JP3779502B2 - 光増幅装置、光送信装置、光伝送システム、光増幅方法および光入射方法 - Google Patents
光増幅装置、光送信装置、光伝送システム、光増幅方法および光入射方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長帯域ごとに対応して光増幅器を複数個備える光増幅装置において、各光増幅器の出力を制御することにより、所定の距離を伝搬した地点における各波長帯域の光パワーを同一にすることができる光増幅装置および光送信装置に関する。そして、これらの装置を使用した光伝送システムに関する。さらに、波長帯域ごとに対応して光増幅器を複数個備える複合光増幅装置における光増幅方法および光入射方法に関する。
将来のマルチメディアネットワークの構築を目指し、超長距離でかつ大容量の光伝送システムが要求されている。この大容量化を実現する方式として、波長分割多重(Wavelength-division Multiplexing、以下、「WDM」と略記する。)方式が、光ファイバの広帯域・大容量性を有効利用できるなどの有利な点から研究・開発が進められている。
特に、近年では、WDM方式のさらなる広帯域化・多波長化が要望され、この広帯域化・多波長化されたWDM方式光信号を増幅する光増幅装置の研究・開発が盛んである。
【0002】
【従来の技術】
このような広帯域化・多波長化されたWDM方式光信号を増幅する光増幅装置について、「分散シフトファイバ上での3波長帯域WDM伝送」(可児 淳一ほか、1999年電子情報通信学会総合大会)に報告されている。
【0003】
図23は、この報告を参考にした、従来の3波長帯域WDM伝送システムの構成を示す図である。
図23において、16個の各レーザダイオード(laser diode 、以下、「LD」と略記する。)150-1〜150-nは、S+−band のチャネル1からチャンネル16に対応する波長のレーザ光を各々発振する。発振したチャネル1からチャンネル16の各レーザ光は、アレイ導波路回折格子(arrayed waveguide grating 、以下、「AWG」と略記する。)151-1に入射される。AWG151-1は、このチャネル1からチャネル16の各レーザ光を波長多重しWDM方式光を生成する。このWDM方式光は、マッハツェンダ型光変調器(以下、「MZ」と略記する。)152-1に入射され、MZ152-1で送信すべき情報で変調されてWDM方式光信号となって、ツリウム添加光ファイバ増幅器(thulium-doped fiber amplifier 、以下、「TDFA」と略記する。)153に入射される。TDFA153は、1450nm帯域を増幅する希土類元素添加光ファイバ増幅器であるため、このS+−band のWDM方式光信号を増幅することができる。増幅されたWDM方式光信号は、誘電体多層膜フィルタからなる波長多重カプラ(以下、「WDMカプラ」と略記する。)156に入射される。
【0004】
そして、C−bandのWDM方式光信号は、TDFA153を1550nm帯域を増幅するエルビウム添加光ファイバ増幅器(erbium-doped fiber amplifier 、以下、「EDFA」と略記する。)154に代えて、LD150-17 〜150-32 、AWG151-2、MZ152-2およびEDFA154からなる上述と同様の構成により生成されてWDMカプラ156に入射される。
【0005】
さらに、L−bandのWDM方式光信号は、TDFA153を1580nm帯域を増幅するゲインシフトエルビウム添加光ファイバ増幅器(以下、「GS−EDFA」と略記する。)155に代えて、LD150-33 〜150-48 、AWG151-3、MZ152-3およびGS−EDFA155からなる上述と同様の構成により生成されてWDMカプラ156に入射される。
【0006】
WDMカプラ156は、S+−band 、C−bandおよびL−bandの各WDM方式光信号を波長多重して3波長帯域WDM方式光信号として分散シフトファイバ(dispersion shifted fiber、以下、「DSF」と略記する。)157の光伝送路に送出される。
このような光伝送システムは、S+−band (1450〜1490nm)、C−band(1530〜1570nm)およびL−band(1570〜1610nm)の各波長帯域にチャネルを持つWDM方式光信号を生成し、各波長帯域ごとに希土類元素添加光ファイバ増幅器で増幅した後に、各WDM方式光信号を波長多重して3波長帯域WDM方式光信号にして光伝送路に送出するものである。
【0007】
ところで、光伝送路中を伝送するWDM方式光信号は、誘導ラマン散乱、4光波混合、相互位相変調などの非線形光学現象によって、クロストークを引き起こすことが知られている。
特に、誘導ラマン散乱は、光伝送路中の光学フォノンとの相互作用によって短波長側の光パワーを長波長側に移行させることから、チャネル間の光パワーが不均一となって利得傾斜を生じ、その結果、WDM方式光信号の短波長側のチャネルにSNR(signal to noise ratio )の劣化を生じさせる。
【0008】
このWDM方式光信号の最も短波長側のチャネルから失われる光パワーの割合Dは、WDM方式光信号がラマン利得のある周波数帯域15THz内にあり、チャネル間隔を△f、チャネル数をNとすると、
【数1】
で表される。ここで、λi 、Pi 、γi は、それぞれi 番目のチャネルの波長、光パワー、ラマン利得係数である。Le は、光伝送路の有効長で光伝送路の損失係数をαとすれば、Le =(1−exp(−α))/α である。そして、Aeff は、光伝送路の有効コア断面積を表す。
【0009】
また、光ファイバのラマン利得係数は、一般に、三角形近似され、
【数2】
で表される。ここで、γp は、三角形近似した際のラマン利得係数の最大値であるピーク利得係数である。
このような誘導ラマン散乱の諸式は、例えば、「光ファイバ通信技術」(小西良弘監修、日刊工業新聞社)276頁ないし278頁に説明されている。
【0010】
従来は、このような誘導ラマン散乱により、例えば、32波のWDM方式光信号を光ファイバで一定距離を伝送すると、チャネル1の光パワーが長波長側のチャネルに移行するため、WDM方式光信号に利得傾斜が生じることが知られていた。つまり、1つの波長帯域内においてWDM方式光信号に誘導ラマン散乱による利得傾斜が生じることが知られていた。
【0011】
ところで、1550nm付近の波長帯域において、この誘導ラマン散乱の相互作用が働く範囲は、130nm以上の広い波長帯域に亘ることが計算される。したがって、3つの波長帯域内に各チャネルをそれぞれ設定された3波長帯域WDM方式光信号は、図23に示す光伝送システムで100kmを伝送するとその地点Xでは、誘導ラマン散乱により短波長側の波長帯域であるS+ −bandの光パワーが長波長側の波長帯域であるC−bandおよびL−bandに移行するためSNRが劣化する、と予想される。
【0012】
そこで、C−bandおよびL−bandを同時に伝送する2波長帯域WDM方式光信号の場合に、誘導ラマン散乱がこの2波長帯域WDM方式光信号に与える影響について、測定を行った。
図17は、単方向伝送の場合における誘導ラマン散乱による利得傾斜を測定する測定系の構成を示す図である。
【0013】
図17において、32個の各LD120-1〜120-32 は、C−bandのチャネル1からチャンネル32に対応する波長のレーザ光を各々発振する。発振したチャネル1からチャンネル32の各レーザ光は、AWG121-1に入射され、波長多重されてWDM方式光になる。このWDM方式光は、EDFA122に入射され、増幅される。増幅されたWDM方式光は、光パワーを減衰する減衰器(attenuator、以下、「ATT」と略記する。)123に入射される。減衰して所定の光パワーに設定されたWDM方式光は、WDMカプラ126に入射される。
【0014】
そして、L−bandのWDM方式光は、EDFA122をGS−EDFA124に代えて、LD120-33 〜120-64 、AWG121-2、GS−EDFA124およびATT125からなる上述と同様の構成により生成されてWDMカプラ126に入射される。
WDMカプラ126は、C−bandおよびL−bandの各WDM方式光を波長多重して2波長帯域WDM方式光として単一モードファイバ(single mode fiber、以下、「SMF」と略記する。)127に送出される。
【0015】
そして、2波長帯域WDM方式光は、SMF127を80km伝送した後に、入射した光の波長とその波長における光パワーとを測定する光スペクトルアナライザ128に入射される。
ここで、ATT123、125の各減衰量は、C−bandにおける各チャネルの光パワーとL−bandにおける各チャネルの光パワーとをWDMカプラ126から射出される直後の地点、すなわち、図17に示す地点Yにおいて、同一になるように調節される。
【0016】
このような測定系は、C−bandおよびL−bandの各波長帯域にチャネルを持つWDM方式光を生成し、各波長帯域ごとに希土類元素添加光ファイバ増幅器とATT123、125とで光パワーを調節した後に、各WDM方式光信号を波長多重して2波長帯域WDM方式光にしてSMF127に送出する。そして、SMF127を80km伝送した後の2波長帯域WDM方式光を光スペクトルアナライザ128で測定する。
【0017】
図18は、地点Yにおける2波長帯域WDM方式光のスペクトルを示す図である。
図19は、SMFを80km伝送後における2波長帯域WDM方式光のスペクトルを示す図である。
図20は、単方向伝送の場合におけるラマン利得を示す図である。
【0018】
図18および図19の縦軸は、dBm単位で表示した光パワーであり、横軸は、nm単位で表示した波長である。また、図20の縦軸は、dB単位で表示したラマン利得であり、横軸は、nm単位で表示した波長である。
図18と図19とを比較すると、図18では、C−bandとL−bandとの光パワーは、ほぼ同一であるのに対し、80km伝送後の図19では、C−bandの光パワーの方がL−bandの光パワーより小さくなっていることが分かる。
【0019】
図20は、この事実をより明瞭にするために図18および図19より作成した図である。図20において、×は、C−bandのWDM方式光のみを80km伝送した後の光パワーである。▲は、L−bandのWDM方式光のみを80km伝送した後の光パワーである。◆は、C−bandのWDM方式光とL−bandのWDM方式光とを80km伝送した後の光パワーである。
【0020】
この図20から、両bandを伝送すると、C−bandの光パワーが小さくなるとともにL−bandの光パワーが大きくなることが分かる。すなわち、誘導ラマン散乱によりC−bandの光パワーがL−bandに移行することが分かる。
以上は、C−bandおよびL−bandを同一方向に伝送する場合であるが、C−bandおよびL−bandを互いに逆方向に伝送する双方向伝送の場合についても同様に測定した。
【0021】
図21は、双方向伝送の場合における誘導ラマン散乱による利得傾斜を測定する測定系の構成を示す図である。
図21は、図17のLD120-33 〜120-64 、AWG120-2、GS−EDFA124およびATT125からなるL−bandのWDM方式光を生成する構成をSMF127のC−bandのWDM方式光が入射される端とは逆の端にWDMカプラ129を介して設け、L−bandのWDM方式光のスペクトルを測定する光スペクトルアナライザ130を備えたこと以外は、図17と同様であるので、この測定系の構成については、その説明を省略する。
【0022】
このような測定系では、生成されたC−bandのWDM方式光は、EDFA122とATT123とで光パワーを調節した後に、SMF127に送出され、SMF127を80km伝送した後に光スペクトルアナライザ128で測定される。一方、生成されたL−bandのWDM方式光は、GS−EDFA124とATT125とで光パワーを調節した後に、SMF127に送出され、SMF127を80km伝送した後に光スペクトルアナライザ130で測定される。
【0023】
ここで、図21に示す地点Z1 におけるC−bandにおける各チャネルの光パワーと地点Z2 におけるL−bandにおける各チャネルの光パワーとは、ATT123、125で同一になるように調節される。
図22は、双方向伝送のラマン利得と単方向伝送のラマン利得とを示す図である。
【0024】
図22の縦軸は、dB単位で表示したラマン利得であり、横軸は、nm単位で表示した波長である。◆は、単方向伝送の光パワーであり、図20を転記したものである。■は、双方向伝送の光パワーである。
この図22から、両bandを伝送した場合に生じるC−bandの光パワーがL−bandに移行する現象は、単方向伝送でも双方向伝送でも同一であることが分かる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
図19、図20および図22から分かるように、2波長帯域WDM方式光を伝送すると、誘導ラマン散乱によりC−bandのWDM方式光の光パワーがL−bandのWDM方式光に移行する。つまり、誘導ラマン散乱により短波長側の波長帯域におけるWDM方式光の光パワーが長波長側の波長帯域におけるWDM方式光に移行する。このため、n波長帯域WDM方式光を伝送した場合には、波長帯域間において光パワーに格差が生じ、短波長側の波長帯域におけるWDM方式光のSNRが劣化するという問題が生じる。
【0026】
特に、[数1]から分かるように、超長距離を伝送する場合には、Pi およびLe が大きくなるため、この問題は、重大である。
そこで、請求項1ないし請求項36に記載の発明と、請求項42ないし請求項45に記載の発明とでは、n波長帯域WDM方式光を伝送する前に各波長帯域の光パワーに差を設けることにより、伝送後における波長帯域間の光パワーに格差のない光増幅装置、光送信装置および光伝送システムを提供することを目的とする。
【0028】
さらに、請求項37ないし請求項41に記載の発明では、n波長帯域WDM方式光を増幅する場合に、伝送後における波長帯域間の光パワーに格差のない光増幅方法および光入射方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光増幅装置は、波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる波長帯域ごとに設けられ、波長チャネルごとの光の平均光パワーを調整する複数の第1の制御手段と、前記複数の第1の制御手段の各出力を波長多重する波長多重手段と、前記複数の第1の制御手段のうちの短い波長帯域の光の平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力が、前記複数の光調節手段のうちの長い波長帯域の光の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御手段を制御する第2の処理とを行う第2の制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、入力光を波長帯域ごとに波長分離した後に、各波長帯域の光を前記複数の第1の制御手段にそれぞれ出力する波長分離手段を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記第2の制御手段は、前記波長多重手段の出力光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御することを特徴とする。
請求項4に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記第2の制御手段は、前記波長多重手段の出力光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーから前記各第1の制御手段の雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御することを特徴とする。
請求項5に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記複数の第1の制御手段の各入力光に光を供給する光源を備えたことを特徴とする。
請求項6に記載の光増幅装置は、請求項2に記載の光増幅装置において、前記波長分離手段に接続され、前記入力光が伝播する光伝送路と、前記光伝送路に光を供給する光源とを備えたことを特徴とする。
請求項7に記載の光増幅装置は、請求項2に記載の光増幅装置において、前記第2の制御手段は、前記光増幅装置の射出側に接続された光伝送路における誘導ラマン散乱、前記光伝送路の損失、前記波長分波手段の損失および前記波長多重手段の損失のうちの少なくとも1つに基づいて、前記短い波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力と、前記長い波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力との差を決定することを特徴とする。
請求項8に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記光は、第1波長帯域のWDM光信号と第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のWDM光信号とであり、前記第1波長帯域のWDM光信号におけるチャンネル数が増減することを特徴とする。
請求項9に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記光は、第1波長帯域のWDM光信号と第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のWDM光信号とであり、前記第2波長帯域のWDM光信号におけるチャンネル数が増減することを特徴とする。
請求項10に記載の光増幅装置は、請求項3に記載の光増幅装置において、前記所定の地点で前記各波長帯域の光パワーを検出する検出手段を備え、前記第2の制御手段は、前記検出手段の出力に応じて前記複数の第1の制御手段の出力を制御することを特徴とする。
請求項11に記載の光増幅装置は、請求項4に記載の光増幅装置において、前記所定の 地点で前記各波長帯域の光パワーを検出する検出手段を備え、前記第2の制御手段は、前記検出手段の出力に応じて前記複数の第1の制御手段の出力を制御することを特徴とする。
請求項12に記載の光増幅装置は、請求項10に記載の光増幅装置において、前記光は、WDM光信号であり、前記検出手段は、前記WDM光信号のうちの最短波長のチャネルの光パワーを検出することを特徴とする。
請求項13に記載の光増幅装置は、請求項11に記載の光増幅装置において、前記光は、WDM光信号であり、前記検出手段は、前記WDM光信号のうちの最短波長のチャネルの光パワーを検出することを特徴とする。
請求項14に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記第1の制御手段は、光を増幅する光増幅器であることを特徴とする。
請求項15に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記第1の制御手段は、光を減衰する光減衰器であることを特徴とする。
請求項16に記載の光送信装置は、波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる所定の波長帯域ごとに設けられ、前記各波長帯域にWDM光信号を生成する複数の光送信手段と、前記各光送信手段ごとに接続され、光の光パワーを調整する複数の第1の制御手段と、前記波長帯域ごとの第1の制御手段の各出力を波長多重する波長多重手段と、前記複数の第1の制御手段のうちの短い波長帯域の光の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力が、前記複数の第1の制御手段のうちの長い波長帯域の光を波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御手段を制御する第2の処理とを行う第2の制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項17に記載の光送信装置は、請求項16に記載の光送信装置において、前記第2の制御手段は、前記波長多重手段の出力光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御することを特徴とする。
請求項18に記載の光送信装置は、請求項16に記載の光送信装置において、前記第2の制御手段は、前記波長多重手段の出力光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーから前記各第1の制御手段の雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御することを特徴とする。
請求項19に記載の光送信装置は、請求項16に記載の光送信装置において、前記第2の制御手段は、前記光送信装置の射出側に接続された光伝送路における誘導ラマン散乱、前記光伝送路の損失および前記波長多重手段の損失のうちの少なくとも1つに基づいて、前記短い波長帯域の光パワーを調整する第1の制御手段の出力と、前記長い波長帯域の光パワーを調整する第1の制御手段の出力との差を決定することを特徴とする。
請求項20に記載の光送信装置は、請求項16に記載の光送信装置において、前記各波長帯域のWDM光信号は、第1波長帯域のWDM光信号と第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のWDM光信号とであり、前記第1波長帯域のWDM光信号のチャンネル数が増減することを特徴とする。
請求項21に記載の光送信装置は、請求項16に記載の光送信装置において、前記各波長帯域のWDM光信号は、第1波長帯域のWDM光信号と第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のWDM光信号とであり、前記第2波長帯域のWDM光信号のチャンネル数が増減することを特徴とする。
請求項22に記載の光送信装置は、請求項17に記載の光送信装置において、前記所定の地点で前記各波長帯域の光パワーを検出する検出手段を備え、前記第2の制御手段は、 前記検出手段の出力に応じて前記複数の第1の制御手段の出力を制御することを特徴とする。
請求項23に記載の光送信装置は、請求項18に記載の光送信装置において、前記所定の地点で前記各波長帯域の光パワーを検出する検出手段さらに備え、前記第2の制御手段は、前記検出手段の出力に応じて前記複数の第1の制御手段の出力を制御することを特徴とする。
請求項24に記載の光送信装置は、請求項22に記載の光送信装置において、前記検出手段は、前記WDM光信号のうちの最短波長のチャネルの光パワーを検出することを特徴とする。
請求項25に記載の光送信装置は、請求項23に記載の光送信装置において、前記検出手段は、前記WDM光信号のうちの最短波長のチャネルの光パワーを検出することを特徴とする。
請求項26に記載の光送信装置は、請求項16に記載の光送信装置において、前記光送信手段は、互いに光パワーを変えた複数の光信号を生成し、前記複数の光信号を波長多重して前記複数の波長帯域のWDM光信号を生成することを特徴とする。
請求項27に記載の光送信装置は、請求項16に記載の光送信装置において、前記第1の制御手段は、光を増幅する光増幅器であることを特徴とする。
請求項28に記載の光送信装置は、請求項16に記載の光送信装置において、前記第1の制御手段は、光を減衰する光減衰器であることを特徴とする。
請求項29に記載の光伝送システムは、波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる複数の波長帯域の光信号を生成する光送信装置と、生成された前記光信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送路を伝送した前記光信号を受信して処理する光受信装置と、前記光伝送路に接続された少なくとも1つの光増幅手段を備え、前記光増幅手段は、前記光信号を波長帯域ごとに波長分離する波長分波手段と、前記波長分波手段から射出された波長帯域ごとの各光信号の光パワーをそれぞれ調整する複数の第1の制御手段と、前記複数の第1の制御手段の各出力を波長多重する波長多重手段と、前記複数の第1の制御手段のうちの短い波長帯域の波長チャネル当たりの光パワーを調整する第1の制御手段の出力を、長い波長帯域の波長チャネル当たりの光パワーを調整する第1の制御手段の出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に前記光伝送路における誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御手段を制御する第2の処理とを行う第2の制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項30に記載の光伝送システムは、請求項29に記載の光伝送システムにおいて、前記光増幅装置の第2の制御手段は、前記光増幅装置の出力光信号が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの光信号の平均光パワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御することを特徴とする。
請求項31に記載の光伝送システムは、請求項29に記載の光伝送システムにおいて、前記光増幅装置の第2の制御手段は、前記光増幅装置の出力光信号が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの光信号の平均光パワーから前記各第1の制御手段の雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御することを特徴とする。
請求項32に記載の光伝送システムは、請求項29に記載の光伝送システムにおいて、前記光増幅装置は、入力光信号が伝送される光伝送路に光を供給する光源を備えることを特徴とする。
請求項33に記載の光伝送システムは、請求項29に記載の光伝送システムにおいて、前記光送信装置は、互いに光パワーを変えた複数の光信号を生成した後に、前記複数の光信号を波長多重することによって前記複数の波長帯域の光信号を生成することを特徴とす る。
請求項34に記載の光伝送システムは、請求項29に記載の光伝送システムにおいて、前記光受信装置は、光信号のスペクトルを検出し前記検出結果を前記光送信装置に出力するスペクトル検出手段を備え、前記光送信装置は、前記スペクトル検出手段の出力に応じて互いに光パワーを変えた複数の光信号の組を生成した後に、前記複数の光信号の組を波長帯域ごとに波長多重することによって前記複数の波長帯域の光信号を生成することを特徴とする。
請求項35に記載の光伝送システムは、請求項29に記載の光伝送システムにおいて、前記光増幅装置の前記複数の第1の制御手段は、光信号を増幅する光増幅器であることを特徴とする。
請求項36に記載の光伝送システムは、請求項29に記載の光伝送システムにおいて、前記光増幅装置の前記第1の制御手段は、光信号を減衰する光減衰器であることを特徴とする。
請求項37に記載の光増幅方法は、波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる複数の波長帯域のうちの長い波長帯域の光を増幅し、前記複数の波長帯域のうちの短い波長帯域の光を前記長い波長帯域の光よりも波長チャネル当たりの平均光パワーが大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなると共に、前記複数の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じるチャネルパワーの格差が緩和されるように増幅し、前記複数の波長帯域の光を波長多重することを特徴とする。
請求項38に記載の光増幅方法は、請求項37に記載の光増幅方法において、波長多重された前記複数の波長帯域の光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における前記各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーが互いにほぼ同一になるように、前記短い波長帯域の光の増幅出力と前記長い波長帯域の光の増幅出力との差を求め、前差分だけ波長チャネル当たりの平均光パワーが大きくなるように前記短い波長帯域の光を増幅することを特徴とする。
請求項39に記載の光増幅方法は、互いに光パワーを変えた複数の光信号を生成し、波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ前記複数の光信号を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる波長帯域ごとに波長多重することによって複数のWDM光信号を生成し、前記複数のWDM光信号のうちの長い波長帯域のWDM光信号を増幅し、前記複数のWDM光信号のうちの短い波長帯域のWDM光信号を前記長い波長帯域の波長チャネル当たりのWDM光信号よりも平均光パワーが大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなると共に、前記波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じるチャネルパワーの格差が緩和されるように増幅し、前記複数のWDM光信号を波長多重することを特徴とする。
請求項40に記載の光増幅方法は、請求項39に記載の光増幅方法において、波長多重された前記複数のWDM光信号が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における前記各WDM光信号の波長チャネル当たりの平均光パワーが互いにほぼ等しくなるように、前記短い波長帯域のWDM光信号の増幅出力と前記長い波長帯域のWDM光信号の増幅出力と差を求め、前記差分だけ波長チャネル当たりの平均光パワーが、前記長い波長帯域の増幅された光の波長チャネル当たりの平均光パワーより大きくなるように前記短い波長帯域のWDM光信号を増幅することを特徴とする。
請求項41に記載の光入射方法は、波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる複数の波長帯域のWDM光信号のうちの短い波長帯域のWDM光信号の波長チャネル当たりの光パワーを、長い波長帯域のWDM光信号の波長チャネル当たりの平均光パワーより大きくし、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーを前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくすることによって、前記複数の波長帯域間に誘導ラ マン散乱に起因して生じるチャネルパワーの格差を緩和し、前記複数の波長帯域のWDM光信号を光伝送路に入射させることを特徴とする。
請求項42に記載の光増幅装置は、波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光信号を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる波長帯域ごとの光に波長逆多重化する波長逆多重化ユニットと、前記波長帯域ごとに設けられ、波長チャネルごとの光の平均光パワーを調整する複数の第1の制御ユニットと、前記複数の第1の制御ユニットの各出力を波長多重する波長多重ユニットと、前記複数の第1の制御ユニットのうちの短い波長帯域の光の平均光パワーを調整する第1の制御ユニットの出力が、前記複数の光調節ユニットのうちの長い波長帯域の光の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御ユニットの出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように第1の制御ユニットを制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御ユニットを制御する第2の処理とを行う第2の制御ユニットとを備えたことを特徴とする。
請求項43に記載の光伝送システムは、波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる複数の波長帯域の光信号を生成する光送信装置と、生成された前記光信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送路を伝送した前記光信号を受信して処理する光受信装置と、前記光伝送路に接続された少なくとも1つの光増幅装置を備え、前記光増幅装置は、前記光信号を波長帯域ごとに波長分離する波長分波装置と、前記波長分波装置から射出された波長帯域ごとの各光信号の光パワーをそれぞれ調整する複数の第1の制御装置と、前記複数の第1の制御装置の各出力を波長多重する波長多重装置と、前記複数の第1の制御装置のうちの短い波長帯域の波長チャネル当たりの光パワーを調整する第1の制御装置の出力を、長い波長帯域の波長チャネル当たりの光パワーを調整する第1の制御装置の出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に前記光伝送路における誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御手段を制御する第2の処理とを行う第2の制御装置とを備えたことを特徴とする。
請求項44に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記第2の制御手段は、前記波長多重手段から出力された光の波長帯域において、前記調整手段によって監視され、かつ光伝送路の特定の地点から通知された個々の光出力パワーの合計を、送信された波長の数で除することによって行われた波長チャネル当たりの平均出力パワーの計算の結果に基づいて制御を行い、かつ各波長帯域間における積を比較することを特徴とする。
請求項45に記載の光増幅装置は、請求項1に記載の光増幅装置において、前記第2の制御手段は、送信される波長の数の変化に応じて前記第1の制御手段の出力パワーの合計を相対的に変えることによって、前記短い波長帯域における波長チャネル当たりの出力パワーが前記長い波長帯域における波長チャネル当たりの出力パワーより大きくなるように制御することを特徴とする。
以下、図面に基づいて本発明に関連した技術の原理を説明する。
【0030】
(本発明に関連した第1の技術)
図1は、本発明に関連した技術の第1の原理構成を示す図である。
図1において、本発明に関連した第1の技術では、光を増幅することができる波長帯域が互いに異なる複数の光増幅手段5の出力を波長多重して光伝送路に出力する複合光増幅装置1において、複数の光増幅手段5のうちの短い波長帯域の光を増幅する光増幅手段の出力を長い波長帯域の光を増幅する光増幅手段の出力より大きく設定することで構成する。
【0031】
(本発明に関連した第2の技術)
図2は、本発明に関連した技術の第2の原理構成を示す図である。
なお、図2において、破線で示す励起光源9は、本発明に関連した第3の技術に対する構成である。
【0032】
図2において、本発明に関連した第2の技術では、光伝送路11からの光を所定の波長帯域ごとに分離して波長帯域に対応する複数の光増幅手段5で所定の波長帯域ごとに増幅する複合光増幅装置2において、複数の光増幅手段5のうちの短い波長帯域の光を増幅する光増幅手段の出力を長い波長帯域の光を増幅する光増幅手段の出力より大きく設定することで構成する。
【0033】
(本発明に関連した第3の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第3の技術では、本発明に関連した第1または第2の技術を構成する複合光増幅装置1、2において、各光増幅手段5で増幅された各波長帯域の光が所定の地点、例えば、この複合光増幅装置1、2から一定距離離れた光伝送路10上の地点Aまで伝搬した場合に、この地点Aにおける各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5の雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5の出力を設定することで構成する。
【0034】
(本発明に関連した第4の技術)
図1において、本発明に関連した第4の技術にかかる複合光増幅装置1では、第1波長帯域の入射光は、この第1波長帯域の光を増幅する光増幅手段5-1に入射される。第2波長帯域の入射光は、この第2波長帯域の光を増幅する光増幅手段5-2に入射される。以下同様に、第n波長帯域の入射光は、この第n波長帯域の光を増幅する光増幅手段5-nに入射される。このように、複数の光増幅手段5-1〜5-nは、入射される光の波長帯域ごとに設けられ、この波長帯域の光を増幅する。
【0035】
制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点、例えば、この複合光増幅装置1から一定距離離れた光伝送路10上の地点Aまで伝搬した場合に、この地点Aにおける各波長帯域の光パワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御する。
そして、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光は、波長多重手段6に入射され、この波長多重手段6で波長多重されて、波長多重手段6に接続する光伝送路10に射出される。
【0036】
ここで、光伝送路10は、光ファイバだけでなく気体で満たされた空間の場合も含まれる。
(本発明に関連した第5の技術)
図2において、本発明に関連した第5の技術にかかる複合光増幅装置2では、波長分波手段8は、入射される光を所定の波長帯域ごとに分離して、分離した波長帯域ごとに射出する。
【0037】
複数の光増幅手段5-1〜5-nは、波長分波手段8から射出される波長帯域ごとに設けられ、入射する光の波長帯域を増幅する。
制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点、例えば、この複合光増幅装置1から一定距離離れた光伝送路10上の地点Aまで伝搬した場合に、この地点Aにおける各波長帯域の光パワーが互いに同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御する。
【0038】
そして、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光は、波長多重手段6に入射され、この波長多重手段6で波長多重されて、波長多重手段6に接続する光伝送路10に射出される。
このように本発明に関連した第5の技術は、各光増幅手段5-1〜5-nの増幅波長帯域に対応するように入射光を波長帯域ごとに分離する波長分波手段8をさらに備えて構成される点で、既述の第4の技術と異なる。
【0039】
(本発明に関連した第6の技術)
図2において、本発明に関連した第6の技術では、既述の第5の技術にかかる複合光増幅装置2において、波長分波手段8に接続され、入射される光を伝送する光伝送路11と、波長分波手段8に接続され、光伝送路11中で誘導ラマン散乱により入射される光に光パワーを供給する励起光源9とをさらに備え、波長分波手段8は、さらに励起光源9からの光を前記光伝送路11に射出するように構成される。
【0040】
波長分波手段8は、入射光を分離する間に入射光の光パワーを減衰させる。本発明に関連した第6の技術では、励起光源9からの光を入射光が伝搬する光伝送路11に供給することによって、光伝送路11中で誘導ラマン散乱による光増幅を生じさせて入射光を増幅する。このため、波長分波手段8で生じる減衰分を補うことができる。
【0041】
(本発明に関連した第7の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第7の技術では、既述の第4または第5の技術にかかる複合光増幅装置1、2において、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0042】
(本発明に関連した第8の技術)
図2において、本発明に関連した第8の技術では、既述の第5の技術にかかる複合光増幅装置2において、波長分波手段8に接続され、入射される光を伝送する光伝送路11と、波長分波手段8に接続され、光伝送路11中で誘導ラマン散乱により入射される光に光パワーを供給する励起光源9とをさらに備え、波長分波手段8は、さらに励起光源9からの光を光伝送路11に射出する波長分波手段であり、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0043】
(本発明に関連した第9の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第9の技術では、既述の第4ないし第8の技術のいずれかにかかる複合光増幅装置1、2において、制御手段7の制御量は、この複合光増幅装置1、2の射出側に接続される光伝送路10における誘導ラマン散乱、この光伝送路10の損失、波長分波手段8の損失および波長多重手段6の損失のうちの少なくとも1つに基づいて決定されることで構成する。
【0044】
以下に、本発明に関連した第1ないし第9の技術の原理について説明する。
光伝送路中を伝送する光の光パワーを変動させる要因は、主に、誘導ラマン散乱、光伝送路の損失、波長分波手段の損失および波長多重手段の損失である。また、これらの要因は、波長依存性を持っている。
ここで、波長分波手段8の損失を考慮するのは、一定距離伝送後の光信号のSNRが光増幅手段の入力パワーと雑音指数に依存するからである。また、波長分波手段8の損失と波長多重手段6の損失とは、同じ特性を示すので、両者の損失を合わせて波長合分波手段の損失とする。そして、一定距離伝送後の光信号のSNRにおける雑音指数の依存性については、図3(e)の処で説明する。
図3は、本発明に関連した技術の第3の原理構成を示す図である。
【0045】
図3(a)は、光伝送路中を伝送する光、例えば、第1波長帯域のWDM方式光信号、第2波長帯域のWDM方式光信号および第3波長帯域のWDM方式光信号からなる3波長帯域WDM方式光信号を示している。
図3(b)は、これら各波長帯域間に生じる誘導ラマン散乱の損失の一例を示している。この図から分かるように第1波長帯域の光パワーが誘導ラマン散乱により第2波長帯域および第3波長帯域に移行するとともに第2波長帯域の光パワーが誘導ラマン散乱により第3波長帯域に移行している。このため、各波長帯域の光パワーに増減が生じている。
【0046】
図3(c)は、光伝送路の損失の一例を示している。この図に示すように光伝送路の損失は、伝送する光の波長によって異なる。一般に、光伝送路は、特定の波長で損失が最小となる損失波長特性を持つ。
図3(d)は、波長合分波手段の損失の一例を示している。特に、誘電体多層膜フィルタなどの干渉フィルタ形の光合波・分波器では、光を波長帯域ごとに合波する場合に、段階的に光を波長帯域ごとに合波(分波)していくので、初段で合波(分波)される波長帯域と最後の段で合波(分波)される波長帯域とでは、通過する干渉フィルタの数が異なるので、損失が異なる。
【0047】
図3(e)は、光増幅手段の雑音指数の一例を示している。光増幅手段では、光増幅手段による自然放出光(amplified spontaneous emission、「ASE」と略記する。)が波長依存性を持っているため、光増幅手段の雑音指数も波長依存性を持つことになる。雑音指数は、光増幅手段において入力のSNRを出力のSNRで割った値であり、雑音パワーに関係する値である。
【0048】
図(a)に示す3波長帯域WDM方式光信号を伝送する場合に、光伝送路にこれら図3(b)ないし(d)に示すように波長依存性のある各損失が存在するので、伝送後の3波長帯域WDM方式光信号における各波長帯域の光パワーに偏差を生じる。
【0049】
すなわち、図1および図2において、第1ないし第3波長帯域のWDM方式光信号には、波長分波手段8で波長分離される間に、そして、各光増幅手段5-1〜5-3で増幅され波長多重手段6で波長多重される間に図3(d)に示す損失がそれぞれ生じる。そして、波長多重された3波長帯域WDM方式光信号は、光伝送路10を地点Aまで伝送する間に図3(b)および(c)に示す損失が生じる。これら波長依存性のある損失のため、光増幅手段5-1〜5-3の出力を調整しない場合には、地点Aで波長帯域間に光パワーに偏差が生じる。このため、各波長帯域ごとにSNRをみた場合に波長帯域ごとにSNRが異なる。
【0050】
したがって、各波長帯域の光パワーに生じる偏差分を補償するように、3波長帯域WDM方式光信号を伝送する前に光増幅手段5-1〜5-3の出力を調整することにより波長帯域ごとに波長帯域の光パワーにプリエンファシスを設けておく。このように波長帯域間にプリエンファシスを設けておくことによって、光伝送路中を伝送する間に生じる各損失を補償できるから、伝送後に各波長帯域間の光パワーの偏差をなくすことができる。このため3波長帯域WDM方式光信号全体のSNRを改善することができる。
【0051】
図4は、波長帯域間にプリエンファシスを設けた例を示す図である。図4(a)は、その第1の例を示す図である。図4(b)は、その第2の例を示す図である。
ここで、誘導ラマン散乱の損失が光伝送路の損失および波長合分波手段の損失を無視できるほど大きい場合には、[数1]および[数2]から波長帯域間に設けるプリエンファシスの各量を計算することができる。この場合には、誘導ラマン散乱により短波長帯域側の光パワーが長波長帯域側に移行するので、図4(a)に示すように、第1波長帯域の光パワーを一番大きくし、第2波長帯域の光パワーと第3波長帯域の光パワーを順次小さくすればよい。
【0052】
一方、伝送路の損失および波長合分波手段の損失を無視できない場合には、伝送路の損失および波長合分波手段の損失を実測して図3(c)および(d)に相当する図を作成する。そして、これら図3(b)ないし(d)を用いて、波長帯域間に設けるプリエンファシスの各量を計算することができる。この場合には、各損失の大小関係によって、様々な場合があり、図4(a)に示すように、第1波長帯域、第2波長帯域第3波長帯域の順に順次その光パワーが小さくなるように設定する場合、あるいは、図4(b)に示すように、第1波長帯域、第3波長帯域、第2波長帯域の順に順次その光パワーが小さくなるように設定する場合などがある。
【0053】
また、各波長帯域に対する光増幅手段間に光増幅手段の雑音パワーに差がない場合または差があっても無視できる場合には、上述のように誘導ラマン散乱、伝送路の損失および波長多重手段の損失を考慮して波長帯域間にプリエンファシスを設けることにより、伝送後における波長帯域間の光パワーをほぼ同一にすることができるので、SNRを改善することができる。
【0054】
一方、図3(e)に示すように各波長帯域に対する光増幅手段間に光増幅手段の雑音パワーに無視できない差がある場合には、この光増幅手段による雑音パワーがそのまま伝送されるので、伝送後における波長帯域の光パワーからその波長帯域を増幅する光増幅手段の雑音パワーを除去した光パワーで波長帯域間のプリエンファシスを調整すれば、SNRをさらに改善することができる。この光増幅手段の雑音パワーの除去は、光増幅手段の雑音パワーと波長帯域の光パワーとをデシベル単位に揃えることにより、波長帯域の光パワーから光増幅手段の雑音指数を引くことによって除去することができる。
【0055】
さらに、波長帯域間のプリエンファシスは、各波長帯域おけるチャネル数が多いほどおよび波長帯域が広いほど1つの波長帯域内の光パワーはより大きくなるから、短波長側の波長帯域の光パワーと長波長側の波長帯域の光パワーとの差をより大きく設ける。
【0056】
上述のように誘導ラマン散乱、光伝送路の損失および波長合分波手段の損失が予め計測できる場合には、制御手段7で上述の原理の基づく制御を行えばよい。
また、上述の原理は、本発明に関連した第10ないし第31の技術の原理でもある。
したがって、本発明に関連した第1ないし第9の技術にかかる複合光増幅装置1、2では、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を複合光増幅手段6から一定距離までの間に光伝送路10中で生じる光パワーの変動を考慮して制御手段7によって予め制御するので、一定距離伝送後の各波長帯域の光パワーがほぼ同一になる。そのため、入射光をWDM光信号とした場合には、地点AでSNRの劣化を改善することができる。ここで、地点AにWDM方式光信号を受信・処理する光受信装置を設ければ、各波長帯域のSNRが均一化されるので、この複合光増幅装置1、2と光受信装置で構成される光伝送システムにおいて、このシステム全体の性能を向上することができる。
【0057】
(本発明に関連した第10の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第10の技術では、既述の第4ないし第5の技術にかかる複合光増幅装置1、2において、入射される光は、第1波長帯域および第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のそれぞれにWDM方式光信号を設けられた2波長帯域WDM方式光信号であって、制御手段7は、第1波長帯域おけるWDM方式光信号のチャンネル数が増減した場合または第2波長帯域おけるWDM方式光信号のチャンネル数が増減した場合に、各光増幅手段5-1〜5-2で増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝送した場合のこの地点における各波長帯域のWDM方式光信号の光パワーが互いにほぼ同一になるように、第1波長帯域のWDM方式光信号を増幅する光増幅手段5-1の出力を増減させまたは第2波長帯域のWDM方式光信号を増幅する光増幅手段5-2の出力を増減させる制御手段で構成する。
【0058】
(本発明に関連した第11の技術)
図2において、本発明に関連した第11の技術では、既述の第5の技術にかかる複合光増幅装置2において、波長分波手段8に接続され、入射される光を伝送する光伝送路11と、波長分波手段8に接続され、光伝送路11中で誘導ラマン散乱により入射される光に光パワーを供給する励起光源9とをさらに備え、入射される光は、第1波長帯域および第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のそれぞれには複数の互いに異なる波長の光信号からなるWDM方式光信号であり、波長分波手段8は、さらに励起光源9からの光を光伝送路11に射出する波長分波手段であり、制御手段7は、第1波長帯域おけるWDM方式光信号のチャンネル数が増減した場合または第2波長帯域おけるWDM方式光信号のチャンネル数が増減した場合に、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝送した場合のこの地点における各波長帯域のWDM方式光信号の光パワーが互いにほぼ同一になるように、第1波長帯域のWDM方式光信号を増幅する光増幅手段の出力を増減させまたは第2波長帯域のWDM方式光信号を増幅する光増幅手段の出力を増減させる制御手段で構成する。
【0059】
図5(a)は、第1波長帯域のチャネル数をmからm+kにする場合を示す図である。図5(b)は、第1波長帯域のチャネル数をmからm−kにする場合を示す図である。
図6(a)は、第2波長帯域のチャネル数をmからm+kにする場合を示す図である。図6(b)は、第2波長帯域のチャネル数をmからm−kにする場合を示す図である。
【0060】
図5および図6の各図における縦軸は、光パワーを示し、横軸は、波長を示す。
これら図5および図6を用いて、本発明に関連した第10および第11の技術を構成する制御手段7の制御について説明する。
まず、第1波長帯域のチャネル数を増減した場合の制御について説明する。
【0061】
図5(a)、(b)において、左側に示すように、第1波長帯域のm波のWDM方式光信号が設定され、第2波長帯域にL波のWDM方式光信号が設定され、各チャネルの光パワーは、P0 であるとする。
この場合から、第1波長帯域のチャネル数をmからm+kに増加させた場合には、第1波長帯域の光パワーが増加するから図5(a)の右側に示すように、制御手段7の制御は、次の3通りある。
【0062】
すなわち、第1は、図5(a)の右側上段に示すように、第1波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 から減少させて、第2波長帯域の光パワーをP0 に維持する場合である。第2は、図5(a)の右側中段に示すように、第1波長帯域の光パワーをP0 に維持し、第2波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 より増加させる場合である。第3は、図5(a)の右側下段に示すように、第1波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 から減少させるとともに第2波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 より増加させる場合である。
【0063】
一方、図5(b)の左側の場合から、第1波長帯域のチャネル数をmからm−kにする場合には、第1波長帯域の光パワーが減少するから図5(b)の右側に示すように、制御手段7の制御は、次の3通りある。
第1は、図5(b)の右側上段に示すように、第1波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 から増加させて、第2波長帯域の光パワーをP0 に維持する場合である。第2は、図5(b)の右側中段に示すように、第1波長帯域の光パワーをP0 に維持し、第2波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 より減少させる場合である。第3は、図5(a)の右側下段に示すように、第1波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 から増加させるとともに第2波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 より減少させる場合である。
【0064】
次に、第2波長帯域のチャネル数を増減した場合の制御について説明する。
図6(a)、(b)において、左側に示すように、第1波長帯域のm波のWDM方式光信号が設定され、第2波長帯域にL波のWDM方式光信号が設定され、各チャネルの光パワーはP0 であるとする。
【0065】
この場合から、第2波長帯域のチャネル数をLからL+hに増加させた場合には、第2波長帯域の光パワーが増加するから図6(a)の右側に示すように、制御手段7の制御は、次の3通りある。
すなわち、第1は、図6(a)の右側上段に示すように、第1波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 から増加させて、第2波長帯域の光パワーをP0 に維持する場合である。第2は、図6(a)の右側中段に示すように、第1波長帯域の光パワーをP0 に維持し、第2波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 より減少させる場合である。第3は、図6(a)の右側下段に示すように、第1波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 から増加させるとともに第2波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 より減少させる場合である。
【0066】
一方、図6(b)の左側の場合から、第1波長帯域のチャネル数をLからL−hにする場合には、第2波長帯域の光パワーが減少するから図6(b)の右側に示すように、制御手段7の制御は、次の3通りある。
第1は、図6(b)の右側上段に示すように、第1波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 から減少させて、第2波長帯域の光パワーをP0 に維持する場合である。第2は、図6(b)の右側中段に示すように、第1波長帯域の光パワーをP0 に維持し、第2波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 より増加させる場合である。第3は、図6(b)の右側下段に示すように、第1波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 から減少させるとともに第2波長帯域の1チャネルあたりの光パワーをP0 より増加させる場合である。
【0067】
このように図5(a)、(b)、図6(a)、(b)の各々の場合において、それぞれ3通りの制御があるが、制御手段7には、この3通りの制御の中から1つを選択して行わせる。
ここで、上述の各場合において、1チャネルあたりの光パワーをP0 より増減させる量は、増減するチャネル数k、h、第1波長帯域および第2波長帯域の波長、基準となる光パワーP0 、各波長帯域の光パワーを同一にしたい所定の地点までの伝送距離などの値から決定される。
【0068】
本発明に関連した第10および第11の技術では、制御手段7によって各波長帯域の光パワーを上述のように制御するので、WDM方式光信号のチャネル数が増減した場合にでも確実に所定の地点における各波長帯域の光パワーを同一にすることができる。このため、2波長帯域WDM方式光信号のSNRの劣化を改善することができる。
【0069】
(本発明に関連した第12の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第12の技術では、既述の第4または第5の技術にかかる複合光増幅装置1、2において、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各波長帯域の光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じてこの地点における各波長帯域の光パワーが互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0070】
(本発明に関連した第13の技術)
図2において、本発明に関連した第13の技術では、既述の第5の技術にかかる複合光増幅装置2において、波長分波手段8に接続され、入射される光を伝送する光伝送路11と、波長分波手段8に接続され、光伝送路11中で誘導ラマン散乱により入射される光に光パワーを供給する励起光源9とをさらに備え、波長分波手段8は、さらに励起光源9からの光を光伝送路11に射出する波長分波手段であり、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各波長帯域の光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じてこの地点における各波長帯域の光パワーが互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0071】
(本発明に関連した第14の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第14の技術では、既述の第4または第5の技術にかかる複合光増幅装置1、2において、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各波長帯域の光パワーを検出する検出部を備え、この検出部の出力に応じてこの地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0072】
(本発明に関連した第15の技術)
図2において、本発明に関連した第15の技術では、既述の第5にかかる複合光増幅装置2において、波長分波手段8に接続され、入射される光を伝送する光伝送路11と、波長分波手段8に接続され、光伝送路11中で誘導ラマン散乱により入射される光に光パワーを供給する励起光源9とをさらに備え、波長分波手段8は、さらに励起光源9からの光を光伝送路11に射出する波長分波手段であり、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各波長帯域の光パワーを検出する検出部を備え、この検出部の出力に応じてこの地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0073】
本発明に関連した第12および第15の技術を構成する制御手段7は、所定の地点における各波長帯域の光パワーを実際に検出して、その検出結果に基づいて各光増幅手段5-1〜5-nの出力をフィードバック制御する。このため、本発明に関連した第12および第13の技術では、確実に所定の地点における各波長帯域の光パワーをほぼ同一にすることができる。そして、本発明に関連した第14および第15の技術では、各光増幅手段5-1〜5-nの雑音を考慮した上で確実に所定の地点における各波長帯域の光パワーを調整することができる。
【0074】
雑音の除去は、デジベル単位で検出部の地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音指数を引くことによって除去することができ、この除去後の値が互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御すればよい。
特に、各波長帯域の光パワーを変動させる要因が、誘導ラマン散乱、光伝送路の損失および波長多重手段6の他にも存在する場合に効果的である。
【0075】
また、誘導ラマン散乱、光伝送路の損失および波長多重手段の損失が予め計測できる場合には、この計測値から図3を用いて説明した原理に基づく各波長帯域に設けるプリエンファシスの目標値を蓄積し、検出部の出力からこの出力に対応する目標値を参照し、この目標値により各光増幅手段5-1〜5-nの出力をフィードバック制御すれば、制御を迅速に収束させることができる。
【0076】
(本発明に関連した第16の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第16の技術では、既述の第4または第5の技術にかかる複合光増幅装置1、2において、入射する光は、複数の波長帯域のそれぞれにWDM方式光信号を設けられたn波長帯域WDM方式光信号であって、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における最短波長のチャネルの光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じてその地点における各波長帯域のWDM方式光信号の光パワーが互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0077】
(本発明に関連した第17の技術)
図2において、本発明に関連した第17の技術では、既述の第5に記載の複合光増幅装置2において、波長分波手段8に接続され、入射される光を伝送する光伝送路11と、波長分波手段8に接続され、光伝送路11中で誘導ラマン散乱により入射される光に光パワーを供給する励起光源9とをさらに備え、入射する光は、複数の波長帯域のそれぞれにWDM方式光信号を設けられたn波長帯域WDM方式光信号であり、波長分波手段8は、さらに励起光源9からの光を光伝送路11に射出する波長分波手段であり、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における最短波長のチャネルの光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じてその地点における各波長帯域のWDM方式光信号の光パワーが互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0078】
(本発明に関連した第18の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第18の技術では、既述の第4または第5の技術にかかる複合光増幅装置1、2において、入射する光は、複数の波長帯域のそれぞれにWDM方式光信号を設けられたn波長帯域WDM方式光信号であって、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における最短波長のチャネルの光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じてこの地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0079】
(本発明に関連した第19の技術)
図1および図2において、本発明に関連した第19の技術では、既述の第5の技術にかかる複合光増幅装置2において、波長分波手段8に接続され、入射される光を伝送する光伝送路11と、波長分波手段8に接続され、光伝送路11中で誘導ラマン散乱により入射される光に光パワーを供給する励起光源9とをさらに備え、入射する光は、複数の波長帯域のそれぞれにWDM方式光信号を設けられたn波長帯域WDM方式光信号であり、波長分波手段8は、さらに励起光源9からの光を光伝送路11に射出する波長分波手段であり、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における最短波長のチャネルの光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じてこの地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0080】
本発明に関連した第16ないし第19の技術を構成する制御手段7は、所定の地点における最短波長のチャネルの光パワーを実際に検出して、その検出結果に基づいて各光増幅手段5-1〜5-nの出力をフィードバック制御する。誘導ラマン散乱は、[数1]に示すように短波長の光パワーが長波長側に移行する現象であるので、最短波長のチャネルの光パワーを検出することによって、所定の地点における各波長帯域の光パワーを[数1]などによって計算することができる。このため、本発明に関連した第16および第17の技術では、確実に所定の地点における各波長帯域の光パワーをほぼ同一にすることができる。そして、本発明に関連した第18および第19の技術では、各光増幅手段5-1〜5-nの雑音指数を考慮した上で確実に所定の地点における各波長帯域の光パワーを調整することができる。
【0081】
(本発明に関連した第20の技術)
図7は、本発明に関連した技術の第4の原理構成を示す図である。
図7において、本発明に関連した第20の技術にかかるn波長帯域WDM方式光信号送信装置3では、複数の光信号生成手段13-1〜13-nは、所定の波長帯域ごとに設けられ、この波長帯域にWDM方式光信号を生成する。
【0082】
複数の光増幅手段5-1〜5-nは、各光信号生成手段13-1〜13-nごとに接続され、光信号生成手段13-1〜13-nが生成したWDM方式光信号における波長帯域の光を増幅する。
制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点、例えば、このn波長帯域WDM方式光信号送信装置3から一定距離離れた光伝送路上の地点Aまで伝搬した場合に、この地点Aにおける各波長帯域の光パワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御する。
【0083】
そして、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光は、波長多重手段6に入射され、この波長多重手段6で波長多重されて、波長多重手段6に接続する光伝送路10に射出される。
(本発明に関連した第21の技術)
図7において、本発明に関連した第21の技術では、既述の第19の技術にかかるn波長帯域WDM方式光信号送信装置3において、制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御する制御手段で構成する。
【0084】
(本発明に関連した第22の技術)
図7において、本発明に関連した第22の技術では、既述の第20または第21の技術にかかるn波長帯域WDM方式光信号送信装置3において、制御手段7の制御量は、このn波長帯域WDM方式光信号送信装置の射出側に接続される光伝送路10における誘導ラマン散乱、光伝送路の損失および波長多重手段の損失のうちの少なくとも1つに基づいて決定されることで構成する。
【0085】
(本発明に関連した第23の技術)
図7において、本発明に関連した第23の技術では、既述の第20の技術にかかるn波長帯域WDM方式光信号送信装置3において、制御手段7は、各光増幅手段で増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、地点における各波長帯域の光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じて地点における各波長帯域の光パワーが互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0086】
(本発明に関連した第24の技術)
図7において、本発明に関連した第24の技術では、既述の第20の技術にかかるn波長帯域WDM方式光信号送信装置3において、制御手段7は、各光増幅手段で増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、地点における各波長帯域の光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じて地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0087】
(本発明に関連した第25の技術)
図7において、本発明に関連した第25の技術では、既述の第20の技術にかかるn波長帯域WDM方式光信号送信装置3において、制御手段7は、各光増幅手段で増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝搬した場合に、地点における最短波長のチャネルの光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じて地点における各波長帯域の光パワーが互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0088】
(本発明に関連した第26の技術)
図7において、本発明に関連した第26の技術では、既述の第20の技術にかかるn波長帯域WDM方式光信号送信装置3において、制御手段7は、各光増幅手段で増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝搬した場合に、地点における最短波長のチャネルの光パワーを検出する検出部を備え、検出部の出力に応じて地点における各波長帯域の光パワーから各光増幅手段5-1〜5-nの雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ同一になるように各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御することで構成する。
【0089】
(本発明に関連した第27の技術)
図7において、本発明に関連した第27の技術では、第1波長帯域にWDM方式光信号を生成する第1光信号生成手段13-1と、第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域にWDM方式光信号を生成する第2光信号生成手段13-2と、第1光信号生成手段に接続され、第1波長帯域の光を増幅する第1光増幅手段5-1と、第2光信号生成手段に接続され、第2波長帯域の光を増幅する第2光増幅手段5-2と、第1波長帯域おけるWDM方式光信号のチャンネル数が増減した場合または第2波長帯域おけるWDM方式光信号のチャンネル数が増減した場合に、各光増幅手段5-1、5-2で増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝送した場合のこの地点における各波長帯域のWDM方式光信号の光パワーが互いにほぼ同一になるように、第1光増幅手段5-1の出力を増減させまたは第2光増幅手段5-2の出力を増減させる制御手段7と、第1光増幅手段5-1で増幅された第1波長帯域のWDM方式光信号と第2光増幅手段5-2で増幅された第2波長帯域のWDM方式光信号とを波長多重して射出する波長多重手段6とを備えて構成する。
【0090】
上述した第20ないし第27の技術では、既述の第1ないし第19の技術にかかる複合光増幅装置1、2における各光増幅手段5-1〜5-nに対応するように光信号生成手段13-1〜13-nをさらに備えて構成される点で、第1ないし第19の技術と異なる。所定の地点において各波長帯域の光パワーをほぼ同一にする作用効果および各光増幅手段5-1〜5-nの雑音指数を考慮して所定の地点において各波長帯域の光パワーを調整する作用効果は、これら第1ないし第19の技術と同様なので、その説明を省略する。
【0091】
(本発明に関連した第28の技術)
本発明に関連した第28の技術では、光信号を生成して送信する光送信装置とこの光送信装置に接続され光信号を伝送する光伝送路とこの光伝送路に接続され光伝送路を伝送した光信号を受信・処理する光受信装置と光伝送路の間に少なくとも1つ接続され光伝送路を伝送する光信号を増幅する光増幅装置とからなる光伝送システムにおいて、光増幅装置は、既述の第1ないし第19の技術のいずれかにかかる複合光増幅装置で構成する。
【0092】
本発明に関連した第28の技術では、光伝送システムの中継局である光増幅装置に既述の第1ないし第19の技術のいずれかにかかる複合光増幅装置を使用するので、所定の地点を次の中継局または光受信装置にすることにより、n波長帯域WDM方式光信号における各波長帯域の光パワーは、この中継局または光受信装置でほぼ同一にすることができる。このため、中継局または光受信装置で受信されるn波長帯域WDM方式光信号のSNRの劣化を改善することができる。
【0093】
したがって、このような構成の光伝送システムでは、超長距離伝送をすることができる。
(本発明に関連した第29の技術)
図8は、本発明に関連した技術の第5の原理構成を示す図である。
図8において、本発明に関連した第29の技術では、光信号を生成して送信する光送信装置4と光送信装置4に接続され光信号を伝送する光伝送路10と光伝送路10に接続され光伝送路10を伝送した光信号を受信・処理する光受信装置14とからなる光伝送システムにおいて、光受信装置14は、光信号のスペクトルを検出してこの検出結果を光送信装置4に出力するスペクトル検出手段17-1〜17-nを備える。
【0094】
そして、光送信装置4は、複数のプリエンファシス光信号生成手段15-1〜15-nと複数の光増幅手段5-1〜5-nと制御手段7と波長多重手段6とを備える。この複数の複数のプリエンファシス光信号生成手段15-1〜15-nは、所定の波長帯域ごとに設けられ、この波長帯域内においてスペクトル検出手段17-1〜17-nからの検出結果に基づいて光パワーを調整した各光信号を波長多重してWDM方式光信号を生成する。
【0095】
複数の光増幅手段5-1〜5-nは、各プリエンファシス光信号生成手段15-1〜15-nごとに接続され、それぞれ、プリエンファシス光信号生成手段15-1〜15-nが生成したWDM方式光信号の波長帯域の光を増幅する。
制御手段7は、各光増幅手段5-1〜5-nで増幅された各波長帯域のWDM方式光信号が所定の地点まで伝送した場合に、この地点における各波長帯域のWDM方式光信号の光パワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段5-1〜5-nの出力を制御する。
【0096】
波長多重手段6は、各光増幅手段5-1〜5-nとで増幅された各波長帯域のWDM方式光信号を波長多重して射出する。
ここで、本発明に関連した第29の技術では、伝送距離が長いために図8に示すように光伝送路の間に伝送する光信号を増幅する光増幅装置、例えば、本願にかかる複合光増幅装置2を接続した光伝送システムにおいても適用することができる。
【0097】
図9は、本発明に関連した第29の技術の動作を説明するための図である。
図9(a)は、図8に基づいて、本発明に関連した第29の技術の原理構成の概略を示す図である。図9(b)は、光伝送路上の各地点におけるスペクトルを示す図であり、各地点は、図9(a)に示すように左から光送信装置4の射出端、この光伝送システムにおける最初の中継装置である複合光増幅装置2A の入射端、この複合光増幅装置2A の射出端、そして、光受信装置14の入射端である。図9(c)は、本発明に関連した第29の技術の効果を説明するために、光送信装置4が波長帯域内のプリエンファシスを行わないで波長帯域間のプリエンファシスのみを行った場合に、図9(b)と同様の地点におけるスペクトルを示す図である。
【0098】
なお、各図の縦軸は、光パワーであり、横軸は、波長である。また、以下の本発明に関連した第29の技術における作用効果の説明は、説明を簡単にするため、n波長帯域WDM方式光信号が第1波長帯域WDM方式光信号と第2波長帯域WDM方式光信号との2波長帯域WDM方式光信号である場合について説明するが、任意のWDM方式光信号を波長多重したn波長帯域WDM方式光信号の場合も同様に説明することができる。
【0099】
図8および図9において、第1波長帯域WDM方式光信号は、光送信装置4によって各光信号の光パワーを変えた波長帯域内のプリエンファシスを施される。そして、第2波長帯域WDM方式光信号は、光送信装置4によって各光信号の光パワーを変えた波長帯域内のプリエンファシスを施される。
【0100】
光増幅手段を備える光伝送システムでは、必然的にASEによる雑音が光信号に重畳される。そして、このASEが波長依存性を持っているため、波長の異なる各光信号を波長多重するWDM方式光信号においては、各光信号に重畳される雑音が異なることになる。このため、WDM方式光信号の各光信号は、互いにSNRが異なる。光受信装置では、互いにSNRの異なる光信号を受信・処理することになるので、結局、最悪のSNRである光信号に合わせて受信・処理することになる。そこで、光受信装置における各光信号のSNRの偏差がなくなるように、光送信装置において最悪のSNRである光信号の光パワーを最も大きくするなどの各光信号の光パワーを調整すれば、このSNRの偏差を補償することができる。特に、光受信装置における光信号の中で最良のSNRである光信号のSNRになるように、光送信装置において各光信号の光パワーを調整すれば、光受信装置は、最良のSNRであって互いにほぼ同一のSNRである光信号を受信できる。
【0101】
よって、これら波長帯域内のプリエンファシスは、光受信装置14内に設けられるスペクトル検出手段17-1、17-2の検出結果によって、上述のように光送信装置4において各光信号の光パワーが調整される。
そして、光送信装置4は、各WDM方式光信号に波長帯域内のプリエンファシスを施した後に、制御手段7によって利得を制御された光増幅手段5-1、5-2によって波長帯域間のプリエンファシスを施す。
【0102】
ここで、この波長帯域間のプリエンファシスは、図3および図4を用いて説明した波長帯域間のプリエンファシスと同様なので、その説明を省略する。なお、この波長帯域間のプリエンファシスを施す場合の調整は、WDM方式光信号の光パワーの総計を用いても、図9に示すようにWDM方式光信号の光パワーの平均を用いてもよい。
【0103】
このように第1波長帯域WDM方式光信号と第2波長帯域WDM方式光信号は、波長帯域内のプリエンファシスと波長帯域間のプリエンファシスとを施された後に波長多重手段6によって波長多重され、図9(b)の左から1番目の図に示すように2波長帯域WDM方式光信号となって、光送信装置4から光伝送路に射出される。
【0104】
複合光増幅装置2A の入射端では、2波長帯域WDM方式光信号は、光伝送路の誘導ラマン散乱や損失などによってWDM方式光信号の光パワーが変化するが、波長帯域間のプリエンファシスを施しているので、図9(b)の左から2番目の図に示すように、第1波長帯域WDM方式光信号の光パワーと第2波長帯域WDM方式光信号の光パワーとは、ほぼ同一である。このため各光信号のSNRは、波長帯域間のプリエンファシスを施さない場合よりも改善される。
【0105】
そして、複合光増幅装置2A の射出端では、2波長帯域WDM方式光信号は、図9(b)の左から3番目の図に示すように、複合光増幅装置2A によって波長帯域間のプリエンファシスを施された上で増幅されて、光伝送路に射出される。
光受信装置14の入射端では、順次に複合光増幅装置2によって波長帯域間のプリエンファシスを施された上で増幅された2波長帯域WDM方式光信号が入射される。入射される2波長帯域WDM方式光信号の各光信号は、図9(b)の左から4番目の図に示すように、波長帯域内のプリエンファシスとを施されているので、光送信装置4内、複合光増幅装置2内および光受信装置14内の光増幅手段によるASEから生じるSNRの劣化を改善することができる。さらに、波長帯域間のプリエンファシスも施しているので、誘導ラマン散乱などによる波長帯域間の偏差によるSNRの劣化も改善することができる。
【0106】
一般的に光増幅器の利得および雑音指数の波長特性が一様で、光伝送路のファイバ区間が等距離の場合で、波長帯域内のプリエンファシスにより受信側での各チャネルのSNRを均一にした場合、光パワーの傾きについては、送信側と逆の傾きで傾きの絶対値が同程度になるようにする。
一方、光送信装置4が波長帯域内のプリエンファシスを施さないで波長帯域間のプリエンファシスのみを施した場合には、光送信装置4の射出端では、図9(c)の左から1番目の図に示すように、各波長帯域のWDM方式光信号は、各光信号の光パワーが同じである。
【0107】
このような2波長帯域WDM方式光信号を図9(c)の左から2番目および3番目の図に示すように、複合光増幅装置2によって波長帯域間のプリエンファシスを施された上で増幅して伝送すると、光受信装置14の入射端では、図9(c)の左から4番目の図に示すように、波長帯域間の偏差によるSNRは、改善されるが、波長帯域内のSNRは、残ることになる。
【0108】
したがって、本発明に関連した第29の技術にかかる光伝送システムでは、より超長距離伝送をすることができる。
(本発明に関連した第30の技術)
本発明に関連した第30の技術では、入射される光の波長帯域ごとに設けられる複数の光増幅手段で各波長帯域の光を増幅し、増幅された各波長帯域の光を波長多重して射出する光増幅方法において、各光増幅手段で増幅された各波長帯域の光が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各波長帯域の光パワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段の出力を制御することで構成する。
【0109】
(本発明に関連した第31の技術)
本発明に関連した第31の技術では、波長帯域ごとにWDM方式光信号を光信号生成手段で生成し、入射される光の波長帯域ごとに設けられる複数の光増幅手段で生成された各WDM方式光信号を増幅し、増幅された各WDM方式光信号を波長多重して射出する光増幅方法において、各WDM方式光信号において光信号ごとに光パワーを変えるように、光信号生成手段の出力を制御して波長帯域内プリエンファシスを施し、各光増幅手段で増幅された各WDM方式光信号が所定の地点まで伝搬した場合に、この地点における各WDM方式光信号の光パワーが互いにほぼ同一になるように、各光増幅手段の出力を制御することで構成する。
【0110】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明における実施の形態について説明する。
(第1の実施形態の構成)
第1の実施形態は、既述の第1ないし第5、第7、第9、第12、第14、第16、第18、第20ないし第28、および、第30の技術に対応する光伝送システムの実施形態である。
【0111】
この光伝送システムは、3波長帯域WDM方式光信号を3波長帯域WDM方式光信号送信装置で生成して、この光信号を複合光増幅装置で多段中継し、3波長帯域WDM方式光信号受信装置で受信・処理するものである。この3波長帯域WDM方式光信号は、S+ −bandの波長帯域に設定されたチャネル数sのWDM方式光信号とC−bandの波長帯域に設定されたチャネル数tのWDM方式光信号とL−bandの波長帯域に設定されたチャネル数uのWDM方式光信号とからなる。
【0112】
図10は、第1の実施形態における光伝送システムの全体構成を示す図である。
図11は、第1の実施形態の光伝送システムにおける複合光増幅装置の構成を示す図である。
図10において、s個の光信号生成部20-1〜20-sは、S+−band のチャネル1からチャンネルsに対応する光信号を各々生成する。これら光信号生成部20-1〜20-sは、それぞれ、例えば、チャネルに割り当てられた波長のレーザ光を発振する半導体レーザとこのレーザ光を送信すべき情報で変調するMZとこれら半導体レーザおよびMZを駆動・制御する制御部とで構成することができる。また、半導体レーザは、分布帰還型レーザや分布ブラッグ反射型レーザなど種々の半導体レーザを使用することができる。
【0113】
これら光信号生成部20-1〜20-sで生成された光信号は、入射する各波長の光信号を波長多重してWDM方式光信号に変換するWDMカプラ21-1に入射される。WDMカプラ21-1から射出されたWDM方式光信号は、TDFA22に入射され、増幅される。WDMカプラ21-1として、例えば、干渉フィルタ形光合波・分波器である誘電体多層膜フィルタやAWGが使用される。後述する他のWDMカプラも同様である。
【0114】
TDFA22は、後述する監視制御回路28によって出力が制御され、その結果、このS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーが制御される。この光パワーを制御されたS+ −bandのWDM方式光信号は、WDMカプラ25に入射される。
そして、t個の光信号生成部20-s+1〜21-s+tは、C−bandのチャネル1からチャンネルtに対応する光信号を各々生成する。
【0115】
これら光信号生成部20-s+1〜20-s+tで生成された光信号は、入射する各波長の光信号を波長多重してWDM方式光信号に変換するWDMカプラ21-2に入射される。WDMカプラ21-2から射出されたWDM方式光信号は、監視制御回路28によってその出力が制御されるEDFA23に入射され、増幅される。この光パワーを制御されたC−bandのWDM方式光信号は、WDMカプラ25に入射される。
【0116】
さらに、u個の光信号生成部20-s+t+1〜20-s+t+uは、L−band のチャネル1からチャンネルuに対応する光信号を各々生成する。
これら光信号生成部20-s+t+1〜20-s+t+uで生成された光信号は、入射する各波長の光信号を波長多重してWDM方式光信号に変換するWDMカプラ21-3に入射される。WDMカプラ21-3から射出されたWDM方式光信号は、GS−EDFA24に入射され、監視制御回路28によってその出力が制御され、増幅される。この光パワーを制御されたL−bandのWDM方式光信号は、WDMカプラ25に入射される。
【0117】
ここで、WDMカプラ25は、図3(d)で説明したように波長帯域ごとに挿入損失が異なる。そこで、SNRをより改善する観点から、TDFA22、EDFA23およびGS−EDFA24の間において雑音指数が互いに異なる場合には、雑音指数が最も劣る希土類元素添加光ファイバ増幅器で増幅されたWDM方式光信号をWDMカプラ25の挿入損失の最も少ない波長帯域に入射させるとよい。
【0118】
TDFA22、EDFA23、GS−EDFA24の構成については、図11に示す複合光増幅装置の構成とほぼ同一であるので、複合光増幅装置の詳細を説明する際に併せて説明する。
また、これらs、tおよびuの各数値は、いずれの数値でもよく、sの最大値は、この波長帯域を増幅するTDFA22の増幅波長特性とチャネルの波長間隔で、tの最大値は、この波長帯域を増幅するEDFA23の増幅波長特性とチャネルの波長間隔で、uの最大値は、この波長帯域を増幅するGS−EDFAの増幅波長特性とチャネルの波長間隔で、それぞれ決定される。
【0119】
これらWDMカプラ25に入射した、S+ −bandのWDM方式光信号とC−bandのWDM方式光信号とL−bandのWDM方式光信号とは、このWDMカプラ25で波長多重され、3波長帯域WDM方式光信号となって光伝送路である光ファイバ48-1に射出され、次段の中継装置に伝送される。
光ファイバ48-1は、次段の中継装置内の干渉フィルタ形光合波・分波器であるWDMカプラ31A に接続される。光ファイバ48-1を伝送してWDMカプラ31A に入射された3波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ31A で各バンドごとに波長分離される。
【0120】
WDM31A で分離されたS+ −bandのWDM方式光信号は、光を、例えば、光パワーを10:1の割合で2つに分けるカプラ27-1に入射される。カプラ27-1で分けられた光パワーの小さい方のWDM方式光信号は、光パワーを計測する光パワーメータ26-1に入射され、S+ −bandのWDM方式光信号のパワーが計測される。計測された結果は、前段の監視制御回路28に送信される。一方、カプラ27-1で分けられた光パワーの大きい方のWDM方式光信号は、TDFA32A に射出される。
【0121】
そして、WDM31A で分離されたC−bandのWDM方式光信号は、カプラ27-2、光パワーメータ26-2およびEDFA33A からなる上述と同様の構成により、C−bandのWDM方式光信号のパワーが計測され、あるいは、EDFA33A に射出される。また、計測された結果は、前段の監視制御回路28に送信される。
【0122】
さらに、WDM31A で分離されたL−bandのWDM方式光信号は、カプラ27-3、光パワーメータ26-3およびGS−EDFA34A からなる上述と同様の構成により、C−bandのWDM方式光信号のパワーが計測され、あるいは、EDFA33A に射出される。また、計測された結果は、前段の監視制御回路28に送信される。
【0123】
監視制御回路28は、これら光パワーメータ26-1〜26-3の出力を受信して、各バンドの光パワーの差を算出し、この差がなくなるように各バンドを増幅するTDFA22、EDFA23、GS−EDFA24の出力をそれぞれ調節する。
一方、TDFA32A に入射したS+ −bandのWDM方式光信号は、このTDFA32A で増幅され、WDMカプラ35A に入射される。TDFA32A は、後述する監視制御回路38A によって出力が制御され、その結果、このS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーが制御される。
【0124】
そして、EDFA33A に入射したC−bandのWDM方式光信号は、監視制御回路38A によって出力が制御されるEDFA33A で増幅され、WDMカプラ35A に入射される。
さらに、GS−EDFA34A に入射したL−bandのWDM方式光信号は、監視制御回路38A によって出力が制御されるGS−EDFA34A で増幅され、WDMカプラ35A に入射される。
【0125】
光パワーを制御されてWDMカプラ35A に入射した各バンドのWDM方式光信号は、このWDMプラ35A で波長多重されて再び3波長帯域WDM方式光信号となって、光伝送路である光ファイバ48-2に射出され、次段の中継装置に伝送される。
光ファイバ48-2は、次段の中継装置内の干渉フィルタ形光合波・分波器であるWDMカプラ31B に接続される。光ファイバ48-2を伝送してWDMカプラ31B に入射された3波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ31B で各バンドごとに波長分離される。
【0126】
WDM31B で分離されたS+ −bandのWDM方式光信号は、光を、例えば、光パワーを10:1の割合で2つに分けるカプラ37A-1 に入射される。カプラ37A-1 で分けられた光パワーの小さい方のWDM方式光信号は、光パワーを計測する光パワーメータ36A-1 に入射され、S+ −bandのWDM方式光信号のパワーが計測される。計測された結果は、前段の監視制御回路38A に送信される。一方、カプラ37A-1 で分けられた光パワーの大きい方のWDM方式光信号は、TDFA32B に射出される。
【0127】
そして、WDM31B で分離されたC−bandのWDM方式光信号は、カプラ37A-2 、光パワーメータ36A-2 およびEDFA33B からなる上述と同様の構成により、C−bandのWDM方式光信号のパワーが計測され、あるいは、EDFA33B に射出される。また、計測された結果は、前段の監視制御回路38A に送信される。
【0128】
さらに、WDM31B で分離されたL−bandのWDM方式光信号は、カプラ37A-3 、光パワーメータ36A-3 およびGS−EDFA34B からなる上述と同様の構成により、C−bandのWDM方式光信号のパワーが計測され、あるいは、EDFA33B に射出される。また、計測された結果は、前段の監視制御回路38A に送信される。
【0129】
監視制御回路38A は、これら光パワーメータ36A-1 〜36A-3 の出力を受信し、各バンドの光パワーの差を算出して、この差がなくなるように各バンドを増幅するTDFA32A 、EDFA33A 、GS−EDFA34A の出力をそれぞれ調節する。
一方、TDFA32B に入射したS+ −bandのWDM方式光信号は、このTDFA32B で増幅され、干渉フィルタ形光合波・分波器であるWDMカプラ35B に入射される。TDFA32B は、後述する監視制御回路38B によって出力が制御され、その結果、このS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーが制御される。
【0130】
そして、EDFA33B に入射したC−bandのWDM方式光信号は、監視制御回路38B によって出力が制御されるEDFA33B で増幅され、WDMカプラ35B に入射される。
さらに、GS−EDFA34B に入射したL−bandのWDM方式光信号は、監視制御回路38B によって出力が制御されるGS−EDFA34B で増幅され、WDMカプラ35B に入射される。
【0131】
光パワーを制御されてWDMカプラ35B に入射した各バンドのWDM方式光信号は、このWDMプラ35B で波長多重されて再び3波長帯域WDM方式光信号となって、光伝送路である光ファイバ48-3に射出され、次段の中継装置に伝送される。
以下、同様に、3波長帯域WDM方式光信号は、各バンドごとに分波、光パワーの増幅・制御および波長多重されて、多段中継される。この各バンドごとの光パワーの増幅・制御は、上述のように、次段の複合光増幅装置内の光パワーメータ36-1〜36-3の出力に基づいて制御されるTDFA32、EDFA33、GS−EDFA34によってそれぞれ調整される。
【0132】
最後の中継装置である複合光増幅装置からの3波長帯域WDM方式光信号は、干渉フィルタ形光合波・分波器であるWDMカプラ41に入射され、このWDMカプラ41で各バンドごとに波長分離される。
WDM41で分離されたS+ −bandのWDM方式光信号は、光を、例えば、光パワーを10:1の割合で2つに分けるカプラ37Z-1 に入射される。カプラ37Z-1 で分けられた光パワーの小さい方のWDM方式光信号は、光パワーを計測する光パワーメータ36Z-1 に入射され、S+ −bandのWDM方式光信号のパワーが計測される。計測された結果は、前段の監視制御回路38Z に送信される。一方、カプラ37Z-1 で分けられた光パワーの大きい方のWDM方式光信号は、WDMカプラ45-1に射出される。
【0133】
そして、WDM41で分離されたC−bandのWDM方式光信号は、カプラ37Z-2 、光パワーメータ36Z-2 およびWDMカプラ45-2からなる上述と同様の構成により、C−bandのWDM方式光信号のパワーが計測され、あるいは、WDMカプラ45-2に射出される。また、計測された結果は、前段の監視制御回路38Z に送信される。
【0134】
さらに、WDM41で分離されたL−bandのWDM方式光信号は、カプラ37Z-3 、光パワーメータ36Z-3 およびWDMカプラ45-3からなる上述と同様の構成により、L−bandのWDM方式光信号のパワーが計測され、あるいは、WDMカプラ45-3に射出される。また、計測された結果は、前段の監視制御回路38Z に送信される。
【0135】
WDMカプラ45-1に入射したS+ −bandのWDM方式光信号は、このWDMカプラ45-1で、チャネル1からチャネルsまでチャネルごと波長分離される。波長分離された各チャネルの光信号は、それぞれ光信号受信部46-1〜46-sに射出され、受信・処理される。
そして、同様に、WDMカプラ45-2に入射したC−bandのWDM方式光信号は、このWDMカプラ45-2で、チャネル1からチャネルtまでチャネルごと波長分離される。波長分離された各チャネルの光信号は、それぞれ光信号受信部46-s+1〜46-s+tに射出され、受信・処理される。さらに、WDMカプラ45-3に入射したL−bandのWDM方式光信号は、このWDMカプラ45-3で、チャネル1からチャネルuまでチャネルごと波長分離される。波長分離された各チャネルの光信号は、それぞれ光信号受信部46-s+t+1〜46-s+t+uに射出され、受信・処理される。
【0136】
次に、複合光増幅装置の構成を詳述する。
図11において、光ファイバ48を伝送することによって、前段の複合光増幅装置からの3波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ31に入射され、このWDMカプラ31で各バンドごとに波長分離される。分離されたS+ −bandのWDM方式光信号は、TDFA32内のカプラ37-1に入射される。分離されたC−bandのWDM方式光信号は、EDFA33内のカプラ37-2に入射される。そして、分離されたL−bandのWDM方式光信号は、GS−EDFA34内のカプラ37-3に入射される。
【0137】
これらTDFA32、EDFA33およびGS−EDFA34の各構成は、光を増幅する希土類元素添加光ファイバとこれを励起する励起光源が異なるだけで、同一の構成なので、TDFA32の構成について説明し、EDFA33およびGS−EDFA34の構成については、その相違点のみを説明する。
以下、TDFA32について、説明する。
【0138】
前述したように、カプラ37-1で分けられた光パワーの小さい方のWDM方式光信号は、ホトダイオード(photodiode、以下、「PD」と略記する。)54に入射され、光電変換される。この光電変換された電流値が、S+ −bandのWDM方式光信号の光パワーに相当する値である。PD54は、この光電変換された電流を後述する演算器58とアナログディジタルコンバータ(以下、「A/D」と略記する。)73とに出力する。A/D73は、入力された電流値をアナログ量からディジタル量に変換し、監視制御回路38に出力する。監視制御回路38は、このディジタル量を光信号に変換して、前段の中継装置の監視制御回路に制御回線を使用して伝送する。
【0139】
一方、カプラ37-1で分けられた光パワーの大きい方のWDM方式光信号は、ツリウム添加光ファイバ(以下、「TDF」と略記する。)52に入射される。
TDF52は、LD55からのレーザ光を吸収することによりTDF52内の電子が励起され反転分布を形成する。この反転分布を形成した状態でWDM方式光信号が入射するとこのWDM方式光信号に誘導されて誘導放射が起こり、WDM方式光信号が増幅される。LD55は、LD駆動回路56から供給される駆動電流によってまず半導体レーザをレーザ発振させ、この発振したレーザ光によってさらに固体レーザを発振させて、TDF52を励起するレーザ光を射出する。
【0140】
TDF52で増幅されたWDM方式光信号は、光を、例えば、光パワーを10:1の割合で2つに分けるカプラ53に入射される。カプラ53で分けられた光パワーの小さい方のWDM方式光信号は、PD57に入射され、光電変換される。PD57は、この光電変換された電流を演算器58に出力する。
演算器58は、PD54およびPD57からの電流をそれぞれ抵抗器(図11に不図示)を用いて電圧に変換した後にPD54による電圧とPD57による電圧とを比較し、その差分に応じた出力をLD駆動回路56に出力する。LD駆動回路56は、この演算器56からの出力によってTDF52で増幅されるWDM方式光信号の利得を判断し、その利得が所定の一定値となるようにLD55への駆動電流を調整する。この所定の一定値の変更は、PD54およびPD57からの電流を電圧に変換する前述の各抵抗器間における抵抗値の比率を調整することにより行うことができる。
【0141】
ここで、カプラ37-1およびPD54は、TDF52の利得を一定にするためにTDF52に入射されるWDM方式光パワーを検出する機能と前段の中継装置の監視制御回路へこの中継装置に伝送されてきたWDM方式光信号の光パワーを送信するためにその光パワーを検出する機能との両機能を兼ねている。また、PD54およびA/D73が、図10に示す光パワーメータ36-1に相当する。
【0142】
一方、カプラ53で分けられた光パワーの大きい方のWDM方式光信号は、光可変減衰器(以下、「VAT」と略記する。)59に射出される。VAT59は、入射される光の光パワーを減衰して射出する。そして、その減衰量を可変にすることができる。この減衰量の調整は、後述するVAT駆動回路70によって制御される。
【0143】
VAT59で、光パワーを減衰されたWDM方式光信号は、波長分散を補償する分散補償器(dispersion compensator、以下、「DC」と略記する。)60に入射される。DC60としては、分散補償ファイバ、分散補償グレーティングなどを適用することができる。このDC60は、前段の中継装置とこの中継装置との間の光ファイバによる波長分散を補償するとともに、この中継装置と次段の中継装置との間の光ファイバによる波長分散を補償する。すなわち、中継装置間の光ファイバによる波長分散は、一方の中継装置のみで補償されるのではなく、両中継装置に分担させて補償される。
【0144】
DC60を射出されたWDM方式光信号は、TDF62に入射される。TDF62は、上述と同様にLD65からのレーザ光を吸収することにより、入射されたWDM方式光信号を増幅する。LD65は、LD駆動回路66から供給される駆動電流によってまず半導体レーザをレーザ発振させ、この発振したレーザ光によってさらに固体レーザを発振させて、TDF62を励起するレーザ光を射出する。
【0145】
TDF62で増幅されたWDM方式光信号は、光を4つに分けるカプラ63に入射される。
カプラ63で分けられた第1のWDM方式光信号は、帯域通過フィルタであるファイバグレーティングフィルタ(以下、「FBG」と略記する。)76を介してPD64に入射され、光電変換される。FBG76は、S+ −bandのWDM方式光信号のうちのチャネルs、すなわち、そのバンド内で最長波長のチャネルの光のみ通過するように通過帯域の中心波長を設定する。したがって、PD64で光電変換された電流値は、バンド内で最長波長のチャネルの光パワーに相当する。PD64は、この光電変換された電流を後述する演算器68に出力する。
【0146】
カプラ63で分けられた第2のWDM方式光信号は、FBG77を介してPD67に入射され、光電変換される。FBG77は、S+ −bandのWDM方式光信号のうちのチャネル1、すなわち、そのバンド内で最短波長のチャネルの光のみ通過するように通過帯域の中心波長を設定する。したがって、PD67で光電変換された電流値は、バンド内で最短波長のチャネルの光パワーに相当する。PD67は、この光電変換された電流を演算器68に出力する。
【0147】
カプラ63で分けられた第3のWDM方式光信号は、PD61に入射され、光電変換される。PD61で光電変換された電流値は、TDFA32で増幅されて射出されるS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーに相当し、PD61は、この電流を後述する演算器71に出力する。
カプラ63で分けられた第4のWDM方式光信号は、WDMカプラ35に入射される。ここで、第4のWDM方式光信号が次段の中継装置に伝送される光信号となるから、その光パワーをカプラ63で分けられる第1ないし第3のWDM方式光信号における光パワーよりも、大きくなるようにする。
【0148】
演算器68は、PD64およびPD67からの電流をそれぞれ抵抗器(図11に不図示)を用いて電圧に変換した後にPD54による電圧とPD57による電圧とを比較し、その差分に応じた出力をLD駆動回路66に出力する。LD駆動回路66は、この演算器68からの出力によってTDF62で増幅されるWDM方式光信号の利得傾斜を判断し、その利得傾斜がなくなるようにLD55への駆動電流を調節し、TDF62の利得波長特性を補償する。
【0149】
また、監視制御回路38は、次段の中継装置の監視制御回路からこの中継装置から伝送された3波長帯域WDM方式光信号の各バンドの光パワーを受信する。
監視制御回路38は、受信した信号から伝送後の各バンド間における光パワーの差分を計算する。監視制御回路38は、監視制御回路内のROM51に蓄積された送信光パワー受信光パワー対応テーブルを参照して、この差分の値からこの中継装置から射出されるS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーの目標値を算出する。
【0150】
この送信光パワー受信光パワー対応テーブルは、この中継装置から射出されるWDM方式光信号の光パワーと次段の中継装置に入射されるWDM方式光パワーとの関係がこの中継装置と次段の中継装置間における光ファイバの誘導ラマン散乱、この光ファイバの損失およびこの中継装置のWDMカプラ35と次段の中継装置のWDMカプラ31との損失に基づいて理論計算または実測によって予め各バンドごとに作成された対応テーブルである。
【0151】
監視制御回路38は、ROM74に蓄積されるこの目標値とVAT駆動回路70の制御値との関係から、この目標値をVAT駆動回路70の制御値に変換し、ディジタルアナログコンバータ(以下、「D/A」と略記する。)72にこの制御値を出力する。D/A72は、制御値をディジタル値からアナログ値に変換し、演算器71に出力する。
【0152】
演算器71は、D/A72からの出力とPD67からの電流を抵抗器(図11に不図示)を用いて電圧に変換した後の電圧とを比較し、その差分に応じた出力をVAT駆動回路70に出力する。VAT駆動回路70は、この演算器71からの出力によってVAT59の減衰量を調整することによりこの中継装置から射出されるS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーを制御値に調整する。
【0153】
PD54、57、61、64、67は、受光した光の光パワーに従う電流を出力するホトダイオードである。
ここで、EDFA33は、上述のTDA52をエルビウム元素を添加した光ファイバに代えるとともにLD55を半導体レーザに代えて構成する。このとき、分散補償ファイバ60、演算器58、68、71の諸設定およびROM74の内容は、C−bandのWDM方式光信号の場合に合わせる。
【0154】
また、GS−EDFA34は、上述のTDA52を長尺のエルビウム元素を添加した光ファイバに代えるとともにLD55を半導体レーザに代えて構成する。このとき、分散補償ファイバ60、演算器58、68、71の諸設定およびROM74の内容は、L−bandのWDM方式光信号の場合に合わせる。
なお、1550nm波長帯域を増幅するEDFA33と1580nm波長帯域を増幅するGS−EDFA34との相違は、エルビウム元素を添加した光ファイバの長さの相違にある。元々、エルビウム添加光ファイバは、1550nm波長帯域と1580nm波長帯域とに増幅域を有するが、1580nm波長帯域の増幅率が1550nm波長帯域の増幅率に較べ小さいので、1580nm波長帯域での光増幅を同程度に実現するためには、1550nm波長帯域の光ファイバ増幅器に較べ光ファイバ長を10倍程度長尺化する必要があるからである。
【0155】
また、図11を用いて複合光増幅装置の構成について詳述したが、図10における3波長帯域WDM方式光信号送信装置の構成もこれに類似した構成である。
両構成の対応関係は、WDMカプラ21-1から射出されるS+ −bandのWDM方式光信号はWDMカプラ31から射出されるS+ −bandのWDM方式光信号に対応し、WDMカプラ21-2から射出されるC−bandのWDM方式光信号はWDMカプラ31から射出されるC−bandのWDM方式光信号に対応し、WDMカプラ21-3から射出されるL−bandのWDM方式光信号はWDMカプラ31から射出されるL−bandのWDM方式光信号に対応する。そして、TDFA22はTDFA32に対応し、EDFA23はEFDA33に対応し、GS−EDFA24は、GS−EDFA34に対応する。さらに、WDMカプラ25はWDMカプラ35に対応し、カプラ27-1〜27-3はカプラ37-1〜37-3に対応し、光パワーメータ26-1〜26-3は光パワーメータ36-1〜36-3に対応する。
【0156】
なお、以下の説明において、上述の対応関係の下に図11を用いて3波長帯域WDM方式光信号送信装置の構成を指す場合には、各構成の符号に「os」の添え字をさらに加えて表示する。例えば、TDFA22内のVATは、「VAT59os」である。したがって、「TDF52os」は、TDFA22内のTDFを示し、「TDF52」は、TDFA32内のTDFを示す。
【0157】
(本発明と第1の実施形態との対応関係)
以下、本発明と第1の実施形態との対応関係について説明する。
既述の第1ないし第5、第7、第9、第12、第14、第16および第18の技術と第1の実施形態との対応関係については、波長分波手段はWDMカプラ31に対応し、光増幅手段はTDFA32、EDFA33、GS−EDFA34に対応し、制御手段は監視制御回路38に対応し、波長多重手段はWDMカプラ35に対応する。
【0158】
既述の第20ないし第27の技術と第1の実施形態との対応関係については、光信号生成手段は光信号生成部20に対応し、光増幅手段はTDFA22、EDFA23、GS−EDFA24に対応し、制御手段は監視制御回路28に対応し、波長多重手段はWDMカプラ25に対応する。
既述の第28の技術と第1の実施形態との対応関係については、光送信装置は光信号生成部20、WDMカプラ21、TDFA22、EDFA23、GS−EDFA24、WDMカプラ25、光パワーメータ26、カプラ27および監視制御回路28に対応し、光伝送路は光ファイバ48に対応し、光受信装置はWDMカプラ41、TDFA42、EDFA43、GS−EDFA44、WDMカプラ45および光信号受信部46に対応する。そして、光増幅装置はWDMカプラ31、TDFA32、EDFA33、GS−EDFA34、WDMカプラ35、光パワーメータ36、カプラ37および監視制御回路38に対応する。なお、光パワーメータ36およびカプラ37は、次段の中継機内に備えられる。
【0159】
既述の第30の技術と第1の実施形態との対応関係については、光増幅手段はTDFA32、EDFA33、GS−EDFA34に対応する。
(第1の実施形態の作用効果)
次に、こうような構成の光伝送システムにおける中継装置である複合光増幅装置の作用効果について説明する。
【0160】
前段の中継装置から伝送された3波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ31で各バンドごとに分離される。各バンドのWDM方式光信号は、同じ作用効果であるので、S+ −bandのWDM方式光信号の作用効果について説明する。
分離したS+ −bandのWDM方式光信号は、TDF52で所定の利得に増幅される。このとき、PD54とPD57とでTDF52の前後におけるS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーを検出し、演算器58がこの検出結果に応じてLD駆動回路56を制御することによりTDF52の励起光の光パワーを調整するから、一定の所定の利得にほぼ維持される。TDF52の利得は、励起光の光パワーに依存するので、このようにTDF52の励起光の光パワーを調整することにより、一定の所定の利得に維持することができる。
【0161】
所定の利得に増幅されたS+ −bandのWDM方式光信号は、VAT59でその光パワーを減衰される。
このとき、演算器71は、PD61からの出力とD/A72からの出力との差がなくなるようにVAT59の減衰量を調整する。ここで、PD61の出力は、この中継装置から次段の中継装置へ実際に射出されるS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーに相当する。一方、D/A72からの出力は、次段の中継装置において各バンドの光パワーを同一にすべくこの中継装置から次段の中継装置へ射出すべきS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーの制御値である。このため、VAT59の減衰量は、上述のように調整されるので、次段の中継装置において各バンドの光パワーをほぼ同一にすることができる。
【0162】
そして、VAT59から射出されたS+ −bandのWDM方式光信号は、DC60で分散補償され、TDF62でS+ −band内の利得傾斜を調整される。このとき、PD64とPD67とでTDF62の前後におけるS+ −bandのWDM方式光信号の利得傾斜を検出し、演算器68は、この検出結果に応じてLD駆動回路66を制御することによりTDF62の励起光の光パワーを調整するから、S+ −band内の利得傾斜をほぼなくすことができる。TDF62の利得波長特性は、励起光の光パワーに依存するので、このようにTDF62の励起光の光パワーを調整することにより、利得傾斜をほぼなくすことができる。
【0163】
このようにTDF52、62の2段になっているのは、TDFの利得と利得波長特性とがともに励起光の光パワーに依存するため、利得と利得傾斜とを1つのTDFで制御できないためである。
したがって、第1の実施形態の光伝送システムは、各中継装置区間ごとにおいて、TDFA32、EDFA33およびGS−EDFA34それぞれの内における希土類元素添加光ファイバの2段構成により各波長帯域内の利得傾斜をほぼなくすことができる。さらに、第1の実施形態の光伝送システムは、TDFA32、EDFA33およびGS−EDFA34それぞれの内におけるVATにより各バンドにプリエンファシスを設けるから、次段の中継装置において3波長帯域間の利得傾斜をほぼなくすことができる。
【0164】
次に、こうような構成の光伝送システムにおける3波長帯域WDM方式光信号送信装置の作用効果について説明する。なお、WDMカプラ21から射出される各バンドのWDM方式光信号は、同じ作用効果であるので、S+ −bandのWDM方式光信号の作用効果について説明する。
WDMカプラ21-1から射出されたS+ −bandのWDM方式光信号は、TDF52osで所定の利得に増幅される。このとき、PD54osとPD57osとでTDF52osの前後におけるS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーを検出し、演算器58osがこの検出結果に応じてLD駆動回路56osを制御することによってTDF52osの励起光の光パワーを調整するから、一定の所定の利得にほぼ維持される。
【0165】
所定の利得に増幅されたS+ −bandのWDM方式光信号は、VAT59osでその光パワーを減衰される。
このとき、演算器71osは、PD61osからの出力とD/A72osからの出力との差がなくなるようにVAT59osの減衰量を調整する。ここで、PD61osの出力は、この3波長帯域WDM方式光信号送信装置から最初の中継装置へ実際に射出されるS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーに相当する。D/A72osからの出力は、最初の中継装置において各バンドの光パワーを同一にすべくこの3波長帯域WDM方式光信号送信装置から最初の中継装置へ射出すべきS+ −bandのWDM方式光信号の光パワーの制御値である。このため、VAT59osの減衰量は、上述のように調整されるので、次段の中継装置において各バンドの光パワーをほぼ同一にすることができる。
【0166】
そして、VAT59osから射出されたS+ −bandのWDM方式光信号は、DC60osで分散補償され、TDF62osでS+ −band内の利得傾斜を調整される。このとき、PD64osとPD67osとでTDF62osの前後におけるS+ −bandのWDM方式光信号の利得傾斜を検出し、演算器68osは、この検出結果に応じてLD駆動回路66osを制御することによってTDF62osの励起光の光パワーを調整するから、S+ −band内の利得傾斜をほぼなくすことができる。
【0167】
したがって、第1の実施形態の光伝送システムは、3波長帯域WDM方式光信号送信装置と最初の中継装置との区間において、TDFA22、EDFA23およびGS−EDFA24それぞれの内における希土類元素添加光ファイバの2段構成により各波長帯域内の利得傾斜をほぼなくすことができる。さらに、第1の実施形態の光伝送システムは、TDFA32、EDFA33およびGS−EDFA34それぞれの内におけるVATにより各バンドにプリエンファシスを設けるから3波長帯域間の利得傾斜をほぼなくすことができる。
【0168】
このように、各中継装置ごとに3波長帯域間の利得傾斜がほぼなくなるから、各バンド間において受信されたWDM方式光信号のSNRが均一化され、光伝送システム全体の性能を向上することがきる。
ここで、上述の第1の構成においては、監視制御回路28、38は、誘導ラマン散乱、光ファイバ48の損失およびWDMカプラ25、35の損失を考慮してTDFA22、32、EDFA23、33およびGS−EDFA24、34の出力を調整したが、図11に破線で示すように装置内(複合光増幅装置または3波長帯域WDM方式光信号送信装置)に雑音指数に関するデータを蓄積したROM75をさらに設け、監視制御回路38は、このデータを参照して各出力を調整するようにしてもよい。
【0169】
この場合における雑音指数に関するデータは、TDFA22、32、EDFA23、33、GS−EDFA24、34のそれぞれに対して、励起光源であるLD55、66のレーザ光の光パワーごとの雑音指数波長特性である。
また、監視制御回路38は、ROM75に蓄積されたこの雑音指数波長特性を参照して、ROM51に蓄積された送信光パワー受信光パワー対応テーブルを参照して計算された目標値を修正する。そして、監視制御回路38は、この修正された目標値をROM74に出力する。
【0170】
このような雑音指数を考慮した構成は、既述の第4、第8、第12および第15の技術に対応する。
また、上述の第1の構成において、監視制御回路38は、中継装置から伝送される各波長帯域の光パワーと次段の中継装置における各波長帯域の光パワーとを比較して、中継装置から伝送される各波長帯域の光パワーを調整したが、カプラ27とPD54との間にバンド内で最短波長のチャネルの光のみ通過するように通過帯域の中心波長を設定されたFBGをさらに設け、PD61の代わりにPD77から演算器71に出力するようにしてもよい。これにより、部品点数を減らし回路を簡単にすることができる。さらに、ROM75を設けてもよい。
【0171】
このような最短波長のチャネルの光パワーのみを検出してTDFA22、32、EDFA23、33、GS−EDFA24、34の各出力を調整する構成は、既述の第9、第10、第16および第17の技術に対応する。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態の構成)
第2の実施形態は、既述の第1ないし第28、および、第30の技術に対応する光伝送システムの実施形態である。
【0172】
この光伝送システムは、2波長帯域WDM方式光信号を2波長帯域WDM方式光信号送信装置で生成して、この光信号を複合光増幅装置で多段中継し、WDM方式光信号受信装置で受信・処理するものである。この2波長帯域WDM方式光信号は、C−bandの波長帯域に設定されたチャネル数tのWDM方式光信号とL−bandの波長帯域に設定されたチャネル数uのWDM方式光信号とからなる。
【0173】
図12は、第2の実施形態における光伝送システムの全体構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図12において、t個の光信号生成部80-1〜80-tは、C−band のチャネル1からチャンネルtに対応する光信号を各々生成する。これら光信号生成部80-1〜80-tは、それぞれ、例えば、チャネルに割り当てられた波長のレーザ光を発振する半導体レーザとこのレーザ光を送信すべき情報で変調するMZとこれら半導体レーザおよびMZを駆動・制御する制御部とで構成することができる。また、各光信号生成部80-1〜80-tは、後述する監視制御回路82からの制御信号によって光信号を生成するか否かを制御される。
【0174】
これら光信号生成部80-1〜80-tで生成された光信号は、WDMカプラ21-2でWDN方式光信号に波長多重されて、EDFA23に入射される。EDFA23は、監視制御回路82によって出力が制御され、その結果、このC−bandのWDM方式光信号の光パワーが制御される。光パワーを制御されたC−bandのWDM方式光信号は、WDMカプラ25に入射される。
【0175】
そして、L−bandのWDM方式光信号は、u個の光信号生成部80-t+1〜80-t+u、WDMカプラ21-3およびGS−EDFA24からなる上述と同様の構成により生成され、WDMカプラ25に入射される。
これらWDMカプラ25に入射した、C−bandのWDM方式光信号とL−bandのWDM方式光信号とは、このWDMカプラ25で波長多重され、2波長帯域WDM方式光信号となって光伝送路である光ファイバ48-1に射出され、次段の中継装置に伝送される。
【0176】
光ファイバ48-1は、次段の中継装置内のWDMカプラ84A に接続される。光ファイバ48-1を伝送してWDMカプラ84A に入射された2波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ84A で各バンドに波長分離され、それぞれカプラ27-2、27-3に入射される。
また、励起光源86A は、レーザ光を発振するLDとこのLDを駆動する電流を供給する駆動回路とこの駆動回路を制御することによってレーザ光を所定の波長および所定の光パワーに維持する制御回路とから構成され、このレーザ光は、WDMカプラ84A を介して光ファイバ48-1に射出される。この所定の波長は、C−bandのWDM方式光信号とL−bandのWDM方式光信号とを光ファイバ48-1内において誘導ラマン散乱により増幅できる波長に設定される。また、所定の光パワーは、WDMカプラ84A でC−bandのWDM方式光信号とL−bandのWDM方式光信号とに生じる損失を光ファイバ48-1内の誘導ラマン散乱で補うことができる光パワーに設定される。
【0177】
なお、WDMカプラ84A の損失を誘導ラマン散乱による増幅で補う場合に、図3(b)および(d)に示すように、誘導ラマン散乱による増幅とWDMカプラ84A の損失とは、波長依存性を有することを考慮しなければならない。
【0178】
カプラ27-2に入射されたC−bandのWDM方式光信号は、このカプラ27-2でさらに分けられ、光パワーメータ26-2とEDFA33A とに入射される。C−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ26-2で計測された計測結果は、前段の監視制御回路82に送信される。
そして、カプラ27-3に入射されたL−bandのWDM方式光信号は、同様に、カプラ27-3でさらに分けられ、光パワーメータ26-3とGS−EDFA34A とに入射される。L−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ26-3で計測された計測結果は、前段の監視制御回路82に送信される。
【0179】
監視制御回路82は、これら光パワーメータ26-2、26-3の出力を受信し、各バンドの光パワーの差を算出して、この差がなくなるように各バンドを増幅するEDFA23およびGS−EDFA24の出力をそれぞれ調節する。
一方、EDFA33A に入射したC−bandのWDM方式光信号は、EDFA33A で増幅され、WDMカプラ35A に入射される。EDFA33A は、後述する監視制御回路85A によって出力が制御され、その結果、このC−bandのWDM方式光信号の光パワーが制御される。
【0180】
そして、GS−EDFA34A に入射したL−bandのWDM方式光信号は、監視制御回路85A により出力を制御されるGS−EDFA34A で増幅され、WDMカプラ35A に入射される。
このWDMカプラ35A に入射した各バンドのWDM方式光信号は、このWDMプラ35A で波長多重されて再び2波長帯域WDM方式光信号となって、光ファイバ48-2に射出され、次段の中継装置に伝送される。
【0181】
光ファイバ48-2は、次段の中継装置内のWDMカプラ84B に接続される。光ファイバ48-2を伝送してWDMカプラ84B に入射された2波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ84B で各バンドに波長分離され、それぞれカプラ37A-2 、37A-3 に入射される。
【0182】
また、励起光源86B は、レーザ光を発振するLDとこのLDを駆動する電流を供給する駆動回路とこの駆動回路を制御することによってレーザ光を所定の波長および所定の光パワーに維持する制御回路とから構成され、このレーザ光は、WDMカプラ84B を介して光ファイバ48-2に射出される。
カプラ37A-2 に入射されたC−bandのWDM方式光信号は、このカプラ37A-2 でさらに分けられ、光パワーメータ36A-2 とEDFA33B とに入射される。C−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ36A-2 で計測された計測結果は、前段の監視制御回路85A に送信される。
【0183】
そして、カプラ37A-3 に入射されたL−bandのWDM方式光信号は、同様に、カプラ37A-3 でさらに分けられ、光パワーメータ36A-3 とGS−EDFA34B とに入射される。L−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ36A-3 で計測された計測結果は、前段の監視制御回路85A に送信される。
【0184】
監視制御回路85A は、これら光パワーメータ36A-2 、36A-3 の出力を受信し、各バンドの光パワーの差を算出して、この差がなくなるように各バンドを増幅するEDFA33A およびGS−EDFA34B の出力をそれぞれ調節する。
一方、EDFA33B に入射したC−bandのWDM方式光信号は、EDFA33B で増幅され、WDMカプラ35B に入射される。EDFA33B は、後述する監視制御回路85B によって出力が制御され、その結果、このC−bandのWDM方式光信号の光パワーが制御される。
【0185】
そして、GS−EDFA34B に入射したL−bandのWDM方式光信号は、監視制御回路85B により出力を制御されるGS−EDFA34B で増幅され、WDMカプラ35B に入射される。
【0186】
このWDMカプラ35B に入射した各バンドのWDM方式光信号は、このWDMプラ35B で波長多重されて再び2波長帯域WDM方式光信号となって、光ファイバ48-3に射出され、次段の中継装置に伝送される。
以下、同様に、2波長帯域WDM方式光信号は、各バンドごとに分波、光パワーの増幅・制御および波長多重されて、多段中継される。この各バンドごとの光パワーの増幅・制御は、上述のように、次段の複合光増幅装置内の光パワーメータ36-2、36-3の出力に基づいて制御されるEDFA33、GS−EDFA34によってそれぞれ調節される。
【0187】
最後の中継装置である複合光増幅装置からの2波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ41に入射され、このWDMカプラ41で各バンドに波長分離され、それぞれカプラ36Z-2 、36Z-3 に入射される。
カプラ37Z-2 に入射されたC−bandのWDM方式光信号は、このカプラ37Z-2 でさらに分けられ、光パワーメータ36Z-2 とEDFA43とに入射される。C−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ36Z-2 で計測された計測結果は、前段の監視制御回路85Z に送信される。
【0188】
そして、カプラ37Z-3 に入射されたL−bandのWDM方式光信号は、同様に、カプラ37Z-3 でさらに分けられ、光パワーメータ36Z-3 とGS−EDFA44とに入射される。L−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ36Z-3 で計測された計測結果は、前段の監視制御回路85Z に送信される。
【0189】
EDFA43で増幅されたC−bandのWDM方式光信号は、WDMカプラ45-2に入射され、チャネル1からチャネルtまでチャネルごと波長分離される。波長分離された各チャネルの光信号は、それぞれ光信号受信部87-1〜87-tに射出され、受信・処理される。
そして、GS−EDFA44で増幅されたL−bandのWDM方式光信号は、同様に、WDMカプラ45-3で、チャネル1からチャネルuまでチャネルごと波長分離される。波長分離された各チャネルの光信号は、それぞれ光信号受信部87-t+1〜87-t+uに射出され、受信・処理される。
【0190】
EDFA23、33およびGS−EDFA24、34の構成は、ROM51os、51の内容および監視制御回路82、85の制御内容を除き、第1の実施形態と同様なので、その説明を省略する。
このROM51os、51の内容は、次段の中継装置において両バンドの光パワーをほぼ同一にするために、中継装置から射出されるC−bandのWDM方式光信号のチャネル数がk(0≦k≦t−1)だけ増加した場合にC−bandのWDM方式光信号における1チャネル当たりの光パワーの減少量および中継装置から射出されるC−bandのWDM方式光信号のチャネル数がk(1≦k≦t−1)だけ減少した場合にC−bandのWDM方式光信号における1チャネル当たりの光パワーの増加量である。
【0191】
これら各場合における増減量は、この中継装置と次段の中継装置間における光ファイバの誘導ラマン散乱、この光ファイバの損失およびこの中継装置のWDMカプラ35と次段の中継装置のWDMカプラ31との損失を考慮した上で、kの値別に理論計算または実測によって予め作成される。
なお、k=0の場合に対するL−bandのWDM方式光信号における1チャネル当たりの光パワーの増減量は、チャネル数に変更がない場合であるから、第1の実施形態における送信光パワー受信光パワー対応テーブルの内容と同じである。
【0192】
(本発明と第2の実施形態との対応関係)
以下、本発明と第2の実施形態との対応関係について説明する。
既述の第1ないし第19の技術と第2の実施形態との対応関係については、波長分波手段はWDMカプラ84に対応し、光増幅手段はEDFA33およびGS−EDFA34に対応し、制御手段は監視制御回路85に対応し、波長多重手段はWDMカプラ35に対応する。特に、既述の第6、第8、第11、第13、第15、第17および第19の技術における励起光源は励起光源86に対応する。
【0193】
既述の第20ないし第27の技術と第2の実施形態との対応関係については、光信号生成手段は光信号生成部80に対応し、光増幅手段はEDFA23およびGS−EDFA24に対応し、制御手段は監視制御回路82に対応し、波長多重手段はWDMカプラ25に対応する。
既述の第28の技術と第2の実施形態との対応関係については、光送信装置は光信号生成部80、WDMカプラ21、EDFA23、GS−EDFA24、WDMカプラ25、光パワーメータ26、カプラ27および監視制御回路82に対応し、光伝送路は光ファイバ48に対応し、光受信装置はWDMカプラ41、EDFA43、GS−EDFA44、WDMカプラ45および光信号受信部87に対応する。そして、光増幅装置はWDMカプラ84、EDFA33、GS−EDFA34、WDMカプラ35、光パワーメータ36、カプラ37、励起光源86および監視制御回路85に対応する。なお、光パワーメータ36およびカプラ37は、次段の中継機内に備えられる。
【0194】
既述の第30の技術と第2の実施形態との対応関係については、光増幅手段はEDFA33およびGS−EDFA34に対応する。
(第2の実施形態の作用効果)
このうような構成の光伝送システムの作用効果について説明する。なお、C−bandのチャネル数が増減した後における各波長帯域内の利得傾斜の制御および各波長帯域間の利得傾斜の制御は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0195】
このような光伝送システムでC−bandのチャネル数をm(1≦m≦t)にする場合には、監視制御回路82は、mチャネル分を光信号生成部80-1〜80-mに割り当て、光信号生成部80-1〜80-mに光信号を生成させる。
【0196】
生成された光信号は、WDMカプラ21-2で波長多重され、EDFA23で増幅される。増幅後、WDMカプラ25でL−bandのu波のWDM方式光信号と波長多重されて2波長帯域WDM方式光信号として光ファイバ48-1を伝送される。
このとき、2波長帯域WDM方式光信号は、励起光源86A からの励起光により光ファイバ48-1中で誘導ラマン散乱を起こしWDMカプラ84A の損失分を補われる。この励起光源86A からの励起光は、両バンドに対して増幅作用を及ぼすものであるから、光ファイバ48-1を伝送後における各バンドの光パワーを同一にするためのものではない。
【0197】
この状態から、c−bandのチャネル数を、例えば、3チャネル増加させる場合には、監視制御回路82は、3チャネルを新たに光信号生成部80-m〜80-m+3に割り当て、光信号生成部80-1〜80-m+3に光信号を生成させる。
生成された光信号は、WDMカプラ21-2で波長多重され、EDFA23で増幅される。
【0198】
このとき、監視制御回路82は、ROM51osからC−bandのWDM方式光信号のチャネル数が3(0≦k≦t−1)だけ増加した場合にC−bandのWDM方式光信号における1チャネル当たりの光パワーの減少量を参照して、EDFA23の出力を調整する。すなわち、チャネル数が増加する前では、例えば、図5(a)に示すP0 を基準に第1波長帯域の光パワーを送信光パワー受信光パワー対応テーブルを参照して、制御していたが、3チャネル増加後は、P0 から減少量だけ少ない光パワーを新たな基準にして制御を行う。
【0199】
そして、増幅後、WDMカプラ25でL−bandのu波のWDM方式光信号と波長多重されて2波長帯域WDM方式光信号として光ファイバ48-1を伝送される。
一方、チャネル数が減少する場合には、前述と同様に、監視制御回路82は、ROM51osからチャネル数の減少した場合の1チャネル当たりの光パワーの増加量を参照して、新たな基準を調整すればよい。
このような制御されるため、第2の実施形態では、チャネル数の増減に迅速に対応して各バンドにプリエンファシスを設けるから3波長帯域間の利得傾斜をほぼなくすことができる。
【0200】
このように、各中継装置ごとに3波長帯域間の利得傾斜がほぼなくなるから、各バンド間において受信されたWDM方式光信号のSNRが均一化され、光伝送システム全体の性能を向上することがきる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第3の実施形態の構成)
第3の実施形態は、既述の第29および第31の技術に対応する光伝送システムの実施形態である。
【0201】
この光伝送システムは、2波長帯域WDM方式光信号を2波長帯域WDM方式光信号送信装置で生成して、この光信号を複合光増幅装置で多段中継し、WDM方式光信号受信装置で受信・処理するものである。この2波長帯域WDM方式光信号生成装置は、各波長帯域内においてWDM方式光信号間にプリエンファシスを施し、さらに、波長帯域間においてプリエンファシスを施す装置である。そして、複合光増幅装置は、光増幅しながら波長帯域間においてプリエンファシスを施す装置である。また、この2波長帯域WDM方式光信号は、C−bandの波長帯域に設定されたチャネル数tのWDM方式光信号とL−bandの波長帯域に設定されたチャネル数uのWDM方式光信号とからなる。
【0202】
図13は、第3の実施形態における光伝送システムの全体構成を示す図である。
図14は、第3の実施形態の光伝送システムにおける複合光増幅装置の構成を示す図である。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0203】
図13において、t個の光信号生成部20-s+1〜20-s+tは、C−band のチャネル1からチャンネルtに対応する光信号を各々生成する。これら光信号生成部20-s+1〜20-s+tで生成された各光信号は、VAT90-1〜90-tにそれぞれ入射される。
VAT90-1〜90-tは、入射される光の光パワーを減衰して射出し、その減衰量を可変にすることができる。この減衰量の調整は、後述するVAT駆動回路91-1〜91-tによってそれぞれ制御される。そして、各VAT駆動回路91-1〜91-tの設定は、後述するVAT制御回路94によって設定される。
【0204】
C−bandの各光信号の光パワーは、各光信号に対応するVAT90-1〜90-tのそれぞれによって調整されるから、波長帯域内においてプリエンファシスを施すことができる。
VAT90-1〜90-tから光パワーをそれぞれ調整されて射出された各光信号は、WDMカプラ21-2に入射され、このWDMカプラ21-2で波長多重されてC−bandのWDM方式光信号になる。このC−bandのWDM方式光信号は、例えば、光パワーを10:1の割合で2つに分けるカプラ92-2に入射される。
【0205】
カプラ92-2で分けられた光パワーの小さい方のC−bandWDM方式光信号は、入射する光の波長とその波長における光パワーを検出するスペクトルアナライザ93-2に入射され、C−bandWDM方式光信号のスペクトルが計測される。そして、スペクトルアナライザ93-2は、計測したスペクトルの結果をVAT制御回路94に出力される。
【0206】
一方、カプラ92-2で分けられた光パワーの大きい方のC−bandWDM方式光信号は、EDFA23に入射される。EDFA23は、後述する監視制御回路95によって出力が制御され、その結果、さらに、このC−bandのWDM方式光信号の光パワーが制御される。光パワーを制御されたC−bandのWDM方式光信号は、WDMカプラ25に入射される。
【0207】
そして、L−bandのWDM方式光信号は、u個の光信号生成部20-t+1〜20-t+u、VAT90-t+1〜90-t+u、VAT駆動回路90-t+1〜90-t+u、WDMカプラ21-3、カプラ92-3、スペクトルアナライザ93-3、VAT制御回路94およびGS−EDFA24からなる上述と同様の構成により生成され、WDMカプラ25に入射される。
【0208】
これらWDMカプラ25に入射した、C−bandのWDM方式光信号とL−bandのWDM方式光信号とは、このWDMカプラ25で波長多重され、2波長帯域WDM方式光信号となって光伝送路である光ファイバ48-1に射出され、次段の中継装置に伝送される。
光ファイバ48-1は、次段の中継装置内のWDMカプラ31A に接続される。光ファイバ48-1を伝送してWDMカプラ31A に入射された2波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ31A で各バンドに波長分離され、それぞれカプラ27-2、27-3に入射される。
【0209】
カプラ27-2に入射されたC−bandのWDM方式光信号は、このカプラ27-2でさらに分けられ、光パワーメータ26-2とEDFA33A とに入射される。C−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ26-2で計測された計測結果は、前段の監視制御回路95に送信される。
そして、カプラ27-3に入射されたL−bandのWDM方式光信号は、同様に、カプラ27-3でさらに分けられ、光パワーメータ26-3とGS−EDFA34A とに入射される。L−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ26-3で計測された計測結果は、前段の監視制御回路95に送信される。
【0210】
監視制御回路95は、これら光パワーメータ26-2、26-3の出力を受信し、各バンドの光パワーの差を算出して、この差がなくなるように各バンドを増幅するEDFA23およびGS−EDFA24の出力をそれぞれ調節する。
一方、EDFA33A に入射したC−bandのWDM方式光信号は、EDFA33A で増幅され、WDMカプラ35A に入射される。EDFA33A は、監視制御回路38A によって出力が制御され、その結果、このC−bandのWDM方式光信号の光パワーが制御される。
【0211】
そして、GS−EDFA34A に入射したL−bandのWDM方式光信号は、監視制御回路38A により出力を制御されるGS−EDFA34A で増幅され、WDMカプラ35A に入射される。
このWDMカプラ35A に入射した各バンドのWDM方式光信号は、このWDMプラ35A で波長多重されて再び2波長帯域WDM方式光信号となって、光ファイバ48-2に射出され、次段の中継装置に伝送される。
【0212】
以下、複合光増幅装置による多段中継では、第1の実施形態においてS+−bandのWDM方式光信号のない構成と同様に、2波長帯域WDM方式光信号は、各バンドごとに分波、光パワーの増幅・制御および波長多重されて、多段中継される。この各バンドごとの光パワーの増幅・制御は、次段の複合光増幅装置内の光パワーメータ36-2、36-3の出力に基づいて制御されるEDFA33、GS−EDFA34によってそれぞれ調節される。
【0213】
最後の中継装置である複合光増幅装置からの2波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ41に入射され、このWDMカプラ41で各バンドに波長分離され、それぞれカプラ36Z-2 、36Z-3 に入射される。
カプラ37Z-2 に入射されたC−bandのWDM方式光信号は、このカプラ37Z-2 でさらに分けられ、光パワーメータ36Z-2 とEDFA43とに入射される。C−bandのWDM方式光信号の光パワーに関し光パワーメータ36Z-2 で計測された計測結果は、前段の監視制御回路85Z に送信される。
【0214】
EDFA43で増幅されたC−bandのWDM方式光信号は、例えば、光パワーを10:1の割合で2つに分けるカプラ96-2に入射される。
カプラ92-2で分けられた光パワーの小さい方のC−bandWDM方式光信号は、入射する光の波長とその波長における光パワーを検出するスペクトルアナライザ97-2に入射され、C−bandWDM方式光信号のスペクトルが計測される。そして、スペクトルアナライザ97-2は、計測したスペクトルの結果を監視制御回路95に出力し、監視制御回路95は、この出力をそのままVAT制御回路94に出力する。
【0215】
一方、カプラ92-2で分けられた光パワーの大きい方のC−bandWDM方式光信号は、WDMカプラ45-2に入射され、チャネル1からチャネルtまでチャネルごと波長分離される。波長分離された各チャネルの光信号は、それぞれ光信号受信部46-s+1〜46-s+tに射出され、受信・処理される。
そして、カプラ37Z-3 に入射されたL−bandのWDM方式光信号は、カプラ37Z-3 、光パワーメータ36Z-3 、GS−EDFA44、カプラ96-3、スペクトルアナライザ97-3、WDMカプラ45-3および光信号受信部46-s+t+1〜46-s+t+uからなる上述と同様の構成により、受信・処理される。
【0216】
次に、複合光増幅装置の構成に詳述する。
複合光増幅装置におけるEDFA33およびGS−EDFA34の構成は、第1の実施形態における構成に対し、これら光ファイバ増幅器の利得等化を行うTDF62、FBG76、77、PD64、67、演算回路68、LD駆動回路66およびLD65に代えて、光ファイバ増幅器の利得等化を行う光フィルタ98を用いる。
【0217】
WDM方式光信号の最短波長の光信号と最長波長の光信号との利得傾斜を計測することによってEDF78の利得波長特性を等化する仕方では、この複合光増幅装置に入射されるWDM方式光信号が波長帯域内のプリエンファスを施されているので、EDF78の利得波長特性を容易に等化することができないからである。
【0218】
図14において、光ファイバ48を伝送することによって、前段の複合光増幅装置からの2波長帯域WDM方式光信号は、WDMカプラ31に入射され、このWDMカプラ31で各バンドごとに波長分離される。分離されたC−bandのWDM方式光信号は、EDFA33内のカプラ37-2に入射される。そして、分離されたL−bandのWDM方式光信号は、GS−EDFA34内のカプラ37-3に入射される。
【0219】
これらEDFA33およびGS−EDFA34の各構成は、光を増幅する希土類元素添加光ファイバとこれを励起する励起光源が異なるだけで、同一の構成なので、EDFA33の構成について説明し、GS−EDFA34の構成については、その相違点のみを説明する。
以下、EDFA33について、説明する。
【0220】
前述したように、カプラ37-2で分けられた光パワーの小さい方のWDM方式光信号は、PD54に入射され、光電変換される。PD54は、この光電変換された電流を後述する演算器58とA/D73とに出力する。A/D73は、入力された電流値をアナログ量からディジタル量に変換し、監視制御回路38に出力する。監視制御回路38は、このディジタル量を光信号に変換して、前段の中継装置の監視制御回路に制御回線を使用して伝送する。
【0221】
一方、カプラ37-1で分けられた光パワーの大きい方のWDM方式光信号は、エルビウム添加光ファイバ(以下、「EDF」と略記する。)78に入射される。
EDF78は、LD55からのレーザ光を吸収することにより反転分布を形成し、誘導放射によりWDM方式光信号を増幅する。LD55は、LD駆動回路56から供給される駆動電流によって、EDF78を励起するレーザ光を射出する。
【0222】
EDF78で増幅されたWDM方式光信号は、カプラ53に入射される。カプラ53で分けられた光パワーの小さい方のWDM方式光信号は、PD57に入射され、光電変換される。PD57は、この光電変換された電流を演算器58に出力する。
演算器58は、PD54およびPD57からの電流をそれぞれ抵抗器(図14に不図示)を用いて電圧に変換した後にPD54による電圧とPD57による電圧とを比較し、その差分に応じた出力をLD駆動回路56に出力する。LD駆動回路56は、この演算器56からの出力によってEDF78で増幅されるWDM方式光信号の利得を判断し、その利得が所定の一定値となるようにLD55への駆動電流を調整する。
【0223】
一方、カプラ53で分けられた光パワーの大きい方のWDM方式光信号は、VAT59に射出される。VAT59は、その減衰量をVAT駆動回路70によって制御され、入射される光の光パワーを減衰して射出する
VAT59で、光パワーを減衰されたWDM方式光信号は、DC60に入射され、分散補償される。
【0224】
DC60を射出されたWDM方式光信号は、光フィルタ98に入射される。この光フィルタ98は、EDF78の利得波長特性をほぼ平坦にする利得等化器である。
光フィルタ98から射出されたWDM方式光信号は、光を2つに分けるカプラ99に入射される。
【0225】
カプラ99で分けられた一方のWDM方式光信号は、PD61に入射され、光電変換される。PD61は、この電流を演算器71に出力する。カプラ99で分けられた他方のWDM方式光信号は、WDMカプラ35に入射され、次段の中継装置に伝送される光信号となる。
また、監視制御回路38は、次段の中継装置の監視制御回路からこの中継装置から伝送された2波長帯域WDM方式光信号の各バンドの光パワーを受信する。
【0226】
監視制御回路38は、受信した信号から伝送後の各バンド間における光パワーの差分を計算する。監視制御回路38は、監視制御回路内のROM51に蓄積された送信光パワー受信光パワー対応テーブルを参照して、この差分の値からこの中継装置から射出されるC−bandのWDM方式光信号の光パワーの目標値を算出する。
【0227】
監視制御回路38は、ROM74に蓄積されるこの目標値とVAT駆動回路70の制御値との関係から、この目標値をVAT駆動回路70の制御値に変換し、D/A72にこの制御値を出力する。D/A72は、制御値をディジタル値からアナログ値に変換し、演算器71に出力する。
演算器71は、D/A72からの出力とPD67からの電流を抵抗器(図11に不図示)を用いて電圧に変換した後の電圧とを比較し、その差分に応じた出力をVAT駆動回路70に出力する。VAT駆動回路70は、この演算器71からの出力によってVAT59の減衰量を調整することによりこの中継装置から射出されるC−bandのWDM方式光信号の光パワーを制御値に調整する。
【0228】
ここで、GS−EDFA34は、上述のEDF78を長尺のエルビウム元素を添加した光ファイバに代えて構成する。このとき、分散補償ファイバ60、演算器58、71の諸設定およびROM74の内容は、L−bandのWDM方式光信号の場合に合わせる。
また、図14を用いて複合光増幅装置の構成について詳述したが、図13の2波長帯域WDM方式光信号送信装置におけるEDFA23およびGS−EDFA24の構成もこれに類似した構成である。
【0229】
両構成の対応関係は、WDMカプラ21-2から射出されるC−bandのWDM方式光信号はWDMカプラ31から射出されるC−bandのWDM方式光信号に対応し、WDMカプラ21-3から射出されるL−bandのWDM方式光信号はWDMカプラ31から射出されるL−bandのWDM方式光信号に対応する。そして、EDFA23はEFDA33に対応し、GS−EDFA24は、GS−EDFA34に対応する。さらに、WDMカプラ25はWDMカプラ35に対応し、カプラ27-2、27-3はカプラ37-2、37-3に対応し、光パワーメータ26-2、26-3は光パワーメータ36-2、36-3に対応する。
【0230】
(本発明と第3の実施形態との対応関係)
以下、本発明と第3の実施形態との対応関係について説明する。
既述の第29の技術と第3の実施形態との対応関係については、スペクトル検出手段はカプラ96-2、96-3とスペクトルアナライザ97-2、97-3に対応し、プリエンファシス光信号生成手段は光信号生成部20-s+1〜20-s+t+uとVAT90-1〜90-t+uとVAT駆動回路91-1〜91-t+uとVAT制御回路94とWDMカプラ21-2、21-3とカプラ92-2、92-3とスペクトルアナライザ93-2、93-3に対応し、光増幅手段はEDFA23およびGS−EDFA24に対応し、制御手段は監視制御回路95に対応し、波長多重手段はWDMカプラ25に対応する。
【0231】
既述の第31の技術と第3の実施形態との対応関係については、光信号生成手段は光信号生成部20-s+1〜20-s+t+uとVAT90-1〜90-t+uとVAT駆動回路91-1〜91-t+uとVAT制御回路94とWDMカプラ21-2、21-3とカプラ92-2、92-3とスペクトルアナライザ93-2、93-3に対応し、光増幅手段はEDFA23およびGS−EDFA24に対応し、光増幅手段はEDFA23およびGS−EDFA24に対応する。
【0232】
(第3の実施形態の作用効果)
このうような構成の光伝送システムの作用効果について、以下に説明するが、各波長帯域内のプリエンファシスを施された後の各波長帯域間のプリエンファシスの制御は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
まず、各波長帯域内のプリエンファシスについて説明する。
【0233】
2波長帯域WDM方式光信号受信装置から射出された2波長帯域WDM方式光信号は、光ファイバ48を伝送する間に複合光増幅装置である中継装置により増幅中継され、WDM方式光信号受信装置に入射される。
WDM方式光信号装置内においてC−bandのWDM方式光信号は、スペクトルアナライザ97-2によって、そのスペクトルが計測される。この計測結果は、制御信号を専用に伝送する制御回線を利用して2波長帯域WDM方式光信号送信装置内の監視制御回路95に送信する。なお、制御回線を用いる代わりに2波長帯域WDM方式光信号における光信号のうちの1個を用いてもよい。この場合には、例えば、SDH(synchronous digital hierarchy )のセクションオーバヘッド(section over head )の未定義バイトを利用する。セクションオーバヘッドは、SDHにおいて、保守情報、状態モニタなどのネットワークを運用する上で必要な情報を収容する部分である。
【0234】
監視制御回路95は、この計測結果をVAT制御回路94に出力する。
VAT制御回路94は、この計測結果から、C−bandのWDM方式光信号のうちの最良のSNRである光信号を判断する。そして、VAT制御回路94は、この最良のSNRになるように各光信号に対応するVAT駆動回路91-1〜91-tに信号を出力し、各VAT90-1〜90-tの減衰量を制御する。
【0235】
各VAT90-1〜90-tによって光パワーを調整された各光信号は、WDMカプラ51-2によって波長多重され、カプラ92-2に入射される。このC−bandのWDM方式光信号の一部は、カプラ92-2で分岐されてスペクトルアナライザ93-2に入射され、そのスペクトルが計測される。スペクトルアナライザ93-2は、この計測結果をVAT制御回路94に出力する。
【0236】
VAT制御回路94は、このスペクトルアナライザ93-2からの計測結果から各光信号の光パワーが調整通りのになっているかを判断し、各VAT駆動回路91-1〜91-tを微調整する。
【0237】
このようにしてC−bandのWDM方式光信号は、波長帯域内のプリエンファシスが施される。
同様に、L−bandのWDM方式光信号も、カプラ96-3、スペクトルアナライザ97-3、監視制御回路95、VAT制御回路94、VAT駆動回路91-t+1〜91-t+u、VAT90-t+1〜90-t+u、カプラ92-3およびスペクトルアナライザ93-3によって波長帯域内のプリエンファシスが施される。
【0238】
そして、波長帯域内のプリエンファシスを施された各WDM方式光信号は、第1の実施形態において説明したように、波長帯域間のプリエンファシスを施されて光ファイバ48-1に射出される。
中継装置では、2波長帯域WDM方式光信号は、光伝送路の誘導ラマン散乱や損失などによってWDM方式光信号の光パワーが変化するが、波長帯域間のプリエンファシスを施しているので、C−bandのWDM方式光信号の光パワーとL−bandのWDM方式光信号の光パワーとは、ほぼ同一である。そして、2波長帯域WDM方式光信号は、中継装置によって波長帯域間のプリエンファシスを施された上で増幅されて、再び光ファイバ48-2に射出される。
【0239】
2波長帯域WDM方式光信号は、同様に波長帯域間のプリエンファシスを施された上で増幅されて、中継装置の多段接続によって中継されてWDM方式光信号受信装置に入射される。
入射される2波長帯域WDM方式光信号の各光信号は、上述のように波長帯域内のプリエンファシスとを施されているので、各装置内のEDFA23、33およびGS−EDFA24、34によるASEから生じるSNRの劣化を改善することができる。さらに、波長帯域間のプリエンファシスも施しているので、光ファイバ48の誘導ラマン散乱などによる波長帯域間の偏差によるSNRの劣化も改善することができる。
【0240】
このように第3の実施形態における光伝送システムでは、各光信号のSNRを著しく改善できるので、より超長距離伝送をすることができる。
なお、第3の実施形態において波長帯域内のプリエンファシスをVATを用いて調整したが、これに限定されるものではない。入射する光の光パワーを調整して射出することができるデバイスなら何でもよい。例えば、光ファイバ増幅器や半導体レーザ光増幅器を使用することができる。光ファイバ増幅器の場合には、光ファイバを励起するための励起光の出力を調整することにより利得を調整して波長帯域内のプリエンファシスを施すことができる。また、半導体レーザ光増幅器の場合には、バイアス電流(駆動電流)を調整することにより利得を調整して波長帯域内のプリエンファシスを施すことができる。
【0241】
また、第1の実施形態ないし第3の実施形態における複合光増幅装置では、各波長帯域内の利得傾斜を後段の希土類元素光ファイバで制御したが、この代わりに光フィルタからなる利得等化器を使用して波長帯域内の利得傾斜をほぼなくすことができる。
図15は、光フィルタによる利得等化器を用いて光増幅器の利得波長特性を補償する複合光増幅装置を示す図である。(a)は、光増幅器内に利得等化器を備える場合を示し、(b)は、光増幅器とは別に利得等化器を備える場合を示している。
【0242】
図15(a)において、複合光増幅装置では、WDMカプラ100は、入射される3波長帯域WDM方式光信号を各バンドごとに分離する。分離されたWDM方式光信号は、光増幅器101-1〜101-3内の光増幅部101-1a 〜101-3a にそれぞれ入射される。この光増幅部101-1a は、図11に示すTDFA32においてTDF62、LD65、LD駆動回路66、演算器68、FBG76、77およびPD64、67を備えない構成である。他の光増幅部101-2a 、101-3a も同様である。光増幅部101-1a 〜101-3a で出力を調整されて増幅された各バンドのWDM方式光信号は、利得等化部101-1b 〜101-3b にそれぞれ入射され、各波長帯域内の利得がほぼ平坦化される。ほぼ平坦化された各バンドのWDM方式光信号は、WDMカプラ92に入射され、波長多重されて再び3波長帯域WDM方式光信号となって次段の中継装置に伝送される。
【0243】
図15(b)に示す複合光増幅装置は、それぞれ独立の光分品である、光増幅器103-1〜103-3と利得等化器104-1〜104-3とから構成され、光増幅器103-1〜103-3は、図15(a)における光増幅部101-1a 〜101-3a に対応し、利得等化器104-1〜104-3は、利得等化部101-1b 〜101-3b に対応する。
【0244】
さらに、第1の実施形態ないし第3の実施形態における複合光増幅装置では、光システム構築の際に波長帯域数が固定されている場合を説明したが、WDMカプラ31、35に光アダプタを設けることにより、光システム構築の後に波長帯域の縮小・拡張に対応することができる。
図16は、波長帯域の縮小・拡張を可能にする構成を示す図である。
【0245】
図16に示すように光増幅器を着脱可能なようにWDMカプラ31とTDFA32、EDFA33およびGS−EDFA34とのそれぞれの間およびTDFA32、EDFA33およびGS−EDFA34とWDMカプラ35とのそれぞれ間に光アダプタ106-1〜106-3、107-1〜107-3を設け、波長帯域の縮小・拡張に合わせて監視制御回路38内のROM51の内容を書き替える。
【0246】
また、第1の実施形態において3波長帯域WDM方式光信号についておよび第3の実施形態において2波長帯域WDM方式光信号について説明したが、これに限定されるものではない。任意の波長帯域数のn波長帯域WDM方式光信号に対して既述の第1ないし第31の技術は、適用することができる。
さらに、第1の実施形態ないし第3の実施形態においては、各波長帯域のWDM方式光信号は、共に同じ方向に伝送される単方向伝送の場合について説明したが、図21および図22に示すように、単方向伝送の場合と双方向伝送の場合とは同じの結果であるので、双方向伝送の場合にも適用することができる。
【0247】
【発明の効果】
本発明では、複数のn波長帯域に亘る光を伝送する場合に、光伝送路で生じる誘導ラマン散乱や光伝送路の損失などを考慮して送出側で予め波長帯域間においてプリエンファシスを設けておくので、受光側では波長帯域間において光パワーにほとんど差のない光を受信することができる。
【0248】
さらに、本発明では、各波長帯域の光を増幅する光増幅器の雑音も考慮して送出側で予め波長帯域間においてプリエンファシスを設けておくので、受光側で各波長帯域において光パワーにより差のない光を受信することができる。
【0249】
そして、本発明では、プリエンファシスを制御する際に受光側における各波長帯域の光パワーを検出してフィードバック制御をするので、受光側で各波長帯域の光パワーを均一にする制御を確実に行うことができる。
さらに、本発明では、波長帯域間のプリエンファシスと波長帯域内のプリエンファシスを設けておくので、受信側においてSNRをより改善することができる。
【0250】
特に、n波長帯域WDM方式光信号を送信する場合には、受信側で波長帯域間に光パワーがほとんど差がないので、各波長帯域のSNRをほぼ均一にすることができる。このため、本発明を利用した光伝送区間では、システム全体の性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関連した技術の第1の原理構成を示す図である。
【図2】 本発明に関連した技術の第2の原理構成を示す図である。
【図3】 本発明に関連した技術の第3の原理構成を示す図である。
【図4】波長帯域間にプリエンファシスを設けた例を示す図である。
【図5】(a)は、第1波長帯域のチャネル数をmからm+kにする場合を示す図である。(b)は、第1波長帯域のチャネル数をmからm−kにする場合を示す図である。
【図6】(a)は、第2波長帯域のチャネル数をmからm+kにする場合を示す図である。(b)は、第2波長帯域のチャネル数をmからm−kにする場合を示す図である。
【図7】 本発明に関連した技術の第4の原理構成を示す図である。
【図8】 本発明に関連した技術の第5の原理構成を示す図である。
【図9】 本発明に関連した第29の技術の動作を説明するための図である。
【図10】第1の実施形態における光伝送システムの全体構成を示す図である。
【図11】第1の実施形態の光伝送システムにおける複合光増幅装置の構成を示す図である。
【図12】第2の実施形態における光伝送システムの構成を示す図である。
【図13】第3の実施形態における光伝送システムの構成を示す図である。
【図14】第3の実施形態の光伝送システムにおける複合光増幅装置の構成を示す図である。
【図15】光フィルタによる利得等化器を用いて光増幅器の利得波長特性を補償する複合光増幅装置を示す図である。
【図16】波長帯域数の縮小・拡張を可能にする構成を示す図である。
【図17】単方向伝送の場合における誘導ラマン散乱による利得傾斜を測定する測定系の構成を示す図である。
【図18】地点Yにおける2波長帯域WDM方式光のスペクトルを示す図である。
【図19】SMFを80km伝送後における2波長帯域WDM方式光のスペクトルを示す図である。
【図20】単方向伝送の場合におけるラマン利得を示す図である。
【図21】双方向伝送の場合における誘導ラマン散乱による利得傾斜を測定する測定系の構成を示す図である。
【図22】双方向伝送のラマン利得と単方向伝送のラマン利得とを示す図である。
【図23】従来の3波長帯域WDM伝送システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1、2 複合光増幅装置
3 n波長帯域WDM方式光信号送信装置
5 光増幅手段
6 波長多重手段
7 制御手段
8 波長分波手段
13 光信号生成手段
15 プリエンファシス光信号生成手段
17 スペクトル検出手段
20 光信号生成部
21、25、31、35、41、45、84 WDMカプラ
22、32、42 TDFA
23、33、43 EDFA
24、34、44 GS−EDFA
26、36 光パワーメータ
28、38、82、85 監視制御回路
51、74、75 ROM
52、62 TDF
54、57、64、67 PD
59 VAT
86 励起光源
90 VAT
93、96 スペクトルアナライザ
94 VAT制御回路
106、107 光アダプタ
Claims (45)
- 波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる波長帯域ごとに設けられ、波長チャネルごとの光の平均光パワーを調整する複数の第1の制御手段と、
前記複数の第1の制御手段の各出力を波長多重する波長多重手段と、
前記複数の第1の制御手段のうちの短い波長帯域の光の平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力が、前記複数の光調節手段のうちの長い波長帯域の光の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御手段を制御する第2の処理とを行う第2の制御手段と
を備えたことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
入力光を波長帯域ごとに波長分離した後に、各波長帯域の光を前記複数の第1の制御手段にそれぞれ出力する波長分離手段を備える
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記第2の制御手段は、前記波長多重手段の出力光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記第2の制御手段は、前記波長多重手段の出力光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーから前記各第1の制御手段の雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記複数の第1の制御手段の各入力光に光を供給する光源を備えた
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項2に記載の光増幅装置において、
前記波長分離手段に接続され、前記入力光が伝播する光伝送路と、
前記光伝送路に光を供給する光源と
を備えたことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項2に記載の光増幅装置において、
前記第2の制御手段は、
前記光増幅装置の射出側に接続された光伝送路における誘導ラマン散乱、前記光伝送路の損失、前記波長分波手段の損失および前記波長多重手段の損失のうちの少なくとも1つに基づいて、前記短い波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力と、前記長い波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力との差を決定する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記光は、第1波長帯域のWDM光信号と第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のWDM光信号とであり、
前記第1波長帯域のWDM光信号におけるチャンネル数が増減する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記光は、第1波長帯域のWDM光信号と第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域の WDM光信号とであり、
前記第2波長帯域のWDM光信号におけるチャンネル数が増減すること
を特徴とする光増幅装置。 - 請求項3に記載の光増幅装置において、
前記所定の地点で前記各波長帯域の光パワーを検出する検出手段を備え、
前記第2の制御手段は、
前記検出手段の出力に応じて前記複数の第1の制御手段の出力を制御する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項4に記載の光増幅装置において、
前記所定の地点で前記各波長帯域の光パワーを検出する検出手段を備え、
前記第2の制御手段は、
前記検出手段の出力に応じて前記複数の第1の制御手段の出力を制御する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項10に記載の光増幅装置において、
前記光は、WDM光信号であり、
前記検出手段は、
前記WDM光信号のうちの最短波長のチャネルの光パワーを検出する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項11に記載の光増幅装置において、
前記光は、WDM光信号であり、
前記検出手段は、前記WDM光信号のうちの最短波長のチャネルの光パワーを検出する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記第1の制御手段は、光を増幅する光増幅器である
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記第1の制御手段は、光を減衰する光減衰器である
ことを特徴とする光増幅装置。 - 波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる所定の波長帯域ごとに設けられ、前記各波長帯域にWDM光信号を生成する複数の光送信手段と、
前記各光送信手段ごとに接続され、光の光パワーを調整する複数の第1の制御手段と、
前記波長帯域ごとの第1の制御手段の各出力を波長多重する波長多重手段と、
前記複数の第1の制御手段のうちの短い波長帯域の光の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力が、前記複数の第1の制御手段のうちの長い波長帯域の光を波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御手段の出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御手段を制御する第2の処理とを行う第2の制御手段と
を備えたことを特徴とする光送信装置。 - 請求項16に記載の光送信装置において、
前記第2の制御手段は、前記波長多重手段の出力光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項16に記載の光送信装置において、
前記第2の制御手段は、前記波長多重手段の出力光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーから前記各第1 の制御手段の雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項16に記載の光送信装置において、
前記第2の制御手段は、
前記光送信装置の射出側に接続された光伝送路における誘導ラマン散乱、前記光伝送路の損失および前記波長多重手段の損失のうちの少なくとも1つに基づいて、前記短い波長帯域の光パワーを調整する第1の制御手段の出力と、前記長い波長帯域の光パワーを調整する第1の制御手段の出力との差を決定する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項16に記載の光送信装置において、
前記各波長帯域のWDM光信号は、第1波長帯域のWDM光信号と第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のWDM光信号とであり、
前記第1波長帯域のWDM光信号のチャンネル数が増減する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項16に記載の光送信装置において、
前記各波長帯域のWDM光信号は、第1波長帯域のWDM光信号と第1波長帯域より長波長側の第2波長帯域のWDM光信号とであり、
前記第2波長帯域のWDM光信号のチャンネル数が増減する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項17に記載の光送信装置において、
前記所定の地点で前記各波長帯域の光パワーを検出する検出手段を備え、
前記第2の制御手段は、
前記検出手段の出力に応じて前記複数の第1の制御手段の出力を制御する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項18に記載の光送信装置において、
前記所定の地点で前記各波長帯域の光パワーを検出する検出手段さらに備え、
前記第2の制御手段は、
前記検出手段の出力に応じて前記複数の第1の制御手段の出力を制御する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項22に記載の光送信装置において、
前記検出手段は、
前記WDM光信号のうちの最短波長のチャネルの光パワーを検出する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項23に記載の光送信装置において、
前記検出手段は、
前記WDM光信号のうちの最短波長のチャネルの光パワーを検出する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項16に記載の光送信装置において、
前記光送信手段は、
互いに光パワーを変えた複数の光信号を生成し、前記複数の光信号を波長多重して前記複数の波長帯域のWDM光信号を生成する
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項16に記載の光送信装置において、
前記第1の制御手段は、
光を増幅する光増幅器である
ことを特徴とする光送信装置。 - 請求項16に記載の光送信装置において、
前記第1の制御手段は、
光を減衰する光減衰器である
ことを特徴とする光送信装置。 - 波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる複数の波長帯域の光信号を生成する光送信装置と、
生成された前記光信号を伝送する光伝送路と、
前記光伝送路を伝送した前記光信号を受信して処理する光受信装置と、
前記光伝送路に接続された少なくとも1つの光増幅手段を備え、
前記光増幅手段は、
前記光信号を波長帯域ごとに波長分離する波長分波手段と、
前記波長分波手段から射出された波長帯域ごとの各光信号の光パワーをそれぞれ調整する複数の第1の制御手段と、
前記複数の第1の制御手段の各出力を波長多重する波長多重手段と、
前記複数の第1の制御手段のうちの短い波長帯域の波長チャネル当たりの光パワーを調整する第1の制御手段の出力を、長い波長帯域の波長チャネル当たりの光パワーを調整する第1の制御手段の出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に前記光伝送路における誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御手段を制御する第2の処理とを行う第2の制御手段と
を備えたことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項29に記載の光伝送システムにおいて、
前記光増幅装置の第2の制御手段は、
前記光増幅装置の出力光信号が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの光信号の平均光パワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御する
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項29に記載の光伝送システムにおいて、
前記光増幅装置の第2の制御手段は、
前記光増幅装置の出力光信号が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における各波長帯域の波長チャネル当たりの光信号の平均光パワーから前記各第1の制御手段の雑音パワーを除去したパワーが互いにほぼ等しくなるように前記複数の第1の制御手段の各出力を制御する
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項29に記載の光伝送システムにおいて、
前記光増幅装置は、
入力光信号が伝送される光伝送路に光を供給する光源を備える
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項29に記載の光伝送システムにおいて、
前記光送信装置は、
互いに光パワーを変えた複数の光信号を生成した後に、前記複数の光信号を波長多重することによって前記複数の波長帯域の光信号を生成する
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項29に記載の光伝送システムにおいて、
前記光受信装置は、
光信号のスペクトルを検出し前記検出結果を前記光送信装置に出力するスペクトル検出手段を備え、
前記光送信装置は、
前記スペクトル検出手段の出力に応じて互いに光パワーを変えた複数の光信号の組を生成した後に、前記複数の光信号の組を波長帯域ごとに波長多重することによって前記複数の波長帯域の光信号を生成する
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項29に記載の光伝送システムにおいて、
前記光増幅装置の前記複数の第1の制御手段は、
光信号を増幅する光増幅器である
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項29に記載の光伝送システムにおいて、
前記光増幅装置の前記第1の制御手段は、
光信号を減衰する光減衰器である
ことを特徴とする光伝送システム。 - 波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる複数の波長帯域のうちの長い波長帯域の光を増幅し、
前記複数の波長帯域のうちの短い波長帯域の光を前記長い波長帯域の光よりも波長チャネル当たりの平均光パワーが大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなると共に、前記複数の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じるチャネルパワーの格差が緩和されるように増幅し、
前記複数の波長帯域の光を波長多重する
ことを特徴とする光増幅方法。 - 請求項37に記載の光増幅方法において、
波長多重された前記複数の波長帯域の光が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における前記各波長帯域の波長チャネル当たりの平均光パワーが互いにほぼ同一になるように、前記短い波長帯域の光の増幅出力と前記長い波長帯域の光の増幅出力との差を求め、
前差分だけ波長チャネル当たりの平均光パワーが大きくなるように前記短い波長帯域の光を増幅する
ことを特徴とする光増幅方法。 - 互いに光パワーを変えた複数の光信号を生成し、
波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ前記複数の光信号を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる波長帯域ごとに波長多重することによって複数のWDM光信号を生成し、
前記複数のWDM光信号のうちの長い波長帯域のWDM光信号を増幅し、
前記複数のWDM光信号のうちの短い波長帯域のWDM光信号を前記長い波長帯域の波長チャネル当たりのWDM光信号よりも平均光パワーが大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなると共に、前記波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じるチャネルパワーの格差が緩和されるように増幅し、
前記複数のWDM光信号を波長多重する
ことを特徴とする光増幅方法。 - 請求項39に記載の光増幅方法において、
波長多重された前記複数のWDM光信号が所定の地点まで伝播した場合に、前記所定の地点における前記各WDM光信号の波長チャネル当たりの平均光パワーが互いにほぼ等しくなるように、前記短い波長帯域のWDM光信号の増幅出力と前記長い波長帯域のWDM光信号の増幅出力と差を求め、
前記差分だけ波長チャネル当たりの平均光パワーが、前記長い波長帯域の増幅された光の波長チャネル当たりの平均光パワーより大きくなるように前記短い波長帯域のWDM光信号を増幅する
ことを特徴とする光増幅方法。 - 波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる複数の波長帯域のW DM光信号のうちの短い波長帯域のWDM光信号の波長チャネル当たりの光パワーを、長い波長帯域のWDM光信号の波長チャネル当たりの平均光パワーより大きくし、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーを前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくすることによって、前記複数の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じるチャネルパワーの格差を緩和し、
前記複数の波長帯域のWDM光信号を光伝送路に入射させる
ことを特徴とする光入射方法。 - 波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光信号を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる波長帯域ごとの光に波長逆多重化する波長逆多重化ユニットと、
前記波長帯域ごとに設けられ、波長チャネルごとの光の平均光パワーを調整する複数の第1の制御ユニットと、
前記複数の第1の制御ユニットの各出力を波長多重する波長多重ユニットと、
前記複数の第1の制御ユニットのうちの短い波長帯域の光の平均光パワーを調整する第1の制御ユニットの出力が、前記複数の光調節ユニットのうちの長い波長帯域の光の波長チャネル当たりの平均光パワーを調整する第1の制御ユニットの出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように第1の制御ユニットを制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御ユニットを制御する第2の処理とを行う第2の制御ユニットと
を備えたことを特徴とする光増幅装置。 - 波長ごとの光パワーがほぼ同じであってそれぞれ少なくとも2つのチャネルを有し、かつ光を増幅できる少なくとも2つの相互に異なる複数の波長帯域の光信号を生成する光送信装置と、
生成された前記光信号を伝送する光伝送路と、
前記光伝送路を伝送した前記光信号を受信して処理する光受信装置と、
前記光伝送路に接続された少なくとも1つの光増幅装置を備え、
前記光増幅装置は、
前記光信号を波長帯域ごとに波長分離する波長分波装置と、
前記波長分波装置から射出された波長帯域ごとの各光信号の光パワーをそれぞれ調整する複数の第1の制御装置と、
前記複数の第1の制御装置の各出力を波長多重する波長多重装置と、
前記複数の第1の制御装置のうちの短い波長帯域の波長チャネル当たりの光パワーを調整する第1の制御装置の出力を、長い波長帯域の波長チャネル当たりの光パワーを調整する第1の制御装置の出力より大きくなり、かつ前記短い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーが前記長い波長帯域の光のおおよそのチャネルパワーより大きくなるように制御する第1の処理と、前記波長多重によって生成された波長多重信号の波長帯域間に前記光伝送路における誘導ラマン散乱に起因して生じる平均光パワーの格差が緩和されるように、前記複数の第1の制御手段を制御する第2の処理とを行う第2の制御装置と
を備えたことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記第2の制御手段は、
前記波長多重手段から出力された光の波長帯域において、前記調整手段によって監視され、かつ光伝送路の特定の地点から通知された個々の光出力パワーの合計を、送信された波長の数で除することによって行われた波長チャネル当たりの平均出力パワーの計算の結果に基づいて制御を行い、かつ各波長帯域間における積を比較する
ことを特徴とする光増幅装置。 - 請求項1に記載の光増幅装置において、
前記第2の制御手段は、
送信される波長の数の変化に応じて前記第1の制御手段の出力パワーの合計を相対的に変えることによって、前記短い波長帯域における波長チャネル当たりの出力パワーが前記長い波長帯域における波長チャネル当たりの出力パワーより大きくなるように制御する
ことを特徴とする光増幅装置。
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