JP3780483B2 - 加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱コイル、電熱ヒーター等の加熱手段を備えた加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気コンロ型の加熱調理器は、ガスコンロに比べ安全であり、火を使わないことから燃焼による空気の汚染が少ない等の様々な利点を有しており、その需要が伸びてきている。従来この種の加熱調理器としては例えば特開平11−8051号公報に開示された加熱調理器がある。
【0003】
図23は従来の加熱調理器(特開平11−8051号公報)の斜視図である。図23において、101は加熱調理器本体、102a、102bは誘導加熱コイル,102cは電熱ヒーターである。104は加熱調理器本体101の電源を入り切りする電源スイッチ103や、後述の加熱制御手段に信号を与える入力スイッチ等を含む操作部である。105は操作部104の操作信号を報知する報知部、106は被加熱物が載置される、天面部に設けられたトッププレート、107は電熱ヒーター、ここではシーズヒーターを有するロースター魚焼き部にて構成される。111は被加熱物である鍋である。
【0004】
また、図24は従来の他の加熱調理器の内部構成を示した分解斜視図である。図24において、108は加熱制御部、109a,109bはトッププレート106の下面側の複数箇所に位置して最大出力が互いに異なるものを含んだ誘導加熱コイル、110a,110bは温度レベル検知部である。
【0005】
図23及び図24の従来の加熱調理器においては、電源スイッチ103をオンさせ、操作部104の入力スイッチを操作すると、誘導加熱コイル102a、102b(109a,109b)を駆動するべく制御信号が加熱制御手段108に送られ、加熱制御手段108は誘導加熱コイル102a、102b(109a,109b)に電力を供給して鍋111を加熱する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の加熱調理器では、左右の誘導加熱コイル102a,102bの最大出力が異なっており(例えば左が2500W、右が2000W)、各家庭のシステムキッチンの設置位置により、加熱調理器が左右どちらの壁面に接して使用されるかが特定できない。通常、加熱調理器は台所の壁面近傍に設置される場合が大半である。壁に近い側で強い火力出力を使用した場合には、壁面への調理物の飛び散りが気になって使用を躊躇したり、或いは、使用者の利き手側で強い火力出力を使用したい場合には、使用者の立ち位置が壁との距離が近くなってしまい、調理しにくくなってしまう、という問題点があった。
【0007】
また、従来の加熱調理器では、最大加熱出力より低い出力で制御するIH温度制御調理モード(天ぷら等の調理モード)がどちらか一方の誘導加熱コイルでのみ動作可能とする仕様がある。この場合に、IH温度制御調理モードと同時に、最大加熱出力で炒め物調理等を行いたい場合がある。しかし、そのような場合に、他方の誘導加熱コイルの加熱出力が低く設定されている場合には、そのような調理ができず、上記のような仕様は使用者側からみて不便を感じる要因となっている。
【0008】
また、従来の加熱調理器の報知部は、調理器正面の特定部分にまとめて配置されたキー入力操作部の近傍に、液晶表示部やLED表示部を備えている。表示を見ながらキー入力を行い、各種設定を行うことのみを考慮すれば、その配置でも問題はないが、複数の加熱加熱コイルは加熱調理器本体の天面部に配置され、実際の加熱調理中は被加熱物である鍋、あるいはその中にある調理物に注目しながら調理を行うことがほとんどである。さらに、一度に左、右、中央に鍋を置いて調理出来る為に、それぞれの調理に対してタイマー設定をした場合など、タイマー表示と対象調理物との関係が分かりづらかった。
【0009】
また、従来の加熱調理器のキー入力部には、ダイヤル操作のエンコーダーや、キー押し操作による火力の設定方法がある。これらの設定方法によると、火力の大小調節に関して、調理中の加熱出力の大小を判断する方法が表示に頼るところが多く、補助的にブザー音との組み合わせを用いた場合でも、それを判断する為には馴れが必要であった。
【0010】
また、従来の加熱調理器のIH温度制御調理モードは、従来例では揚げ物調理モードの場合を示すが、予熱調理中の油温上昇経過がわかりやすいように、予熱中表示部を設けたものがある。従来この種の加熱調理器としては例えば特開平10−69971号公報に開示された加熱調理器がある。
【0011】
上記の予熱表示部は、油の入った鍋等が設定した温度に達するまでを、点灯あるいは点滅させて使用者に知らせる構成となっている。しかし、実際の油温度が設定温度に到達するまでのおよその時間を知ることが出来ず、揚げ物調理の前準備等にとりかかるタイミングが計りづらかった。そこで、現在の鍋温度を表示する現在温度表示部を設けたものもあるが、液晶表示の文字数が増え、液晶その物の大きさを大きくしてしまい、また、加熱中の負荷近傍での表示構成にはなっていなかった為に、複数の温度制御調理モードを実施する場合には、予熱表示と実際の調理物との関係が分かりづらかった。
【0012】
本発明の目的は、誘導加熱コイルの設置制約による使いづらさを強いることなくした誘導加熱調理器を提供することにある。
本発明の他の目的は、調理中の状態をより分かり易く確実に使用者に知らせることを可能にした加熱調理器を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、操作性に優れた加熱調理器を提供することにある。
本発明の他の目的は、設定温度に到達するまでのおよその時間を知ることができ、また、予熱表示と実際の調理物との関係を使用者に分かり易くした加熱調理器を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る加熱調理器は、複数の誘導加熱手段及び電熱ヒーターと、前記複数の誘導加熱手段及び電熱ヒーターを制御する制御手段とを備え、前記複数の誘導加熱手段の加熱設定は、離散的に定められた設定電力に基づいた火力基準により設定可能であり、前記制御手段は、前記複数の誘導加熱手段の加熱設定可能な最大加熱出力が、加熱調理器の最大定格消費電力値から前記電熱ヒーターの消費電力値を減じた範囲内で収まるように、前記誘導加熱手段の加熱設定可能な最大加熱出力を可変制御し、且つ前記複数の誘導加熱手段に対して優先順位を設定し、前記電熱ヒーターが駆動されると、優先順位の低い誘導加熱手段の加熱設定可能な最大加熱出力を減少させるとともに、優先順位の高い誘導加熱手段若しくは前記電熱ヒーターの停止又は優先順位の高い誘導加熱手段の加熱設定が減少すると、それに応じて前記優先順位の低い誘導加熱手段の減少した加熱設定可能な最大加熱出力を増加させるものとし、前記加熱設定可能な最大加熱出力の増加に際しては、設定可能な最大電力値が、前記離散的に定められた設定電力に基づいた火力基準の内、設定可能な最大電力値以下の値で且つ最も近い値の設定電力に基づいた火力基準を加熱設定可能な最大加熱出力の値として設定するものである。
【0020】
本発明に係る加熱調理器は、操作信号を報知するための報知部と、報知部を制御する報知制御部とを備え、報知制御部は、制御手段が誘導加熱手段に設定される固定最大加熱出力を切り換えると、その旨を報知部に報知させるものである。
【0021】
本発明に係る加熱調理器において、報知部は、各誘導加熱手段又は電熱ヒーターに近接して又は対称位置に設けられた表示部を備え、表示部は、各誘導加熱手段又は電熱ヒータに対応したタイマー表示機能及び設定温度表示機能を有するものである。
【0022】
本発明に係る加熱調理器において、表示部は、加熱調理器本体の被加熱物を載置する天面側に透明窓を介して配置されたものである。
【0025】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物の温度を検出する温度検出手段を備え、前記表示部はそれぞれが複数色表示可能な複数のセグメントからなり、報知制御手段は、所定の温度制御調理モードが設定されると、表示部のセグメントに対応して、所定温度から調理モードの設定温度までの範囲と、少なくとも前記温度検出手段からの温度とを表示部に識別表示させるものである。
【0026】
本発明に係る加熱調理器は、少なくとも2以上の誘導加熱手段に温度制御調理モードを設定可能にしたものである。
【0027】
本発明に係る加熱調理器において、制御手段は、被加熱物である鍋の種類を判別し、その種類に応じて誘導加熱手段の最大加熱出力に規制をかけるものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る加熱調理器の回路構成を示すブロック図である。図1において、11は電源スイッチ、入力スイッチ等を含む操作部である。12は中央制御部であり、マイクロコンピュータ等から構成されており、操作部11からの操作信号に基づいて各種の演算処理を行って制御信号を生成する。この中央制御部12は、特に報知制御部13を含んでいる。14は報知部であり、操作信号や調理状態等を点灯表示したり、ブザー音を発生する。
【0029】
15,16は誘導加熱コイルの駆動・制御回路部であり、加熱制御部17,18及びインバータ回部19,20をそれぞれ含んでいる。加熱制御部17,18は、マイクロコンピュータ等から構成されており、中央制御部12からの制御信号に基づいてインバータ回部19,20を駆動するための制御信号を生成する。インバータ回部19,20には、被加熱物の温度を検出するための感温素子19a,20aや、インバータを構成するためのスイッチング素子19b,20bを含んでいる。21,22は誘導加熱コイルからなる加熱手段(誘導加熱手段)であり、駆動・制御回路部15,16により高周波電流が供給されて磁界を発生し、被加熱物を誘導加熱する。23は冷却装置であり、中央制御部12により制御され、冷却ファンを回転して冷却風を生成する。
【0030】
24は電熱ヒーターの駆動・制御回路部であり、加熱制御部25、BCR(スイッチ)26及び切換回路27を含んでいる。加熱制御部25はマイクロコンピュータ等から構成されており、中央制御部12を介して操作信号を入力して各種の演算処理を行って制御信号を生成する。BCR(スイッチ)26は駆動対象となっている電熱ヒーターの駆動電流を加熱制御部25からの制御信号に基づいて調整する。切換回路27は電熱ヒーターを択一的に駆動するためのものであり、加熱制御部25からの制御信号に基づいて接続された電熱ヒーターを選択する。28,29は電熱ヒーターからなる加熱手段であり、加熱手段28はラジェントヒーター、加熱手段29はロースターに用いられるシーズヒーターから構成される。
【0031】
図2は加熱調理器の外観を示す斜視図である。図2において、30は加熱調理器の本体であり、図1の各部が内蔵されている。31はトッププレートであり、このトッププレート31の下部に図1の加熱手段21,22,28が配置されている。32はトッププレート31の周辺に形成されているフレーム(金属)である。33は吸気口であり、34はロースター魚焼き部用の排気口であり、これらはトッププレート31の奥の方に形成されている。34はスリット(排気口)であり、トッププレート31の手前側の下部に形成されている。35はロースター魚焼き部であり、本体30の正面に引き出し自在に設けられており、このロースター魚焼き部35に対応して本体30の内部には図1の加熱手段29が配置されている。36はガード(フィルタ)であり、本体30に着脱自在に取り付けられる。
【0032】
図3は図1の操作部11の詳細を示した説明図である。図3において、40は電源スイッチ、41は加熱手段21の火力を設定するためのエンコーダー、42は加熱手段22の火力を設定するためのエンコーダー、43は加熱手段28の火力を設定するためのエンコーダーである。44,45は湯沸かしコードキー、46,47は天ぷらコードキーであり、これらは加熱手段21,22にそれぞれ対応して設けられている。即ち、左右の加熱手段21,22において、それぞれIH温度制御調理モードを設定することが可能になっている。48は時間設定キーであり、49は左側に配置されている加熱手段21について時間設定キー48を有効にするためのキー(左)、50は左右方向の中央部に配置された加熱手段28について時間設定キー48を有効にするためのキー(中央)、51は右側に配置されている加熱手段22について時間設定キー48を有効にするためのキー(右)である。なお、図3を含めて図において、IHと記載されているのは誘導加熱を意味し、RHと記載されているのはラジェントヒーターを意味しているものとする。
【0033】
図4は図2のトッププレート31の平面図である。図4において、55は左負荷用LCD、56は中央負荷用LCD、57は右負荷用LCDであり、これらの表示部は加熱手段21,28,22の近傍又は対称位置に設けられ、各加熱手段21,28,22に対応して残り時間、調理温度等が表示される。61〜63は加熱手段21,28,22の近傍に設けられ、各加熱手段21,28,22に対応した設定火力が点灯表示されるLCD(表示部)である。このLCD61〜63は、火力LED及び負荷通電LEDとがセットになったLEDであり、火力(温度)、通電の有無等が表示される。なお、トッププレート31は、その下部に設けられた上記のLCD55〜57、61〜63の発光状態が外から見ることができるように、該当部分は透明部材(例えば硝子部材)から構成されており、少なくとも透明窓を形成しているものとする。
【0034】
図5は図4の上記のLCD55〜57,LED61〜63の詳細を示した説明図である。LED61は8個の左火力LED(赤)65と8個の左負荷通電LED(緑)66とがセットになっており、8段階表示が可能になっている。LED62は4個の中央火力LED(赤)67と4個の左負荷通電LED(緑)68とがセットになっており、4段階表示が可能になっている。また、LED63は8個の左火力LED(赤)69と8個の左負荷通電LED(緑)70とがセットになっており、8段階表示が可能になっている。
【0035】
次に、上述の加熱調理器の動作を説明する。図6は実施の形態1に係る加熱調理器の電力制御に関するフローチャートである。
(A)中央制御部12は、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が動作中であるかどうかを判断し(S11)、動作中であるという判断した場合には、次の処理を行う(S12,S13)。まず、合計消費電力−電熱ヒーター加熱出力=誘導加熱火力(IH火力)として、誘導加熱火力に割り当て可能な火力(電力)を求める(S12)。ここで、例えば合計消費電力=6000W、電熱ヒーター加熱出力=1200Wとすると、誘導加熱火力=4800Wとなる。
【0036】
次に、後で設定される加熱手段21又は22の最大設定火力(最大加熱出力)を求める。誘導加熱火力−動作中の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力≧後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力とし、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力の範囲内で火力を設定する(S13)。ここで、例えば、加熱手段(誘導加熱コイル)21の火力が2500Wに設定されていて、次に、加熱手段(誘導加熱コイル)22の火力を設定した場合には、2300Wまでの設定が可能になる。このため、操作部11のエンコーダー42を操作して火力を設定した場合には2300Wまでは設定されるが、例えば2500Wを設定しようとしても、2300Wまでしか設定されないことになる。
【0037】
(B)中央制御部12は、操作部11のエンコーダー42の操作量に従って火力を設定するが、そのとき、上記の制限の範囲内で火力を設定して加熱制御部18に制御信号を出力する。加熱制御部18はその制御信号を入力すると、その制御信号に基づいてインバータ回路20を制御して、加熱手段(誘導加熱コイル)22の通電量を制御する。また、加熱制御部18は、感温素子20aからの信号に基づいて、感温素子20aの監視する温度により、被加熱物の異常温度上昇を検知して、加熱出力を低減あるいは停止させることを行なう。また、加熱制御部18は、感温素子20aからの信号を例えば8段階の何れに属するかを判断して温度レベル信号を生成し、中央制御部12に出力する。報知制御部13は、温度レベル信号を報知部14に出力して8段階の火力に応じた火力レベルをLED63に表示させる。また、IH温度制御調理モードが設定されている場合には感温素子20aの出力を監視して火力を制御する。このような動作は後述の実施の形態においても同様にしてなされる。
【0038】
(C)中央制御部12は、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が動作中ではないという判断した場合には(S11)、合計消費電力−動作中の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力≧後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力として、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力を設定する(S14)。ここで、例えば、加熱手段(誘導加熱コイル)21の火力が2500Wに設定されていて、次に、加熱手段(誘導加熱コイル)22の火力を設定した場合には、3500Wまでの設定が可能になる。このため、操作部11のエンコーダー42を操作して火力を設定した場合には3500Wまでの設定が許容されることになる。
【0039】
(D)中央制御部12は、次に、操作部11の操作信号に基づいて、先に動作していた加熱手段(誘導加熱コイル)の火力設定が小さくなる方向で設定変更があったかどうか判断する(S15)。ここでは、加熱手段(誘導加熱コイル)21が先に動作していたものとして、その火力設定が小さくなったものとすると、先動作中の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力−変更後の加熱手段(誘導加熱コイル)=後動作の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力追加可能分とし、火力追加可能分を求める(S16)。
【0040】
(E)そして、中央制御部12は、後動作の加熱手段(誘導加熱コイル)22の火力設定が大きくなる方向で設定変更があったかどうか判断する(S17)。設定変更があった場合には、後動作の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力+後動作の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力追加可能分、の範囲内で後動作の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力設定を可能とする。例えば、加熱手段(誘導加熱コイル)21が2500Wから2000W(500W減)に火力設定が変更されると、加熱手段(誘導加熱コイル)22は、例えば最大火力が2300Wにであった場合には、2800W(500W増)まで増加可能になる。
【0041】
実施の形態1においては、以上のようにして、加熱手段21,22,28(29)の合計消費電力が6000Wの範囲内で、加熱手段21,22が許容される消費電力の範囲で火力設定をすることが可能になっている。したがって、加熱手段21,22は、その許容範囲に対して0〜100%の範囲で広範囲に火力設定をすることが可能になっている。このため、加熱調理に際にしては、高火力で短時間に調理することができるとともに、誘導加熱の特徴である熱変換効率の高い高火力、業務用のバーナーのような高火力による調理の仕上がりが実現できる。また、左右どちらの加熱手段(誘導加熱コイル)21,22でも最大加熱出力での動作を可能とすることで、限られた消費電力の範囲で有効に且つ使い勝手の良い加熱調理器を実現することができる。更に、加熱手段(誘導加熱コイル)21,22を個々に単独で使用した場合には、業務用の誘導加熱コイルと同等の加熱出力を得ることが出来るので、家庭用の加熱調理器としてだけではなく、業務用機器としてのニーズにも対応できるようになる。
【0042】
なお、実施の形態1においては、加熱手段21,22の火力設定の範囲が広くなっているので、中央制御部12は、冷却装置22の冷却能力を火力設定(加熱出力)の値に応じて変更し、冷却能力を上昇させて加熱出力の上昇に伴う制御回路電子部品の発熱を抑えるようにしている。また、実施の形態1において、報知制御手段13は、LCD(液晶)55,56,57の表示用の照明(バックライト)を加熱手段21,28,22の動作に連動して点灯させている。この場合、まず、動作待機状態の加熱手段21,28,22に対して通電LED66,68,70を点灯させ、これと同期して、LCD55,56,57もその照明(バックライト)を点灯させることにより、今どの加熱手段21,28,22が動作中(待機中を含めて)なのかを明確に報知することができるようなっている。
【0043】
実施の形態2.
図7は実施の形態2に係る加熱調理器の電力制御に関するフローチャートである。図7のフローチャートおいては、図6のフローチャートに対して処理(S19)及び(S20)が挿入されている。なお、図7において、図6と同一符号の処理は同一内容を示しており、また、符号「a」が付加されている処理(S13a)、(S14a)及び(S18a)についてはその一部が変更されている。
【0044】
中央制御部12は、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が動作中であるかどうかを判断し(S11)、動作中であるという判断した場合には、まず、鍋材質判断処理を行って被加熱物の鍋の材質を求めてその材質に対応した最大火力の上限規制値(AW)を求める(S19)。次に、鍋大きさ判断処理を行って鍋の大きさを求めてその大きさに対応した最大火力の上限規制値(BW)を求める(S20)。
【0045】
図8は上記の鍋材質判断処理(S19)の詳細を示したフローチャートである。中央制御部12は、鍋の材質が磁性材か非磁性材の何れであるかを判断する(S31)。この判断処理は、予め鍋の材質(磁性材又は非磁性材)に応じて設定された複数の発振周波数のうち何れかの周波数を発振させて、インバータ回路の入力電流を増大させて、そのときの入力電圧及び入力電流の変位と共振コンデンサ(図示せず)の電位変位及び共振コンデンサの電流変位とに基づいて鍋の材質(磁性材又は非磁性材)を判断する。中央制御部12は、上記にて鍋が磁性材であるという判断をしたときには、最大火力の上限を設定しないこととする(S32)。また、中央制御部12は、上記にて鍋が磁性材ではなく非磁性材であるという判断をしたときには、最大火力の上限規制を行うための電力「A」Wを設定する(S33)。
【0046】
図9は鍋の大きさ判断処理(S20)の詳細を示したフローチャートである。中央制御部12は、鍋の大きさが基準の大きさより大きいかどうかを判断する(S41)。この判断処理は、予め設定された発振周波数の周波数を発振させて、インバータの入力電流を増大させ、そのときの入力電圧と入力電流と共振コンデンサの電位と電流に基づいて鍋の大きさを判別する(例えば径が20cm以上であるかどうか)。中央制御部12は、上記にて鍋の大きさが基準の大きさ以上であるという判断をしたときには、最大火力の上限を設定しないこととする(S42)。また、中央制御部12は、上記にて鍋が基準の大きさよりも小さいという判断をしたときには、最大火力の上限規制を行うための電力「B」Wを設定する(S43)。
【0047】
なお、上記の鍋の種類の判断処理(S19,S20)は、いずれも、中央制御部12が加熱制御部17,18に制御信号を出力してインバータ回路19,20を制御して行うものである。
【0048】
ここで、図7に戻って同図の説明を継続する。図7のフローチャートの処理(S13a)、(S14a)及び(S18a)において、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の最大火力を設定する際には、上記の規制電力が求められている場合には、上記の規制電力(AW又はBWの何れか小さい方の電力)により規制を行う。例えば上記の規制電力(AW又はBW)よりも大きな火力が求められたとしても、最大火力は上記の規制電力(AW又はBW)により制限を受けることになる。
【0049】
実施の形態2においては、以上のように、様々な種類の鍋が使用されることを想定し、中央制御部12が鍋の種類(材質、大きさ)を判断する処理を行い、鍋の種類により加熱手段(誘導加熱コイル)21,22の火力設定(最大加熱出力)に制限を設けて、その制限内で火力設定を可能にしている。このため、非磁性鍋等で加熱手段(誘導加熱コイル)21,22に流れる共振電流が増大して発熱するのを予め防止し、機器が破損するのを防ぐことができる。
【0050】
なお、上記の処理(S19,S20)は、後述の実施の形態においては省略しているが、同様に適用させるものである。
【0051】
実施の形態3.
次の表1は、図1の操作部11における加熱手段21,22の火力設定の設定可能な電力の内容の一例を示した表である。加熱手段21,22の火力設定は、1(弱)〜8(強)の8段階に設定されており、離散的に火力が設定される。上述のフローチャートにおける動作中の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力設定及び後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力設定は、何れも表1の何れかの火力基準によりなされる。そして、その火力設定が例えば図6の上記の処理(S13)、(S14)及び(S18)により制約を受ける場合においても、表1に示される電力が採用されることになる(例えば2200Wの場合には2000Wが採用される)。なお、この表1は後述の実施の形態においても同様に適用される。
【0052】
【表1】
【0053】
実施の形態4.
図10は実施の形態4に係る加熱調理器の電力制御に関するフローチャートであり、IH温度制御調理モードの処理が行われている。図10のフローチャートおいては、図6のフローチャートに対して、IH温度制御調理モードの処理に関連する処理(S21)、(S22)、(S23)及び(S24)が挿入されている。なお、図10において、図6と同一符号の処理は同一内容を示しており、この例では最大定格電力を4800Wに設定している。
【0054】
中央制御部12は、まず、操作部11の操作信号に基づいてIH温度制御調理モードになっているかどうかを判断する(S21)。IH温度制御調理モードになっていない場合には図6の場合と同様に処理(S11)以降の処理を行う。なお、最大定格電力が4800Wに設定している点が図6と異なるが基本的に同じ処理がなされる。湯沸かしモードキー44,45又は天ぷらモードキー46,47が操作されてIH温度制御調理モードになっている場合には、IH温度制御調理モードの電力制御を行う(S22)。
【0055】
図11はIH温度制御調理モードの電力制御の処理を示したフローチャートである。ここで、IH温度制御調理モードの設定火力として、天ぷら温度制御は2000W、湯沸かし温度制御は2500Wに設定されるものとする。
【0056】
(A)中央制御部12は、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が動作中であるかどうかを判断し(S81)、動作中であるという判断した場合には、次の処理を行う(S82,S83)。まず、
合計消費電力−電熱ヒーター加熱出力≧誘導加熱火力(IH火力)
として、誘導加熱火力に割り当て可能な火力(最大電力)を求め、その範囲内で火力が設定される(S82)。ここで、例えば合計消費電力=4800W、ヒーター加熱出力=1200Wとすると、誘導加熱火力=3600Wとなる。
【0057】
次に、後で設定される加熱手段21又は22の最大設定火力を求める。
誘導加熱火力−温度制御対象の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力≧後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力とし、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力の範囲内で火力を設定する(S83)。ここで、例えば、加熱手段(誘導加熱コイル)21が天ぷらの調理モード(2000W)に設定されている場合には、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)22の火力は1500Wまで設定可能になる(表1の設定可能電力表より)。また、加熱手段(誘導加熱コイル)21が湯沸かしの調理モード(2500W)に設定されている場合には、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)22の火力は1000Wまで設定可能になる(表1の設定可能電力表より)。
【0058】
(B)中央制御部12は、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が動作中でないという判断した場合には、次の処理を行う(S84)。まず、
合計消費電力−動作中の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力≧後設定の誘導加熱火力、として、後設定の誘導加熱火力に割り当て可能な火力(最大電力)を求め、その範囲内で火力が設定される(S84)。ここで、例えば、加熱手段(誘導加熱コイル)21が天ぷらの調理モード(2000W)に設定されている場合には、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)22の火力は2500Wまで設定可能になる(表1の設定可能電力表より)。また、加熱手段(誘導加熱コイル)21が湯沸かしの調理モード(2500W)に設定されている場合には、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)22の火力は2000Wまで設定可能になる(表1の設定可能電力表より)。
【0059】
(C)中央制御部12は、2つの加熱手段(誘導加熱コイル)21,22が動作中に、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29の動作割り込みがあるかどうかを判断し(S85)、動作割り込みがあるという判断した場合には、次の処理を行う(S86)。中央制御部12は、例えば右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値Cを変更する処理を行う。
【0060】
例えば右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22がIH温度制御調理モードになっている場合、例えば湯沸かし設定されている場合には、C≦1500Wに設定する。つまり、この状態においては、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21には2000Wが割り当てられており(S84)、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29に1200Wが割り当てられることから、4800W−2000W−1200W=1600Wであり、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22には1500Wが割り当てられる。同様にして、加熱手段(誘導加熱コイル)22に天ぷらの調理モードが設定されている場合には、C≦1000Wに設定する。
【0061】
また、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22が通常の火力制御の動作中の場合に(加熱手段(誘導加熱コイル)21がIH温度制御調理モードになっている場合)、例えばIH温度制御調理モードが天ぷらの調理モードに設定されている場合には、C≦1500Wに設定し、湯沸かしの調理モードに設定されている場合にはC≦1000Wに設定する。
【0062】
ここで、再び図10に戻って同図の説明を継続する。中央制御部12は、上述のように、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が動作中ではないという判断した場合には(S11)、合計消費電力−動作中の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力≧後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力として、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力を設定する(S14)が、この後、2つの加熱手段21,22が動作中に、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29の動作割り込みがあるかどうかを判断し(S23)、動作割り込みがあるという判断した場合には、例えば右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値Cを変更する処理を行う(S24)。この処理は上記の処理(S86)と基本的には同じであり、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29の電力の割り込み分を、例えば右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値Cを減少させることにより吸収するようにしている。中央制御部12は、上記の処理(S24)の後は、処理(S15)以降の処理を図6のフローチャートと同様にして行う。
【0063】
また、本実施の形態4においては、エンコーダー41,42を操作して火力設定を行う時、設定できる火力の上限になった時点で、報知制御部13は、そのことを検出し、制限が働いていることを報知部14のブザーを駆動して使用者にその旨を知らせる。
【0064】
なお、実施の形態4においては、以上のように、加熱手段21,22,28(29)が4800Wの範囲内で制御されるので、左右温度制御モード、右天ぷら(2000W)+左天ぷら(2000W)、右湯沸し(2500W)+左天ぷら(2000W)等の任意の組合せが可能になっている。したがって、例えば天ぷらモードキー46、47を一緒に操作して1つの負荷として制御動作させても良い。即ち、加熱手段(誘導加熱コイル)21,22を1つの加熱源として機能させることもできる。
【0065】
また、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29の動作割り込みがあった場合には、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値Cを抑制し、また、加熱手段(誘導加熱コイル)21、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が停止又は加熱手段(誘導加熱コイル)21の火力設定の減少があると、その上限値Cは上昇することになる。例えば加熱手段(誘導加熱コイル)21の火力設定が小さくなると、それに応じて加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値Cも大きくなる(S17,S18)。
【0066】
なお、上記の説明においては、2つの加熱手段(誘導加熱コイル)21,22が動作中に、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29の動作割り込みがあった場合には、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値Cを抑制する例について説明したが(S24,S86)、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値を抑制するようにしてもよい。
【0067】
なお、3負荷同時通電の場合には、何れかの通電が停止又は加熱手段(誘導加熱コイル)21の火力設定の減少があった場合には加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値Cも大きくなる例について説明したが、その通電中の負荷の火力出力を変更しない(或いは元に戻さない)ようにし、総火力4800W以内であれば、エンコーダー41,42の操作により火力設定を大きく設定できるようにしてもよい。
【0068】
本実施の形態4においては、以上のように、火力設定が制約を受けるような状態においては、優先順位を定めて、複数の加熱手段(誘導加熱コイル)21,22の内、予め設定された一方の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力の上限値を抑制するようにしたので、他方の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力は抑制されることがなく、加熱調理をする際に高火力で短時間で出来上がる。また、誘導加熱の特徴である熱変換効率の高い高火力、業務用のバーナーのような高火力による調理の仕上がりが実現でき、左右どちらの誘導加熱源でも最大加熱出力での動作を可能とすることで、限られた消費電力の範囲で有効に且つ使い勝手の良い加熱調理器を実現することができる。
【0069】
実施の形態5.
図12は操作部11の他の構成例を示した図である。ここでは、加熱手段21,及び22に対応するエンコーダー41,42の近傍に、加熱手段(誘導加熱コイル)21,22の何れかに固定最大加熱出力を設定するための選択スイッチ70,71が設けられている。例えば選択スイッチ70が操作されると、中央制御部12は加熱手段(誘導加熱コイル)21の最大火力(電力)を例えば2500Wに固定設定する。また、選択スイッチ71が操作されると、中央制御部12は加熱手段(誘導加熱コイル)22の最大火力(電力)を例えば2500Wに固定設定する。このようにして、ユーザーの利用が利用しやすい形で左右の何れか一方の加熱手段21又は22から最大加熱出力が出るようにする。
【0070】
ところで、加熱調理器の複数の加熱手段(誘導加熱コイル)21,22を、使用者の使用環境、すなわち台所の右壁面側に設置する際に、右の壁が近い側で強い加熱出力を使用すると、調理物の飛び散り等で壁等を汚してしまう恐れがあるため、壁から離れた側で強い加熱出力を使用したい場合がある。左が壁面側になった場合も同様である。このような場合には、選択スイッチ70,71を操作して、何れかの一方の加熱手段(誘導加熱コイル)21,22から最大出力が出るようにすることにより、使用者の使用環境に対応した設定が可能になっている。
【0071】
なお、選択スイッチの設置箇所は図12に限定されるものではなく、本体30の内部に設けておいて、購入した使用者の台所に設置する際に、その選択スイッチを操作するようにしてもよい。また、操作部11の既設の操作部11のスイッチ類の組み合わせや、電源の投入後に最初に操作したエンコーダーに基づいて、最大出力が出る加熱手段(誘導加熱コイル)21,22を選択するようにしてもよい。これらの場合には、中央制御部12がその操作信号を取り込んで判断し、固定最大加熱出力が出る加熱手段(誘導加熱コイル)21,22を選択して設定する。
【0072】
実施の形態5においては、上述のように、左右どちらの加熱手段(誘導加熱コイル)でも最大加熱出力での動作を可能とすることで、限られた消費電力の範囲で有効に且つ使い勝手の良い加熱調理器を実現することができる。更に、使用者の環境に合わせて複数の加熱手段(誘導加熱コイル)の最大火力を選択できるようにしたことで、様々な使用条件に容易に対応でき、使用者独自の設定が可能となる為、より使いやすい加熱調理器を実現できるようになる。
【0073】
実施の形態6.
次の表2は上記の実施の形態5において右側に位置する加熱手段(誘導加熱コイル)22を最大加熱出力可能な熱源として選択した場合の出力の組み合わせを示した表である。使用頻度の高い右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22を高火力動作可能に設定し、この高火力を常に有効にする為に、3負荷同時動作時の火力調整を、最大火力の小さい側の左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21で行うようにしており、その詳細を実施の形態7として説明する。
【0074】
【表2】
【0075】
実施の形態7.
図13は実施の形態7に係る加熱調理器の電力制御に関するフローチャートである。図13のフローチャートおいては、図10のフローチャートに対して処理の一部が変更されており、変更した処理には符号aが付記されている。具体的には、処理(S13a)、(S14a)及び(S24a)が図13の対応する処理(S13)、(S14)及び(S24)に変更が加えられている。処理(S13a)及び(S14a)においては、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22が3000W以内、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21が2000W以内になるように火力を設定している。
【0076】
また、中央制御部12は、2つの加熱手段(誘導加熱コイル)21,22が動作中に、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29の動作割り込みがあるかどうかを判断したとき(S23)、動作割り込みがあるという判断した場合には、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21の上限値Cを変更する処理を行う(S24a)。ここで、例えば左側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の上限値が2000Wに設定されている場合には、2000W−1200W=800W→C=750Wに設定される。中央制御部12は、上記の処理(S24a)の後は処理(S15)以降の処理を図6(又は図10)のフローチャートと同様にして行う。
【0077】
図14は図13のIH温度制御調理モードの電力制御の処理(S22)の詳細を示したフローチャートである。ここでは、天ぷらの調理モードの温度制御は2000W、湯沸かしの調理モードの温度制御は3000Wに設定されるものとする。なお、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の最大火力は3000Wに設定されているものとし、湯沸かしの調理モードの制御を行う場合には右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22が用いられる。
【0078】
図14のフローチャートおいては、図11のフローチャートに対して処理の一部が変更されており、変更した処理には符号aが付記されている。具体的には、処理(S83a)、(S84a)及び(S86a)が図11の対応する処理(S83)、(S84)及び(S86)に変更が加えられている。
【0079】
加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が動作中の場合(S81,S82)には、上記のように、天ぷらの調理モードの温度制御は2000W、湯沸かしの調理モードの制御は3000Wに設定されているので、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力は、天ぷら時には1500W以下(表2の設定可能電力より)、湯沸かし時には500W以下(表2の設定可能電力より)に設定可能となる(S83a)。
【0080】
また、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29が動作中でない場合(S81)には、上記のように、天ぷら温度制御は2000W、湯沸かし制御は3000Wに設定されているので、後設定の加熱手段(誘導加熱コイル)の火力設定は、天ぷら時には2000W以下(表2の設定可能電力より)、湯沸かし時には1500W以下(表2の設定可能電力より)に設定可能となる(S84a)。また、2つの加熱手段21,22が動作中に、加熱手段(ラジェントヒーター)28又は加熱手段(ロースター)29の動作割り込みがあると(S85)、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21の上限値Cを変更する処理を行う(S86a)。
【0081】
例えば左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21がIH温度制御調理モードになっている場合、例えば天ぷら又は湯沸かしの何れの場合においても、C≦500Wに設定する。また、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21が通常の火力動作をしている場合には、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21の上限値Cを、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22が天ぷらの温度制御をしている場合には、C≦1500W、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22が湯沸かしの温度制御をしている場合にはC≦500Wに設定する。
【0082】
なお、上記においては、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21の上限値を調整する例について説明したが、左右の加熱手段(誘導加熱コイル)21,22の役割を反転させてもよい。
【0083】
実施の形態7においては、以上のようにして、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21の最大火力を抑制することにより、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22が最大火力が高く維持できるようにしたので、加熱調理をする際に高火力で短時間で出来上がると共に、誘導加熱の特徴である熱変換効率の高い高火力、業務用のバーナーのような高火力による調理の仕上がりが実現できる。
【0084】
実施の形態8.
図15は実施の形態8に係る表示報知部の詳細を示した説明図である。表示報知部においては、左負荷用LCD55及び右負荷用LCD57の近傍にそれぞれ最大火力動作表示LED72,73を設けたものである。報知制御部13は、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21又は右側の加熱手段(誘導加熱コイル)22の何れかに最大火力が設定されると、最大火力動作表示LED72又は73を点灯して、左右の何れが最大火力に設定されたかを使用者に知らせる。
【0085】
なお、この最大火力動作の表示については、既設のLCD55,57、LED61〜63を利用して表示させるようにしてもよい。その場合の表示は、点滅、文字、数字、絵表示等の何れでもよい。
【0086】
実施の形態9.
図16は実施の形態9に係る表示報知部の詳細を示した説明図である。報知部14においては、左負荷用LCD55及び右負荷用LCD57に最大火力負荷を表示させるようにしている。図示の例においては、左側の加熱手段(誘導加熱コイル)21に最大火力負荷2500Wが設定された場合であり、左負荷用LCD55には2500Wを示す「250」という数値が表示される。
【0087】
実施の形態10.
図17(A)(B)(C)は実施の形態10に係る報知部14の詳細を示した説明図である。ここでは、例えば天ぷらモードキーが押されたときの報知制御部13及び報知部14の動作について説明する。
【0088】
▲1▼図17(A)の状態の後、加熱手段(誘導加熱コイル)21が動作待機状態になって、通電LED1〜8の点灯(図18(B))の後、天ぷらモードキー46が押された場合には、通電LED1,2,7,8を消灯(火力LED1,2,7,8も消灯)させ、通電LED4〜6を点灯のまま、火力+通電LED3を同時に1秒間隔のオン−オフで点滅させる(図17(C))。LCD55は「天ぷら」「180」を点灯させるとともに、ブザーを鳴らす。中央制御部12は例えば1秒後に加熱手段(誘導加熱コイル)21の加熱制御部17に火力出力を送信し温度制御に移行する。天ぷらモードキーによる温度制御におけるデフォルト設定温度は180℃、指令火力は2000W(火力7)とする。
【0089】
▲2▼天ぷら温度の上がり具合を4段階のレベル表示で使用者に現在の油温度目安を知らせる。温度表示に火力LEDを兼用せず液晶内に表示させ、更に天ぷらモードであることをより明確にしながら加熱経過をわかりやすく表示することを目的としている。温度が設定温度に達する時点となるまでの表示パターンは次の図18に記載の通りとする。
【0090】
図18は温度が設定温度に達する時点となるまでの表示パターンを示した説明図である。
(A)レベル0で火力・通電LED3を同時に点滅させる。
(B)加熱制御部17から温度レベルが送られ、レベル1の時点で表示を切り替える。火力・通電LED3は同時に点灯する。通電LED4は火力・通電LED4として同時に点滅させる(1秒間隔のオン−オフ)。
(C)加熱制御部17から温度レベルが送られ、レベル2の時点で表示を切り替える。火力・通電LED4を同時に点灯させる。通電LED5は火力・通電LED5として同時に点滅させる(1秒間隔のオン−オフ)。
【0091】
(D)加熱制御部17から温度レベルが送られ、レベル3の時点で表示を切り替える。火力・通電LED5を同時に点灯させる。通電LED6は火力・通電LED6として同時に点滅させる(1秒間隔のオン−オフ)。
(E)加熱制御部17から温度レベルが送られ、レベル4の時点で表示を切り替える。設定温度範囲内データを受けて点灯し、温度が目標温度に達したことを報知する。このとき、火力・通電LED6を同時に点灯し、ブザーを鳴らす(設定温度範囲に入った最初の1回のみ)。
(F)天ぷら調理終了で通電LED1〜8を点灯させる。天ぷらキー押し又は切り忘れ防止タイマーによる終了。(高温注意信号有り・許可状態)
(G)エンコーダーのノブ押し込みで終了した場合。(高温注意信号有り・不許可状態)
【0092】
ところで、本実施の形態10においては、天ぷら温度の上がり具合を4段階でレベル表示する為、加熱制御部17からの検出温度データを元に、次の表3のレベルに達した時点で表示を切り替える。但し、レベル1→4の上昇方向のみの変化とし、温度データが前レベル値に下がった場合でも、現レベル表示を維持するものとする。また、表4に示されるように、設定温度によらず一律に扱うことによって油温度目安をわかりやすくすることもできる。
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
実施の形態10においては、上述のように、予熱の段階で設定温度到達するまでの間、LED61,63にその経過が判断できるように表示色又はその表示数を変化させるようにしたので、例えば油の入った鍋等が設定した温度に達するまでのまでのおよその時間を知ることができ、揚げ物調理の前準備等にとりかかるタイミングを計り易くなっている。また、LED61,63が加熱中の負荷近傍に設けられているので、複数のIH温度制御調理モードの実施の場合であっても、予熱表示と実際の調理物との関係が分かり易いものとなっている。
【0096】
実施の形態11.
図19は実施の形態11に係る加熱調理器の斜視図であり、図20は図19の操作部11の詳細を示した正面図である。この実施の形態においては、加熱手段21,22,28の火力又は調理加減を設定するための操作手段を、スライドレバーに75〜77により構成したものである。図示の例においては、3個のスライドレバー75〜77を縦方向に配置している。このようにスライドレバー75〜77により火力設定することができるようにしたので、操作量が把握し易いものとなっている。
【0097】
実施の形態12.
図21は実施の形態12に係る加熱調理器の操作部11の詳細を示した正面図である。この実施の形態においては、加熱手段21,22,28の火力又は調理加減を設定するための操作手段をスライドレバー75〜77により構成しているが、ここでは、3個のスライドレバー75〜77を横方向に並べて配置している。このようにスライドレバー75〜77は加熱負荷に対象位置に設けられているので操作がよりわかりやすくできる。
【0098】
実施の形態13.
図22は実施の形態13に係る加熱調理器の回路構成図である。図1に示されたものとの対比においては、BCR(スイッチ素子)26,26aを加熱手段28,29にそれぞれ対応して設けている。加熱制御部25は、中央制御部12かからの指令に従って、BCR(スイッチ素子)26,26aを択一的(排他的)に選択し、選択されたBCR(スイッチ素子)26又は26aを制御することにより、加熱手段28又は29による火力を制御する。
【0099】
実施の形態14.
なお、上記の実施の形態においては誘導加熱手段が2個の場合にはついて説明したが、これは3以上の複数であってもよい。また、中央制御部12、加熱制御部15,16,25をそれぞれ別のマイクロコンピュータ等によって構成した例について説明したが、それらの一部又は全部を纏めてマイクロコンピュータによって構成するようにしてもよい。
【0101】
【発明の効果】
本発明に係る加熱調理器によれば、複数の誘導加熱手段の最大加熱出力が、加熱調理器の所定の消費電力値から電熱ヒーターの消費電力値を減じた範囲内で収まるように、誘導加熱手段を可変制御するようにしたので、各誘導加熱手段の加熱出力を上記の範囲内で任意の設定することが可能になっており、誘導加熱コイルの設置制約による使いづらさがなくなり、また、高火力による調理が可能になっている。また、複数の誘導加熱手段に対して予め優先順位を設定し、電熱ヒーターが駆動されると、優先順位の低い誘導加熱手段の加熱出力を減少させるようにしたので、優先順位の高い誘導加熱手段の加熱出力を高く維持することができる。
【0106】
本発明に係る加熱調理器によれば、誘導加熱手段に設定される固定最大加熱出力を切り換えると、その旨を報知部に報知させるようにしたので、どの誘導加熱手段に固定最大加熱出力が設定されるかを簡単に把握することができる。
【0107】
本発明に係る加熱調理器によれば、各誘導加熱手段又は電熱ヒーターに近接して又は対称位置に設けられ表示部を備え、表示部は各誘導加熱手段又は電熱ヒータに対応したタイマー表示機能及び温度表示機能を設けたので、調理対象物である被加熱物の近傍でタイマー及び温度が確認することができ、見易いものとなっており、調理の状態を確実に把握することができる。
【0108】
本発明に係る加熱調理器によれば、表示部は、加熱調理器本体の被加熱物を載置する天面側に透明窓を介して配置されたので、天面側の透明窓を介してタイマー及び温度を見ることができる。
【0111】
本発明に係る加熱調理器によれば、表示部はそれぞれが複数色表示可能な複数のセグメントからなり、報知制御手段は、所定の温度制御調理モードが設定されると、表示部のセグメントに対応して、所定温度から調理モードの設定温度までの範囲と、少なくとも温度検出手段からの温度とを記表示部に識別表示させるようにしたので、調理モードの設定温度までの温度の推移を把握することができる。即ち、実際の温度が設定温度に到達するまでのおよその時間を知ることができる。また、予熱表示と実際の調理物との関係が使用者に分かり易いものとなっている。
【0112】
本発明に係る加熱調理器によれば、少なくとも2以上の誘導加熱手段に温度制御調理モードを設定可能にしたものである。
【0113】
本発明に係る加熱調理器によれば、被加熱物である鍋の種類を判別し、その種類に応じて誘導加熱手段の最大加熱出力に規制をかけるようにしたので、例えば非磁性鍋等で誘導加熱手段に流れる共振電流が増大して発熱するのを予め防止し、機器が破損するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る加熱調理器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の加熱調理器の外観を示す斜視図である。
【図3】 図1の操作部11の詳細を示した説明図である。
【図4】 図2のトッププレートの平面図である。
【図5】 図4の上記の表示部(LCD)の詳細を示した説明図である。
【図6】 実施の形態1に係る加熱調理器の電力制御に関するフローチャートである。
【図7】 実施の形態2に係る加熱調理器の電力制御に関するフローチャートである。
【図8】 図7のIH鍋材質判断処理の詳細を示したフローチャートである。
【図9】 図7のIH鍋大きさ判断処理の詳細を示したフローチャートである。
【図10】 実施の形態3に係る加熱調理器の電力制御に関するフローチャートである。
【図11】 IH温度制御調理モードの電力制御の処理を示したフローチャートである。
【図12】 実施の形態3に係る加熱調理器の操作部の他の構成例を示した図である。
【図13】 実施の形態6に係る加熱調理器の電力制御に関するフローチャートである。
【図14】 図13のIH温度制御調理モードの電力制御に関するフローチャートである。
【図15】 実施の形態8に係る表示報知部の詳細を示した説明図である。
【図16】 実施の形態9に係る表示報知部の詳細を示した説明図である。
【図17】 実施の形態10に係る報知部の詳細を示した説明図である。
【図18】 温度が設定温度に達する時点となるまでの表示パターンを示した説明図である。
【図19】 実施の形態11に係る加熱調理器の斜視図である。
【図20】 図19の操作部の詳細を示した正面図である。
【図21】 実施の形態12に係る加熱調理器の操作部の詳細を示した正面図である。
【図22】 実施の形態13に係る加熱調理器の回路構成図である 。
【図23】 従来の加熱調理器の斜視図である。
【図24】 従来の他の加熱調理器の内部構成を示した分解斜視図である。
【符号の説明】
11 操作部、12 中央制御部、13 報知制御部、14 報知部、15,16 駆動・制御回路部、17,18 加熱制御部、19,20 インバータ回路、21 ,22 加熱手段(誘導加熱コイル)、23 冷却装置、25 加熱制御部、27 切換回路、28,29 加熱手段(電熱ヒーター)、30 本体、31 トッププレート、41〜43 エンコーダー、44,45 湯沸かしモードキー、46,47 天ぷらモードキー、48 時間設定キー、70,71 選択スイッチ、75〜77 スライドレバー。
Claims (7)
- 複数の誘導加熱手段及び電熱ヒーターと、
前記複数の誘導加熱手段及び電熱ヒーターを制御する制御手段とを備え、
前記複数の誘導加熱手段の加熱設定は、離散的に定められた設定電力に基づいた火力基準により設定可能であり、
前記制御手段は、前記複数の誘導加熱手段の加熱設定可能な最大加熱出力が、加熱調理器の最大定格消費電力値から前記電熱ヒーターの消費電力値を減じた範囲内で収まるように、前記誘導加熱手段の加熱設定可能な最大加熱出力を可変制御し、且つ前記複数の誘導加熱手段に対して優先順位を設定し、前記電熱ヒーターが駆動されると、優先順位の低い誘導加熱手段の加熱設定可能な最大加熱出力を減少させるとともに、優先順位の高い誘導加熱手段若しくは前記電熱ヒーターの停止又は優先順位の高い誘導加熱手段の加熱設定が減少すると、それに応じて前記優先順位の低い誘導加熱手段の減少した加熱設定可能な最大加熱出力を増加させるものとし、前記加熱設定可能な最大加熱出力の増加に際しては、設定可能な最大電力値が、前記離散的に定められた設定電力に基づいた火力基準の内、設定可能な最大電力値以下の値で且つ最も近い値の設定電力に基づいた火力基準を加熱設定可能な最大加熱出力の値として設定することを特徴とする加熱調理器。 - 操作信号を報知するための報知部と、該報知部を制御する報知制御部とを備え、該報知制御部は、前記制御手段が前記誘導加熱手段に設定される固定最大加熱出力を切り換えると、その旨を報知部に報知させることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
- 前記報知部は、前記各誘導加熱手段又は電熱ヒーターに近接して又は対称位置に設けられた表示部を備え、該表示部は、前記各誘導加熱手段又は電熱ヒータに対応したタイマー表示機能及び設定温度表示機能を有することを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。
- 前記表示部は、加熱調理器本体の被加熱物を載置する天面側に透明窓を介して配置されたことを特徴とする請求項3記載の加熱調理器。
- 被加熱物の温度を検出する温度検出手段を備え、前記表示部はそれぞれが複数色表示可能な複数のセグメントからなり、前記報知制御手段は、所定の温度制御調理モードが設定されると、前記表示部のセグメントに対応して、所定温度から前記調理モードの設定温度までの範囲と、少なくとも前記温度検出手段からの温度とを前記表示部に識別表示させることを特徴とする請求項3又は4記載の加熱調理器。
- 少なくとも2以上の誘導加熱手段に温度制御調理モードを設定可能にしたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の加熱調理器。
- 前記制御手段は、被加熱物である鍋の種類を判別し、その種類に応じて誘導加熱手段の最大加熱出力に規制をかけることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の加熱調理器。
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