JP3778378B2 - トラクタの安全フレーム取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクターが転倒時に、運転者を保護するための安全フレームの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からトラクタの座席側部のフェンダー上に安全フレームを配置する構成は公知となっており、該フェンダーに直接安全フレームを立設すると、強度が不足するために、支柱や補強部材をフェンダーに沿って設ける技術が提案されている。例えば、実開昭56−143173号の技術の場合、フェンダーの車輪側に補強部材を設け、該補強部材は上下に分割し、更に、下部分の補強部材は内外二つの補強体で挟持され、補強部材の上部には空間を形成して、フェンダー自体を補強する構成としていた。また、実開昭61−186652号の技術は、リアアクスルケースより支柱を立設し、該支柱上に前後方向に補強部材を設け、その上にフェンダー、その上に安全フレームを立設していた。
また、実開昭52−40439号の技術の場合は、フェンダーの車輪側に補強板を設けて、上部及び下部に三角形状の空間を形成してトラス構造の如く剛体を構成している。また、実開昭58−81184号と実開昭59−184269号の技術の場合には、フェンダーの内側または外側に支柱を配置していた。また、特開平1−309848号の技術はフェンダーの車輪側面に板材を重ねて補強する構成としていた。また、実開平2−108639号の技術の場合は、フェンダーの補強部材と下部フレームとの側面視での重複を避けるように配置していた。また、左右のフェンダーの間にライセンスプレートや収納部を設ける技術も公知となっている。例えば、実開昭56−136846号や実開昭60−36353号や実開昭56−127154号の技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術において、前記実開昭56−143173号や実開昭52−40439号や実開昭58−81184号や実開昭59−184269号や特開平1−309848号の技術は安全フレームを後付けすることができず、製造時に組み立てる必要がある。
また、実開昭61−186652号の場合には、後付けが可能であっても鉛直方向に下部支柱が立設されているために、後方より車輪とフェンダーの間から奥側(前方)に向かって作業するので大変面倒な作業となり、実開平2−108639号の技術の場合は、支柱と補強部材とが重複することを避けるために曲げた構成とするために、フレーム自体が大きくなり、複雑な製造工程となる。
【0004】
また、フェンダーの座席側に支持フレームを設ける構成の場合には着座空間が狭くなり、フェンダーの車輪側に設けた場合には、強度を持たせるために空間を形成しているが、車輪側の張出部に泥や土等が付着し易く、フェンダーと補強部材の間にも侵入して腐食の原因となることがあった。また、左右のフェンダー間はプレート等で補強される場合があっても、制御ボックスが配置されることはなく、本発明では、エンジンから離れており、振動やノイズ等が少なく、下方からの泥等による腐食の心配もない位置に制御ボックスを配置しようとする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決する為に次の如く構成したものである。
請求項1においては、下部フレーム15と補強部材16とをリアアクスルケース7とフェンダー5に装着して、当該フェンダー5上に固着したブラケット17に安全フレーム14を取り付ける構成であって、下部フレーム15と補強部材16とをフェンダー5の車輪側の側面の形状に略合わせた形状とし、下部フレーム15の下部に取付座23を構成し、該取付座23をリアアクスルケース7に取り付け、前記補強部材16をフェンダー5と下部フレーム15によって挟み、側面視で下部フレーム15と補強部材16を略同じ幅として重複し、取付プレート26と前記フェンダー5の縦壁部下端にある縁部と、補強部材16と、下部フレーム15を、ボルト27により共締めし、該取付プレート26の他側をミッションケース6の側面に固定し、前記下部フレーム15の上端は、前記フェンダー5の上部水平部の形状に合わせて水平方向に曲げて水平部15aとし、該水平部15aの上面に補強部材16を配置し、該フェンダー5の上部水平部と、下部フレーム15の水平部15 a と、補強部材16と、前記ブラケット17をボルト30によって共締め固着し、該ブラケット17に安全フレーム14を取付けるものである。
請求項2においては、前記左右のフェンダー5・5の上方間を連結部材20で連結し、該連結部材上に制御ボックス21を配置したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に実施例を説明する。
図1は本発明の取付構造により安全フレームを装着したトラクタの全体側面図、図2はロータリ耕耘装置を装置したトラクタ後部の安全フレーム取付部の側面図一部断面図、図3はトラクタ後部の安全フレーム取付部の後面図一部断面図、図4は安全フレームの組立斜視図である。
【0007】
図1、図2において、トラクタの前部のボンネット1内にエンジンEが搭載され、該ボンネット1の後部にハンドル2が突出され、該ハンドル2後部に座席3を配置している。該座席3の両側に後輪4・4の上方、及び機体内側を覆うフェンダー5・5を配置している。
また、前記座席3はミッションケース6上に配置されており、該ミッションケース6の両側より側方に、リアアクスルケース7・7が突出され、該リアアクスルケース7・7に後車軸8・8を軸支して、該後車軸8・8の両側に後輪4・4を固定している。
【0008】
前記ミッションケース6の後面には、ヒッチ9が後方に突設され、該ヒッチ9に作業機としてのロータリ耕耘装置Rのサポート10の前端を枢支している。一方、ミッションケース6の上部にはシリンダーケース11が配置され、該シリンダーケース11よりリフトアーム12・12が突出されて、該リフトアーム12・12にリフトロッド13・13を介して前記サポート10と枢結して、油圧シリンダーによってリフトアーム12・12を回動することによってロータリ耕耘装置Rを昇降できるようにしている。
【0009】
本発明の安全フレーム14は、前記フェンダー5・5の上部水平面に立設できるようにしてあり、該安全フレーム14を従来のようにフェンダー5・5上にそのまま固定すると強度が不足して、転倒時等に運転者を保護することができないので、下部フレーム15及び補強部材16によって補強して、従来よりも装着し易い構成としている。
【0010】
即ち、図2、図3、図4に示すように、安全フレーム14は門型に構成して、その下部が左右のブラケット17に固定され、該ブラケット17は、前記フェンダー5・5の上部水平面に設けられた取付プレート17a上に平面視コ字状の嵌合部17bを固設して成り、安全フレーム14の下部を嵌合部17bで枢支ピン18とロックピン19によって固定して、ロックピン19を外すと安全フレーム14は後方へ傾倒可能となり、格納する場合や果樹の下方を作業する場合等で安全フレーム14を傾倒できるようにし、ロックピン19にて容易に角度を変更した状態に維持できるようにしている。
【0011】
前記フェンダー5・5の上部水平面に固定する、左右の取付プレート17a・17aの間は連結部材20によって連結されている。該連結部材20はプレートより構成して、その両端をボルトによって取付プレート17a・17aの内側間に締結することにより、該連結部材20上に、水平部が構成され、当該水平部上に作業機の水平制御や耕深制御等の制御装置を設けることができる制御ボックス21を配設している。
【0012】
図2のように側面視において、前記下部フレーム15と補強部材16とは相互に、かつ前記フェンダー5・5の縦壁部と略重複する形状としている。また、図3の後面視においては、フェンダー5の縦壁部車輪側に略沿う形状として、補強部材16、下部フレーム15の順に設けることにより、張出を抑え、かつ、全体の厚みを小さくしている。
そして、下部フレーム15下端には取付座23が下部フレーム15と垂直かつで水平方向に固設され、該取付座23と固定板24との間にリアアクスルケース7を挟んで、長尺ボルト25・25・・・によって固定して、下部フレーム15が斜め上後方へ延設している。前記補強部材16は下部フレーム15と略同じ幅とし、フェンダー5の縦壁部下端にある縁部は、取付プレート26によってミッションケース6の側面に下部フレーム15及び補強部材16とともにボルト27・27によって共締めされて固定されて、強度を上げている。
そして、下部フレーム15の上端は前記フェンダー5の上部水平部の形状に合わせて水平方向に曲げられて水平部15aとし、該水平部15aの上面に補強部材16・16の一部である部材16’・16’を介してフェンダー5の上部水平部及び取付プレート17aをボルト30・30・・・によって共締め固定している。なお、前記部材16’・16’は、補強部材と一体形成されていてもよい。
【0013】
このような構成において、安全フレーム14を後付けで組み立てる場合には、後方より下部フレーム15の取付座23をリアアクスルケース7上に載置して、固定板24を下側から挟んで長尺ボルト25・25・・・によって固定する。フェンダー5下部を固定するボルト27を外して、補強部材16を下部フレーム15とフェンダー5の間に挿入して、下部はボルト27で固定し、上部は部材16’・16’を介装して、ボルト30・30・・・によってブラケット17とフェンダー5と下部フレーム15を固定する。そして、ブラケット17に安全フレーム14を枢支ピン18とロックピン19で固定するのである。
【0014】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、請求項1の如く、下部フレーム15と補強部材16とをリアアクスルケース7とフェンダー5に装着して、当該フェンダー5上に固着したブラケット17に安全フレーム14を取り付ける構成であって、下部フレーム15と補強部材16とをフェンダー5の車輪側の側面の形状に略合わせた形状とし、下部フレーム15の下部に取付座23を構成し、該取付座23をリアアクスルケース7に取り付け、前記補強部材16をフェンダー5と下部フレーム15によって挟み、側面視で下部フレーム15と補強部材16を略同じ幅として重複し、取付プレート26と前記フェンダー5の縦壁部下端にある縁部と、補強部材16と、下部フレーム15を、ボルト27により共締めし、該取付プレート26の他側をミッションケース6の側面に固定し、前記下部フレーム15の上端は、前記フェンダー5の上部水平部の形状に合わせて水平方向に曲げて水平部15aとし、該水平部15aの上面に補強部材16を配置し、該フェンダー5の上部水平部と、下部フレーム15の水平部15 a と、補強部材16と、前記ブラケット17をボルト30によって共締め固着し、該ブラケット17に安全フレーム14を取付ける構成としたので、既に販売して市場に出回っているトラクタに対して、安全フレームを容易に後付けができるようになり、安全性を向上できるようになり、支持フレーム及び補強部材はフェンダーの内壁にいっぱい寄せることができて、運転空間を狭めることなく、後輪との干渉も避けることができる。
【0015】
また、請求項2の如く構成したので、座席後部の左右のフェンダー間を有効に利用できるようになり、特に、安全フレームを既販売機に後付けする場合に、設置スペースを確保できて、操作性も向上できる。また、エンジンから離れた位置となるので、振動やノイズも少なく安定した制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の取付構造により安全フレームを装着したトラクタの全体側面図である。
【図2】 ロータリ耕耘装置を装置したトラクタ後部の安全フレーム取付部の側面図一部断面図である。
【図3】 トラクタ後部の安全フレーム取付部の後面図一部断面図である。
【図4】 安全フレームの組立斜視図である。
【符号の説明】
5 フェンダー
7 リアアクスルケース
14 安全フレーム
15 下部フレーム
16 補強部材16
20 連結部材
21 制御ボックス
Claims (2)
- 下部フレーム15と補強部材16とをリアアクスルケース7とフェンダー5に装着して、当該フェンダー5上に固着したブラケット17に安全フレーム14を取り付ける構成であって、
下部フレーム15と補強部材16とをフェンダー5の車輪側の側面の形状に略合わせた形状とし、下部フレーム15の下部に取付座23を構成し、該取付座23をリアアクスルケース7に取り付け、前記補強部材16をフェンダー5と下部フレーム15によって挟み、側面視で下部フレーム15と補強部材16を略同じ幅として重複し、
取付プレート26と前記フェンダー5の縦壁部下端にある縁部と、補強部材16と、下部フレーム15を、ボルト27により共締めし、該取付プレート26の他側をミッションケース6の側面に固定し、
前記下部フレーム15の上端は、前記フェンダー5の上部水平部の形状に合わせて水平方向に曲げて水平部15aとし、該水平部15aの上面に補強部材16を配置し、該フェンダー5の上部水平部と、下部フレーム15の水平部15 a と、補強部材16と、前記ブラケット17をボルト30によって共締め固着し、該ブラケット17に安全フレーム14を取付けることを特徴とするトラクタの安全フレーム取付構造。 - 請求項1記載のトラクタの安全フレーム取付構造において、前記左右のフェンダー5・5の上方間を連結部材20で連結し、該連結部材20上に制御ボックス21を配置したことを特徴とするトラクタの安全フレーム取付構造。
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