JP2831200B2 - 薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

薄膜太陽電池の製造方法

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属電極上に形成された
I−III −VI 族化合物半導体からなるヘテロ接合を利
用した薄膜太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光起電装置として、I−III −VI 族化
合物半導体層、例えば銅インジウムダイセレナイド (Cu
InSe2 ) の薄膜層を含むヘテロ接合を用いた太陽電池が
ある。図1は、CuInSe2 薄膜層を用いた従来技術の薄膜
太陽電池の一部の断面図である。図において、厚さ1〜
4mmのガラス基板1上には厚さ0.2〜2μmのモリブデ
ン (Mo) からなる金属電極層2が形成されている。半導
体層は、p型半導体層として厚さ2〜4μmのCuInSe2
薄膜層3、n型半導体層として厚さ2500〜5000Åの硫化
カドミウム (CdS) 薄膜層4および広いバンドギャップ
を有し、窓層としてのn型半導体層である厚さ2〜4μ
mの酸化亜鉛 (ZnO) 薄膜層5からなる。層5の上には
スパッタリング、蒸着またはめっき法によりアルミニウ
ム (Al) からなる金属電極層6が部分的に形成されてい
る。
【0003】ここでCuInSe2 薄膜層3は、金属薄膜層2
の上に、マグネトロン・スパッタリングによって厚さ1
〜2μmの銅 (Cu) 薄膜層および厚さ1〜2μmのイン
ジウム (In) 薄膜層を重畳して形成した後、セレン (S
e) 雰囲気中で加熱するセレン化法によって形成され
る。すなわち窒素ガスで希釈された12%H2 Seを含む気
体で満たされた加熱炉内で、金属電極層2およびCu、In
薄膜層が順次、形成されたガラス基板1を、まず300 ℃
で15〜20分間加熱し、次に450 ℃において30分間加熱す
ることによってCuInSe2 薄膜層3を得る。CuInSe2 は、
Se雰囲気中での加熱によって銅、インジウムおよびセレ
ンの相互拡散により生成され、カルコパイライト構造か
らなる多結晶粒を形成する。あるいはCu、In、Seの同時
蒸着によってCuInSe2 薄膜層3を形成する。さらにCdS
薄膜層を蒸着法あるいは溶液成長法によって形成する。
溶液成長法では、IEEETransaction on Electric De
vices.37巻、418 〜421 ページ(1990 年) によれば、酢
酸カドミウム1M濃度溶液100ml 、アンモニア水30%溶
液100ml 、トリエタノールアミン50ml、およびチオウレ
ア1M濃度溶液100ml の混合溶液中にCuInSe2 が形成さ
れたガラス基板を浸漬し、CuInSe2 上にCdS薄膜を成長
する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の製造工程によっ
て得られたCuInSe2 薄膜層の上にCdS薄膜層を形成して
ヘテロ接合を形成する太陽電池は、変換効率の向上に関
し、次の欠点を有する。すなわち、上記の従来技術にお
いては、CuInSe2 薄膜層はセレン化法あるいは同時蒸着
法により、銅、インジウムおよびセレンの相互拡散によ
って生成するが、その際CuInSe2 以外に不純物としてCu
Se2 等が生成するため、そのCuInSe2 薄膜層を用いてヘ
テロ接合を形成する光起電装置は、太陽電池の変換効率
を向上することが難しい。これは生成したCuSe2 等の不
純物がCuInSe2 の結晶粒と結晶粒の境界に存在し、光に
より生成した少数キャリアの再結合中心となるため、ま
た表面近傍にCu、Inの未結合手が存在するため、CuInSe
2 薄膜内のキャリアの寿命が短くなり、収集効率が低下
するためである。
【0005】本発明の目的は、上記の問題を解決するた
めに、CuInSe2 表面近傍に存在するCuSe2 等の不純物を
除去し、またCu、Inの未結合手を除去し再結合中心を減
少させることによって変換効率を向上させる薄膜太陽電
池の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のCuInSe2 とCdSとの接合を有する薄膜太
陽電池の製造方法は、基板上に電極層およびCuInSe2
膜層を順次形成したのち、そのCuInSe2 薄膜層の表面に
硫黄 (S) を含む溶液を接触させてS被膜を形成し、さ
らにSおよびCdを含む溶液を接触させてCdS薄膜層を形
成するものとする。そして、Sを含む溶液が多硫化アン
モニウム溶液あるいは硫化アンモニウム溶液であるか、
もしくは多硫化ナトリウムあるいは硫化ナトリウム溶液
であること、また、SおよびCdを含む溶液か硫化アンモ
ニウムあるいは多硫化アンモニウム、アンモニア水およ
び酢酸カドミウムを含む水溶液であるか、もしくは硫化
ナトリウムあるいは多硫化ナトリウム、アンモニア水お
よび酢酸カドミウムを含む水溶液であることが有効であ
る。
【0007】
【作用】CuInSe2 薄膜層の表面にSを含む溶液を接触さ
せると、CuInSe2 層表面からCuSe2 等の不純物が選択的
にエッチングされ、CuInSe2 層表面および表面近傍に存
在するCuSe2 等の不純物が除去されるため、表面近傍で
の再結合中心が減少する効果がある。またそれによりCu
InSe2 層の表面にSの数原子層からなる薄い被膜が形成
され、S原子はCuInSe2 表面近傍層におけるIn、Cuの未
結合手と結合するため、さらに再結合中心が減少すると
ともに、吸着ガス、水分等のCuInSe2 層表面への付着が
防止される。
【0008】このようにしてCuSe2 等の不純物が除去さ
れ、再結合中心が減少した表面に、SおよびCdを含む溶
液を接触させれば、そのような表面状態を保持したまま
でCdSとの半導体接合が形成される。
【0009】
【実施例】以下、図1に示した構造と同じ構造の薄膜太
陽電池の本発明の実施例の製造方法について説明する。 実施例1:まず厚さ1mmのガラス基板1の表面にスパッ
タリングにより厚さ0.2〜2μmのMo電極層2を形成し
たのち、さらにスパッタリングによって厚さ1μmのCu
薄膜層、厚さ1μmのIn薄膜層を連続的に形成し、セレ
ン化法によってCuInSe2 薄膜層3を形成する。セレン化
法として、12%H2 Seを含む窒素ガスで満たされた加熱
炉内でCuおよびIn薄膜層が積層されたガラス基板1を50
0 ℃で30分間加熱することによって、厚さ3μmのp型
CuInSe2 薄膜3を得る。続いて、多硫化アンモニウム溶
液に浸漬し、50℃にて3時間放置して薄膜3の表面にS
被膜を形成する。ここで、多硫化アンモニウムは、化学
式((NH4 ) 2 x 、x>1) で表すことのできるS過
剰の硫化アンモニウムである。しかし、硫化アンモニウ
ム( NH4 ) 2 S溶液であってもよい。多硫化アンモニ
ウム溶液あるいは硫化アンモニウム溶液への浸漬によ
り、CuInSe2 薄膜層表面近傍のCuSe2 等の不純物がエッ
チング除去され、薄膜層の表面には約10nmの厚さのSを
主成分とする被膜が形成される。オージェ電子分光分析
結果では、S被膜は多硫化アンモニウムを構成するSが
CuInSe2 薄膜層表面に吸着されてSの数原子層からなる
薄膜として残存しているものである。さらに( NH4 )
2 S1M濃度溶液100ml 、アンモニア水溶液100ml 、ト
リエタノールアミン50mlおよび酢酸カドミウム1M濃度
溶液100ml の混合溶液中に浸漬し、CuInSe2 薄膜層3の
上に厚さ2000Åのn型CdS薄膜層4を形成する。この場
合、硫化アンモニウム溶液の代わりに多硫化アンモニウ
ム溶液を用いることができる。溶液温度60℃にて20分間
浸漬することにより、0.2μm厚さのCdS層4が形成さ
れた。さらにZnO薄膜層5を蒸着法により形成した後、
最後にスパッタリングおよびパターニングにより、Al電
極層6を形成する。
【0010】本実施例により得た太陽電池は、従来技術
による太陽電池と比べ、約4%の変換効率の向上を示し
た。これは主として開放電圧 (VOC) および短絡電流
(JEC) の増大、すなわち従来技術での約0.40Vから約
0.43Vへの増大および30mA/cm 2 から33mA/cm2 への増
大によるもので、Sを含む硫化アンモニウム溶液への浸
漬によりCuInSe2 薄膜層表面におけるCuSe2 等の不純物
が除去され、さらにその表面上に引き続き硫化アンモニ
ウム溶液中においてCdS層を形成したことによるもので
ある。
【0011】実施例2:まず、厚さ1mmのガラス基板1
の表面に蒸着法により厚さ0.2〜2μmのMo電極層2を
形成したのち、さらに蒸着法によりCuInSe2 薄膜層3を
形成する。CuInSe2 薄膜層は、それぞれ独立したCu、In
およびSeのソース源を同時に加熱蒸発させて形成する。
すなわちソース源のCuを1200℃、Inを800 ℃、Seは200
℃にて加熱することにより、400 ℃に保持したガラス基
板上に厚さ2μmのp型CuInSe2薄膜層3を形成する。
続いて、硫化ナトリウム (Na2 S) 溶液に浸漬し、60℃
にて2時間放置して、薄膜層3の表面近傍のCuSe2 等の
不純物を除去し、その表面にSの被膜を形成する。ここ
でNa2 S溶液はSが過剰な多硫化ナトリウム (Na
2x 、x>1) 溶液であってもよい。さらにNa2 S1
M濃度溶液100ml 、アンモニア水溶液100ml 、トリエタ
ノールアミン50mlおよび酢酸カドミウム1M濃度溶液10
0ml の混合溶液中に浸漬し、CdS薄膜層4を形成する。
この場合も、Na2 S溶液の代わりに、Na2 x 溶液を用
いてもよい。さらに酸化亜鉛 (ZnO) 薄膜層5を蒸着法
により形成した後、最後にスパッタリングおよびパター
ニングにより、Al電極層6を形成する。
【0012】本実施例により得た太陽電池も、従来技術
による太陽電池と比べ、約4%の変換効率の向上を示し
た。これは、Na2 S溶液への浸漬によりCuInSe2 薄膜層
表面におけるCuSe2 等の不純物が除去され、再結合中心
が減少したことによるものである。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、CuInSe2 薄膜層を形成
したのちに、その層の表面にSを含む溶液を接触させ
て、CuInSe2 層表面近傍に存在する不純物を選択的にエ
ッチング除去し、さらに表面にS被膜を形成したまま、
溶液中にてCdS層を形成することとしたため、再結合中
心が減少し、太陽電池の変換効率が向上した。また、Cd
S薄膜層を、Sを含む溶液を接触させた表面にSのほか
にCdを含む溶液を引き続き接触させて形成するので、製
造プロセスが簡略化され、コスト低減の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例により製造される薄膜太陽電池
の断面図
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 金属電極層 3 CuInSe2 層 4 CdS層 5 ZnO層 6 金属電極層

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に電極層および銅インジウムダイセ
    レナイド薄膜層を順次形成したのち、その銅インジウム
    ダイセレナイド薄膜層の表面に硫黄を含む溶液を接触さ
    せて硫黄被膜を形成し、さらに硫黄およびカドミウムを
    含む溶液を接触させて硫化カドミウム薄膜層を形成する
    ことを特徴とする銅インジウムダイセレナイドと硫化カ
    ドミウム薄膜層との接合を有する薄膜太陽電池の製造方
    法。
  2. 【請求項2】硫黄を含む溶液が多硫化アンモニウム溶液
    あるいは硫化アンモニウム溶液である請求項1記載の薄
    膜太陽電池の製造方法。
  3. 【請求項3】硫黄を含む溶液が多硫化ナトリウムあるい
    は硫化ナトリウムである請求項1記載の薄膜太陽電池の
    製造方法。
  4. 【請求項4】硫黄およびカドミウムを含む溶液が硫化ア
    ンモニウムあるいは多硫化アンモニウム、アンモニア水
    および酢酸カドミウムを含む水溶液である請求項1ある
    いは2記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】硫黄およびカドミウムを含む溶液が硫化ナ
    トリウムあるいは多硫化ナトリウム、アンモニア水およ
    び酢酸カドミウムを含む水溶液である請求項1あるいは
    2記載の薄膜太陽電池の製造方法。
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KR100347106B1 (ko) * 2000-07-19 2002-07-31 한국에너지기술연구원 이원화합물의 진공증발 증착에 의한 CuInSe2박막의 제조방법
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