JP3778856B2 - 長尺状樹脂成形部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両や建築物に装着される長尺状の樹脂成形部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題の高まりやリサイクル性の観点から、自動車等の車両や建築物に装着される長尺状樹脂成形部材として、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩素含有樹脂に代わってオレフィン系熱可塑性エラストマーが広く利用されるようになってきている。例えば、特開2001−171439号公報には、オレフィン系熱可塑性エラストマーから成る自動車内装表皮材が開示されている。特開2001−232723号公報には、オレフィン系熱可塑性エラストマーから成る自動車用ガラスランチャンネルが開示されている。
【0003】
かかる長尺状樹脂成形部材の中には、当該部材の一部分が弾性変形し得る形状に形成され、当該部分(以下「係止部」という)が弾性変形して被装着物側に圧接された状態で被装着物の所定部位に取付けられるものがある。この種の樹脂成形部材としては、種々の車両装着用トリム材(ウェザーストリップを包含する)、モールディング、建築用目地材等がある。
【0004】
しかし、従来、かかる係止部をオレフィン系熱可塑性エラストマーで構成した場合、次のような問題があった。
従来のオレフィン系熱可塑性エラストマー構成部分の表面は平滑性に乏しく、微視的にみて粗化された状態である。すなわち、被装着物における微視的平滑面(例えばアクリル樹脂系塗料等によって塗装された表面)に対する当該構成部分の密着性が低かった。このため、摩擦力(静止摩擦)が充分ではなく、当該エラストマー構成部分(係止部)を弾性変形により被装着物の平滑面に圧接(圧着)させるのみでは、長尺状樹脂成形部材の安定した取付け状態を保つのが難しかった。従って、車両等の被装着物に長尺状樹脂成形部材をしっかりと固定して装着したい場合には、係止部を被装着物の所定部位に圧接させることに加えて所定の装着部位から長尺状樹脂成形部材が外れたり位置ずれしたりするのを防止するため、何らかの追加的固定手段(例えば接着剤の塗布や螺子その他のストッパー部材の取付け)を別途設ける必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、かかるオレフィン系熱可塑性エラストマー構成部分を有する従来の長尺状樹脂成形部材に関する上述の問題点を解決すべく本発明は創出されたものである。本発明の目的とするところは、被装着物の微視的平滑面(上記塗装面等)に対して弾性変形して圧接された際に高い摩擦力が得られるような平滑性に優れる係止部を備えた長尺状樹脂成形部材を提供することである。また、そのような長尺状樹脂成形部材を車両(車体パネル等)や建築物(建築パネル等)に取り付けて成る構造体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記課題を解決すべく提供される請求項1の発明は、長尺状の本体部と、被装着物の所定部位に取り付けられた際に少なくとも一部が弾性変形し得る形状で該本体部と一体に形成され、その変形による弾発力によって該被装着物の所定部位に圧接される係止部とを有する長尺状樹脂成形部材である。そして、少なくともその係止部は以下の(a)〜(e)の成分、即ち(a)ポリプロピレン樹脂、(b)エチレン−αオレフィン系共重合体ゴム、(c)軟化剤、(d)プロピレン−αオレフィン共重合体、及び(e)架橋剤を配合して成るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から形成されている。
【0007】
この長尺状樹脂成形部材では、上記組成のオレフィン系熱可塑性エラストマーによって係止部が構成された結果、当該係止部表面の平滑性に優れる。このため、両者の間の実質的な接触面積の減少が小さくなり、被装着物の平滑面(例えばアクリル樹脂系塗料等によって塗装された表面)に当該係止部が圧接された際、当該被装着物の平滑面と係止部表面との間に高い摩擦力(静止摩擦)を生じさせることができる。
従って、請求項1の長尺状樹脂成形部材によると、被装着物の平滑面に対して上記係止部を適当な摩擦力が発生するように弾性変形させた状態で圧接することによって、弾性変形に基づく弾発力(元の形状に戻ろうとする弾性復元力)と摩擦力(静止摩擦)とによる強固な密着状態を当該圧接部分において形成することができる。このため、かかる係止部の圧接によって所定の装着部位から外れたり長手方向に位置ずれすることのない取付け状態を実現することができる。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の長尺状樹脂成形部材において、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、以下の(a)と(b)と(c)の成分の合計を100重量部として、(a)ポリプロピレン樹脂15〜40重量部、(b)エチレン−αオレフィン系共重合体ゴム30〜50重量部、及び(c)軟化剤20〜55重量部を含み、さらに(d)プロピレン−αオレフィン共重合体が0.1〜15重量部配合されたものである。
かかる構成の請求項2の長尺状樹脂成形部材によると、表面の平滑性に優れる係止部を提供することができる。
【0010】
また、請求項の発明は、請求項1又は2に記載の長尺状樹脂成形部材において、前記係止部の表面粗さ(Rmax)を8μm以下としたものである。
かかる構成の請求項の長尺状樹脂成形部材によると、表面の平滑性により優れる係止部を提供することができる。
【0011】
また、請求項の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の長尺状樹脂成形部材において、前記長尺状本体部及び係止部が押出成形によって製造され、前記係止部と本体部の略全体が前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る押出成形物であることを特徴とする。
かかる構成の請求項の長尺状樹脂成形部材では、長尺状本体部の略全体に亘って平滑性に優れる表面が形成され得る。平滑性に優れる結果、本体部の光沢が向上する。従って、請求項の長尺状樹脂成形部材によると、請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材の奏する効果に加えて、当該部材を装着した部分(特に外部に露出して目視される本体部の一部)の装飾性及び美観を向上させることができる。
【0012】
また、本構成の長尺状樹脂成形部材は、押出成形によって製造されるところ、上記構成のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を押出成形用樹脂材料とする結果、いわゆる目ヤニ(即ち押出ダイの押出口縁に蓄積付着する樹脂等の残りかす)の発生量を低減することができる。このため、押出成形されている本体部の表面に不定期的に目ヤニが付着するのを低減することができる。
従って、請求項の長尺状樹脂成形部材によると、付着した目ヤニを除去するときに生じる本体部表面の外観悪化を未然に防止することができる。また、押出成形時に目ヤニによる不具合(特に押出ダイの下流に位置するサイジングでの詰まり)を防げる。
【0013】
また、本発明によると、上述した請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材であって、以下に列挙するような形態・用途の長尺状樹脂成形部材を提供することができる。
請求項の発明は、車体の窓枠に装着されるガラスラン材として形成された請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材である。そのガラスラン材の長尺状本体部は、窓ガラスの縁部を挟み込むためのチャンネル(溝)が長手方向に形成された形状である。また、前記係止部は、窓枠内に前記本体部が嵌め込まれた際に弾性変形した状態で該窓枠の内壁面に圧接されて窓枠から抜け止めされる形状の抜止め片として該本体部に一体に形成されている。
【0014】
本構成の長尺状樹脂成形部材(ガラスラン材)によると、請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材の奏する効果に加えて、ガラスラン材としての特有の効果、すなわち上記抜け止め形状の係止部を弾性変形した状態で窓枠の内壁面に圧接することによって、当該ガラスラン材が窓枠から外れたり長手方向に位置ずれしたりするのを防止する、という効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明によって、上記ガラスラン材を構成要素とする組立体が提供される。すなわち、請求項の発明は、車体の窓枠に装着され、窓ガラスの縁部を狭み込むチャンネルを形成する長尺状本体部を有する少なくとも二つのガラスラン材と、該ガラスラン材の端末同士を長手方向に連結するジョイント材であって該窓枠のコーナー部分に取付けられる少なくとも一つのジョイント材とを備えるガラスラン組立体である。そして、前記ガラスラン材の少なくとも一つが上述した請求項の長尺状樹脂成形部材(ガラスラン材)によって構成されている。
【0016】
本構成のガラスラン組立体によると、当該組立体の主要部たるガラスラン材として上述の本発明に係るガラスラン材が用いられている結果、上記抜け止め形状の係止部を弾性変形した状態で窓枠の内壁面に圧接することによって、当該ガラスラン材が窓枠から外れたり位置ずれしたりするのを防止することができる。
なお、上述した何れかの請求項の長尺状樹脂成形部材が奏する効果は当然に当該請求項の長尺状樹脂成形部材をガラスラン材として含む組立体においても得られ得る。
【0017】
請求項の発明は、車体の開口部の周縁に装着されるトリム材として形成された請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材である。そのトリム材の長尺状本体部は、該車体の開口部周縁に設けられた突縁部を挟み込むための溝が長手方向に形成された形状である。また、前記係止部は、前記溝に前記突縁部が挟み込まれた際に弾性変形した状態で該突縁部の表面を圧接して挟持する形状で該本体部に一体に形成されている。
【0018】
本構成の長尺状樹脂成形部材(トリム材)によると、請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材の奏する効果に加えて車体装着用トリム材としての特有の効果、すなわち上記突縁部を挟持し得る形状の係止部を弾性変形した状態で当該突縁部に圧接することによって、当該トリム材が開口部周縁の所定の装着位置から外れたり位置ずれしたりするのを防止する、という効果を得ることができる。
【0019】
請求項の発明は、車体に形成された溝に装着されるモール材として形成された請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材である。そのモール材の長尺状本体部の少なくとも一部は長手方向に亘って該溝に嵌め込まれる形状である。また、前記係止部は、前記溝に前記本体部の少なくとも一部が嵌め込まれた際に弾性変形した状態で該溝の内壁面に圧接され得る形状で該本体部に一体に形成されている。
【0020】
本構成の長尺状樹脂成形部材(モール材)によると、請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材の奏する効果に加えて車体装着用モール材としての特有の効果、すなわち上記溝内で弾性変形し得る形状の係止部を弾性変形した状態で上記溝の内壁面に圧接することによって、当該モール材が当該溝から外れたり位置ずれしたりするのを防止する、という効果を得ることができる。
【0021】
請求項の発明は、建築用パネルの端面間の目地に装着される目地材として形成された請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材である。その目地材の長尺状本体部の少なくとも一部は、長手方向に亘って該目地に嵌め込まれる形状である。また、前記係止部は、前記目地に前記本体部の少なくとも一部が嵌め込まれた際に弾性変形した状態で前記パネルの壁面(即ち目地内における内壁面)に圧接され得る形状で該本体部に一体に形成されている。
【0022】
本構成の長尺状樹脂成形部材(目地材)によると、請求項1〜のいずれか一の長尺状樹脂成形部材の奏する効果に加えて建築用目地材としての特有の効果、すなわち上記目地を埋めるようにして上記係止部を弾性変形した状態で上記目地の溝の内壁面に圧接することによって、当該目地材が建築用パネルの端面間の目地から外れたり位置ずれしたりするのを防止する、という効果を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば本発明に係る長尺状樹脂成形部材の構造上及び/又は組成上の特徴)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば長尺状樹脂成形部材の押出成形方法)は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0024】
本発明の長尺状樹脂成形部材は、係止部が上記(a)〜(e)成分を含む組成のオレフィン系熱可塑性エラストマーから構成されておればよく、その他の部分の構造や付加的エレメントの有無に関して特に制限はない。例えば、長尺状樹脂成形部材の外形や横断面形状は、用途や被装着物(装着部位)の形状によって決定され得る設計事項であり、特に制限はない。
【0025】
係止部を除く本体部は、種々の樹脂成形材料から形成することができる。かかる樹脂成形材料の好適例としては、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴムが挙げられる。なかでも、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)等の熱可塑性エラストマーが好適であり、特に弾性、コスト、入手容易性、押出成形性の点からオレフィン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。また、本体部材料は後述する係止部を構成する樹脂成形材料と高い相溶性を有する樹脂成形材料、又は同一樹脂材料の使用が好ましい。例えば係止部を構成する樹脂成形材料に含まれるポリプロピレン樹脂と同一のポリプロピレン樹脂又は性状が近似するポリオレフィン樹脂を主成分とするオレフィン系熱可塑性エラストマーが好適である。
【0026】
係止部を構成するためのオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の好適な具体例を以下に説明する。
高度に平滑な表面を有する係止部を形成するためのオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(a)(b)(c)及び(d)を主体とし、適当量の(e)架橋剤を配合することによって得られる組成物である。
【0027】
(a)ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体が好適である。あるいは、プロピレン含有量が80mol%以上(好ましくは90mol%以上)であるプロピレンとエチレンとの共重合体も好適である。
【0028】
(b)エチレン−αオレフィン系共重合体ゴムの好適例としては、エチレン−αオレフィン共重合体ゴム及びエチレン−αオレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムが挙げられる。αオレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等が挙げられる。αオレフィンがプロピレンであるEPM(エチレン−プロピレン共重合体)やEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)が特に好適である。
本発明の実施にあたっては、(a)ポリプロピレン樹脂(b)エチレン−αオレフィン系共重合体ゴムであるEPDMを混合して作られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が特に好ましい。
【0029】
(c)軟化剤の好適例としては、(i)パラフィン系及びナフテン系の鉱物油、(ii)ヒマシ油、アマニ油等の植物油、(iii)ロウ類、ならびに、(iv)ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸及びその金属塩が挙げられる。一般にプロセスオイルとして市販されている種々の鉱物油系軟化剤が特に好ましい。
【0030】
(d)プロピレン−αオレフィン共重合体は、上記(a)、(b)及び(c)成分と配合することにより、オレフィン系熱可塑性エラストマー製樹脂成形体の平滑性を向上させ得る成分である。かかるプロピレン−αオレフィン共重合体としてはαオレフィンの炭素数が4以上であるものが好ましく、そのようなαオレフィン成分として1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンまたは3−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。特に、αオレフィンが1−ブテンであるもの(プロピレン−1−ブテン共重合体)が好ましい。
本発明の実施に好ましいプロピレン−αオレフィン共重合体の市販品としては、三井化学株式会社の「タフマーXR(登録商標)」及び「タフマーS(登録商標)」、ならびに、宇部興産株式会社の「ウベタック(登録商標)」が挙げられる。
【0031】
(e)架橋剤としては、オレフィン系熱可塑性エラストマーの製造分野において従来使用されていたものを特に制限なく使用することができる。かかる架橋剤として、種々の有機過酸化物、硫黄、フェノール樹脂、アミノ樹脂、キノン類及びその誘導体、アミン化合物、アゾ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物等が挙げられる。特にジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の有機過酸化物が好ましい。
【0032】
上述した各成分を配合して所望するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られるが、好ましくは、(a)と(b)と(c)の合計を100重量部として、(a)ポリプロピレン樹脂:15〜40重量部(さらに好ましくは20〜40重量部)、(b)EPM、EPDM等のエチレン−αオレフィン系共重合体ゴム:30〜50重量部、及び(c)プロセスオイル等の軟化剤:20〜55重量部となるようにこれらを配合する。
かかる配合比の(a)〜(c)が(e)架橋剤の添加によって架橋されて成るオレフィン系熱可塑性エラストマーから成る本体部の樹脂成形部分は、適当な硬度(典型的にはJIS K 7215に準拠するデュロメーター硬度でHDA60度〜HDA100度(又はHDDで約50度)、好ましくはHDA75度±5度)を有し、昇降する窓ガラスと接触し得る部位(上記シールリップ等)に適当な弾力性(例えばシール性を保持し得る圧力で窓ガラスに密接し得る弾力性)を付与することができる。
【0033】
一方、係止部を形成するための樹脂材料としては、(a)と(b)と(c)の合計100重量部に対してさらに(d)プロピレン−αオレフィン共重合体を0.1〜15重量部(さらに好ましくは0.1〜10重量部)配合する。
そして、(e)上記有機過酸化物等の架橋剤を少量(典型的には(a)と(b)と(c)の合計100重量部に対して0.05〜0.5重量部)加えて架橋を行うことによって、所望する組成のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。かかる組成物から成る成形部は、HDA60〜85度で適度な弾発力と摩擦力を有する。
なお、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の調製に際して、上記(a)〜(e)に該当する物質としてはそれぞれ単独の化合物を用いてもよいし、二種類以上の化合物を併用してもよい。
【0034】
上記(a)〜(e)成分を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る樹脂成形材料を調製する方法としては、特に制限はない。この種の樹脂成形材料を調製するのに従来から汎用されている方法をそのまま適用することができる。
典型的には、所定の組成比となるように(a)ポリプロピレン樹脂と(b)エチレン−αオレフィン系共重合体ゴムと(c)軟化剤と(d)プロピレン−αオレフィン共重合体と(e)架橋剤と(f)必要に応じて種々の補助成分とを混合し、適当なミキサーで撹拌混合した後に2軸押出機に投入し、混練しながら熱処理する。このとき各成分間で動的架橋反応が起こり、目的のオレフィン系熱可塑性エラストマー材料が生成される。これら成分の混練物(即ち押出成形等に用いられる前の樹脂成形材料)は、好ましくはペレット形状等に成形して貯蔵しておくことができる。
係止部、本体部及びその他の付加的成形部分を問わず、使用する樹脂成形材料には、(f)補助成分として、例えば酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、難燃剤等の一般的な添加剤の一種または二種以上を含有させることができる。また、炭素繊維その他の繊維材料やタルク等の充填材を適宜含ませることができる。
【0035】
而して、長尺状樹脂成形部材を製造・成形する際、かかる混練物(ペレット)を所定の加熱容器内(例えば押出成形機における加熱シリンダー内)で加熱して溶融状態として押出成形する。
あるいは、上記(a)(b)(c)及び(e)が配合して成る市販のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物材料(典型的にはペレット形状)を予め購入しておき、長尺状樹脂成形部材を成形する際に、当該材料に(d)プロピレン−αオレフィン共重合体を適量添加して押出成形機のホッパーに投入し、加熱されたシリンダー内で溶融、混合させてもよい。
かかる(a)(b)(c)及び(e)が配合して成る市販のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物材料(ペレット)の好適例として、三井化学株式会社の「ミラストマー(登録商標)」、エー・イー・エス・ジャパン株式会社の「サントプレーン(登録商標)」、東洋紡績株式会社の「サーリンク(登録商標)」及び住友化学工業株式会社の「住友TPE(商標)」が挙げられる。
【0036】
本発明の長尺状樹脂成形部材は、従来から車両用長尺状樹脂成形部材(例えばガラスラン材)を製造する場合と同様の成形方法を採用することによって容易に製造することができる。典型的には、長尺状本体部及び係止部をそれぞれ形成するための樹脂成形材料を用いて一般的な押出成形を行うことにより所望する形状(横断面形状)の長尺状樹脂成形部材を製造することができる。
【0037】
例えば、係止部を形成するための樹脂成形材料と長尺状本体部を形成するための樹脂成形材料との成形温度が略同一で且つ相溶性を有する場合、いわゆる二色押出成形(共押出成形)を実施することによって、本体部と係止部とが長手方向に一体化して成る長尺状樹脂成形部材を製造することができる。
その一例を図1に示す。押出ダイ102は、係止部を形成するための上記(a)〜(e)成分を含む樹脂成形材料が第一ホッパー100に投入され、押出成形機の加熱シリンダー104内で加熱され溶融状態で供給される第一供給口101aと、第二ホッパー103から供給された長尺状本体部を形成するための樹脂成形材料(例えばポリプロピレンその他のポリオレフィン樹脂とEPDM等の共重合体ゴム成分とを主体とするオレフィン系熱可塑性エラストマー成形材料)が同様に加熱され溶融状態で供給される第二供給口101bとを備える。
これらの供給口101a,101bから各材料をそれぞれ供給し、図示しない所定形状の押出口からこれらの材料を押出す。これにより、係止部と本体部とが一つの押出ダイ102の内部で熱溶着して一体化されたガラスラン材その他の長尺状樹脂成形部材105が押出成形される。かかる押出成形によって、表面粗さ(最大高さ:Rmax)が8μm以下、好ましくは5μm以下となるような微視的に平滑な表面を有する係止部を得ることができる。
【0038】
また、上記(a)〜(e)成分を配合して成る本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を樹脂成形材料として用いると目ヤニの発生が顕著に抑えられる。このため、係止部のみならず長尺状本体部を当該オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から形成することによって、目ヤニが付着せず且つ表面平滑性に優れた長尺状樹脂成形部材を製造することができる。この場合は、係止部と本体部とを区別することなく上記(a)〜(e)成分を配合した一種類の樹脂成形材料を用いて従来の押出成形方法をそのまま適用することができる。なお、かかる押出成形方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
【0039】
次に、本発明の長尺状樹脂成形部材として好適な形態のいくつかを図面を参照しつつ説明する。
第一の実施形態として、自動車のフロントドアパネル1の窓枠2に装着されるガラスラン組立体10及びその組立体に備えられたガラスラン材12,14,16を図2及び図3を参照しつつ説明する。
図2に示すように、ガラスラン組立体10は、3つの長尺状樹脂成形部材たるガラスラン材12,14,16と2つのコーナージョイント材13,15とから構成されている。すなわち、窓枠2の前方垂直部分2aに配置されるガラスラン材12と、傾斜部分2b及び略水平に延びる部分(天井部分)2cに配置されるガラスラン材14と、後方垂直部分2dに配置されるガラスラン材16とを有する。各ガラスラン材12,14,16の端末は、窓枠2のコーナー部分3,4に装着されるコーナージョイント材13,15によって連結され、窓ガラス8の縁部を挟み込むチャンネル(溝)を形成する。
かかるガラスラン組立体10は、従来の組立体と同様、押出成形したガラスラン材12,14(14,16)の端部に所定のコーナージョイント材13(15)を射出成形(インサート成形)すると同時に両ガラスラン材12,14(14,16)を連結することによって製造することができる。
【0040】
次に、ガラスラン材12,14,16の構造について詳細に説明する。図3は図2におけるIII−III線に沿う断面図であり、傾斜部分2b及び天井部分2cに配置されるガラスラン材14の横断面図である。なお、他の部分2a,2dに配置されるガラスラン材12,16も同様の構造を有しており、重複した記載は省略する。
図3に示すように、本実施形態に係るガラスラン材14は、窓枠2(2c)に取付けられた際に昇降窓ガラス8の縁部が嵌まり得る開口を長手方向に沿って有する溝24を形成する本体部20を主要構成要素とする。この本体部20は溝24の底部に相当する基底部21と、その基底部21の幅方向の両端から立ち上がって溝24の側壁となる一対の側壁部22,23(即ち車内寄り側壁部22及び車外寄り側壁部23)とから構成されている。側壁部22,23の自由末端部分には、窓ガラス8の縁部が溝24に嵌った際に当該窓ガラス8に弾接して窓ガラス8を所定位置に支持し、車内への水の浸入を防止するためのシールリップ26a,26b、ならびに、窓枠2の端縁を覆い隠す遮蔽リップ25a,25bが長手方向に連続して形成されている。なお、シールリップ26a,26b及び基底部21で、窓ガラス8と接触する部分には、窓ガラス8との摩擦が少ない低摩擦層をそれぞれ一体的に形成するのが好ましい。低摩擦層の材質としては超高分子量ポリエチレン等が用いられる。
【0041】
側壁部22,23の外面(本実施形態では基底部21に近接する部分)には、窓枠2側に設けられている取付け溝6に本ガラスラン材14が嵌め込まれた際(即ち、嵌め込み前のフリー状態では両側壁部22,23は略八字状に開いた形状をなしており、これを前記八字状の開きを狭める方向に弾性変形させて嵌め込むことで図示されている状態になる。)、当該ガラスラン材14を所定の位置に保持するための抜止め片27,28が長手方向に連続して形成されている。かかる抜止め片27,28は、本発明に係る上記係止部に相当するものであり、破線で示す取付前の形状27a,28aから窓枠2(取付け溝6)の内壁面にそれぞれ弾性変形した状態で元の形状に戻ろうとする弾性復元力により圧接され窓枠2から抜止めされる形状に形成される。なお、抜止め片27,28が圧接される窓枠2(取付け溝6)の内壁面は、一般に、アクリル樹脂系塗料等で塗装されており、高度な平滑性を有する。
【0042】
かかる抜止め片27,28は、例えば、上述した好適な配合比の(a)〜(e)成分を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る樹脂成形材料によって形成され、表面粗さ(Rmax)が8μm以下(典型的には3〜8μm)となるような平滑表面を有する。
好ましくは、抜止め片27,28は、窓枠2(取付け溝6)の平滑な内壁面(塗装面)に弾性変形して圧接された際、その内壁面に対して摩擦係数(静摩擦係数μ:算出方法は後述する実施例の欄参照)が概ね0.8以上(典型的には0.8〜1.0)で密着し得る形状に形成される。かかる摩擦係数の弾性変形を伴う微視的平滑面相互の密着(圧接)によって、必ずしも他の煩雑な固定手段を講じることなくガラスラン材14を窓枠2の所定の装着位置に保持する(即ち抜け止め作用と長手方向への位置ずれを防止する。)ことができる。
従って、本発明によると、抜止め片が上記数値範囲の摩擦係数を有し、且つ、当該圧接に関与する上記組成のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る係止部(抜止め片)の表面粗さ(Rmax)が上記数値範囲にあることで特徴付けられるガラスラン材又はガラスラン組立体と車体パネルとから成るガラスラン取付け構造体が提供される。
【0043】
特に限定するものではないが、本体部20は、好ましくは、抜止め片27,28の形成に用いる上記樹脂成形材料と相溶性を有する樹脂成形材料から形成される。そのような材料を用いることにより、二色押出成形(共押出成形)によって、本体部20と抜止め片27,28とが長手方向に強固に密着及び一体化して成るガラスラン材14を製造することができる。例えば、係止部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM、(c)パラフィン系プロセスオイル及び(d)プロピレン−1-ブテン共重合体を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用し、本体部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM及び(c)パラフィン系プロセスオイルを含むが上記(d)成分は含まないオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用することにより、共押出成形によって本体部20と抜止め片27,28とが長手方向に強固に一体化したガラスラン材14を製造することができる。
なお、本体部20は上記抜止め片27,28と同じ樹脂成形材料で形成するのも好ましく、その場合には抜止め片27,28の前述の効果に加えて、側壁部22,23の各外側面も窓枠2の溝6の内面に圧接するので前述の保持性がより向上する。更に、ガラスラン材14の表面全体に亘って目ヤニの付着を抑止し、表面平滑で光沢の良いガラスラン材が製造される(後述する各実施例参照)。また、この場合には、本体部20と抜止め片27,28を形成するのに(2台の押出成形機を必要とせず)1台の押出成形機ですみ、製造工程及び管理が簡略化される。
【0044】
次に、第二の実施形態として、自動車等の車体の開口部周縁に装着されるトリム材(ウェザーストリップと呼称される部材を包含する。)の一種であるドアオープニングトリム40をその横断面図である図4を参照しつつ説明する。
図4に、装着された状態を示すように、本実施形態に係るドアオープニングトリム40は、車体パネル30のドア開口縁に沿って設けられた突縁部(フランジ部)31に取付けられる長尺状本体部43と当該本体部43と一体に形成されたシール部44とを有する。
【0045】
本体部43は横断面が略U字状となるように一対の側壁部43a,43bを有し、それらの間には突縁部31を挟み込むための溝42が長手方向に形成される。また本体部43の内部には断面U字状の金属芯材41が長手方向に亘って埋設される。他方、スポンジゴム(発泡ゴム)から成るシール部44は、ドアパネル33が閉じて押し当てられた際に弾性変形してその弾発力で当該ドアパネル33と圧接して密着し得る構造となるように中空部44aを有する形状に成形される。
【0046】
而して、側壁部43a,43bにおける内壁面(即ち溝42の内側)には、ドアオープニングトリム40が突縁部31に装着された際(即ち図示されている状態)、当該ドアオープニングトリム40を所定の位置に保持するための係止片45,46が長手方向に形成される。かかる係止片45,46は、本発明に係る上記係止部に相当するものであり、溝42に挟み込まれた突縁部31の両側面にそれぞれ弾性変形した状態で圧接され元の形状に戻ろうとする弾性復元力により当該突縁部31を挟持する形状に形成される。なお、突縁部31の表面は、一般に、アクリル樹脂系塗料等で塗装されており、高度な平滑性を有する。なお、破線で示す45a,46aは、前述の第一の実施形態と同様にドアオープニングトリム40が突縁部31に取付けられる前の係止片45,46を示している。
【0047】
かかる係止片45,46は、例えば、上述した好適な配合比の(a)〜(e)成分を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る樹脂成形材料によって形成され、表面粗さ(Rmax)が8μm以下(典型的には3〜8μm)となるような平滑表面を有する。
好ましくは、係止片45,46は、突縁部31の平滑表面(塗装面)に弾性変形して圧接された際、その表面に対して摩擦係数(静摩擦係数μ:以下同じ)が概ね0.8以上(典型的には0.8〜1.0)で密着し得る形状に形成される。かかる摩擦係数の弾性変形を伴う微視的平滑面相互の密着(圧接)によって、他の煩雑な固定手段を必ずしも講じることなくドアオープニングトリム40を所定の装着位置に保持することができる。
従って、本発明によると、係止片が上記数値範囲の摩擦係数を有し、且つ、当該圧接に関与する上記組成のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る係止部(係止片)の表面粗さが上記数値範囲にあることで特徴付けられるトリム材(本実施形態ではドアオープニングトリム)と車体パネルとから成るトリム取付け構造体が提供される。
【0048】
特に限定するものではないが、本体部43は、好ましくは、第一の実施形態(ガラスラン材)と同様、係止片45,46の形成に用いる上記樹脂成形材料と相溶性を有する樹脂成形材料から形成される。例えば、係止部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM、(c)パラフィン系プロセスオイル及び(d)プロピレン−1-ブテン共重合体を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用し、本体部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM及び(c)パラフィン系プロセスオイルを含むが上記(d)成分は含まないオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用し、シール部形成用として発泡EPDM成形材料を使用することにより、押出成形によって本体部43とシール部44と係止片45,46とが長手方向に強固に一体化したドアオープニングトリム40を製造することができる。なお、本体部43は上記係止片45,46と同じ樹脂成形材料で形成してもよく、その場合にはドアオープニングトリム40の表面全体に亘って目ヤニの付着を抑止し、光沢の良いトリム材が製造される。
【0049】
なお、係止片45,46が上記組成から成るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から構成されるものである限り、他の付加的構造物をトリム材に形成してもよい。例えば、装飾等を目的として、種々の合成樹脂材料或いはトリコット等の繊維材から構成される表皮部材47a(図4参照)を、熱融着或いは接着材を用いて本体部43の表面に設けてもよい。
また、この第二の実施形態においても本体部43及び係止片45,46を、係止片を形成する材料と同一の材料で形成するのも好ましい形態である。この場合には、前述の実施形態で説明したように、製造工程及び管理が簡略化される。
【0050】
次に、第三の実施形態として、自動車等の車体の開口部周縁に装着されるトリム材の他の一種である自動車のトランク開口部周縁に装着されるトランクシールトリム50をその横断面図である図5を参照しつつ説明する。
図5に、装着された状態を示すように、本実施形態に係るトランクシールトリム50は、車体パネル35のリア開口縁(即ちトランク周壁)に設けられた突縁部(フランジ部)36に取付けられる長尺状本体部53と当該本体部53と一体的に形成されたスポンジゴム製シール部54とを有する。
【0051】
本体部53は横断面が略U字状となるように一対の側壁部53a,53bを有し、それらの間には突縁部36を挟み込むための溝52が長手方向に形成される。また本体部53の内部には断面U字状の金属芯材51が長手方向に亘って埋設される。他方、シール部54は、図示しないトランクリッドパネルが閉じて押し当てられた際に弾性変形してその弾発力(元の形状に戻ろうとする弾性復元力)で当該パネルと圧接して密着し得る構造となるように中空部54aを有する形状に成形される。
【0052】
側壁部53a,53bにおける内壁面(即ち溝52の内側)には、トランクシールトリム50が突縁部36に装着された際(即ち図示されている状態)、当該トランクシールトリム50を所定の位置に保持するための複数の係止片55a,55b,56a,56bが長手方向に形成される。かかる係止片55a,55b,56a,56bは、本発明に係る上記係止部に相当するものであり、溝52に挟み込まれた突縁部36の両側面にそれぞれ弾性変形した状態で圧接され当該突縁部36を挟持する形状に形成される。なお、突縁部36の表面は、一般に、アクリル樹脂系塗料等で塗装されており、高度な平滑性を有する。図5において破線55c,56cはトランクシール50が装着される前の係止片の形状を示している。
【0053】
かかる係止片55a,55b,56a,56bは、例えば、上述した好適な配合比の(a)〜(e)成分を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る樹脂成形材料によって形成され、表面粗さ(Rmax)が8μm以下(典型的には3〜8μm)となるような平滑表面を有する。
好ましくは、係止片55a,55b,56a,56bは、突縁部36の平滑表面(塗装面)に弾性変形して圧接された際、その表面に対して摩擦係数が概ね0.8以上(典型的には0.8〜1.0)で密着し得る形状に形成される。かかる摩擦係数の弾性変形を伴う微視的平滑面相互の密着(圧接)によって、他の煩雑な固定手段を講じることなくトランクシールトリム50を所定の装着位置に保持することができる。
従って、本発明によると、係止片が上記数値範囲の摩擦係数を有し、且つ、当該圧接に関与する上記組成のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る係止部(係止片)の表面粗さが上記数値範囲にあることで特徴付けられるトリム材(本実施形態はトランクシールトリム)と車体パネルとから成るトリム取付け構造体が提供される。
【0054】
特に限定するものではないが、本体部53及びシール部54は、好ましくは、第一および第二の実施形態と同様、係止片55a,55b,56a,56bの形成に用いる上記樹脂成形材料と相溶性を有する樹脂成形材料から形成される。例えば、第二実施形態と同様、係止部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM、(c)パラフィン系プロセスオイル及び(d)プロピレン−1-ブテン共重合体を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用し、本体部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM及び(c)パラフィン系プロセスオイルを含むが上記(d)成分は含まないオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用し、シール部形成用として発泡EPDM成形材料を使用することにより、押出成形によって本体部53とシール部54と係止片55a,55b,56a,56bとが長手方向に強固に一体化したトランクシールトリム50を製造することができる。本体部53を上記係止片55a,55b,56a,56bと同じ樹脂成形材料で形成するのも好ましいことは第二実施形態と同じである。
【0055】
なお、係止片55a,55b,56a,56bが上記(a)〜(e)成分を含む組成から成るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から構成されるものである限り、他の付加的構造物をトリム材に形成してもよい。例えば、緩衝、シール性、継ぎ目(隙間)隠し等を目的として、発泡ゴム(発泡EPDM等)、本体部53よりも軟質で柔軟性に富むその他の合成樹脂材料から構成される遮蔽リップ部57a,57b,57c(図5参照)を、共押出成形、熱融着或いは接着材を用いてトランクシールトリム50の一部に設けてもよい。
【0056】
次に、第四の実施形態として、車体に形成された所定の取付け溝に装着されるモール材の一種であるルーフモール60をその横断面図である図6を参照しつつ説明する。なお、図6は、図3〜5と異なり、ルーフモール60が装着される前の形状を示している。
図6に示すように、本実施形態に係るルーフモール60は、長尺状の本体部61を中心に構成される。その本体部61は、2点鎖線で示すルーフパネル38の上面の前後方向に延びる溝39に嵌め込まれる脚部62と、当該脚部62が溝39に嵌め込まれた際に当該溝39の開口部を塞ぐようにして横方向に張り出した頭部63とを有する。
【0057】
本体部61(脚部62)の両側壁には、ルーフモール60が溝39に装着された際、当該ルーフモール60を所定の位置に保持するための係止片64,65が長手方向に形成される。かかる係止片64,65は、本発明に係る上記係止部に相当するものであり、装着されたとき、破線64a,65aで示すように溝39の内壁面にそれぞれ弾性変形した状態で圧接され、溝39から抜止めされる形状に形成される。なお、係止片64,65が圧接される溝39の内壁面は、一般に、アクリル樹脂系塗料等で塗装されており、高度な平滑性を有する。
【0058】
かかる係止片64,65は、例えば、上述した好適な配合比の(a)〜(e)成分を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る樹脂成形材料によって形成され、表面粗さ(Rmax)が8μm以下(典型的には3〜8μm)となるような平滑表面を有する。
好ましくは、係止片64,65は、溝39の平滑な内壁面(塗装面)に弾性変形して元の形状に戻ろうとする弾性復元力により圧接された際、その内壁面に対して摩擦係数が概ね0.8以上(典型的には0.8〜1.0)で密着し得る形状に形成される。弾性変形を伴う微視的平滑面相互の密着(圧接)とかかる摩擦係数によって、他の煩雑な固定手段を必ずしも講じることなくルーフモール60を溝39の所定の装着位置に保持することができる。
従って、本発明によると、係止片が上記数値範囲の摩擦係数を有し、且つ、当該圧接に関与する上記組成のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る係止部(係止片)の表面粗さが上記数値範囲にあることで特徴付けられるモール材(ルーフモール等)と車体パネルとから成るモール取付け構造体が提供される。
【0059】
特に限定するものではないが、本体部61は、好ましくは、第一〜第三の実施形態と同様、係止片64,65の形成に用いる上記樹脂成形材料と相溶性を有する樹脂成形材料から形成される。例えば、第一の実施形態と同様、係止部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM、(c)パラフィン系プロセスオイル及び(d)プロピレン−1-ブテン共重合体を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用し、本体部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM及び(c)パラフィン系プロセスオイルを含むが上記(d)成分は含まないオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用することにより、押出成形によって本体部61と係止片64,65とが長手方向に強固に一体化したルーフモール60を製造することができる。本体部61を係止片64,65と同じ樹脂成形材料で形成するのも好ましいことは上述の各実施形態と同じであり、その場合には製造工程における効果と、ルーフモールの表面全体に亘って目ヤニの付着を抑止し、光沢の良いモール材が製造される。
【0060】
なお、係止片64,65が上記(a)〜(e)成分を含む組成から成るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から構成されるものである限り、他の付加的構造物をモール材に形成してもよい。例えば、装飾性向上や耐摩耗性向上、耐候性向上等を目的として、種々の合成樹脂材料(例えば比較的硬質のポリプロピレン樹脂材料)から構成される表皮部材68(図6参照)を、共押出成形、熱融着或いは接着材を用いてルーフモール60の表面に設けてもよい。あるいは、形状安定化、取扱いの容易さ等を目的として、従来のモール材と同様の金属製の長尺状芯材を本体部(典型的には脚部)の長手方向に埋設してもよい。
【0061】
次に、第五の実施形態として、建築用パネル端面間に形成された目地に装着される目地材80をその横断面図である図7を参照しつつ説明する。図7も図6と同様に装着前の状態の断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る目地材80は、長尺状の本体部81を中心に構成される。その本体部81は、隣接する二つの建築用パネル70,71の端面70a,71a間に形成される目地(隙間)73に嵌め込まれる脚部82と、当該脚部82が目地73に嵌め込まれた際に外部から視認される意匠面を形成する横方向に張り出した頭部83とを有する。
【0062】
本体部81(脚部82)の両側面からは、目地材80が目地73に装着された際、当該目地材80を所定の位置に保持するための係止片84a,84b,85a,85bが長手方向に連続して突出形成される。かかる係止片84a,84b,85a,85bは、本発明に係る上記係止部に相当するものであり、目地73の内壁面(即ち建築用パネルの端面70a,71a)にそれぞれ破線84c,85cで示す形状に弾性変形した状態で装着され、元の状態に戻ろうとする弾性復元力により圧接される形状に形成される。なお、係止片84a,84b,85a,85bが圧接される建築用パネルの端面70a,71aは一般に塗装されており、高度な平滑性を有する。
【0063】
かかる係止片84a,84b,85a,85bは、例えば、上述した好適な配合比の(a)〜(e)成分を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る樹脂成形材料によって形成され、表面粗さ(Rmax)が8μm以下(典型的には3〜8μm)となるような平滑表面を有する。
好ましくは、係止片84a,84b,85a,85bは、建築用パネル端面70a,71aに弾性変形して圧接された際、その面に対して摩擦係数が概ね0.8以上(典型的には0.8〜1.0)で密着し得る形状に形成される。かかる摩擦係数の弾性変形を伴う微視的平滑面相互の密着(圧接)によって、他の煩雑な固定手段を講じることなく目地材80を目地73内における所定の装着位置に保持することができる。
従って、本発明によると、係止片が上記数値範囲の摩擦係数を有し、且つ、当該圧接に関与する上記組成のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る係止部(係止片)の表面粗さが上記数値範囲にあることで特徴付けられる目地材と建材とから成る目地材取付け構造体(目地詰め構造体)が提供される。
【0064】
特に限定するものではないが、本体部81は、好ましくは、第一〜第四の実施形態と同様、係止片84a,84b,85a,85bの形成に用いる上記樹脂成形材料と相溶性を有する樹脂成形材料から形成される。例えば、第一の実施形態と同様、係止部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM、(c)パラフィン系プロセスオイル及び(d)プロピレン−1-ブテン共重合体を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用し、本体部形成用として(a)ポリプロピレン樹脂、(b)EPDM及び(c)パラフィン系プロセスオイルを含むが上記(d)成分は含まないオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を主体とする樹脂成形材料を使用することにより、押出成形によって本体部81と係止片84a,84b,85a,85bとが長手方向に強固に一体化した目地材80を製造することができる。なお、本体部81を係止片84a,84b,85a,85bと同じ樹脂成形材料で形成することも好ましいことは上述の各実施形態と同じであり、その場合には製造工程上の利点と目地材の表面全体に亘って目ヤニの付着を抑止し、光沢の良い目地材が製造される。
【0065】
【実施例】
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0066】
<実施例1>
第一の実施形態として示した図3に示す横断面形状の長尺状ガラスラン材の全体(本体部及び係止部)が上記(a)〜(e)成分を含む一種類(単一)のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から構成されるように、以下のとおり押出成形した。
すなわち、(a)ポリプロピレン樹脂:25重量部、(b)EPDM:40重量部、(c)パラフィン系プロセスオイル:35重量部、(d)プロピレン−αオレフィン共重合体(三井化学(株)製品「タフマーXR(登録商標)110T」)0.3重量部、及び(e)架橋剤(有機過酸化物):微量(0.2重量部程度)をミキサーで撹拌混合した後に2軸混練押出機に投入し、溶融状態において動的に熱処理した後、ストランドに押出した後にペレットとした。このペレットを単軸押出成形機((株)池貝製品:FS65(商品名)、スクリュー径:65mm、スクリューL/D:25)のホッパーに供給し、加熱シリンダー(185℃)内にて溶融・混練し、図3に示すガラスラン材14の断面形状に対応する開口形状の押出ダイから約2.5m/分の押出速度で押出し、図3に示す断面形状のガラスラン材を製造した。
【0067】
<実施例2〜6>
(d)プロピレン−αオレフィン共重合体(三井化学(株)製品「タフマーXR(登録商標)/XR110T」)の添加量を異ならせる他は、実施例1と同様の材料の配合及び製造プロセスによって、図3に示す断面形状のガラスラン材を製造した。すなわち、以下の表1に示すように、実施例2、3、4、5及び6は、それぞれ、上記(d)成分の添加量を0.6、1、3、5及び10重量部とした。
【0068】
<比較例1〜2>
比較例1として、上記(d)成分を添加しない他は実施例1と同様の材料の配合及び製造プロセスによって、図3に示す断面形状のガラスラン材を製造した。
また、比較例2として、上記(d)成分に代えてエチレン−αオレフィン共重合体(三井化学(株)製品「タフマーP(登録商標)/P−0480」)1重量部を添加した他は実施例1と同様の材料の配合及び製造プロセスによって、図3に示す断面形状のガラスラン材を製造した。
なお、実施例1乃至6並びに比較例1及び2において、前記(d)プロピレン−αオレフィン共重合体(ただし比較例2は、上述のとおりプロピレン−αオレフィン共重合体に代えてエチレン−αオレフィン共重合体)を除く他の成分とその重量部、即ち(a)ポリプロピレン樹脂:25重量部、(b)EPDM:40重量部、(c)パラフィン系プロセスオイル:35重量部、(e)架橋剤:0.2重量部程度は全て同一であるため、表1中ではその記載を省略している。
【0069】
【表1】
Figure 0003778856
【0070】
<試験1:目ヤニ付着量>
各実施例及び比較例のガラスラン材を上記の押出速度で約30分間押出成形を行った後、押出ダイの押出口縁に蓄積した目ヤニ及び成形したガラスラン材に付着した目ヤニをピンセットで剥ぎ取って電子天秤で重量を測定した。測定結果を表1の該当欄に示す。
【0071】
表1に示すように、各比較例と比較して各実施例に係るガラスラン材を押出成形する際の目ヤニ発生量は顕著に少なかった。
この結果から明らかなように、上記プロピレン−αオレフィン共重合体を添加したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を樹脂成形材料として用いると、目ヤニの発生量延いては樹脂成形部材の表面に付着する目ヤニ量を抑制して樹脂成形部材の品質(美観)を良好に保つことができる。特にプロピレン−αオレフィン共重合体を5重量部以上添加することによって、目ヤニ量を顕著に減少させることができることが確かめられた。
【0072】
<試験2:表面粗さ及び平滑性>
各実施例及び比較例のガラスラン材の表面粗さ(最大高さ:Rmax)を測定した。すなわち、製造したガラスラン材の抜止め片(図3中の符号27で示す部分)を測定試料として切り出し、表面粗さ測定機((株)東京精密製品「サーフコム(登録商標)300B」)の台座に固定した。測定針(形式010 2501)を測定試料に接触させ、駆動速度(測定針のスピード)0.3mm/秒にて試料の断面曲線を測定した(測定距離:10mm)。得られた断面曲線データ(10mm)のうち、両端1mmをカットした8mm間の最高高さ(Rmax:μm)を求めた。測定結果を表1の該当欄に示す。なお、Rmax値が8μmを越えたものは平滑性が充分でないとして表中×で示す。一方、Rmax値が8μm以下のものは微視的平滑性が良好として表中○で示す。
【0073】
表1に示すように、各比較例と比べて各実施例に係るガラスラン材の平滑性は良好であり、Rmaxはいずれも8μm以下であった。特にプロピレン−αオレフィン共重合体を1重量部以上添加することによって、Rmaxを5μm以下にすることができた。
この結果から明らかなように、上記プロピレン−αオレフィン共重合体を添加したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を樹脂成形材料として用いると、微視的に平滑な表面を有する長尺状樹脂成形部材を得ることができる。
【0074】
<試験3:摩擦係数>
各実施例及び比較例1のガラスラン材の摩擦係数を測定した。すなわち、製造したガラスラン材の車外側側壁(図3中の符号23で示す部分)から幅:6mm、長さ:50mm、厚み:2.5mmの試験片を作製した(2本で1セット、実施例又は比較例毎に計3セット(n=3))。次いで、以下の試験を行った。
【0075】
1セット(2本)の試験片をアクリル樹脂板(60×60×1mm)の片面に50mmの間隔をとって両面テープにて平行に貼り付けた。次いで、このアクリル樹脂板をアクリル樹脂系塗料で塗装して表面が平滑となっている鉄板(以下「塗装板」という。)の当該塗装面上に上記2本の試験片が下になる向きに配置した。これにより、当該2本の試験片はアクリル樹脂板の自重によって塗装板に圧接される。このとき、2本の試験片を含むアクリル樹脂板の全重量が700gとなるように不足重量分の重りをアクリル樹脂板上に載置した。
次いで、アクリル樹脂板の一端にワイヤーを取付け、卓上型オートグラフを用いて当該ワイヤーを介して引張り速度:100±5mm/分でアクリル樹脂板を横方向(貼り付けられた試験片の幅方向)に引っ張った。
この試験において静摩擦係数μを式:μ=F/Wから求めた。式中のWは重り+アクリル樹脂板+試験片の全体重量(N)であり、Fはアクリル樹脂板が塗装板上で動き出す(即ちスライドする)瞬間の最大荷重(N)である。結果を表1の該当欄に示す。
【0076】
表1に示すように、比較例1と比べて各実施例に係るガラスラン材の摩擦係数は高く、いずれも0.8以上であった。特にプロピレン−αオレフィン共重合体を5重量部以上添加したもの(実施例5及び6)では0.9以上の摩擦係数が得られた。
本試験結果及び上述の表面粗さ(Rmax)から明らかなように、上記プロピレン−αオレフィン共重合体を添加したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を樹脂成形材料として用いると、高い摩擦力を実現し得る平滑表面を有する係止部を備えた長尺状樹脂成形部材を得ることができる。
【0077】
<試験4:保持力>
実際の窓枠と同様の材質、形状及び表面をクロムメッキ処理した取付け溝(図3の符号6参照)を形成するサッシュ治具に、各実施例及び比較例1のガラスラン材を実際の窓枠に装着する場合と同様の態様(図3参照)で装着し、その保持力(即ち抜止め片27,28の圧接による保持力)を測定した。
すなわち、図3に示すのと同様の態様で、上記サッシュ治具の取付け溝に長さ:50mmのガラスラン材を装着した。次いで、長さ方向の両端付近において一対のシールリップ26a,26b(図3参照)各々の根元付近にワイヤーを取付け(即ちワイヤー取付け位置は計4箇所)、オートグラフを用いて当該ワイヤーを介してガラスラン材を垂直方向(図3における下方向)に引張り速度:200mm/分で引っ張った。そして、ガラスラン材がサッシュ治具の取付け溝から外れるときの最大荷重(N)を測定した。なお、試料は各実施例及び比較例1のいずれも計2本(n=2)とした。測定結果を表1の該当欄に示す。
【0078】
表1に示すように、比較例1と比べて各実施例に係るガラスラン材の保持力は高く、いずれも50N/100mm以上であった。特にプロピレン−αオレフィン共重合体を3重量部以上添加したもの(実施例4、5及び6)では60N/100mm以上であった。
本試験結果ならびに上述の表面粗さ(Rmax)及び摩擦係数の結果から明らかなように、上記プロピレン−αオレフィン共重合体を添加したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を樹脂成形材料として用いると、平滑な塗装面に対して高い摩擦力で保持力に優れる係止部を有する長尺状樹脂成形部材を得ることができる。
【0079】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の長尺状樹脂成形部材の一製造例を模式的に示す説明図である。
【図2】 一実施形態に係る本発明のガラスラン組立体が取付けられた状態の自動車フロントドアパネルの一部破断側面図である。
【図3】 図2におけるIII−III線断面図であって、一実施形態に係る本発明のガラスラン材の構造を示す横断面図である。
【図4】 一実施形態に係る本発明のトリム材の構造を示す横断面図である。
【図5】 一実施形態に係る本発明のトリム材の構造を示す横断面図である。
【図6】 一実施形態に係る本発明のモール材の構造を示す横断面図である。
【図7】 一実施形態に係る本発明の目地材の構造を示す横断面図である。
【符号の説明】
10 ガラスラン組立体
12,14,16 ガラスラン材
20 本体部
27,28 抜止め片(係止部)
40 ドアオープニングトリム
43 本体部
45,46 係止片
50 トランクシールトリム
53 本体部
55a,55b,56a,56b 係止片
60 ルーフモール
61 本体部
64,65 係止片
80 目地材
81 本体部
84a,84b,85a,85b 係止片

Claims (9)

  1. 長尺状に成形された樹脂成形部材であって、
    長尺状の本体部と、
    被装着物の所定部位に取り付けられた際に少なくとも一部が弾性変形し得る形状で該本体部と一体に形成され、その変形による弾発力によって該被装着物の所定部位に圧接される係止部とを有しており、少なくともその係止部は以下の(a)〜(e)の成分:
    (a)ポリプロピレン樹脂;
    (b)エチレン−αオレフィン系共重合体ゴム;
    (c)軟化剤;
    (d)プロピレン−αオレフィン共重合体;及び
    (e)架橋剤;
    を配合して成るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から形成されている、長尺状樹脂成形部材。
  2. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、以下の(a)と(b)と(c)の成分の合計を100重量部として、
    (a)ポリプロピレン樹脂15〜40重量部、
    (b)エチレン−αオレフィン系共重合体ゴム30〜50重量部、及び
    (c)軟化剤20〜55重量部を含み、
    さらに(d)プロピレン−αオレフィン共重合体が0.1〜15重量部配合される、請求項1に記載の長尺状樹脂成形部材。
  3. 前記係止部の表面粗さ(Rmax)が8μm以下である、請求項1又は2に記載の長尺状樹脂成形部材。
  4. 前記長尺状本体部及び係止部は押出成形によって製造され、
    前記係止部と本体部の略全体が前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から成る押出成形物である、請求項1〜3のいずれかに記載の長尺状樹脂成形部材。
  5. 車体の窓枠に装着されるガラスラン材として形成され、
    そのガラスラン材の長尺状本体部は、窓ガラスの縁部を挟み込むためのチャンネルが長手方向に形成された形状であり、
    前記係止部は、窓枠内に前記本体部が嵌め込まれた際に弾性変形した状態で該窓枠の内壁面に圧接されて窓枠から抜け止めされる形状で該本体部に一体に形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の長尺状樹脂成形部材。
  6. 車体の窓枠に装着され、窓ガラスの縁部を挟み込むチャンネルを形成する長尺状本体部を有する少なくとも二つのガラスラン材と、
    該ガラスラン材の端末同士を長手方向に連結するジョイント材であって該窓枠のコーナー部分に取付けられる少なくとも一つのジョイント材とを備えるガラスラン組立体であって、
    前記ガラスラン材の少なくとも一つが請求項5に記載の長尺状樹脂成形部材によって構成されている、ガラスラン組立体。
  7. 車体の開口部の周縁に装着されるトリム材として形成され、
    そのトリム材の長尺状本体部は、該車体の開口部周縁に設けられた突縁部を挟み込むための溝が長手方向に形成された形状であり、
    前記係止部は、前記溝に前記突縁部が挟み込まれた際に弾性変形した状態で該突縁部の表面を圧接して挟持する形状で該本体部に一体に形成されている、請求項1〜4のいずれ かに記載の長尺状樹脂成形部材。
  8. 車体に形成された溝に装着されるモール材として形成され、
    そのモール材の長尺状本体部の少なくとも一部は、長手方向に亘って該溝に嵌め込まれる形状であり、
    前記係止部は、前記溝に前記本体部の少なくとも一部が嵌め込まれた際に弾性変形した状態で該溝の内壁面に圧接され得る形状で該本体部に一体に形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の長尺状樹脂成形部材。
  9. 建築用パネル端面間の目地に装着される目地材として形成され、
    その目地材の長尺状本体部の少なくとも一部は、長手方向に亘って該目地に嵌め込まれる形状であり、
    前記係止部は、前記目地に前記本体部の少なくとも一部が嵌め込まれた際に弾性変形した状態で前記パネルの壁面に圧接され得る形状で該本体部に一体に形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の長尺状樹脂成形部材。
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