JP3784174B2 - ボールペン用キャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油性ボールペンまたは蒸発しにくい水性ボールペンの筆記先端を保護するボールペン用キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のボールペン用キャップは、不使用時に筆記先端を保護するために、ボールペン本体のペン先を包囲するべく設けられている。かかるボールペン用キャップは従来一部品からなり、キャップが被着されている場合には、ボールペン本体のペン先は、外気から遮断される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、気温の上昇等を原因としてボールペンの内圧が高くなると、ボールペン用キャップを取り外した際に、内外の圧力差から内部のインキがペン先から飛び出してしまう、所謂インキのポンピングが発生するという課題がある。
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、インキのポンピングを防止することができるボールペン用キャップを提供することをその目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明のボールペン用キャップは、少なくとも後端キャップ部材と、該後端キャップ部材と係合接続される先端キャップ部材とからなり、前記後端キャップ部材は、その側面に先端側が後端側よりも低くなった段差部が1周に亘り形成されて、前記先端キャップ部材の後端縁が該段差部に当接することにより接続部が構成され、後端キャップ部材の側面には、前記接続部の一部である段差部近傍において通気孔が形成され、前記先端キャップ部材は前記通気孔に対応する部分で後端キャップ部材と重複せずに通気孔の空気の流通を確保してキャップ内外の空気を流通可能とし、前記接続部は、軸線に沿って見て傾斜していることを特徴とする。
【0005】
通気孔を通じて通気されるために、温度の上昇があったとしても、内圧の上昇が防止される。そのため、ボールペン用キャップを取り外したときに、ボールペン本体からのインキのポンピングが発生することを防止することができる。
【0006】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載のものにおいて、先端キャップ部材には、後方へ向けて延びるクリップが一体に形成されており、前記通気孔がクリップの内側に配置されることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係るボールペン用キャップの実施の形態を表す断面図である。
ボールペン用キャップ10は、不使用時にボールペン本体20のペン先20aを保護するべく、ボールペン本体20の先端に被着されている。ボールペン本体20は、油性インキまたは蒸発しにくい水性インキが充填されている。
【0008】
ボールペン用キャップ10は、少なくとも後端キャップ部材12と、後端キャップ部材12と係合接続される先端キャップ部材14とから構成される。
後端キャップ部材12は、図2ないし図4に示したように、その先端が閉じた形状を成しており、その外側面に先端側が後端側よりも低くなった段差部12aが1周に亘り形成されている。段差部12aは、軸線方向に沿って見て前後に傾いており、その輪郭線は曲線状と直線状から構成される。段差部12aの軸線方向に沿って見て最も先端側になった部位と、軸線方向に沿って見て最も後端側になった部位において、それぞれ貫通孔12b、12cが形成されている。貫通孔12cには、図2に示したように、段差部12aの後側まで延びた通気孔12dが連設されている。また、後端キャップ部材12の先端部においても、その外周面に第2段差部12eが形成されており、さらに軸方向に伸びる1つまたは複数の溝12fが形成されている。また、後端キャップ部材12の内周面には、ボールペン本体20の先端に当接する軸方向に伸びる複数のリブ12gが形成されている。
【0009】
一方の先端キャップ部材14は、図5に示したように、その先端が閉じた形状を成しており、その内周面には前記後端キャップ部材12の第2段差部12eと当接する内部段差部14aが形成されている。先端キャップ部材14の後端縁14bは、前記段差部12aに適合するように同一輪郭を成しており、段差部12aに当接している。また、先端キャップ部材14の内周面には、後端キャップ部材12の貫通孔12b、12cに対応して、係合突起14c、14dが形成されており、係合突起14c、14dは貫通孔12b、12cにそれぞれ係止されている一方、後端キャップ部材12の通気孔12dに対応する部分では、先端キャップ部材14が後端キャップ部材12と重複していない。また、先端キャップ部材14の内周面には、後端キャップ部材12の前記溝12fに対応して、リブ14fが形成されている。
【0010】
また、先端キャップ部材14には、後方へ向けて延びるクリップ14eが一体に形成されており、前記通気孔12dがクリップ14eのちょうど内側に配置されるようになっている。
先端キャップ部材14は、後端キャップ部材12の先端を覆うようにして取り付けられて、その後端縁14bが段差部12aに当接し、また、その内部段差部14aが第2段差部12eに当接し、さらに、その係合突起14c、14dが貫通孔12b、12cに係止し、そのリブ14fが溝12fに嵌入し、さらに後端キャップ部材12の先端部が先端キャップ部材14の内部段差部14aより先端内部にはめ込まれることにより、後端キャップ部材12と係合接続されて、一体のキャップとなる。接続部Cは、先端キャップ部材14の後端縁14bと後端キャップ部材12の段差部12aにより形成される。そして、接続部C近傍において、段差部12aよりも後側へ延びる通気孔12dは、先端キャップ部材14に覆われずに、通気孔12dを通じてキャップ内外の空気の流通が確保されるようになっている。
【0011】
以上のように構成されるボールペン用キャップ10は、ボールペン本体20の不使用時にそのペン先20aを保護するべく、ボールペン本体20の先端に被着される。温度の上昇があったとしても、通気孔12dを通じて通気されているため、内圧の上昇が防止される。そのため、ボールペン用キャップ10を取り外したときに、インキのポンピングが発生することを防止することができる。
【0012】
また、通気孔12dは、クリップ14eの内側に配置されて隠れるために、見栄えが悪くなることはない。
仮に、ボールペン用キャップが一体部品であると、クリップとその内側に配置される通気孔とを成形によって同時に形成するのは困難を極めるが、ボールペン用キャップ10を後端キャップ部材12と先端キャップ部材14とから構成することで、通気孔12dとクリップ14eとを別々に成形することができ、簡単に構成することができる。
【0013】
さらには、後端キャップ部材12と先端キャップ部材14とで、それぞれ色や模様等のデザインを異なったものとすれば、デザイン的にも斬新なものとなり、美観を向上させることができる。後端キャップ部材12と先端キャップ部材14の接続部Cが、後端キャップ部材12の段差部12aと先端キャップ部材14の後端縁14bとによって構成され、単なる真円状ではなく、軸線に沿って見て傾斜し、曲線状と直線状とからなる輪郭線となっているために、デザイン的にも変化がついて優れたものとなる。さらには、後端キャップ部材12を先端キャップ部材14に取り付ける際に、接続部が軸線方向に沿って見て前後に傾いているため、作業者がその取付角度位置を間違えることがなく、通気孔12dが塞がれるといったミスが防げて、さらには、クリップ14eが通気孔12dとの取付角度位置がずれることを防ぐことができる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1記載の発明によれば、キャップに通気孔が形成されているために、インキのポンピングの発生を防止することができる。また、ボールペン用キャップを後端キャップ部材と先端キャップ部材とから構成することで、後端キャップ部材と先端キャップ部材とでデザイン的な変化をつけることができ、ボールペン用キャップ全体として美観を向上させることができる。
【0015】
また、後端キャップ部材の段差部に先端キャップ部材の後端縁を当接させることで、後端キャップ部材の位置決めを行うことができる。また、接続部が軸線方向に沿って見て傾斜しているため、言い換えれば、後端キャップ部材の段差部と先端キャップ部材の後端縁とが、軸線方向に沿って見てその輪郭が傾斜しているため、後端キャップ部材の段差部と先端キャップ部材の後端縁が整合しうる取付角度が一義的に決まり、取付作業時に、取付角度位置を間違えるというようなことはない。従って、通気孔が誤って塞がれるといったミスを防ぐことができる。
【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、通気孔がクリップの内側に配置されるために、通気孔が外方に露出されることなく、見栄えが悪くなることはない。仮に、ボールペン用キャップが一体部品であると、クリップとその内側に配置される通気孔とを成形によって同時に形成するのは困難を極めるが、ボールペン用キャップを後端キャップ部材と先端キャップ部材とから少なくとも構成することで、通気孔とクリップとを別々に成形することができ、簡単に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボールペン用キャップがボールペン本体に被着された状態を表す縦断面図である。
【図2】図1のボールペン用キャップの後端キャップ部材の平面図である。
【図3】図1のボールペン用キャップの後端キャップ部材の側面図である。
【図4】図1のボールペン用キャップの後端キャップ部材の縦断面図である。
【図5】図1のボールペン用キャップの先端キャップ部材の縦断面図である。
【符号の説明】
10 ボールペン用キャップ
12 後端キャップ部材
12a 段差部
12d 通気孔
14 先端キャップ部材
14b 後端縁
14e クリップ
C 接続部
Claims (2)
- 少なくとも後端キャップ部材と、該後端キャップ部材と係合接続される先端キャップ部材とからなり、
前記後端キャップ部材は、その側面に先端側が後端側よりも低くなった段差部が1周に亘り形成されて、前記先端キャップ部材の後端縁が該段差部に当接することにより接続部が構成され、後端キャップ部材の側面には、前記接続部の一部である段差部近傍において通気孔が形成され、
前記先端キャップ部材は前記通気孔に対応する部分で後端キャップ部材と重複せずに通気孔の空気の流通を確保してキャップ内外の空気を流通可能とし、
前記接続部は、軸線に沿って見て傾斜していることを特徴とするボールペン用キャップ。 - 先端キャップ部材には、後方へ向けて延びるクリップが一体に形成されており、前記通気孔がクリップの内側に配置されることを特徴とする請求項1記載のボールペン用キャップ。
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