JP2005171190A - オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物及び該組成物からなる自動車用モール - Google Patents
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【解決手段】 オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)5〜50重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が60〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)50〜95重量部[(A)及び(B)の合計量は100重量部である。]とを含み、このオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から自動車用モールを形成する。
【選択図】 図2
Description
(1)実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)5〜50重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が60〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)50〜95重量部[(A)及び(B)の合計量は100重量部である。]とを含む自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(2)実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量部に対して、ポリプロピレン樹脂(C)50重量部以下を含む自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(3)実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量部に対して、軟化剤(D)10〜200重量部を含む自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(4)実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量部に対してポリプロピレン樹脂(C)50重量部以下および軟化剤(D)10〜200重量部とを含む自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(5)JIS K6262に準拠し、100℃×70時間の条件で測定した圧縮永久歪が50%以下である前記(1)から(4)のいずれかに記載の自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車用モール。
本発明で用いる高密度ポリエチレン樹脂(A)は、実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂である。「実質的にコモノマーを含んでいない」とは、ポリエチレン樹脂の重合工程において、他のモノマーを全く含まずにエチレン単独で重合させたポリエチレン樹脂のことであり、この重合工程において、副反応等によりエチレンの骨格中に不可避的に、エチレンとは異なる繰り返し構造単位を含んでいても良い。
このようなポリエチレン樹脂(A)を用いると、他のモノマーに起因する低融点成分を含有しないため耐熱性に優れ、高温でのゴム弾性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
高密度ポリエチレン樹脂(A)はメルトフローレート(MFR;ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上、好ましくは0.1〜10g/10分であるのが望ましい。また、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が1.2〜2.5dl/g、質量平均分子量が5×104〜1.5×105、質量平均分子量と数平均分子量の比が3〜15であるものが望ましい。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)は、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が通常90〜250、好ましくは100〜200、エチレン含量が通常60〜95モル%、好ましくは72〜85モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体である。ここで、エチレン含量とは、全α−オレフィン(エチレンを含む)に対するエチレン含量をいう。
エチレン・α−オレフィン系共重合体(B)は、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィンとからなる共重合体であってもよいし、更にα−オレフィン以外のモノマーが共重合されていてもよい。α−オレフィン以外のモノマーとしては、非共役ポリエン等が挙げられる。またエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中のエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の含有量は、高密度ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量部に対して、通常50〜95重量部、好ましくは60〜90重量部である。
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、ポリプロピレン樹脂(C)が含まれていてもよい。ポリプロピレン樹脂(C)としては、公知のポリプロピレン樹脂が制限なく使用できる。具体的なものとしては、次のポリプロピレン樹脂等が例示される。
1)プロピレン単独重合体
2)90モル%以上のプロピレンと10モル%未満の他のα−オレフィンとのランダム共重合体(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体)
3)70モル%以上のプロピレンと30モル%未満の他のα−オレフィンとのブロック共重合体(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
ポリプロピレン樹脂(C)としては、前記1)のプロピレン単独重合体及び2)のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましく、特にMFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜50g/10分であるものが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(C)は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、軟化剤(D)が含まれていてもよい。軟化剤(D)としては、鉱物油系軟化剤が好ましく用いられる。このような鉱物油系軟化剤は、通常ゴムに使用されるパラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の軟化剤が適当である。
また、このような軟化剤(D)は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造時に、その他の原料とともに添加しても良いし、エチレン・α−オレフィン系共重合体(B)に伸展油としてあらかじめ、添加されていても良い。
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K6262に準拠し、25%圧縮し、100℃、70時間の条件で測定した圧縮永久歪が50%以下であるエラストマーである。
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤等の添加剤を配合することができる。
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、前記ポリエチレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体(B)、及び必要により配合する樹脂や添加剤を、前記特定の割合で混合し、架橋剤の非存在下、動的に熱処理することにより製造することができる。
前記の「動的に熱処理する」とは、前記ポリエチレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体(B)、及び必要により配合する樹脂や添加剤を溶融(融解)状態で混練することをいう。この動的な熱処理は、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸押出機及び二軸押出機等の混練装置を用いて行うことができるが、二軸押出機を用いて行うのが好ましい。動的な熱処理は、非開放型の混練装置中で行うのが好ましい。また窒素等の不活性ガス中で行うのが好ましい。
本発明により得られる自動車用モールは、前記によって得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、従来より、塩化ビニル樹脂や熱可塑性樹脂を用いた成形時に使用されている押出成形機によって押出成形を行うことにより得られる。
また、本発明により得られる自動車用モールは、本発明で得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物単独で成形されていても良いし、ポリプロピレンや架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーなどの他の熱可塑性樹脂やエラストマーと多層成形されていても良い。
図1は、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車用モールを説明するための自動車の外観図、図2は、ルーフモールを示す断面図である。
本実施形態では、図1に示すように、自動車CのルーフパネルRとサイドパネルSとの継ぎ目部分に設けられるルーフモールMを例にして説明する。ルーフモールMは、図2に示すように、中心部に芯材1を備え、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から構成されており、ルーフパネルRとサイドパネルSとの継ぎ目部分(図1参照)の領域において、これら両者に係合して組み付けられるように断面略エ字形状に形成されている。
なお、ルーフモールMは、部分的にポリプロピレンを用いて成形してもよいし、また、図3に示すように、リップ部3や突部4を本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から形成し、芯材1を取り巻く主要部分をポリプロピレン(PP)で形成するようにしてもよい。
〔実施例1〕
コモノマー非含有高密度ポリエチレン(A−1;密度964g/m3、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)5g/10分)30重量部とエチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム(B−1;エチレン含量77モル%、ムーニー粘度[ML1+4、100℃]145、ヨウ素価12)70重量部をヘンシェルミキサーにより混合した。次に、L/D=30、スクリュー径50mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で動的に熱処理して押出し、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを190℃で圧縮成形を行い2mm厚のシートを得た。このシートをJIS K6253に準拠し硬度を測定した。結果を表1に示す。一方、得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを190℃で射出成形を行い直径29.0mm、厚さ12.7mmの成形品を得た。この成形品を用いてJIS K6262に準拠し、圧縮永久歪(25%圧縮、100℃×70時間)を測定した。結果を表1に示す。
さらに、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットからスクリュー径50mmの押出機を用いて200℃にてテープ状の成形品を得た。この成形品の肌荒れを目視によって下記評価基準により判定した。結果を表1に示す。
◎:肌荒れは認められない
○:肌荒れはほとんど目立たない
△:肌荒れは目立たない
×:肌荒れがかなり目立つ
実施例1で用いたコモノマー非含有高密度ポリエチレン(A−1)15重量部、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム(B−1)85重量部およびプロピレン・エチレンランダム共重合体(C−1;エチレン含量4モル%、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)0.5g/10分)10重量部とを用いて実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。次に実施例1と同様にして硬度、圧縮永久歪及び押出成形性の評価を行った。全ての結果を表1に示す。
実施例1で用いたコモノマー非含有高密度ポリエチレン(A−1)30重量部、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム(B−1)70重量部および軟化剤(D−1;パラフィン系オイル、出光興産(株)社製、PW−380、商標)40重量部とを用いて実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。次に実施例1と同様にして硬度、圧縮永久歪及び押出成形性の評価を行った。全ての結果を表1に示す。
実施例1で用いたコモノマー非含有高密度ポリエチレン(A−1)30重量部、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム(B−1)70重量部、実施例2で用いたプロピレン・エチレンランダム共重合体(C−1)10重量部および実施例3で用いた軟化剤(D−1)40重量部とを用いて実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。次に実施例1と同様にして硬度、圧縮永久歪及び押出成形性の評価を行った。全ての結果を表1に示す。
実施例1で用いたコモノマー非含有高密度ポリエチレン(A−1)30重量部、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム(B−1)100重量部に伸展油として軟化剤(D−1)を40重量部含有する油展エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム(B−2)110重量部および実施例2で用いたプロピレン・エチレンランダム共重合体(C−1)10重量部とを用いて実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。次に実施例1と同様にして硬度、圧縮永久歪及び押出成形性の評価を行った。全ての結果を表1に示す。
実施例1で用いたコモノマー非含有高密度ポリエチレン(A−1)の代わりに、コモノマー含有高密度ポリエチレン(A−2;密度945g/cm3、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)1g/10分、エチレン含量98.5モル%重量部)を用いた以外は実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。次に実施例1と同様にして硬度、圧縮永久歪及び押出成形性の評価を行った。全ての結果を表1に示す。
実施例4で用いたコモノマー非含有高密度ポリエチレン(A−1)の代わりに、コモノマー含有高密度ポリエチレン(A−2)を用いた以外は実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。次に実施例1と同様にして硬度、圧縮永久歪及び押出成形性の評価を行った。全ての結果を表1に示す。
実施例1で用いたコモノマー非含有高密度ポリエチレン(A−1)70重量部およびエチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム(B−1)30重量部とを用いて実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。次に実施例1と同様にして硬度、圧縮永久歪及び押出成形性の評価を行った。全ての結果を表1に示す。
実施例1で用いたエチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム(B−1)を用いて実施例1と同様にして硬度、圧縮永久歪及び押出成形性の評価を行った。全ての結果を表1に示す。
2 表面部
3 リップ部
4 突部
M ルーフモール
Claims (6)
- 実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)5〜50重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が60〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)50〜95重量部[(A)及び(B)の合計量は100重量部である。]とを含む自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- 実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量部に対して、ポリプロピレン樹脂(C)50重量部以下を含む自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- 実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量部に対して、軟化剤(D)10〜200重量部を含む自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- 実質的にコモノマーを含んでいない高密度ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量部に対してポリプロピレン樹脂(C)50重量部以下および軟化剤(D)10〜200重量部とを含む自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- JIS K6262に準拠し、100℃×70時間の条件で測定した圧縮永久歪が50%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自動車用モール向けオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車用モール。
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