JP3777280B2 - 化合物半導体太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は化合物半導体太陽電池の製造方法に関し、更に詳細にはpn接合の化合物半導体太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すpn接合の光吸収層を有する化合物半導体太陽電池がある。図4において、図4(a)は化合物半導体太陽電池の正面図であり、図4(b)は化合物半導体太陽電池の縦断面図である。この化合物半導体太陽電池(以下、単に太陽電池と称することがある)は、ガラス基板100上に電極膜としてモリブデン層102が形成されている。このモリブデン層102上には、p型半導体層104とn型半導体層106とが順次積層されて形成されており、n型半導体層106上に透明電極108が形成されている。更に、透明電極108上には櫛形電極110が形成されている。この櫛形電極110は、図4(a)に示す様に、電極が枝別れ状(櫛形状)に形成されているものである。
【0003】
かかる図4に示す太陽電池は、図5に示す方法で製造できる。先ず、ガラス基板100の一面側に、モリブデン層102から成る電極膜を蒸着又はスパッタリングで形成した後、インジウム層103を室温下での蒸着によって形成し、更にインジウム層103上に銅層105を室温下での蒸着によって形成する〔図5(a)の工程〕。
このインジウム層103と銅層105とから成る金属膜を、硫化水素雰囲気中で加熱処理する硫化処理を施してCuInS2のp型半導体層104とした後、p型半導体層104に生成された硫化物(CuxSY)等の不純物を取り除きp型半導体層104の特性を適正化して安定した特性とすべく、KCNが5〜10重量%含有されたKCN溶液によってp型半導体層104の表面を洗浄するKCN処理を施す〔図5(b)の工程〕。
更に、p型半導体層104上には、化学的溶液析出法によりn型半導体層106を形成し〔図5(c)の工程〕、更にn型半導体層106上にスパッタリングによりZnO:Al又はIn2O3から成る透明電極108を形成する〔図5(d)の工程〕。
その後、透明電極108上に、アルミニウムから成る櫛形電極110を形成することによって、図4に示す太陽電池を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示す太陽電池においては、KCN処理前のp型半導体層104を形成するCu及びInのCu/In原子濃度比率(以下、単にCu/In原子濃度比率と示す場合は、KCN処理前のp型半導体層を形成するCu及びInのCu/In原子濃度比率のことを示表する)を可及的に高くすること、及び/又はp型半導体層104を可及的に厚くすることによって、p型半導体層104内の結晶性を向上でき、太陽電池の発電効率を向上できる。
しかしながら、現状においては、p型半導体層104のCu/In原子濃度比率は、最終的に得られる太陽電池の歩留まり率等の観点から略1.6が限界である。かかるCu/In原子濃度比率が1.6を超えて高くすると、KCN処理工程において、p型半導体層104が電極膜102から剥離し易くなるからである。このため、従来の太陽電池の製造方法では、p型半導体層内の結晶性を向上することによって、太陽電池の発電効率を向上することは極めて困難である。
また、p型半導体層104の層厚も2μm程度が限界である。層厚が2μmを超えるp型半導体層104を形成すべく、インジウム層103と銅層105とから成る金属膜を厚くすると、KCN処理工程においてp型半導体層104の剥離が発生するためである。
ところで、p型半導体層104の層厚を厚く形成できれば、形成されたp型半導体層104に化学エッチングを施すことによって、p型半導体層の層厚を可及的に一様とすることができる。しかし、従来の太陽電池の製造方法では、化学エッチングを施して層厚を調整し得る厚さのp型半導体層104を形成できず、層厚が可及的に一様なp型半導体層104を、スパッタリングや蒸着のみによって形成しなければならなかった。このため、従来の太陽電池の製造方法では、スパッタリングや蒸着の条件管理を極めて厳格に行う必要があった。
そこで、本発明の課題は、主として銅(Cu)及びインジウム(In)によって形成されて成るp型半導体層を具備するpn接合の化合物半導体太陽電池を製造する際に、p型半導体層内の結晶性を容易に向上し得る化合物半導体太陽電池の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討した結果、基板の一面側に形成した電極膜上に形成したインジウム層と銅層のうち、インジウム層を加熱しつつ形成することによって、p型半導体層のCu/In原子濃度比率を1.8以上とし、且つ最終的に得られるp型半導体層の層厚を2μm以上となるように、インジウム層と銅層との金属膜を厚くしても、KCN処理の工程において、p型半導体層の剥離を可及的に抑制できることを知り、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、基板の一面側に形成された電極膜上にインジウム層と銅層とを積層して成る金属膜を形成した後、前記金属膜に硫化処理又はセレン化処理を施してCuInS2又はCuInSe2から成るp型半導体層を形成し、次いで、前記p型半導体層をKCN溶液による洗浄によって、硫化銅やセレン化銅等の不純物を除去するKCN処理を施した後、前記p型半導体層上にn型半導体層を形成して化合物半導体太陽電池を製造する際に、該電極膜上に直接インジウム層を加熱しつつ形成し、或いは前記電極膜上に直接形成した前記インジウム層の表面を露出させた状態で、前記インジウム層に加熱処理を施し、その際に、前記インジウム層の形成温度又はインジウム層に施す加熱処理の温度を、前記基板が120〜210℃に加熱される温度とすることを特徴とする化合物半導体太陽電池の製造方法にある。
【0006】
かかる本発明において、インジウム層と銅層とを積層して成る金属膜を、KCN処理を施す前のp型半導体層を形成する銅(Cu)及びインジウム(In)のCu/In原子濃度比率が1.8以上となるように形成することによって、最終的に得られる太陽電池の特性を向上できる。
更に、KCN処理を施す前のp型半導体層を、最終的に形成するp型半導体層の厚さよりも厚くなるように形成し、KCN処理後に化学エッチングによって所定の厚さに形成することにより、p型半導体層を形成する蒸着やスパッタリングの条件管理を緩和しても、或いはp型半導体層の層厚のコントロールが蒸着やスパッタリングに比較して困難なめっきによっても、最終的に形成するp型半導体層の厚さを容易にコントロールできる。
特に、インジウム層と銅層とを積層して成る金属膜を、KCN処理後又は化学エッチング後のp型半導体層の厚さが2〜10μmとなるように形成することによって、最終的に得られる太陽電池の特性も向上できる。
【0007】
従来の化合物半導体太陽電池の製造方法では、KCN処理工程でのp型半導体層の剥離を防止すべく、p型半導体層のCu/In原子濃度比率を1.6以下で且つ最終的に得られるp型半導体層の層厚を2μm以下となるように、インジウム層と銅層とから成る金属膜の膜厚を調整している。このため、最終的に得られたp型半導体層の結晶粒径が小さく、太陽電池の発電効率も低いものである。
この点、本発明では、基板の一面側に形成された電極膜上に直接インジウム層を加熱しつつ形成すること、又は基板の一面側に形成された電極膜上に直接形成したインジウム層の表面を露出させた状態で、このインジウム層に加熱処理を施すことによって、p型半導体層のCu/In原子濃度比率を1.8以上とし、且つ最終的に得られるp型半導体層の層厚が2μm以上となるように、インジウム層と銅層とから成る金属膜の膜厚を調整しても、KCN処理工程でのp型半導体層の剥離を防止できる。このため、本発明の製造方法では、p型半導体層のCu/In原子濃度比率を従来よりも高くでき、且つ最終的に得られるp型半導体層の層厚を従来よりも厚く形成できるように、インジウム層と銅層とから成る金属膜の膜厚を調整できる結果、p型半導体層内の結晶性を向上でき、本発明によって得られたpn接合の化合物半導体太陽電池の発電効率を、従来の化合物半導体太陽電池の発電効率よりも向上できる。
更に、KCN処理を施した後のp型半導体層の層厚も、従来の化合物半導体太陽電池の製造方法によってKCN処理を施して得られたp型半導体層の層厚よりも厚くすることができ、化学エッチングを施してp型半導体層の層厚を調整できる。このため、p型半導体層を形成するためのスパッタリングや蒸着の条件管理の緩和を図ることができ、或いはp型半導体層の層厚のコントロールが蒸着やスパッタリングに比較して困難なめっきによっても、最終的に形成するp型半導体層の厚さを容易にコントロールできる。
特に、インジウム層の形成温度又はインジウム層に施す加熱処理の温度を、基板が120〜210℃に加熱される温度とすることによって、KCN処理工程でのp型半導体層の剥離を一層防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る化合物半導体太陽電池の製造方法の一例を図1に示す。図1に示す製造方法では、先ず、ガラス基板10の一面側に、モリブデン層12から成る電極膜を蒸着又はスパッタリングで形成した後[図1(a)の工程]、ガラス基板10をヒータ(図示せず)で加熱しつつインジウム層13を蒸着によって形成する[図1(b)の工程]。このインジウム層13は、図1(b)に示す様に、電極膜としてのモリブデン層12上に直接形成されている。
かかるインジウム層13を蒸着によって形成する際のヒータによる加熱は、真空雰囲気下でガラス基板10に装着した熱電対等の温度センサーで測定したガラス基板10が120〜210℃(好ましくは140〜190℃)となるように加熱する。
また、かかる加熱は、室温下での蒸着によって、モリブデン層12上にインジウム層13を直接形成した後、このインジウム層13の表面を露出させた状態で施してもよく、窒素ガス等の非酸化性ガスの雰囲気下で施してもよい。
【0009】
この様に、加熱しつつインジウム層13を形成した後、或いは形成したインジウム層13の表面を露出させた状態で、このインジウム層13に加熱処理を施した後、インジウム層13上に銅層15を蒸着によって形成する〔図1(c)の工程〕。この銅層15は、ヒータによってガラス基板10を加熱しつつ蒸着によって形成してもよく、室温下での蒸着によって形成してもよい。
但し、室温下での蒸着によって形成したインジウム層13上に銅層15を形成した後に加熱処理を施しても、p型半導体層14のCu/In原子濃度比率を1.8以上とすることは極めて困難である。
尚、図1(b)(c)の工程では、インジウム層13及び銅層15を蒸着によって形成しているが、スパッタリングやめっきによって形成してもよく、蒸着、スパッタリング、及びめっきを併用してもよい。
【0010】
このインジウム層13と銅層15とから成る金属膜を、硫化水素雰囲気中で加熱処理する硫化処理を施してCuInS2のp型半導体層14とする。この硫化処理は、アルゴンガス等の不活性ガス中に硫化水素(H2S)が5vol %加えられた気体を、540℃の温度雰囲気下で約2時間ほど流すことによって施すことができる。
この様にして得られたp型半導体層14の表面を、KCNが5〜10重量%含有されたKCN溶液によって洗浄し、p型半導体層14に生成された硫化物(CuxSY)等の不純物を取り除きp型半導体層14の特性を適正化して安定した特性とするKCN処理を施す〔図1(d)の工程〕。かかるKCN処理において、p型半導体層14の洗浄は、p型半導体層14を1〜5分間程度浸漬することによって行うことができる。
このKCN処理の工程において、インジウム層13を加熱しつつ形成することによって[図1(b)の工程]、硫化処理して形成したp型半導体層14のCu/In原子濃度比率を1.8以上としても、p型半導体層14のKCN処理によって剥離現象は発生しない。
他方、図5に示す従来の製造工程の如く、非加熱下でインジウム層103を形成した場合、硫化処理して形成したp型半導体層104では、KCN処理直前のp型半導体層のCu/In原子濃度比率を1.6よりも高くすると、KCN処理によってモリブデン層12からp型半導体層14が剥離する現象が発生する。
また、p型半導体層14の層厚を2μm以上としても、p型半導体層14の剥離が生じないため、KCN処理を施したp型半導体層14に化学エッチングを施し、層厚を調整すると共に、層厚が一様なp型半導体層14を形成できる。この様に、p型半導体層14に化学エッチングを施すことができるため、インジウム層13及び銅層15を形成する蒸着やスパッタリングの条件管理を緩和でき、或いは,後述する様に、蒸着やスパッタリングに比較して層厚のコントロールが困難なめっきによってインジウム層13及び銅層15を形成できる。
【0011】
この様に形成したp型半導体層14上には、化学的溶液析出法によってn型半導体層16を形成する〔図1(e)の工程〕。かかるn型半導体層16は、ZnSO4(0.1mol/リットル)、チオ尿素(0.6mol/リットル)及びNH3水溶液(3mol/リットル)が混合されて80℃に維持された混合液に、p型半導体層14を形成したガラス基板10を約10分間程浸漬することによって形成できる。
この工程はn型半導体層14がZnSの場合であり、n型半導体層14をCdSとする場合は、ヨウ化カドミウム(0.0015mol/リットル)、NH3水溶液(1.0mol/リットル)及びヨウ化アンモニウム(0.01mol/リットル)を混合した液に基板を入れ、加温して約40℃になったところで、チオ尿素(0.15mol/リットル)を入れ、80℃で5分間浸漬することによって形成できる。
更に、n型半導体層16上に、AlがドープされたZnOから成る透明電極18を形成する〔図1(f)の工程〕。
その後、透明電極18上に、アルミニウムから成る櫛形電極110を形成して太陽電池を得ることができる。
【0012】
図1に示す方法によれば、p型半導体層14のCu/In原子濃度比率を1.8以上としても、KCN処理工程でのp型半導体層14の剥離現象を防止でき、p型半導体層14内の結晶性を向上でき、且つその製造工程は図5に示す従来の製造工程と略同工程であるため、安価で且つ高性能の太陽電池を得ることができる。
更に、かかる図1に示す製造方法によって、最終的に得られるp型半導体層14の厚さが2〜10μm(好ましくは3〜6μm)となるように、インジウム層13と銅層15とから成る金属膜の膜厚を調整することが好ましい。ここで、p型半導体層14の厚さを2μm未満の厚さとすると、p型半導体層14内の結晶性が低下する傾向にあり、他方、p型半導体層14の厚さを10μmを超えて厚くすると、p型半導体層14の内部抵抗が高くなる傾向にある。
【0013】
図1に示す製造方法によって得られた太陽電池を図2に示す。図2において、図2(a)は太陽電池の正面図であり、図2(b)は太陽電池の斜視図である。図2に示す太陽電池は、基板としてのガラス基板10上に電極膜としてモリブデン層12が形成されている。このモリブデン層12上には、CuInS2のp型半導体層14とZnSのn型半導体層16とが順次積層されており、n型半導体層16上に透明電極18が形成されている。更に、透明電極18上には櫛形電極20が形成されている。この櫛形電極20は、図1(a)に示す様に、電極が枝別れ状(櫛形状)に形成されているものである。
図2に示す太陽電池には、櫛形電極20と対となる電極端子22が、モリブデン層12の表面の一部が露出して形成されている。この電極端子22は、モリブデン層12上で電極端子を形成する部位に、予め保護用のレジスト又はマスクにより被覆しておき、p型半導体層14、n型半導体層16、透明電極18を形成した後、保護用のレジスト又はマスクを除去することによって形成できる。
【0014】
図2に示す太陽電池のI−V特性を図3の曲線Aとして示す。AM1.5(100mW/cm2)の条件により測定した結果である。
曲線AのI−V特性を呈する太陽電池は、受光面積(有効面積)が0.25cm2の太陽電池あって、次のようにして形成した。先ず、ガラス基板10の一面側に形成した厚さ約1μmのモリブデン層12上に、蒸着によって加熱しつつ形成した厚さ2000nmのインジウム層13と厚さ2600nmの銅層15とから成る金属膜を形成し、この金属膜に硫化処理を施してCuInS2から成るp型半導体層14を形成した。かかるp型半導体層14の厚さは約8μmであって、Cu/In原子濃度比率は3.0であった。次いで、p型半導体層14にKCN処理を施した後、更に化学エッチングを施してp型半導体層14の厚さを約4μmとした。その後、p型半導体層14上に、厚さ80〜120nmのZnSから成るn型半導体層16を形成し、更にAlがドープされたZnOから成る厚さ約1μmの透明電極18を形成した。
尚、n型半導体層16としてCdS、InSを使用した場合も同様である。
【0015】
他方、図5に示す従来の製造方法によって製造された図4に示す従来の太陽電池のI−V特性を、図3に曲線Bとして併記する。この曲線Bは、曲線Aの測定と同一の条件で測定した結果である。曲線BのI−V特性を呈する太陽電池は、その受光面積(有効面積)が0.25cm2であって、ガラス基板100上に形成された厚さ約1μmのモリブデン層102、厚さ約2μmで且つKCN処理前のCu/In原子濃度比率が1.6であったCuInS2から成るp型半導体層104、厚さ80〜120nmのZnSによるn型半導体層106及びAlがドープされたZnOから成る厚さ約1μmの透明電極18によって構成されている。
図3から明らかな様に、図1に示す製造方法で製造した図2の太陽電池のI−V特性は、図4に示す従来の太陽電池のI−V特性よりも良好であり、図3に示すI−V特性から導かれる発電効率は11.7%である。一方、図4に示す従来の太陽電池の発電効率は9.7%であった。
【0016】
図1に示す製造方法では、インジウム層13と銅層15とを蒸着によって形成したが、いずれか一方の層又は両層をめっきによって形成してもよい。
但し、めっきによってインジウム層13を形成する場合は、蒸着やスパッタリングのように加熱しつつインジウム層13を形成することは不可能である。このため、インジウム層13を形成した後に、インジウム層13の表面を露出させた状態で、このインジウム層13を120〜210℃(特に好ましくは140〜190℃)に加熱する。
また、めっきによってインジウム層13及び/又は銅層15を形成する場合、蒸着やスパッタリングによってインジウム層13と銅層15とを形成する場合に比較して、層厚をコントロールすることは困難である。このため、KCN処理前のp型半導体層14を、最終的に形成するp型半導体層14の層厚よりも厚く形成し、KCN処理後に化学エッチングを施して所定厚さのp型半導体層14としてもよい。この化学エッチングには、過酸化水素、硫酸、水酸化アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、硫酸銅、アンモニア、硝酸、燐酸、及び塩酸から成る化合物群から選ばれた単独又は複数の化合物を用いることができる。特に、過酸化水素が好適である。
この様に、KCN処理前のp型半導体層14を、最終的に形成するp型半導体層14の層厚よりも厚くなるように、めっきによってインジウム層13及び/又は銅層15を形成することは、p型半導体層14の層厚を容易にコントロールできるばかりか、p型半導体層14を形成するCuInS2の結晶の成長を促進して結晶粒径を可及的に大きくすることができ、最終的に得られる太陽電池の発電効率を向上できる。
尚、蒸着やスパッタリングのみによって、インジウム層13と銅層15とから成る金属膜を形成する場合も、p型半導体層14を形成するCuInS2の結晶の成長を促進して結晶粒径を可及的に大きくすべく、最終的に形成するp型半導体層14が2〜10μm(好ましくは3〜6μm)となるように、金属膜の膜厚を調整することが好ましい。
【0017】
以上の説明では、インジウム層13と銅層15とから成る金属層に、硫化水素雰囲気中で加熱処理する硫化処理を施すことによって、CuInS2のp形半導体層14を形成したが、インジウム層13と銅層15とから成る金属層に、セレン化水素雰囲気中で加熱処理するセレン化処理を施し、CuInSe2のp形半導体層14を形成する場合も、本発明を適用することができる。
また、p形半導体層14を形成するCuInS2又はCuInSe2中に、微量のガリウム(Ga)が含有されていてもよい。この様に、微量のガリウム(Ga)が含有されているp形半導体層14を形成するには、例えば図1に示す方法において、モリブデン層12上に直接形成したインジウム層13上に、銅層15を形成した後、同様にガリウム層を形成し、次いで、硫化水素雰囲気中で加熱処理する硫化処理を施すことによって、微量のガリウム(Ga)を含有するCuInS2から成るp形半導体層14を形成できる。同様のp形半導体層14は、ガラス基板10の基板面に形成したモリブデン層12上にインジウム層13を形成した後、銅(Cu)−ガリウム(Ga)合金層をスパッタリング又は蒸着によって形成し、次いで、硫化水素雰囲気中で加熱処理する硫化処理を施しても形成できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、KCN処理前のp型半導体層のCu/In原子濃度比率を、従来のpn接合の化合物半導体太陽電池よりも高くでき、且つ最終的に得られるp型半導体層も従来よりも厚くできるため、p型半導体層内の結晶性を向上できる。このため、本発明に係る製造方法によって得られたpn接合の化合物半導体太陽電池の発電効率は、従来の製造方法によって得られたpn接合の化合物半導体太陽電池の発電効率よりも向上できる。その結果、pn接合の化合物半導体太陽電池の普及を図ることができる。
また、KCN処理を施したp型半導体層も従来よりも厚く形成でき、化学エッチングによって最終的に得られるp型半導体層の層厚を調整できるため、インジウム層と銅層とから成る金属層を容易に形成でき、発電効率が従来よりも向上されたpn接合の化合物半導体太陽電池を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る化合物半導体太陽電池の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図2】 図1に示す製造方法で得られた化合物半導体太陽電池の正面図及び斜視図である。
【図3】 図1に示す製造方法で得られた太陽電池のI−V特性を示すグラフである。
【図4】 従来の化合物半導体太陽電池の一例を説明するための正面図及び縦断面図である。
【図5】 図5に示す従来の化合物半導体太陽電池の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【符号の説明】
10 ガラス基板
12 モリブデン層(電極膜)
13 インジウム層
14 p型半導体層
15 銅層
16 n型半導体層
18 透明電極層
20 櫛形電極
Claims (4)
- 基板の一面側に形成された電極膜上にインジウム層と銅層とを積層して成る金属膜を形成した後、前記金属膜に硫化処理又はセレン化処理を施してCuInS2又はCuInSe2から成るp型半導体層を形成し、
次いで、前記p型半導体層をKCN溶液による洗浄によって、硫化銅やセレン化銅等の不純物を除去するKCN処理を施した後、前記p型半導体層上にn型半導体層を形成して化合物半導体太陽電池を製造する際に、
該電極膜上に直接インジウム層を加熱しつつ形成し、或いは前記電極膜上に直接形成した前記インジウム層の表面を露出させた状態で、前記インジウム層に加熱処理を施し、
その際に、前記インジウム層の形成温度又はインジウム層に施す加熱処理の温度を、前記基板が120〜210℃に加熱される温度とすることを特徴とする化合物半導体太陽電池の製造方法。 - インジウム層と銅層とを積層して成る金属膜を、KCN処理を施す前のp型半導体層の銅(Cu)及びインジウム(In)のCu/In原子濃度比率が1.8以上となるように形成する請求項1記載の化合物半導体太陽電池の製造方法。
- KCN処理を施す前のp型半導体層を、最終的に形成するp型半導体層の厚さよりも厚くなるように形成し、KCN処理後に化学エッチングによって所定の厚さに形成する請求項1又は請求項2記載の化合物半導体太陽電池の製造方法。
- インジウム層と銅層とを積層して成る金属膜を、KCN処理後又は化学エッチング後のp型半導体層の厚さが2〜10μmとなるように形成する請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物半導体太陽電池の製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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