JP3628113B2 - 複合逆浸透膜による処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液中の成分を選択的に分離するために複合逆浸透膜を利用した処理方法に関する。さらに詳しくは、例えばかん水から超純水を得たり、海水から純水を得たり、食品の濃縮・精製、工場排水の処理などに用いることができる複合逆浸透膜による処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のポリアミド系複合逆浸透膜を用いて、40℃以上の溶液を複合逆浸透膜で処理及び40℃以上の溶液で複合逆浸透膜を殺菌処理から選ばれる少なくとも一つの処理を必要とする溶液の脱塩を行う場合、高温溶液を複合逆浸透膜に通水することで透過水量が低下する問題があった。特に塩阻止率の高い全芳香族架橋ポリアミド系複合逆浸透膜ではその傾向が顕著で、高温溶液通水前の透過水量に比べ高温溶液通水後の透過水量は、例えば60℃の熱水では約6割ぐらいに低下し、経済的な低圧での運転が不可能であった。これらの高温溶液通水による透過水量の低下は、スキン層のポリマーの再配列にともなうタイト化によると推定されるが、高温での通水は食品用途などで液や装置の殺菌が必要なところでは不可欠である。そこで、塩阻止率が高い複合逆浸透膜で40℃以上の溶液を処理したり40℃以上の溶液で殺菌処理を必要とする溶液の経済的な処理ができるポリアミド系複合逆浸透膜が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶液を高温で処理したり、高温で加熱殺菌処理しても、高い透過水量で経済的に処理できるポリアミド複合逆浸透膜による処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の複合逆浸透膜による処理方法は、40℃以上の溶液を複合逆浸透膜で処理するかまたは40℃以上の溶液で複合逆浸透膜を殺菌処理する方法であって、前記複合逆浸透膜が、ポリアミド系スキン層とこれを支持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸透膜であり、かつ前記ポリアミド系スキン層が2つ以上の反応性のアミノ基を有する多官能性アミン化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン化物から反応して得られた架橋ポリアミド系スキン層であり、ポリアミド系スキン層の平均面粗さが55nm以上であることを特徴とする。ポリアミド系スキン層の平均面粗さが55nm未満であると、熱水通水後に透過水量が低下した後でも十分な透過水量が得られない。さらに好ましくは60nm以上1000nm以下である。
【0005】
前記本発明の処理方法においては、複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層の自乗平均面粗さが65nm以上であることが好ましい。さらに好ましくは70nm以上2000nm以下である。
【0006】
また前記本発明の処理方法においては、複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層の10点平均面粗さが300nm以上であることが好ましい。さらに好ましくは305nm以上10000nm以下である。
【0007】
また前記本発明の処理方法においては、複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層の最大高低差が400nm以上であることが好ましい。さらに好ましくは410nm以上20000nm以下である。
【0008】
また前記本発明の処理方法においては、複合逆浸透膜の性能が、操作圧力15kgf/cm2 、温度25℃にて塩化ナトリウム1500ppmを含有するpH6.5の水溶液で評価したときに、塩の阻止率が95%以上、透過水量が1.6m3 /m2 ・日以上であることが好ましい。塩阻止率が低いと効率的な脱塩ができない。好ましくは、塩の阻止率が98%以上である。透過水量が低いと低圧で運転できないため、電気代などのランニングコストが高くなり、経済的でない。好ましくは1.8m3 /m2 ・日以上である。
【0009】
また前記本発明の処理方法においては、複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層が全芳香族架橋ポリアミドであることが好ましい。脂肪族などのポリアミドの場合、全芳香族ポリアミドと比べて耐薬品性等の化学的耐性が劣るため、長期使用時などに生じるスライムやスケールなどの化学洗浄後の性能が低下する。
【0010】
前記における平均面粗さは、下記式(数1)で定義される。
【0011】
【数1】
【0012】
また、前記における自乗平均面粗さは、下記式(数2)で定義される。
【0013】
【数2】
【0014】
また、前記における10点平均面粗さは、下記式(数3)で定義される。
【0015】
【数3】
【0016】
また、前記における最大高低差は下記式(数4)で定義される。
【0017】
【数4】
【0018】
これらの平均面粗さ、自乗平均面粗さ、10点平均面粗さ、最大高低差を求める方法は、一般に表面粗さを求める手法に従い求めることができる。
例えば、原子間力顕微鏡(AFM)、摩擦力顕微鏡(FFM)、非接触原子間力顕微鏡(NC−AFM)、トンネル顕微鏡(STM)、電気化学−原子間力顕微鏡(EC−AFM)、走査電子顕微鏡(SEM,FE−SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)等が挙げられるが、表面粗さを求めることができれば特に手法は制限されない。
【0019】
【発明の実施の形態】
前記した本発明の複合逆浸透膜は、たとえば2つ以上の反応性のアミノ基を有する化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン化合物との界面重縮合反応時に、溶解度パラメーターが8〜14(cal/cm3 )1/2の化合物、例えばアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、及び含硫黄化合物類などから選ばれる少なくとも一つの化合物の存在させることにより製造することができる。かかるアルコール類としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミルアルコール、イソアミルアルコール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、ウンデカノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、ペンチルアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。
【0020】
またエーテル類としては例えば、アニソール、エチルイソアミルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、エチルベンジルエーテル、クラウンエーテル、クレジルメチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジグリシジルエーテル、シネオール、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、トリオキサン、ジクロロエチルエーテル、ブチルフェニルエーテル、フラン、メチル−t−ブチルエーテル、モノジクロロジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレンクロロヒドリン等が挙げられる。
【0021】
またケトン類としては例えば、エチルブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0022】
またエステル類としては例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル等が挙げられる。またハロゲン化炭化水素類としては例えば、アリルクロライド、塩化アミル、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。
【0023】
また含硫黄化合物類としては例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオラン等が挙げられる。これらの中でも特にアルコール類、エーテル類が好ましい。これらの化合物は単独であるいは複数で存在させることができる。
【0024】
本発明で用いられるアミン成分は、2つ以上の反応性のアミノ基を有する多官能アミンであれば特に限定されず、芳香族、脂肪族、または脂環式の多官能アミンが挙げられる。
【0025】
かかる芳香族多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、8,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジアミン等が挙げられる。また脂肪族多官能アミンとしては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン等が挙げられる。また脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4−アミノメチルピペラジン等が挙げられる。これらのアミンは、単独として用いられてもよく、混合物として用いられてもよい。好ましくは、芳香族アミンである。
【0026】
また本発明で用いられる多官能性酸ハロゲン化物は、特に限定されず、芳香族、脂肪族、脂環式等の多官能性酸ハロゲン化物が挙げられる。
かかる芳香族多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、トリメシン酸クロライド、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸クロライド、ベンゼンジスルホン酸クロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸クロライド等が挙げられる。
【0027】
また脂肪族多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、プロパントリカルボン酸クロライド、ブタントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸クロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド等が挙げられる。
【0028】
また脂環式多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸クロライド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタンジカルボン酸クロライド、シクロブタンジカルボン酸クロライド、シクロヘキサンジカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸クロライド等が挙げられる。これらの酸ハライド単独で用いてもよく、混合物として用いられてもよい。好ましくは芳香族酸ハライドである。
【0029】
本発明においては、前記アミン成分と、前記酸ハライド成分とを、界面重合させることにより、多孔性支持体上に架橋ポリアミドを主成分とする薄膜が形成された複合逆浸透膜が得られる。
【0030】
本発明において前記薄膜を支持する多孔性支持体は、薄膜を支持し得る物であれば特に限定されず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンなど種々のものを挙げることができるが、特に、化学的、機械的、熱的に安定である点から、ポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる多孔性支持膜が好ましく用いられる。かかる多孔性支持体は、通常、約25〜125μm、好ましくは約40〜75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0031】
より詳細には、多孔性支持体上に、前記アミン成分を含有する溶液からなる第1の層を形成し、次いで前記酸ハライド成分を含有する溶液からなる層を前記第1の層上に形成し、界面重縮合を行って、架橋ポリアミドからなる薄膜を多孔性支持体上に形成させることによって得ることができる。
【0032】
多官能アミンを含有する溶液は、製膜を容易にし、または得られる複合逆浸透膜の性能を向上させるために、さらに例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の重合体や、ソルビトール、グリセリン等のような多価アルコールを少量含有させることもできる。
【0033】
また、特開平2−187135号公報に記載のアミン塩、例えばテトラアルキルアンモニウムハライドやトリアルキルアミンと有機酸とによる塩等も、製膜を容易にする、アミン溶液の支持体への吸収性を良くする、縮合反応を促進する等の点で好適に用いられる。
【0034】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を含有させることもできる。これらの界面活性剤は、多官能アミンを含有する溶液の多孔性支持体への濡れ性を改善するのに効果がある。
【0035】
さらに、前記界面での重縮合反応を促進するために、界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去し得る水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムを用い、あるいは触媒として、アシル化触媒等を用いることも有益である。
【0036】
前記酸ハライドを含有する溶液及び多官能アミンを含有する溶液において、酸ハライド及び多官能アミンの濃度は、特に限定されるものではないが、酸ハライドは、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%であり、多官能アミンは、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0037】
このようにして、多孔性支持体上に多官能アミンを含有する溶液を被覆し、次いでその上に多官能酸ハライド化合物を含有する溶液を被覆した後、それぞれ余分の溶液を除去し、次いで通常約20〜150℃、好ましくは約70〜130℃で約1〜10分間、好ましくは約2〜8分間加熱乾燥して、架橋ポリアミドからなる水透過性の薄膜を形成させる。この薄膜は、その厚さが通常約0.05〜2μm、好ましくは約0.10〜1μmの範囲にある。
【0038】
かかる複合逆浸透膜を利用した処理方法は、40℃以上の溶液の脱塩や40℃以上の溶液で複合逆浸透膜の殺菌処理が必要な溶液の脱塩などに好適に用いられる。かかる複合逆浸透膜を利用した処理方法は、従来の複合逆浸透膜では透過水量が低くて経済的な運転が不可能であった40℃以上の溶液や、40℃以上の溶液で複合逆浸透膜の殺菌処理が必要な溶液での運転が可能である。特に殺菌が必要な食品用途等での有効成分の濃縮等や医療用途等での純水製造等に好適に用いられる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、下記の実施例中、前記式(数1)で定義される平均面粗さ(Ra)、前記式(数2)で定義される自乗平均面粗さ(Rms)、前記式(数3)で定義される10点平均面粗さ(Rz)、前記式(数4)で定義される最大高低差(PV)は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した値を使って算出した。また、平均面粗さ(Ra)はJIS B0601で定義されている中心線平均粗さRaを、測定面に対して適用できるよう三次元に拡張したもので、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値である。ここで測定面とは全測定データの示す面をいい、指定面とは粗さ計測の対象となる面で、測定面のうちクリップで指定した部分をいい、基準面とは指定面の高さの平均値をZ0 とするとき、Z=Z0 で表される平面をいう。次に自乗平均面粗さ(Rms)は、断面曲線に対するRmsを、測定面に対して適用できるようRaと同様に三次元に拡張したもので、基準面から指定面までの偏差の自乗を平均した値の平方根である。次に10点平均面粗さ(Rz)は、JIS B0601で定義されているRzを三次元に拡張したもので、指定面における、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値の差である。次に最大高低差(PV)は、指定面において、最も高い山頂の標高Zmax と最も低い谷底の標高Zmin の差である。なお、以上の測定方法そのものは良く知られた方法である。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
m−フェニレンジアミン3.0重量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.15重量%、トリエチルアミン3.0重量%、カンファースルホン酸6.0重量%、イソプロピルアルコール5重量%を含有した水溶液を、多孔性ポリスルホン支持膜に数秒間接触させて、余分の溶液を除去して支持膜上に前記溶液の層を形成した。
【0042】
次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシン酸クロライド0.20重量%、イソプロピルアルコール 0.05重量%を含むIP1016(出光化学(株)製イソパラフィン系炭化水素油)溶液を接触させ、その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保持して、支持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透膜を得た。
【0043】
得られた複合逆浸透膜の一部を水洗し、乾燥後、AFMにて複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン層の表面粗さを測定したところ、Raは110nm、Rmsは132nm、Rzは523nm、PVは652nmであった。
【0044】
得られた複合逆浸透膜の性能は、1500ppmの塩化ナトリウムを含むpH6.5の塩化ナトリウム水溶液を、15kgf/cm2 の圧力で評価したところ、透過液電導度による塩阻止率は99.6%、透過流束は2.0m3 /m2 ・日であった。
【0045】
続いて、60℃の純水に複合逆浸透膜を1ケ月浸漬した後、同様な評価をしたところ、透過流束は1.7m3 /m2 ・日と十分に高い値を示した。従って、6kgf/cm2 前後の操作圧力でも十分に実用上問題無い透過流束が得られ、経済的な運転が可能であることが確認できた。
【0046】
(比較例1)
実施例1において、アミン水溶液、酸クロライド有機溶液にイソプロピルアルコールを添加しない以外は、実施例1と同様にして複合逆浸透膜を得た。
【0047】
得られた複合逆浸透膜の表面粗さは、Raは51nm、Rmsは62nm、Rzは296nm、PVは345nmであった。
得られた複合逆浸透膜の性能を、実施例1と同様に測定したところ、塩阻止率は99.6%、透過流束は1.1m3 /m2 ・日であった。続いて、実施例1と同様、60℃の純水に浸漬後、評価したところ、透過流束は0.7m3 /m2 ・日と低い値を示した。従って、操作圧力は15kgf/cm2 前後必要で、実施例と比べ、電気代等のランニングコストや、装置の耐圧性等イニシャルコストが高くつき、経済的でないことが確認できた。
【0048】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、40℃以上の溶液を複合逆浸透膜で処理するかまたは40℃以上の溶液で複合逆浸透膜を殺菌処理する方法であって、前記複合逆浸透膜が、ポリアミド系スキン層とこれを支持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸透膜であり、かつ前記ポリアミド系スキン層が2つ以上の反応性のアミノ基を有する多官能性アミン化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン化物から反応して得られた架橋ポリアミド系スキン層であり、ポリアミド系スキン層の平均面粗さが55nm以上であることにより、溶液を高温で処理したり、高温で加熱殺菌処理しても、高い透過水量で経済的に処理することができる。
Claims (6)
- 40℃以上の溶液を複合逆浸透膜で処理するかまたは40℃以上の溶液で複合逆浸透膜を殺菌処理する方法であって、前記複合逆浸透膜が、ポリアミド系スキン層とこれを支持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸透膜であり、かつ前記ポリアミド系スキン層が2つ以上の反応性のアミノ基を有する多官能性アミン化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン化物とを、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、ハロゲン化炭化水素、及び含硫黄化合物からなる群から選択される化合物(ただし、多価アルコールを除く)の存在下で界面重縮合反応して得られた架橋ポリアミド系スキン層であり、ポリアミド系スキン層の平均面粗さが55nm以上であることを特徴とする複合逆浸透膜による処理方法。
- 複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層の自乗平均面粗さが65nm以上である請求項1に記載の複合逆浸透膜による処理方法。
- 複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層の10点平均面粗さが300nm以上である請求項1に記載の複合逆浸透膜による処理方法。
- 複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層の最大高低差が400nm以上である請求項1に記載の複合逆浸透膜による処理方法。
- 複合逆浸透膜の性能が、操作圧力15kgf/cm2 、温度25℃にて塩化ナトリウム1500ppmを含有するpH6.5の水溶液で評価したときに、塩の阻止率が95%以上、透過水量が1.6m3 /m2 ・日以上である請求項1に記載の複合逆浸透膜による処理方法。
- 複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層が全芳香族架橋ポリアミドである請求項1に記載の複合逆浸透膜による処理方法。
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JPH1028843A JPH1028843A (ja) | 1998-02-03 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20180040962A (ko) * | 2016-10-13 | 2018-04-23 | 주식회사 엘지화학 | 역삼투막 제조용 조성물, 이를 이용한 역삼투막 제조방법, 역삼투막 및 수처리 모듈 |
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1996
- 1996-07-15 JP JP18471996A patent/JP3628113B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20180040962A (ko) * | 2016-10-13 | 2018-04-23 | 주식회사 엘지화학 | 역삼투막 제조용 조성물, 이를 이용한 역삼투막 제조방법, 역삼투막 및 수처리 모듈 |
KR102067861B1 (ko) | 2016-10-13 | 2020-01-17 | 주식회사 엘지화학 | 역삼투막 제조용 조성물, 이를 이용한 역삼투막 제조방법, 역삼투막 및 수처리 모듈 |
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