JPH07263735A - 太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

太陽電池およびその製造方法

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JPH07263735A
JPH07263735A JP6055894A JP5589494A JPH07263735A JP H07263735 A JPH07263735 A JP H07263735A JP 6055894 A JP6055894 A JP 6055894A JP 5589494 A JP5589494 A JP 5589494A JP H07263735 A JPH07263735 A JP H07263735A
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film
solar cell
manufacturing
cis
layer
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JP6055894A
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Tokio Nakada
時夫 中田
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MORIRIKA KK
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MORIRIKA KK
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/541CuInSe2 material PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【目的】CIS層の蒸着過程で生じるCISとn型窓層
の構成成分との相互拡散を抑制することにより、高い変
換効率を実現可能なスーパーストレート型の太陽電池お
よびその製造方法を提供する。 【構成】ソーダライムガラス10基板上に透明導電膜と
してのZnO:Al20を形成し、n型窓層としてCd
S膜30を溶液成長により形成して、その後、基板温度
450℃で、p型光吸収層としてCIS膜40を真空蒸
着して、最後に裏面電極としてのAu膜50を形成する
ものであり、この構成により、CIS層の成膜過程で生
じるCISとn型窓層の構成成分との相互拡散を抑制す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スーパーストレート型
のセレン化銅インジウム系薄膜太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】セレン化銅インジウムCuInSe2(以下で
はCISと略す)系の薄膜太陽電池には、光が基板側か
ら入射するスーパーストレート型と、CIS薄膜側から
入射するサブストレート型の2つがある。
【0003】スーパーストレート型は、通常、ITOや
SnO2などの透明導電ガラス基板上に、n型窓層のC
dS蒸着膜を付け、その上にCIS薄膜を積層した構造
を有する。この構造の利点としては、サブストレート型
におけるCIS/Mo界面での付着強度の問題が回避で
きる点と、a−Si太陽電池と同様に、大面積モジュー
ル化に適している点とが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のスーパ
ーストレート型では、変換効率が6.6%と低い値に留
まっていた。これは、以下の理由からである。
【0005】従来は、CdS膜層を、透明導電膜層上に
真空蒸着で形成した後、CIS膜層を真空蒸着法やセレ
ン化法で形成する。この際、良質のCIS薄膜結晶を得
るため、400〜550℃の高温を必要とする。ところ
が、基板温度を高温にすると、界面での相互拡散が生じ
る。この相互拡散のため、CIS層には、CuCd2InSe4
どの異相が生じ、セル特性が低下してしまうという問題
があった。
【0006】そのため、従来技術では、CIS膜の成膜
温度を350℃以下に抑え、拡散を抑制する対策をとっ
ている。しかし、この温度では、CIS結晶が十分に発
達せず、粒界などの欠陥が生じる。このため、小数キャ
リアライフタイムが短く、高変換効率を得られない。し
たがって、従来技術で作成された太陽電池では、本質的
には高い変換効率を望めない状況にあった。
【0007】本発明の目的は、CIS層の成膜過程で生
じるCIS層の構成成分とn型窓層の構成成分との相互
拡散を抑制して、高品質のCIS結晶を形成することに
より、高い変換効率の実現が可能なスーパーストレート
型の太陽電池およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、透明導電膜
と、n型窓層と、セレン化銅インジウム系p型光吸収層
と、裏面電極とを基板上に順次積層したスーパーストレ
ート型の太陽電池の製造方法において、基板上に形成さ
れた透明導電膜上に、溶液成長法を用いて、n型窓層と
して半導体膜を形成すること、を特徴とする太陽電池の
製造方法により達成することができる。
【0009】具体的には、前記n型窓層として、50〜
100℃程度のプロセス温度で溶液成長された、Cd
S、CdSe、ZnCdS、ZnS、ZnSe、ZnO
のうち、いずれか一つで構成された膜を用いることがで
き、例えば、CdS膜を溶液成長により形成する。
【0010】また、セレン化銅インジウム系p型光吸収
層には、400〜550℃程度のプロセス温度で成膜さ
れた、CuInSe2、Cu(InGa)Se2、CuIn(SSe)2、Cu(InGa)(S
Se)2、CuGaSe2、CuInSe2/CuGaSe2、CuInSe2/Cu(InGa)Se
2/CuGaSe2、および、CuIn(SSe)2/Cu(InGa)Se2/CuGaSe2
のうち、いずれか一つで構成される薄膜を用いることが
でき、例えば、CuInSe2薄膜を真空蒸着により形成して
用いることができる。
【0011】また、透明導電膜は、ZnO:Al、ZnO、ZnO:
B、ITO、SnO2、および、In2O3のうち、いずれか一つで
構成されるものであり、例えば、200〜500℃のプ
ロセス温度でのスパッタ法により形成されたZnO:Al膜を
用いることができる。
【0012】また、前記裏面電極は、Au、Mo、Ni、およ
び、Ptのうち、いずれか一つで構成されるものであり、
例えば、プロセス温度200℃以下での真空蒸着により
形成されたAu膜を用いることができる。
【0013】また、基板としては、例えば、透明なガラ
スを用いることができる。
【0014】上記目的は、また、透明導電膜と、n型窓
層と、セレン化銅インジウム系p型光吸収層と、裏面電
極とを基板上に順次積層したスーパーストレート型の太
陽電池において、n型窓層が、当該光吸収層の成膜過程
で起りうる、当該光吸収層と当該窓層の構成成分との相
互拡散を抑制することができる構造を有することを特徴
とする太陽電池により達成することができる。
【0015】
【作用】CIS系太陽電池の変換効率の向上に最も重要
なのは、光吸収層であるCIS結晶の高品質化、すなわ
ち、大粒径化である。
【0016】本発明では、CIS結晶成長を促進するた
めに、CIS結晶成長時、すなわち、CISの成膜過程
での、n型窓層の成分とCISとの相互拡散を抑制し、
高温成膜を可能とする。
【0017】具体的には、n型窓層として溶液成長させ
たCdS(CBD−CdS)膜を用いる。このCBD−
CdS膜は、従来技術の蒸着CdS膜に比べ、致密で粒
界もないため、高温でも、ほとんどCISと相互拡散し
ない。
【0018】CdS薄膜の溶液成長は、基本的にはアル
カリ水溶液中でのカドミウム塩、硫化物、および錯化剤
の反応に基づき、一般に、次のような化学反応によると
考えられている。
【0019】 Cd(NH3)4 2++SC(NH2)2+2OH~ →CdS+CH22+4NH3+2H2O (1) カドミウム塩としては、CdCl2、CdSO4、Cd
(CH3COO)2、Cd(NO3)2、CdI2が用いられ
る。硫化物にはSC(NH2)2(チオウレア)が主に利
用される。錯化剤としては、NH3とNH4OH(水酸化
アンモニウム)が一般的であるが、TEA(トリエタノ
ールアミン)を加える場合もある。
【0020】溶液成長CdS膜の成長機構については、
以前から、イオン種反応によるプロセス(ion by ion p
rocess)が知られている(Kaurら:J.Electrochem.Soc.1
27、943(1980))。
【0021】このモデルでは、ガラスなどの親水性基板
表面に吸着したCd(OH)2を核にして、Cd2+イオン
とS2~イオンが吸着し、CdSが形成されるとするもの
で、均一で密着性のよい太陽電池に適した六方晶ウルツ
鉱形CdS薄膜が得られる。
【0022】この溶液成長により形成されたCdS膜
は、溶液中のイオンを介しての成長であるため、均一で
密着性に優れたち密な膜が得られることが観察されてい
る(矢成正晴ら、:第39回応用物理学関係連合講演会
予稿集、p.1091(1992))。
【0023】また、溶液成長されたCdS膜について
は、以下のような物性の特徴が知られている。すなわ
ち、CBD−CdS膜は、(1)結晶構造はウルツ鉱形
または閃亜鉛鉱形との混在(Kaurら:J.Electrochem.So
c.127、943(1980))、(2)蒸着膜に比べ、透過率が高
い、(3)直接遷移形で禁制帯幅はバルク値とほぼ同じ
2.4eV(Pavaskarら:J.Electrochem,Soc.124,743(19
77))、(4)屈折率は蒸着膜より小さい、(5)化学量
論的組成を有する(Basolら:Proc.22nd IEEE Photovolta
ic Specialists Conf.,Las Vegas,1991,p893(IEEE,New
York,1991))、(6)暗抵抗率は105〜109Ω・c
m、明抵抗率は103〜104Ω・cm程度である。
【0024】本発明では、上記のように形成されたCB
D−CdS膜上に、CIS膜を成膜するもので、具体的
には、真空蒸着法、セレン化法、および、スパッタ法の
いずれかによりCIS膜を形成するものである。
【0025】本発明のCdS膜は、上記に示した特徴的
な物性な有するもので、高温でもCISと相互拡散しな
い。このため、基板温度を400〜550℃にした状態
で、CIS成膜を行うものである。このCIS成膜法
は、すでに、高い変換効率が得られているサブストレー
ト型のCIS系太陽電池の製造方法で用いられており、
この方法により、高い変換効率の実現に必要な高品質の
CIS結晶が得られている。
【0026】本発明では、以上の製造法により、高品質
のCIS結晶を有し、高い変換効率を実現することが可
能となる、スーパーストレート型のCIS系太陽電池を
製造することができる。
【0027】
【実施例】本発明によるCIS系太陽電池の製造方法の
一実施例について説明する。
【0028】太陽電池の基板にはソーダライムガラスを
用いる。この基板を、イソプロピールで超音波洗浄した
後、直流マグネトロンスパッタ法により、ZnO:Al
透明導電膜を形成する。ターゲットには、直径4インチ
のZnO:Al焼結体を用い、基板温度500℃で、ア
ルゴンガス中、2×10~ 2Torrでスパッタを行
う。これにより、膜厚1〜4μm、シート抵抗2〜4Ω
/sq、透過率85%以上(600nm)のZnO:A
l膜を得ることができる。
【0029】次に、このZnO:Al膜上に、溶液成長
法でCdS薄膜を積層する。溶液系には、CdI2、チ
オウレア、アンモニア水溶液を使用する。この溶液中
に、ZnO:Alを付けたガラス基板を、室温から60
℃で約3分間浸し、CdS薄膜を形成する。1回のディ
ップで約40nmの膜厚が得られ、これを繰り返すこと
により、必要な膜厚を得ることが可能となる。
【0030】CIS成膜は、通常のRP−DP系3源蒸
着装置を用い、基板温度350〜500℃程度で、3元
素を同時蒸着する。成膜速度は、例えば、0.1μm/
minを用いることができ、膜厚は1.5〜2.5μm
とする。その後、裏面電極用のAuを真空蒸着し、最後
に、例えば、Agペーストで電極をとりつける。
【0031】本実施例では、CIS膜の最適成膜条件を
決定するための試みの一つとして、上記温度範囲にわた
ってプロセス温度を変化させて、複数の基板温度により
CIS膜を形成した。以下では、これらのCIS膜と、
これらCIS膜を備えた太陽電池についての特性および
構造を評価する。
【0032】次に、本実施例の製造方法により作成され
た太陽電池、特に、CIS膜の詳細構造および特性につ
いて説明する。
【0033】本実施例の製造方法により、図1に示すよ
うな構成を有する、スーパーストレート型のCIS系薄
膜太陽電池を製造することができる。
【0034】この太陽電池は、基板としてのソーダライ
ムガラス10と、透明導電膜としてのZnO:Al20
と、溶液成長により形成されたn型窓層としてのCBD
−CdS膜30と、p型光吸収層としてのCIS膜40
と、裏面電極としてのAu膜50とを有する。なお、6
0および70は、透明導電膜20および裏面電極50に
それぞれ取付けられた電極であり、100は入射光の方
向を示している。
【0035】また、図1中の各層の横に示す数値は、本
実施例の製造方法で作成された太陽電池における、各層
での値の一例を示している。この太陽電池のZnO:A
l/CdS/CIS構造におけるエネルギーバンドは、
図2に示すような構造を有する。
【0036】次に、本実施例における太陽電池のCIS
膜の膜質について説明する。
【0037】図3は、CBD−CdS膜上に成長した、
化学量論的組成よりわずかにIn過剰な、CIS薄膜の
X線回折図である。ここで、CdS膜厚は0.3μm、
基板温度は450℃である。また、図3中には、比較の
ために、蒸着されたCdS(Ev−CdS)膜に対する
回折図の上に、同じ条件で成長させたCIS薄膜の回折
図を示している。これらの回折図から明らかなように、
450℃で、CBD−CdS膜上で成長したCIS膜で
は、カルコパイライト型CISに特有な101、10
3、211回折線が顕著である。また、各回折線の強度
も強いことから、結晶が良く発達している様子が伺え
る。
【0038】図4は、CBD−CdS膜(膜厚0.3μ
m)上に、異なる基板温度で成長したCIS薄膜のX線
回折図である。この図から、従来、スーパーストレート
型で用いられていた350℃の基板温度では、回折ピー
クが弱く、カルコパイライト特有なピークも現れていな
い。このため、従来技術で変換効率が低い原因の一つ
は、CIS結晶の未発達であったと言える。
【0039】また、本実施例におけるCBD−CdS膜
上に形成されたCIS膜の結晶構造は、基板温度450
℃で、Cu/In比に鈍感である。これは、図5に示さ
れるように、CBD−CdS膜上に成長したCu/In
比の異なるCIS薄膜のX線回析像は、Cu/In比が
0.77〜1.22の範囲で変化がなかったことから判
明する。ここで、図5は、CBD−CdS膜上に、基板
温度450℃で成長したCu/In比の異なるCIS薄
膜のX線回折図である。
【0040】図6は、同じ膜厚(0.3μm)の、溶液
成長CdS(CBD−CdS)膜と、真空蒸着CdS
(Ev−CdS)膜との上に、基板温度450℃でCI
S膜を同時に蒸着して形成された、2つのCIS積層膜
(CIS/CdS/ZnO:Al積層膜)に対するオー
ジェデプスプロファイルである。図6は、本発明による
製造方法の効果を、最も顕著に現わしているものであ
り、蒸着CdS膜では、InとSとの相互拡散が大きい
こと、一方、溶液成長CdS膜では、蒸着CdS膜に比
べて相互拡散が抑制されていることがわかる。
【0041】本実施例により、CBD−CdS上に付け
たCIS膜は、ピンセットで引っかいても取れない程、
非常に付着力が強固である。これは、CISが単純に物
理吸着のみで付いているのでなく、わずかにCdS膜と
相互拡散したためと思われる。この性質は、デバイス化
に有利な性質である。
【0042】本実施例の製造方法において、基板温度4
50℃で作製した膜厚2μmのCIS薄膜を光吸収層に
用いた、ガラス/ZnO:Al/CBD−CdS/CI
S/Au構造の太陽電池(セル)の出力特性を、図7に
示す。この太陽電池では、AM1.5、100mW/c
2下で、開放電圧(Voc)=0.445V、短絡電
流密度(Jsc)=40.7mA/cm2、曲線因子
(FF)=0.44、変換効率7.96%が得られる。
【0043】本実施例による太陽電池のCIS成膜時の
基板温度をパラメータとしたセル特性は、図8の出力特
性のCIS成膜温度依存性を示す図(CBD−CdS膜
厚0.28μm)に示されるように、変換効率に関して
は、450℃で最も高い効率が得られている。しかし、
FFに関しては、400℃のときの方が良い(図示せ
ず)。したがって、最良の太陽電池製造に最適な基板温
度は、450℃近傍に存在すると思われる。350℃で
は、先に述べたように結晶性が悪いため、変換効率が低
く、また、500℃では、恐らく相互拡散が生じたため
と思われる。
【0044】ここで、相互拡散の量は、通常、基板温度
と加熱時間との積に対応して増加する。したがって、例
えば、加熱ランプを用いて、加熱時間を短縮できれば、
基板温度を高温にしても相互拡散を防ぐことができると
思われる。一方、サブストレート型のCIS系太陽電池
では、基板温度550℃で高い変換効率が得られてお
り、さらに、基板に用いるガラス材の使用可能温度の上
限が550℃程度であることから、本発明でも、この温
度付近でも高い変換効率が得られると思われる。
【0045】したがって、本発明において、基板温度4
00〜550℃程度として成長させたCIS成膜を用い
ることで、高い変換効率を得ることが可能な太陽電池を
提供することができる。
【0046】溶液成長CdSの膜厚をパラメータとした
セル特性を、図9に示す。図9は、本実施例による太陽
電池の出力特性のCBD−CdS膜厚依存性を、基板温
度450℃で測定した結果を示している。本実施例で
は、図9に示すように、0.28μmで最も高い効率が
得られた。これより薄いもので効率が低いのは、おそら
く相互拡散のためと思われる。また、厚い場合の低下
は、直列抵抗の増大が原因と考えられる。なお、膜厚
は、繰り返されたディップ回数により、決定されるもの
で、例えば、0.28μmは、7回のディップにより形
成されるものである。
【0047】従来のスーパーストレート型CIS太陽電
池は、主に蒸着CdSを窓層としており、高温では相互
拡散するため、低温成長を余技なくされていた。このた
め、結晶が未発達となり、変換効率に限界があった。本
実施例によれば、溶液成長CdS膜を用いることで、C
dS膜とCISとの相互拡散を抑制することが可能とな
る。その結果として、相互拡散なしにCIS膜の高温成
膜が可能となり、サブストレート型と同様な結晶性をも
つCIS薄膜を成長することが可能となる。
【0048】本実施例では、透明導電膜としてZnO:
Al、n型窓層としてCdS膜、CIS系p型光吸収層
としてCuInSe膜、裏面電極としてAuを用いたが、本発
明における各層の構成成分としては、これらの成分、お
よび、これらの組み合わせに限定されない。また、n型
窓層としては、相互拡散を抑制するものであれば良く、
溶液成長により形成されるCdSe、CdZnS、Zn
O、ZnS、ZnSe等の半導体膜を用いても良い。ま
た、CIS系光吸収層としては、Cu(InGa)Se2等の、他
のCIS系p型半導体膜を用いることができる。
【0049】本実施例では、CIS成膜における基板温
度を450℃とすることで高い効率が得られたが、本発
明における最適な基板温度はこれに限定されるものでは
ない。本発明においては、CIS膜の結晶を充分に成長
させることができれば、他の基板温度で成膜させても構
わない。
【0050】また、本実施例では、CIS膜の形成に真
空蒸着法を用いたが、CIS結晶を充分に成長させるこ
とが可能な方法であれば、成膜方法はこれに限定されな
い。例えば、サブストレート型CIS太陽電池の製造で
用いられている、セレン化法、または、スパッタ法を、
CIS膜の形成に用いても良い。
【0051】また、本実施例では、溶液成長法でのプロ
セス温度を60℃としたが、本発明ではこれに限定され
ない。本発明においては、目的とする材質のn型窓層膜
の溶液成長が行われ、相互拡散を防止できる構造を有す
るn型窓層を形成できれば良い。このため、プロセス温
度は、その材質の膜の溶液成長に最適な温度を用いるも
のとし、例えば、50〜100℃程度とすることができ
る。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、CIS層の蒸着過程で
生じるCISとn型窓層の構成成分との相互拡散を抑制
することができ、その結果、高品質のCIS結晶を形成
することが可能となるため、高い変換効率の実現が可能
なスーパーストレート型の太陽電池およびその製造方法
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による製造方法の一実施例で製造された
太陽電池の構成を示す説明図。
【図2】本実施例による太陽電池におけるZnO:Al
/CdS/CISのエネルギーバンド図。
【図3】蒸着CdS膜上と、溶液成長CdS膜上とに作
製したCIS薄膜のX線回析像を示すグラフ。
【図4】溶液成長CdS膜上に異なる基板温度で成長し
たCIS薄膜のX線回像を示すグラフ。
【図5】本実施例におけるCBD−CdS膜上に成長し
たCu/In比の異なるCIS薄膜のX線回析像を示す
グラフ。
【図6】本実施例によるCIS/CdS/ZnO:Al
積層膜と、従来技術によるものの、オージェデプスプロ
ファイルを示すグラフ。
【図7】本実施例による太陽電池の出力特性を示すグラ
フ。
【図8】本実施例による太陽電池の出力特性の、CIS
成膜温度依存性を示すグラフ。
【図9】本実施例による太陽電池の出力特性の、CBD
−CdS膜厚依存性を示すグラフ。
【符号の説明】
10…ガラス基板、20…ZnO:Al膜、30…CB
D−CdS膜、40…CIS膜、50…Au膜。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明導電膜と、n型窓層と、セレン化銅イ
    ンジウム系p型光吸収層と、裏面電極とを、基板上に順
    次積層したスーパーストレート型の太陽電池の製造方法
    において、 基板上に形成された透明導電膜上に、溶液成長法を用い
    て、n型窓層として半導体膜を形成することを特徴とす
    る太陽電池の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記n型窓層としての半導体膜が、硫化カドミウム膜で
    あることを特徴とする太陽電池の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2において、 前記硫化カドミウム膜を形成する前記溶液成長法では、
    アルカリ水溶液中でのカドミウム塩、硫化物、および、
    錯化剤の反応を用いることを特徴とする太陽電池の製造
    方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、 前記n型窓層としての前記硫化カドミウム膜上に、前記
    セレン化銅インジウム系p型光吸収層を成膜する際の、
    前記基板温度を400〜550℃程度とすることを特徴
    とする太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、 前記セレン化銅インジウムp型光吸収層の成膜は、真空
    蒸着法、セレン化法、および、スパッタ法のうちいずれ
    かの方法により行うことを特徴とする太陽電池の製造方
    法。
  6. 【請求項6】請求項1において、 前記n型窓層は、CdS、CdSe、ZnCdS、Zn
    S、ZnSe、ZnOのうち、いずれか一つを、溶液成
    長により成膜して構成したものであることを特徴とする
    太陽電池の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1において、 前記セレン化銅インジウム系p型光吸収層は、CuInS
    e2、Cu(InGa)Se2、CuIn(SSe)2、Cu(InGa)(SSe)2、CuGaS
    e2、CuInSe2/CuGaSe2、CuInSe2/Cu(InGa)Se2/CuGaSe2
    および、CuIn(SSe)2/Cu(InGa)Se2/CuGaSe2のうち、いず
    れか一つで構成されるものであることを特徴とする太陽
    電池の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1において、 前記セレン化銅インジウム系p型光吸収層は、真空蒸着
    法、セレン化法、および、スパッタ法のうちいずれかの
    方法により成膜されたCuInSe2薄膜であることを特徴と
    する太陽電池の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1において、 前記透明導電膜は、ZnO:Al、ZnO、ZnO:B、ITO、SnO2
    および、In2O3のうち、いずれか一つで構成されるもの
    であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1において、 前記透明導電膜は、スパッタ法により形成されたZnO:Al
    膜であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1において、 前記裏面電極は、Au、Mo、Ni、および、Ptのうち、いず
    れか一つで構成されるものであることを特徴とする太陽
    電池の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項1において、 前記裏面電極は、真空蒸着により形成されたAu膜である
    ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1において、 前記基板は、透明なガラスで構成されるものであること
    を特徴とする太陽電池の製造方法。
  14. 【請求項14】透明導電膜と、n型窓層と、セレン化銅
    インジウム系p型光吸収層と、裏面電極とを、基板上に
    順次積層したスーパーストレート型の太陽電池におい
    て、 n型窓層が、当該光吸収層の成膜過程で起りうる、当該
    光吸収層と当該窓層の構成成分との相互拡散を抑制する
    ことができる構造を有することを特徴とする太陽電池。
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