JP3781957B2 - 車両の着座センサー配置構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は乗用車や商用車、バス等の車両において、シートに乗員が着座しているか否かを検出する着座センサーの配置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、シートの座部又は背もたれ部に着座センサーを備えて、シートに乗員が着座していることを着座センサーで検出し、シートベルトの着用を促す警告ランプを点灯するように構成されたものが多くある。シートの座部や背もたれ部は一般に、ウレタン等で構成されたパッドに、布やビニールレザー、皮革等の表皮を被せて構成されており、パッドの表面に備えられた溝部に表皮を引き込んで、パッドの内部における溝部の近傍に配置された固定部材に、溝部に引き込まれた表皮を固定具により固定して、パッドの表面の形状に表皮が沿うように構成されたものが多くある。
【0003】
前述のように構成されたシートでは、溝部がシートの座部(背もたれ部)のパッドの略中央に位置していることが多いので、例えば特開平10−329597号公報及び特開平9−315199号公報に開示されているように、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が溝部を跨いだり、溝部に入り込んだりするようにして、着座センサーをできるだけパッドの略中央に位置させながら、パッドの表面と表皮との間に配置するように構成されたものがある。
【0004】
シートの座部又は背もたれ部において、パッドの表面と表皮との間に着座センサーを配置した場合、例えば特開2000−38076号公報に開示されているように、パッドの表面からパッドの裏面に抜ける孔部を備えて、着座センサーから延出された配線を、孔部を通してパッドの裏面側に延出するように構成されたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に記載のように、パッドの表面と表皮との間に着座センサーを配置した場合、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が溝部を跨いだり、溝部に入り込んだりしていると、表皮が溝部に引き込まれるのと一緒に、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が、溝部の位置で急角度で折れ曲がるような状態になることがある。これにより、長期間の使用によって着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が、断線するおそれがある。
【0006】
従来の技術に記載のように、パッドの表面と表皮との間に着座センサーを配置した場合、着座センサーから延出された配線をパッドの裏面側に延出する為に、パッドの表面からパッドの裏面に抜ける孔部を備えると、孔部の位置にはパッドが存在しないので、シートに乗員が着座した際に乗員が臀部や背中に違和感を感じることがある。そして、シートに乗員が着座した際に掛かる負荷が長期間の使用により繰り返して掛かると、パッドにおける孔部の付近に亀裂等の発生するおそれがある。
【0007】
本発明は車両の着座センサー配置構造において、パッドの表面と表皮との間に着座センサーを配置した場合、長期間の使用によって着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が断線したりする状態を抑えて、着座センサーを備えたシートの耐久性を向上させることを目的としているのであり、シートに着座した乗員が感じる違和感を抑えながら、着座センサーから延出された配線をパッドの裏面側に延出する為のパッドにおける孔部の付近に、亀裂等が発生したりする状態を抑えて、着座センサーを備えたシートの耐久性を向上させることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
[I]
シートの座部又は背もたれ部におけるパッドにおいて、パッドに被せられた表皮をパッドの内部に引き込む為の溝部を、パッドの表面に備え、パッドの内部における溝部の近傍に配置された固定部材に、溝部に引き込まれた表皮を固定具により固定するように構成した場合、請求項1の特徴によると、溝部の縦壁部分よりも緩やかな傾斜部が溝部の底部とパッド部の表面とに亘って備えられている。
【0009】
これにより、請求項1の特徴によると、シートに乗員が着座していることを検出する着座センサーをパッドの表面と表皮との間に配置する際に、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が溝部を跨いだり、溝部に入り込んだりするように配置する場合、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線を傾斜部に配置すればよい。
このように着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線を傾斜部に配置すれば、前述のように表皮が溝部に引き込まれて固定部材に固定されても、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が急角度で折れ曲がるような状態にはならない。
【0010】
[II]
シートの座部又は背もたれ部におけるパッドにおいて、パッドに被せられた表皮をパッドの内部に引き込む為の溝部を、パッドの表面に備え、パッドの内部における溝部の近傍に配置された固定部材に、溝部に引き込まれた表皮を固定具により固定するように構成した場合、請求項2の特徴によると、シートに乗員が着座していることを検出する着座センサーを、パッドの表面と表皮との間に配置する際、着座センサーから延出された配線をパッドの裏面側に延出する為の孔部が溝部に接して連なるように備えられている。
このように孔部を溝部に接して連なるように配置することにより、孔部が溝部から離れた位置に配置されている構成に比べて、シートに乗員が着座した際に乗員にとって溝部と孔部との区別がつき難くなるのであり、乗員にとって孔部が既存の部分と言ってよい溝部の一部であるように感じられるようになる。
【0011】
請求項2の特徴によると、溝部に引き込まれた表皮を固定する固定部材が、パッドの内部における溝部の近傍に配置されて、固定部材が孔部の近傍に位置する状態となっており、固定部材によりパッドにおける孔部の付近が補強された状態となっている。これにより、シートに乗員が着座した際に掛かる負荷が長期間の使用により繰り返して掛かっても、パッドにおける孔部の付近に亀裂等の発生することが抑えられる。
【0012】
[III]
請求項3の特徴によると、請求項2の場合と同様に前項[II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
パッドの内部における溝部の近傍に配置された固定部材に、溝部に引き込まれた表皮を固定具により固定するように構成した場合、請求項3の特徴によると、固定具を取り付ける為の凹部が溝部及び孔部に連なるように形成されている。
【0013】
これにより、前項[II]に記載のように孔部が溝部の近傍に配置されていることによって、表皮における孔部の付近に皺が発生しても、溝部に引き込まれた表皮が固定具により固定部材に固定されることによって、固定具を取り付ける為の凹部の付近の表皮に皺が既に発生していることがあるので、表皮における孔部の付近に皺が発生しても、この皺が前述の既に発生している表皮の皺に埋もれるような状態となって目立たなくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は乗用車においてシート(運転席及び助手席)を示しており、シートは座部1、背もたれ部15及びヘッドレスト16等を備えて構成されている。図1,2,3に示すように、金属製の底板2にウレタン等のパッド3が固定され、パッド3の表面に布製(又はビニールレザーや皮革製等)の表皮4が被せられて、シートの座部1が構成されている。
【0015】
図2,3,4,5に示すように、シートの座部1の略中央において、左右方向(図2の紙面上下方向)に向く横長の溝部5が、パッド3の表面に形成されており、パッド3の内部における溝部5の直下の位置に、金属製の線材で溝部5の略全幅に亘る固定部材6が埋め込まれている。図2,4,8に示すように、パッド3の表面からパッド3の裏面に抜ける孔部7が、溝部5の左右中央部に連なるようにパッド3に形成されており、後述する固定具8を取り付ける為の凹部9が、孔部7及び溝部5の左右中央部に連なるようにパッド3に形成されている。
【0016】
図2,4,6に示すように、溝部5の右側部及び左側部に、固定具8を取り付ける為の凹部9がパッド3に形成されている。図2,4,7に示すように孔部7の右側及び左側において、溝部5の縦壁部分よりも緩やかな傾斜部10が溝部5の前側及び後側(図2の紙面左側及び右側)に連なるように形成されている。
【0017】
図2及び図4に、パッド3の表面と表皮4との間に配置される着座センサー11が示されている。平面視で丸型状の6個の感圧部11a、感圧部11aを互いに接続する接続部11b、右側及び左側の感圧部11aを接続する接続部11cを備えて、着座センサー11の全体が軟質の樹脂により薄い板状に一体的に形成されており、接続部11cから配線12が延出されている。
【0018】
図2,3,4に示すように、着座センサー11をパッド3の表面に配置する場合、着座センサー11の感圧部11aを溝部5の後側(図2の紙面右側)(シートの背もたれ部15側)に配置し、着座センサー11の接続部11cを傾斜部10に配置する。着座センサー11から延出された配線12を、孔部7を通してパッド3の裏面側に延出し、底板2に取り付けられたコネクタ13に接続する。コネクタ13から延出された配線14が、シートの座部1の外側に延出されて制御部(図示せず)に接続されている。
【0019】
次に図3,9,10,11に示すように表皮4をパッド3の表面に被せて、表皮4を溝部5に引き込む。図2,3,11に示すように、部分的に切り欠かれたリング状で金属製の固定具8が備えられており、凹部9において固定具8に固定部材6を入れるようにして固定具8を固定部材6に掛けながら、固定部8により表皮4を挟み込んで、表皮4を固定する。
【0020】
以上のようにシートの座部1において、着座センサー11をパッド3の表面と表皮4との間に配置する。これによって、シートに乗員が着座していると、着座センサー11の感圧部11aが乗員の臀部により押圧され、着座センサー11の感圧部11a(少なくとも一つ)からの信号が、着座センサー11の接続部11b,11cの内部の配線(図示せず)、着座センサー11から延出された配線12、コネクタ13及び配線14を介して制御部に伝達される。
【0021】
[発明の実施の別形態]
前述の[発明の実施の形態]において、図2,3,4に示す溝部5の前側(図2の紙面左側)の傾斜部10を廃止し、溝部5の後側(図2の紙面右側)の傾斜部10を残すように構成してもよい。このように構成した場合に、図2及び図4に示す着座センサー11の接続部11cを、溝部5の後側(図2の紙面右側)の傾斜部10に配置し、着座センサー11の接続部11cの残りの部分を溝部5に入れながら、着座センサー11から延出された配線12を孔部7に通すようにする。
この場合、着座センサー11の全てを溝部5の後側(図2の紙面右側)に配置し、着座センサー11から延出された配線12を、傾斜部10に配置して溝部5から孔部7に通すように構成してもよい。
【0022】
前述の[発明の実施の形態]において、図2及び図4に示す着座センサー11の接続部11bを傾斜部10に配置することにより、溝部5の前側及び後側(図2の紙面左側及び右側)に、着座センサー11の感圧部11aが配置されるように構成して、着座センサー11から延出された配線12を孔部7に通すように構成してもよい。
前述の[発明の実施の形態]に記載された構造、及び[発明の実施の別形態]に記載された構造は、シートの座部1ばかりではなく、シートの背もたれ部15に採用するように構成してもよい。
【0023】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、車両の着座センサー配置構造において、パッドの表面と表皮との間に着座センサーを配置した場合、表皮が引き込まれて固定される溝部の縦壁部分よりも緩やかな傾斜部を溝部の底部とパッド部の表面とに亘って備え、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線を傾斜部に配置することにより、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が急角度で折れ曲がるような状態を避けることができた。これにより、着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が溝部の位置で急角度で折れ曲がるような状態になることにより、長期間の使用によって着座センサーの部分や着座センサーから延出された配線が断線するおそれを少なくすることができて、着座センサーを備えたシートの耐久性を向上させることができた。
【0024】
請求項2の特徴によると、車両の着座センサー配置構造において、パッドの表面と表皮との間に着座センサーを配置した場合、表皮が引き込まれて固定される溝部に接して連なるように、着座センサーから延出された配線をパッドの裏面側に延出する孔部を備えることによって、シートに乗員が着座した際に乗員にとって溝部と孔部との区別がつき難くなり、乗員にとって孔部が既存の部分と言ってよい溝部の一部であるように感じられるようになるので、シートに着座した乗員が感じる違和感が少なくなって、シートの座り心地を向上させることができた。
【0025】
請求項2の特徴によると、溝部に引き込まれた表皮を固定する固定部材が、パッドの内部における溝部の近傍に配置されて、固定部材が孔部の近傍に位置する状態となっており、固定部材によりパッドにおける孔部の付近が補強された状態となっているので、シートに乗員が着座した際に掛かる負荷が長期間の使用により繰り返して掛かっても、パッドにおける孔部の付近に亀裂等の発生することが抑えられるようになって、着座センサーを備えたシートの耐久性を向上させることができた。
【0026】
請求項3の特徴によると、請求項2の場合と同様に前述の請求項2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項3の特徴によると、パッドの内部における溝部の近傍に配置された固定部材に、溝部に引き込まれた表皮を固定具により固定するように構成した場合、固定具を取り付ける為の凹部を溝部及び孔部に連なるように形成することによって、表皮における孔部の付近に皺が発生しても、この皺を目立たなくすることができるようになり、シートの品質感を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】シートの全体斜視図
【図2】シートの座部、着座センサー及び溝部の付近の平面図
【図3】シートの座部、着座センサー及び溝部の付近の縦断側面図
【図4】着座センサー及び溝部の付近の斜視図
【図5】図4におけるA−A方向から見た断面図
【図6】図4におけるB−B方向から見た断面図
【図7】図4におけるC−C方向から見た断面図
【図8】図4におけるD−D方向から見た断面図
【図9】パッドに表皮を被せた場合において図4におけるB−B方向から見た断面図
【図10】パッドに表皮を被せた場合において図4におけるC−C方向から見た断面図
【図11】パッドに表皮を被せた場合において図4におけるD−D方向から見た断面図
【符号の説明】
1 シートの座部
3 パッド
4 表皮
5 溝部
6 固定部材
7 孔部
8 固定具
9 凹部
10 傾斜部
11 着座センサー
11c 着座センサーの部分
12 着座センサーから延出された配線
15 シートの背もたれ部
Claims (3)
- シートの座部又は背もたれ部におけるパッドにおいて、前記パッドに被せられた表皮を前記パッドの内部に引き込む為の溝部を、前記パッドの表面に備え、前記パッドの内部における前記溝部の近傍に配置された固定部材に、前記溝部に引き込まれた表皮を固定具により固定するように構成し、
前記シートに乗員が着座していることを検出する着座センサーを、前記パッドの表面と表皮との間に配置すると共に、
前記溝部の縦壁部分よりも緩やかな傾斜部を前記溝部の底部とパッド部の表面とに亘って備えて、前記着座センサーの部分又は前記着座センサーから延出された配線を、前記傾斜部に配置してある車両の着座センサー配置構造。 - シートの座部又は背もたれ部におけるパッドにおいて、前記パッドに被せられた表皮を前記パッドの内部に引き込む為の溝部を、前記パッドの表面に備え、前記パッドの内部における前記溝部の近傍に配置された固定部材に、前記溝部に引き込まれた表皮を固定具により固定するように構成し、
前記シートに乗員が着座していることを検出する着座センサーを、前記パッドの表面と表皮との間に配置すると共に、
前記パッドの表面からパッドの裏面に抜ける孔部を前記溝部に接して連なるように備えて、前記着座センサーから延出された配線を、前記孔部を通して前記パッドの裏面側に延出してある車両の着座センサー配置構造。 - 前記固定具を取り付ける為の凹部を前記溝部及び孔部に連なるように形成してある請求項2に記載の車両の着座センサー配置構造。
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