JP3781922B2 - 多層プリント回路基板 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC、LSIなどの集積回路素子が搭載された多層プリント回路基板に係り、より詳細には、不要な放射ノイズを抑えるようにバイパスコンデンサを配置した多層プリント回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICやLSIなどの集積回路素子が搭載されたプリント回路基板を有する電子機器では、従来より、搭載されている集積回路素子の高速スイッチング動作に伴って流れる高周波電流が、集積回路素子、この集積回路素子を搭載したプリント回路基板、このプリント回路基板を搭載した筐体(金属フレーム)と伝搬し、それぞれに伝搬する途中で放射ノイズとして漏洩することが原因で、その電子機器自体もしくは他の電子機器の誤動作を引き起こす問題、すなわちEMI(Electromagnetic Interference)の問題があることが知られている。
【0003】
プリント回路基板からの放射ノイズの輻射経路は、大きく2つに分類すると、信号ライン系からの輻射とグランドを含めた電源ライン系からの輻射に分けられる。特に、高周波電流の発生源である集積回路素子においては、電源ライン系の高周波電源電流への対策として、この集積回路素子が搭載されたプリント回路基板の電源供給ラインに接続された集積回路素子の電源端子およびプリント回路基板のグランドラインに接続された集積回路素子のグランド端子の近傍に、バイパスコンデンサを並列に配置する方法がとられている。これによって、電源端子とグランド端子との間の電圧変動を抑えるとともに、高周波電源電流をバイパスするルートを作ってその広がりを抑えている。
【0004】
また、電源ラインおよびグランドラインを有するプリント回路基板の代わりに、全面が導電膜の層で形成された電源層およびグランド層を有する多層プリント回路基板を用いることで、電源端子とグランド端子との間の低インピーダンス化を図り、より効果的に放射ノイズを抑制する方法も取られている。
【0005】
しかしながら、近年の集積回路素子の動作周波数の高速化に伴い、多層プリント回路基板を用いて集積回路素子の電源端子およびグランド端子の近傍にバイパスコンデンサを配置しても、以下の理由により放射ノイズを十分に減少させることができない場合があるといった問題があった。
【0006】
すなわち、多層プリント回路基板の電源層およびグランド層の間のインピーダンス特性とバイパスコンデンサのインピーダンス特性とを高周波領域で比較した場合、バイパスコンデンサ自体の持つ寄生インダクタンスの影響で、バイパスコンデンサのインピーダンスが多層プリント回路基板の電源層とグランド層との間のインピーダンスよりも逆に大きくなってしまう。また、バイパスコンデンサで十分にバイパスできなかった高周波電源電流の一部が多層プリント回路基板全体に広がり、電源層とグランド層との層パターンがアンテナとなって、特定の周波数で放射ノイズを増加させてしまう。また、接続パターンを含めたバイパスコンデンサの静電容量および寄生インダクタンスと、多層プリント回路基板の電源層およびグランド層との間の静電容量および寄生インダクタンスと、集積回路素子の電源端子とグランド端子との間の内部容量および電源端子とグランド端子との間の寄生インダクタンスからなるLC回路が形成され、その回路の共振周波数でも放射ノイズを増加させてしまう。
【0007】
図11は、従来の多層プリント回路基板を示す一部拡大平面図、図12はその断面図である。この従来例の多層プリント回路基板100は4層構造であり、上から信号層101、グランド層102、電源層103、信号層104の順に、それぞれ絶縁層105を介して積層されている。集積回路素子としては水晶クロック発振器210を用い、多層プリント回路基板100の基板コーナ部に配置している。
【0008】
図12に示すように、水晶クロック発振器210はその電源端子213とグランド端子212とがそれぞれ内層の電源層103とグランド層102とに接続されている。ただし、信号出力端子211は信号パターンには接続されていない。また、バイパスコンデンサ300としては、チップ型セラミックコンデンサを用い、水晶クロック発振器210の近傍に配置している。そして、その両端を、それぞれ配線パターン301,302とスルーホール303,304とを介して、内装の電源層103とグランド層102とにそれぞれ接続している。
【0009】
ここで、従来例の多層プリント回路基板100に電源供給を行って動作させた場合、水晶クロック発振器210は図示しない金属シールドされたパッケージングが施されているので、水晶クロック発振器210のデバイス内部からの輻射は少ない。また、信号出力端子211が配線パターンに接続されていないので、信号ライン系からの輻射も少ない。よって、多層プリント回路基板100を動作させた場合の放射ノイズの発生源としては水晶クロック発振器210のスイッチング動作時に発生する電源ライン系の高周波電源電流、すなわち貫通電流が支配的になる。
【0010】
そこで、従来は水晶クロック発振器210の近傍に高周波電源電流をバイパスするルートを作りその広がりを抑えるために、バイパスコンデンサ300が水晶クロック発振器210の電源端子213とグランド端子212の近傍に配置されていた。
【0011】
図13は、このような多層プリント回路基板100において、水晶クロック発振器210を20MHzで発振させた場合の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示している。また、図14は、バイパスコンデンサ300を実装しない場合の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示している。ここで使用したバイパスコンデンサ300は、容量0.1μFのチップ型セラミックコンデンサである。
【0012】
図13および図14を、遠方電界強度のピーク値について比較すると、周波数480MHz付近での遠方電界強度のピーク値がバイパスコンデンサ300を挿入することで5dB低減されている。また、周波数80MHz付近での遠方電界強度のピーク値が、バイパスコンデンサ300を挿入することで、周波数が120MHz付近に移動して5dB高い値を示している。
【0013】
ここで、周波数480MHz付近のピーク周波数は、多層プリント回路基板100のベタ電源層とベタグランド層とで挟まれた平行平板にバイパスコンデンサ300が散在して配置された空洞共振器に関わる共振周波数(以下、第1共振ピーク周波数という)であり、特にバイパスコンデンサ300が挿入されない場合は、基板長辺の長さと基板誘電率とで決まる半波長共振周波数と一致する。
【0014】
また、周波数80MHz付近および周波数120MHz付近のピーク周波数は、集積回路素子である水晶クロック発振器210の電源端子およびグランド端子間の寄生インダクタンスおよび端子間内部等価容量と、多層プリント回路基板100の電源層およびグランド層間の分布静電容量および分布インダクタンスと、接続パターンを含めたバイパスコンデンサ300の寄生インダクタンスおよび静電容量とからなるLC回路の共振周波数(以下、第2共振ピーク周波数という)と一致する。
【0015】
図15は、図11と同様の多層プリント回路基板において、2個のバイパスコンデンサ300を水晶クロック発振器210の近傍に配置した構造を示しており、この場合の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を図16に示している。図16において、第1共振ピーク周波数は520MHzに、第2共振ピーク周波数は140MHzに現れている。
【0016】
図17は、図11と同様の多層プリント回路基板において、4個のバイパスコンデンサ300を水晶クロック発振器210の近傍に配置した構造を示しており、この場合の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を図18に示している。図18において、第1共振ピーク周波数は520MHzに、第2共振ピーク周波数は160MHzに現れている。
【0017】
図19は、図11と同様の多層プリント回路基板において、8個のバイパスコンデンサ300を水晶クロック発振器210の近傍に配置した構造を示しており、この場合の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を図20に示している。図20において、第1共振ピーク周波数は540MHzに、第2共振ピーク周波数は200MHzに現れている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
このように、バイパスコンデンサを集積回路素子の近傍に配置する従来手法を多層プリント回路基板に用いた場合、放射ノイズの強いピーク周波数が高域側に多少シフトするだけで、放射ノイズが十分低減されていない。また、放射ノイズのピーク周波数をより高域にシフトするために集積回路素子の近傍に配置するバイパスコンデンサ300の個数を増やしすぎると、集積回路素子の信号端子に接続する配線パターンを形成するスペースが少なくなり、全ての信号端子への配線パターンの接続が困難になる。また、バイパスコンデンサ部品の増加により製造コストが上昇するといった問題があった。
【0019】
本発明はこのような問題点を解決すべく創案されたものであって、その目的は、多層プリント回路基板の電源層およびグランド層に接続されるバイパスコンデンサの配置個数と配置位置と接続方法とで電源系に構成されるLC等価回路の共振周波数をコントロールすることで、電源系およびグランド系の放射ノイズのピーク周波数がEMI測定対象周波数の領域内に有しないようにコントロールし、多層プリント回路基板の電源層およびグランド層に回り込む集積回路素子の高周波電源電流が原因となる放射ノイズの発生を大幅に低減できる多層プリント回路基板を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の多層プリント回路基板は、電源層とグランド層と信号層とがそれぞれ絶縁層を介して積層され、表面層に各種集積回路素子が実装された多層プリント回路基板において、電源層とグランド層との間に挿入されるバイパスコンデンサが、電源層とグランド層とが互いに対向する領域を同一形状かつ同一面積で均等に分割した均等分割領域のそれぞれに配置されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の多層プリント回路基板は、均等分割領域の形状を正方形とし、バイパスコンデンサを均等分割領域内のほぼ中心に配置し、バイパスコンデンサの静電容量値を、電源層とグランド層とが対向する領域で形成される基板容量値より大きい値に設定し、かつ、バイパスコンデンサ自体に寄生するインダクタンスと、このバイパスコンデンサの両端を電源層およびグランド層のそれぞれに接続するスルーホールおよびヴィアホールを含めた接続パターンが形成するインダクタンスとを合わせた合成インダクタンスの値を全て同一に設定したことを特徴とする。これにより、設計者はバイパスコンデンサの個数で共振による電源系の放射ノイズのピーク周波数を容易にコントロールすることができる。
【0022】
また、本発明の多層プリント回路基板は、バイパスコンデンサの両端の接続パターンを、合成インダクタンスの値として小さなインダクタンス値が得られる形状に形成するとともに、バイパスコンデンサとして寄生インダクタンス成分の少ないチップ型バイパスコンデンサを用いることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の多層プリント回路基板は、電源層とグランド層とが対向する領域で形成される基板容量をC0 とし、バイパスコンデンサ自体に寄生するインダクタンスとバイパスコンデンサの両端を電源層とグランド層とに接続するスルーホールおよびヴィアホールを含めた接続パターンが形成するインダクタンスとを合わせた合成インダクタンスをLb とするとき、均等分割領域の分割数Nが次式(3)
√N>2×π×√(Lb ×C0 )×109 ・・・(3)
を満足することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の多層プリント回路基板は、電源層とグランド層とが対向する領域で形成される基板容量をC0 とし、バイパスコンデンサ自体に寄生するインダクタンスとバイパスコンデンサの両端を電源層およびグランド層のそれぞれに接続するスルーホールおよびヴィアホールを含めた接続パターンが形成するインダクタンスとを合わせた合成インダクタンスをLb とし、かつ各種集積回路素子のなかで最も高速のクロック周波数で動作する集積回路素子の電源端子とグランド端子との間に流れる貫通電流の通電時間をtW とするとき、均等分割領域の分割数Nが次式(4)
√N>4×√(Lb ×C0 )/tW ・・・(4)
を満足することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の多層プリント回路基板の要部の一実施の形態を示す底面図(バイパスコンデンサを実装する面側を見た図)、図2は同平面図(集積回路素子を実装する面側を見た図)、図3は同断面図である。
【0027】
本実施の形態の多層プリント回路基板(以下、多層基板と略記する)10も、図11に示す従来例の多層プリント回路基板100と同様に4層構造であって、上から信号層11、グランド層12、電源層13、信号層14の順に、それぞれ絶縁層15を介して積層されている。
【0028】
また、多層基板10に実装されるICやLSI等の集積回路素子20は、同一パッケージ内に複数のグランド端子22と電源端子23とを有し、それぞれ直下のグランド層12と電源層13とに、それぞれスルーホール24,24を介して接続されている。
【0029】
また、バイパスコンデンサ30はチップ型セラミックコンデンサを用いており、その両端が、配線パターン31,32およびスルーホール33,34をそれぞれ介して、グランド層12と電源層13とに接続されている。このバイパスコンデンサ30は、多層基板10の電源層13とグランド層12とが対向する領域を均等分割した各分割領域のほぼ中心にそれぞれ配置されている。
【0030】
次に、均等分割数の決定手順について説明する。
多層基板10の長辺方向の長さをXa 、短辺方向の長さをXb 、電源層13とグランド層12との間の絶縁層15の厚みをd、誘電率をεとすると、基板容量C0 は次式(5)で表される値になる。
【0031】
C0 =ε×Xa ×Xb /d ・・・(5)
また、均等分割数、つまりバイパスコンデンサ30の挿入個数をN個とし、個々のバイパスコンデンサ30の静電容量をCb とし、バイパスコンデンサ30自体が有する寄生インダクタンスと配線パターン31,32が有するインダクタンスとスルーホール33,34が有するインダクタンスを全て直列接続した場合の合成インダクタンスをLb とし、かつ、N個全てのバイパスコンデンサ30に対してLb の値を同一にすると、このときのLC等価回路は図4に示すようになる。
【0032】
ここで、基板容量C0 は、実際には分布定数回路であり、多層基板10の電源層13とグランド層12とが対向する領域を正方形で均等分割したとき、それぞれのバイパスコンデンサ30に対して、均等分割基板容量C0 /Nが割り当てられるので、このときのLC等価回路は図5に示すようになる。
【0033】
図5に示すLC等価回路における並列共振周波数fr は、Cb がC0 に比べて十分大きいとき、次式(6)で表される。
【0034】
fr =1/(2×π×√(Lb ×C0 /N) ・・・(6)
この並列共振周波数fr は、電源系およびグランド系の放射ノイズのピーク周波数と一致するので、多層基板10の寸法、誘電率等の物理定数が決まると必然的に基板容量C0 が決まり、合成インダクタンス値Lb と均等分割配置されたバイパスコンデンサ30の総数Nとで、多層基板10の電源系およびグランド系から発生する放射ノイズのピーク周波数をコントロールすることが可能となる。
【0035】
この点について、図8および図9を用いて説明する。
図8は、バイパスコンデンサ30を配置した多層基板の底面図(バイパスコンデンサを実装する面側を見た図)である。多層基板10の基板外径寸法は、長辺方向の長さXa が144mm、短辺方向の長さXb が108mm、全体の厚みが1.6mmの4層構造である。また、断面構造は図3と同様であって、電源層13とグランド層12との間の絶縁層15の厚みdは0.8mmで、比誘電率4.7の絶縁材料を用いている。また、集積回路素子20として、20MHzの水晶クロック発振器を用い、図8に示すように、基板コーナ部に配置している。
【0036】
また、多層基板10は、一辺が36mmの正方形に均等に12分割され、それぞれの中心に1個ずつバイパスコンデンサ30が配置されている。個々のバイパスコンデンサ30の挿入方法は図3と同様である。また、バイパスコンデンサ30はチップ型のセラミックコンデンサで、その容量は0.1μFのものを使用し、電源層およびグランド層への接続パターンは個々のバイパスコンデンサ30について全て同形状としている。また、上記の合成インダクタンスの値Lb は、測定により2.7×10-9(H)であった。
【0037】
基板容量の値C0 は、上記の式(5)を用いて800×10-12 (F)と算出される。
【0038】
図9は、このような構成の多層基板10における電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示している。同図より、バイパスコンデンサ30を12個均等に配置した場合は、クロック周波数20MHzの逓倍波のスペクトラムのうち380MHz付近に放射ノイズのピークが現れている。これは、N=12、Lb =2.7×10-9(H)、C0 =800×10-12 (F)を式(6)に代入して得られるfr =375MHzに良く一致している。
【0039】
EMIの規制対象周波数領域が30MHz〜1GHzであるから、上記の共振周波数fr を1GHz以上に設定すれば、均等分割配置されたバイパスコンデンサ30の総数Nは次式(7)を満足するものを選定すればよい。
【0040】
√N>2×π×√(Lb ×C0 )×109 ・・・(7)
ここで、上記(7)式を満足するバイパスコンデンサ30の総数Nを極力少なくするには、合成インダクタンスの値Lb を小さくすることが好ましく、図3における配線パターン31,32の線長をできるだけ短く、かつ線幅をできるだけ広くする配線パターンとし、バイパスコンデンサ30としては寄生インダクタンス成分の少ないチップ型バイパスコンデンサを用いている。また、チップ型バイパスコンデンサ30の電源層13およびグランド層12への接続方法としては、図10に示すインナーヴィアホール(IVH)35,36を用いても良い。
【0041】
次に、波源である集積回路素子のなかで、最も高速に動作する集積回路素子のスイッチング動作時に、電源端子からグランド端子に貫通して流れる貫通電流の高周波成分の周波数特性は、貫通電流の流れる時間幅をtw としたとき、2/(π・tw )なる周波数においては、減衰率が−20dB/decから−40dB/decに変化する点で十分に高周波成分が減衰しているので、上記の共振周波数fr を2/(π・tw )なる周波数以上に設定すれば、均等分割配置されたバイパスコンデンサ30の総数Nは次式(8)を満足するものを選定してもよい。
【0042】
√N>4×√(Lb ×C0 )/tW ・・・(8)
これにより、少なくともEMI規制対象周波数領域である30MHz〜1GHzの範囲内で、集積回路素子の高周波電源電流が多層基板10の電源層13およびグランド層12に回り込んでも、共振による放射ノイズのピークが発生せず、多層基板10からの電源系およびグランド系に関する放射ノイズを十分に低減できる。
【0043】
なお、上記実施の形態では、多層基板10を4層構造としているが、層の数や層の構成はこの4層構造に限定されるものではない。
【0044】
図6は、本発明の多層プリント回路基板の要部の他の実施の形態を示す底面図(バイパスコンデンサを実装する面側を見た図)である。
【0045】
本実施の形態の多層基板10の基板外径寸法は、長辺方向の長さXa が144mm、短辺方向の長さXb が108mm、全体の厚みが1.6mmの4層構造である。また、断面構造は図3と同様であって、電源層13とグランド層12との間の絶縁層15の厚みdは0.8mmで、比誘電率4.7の絶縁材料を用いている。また、集積回路素子20として、20MHzの水晶クロック発振器を用い、図6に示すように、基板コーナ部に配置している。
【0046】
また、多層基板10は、一辺が18mmの正方形に均等に48分割され、それぞれの中心に1個ずつバイパスコンデンサ30が配置されている。個々のバイパスコンデンサ30の挿入方法は図3と同様である。また、バイパスコンデンサ30はチップ型のセラミックコンデンサで、その容量は0.1μFのものを使用し、電源層およびグランド層への接続パターンは個々のバイパスコンデンサ30について全て同形状としている。また、上記の合成インダクタンスの値Lb は、測定により2.7×10-9(H)であった。
【0047】
基板容量の値C0 は、上記の式(5)を用いて800×10-12 (F)と算出される。また、水晶クロック発振器(集積回路素子)20の貫通電流の流れる時間幅tw は、測定値より0.9nsecであった。
【0048】
以上の数値を上記の式(8)に代入すると、N>42.7が得られる。
図7は、このような構成の多層基板10における電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示している。同図より、バイパスコンデンサ30を48個均等に配置した場合は、EMIの規制対象周波数領域である30MHz〜1GHzの全域にわたって放射ノイズのピークを持たず、十分に抑制されている。
【0049】
【発明の効果】
本発明の多層プリント回路基板によれば、多層プリント回路基板の電源層およびグランド層に接続されるバイパスコンデンサを均等配置することにより、共振による電源系の放射ノイズのピーク周波数を少ない個数でより高域にシフトさせることができる。また、本発明の多層プリント回路基板によれば、均等分割の形状を正方形とし、その中心にバイパスコンデンサを配置し、バイパスコンデンサの容量値を基板容量より十分大きく設定し、バイパスコンデンサの電源層およびグランド層への接続パターンを同一にすることで、設計者はバイパスコンデンサの個数で共振による電源系の放射ノイズのピーク周波数を容易にコントロールすることができる。
【0050】
また、本発明の多層プリント回路基板によれば、EMI規制対象の上限周波数もしくは高周波電源電流源である集積回路素子の貫通電流の周波数特性を考慮したカットオフ周波数を選定し、その周波数以上に電源系の放射ノイズのピーク周波数をシフトさせることが、最小限のバイパスコンデンサの個数で可能となり、EMI規制対象の周波数領域内でピーク値を持たず、放射ノイズの発生を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層プリント回路基板の要部の一実施の形態を示す底面図である。
【図2】本発明の多層プリント回路基板の要部の一実施の形態を示す平面図である。
【図3】本発明の多層プリント回路基板の要部の一実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明の多層プリント回路基板の一実施の形態のLC等価回路である。
【図5】本発明の多層プリント回路基板の一実施の形態のLC等価回路である。
【図6】本発明の多層プリント回路基板の要部の他の実施の形態を示す底面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の多層プリント回路基板の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示すグラフである。
【図8】本発明の原理を説明する多層プリント回路基板の平面図である。
【図9】本発明の原理を説明する多層プリント回路基板の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示すグラフである。
【図10】本発明の多層プリント回路基板の要部の他の実施の形態を示す断面図である。
【図11】従来の多層プリント回路基板を示す一部拡大平面図である。
【図12】従来の多層プリント回路基板を示す一部拡大断面図である。
【図13】従来の多層プリント回路基板の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示すグラフである。
【図14】従来の多層プリント回路基板の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示すグラフである。
【図15】従来の多層プリント回路基板の一部拡大平面図である。
【図16】図15に示す多層プリント回路基板の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示すグラフである。
【図17】従来の多層プリント回路基板の一部拡大平面図である。
【図18】図17に示す多層プリント回路基板の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示すグラフである。
【図19】従来の多層プリント回路基板の一部拡大平面図である。
【図20】図19に示す多層プリント回路基板の電波暗室での遠方電界強度の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 多層基板(多層プリント回路基板)
11,14 信号層
12 グランド層
13 電源層
15 絶縁層
20 集積回路素子(水晶クロック発振器)
22 グランド端子
23 電源端子
30 バイパスコンデンサ
31,32 配線パターン
24,33,34 スルーホール

Claims (5)

  1. 電源層とグランド層と信号層とがそれぞれ絶縁層を介して積層され、表面層に各種集積回路素子が実装された多層プリント回路基板において、
    前記電源層と前記グランド層との間に挿入されるバイパスコンデンサが、前記電源層と前記グランド層とが互いに対向する領域を同一形状かつ同一面積で均等に分割した均等分割領域のそれぞれに配置されており、かつ、前記バイパスコンデンサの静電容量値が、前記電源層と前記グランド層とが対向する領域で形成される基板容量値より大きい値に設定されていることを特徴とする多層プリント回路基板。
  2. 前記バイパスコンデンサ自体に寄生するインダクタンスと、このバイパスコンデンサの両端を前記電源層および前記グランド層のそれぞれに接続するスルーホールおよびヴィアホールを含めた接続パターンが形成するインダクタンスとを合わせた合成インダクタンスの値が全て同一に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント回路基板。
  3. 前記バイパスコンデンサの両端の接続パターンを、前記合成インダクタンスの値として小さなインダクタンス値が得られる形状に形成するとともに、前記バイパスコンデンサとして寄生インダクタンス成分の少ないチップ型バイパスコンデンサを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の多層プリント回路基板。
  4. 前記電源層と前記グランド層とが対向する領域で形成される基板容量をC 0 とし、バイパスコンデンサ自体に寄生するインダクタンスとバイパスコンデンサの両端を前記電源層および前記グランド層のそれぞれに接続するスルーホールおよびヴィアホールを含めた接続パターンが形成するインダクタンスとを合わせた合成インダクタンスをL b とするとき、前記均等分割領域の分割数Nが次式(1)
    √N>2×π×√(L b ×C 0 )×10 9 ・・・(1)
    を満足することを特徴とする請求項1、2または3に記載の多層プリント回路基板。
  5. 前記電源層と前記グランド層とが対向する領域で形成される基板容量をC 0 とし、バイパスコンデンサ自体に寄生するインダクタンスとバイパスコンデンサの両端を前記電源層および前記グランド層のそれぞれに接続するスルーホールおよびヴィアホールを含めた接続パターンが形成するインダクタンスとを合わせた合成インダクタンスをL b とし、かつ前記各種集積回路素子のなかで最も高速のクロック周波数で動作する集積回路素子の電源とグランド端子との間に流れる貫通電流の通電時間をt W とするとき、前記均等分割領域の分割数Nが次式(2)
    √N>4×√(L b ×C 0 )/tW・・・(2)
    を満足することを特徴とする請求項1、2または3に記載の多層プリント回路基板。
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