこなう必要がある。しかしながら、このような洗浄操作は一般に長時間あるいは高エネルギーを要したり、膜の透過流束の低下を生ずるなど好ましくない膜性能変化をひきおこすことがある。
【0004】
本発明の目的は分離膜の性能に与える影響が少なく、かつ分離膜から効率的に未反応残存物を除去することのできる液体分離膜の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
ここに開示の発明は架橋ポリアミド系スキン層を有する液体分離膜に対して、有機物を含む水溶液を接触させ未反応残存物を除去することを特徴とする液体分離膜の製造方法である。本発明は架橋ポリアミド系スキン層を有する液体分離膜に対して、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤の水溶液を10秒〜1時間接触させスキン層形成における未反応残存物を除去することを特徴とする液体分離膜の製造方法を提供するものである。
【0006】
ここに開示の液体分離膜の製造方法中、洗浄に用いられる有機物は水溶性で、膜性能に悪影響を与えないことが要求され、界面活性剤;グリセリンやグリコール類などの一価又は多価のアルコール類;有機酸とトリアルキルアミンの塩などが挙げられる。これらのうち、特にアニオン界面活性剤及び両性界面活性剤が好ましい。
【0007】
前記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤をいずれも用いることができ、被洗浄膜の膜性能に対する影響、および未反応残存物の除去効率を考慮して好適な界面活性剤を選択することができる。
【0008】
これらのうちアニオン界面活性剤としては、例えば高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0009】
両性界面活性剤としては、例えば下記一般式(I)〜(III):
【化1】
Figure 0004213789
(式中、R、R′及びR″はアルキル基を意味する)
で示される化合物などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0010】
カチオン界面活性剤としては、例えば高級アミンハロゲン酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム、第四アンモニウム塩などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0011】
非イオン界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0012】
洗浄に用いられる界面活性剤は特にアニオン界面活性剤及び両性界面活性剤が好ましく、これらを単独で、あるいは二種類以上を混合して水溶液として用いることができる。さらには水溶液中に適宜添加剤を加えてもよい。
【0013】
またアルコール類としては一価又は二価以上の多価アルコールが用いられる。一価アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、t−ブタノールなどが挙げられる。多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類、グリセリンなどが挙げられる。有機酸とトリアルキルアミンの組み合わせとしては、カンファースルホン酸/トリエチルアミン、ベンゼンスルホン酸/トリエチルアミンなどが挙げられる。
【0014】
かかる水溶液中の有機物の濃度については、物質の種類によって未反応残存物の除去効果や膜性能低下の抑制効果が異なり特に限定されるものではないが、10ppm〜10%、好ましくは50ppm〜5%とすることができる。濃度が10ppm未満の場合には未反応残存物の除去によって生じる膜透過流束の低下が大きい。一方、濃度が10%以上の場合には洗浄液のコスト及び、洗浄後の廃液の処理コストが高くなり、液中の有機物の吸着により膜透過流束が低下する、あるいは蒸気濃度が高く環境に悪影響を及ぼすなどの不都合を生じる。なお、アルコール水溶液の場合の濃度は1〜90%、好ましくは10〜80%である。
【0015】
洗浄温度は水溶液が液体として存在しうる範囲であれば特に限定されないが、未反応残存物の除去効果および取り扱いの容易さから10〜90℃が好ましい。
また、洗浄時分離膜と該水溶液との接触時間は数秒〜2時間、好ましくは10秒〜1時間である。接触時間がこれより短いと未反応残存物の除去効果が不充分であり、また2時間を越えても除去効果が平衡に達し効率的ではない。
【0016】
かかる洗浄処理をおこなう際に、複合液体分離膜はその形状になんら制限を受けるものではない。すなわち平膜状あるいはスパイラルエレメントに加工された形状など考えられるあらゆる膜形状において処理を施すことが可能である。
【0017】
また、複合液体膜の洗浄処理において、分離膜と水溶液とを接触させる方法としては、浸漬法および通水法のいずれであってもかまわない。通水法による場合の圧力については複合膜あるいは部材の耐性の範囲内であればなんら制限を受けるものではない。
【0018】
本発明にて洗浄処理される液体分離膜としては、架橋ポリアミド系スキン層を有するものであればよいが、典型的には多孔性支持体上に2以上の反応性アミノ基を有する化合物を含む溶液を被覆する工程、及び該溶液層に多官能性酸ハロゲン化物を含む溶液を接触させる工程などによりアミン成分と酸ハロゲン成分とを反応させて架橋反応を行い製造した分離膜が挙げられる。このような分離膜は例えば下記の方法により製膜される。
【0019】
(アミン成分)
前記アミン成分は、2つ以上の反応性のアミノ基を有する多官能アミンであれば特に限定されず、芳香族、脂肪族、または脂環式の多官能アミンがあげられる。芳香族多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミンベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4-ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジアミンなどが挙げられる。
【0020】
また脂脂族多官能アミンとしては、例えば、エチレンジアミシ、プロピレンジアミシ、トリス(2−アミノエチル)アミンなどが挙げられる。
【0021】
また脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4−アミノメチルピペラジシなどが挙げられる。これらのアミンは単独、又は混合して用いることができる。
【0022】
(酸ハロゲン化物)
また、多官能性酸ハロゲン化物も、特に限定されず、芳香族、脂肪族、脂環式などの多官能性酸ハロゲン化物が挙げられる。
【0023】
芳香族多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、トリメシン酸クロライド、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸クロライド、ベンゼンジスルホン酸クロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸クロライドなどが挙げられる。
【0024】
脂肪族多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、プロパントリカルボン酸クロライド、ブタントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸クロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライドなどが挙げられる。
【0025】
また脂環式多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸クロライド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタンジカルボン酸クロライド、シクロブタンジカルボン酸クロライド、シクロヘキサンジカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸クロライドなどが挙げられる。
【0026】
(支持体)
本発明に用いられる上記薄膜を支持する多孔性支持体は、薄膜を支持し得るものであれば特に限定されず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフツ化ビニリデンなど種々のものを挙げることができるが、特に化学的、機械的、熱的安定性から、ポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる多孔性支持膜が好ましい。かかる多孔性支持体は、通常約25〜l25μm、好ましくは約40〜75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0027】
(製膜溶液の調製)
多官能アミンを含有する溶液は製膜を容易にし、または得られる複合逆浸透膜の性能を向上させるために、さらに、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの重合体や、ソルビトール、グリセリンなどのような多価アルコールを少量含有させてもよい。
【0028】
また、特開平2-187135号公報に記載のアミン塩、例えばテトラアルキルアンモニウムハライドやトリアルキルアミンと有機酸との塩などを用いると製膜が容易になったり、アミン溶液の支持体への吸収性がよくなり好ましい。
【0029】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加してもよい。これらの界面活性剤は、多官能アミンを含有する溶液の多孔性支持体への濡れ性の改善に効果がある。さらに上記界面での重縮合反応を促進するために界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去し得る水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムを用い、あるいは公知のアシル化触媒などを用いることも有益である。また、透過流束を高めるために特願平6−319716号に記載されているように溶解度バラメータが8〜14(cal/cm3)1/2の化合物を添加してもよい。
【0030】
酸ハロゲン化物の溶液に用いられる溶媒は水非混和性有機溶剤が挙げられ、特にヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサンなどの炭化水素、四塩化炭素、トリクロロトリフルオロエタン、ジフロロテトラクロルエタン、ヘキサクロルエタンなどのハロゲン化炭化水素などが好ましい。
【0031】
上記酸ハロゲン化物および多官能アミシの濃度は特に限定されるものではないが、酸ハロゲン化物は、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%であり、多官能アミンは、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜1重量%である。
【0032】
(製膜方法)
このようにして、多孔性支持体上に多官能アミンの溶液を被覆し、次いでその上に多官能酸ハロゲン化物の溶液を被覆した後、それぞれ余分の溶液を除去し、次いで、通常約20〜150℃、好ましくは約70〜130℃で、約1〜l0分間、好ましくは約2〜8分間架橋ポリアミドからなる水透過性の薄膜を形成させる。この薄膜は、その厚さが、通常約0.05〜2μm、好ましくは約0.1〜1μmの範囲にある。また、本発明の複合液体分離膜の製造方法において、特公昭63−36803号公報に記載されているように、次亜塩素酸などによる塩素処理を行なって塩阻止性能をさらに向上させることもできる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0034】
[製造例]
m−フェニレンジアミン2.5重量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.15重量%、トリエチルアミン2.5重量%、カンファースルホン酸5.0重量%を含有するアミン水溶液を、多孔性ポリスルホン支持膜に接触させて、余分の溶液を除去して支持膜上に液層を形成した。次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシン酸クロライド0.2重量%を含むイソオクタン溶液を接触させた後、余分な溶液を乾燥除去し、複合液体分離膜を得た。この分離膜を実施例1〜5にて洗浄に供した。なお、得られた複合液体分離膜を平膜評価用セルにセットし、約1500ppmのNaClを含むpH7.0の水溶液について、15kg/cm2の圧力で評価したところ、NaCl阻止率は99.7%、透過流束は1.2m3/(m2日)であった。
【0035】
[実施例1]
製造例1で得られた複合液体分離膜をアモーゲンK(第一工業製薬(株)製、両性界面活性剤)500ppm水溶液に20℃にて1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した。得られた複合液体分離膜を平膜評価用セルにセットし、約l5OOppmのNaClを含むpH7.0の水溶液について、15kg/cm2の圧力で評価したところ、NaCl阻止率は99.7%、通過流束は0.89m3/(m2日)であった。また、膜中の未反応残存物を50%エタノール水溶液で抽出し、抽出液の210nmでの吸収強度を測定したところ、吸収強度は比較例1で得られた膜の抽出液の吸収強度の0.53倍であった。
【0036】
[実施例2]
500ppmのn−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液に20℃で1分間浸漬し、膜中の来反応物を洗浄した以外は実施例1と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を実施例1と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
参考例1
カチオーゲンPAN(第一工業製薬(株)製、カチオン界面活性剤)500ppm水溶液に20℃で1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した以外は実施例1と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を実施例1と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。その結果を表1に示す。
【0038】
参考例2
500ppmのポリエチレングリコールアルキルエーテル(n-CH(OCH)OH)水溶液に20℃で1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した以外は実施例1と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を実施例1と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
実施例3
500ppmのアモーゲンK(第一工業製薬(株)製、両性界面活性剤)で20℃、5kg/cmにて1分間加圧通水し、膜中の未反応物を洗浄した以外は実施例1と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を実施例1と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。その結果を表1に示す。
【0040】
[比較例1]
実施例1において、純水(20℃)に1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した以外は実施例1と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を実施例1と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004213789
【0042】
[製造例2]
製造例1と同一条件にて再度分離膜を製造し、実施例6〜10の洗浄に供した。なお、製造例1と同様にして測定したNaCl阻止率は99.6%、透過流束は1.2m3/(m2日)であった。
【0043】
参考例3
製造例2で得られた複合液体分離膜を50%イソプロピルアルコール水溶液に25℃で1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した。得られた複合液体分離膜を平膜評価用セルにセットし、約1500ppmのNaClを含むpH7.0の水溶液について、15kg/cmの圧力で評価したところ、NaCl阻止率は99.6%、透過流束は1.2m/(m日)であった。また、膜中の未反応残存物を50%エタノール水溶液で抽出し、抽出液の210nmでの吸収強度を測定したところ、吸収強度は製造例2で得られた膜の抽出液の吸収強度の0.61倍であった。
【0044】
参考例4
50%イソプロピルアルコール水溶液に50℃で1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した以外は参考例3と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を参考例3と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定をおこなった。その結果を表2に示す。
【0045】
参考例5
50%イソプロピルアルコール水溶液を用い25℃、5kg/cmにて1分間加圧通水し、膜中の未反応物を洗浄した以外は参考例3と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を参考例3と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。その結果を表2に示す。
【0046】
参考例6
20%エチルアルコール水溶液に25℃で1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した以外は参考例3と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を参考例3と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。その結果を表2に示す。
【0047】
参考例7
50%エチルアルコール水溶液に25℃で1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した以外は参考例3と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を参考例3と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。その結果を表2に示す。
【0048】
比較参考例1
参考例3において、純水に25℃で1分間浸漬し、膜中の未反応物を洗浄した以外は参考例3と同様にして膜中の未反応物を洗浄した。得られた膜を参考例3と同様に性能評価および抽出液のUV吸収強度測定を行った。その結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0004213789
【0050】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば複合液体分離膜の透水性、塩阻止性などの膜性能に与える影響を抑制しながら、未反応残存物が効率よく除去される。かかる方法により洗浄された液体分離膜を用いて分離処理を行うと処理液中ヘの不純物の混入が小さいため、例えばかん水、海水の脱塩による淡水化や、半導体の製造に必要とされる超純水の製造、食品産業における有用成分の分離濃縮など、多くの分野で好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 架橋ポリアミド系スキン層を有する液体分離膜に対して、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤の水溶液を10秒〜1時間接触させスキン層形成における未反応残存物を除去することを特徴とする液体分離膜の製造方法
  2. 水溶液の接触が平膜および平膜を加工した膜モジュールの浸漬処理である請求項1の液体分離膜の製造方法
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