JP3777244B2 - カメラ用フォーカルプレンシャッタ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影に際し、先羽根群と後羽根群とを同一方向へ順次作動させ、両羽根群のスリット形成羽根によって形成されたスリットによりフィルムを露光するようにしたカメラ用のフォーカルプレンシャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近における通常のフォーカルプレンシャッタは、各々が略中央部に開口部を有している二つの地板(カメラ内においてレンズ側に配置される地板をシャッタ地板と称し、フィルム側に配置される地板をカバー板,補助地板などと称している)を、相互に所定の空間を設けて取り付け、その空間を、二つの地板の間に配置された中間板で仕切ることによって二つの羽根室を構成している。そして、その中間板にも略中央部に開口部が形成されていて、上記した二つの地板の各開口部と重ね合わせて配置することにより、光軸を中心にした長方形の露光開口を形成するようにしている。
【0003】
二つの羽根室には、夫々先羽根群と後羽根群が配置されている。各羽根群は、通常、夫々、二つのアームと、複数枚の羽根で構成されていて、アームはそれらの一端部を地板に対し回転可能に取り付けられ、他端部に向けて複数枚の羽根を順に枢支している。また、各々の羽根群の二つのアームのうち一方のアームが主アームであって長孔が形成されており、それらの長孔には後述の各駆動部材の作動ピンが嵌合するようになっている。そして、それらの四つのアームの回転軸心位置は、開口部の一方の側方位置において、略一線状となるようにして配列されている。
【0004】
このような各羽根群に開閉作動を行わせるための開閉駆動機構は、通常、カメラ内でレンズ側に配置されるシャッタ地板の表面(レンズ側の面)側に取り付けられている。そして、夫々電磁石に吸着される鉄片を備えた先羽根用駆動部材及び後羽根用駆動部材と、それらをセット位置に作動させるためのセット部材の配置関係は、特開平9−179164号公報に示されているようになっている。また、この公報には周知であるために明記されていないが、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材は、それらの回転軸心が各羽根群の主アームの回転軸心と同軸になるようにして配置されており、且つそれらの作動ピンを羽根室内に臨ませ、夫々の主アームの長孔に嵌合させている。
【0005】
ところが、このような、周知の構成のシャッタは、セット部材が、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材とを別々な部位で押すことによって、セット作動を行わせるようになっている。そして、二つの駆動部材は、セット作動の開始が所定のタイミングで行われ、且つ作動中においては所定の関係が維持されていなければならないため、各部材の形状精度と、三つの部材の取り付け位置の精度が好適に得られるように製作しなければならなかった。そのため、必然的にコストが高くならざるを得なかった。そこで、その点を改善するための構成が特開平9−179166号公報によって提案されている。それによれば、先羽根用駆動部材が後羽根用駆動部材を押してセット作動を行わせるようにしているので、上記の特開平9−179164号公報において用いられていたセット部材の削減が可能になっている。しかしながら、そのような構成であっても、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材は、それらの回転軸心が、各羽根群の主アームの回転軸心と同軸になるようにして配置されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近では、IX240カートリッジフィルム(APSフィルム)の出現やデジタルカメラの小型化などによって、カメラ用フォーカルプレンシャッタも一段と小型化が要求されており、カメラの仕様によっては、必要な場所ということであれば、例え1mm以下の寸法であっても、縮めなければならない実情にある。ところで、フォーカルプレンシャッタを小型化するという場合には、光軸に対して垂直となる面の面積を小さくすることが考えられるが、そのような小型化は、もはや限界状態になっている。また、自動焦点調節装置用のモータやミラーのアップ・ダウン機構などの配置にとっては、そのような小型化は、顕著な効果が得られない。そのため、シャッタの開閉駆動機構が配置されているスペースを何とかして小さくすることが必要になるが、上記した二つの公報に記載のシャッタ構成からも分かるように、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材の回転軸心が、各羽根群の主アームの回転軸心と同軸になるように配置されているため、各駆動部材の作動に影響をを与えないようにして効果的にスペースを生み出すことは極めて難しい。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、開閉駆動機構を簡単な構成にし且つ従来の先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材との配置構成を変えることによって、開閉駆動機構の構成をコンパクトにし、必要なスペースを確保できるようにした小型化に適するカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、略中央部に開口部を有する二つの地板の間に配置されていて該開口部の側方位置において夫々の一端部が前記地板に対して回転可能となるようにして配置された主アームを含む複数のアームと該複数のアームの他端部に向けて順次枢支された複数枚の羽根とで構成されている後羽根群と、被押動部と電磁石に吸着される鉄片とを有していて後羽根群の主アームに連結され該主アームと共に同一軸心上で同一方向へ回転できるように配置された後羽根用駆動部材と、後羽根用駆動部材を露光作動方向に付勢する後羽根用駆動ばねと、前記二つの地板の間に配置されていて前記側方位置において夫々の一端部が前記地板に対して回転可能となるようにして配置された主アームを含む複数のアームと該複数のアームの他端部に向けて順次枢支された複数枚の羽根とで構成されている先羽根群と、セット時に前記被押動部を後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して押す押動部と電磁石に吸着される鉄片とを有していて先羽根群の複数のアームの回転軸心とは異なる前記開口部に近い軸心上で前記地板に対して回転可能に配置され該回転に連動して先羽根群の主アームを回転させる先羽根用駆動部材と、先羽根用駆動部材を露光作動方向に付勢する先羽根用駆動ばねとを備えているようにする。
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、先羽根群のアームのうち主アームが後羽根群のアーム側に位置するように、また、後羽根群のアームのうち主アームが先羽根群のアームに対し反対側に位置するようにして配置する。
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、後羽根用駆動部材が、後羽根群の主アームと合成樹脂で一体成形されているようにする。更に、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、先羽根群の主アームが、被押動部とばね掛け部とを有しており、また、先羽根用駆動部材がセット時に該被押動部を押すもう一つの押動部を有しており、更に、先羽根用駆動ばねの一端が該ばね掛け部に掛けられていて、露光作動時には、該先羽根用駆動ばねの一端が該ばね掛け部を押して先羽根群を作動させるようにする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1及び図2に示した実施例によって説明する。尚、図1は露光作動の終了直後の状態を示した平面図であり、図2はセット状態を示した平面図である。そこで、先ず、本実施例の構成を説明する。シャッタ地板1の略中央部には、周知のようにして開口部1aが形成されている。但し、開口部1aから右側の構成は、本発明にとっては特に重要ではないので、図示を省略している。また、シャッタ地板1には、開口部1aの側方位置に、比較的大きな異形の切欠き部1bが形成され且つ三つの円形状の孔1c,1d,1eが形成されている。更に、シャッタ地板1の表面側(カメラ内においてはレンズ側)には、軸1fが立設されており、その先端面には軸方向に図示していないねじ孔が形成されている。
【0010】
シャッタ地板1の背面側(カメラ内においてはフィルム側)には、補助地板2が配置されていて、シャッタ地板1とは所定の間隔を空け、適宜な手段によって相互に取り付けられている。また、シャッタ地板1と補助地板2の間には、図示を省略した周知の中間板が配置されていて、二つの地板1,2との間に二つの羽根室を形成している。更に、補助地板2と中間板にも、開口部1aと類似の形状をした開口部が形成されていて、それらの三つの開口部を重ね合わせるように配置することによって、光軸を中心にした長方形の露光開口を形成するようにしている。
【0011】
補助地板2には、軸2a,2b,2c,2dが立設されており、軸2a,2b,2cは、上記の孔1c,1d,1eに嵌合している。しかし、これらのうち、軸2aはシャッタ地板1の表面側に大きく突き出ているが、軸2b,2cはシャッタ地板1の表面側には突き出ていない。但し、他の部材に影響を及ぼさないのであれば、突き出していても何ら差し支えはない。更に、軸2a,2dの長さは略同じであって、それらの先端面には軸方向に図示していないねじ孔が形成されている。そして、軸2a,2dの先端面は、軸1fの先端面と略同じ高さになっていて、それらの三つの軸1f,2a,2dの先端部には、周知の支持板とプリント配線板が、シャッタ地板1と平行になるようにして、ねじ止めされている。
【0012】
本実施例においては、シャッタ地板1と中間板の間に先羽根群が、また、中間板と補助地板2の間に後羽根群が配置されている。先羽根群は、二つのアーム3,4と、それらの異なる長さ位置に枢支された複数枚の羽根で構成されているが、それらの枢支構成は周知であるため、最先端に枢支されているスリット形成羽根5のみを示してある。また、アーム3,4は、一端部を軸2a,2bに回転可能に取り付けられており、アーム4が、後述する先羽根用駆動部材に連動する主アームとなっている。更に、このアーム4は合成樹脂製であって、上記切欠き部1bからシャッタ地板1の表面側まで突き出た肉厚部には、側面に被押動部4aが形成され、上面に円柱状のばね掛け部4bが形成されている。
【0013】
先羽根用駆動部材6は合成樹脂製であって、筒部6aを軸1fに嵌合させて、シャッタ地板1に回転可能に取り付けられている。そして、図示していないカメラ本体側の部材によって押される被押動部6bのほか、二つの押動部6c,6dを形成している。このうち、押動部6cは、シャッタ地板1の表面に沿うようにして張り出されており、セット時にアーム4の被押動部4aを押すようになっている。更に、先羽根用駆動部材6には、表面側に隆起した取付部6eが形成されており、そこに鉄片7が取り付けられている。この鉄片7は取付部6eの側面に固定されていてもよいが、通常は製作上の理由から、後述の電磁石に接触したとき、取付部6eに内蔵された圧縮ばねの力に抗して、取付部6e側に変位し得るようになっている。しかし、その構成は周知であって、本発明とは直接関係がないので、詳しい説明を省略する。
【0014】
先羽根用駆動部材6の筒部6aには、先羽根用駆動ばね8が緩く巻回されている。そして、この先羽根用駆動ばね8の一端は、軸1f,2a,2dに取り付けられた図示していない支持板に直接又は間接的に掛けられており、他端は、アーム4のばね掛け部4bに掛けられている。従って、図1の露光作動終了直後の状態においては、アーム4が先羽根用駆動ばね8によって、時計方向へ回転するように付勢され、被押動部4aと押動部6cとの接触構成を介して先羽根用駆動部材6が反時計方向へ回転するように付勢されているが、先羽根用駆動部材6が図示していないストッパに取り付けられた緩衝部材に当接して停止された状態となっている。
【0015】
尚、本実施例においては、そのストッパ構成は、シャッタ地板1に、軸1fを中心にした円弧状の孔を形成し、そこに、先羽根用駆動部材6に立設した軸を嵌合させ、該軸を円弧状の孔の長手方向の一端に取り付けられた緩衝部材に当接させて停止するようにしている。しかし、そのほかにも種々な変形構成が考えられえる。例えば、図1において、切欠き部1bの下端部に緩衝部材を取り付け、そこに、アーム4に形成されている肉厚部の側面を当接させ、停止するようにしても差し支えない。しかし、その場合には、製作上(公差)の問題から、図1に示す状態において、被押動部4aと押動部6cとを接触状態に維持させることが難しく、先羽根用駆動部材6の姿勢が安定しなくなるから、ばねによって先羽根用駆動部材6を反時計方向へ付勢するようにする必要がある。
【0016】
本実施例における後羽根群は、二つのアーム9,10と、それらの異なる長さ位置に枢支された複数枚の羽根で構成されているが、先羽根群の場合と同様に、それらの最先端に枢支されているスリット形成羽根11のみを示してある。また、それらのアーム9,10のうち、主アームとなるアーム9は、後羽根用駆動部材12と合成樹脂で一体成形されている。そのため、アーム10は軸2cに直接回転可能に取り付けられているが、アーム9は、後羽根用駆動部材12の筒部12aを介して軸2dに回転可能に取り付けられている。尚、本実施例においては、部品点数を削減するために、このように、アーム9と後羽根用駆動部材12とを一つの部品として製作しているが、場合によっては、それらを別部品として製作し、それらが同時に同一方向へ回転するように構成しても差し支えない。その場合、最も一般的な連結方法としては、従来のようなピンと長孔との嵌合連結が考えられる。
【0017】
また、後羽根用駆動部材12には、セット時に、先羽根用駆動部材6の押動部6dに押される被押動部12bが形成されており、また、表面側に隆起したばね掛け部12cと取付部12dが形成されている。そして、取付部12dには鉄片13が取り付けられているが、この鉄片13は、上記の鉄片7について説明したのと同様に、取付部12dの側面に固定してもよいし、圧縮ばねを介在させることによって、電磁石に接触したとき、変位し得るようにしても構わない。
【0018】
後羽根用駆動部材12の筒部12aには、後羽根用駆動ばね14が緩く巻回されている。そして、この後羽根用駆動ばね14の一端は、先羽根用駆動ばね8と同様にして、図示していない支持板に直接又は間接的に掛けられており、他端は、後羽根用駆動部材12のばね掛け部12cに掛けられている。従って、図1の露光作動終了直後の状態においては、後羽根用駆動部材12が後羽根用駆動ばね14によって、時計方向へ回転するように付勢されているが、補助地板2に設けられた図示していないストッパに取り付けられた緩衝部材に当接して、停止された状態となっている。
【0019】
更に、軸1f,2a,2dの先端部に取り付けられた上記の図示していない支持板には、一点鎖線で示した電磁石15,16が取り付けられている。それらの電磁石15,16は、夫々、鉄芯部材15a,16aと、それらに巻回されたコイル15b,16bで構成されており、セット状態においては、それらの鉄芯部材15a,16aに、上記した鉄片7,13が接触するようになっている。
【0020】
次に、本実施例の作動を説明する。図1はシャッタの露光作動終了直後の状態を示している。既に、説明したように、この状態においては、各駆動ばね8,14による、アーム4の時計方向の作動と、後羽根駆動部材12の時計方向の作動は、夫々、図示していないストッパに取り付けられた緩衝部材に当接して、停止させられている。従って、この状態においては先羽根群の各羽根は重畳されて開口部1aの下方位置に格納されており、後羽根群の各羽根は展開されて開口部1aを覆っている。
【0021】
フィルム使用のカメラにおいては、この状態において、フィルムが巻き上げられると、それに連動して、カメラ本体側の部材によって、先羽根用駆動部材6の被押動部6bが図1の上方から下方へ押される。そのため、先羽根用駆動部材6は、図示していないばねに抗して時計方向へ回転され、押動部6cが被押動部4aを押すことによってアーム4を反時計方向へ回転させ、また、押動部6dが被押動部12bを押すことによって後羽根駆動部材12、即ちアーム9を反時計方向へ回転させることになる。また、その場合には、アーム4の反時計方向への回転が、アーム9の反時計方向への回転よりも若干早く開始されるようにすると、スリット形成羽根5,11の重なりが充分に確保されるようになり、セット作動中にスリット形成羽根5,11の間から光が漏れるようなことがなくなる。
【0022】
そして、このセット作動によって、先羽根用駆動ばね8と後羽根用駆動ばね14が緊張されてゆくが、先羽根群の各羽根が展開状態となって開口部1aを覆い、後羽根群の各羽根が重畳状態となって開口部1aの上方位置に格納された段階で、カメラ本体側の部材による先羽根用駆動部材6の回転が停止される。その状態が、図2に示すセット状態であり、このとき、鉄片7,13は、電磁石15,16の鉄芯部材15a,16aに接触した状態になる。そして、この状態は、次の撮影が行われえるまで維持されることになる。
【0023】
撮影に際して、カメラのレリーズボタンが押されると、その初期段階で電源スイッチが閉じ(カメラによってはレリーズボタンが押される前に電源スイッチが閉じているものもある)、電磁石15,16のコイル15b,16bに通電される。それによって、鉄芯部材15a,16aが、接触していた鉄片7,13を磁力によって吸着する。次に、図示していないカメラ本体側の部材が先羽根用駆動部材6の被押動部6bから離れ、先羽根用駆動部材6の作動に影響しない位置に退避するが、先羽根用駆動部材6は、鉄片7が鉄芯部材15aに吸着されているので、露光作動を開始しない。また、カメラ本体側の部材の退避と前後して、自動焦点調節装置による焦点合わせやミラーアップの作動が行われる。そして、それらが終了すると、その終了信号によって露光時間制御回路が作動し、電磁石15のコイル15bに対する通電を断つと共に露光秒時のカウントを開始する。
【0024】
電磁石15による鉄片7の保持力が失われると、先羽根用駆動ばね8の付勢力によってアーム4が時計方向へ回転され、それによって先羽根用駆動部材6が反時計方向へ回転される。そのため、アーム3,4に枢支されている複数枚の羽根は、開口部1aを覆っていた展開状態から下方へ作動され、隣接する羽根との相互の重なり量を大きくしながら開口部1aを開放していく。そして、スリット形成羽根5のスリット形成端縁が、開口部1aの下端縁(下辺)を過ぎた段階において、先羽根用駆動部材6が、上記した図示していないストッパの緩衝部材に当接し、先羽根群の露光作動が終了する。
【0025】
先羽根群の露光作動が開始されてから所定の時間が経過すると、露光時間制御回路からの出力信号によって、電磁石16のコイル16bに対する通電が断たれる。それによって、後羽根用駆動部材12、即ちアーム9が後羽根用駆動ばね14の付勢力によって時計方向へ回転される。従って、アーム9,10に枢支されている複数枚の羽根は、開口部1aの上方位置に格納された重畳状態から下方へ作動され、隣接する羽根との相互の重なり量を小さくしながら開口部1aを閉鎖していく。そして、スリット形成羽根11のスリット形成端縁が、開口部1aの下端縁(下辺)を過ぎた段階において、後羽根用駆動部材12が、上記した図示していないストッパの緩衝部材に当接することによって、後羽根群の露光作動が終了する。このときの状態が図1に示された状態である。
【0026】
このようにして、本実施例においては、開閉駆動機構の構成が従来とは大きく異なり、また、それによってアームの一部が変形されているとはいえ、各羽根群の露光作動は、従来通りのスペースで、従来通りに何の支障もなく行うことが可能である。また、本実施例の構成によれば、特開平9−179164号公報に記載された従来例に示されているようなセット部材が不必要になるばかりでなく、先羽根用駆動部材6の回転軸1fをアーム3,4の回転軸よりも開口部1a側に配置したため、シャッタ地板1の表面側における左下方のスペースが充分に確保でき、そのスペースに自動焦点調節装置のモータを配置するなど他の構成部品を配置できるので、シャッタの小型化は基より、カメラの小型化にとって、極めて効果的である。
【0027】
尚、本実施例においては、露光作動に際して、各羽根群は図2において下方へ作動するようになっているが、シャッタによっては、上方へ作動するようにしたタイプのものもある。そのため、本発明を、そのようなタイプのシャッタに適用した場合には、各部材の位置が上下に裏返した配置となるので、シャッタ地板1の表面側における左上方のスペースが充分に確保できることになる。また、このことから、各アームや各駆動部材を開口部1aの右側に配置すれば、開口部1aの右上方又は右下方のスペースを確保するようにすることも可能である。
【0028】
また、本実施例においては、被押動部4aとばね掛け部4bがアーム4に形成されているが、それらに相当する部位をアーム3に形成し、それらを先羽根用駆動部材6と先羽根用駆動ばね8に関係させるようにしても構わない。但し、その場合には、本実施例に比較して、スペース確保の点で若干劣ることになる。更に、本実施例においては、先羽根用駆動部材6の押動部6cをアーム4の被押動部4aに接触させ、先羽根用駆動ばね8の一端をばね掛け部4bに掛けているが、先羽根用駆動ばね8の一端を先羽根用駆動部材6に直接掛け、アーム4と先羽根用駆動部材6の連結は、一方に形成された長孔(カム形状の孔)に、他方に形成されたピンを嵌合させるようにしても差し支えない。
【0029】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、開閉駆動機構を簡単な構成にできるだけでなく、先羽根用駆動部材の回転軸を、先羽根群のアームの回転軸の位置よりも開口部に近い位置に配置したことによって、シャッタ地板の隅位置のスペースを大きく確保することが可能になる。そのため、シャッタユニットの小型化は基より、そのスペースに種々の構成部品の配置が可能になり、カメラのコンパクト化に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の露光作動終了直後の状態を示した平面図である。
【図2】実施例のセット状態を示した平面図である。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a 開口部
1b 切欠き部
1c,1d,1e 孔
1f,2a,2b,2c,2d 軸
2 補助地板
3,4,9,10 アーム
4a,6b,12b 被押動部
4b,12c ばね掛け部
5,11 スリット形成羽根
6 先羽根用駆動部材
6a,12a 筒部
6c,6d 押動部
6e,12d 取付部
7,13 鉄片
8 先羽根用駆動ばね
12 後羽根用駆動部材
14 後先羽根用駆動ばね
15,16 電磁石
15a,16a 鉄芯部材
15b,16b コイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影に際し、先羽根群と後羽根群とを同一方向へ順次作動させ、両羽根群のスリット形成羽根によって形成されたスリットによりフィルムを露光するようにしたカメラ用のフォーカルプレンシャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近における通常のフォーカルプレンシャッタは、各々が略中央部に開口部を有している二つの地板(カメラ内においてレンズ側に配置される地板をシャッタ地板と称し、フィルム側に配置される地板をカバー板,補助地板などと称している)を、相互に所定の空間を設けて取り付け、その空間を、二つの地板の間に配置された中間板で仕切ることによって二つの羽根室を構成している。そして、その中間板にも略中央部に開口部が形成されていて、上記した二つの地板の各開口部と重ね合わせて配置することにより、光軸を中心にした長方形の露光開口を形成するようにしている。
【0003】
二つの羽根室には、夫々先羽根群と後羽根群が配置されている。各羽根群は、通常、夫々、二つのアームと、複数枚の羽根で構成されていて、アームはそれらの一端部を地板に対し回転可能に取り付けられ、他端部に向けて複数枚の羽根を順に枢支している。また、各々の羽根群の二つのアームのうち一方のアームが主アームであって長孔が形成されており、それらの長孔には後述の各駆動部材の作動ピンが嵌合するようになっている。そして、それらの四つのアームの回転軸心位置は、開口部の一方の側方位置において、略一線状となるようにして配列されている。
【0004】
このような各羽根群に開閉作動を行わせるための開閉駆動機構は、通常、カメラ内でレンズ側に配置されるシャッタ地板の表面(レンズ側の面)側に取り付けられている。そして、夫々電磁石に吸着される鉄片を備えた先羽根用駆動部材及び後羽根用駆動部材と、それらをセット位置に作動させるためのセット部材の配置関係は、特開平9−179164号公報に示されているようになっている。また、この公報には周知であるために明記されていないが、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材は、それらの回転軸心が各羽根群の主アームの回転軸心と同軸になるようにして配置されており、且つそれらの作動ピンを羽根室内に臨ませ、夫々の主アームの長孔に嵌合させている。
【0005】
ところが、このような、周知の構成のシャッタは、セット部材が、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材とを別々な部位で押すことによって、セット作動を行わせるようになっている。そして、二つの駆動部材は、セット作動の開始が所定のタイミングで行われ、且つ作動中においては所定の関係が維持されていなければならないため、各部材の形状精度と、三つの部材の取り付け位置の精度が好適に得られるように製作しなければならなかった。そのため、必然的にコストが高くならざるを得なかった。そこで、その点を改善するための構成が特開平9−179166号公報によって提案されている。それによれば、先羽根用駆動部材が後羽根用駆動部材を押してセット作動を行わせるようにしているので、上記の特開平9−179164号公報において用いられていたセット部材の削減が可能になっている。しかしながら、そのような構成であっても、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材は、それらの回転軸心が、各羽根群の主アームの回転軸心と同軸になるようにして配置されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近では、IX240カートリッジフィルム(APSフィルム)の出現やデジタルカメラの小型化などによって、カメラ用フォーカルプレンシャッタも一段と小型化が要求されており、カメラの仕様によっては、必要な場所ということであれば、例え1mm以下の寸法であっても、縮めなければならない実情にある。ところで、フォーカルプレンシャッタを小型化するという場合には、光軸に対して垂直となる面の面積を小さくすることが考えられるが、そのような小型化は、もはや限界状態になっている。また、自動焦点調節装置用のモータやミラーのアップ・ダウン機構などの配置にとっては、そのような小型化は、顕著な効果が得られない。そのため、シャッタの開閉駆動機構が配置されているスペースを何とかして小さくすることが必要になるが、上記した二つの公報に記載のシャッタ構成からも分かるように、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材の回転軸心が、各羽根群の主アームの回転軸心と同軸になるように配置されているため、各駆動部材の作動に影響をを与えないようにして効果的にスペースを生み出すことは極めて難しい。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、開閉駆動機構を簡単な構成にし且つ従来の先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材との配置構成を変えることによって、開閉駆動機構の構成をコンパクトにし、必要なスペースを確保できるようにした小型化に適するカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、略中央部に開口部を有する二つの地板の間に配置されていて該開口部の側方位置において夫々の一端部が前記地板に対して回転可能となるようにして配置された主アームを含む複数のアームと該複数のアームの他端部に向けて順次枢支された複数枚の羽根とで構成されている後羽根群と、被押動部と電磁石に吸着される鉄片とを有していて後羽根群の主アームに連結され該主アームと共に同一軸心上で同一方向へ回転できるように配置された後羽根用駆動部材と、後羽根用駆動部材を露光作動方向に付勢する後羽根用駆動ばねと、前記二つの地板の間に配置されていて前記側方位置において夫々の一端部が前記地板に対して回転可能となるようにして配置された主アームを含む複数のアームと該複数のアームの他端部に向けて順次枢支された複数枚の羽根とで構成されている先羽根群と、セット時に前記被押動部を後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して押す押動部と電磁石に吸着される鉄片とを有していて先羽根群の複数のアームの回転軸心とは異なる前記開口部に近い軸心上で前記地板に対して回転可能に配置され該回転に連動して先羽根群の主アームを回転させる先羽根用駆動部材と、先羽根用駆動部材を露光作動方向に付勢する先羽根用駆動ばねとを備えているようにする。
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、先羽根群のアームのうち主アームが後羽根群のアーム側に位置するように、また、後羽根群のアームのうち主アームが先羽根群のアームに対し反対側に位置するようにして配置する。
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、後羽根用駆動部材が、後羽根群の主アームと合成樹脂で一体成形されているようにする。更に、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、好ましくは、先羽根群の主アームが、被押動部とばね掛け部とを有しており、また、先羽根用駆動部材がセット時に該被押動部を押すもう一つの押動部を有しており、更に、先羽根用駆動ばねの一端が該ばね掛け部に掛けられていて、露光作動時には、該先羽根用駆動ばねの一端が該ばね掛け部を押して先羽根群を作動させるようにする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1及び図2に示した実施例によって説明する。尚、図1は露光作動の終了直後の状態を示した平面図であり、図2はセット状態を示した平面図である。そこで、先ず、本実施例の構成を説明する。シャッタ地板1の略中央部には、周知のようにして開口部1aが形成されている。但し、開口部1aから右側の構成は、本発明にとっては特に重要ではないので、図示を省略している。また、シャッタ地板1には、開口部1aの側方位置に、比較的大きな異形の切欠き部1bが形成され且つ三つの円形状の孔1c,1d,1eが形成されている。更に、シャッタ地板1の表面側(カメラ内においてはレンズ側)には、軸1fが立設されており、その先端面には軸方向に図示していないねじ孔が形成されている。
【0010】
シャッタ地板1の背面側(カメラ内においてはフィルム側)には、補助地板2が配置されていて、シャッタ地板1とは所定の間隔を空け、適宜な手段によって相互に取り付けられている。また、シャッタ地板1と補助地板2の間には、図示を省略した周知の中間板が配置されていて、二つの地板1,2との間に二つの羽根室を形成している。更に、補助地板2と中間板にも、開口部1aと類似の形状をした開口部が形成されていて、それらの三つの開口部を重ね合わせるように配置することによって、光軸を中心にした長方形の露光開口を形成するようにしている。
【0011】
補助地板2には、軸2a,2b,2c,2dが立設されており、軸2a,2b,2cは、上記の孔1c,1d,1eに嵌合している。しかし、これらのうち、軸2aはシャッタ地板1の表面側に大きく突き出ているが、軸2b,2cはシャッタ地板1の表面側には突き出ていない。但し、他の部材に影響を及ぼさないのであれば、突き出していても何ら差し支えはない。更に、軸2a,2dの長さは略同じであって、それらの先端面には軸方向に図示していないねじ孔が形成されている。そして、軸2a,2dの先端面は、軸1fの先端面と略同じ高さになっていて、それらの三つの軸1f,2a,2dの先端部には、周知の支持板とプリント配線板が、シャッタ地板1と平行になるようにして、ねじ止めされている。
【0012】
本実施例においては、シャッタ地板1と中間板の間に先羽根群が、また、中間板と補助地板2の間に後羽根群が配置されている。先羽根群は、二つのアーム3,4と、それらの異なる長さ位置に枢支された複数枚の羽根で構成されているが、それらの枢支構成は周知であるため、最先端に枢支されているスリット形成羽根5のみを示してある。また、アーム3,4は、一端部を軸2a,2bに回転可能に取り付けられており、アーム4が、後述する先羽根用駆動部材に連動する主アームとなっている。更に、このアーム4は合成樹脂製であって、上記切欠き部1bからシャッタ地板1の表面側まで突き出た肉厚部には、側面に被押動部4aが形成され、上面に円柱状のばね掛け部4bが形成されている。
【0013】
先羽根用駆動部材6は合成樹脂製であって、筒部6aを軸1fに嵌合させて、シャッタ地板1に回転可能に取り付けられている。そして、図示していないカメラ本体側の部材によって押される被押動部6bのほか、二つの押動部6c,6dを形成している。このうち、押動部6cは、シャッタ地板1の表面に沿うようにして張り出されており、セット時にアーム4の被押動部4aを押すようになっている。更に、先羽根用駆動部材6には、表面側に隆起した取付部6eが形成されており、そこに鉄片7が取り付けられている。この鉄片7は取付部6eの側面に固定されていてもよいが、通常は製作上の理由から、後述の電磁石に接触したとき、取付部6eに内蔵された圧縮ばねの力に抗して、取付部6e側に変位し得るようになっている。しかし、その構成は周知であって、本発明とは直接関係がないので、詳しい説明を省略する。
【0014】
先羽根用駆動部材6の筒部6aには、先羽根用駆動ばね8が緩く巻回されている。そして、この先羽根用駆動ばね8の一端は、軸1f,2a,2dに取り付けられた図示していない支持板に直接又は間接的に掛けられており、他端は、アーム4のばね掛け部4bに掛けられている。従って、図1の露光作動終了直後の状態においては、アーム4が先羽根用駆動ばね8によって、時計方向へ回転するように付勢され、被押動部4aと押動部6cとの接触構成を介して先羽根用駆動部材6が反時計方向へ回転するように付勢されているが、先羽根用駆動部材6が図示していないストッパに取り付けられた緩衝部材に当接して停止された状態となっている。
【0015】
尚、本実施例においては、そのストッパ構成は、シャッタ地板1に、軸1fを中心にした円弧状の孔を形成し、そこに、先羽根用駆動部材6に立設した軸を嵌合させ、該軸を円弧状の孔の長手方向の一端に取り付けられた緩衝部材に当接させて停止するようにしている。しかし、そのほかにも種々な変形構成が考えられえる。例えば、図1において、切欠き部1bの下端部に緩衝部材を取り付け、そこに、アーム4に形成されている肉厚部の側面を当接させ、停止するようにしても差し支えない。しかし、その場合には、製作上(公差)の問題から、図1に示す状態において、被押動部4aと押動部6cとを接触状態に維持させることが難しく、先羽根用駆動部材6の姿勢が安定しなくなるから、ばねによって先羽根用駆動部材6を反時計方向へ付勢するようにする必要がある。
【0016】
本実施例における後羽根群は、二つのアーム9,10と、それらの異なる長さ位置に枢支された複数枚の羽根で構成されているが、先羽根群の場合と同様に、それらの最先端に枢支されているスリット形成羽根11のみを示してある。また、それらのアーム9,10のうち、主アームとなるアーム9は、後羽根用駆動部材12と合成樹脂で一体成形されている。そのため、アーム10は軸2cに直接回転可能に取り付けられているが、アーム9は、後羽根用駆動部材12の筒部12aを介して軸2dに回転可能に取り付けられている。尚、本実施例においては、部品点数を削減するために、このように、アーム9と後羽根用駆動部材12とを一つの部品として製作しているが、場合によっては、それらを別部品として製作し、それらが同時に同一方向へ回転するように構成しても差し支えない。その場合、最も一般的な連結方法としては、従来のようなピンと長孔との嵌合連結が考えられる。
【0017】
また、後羽根用駆動部材12には、セット時に、先羽根用駆動部材6の押動部6dに押される被押動部12bが形成されており、また、表面側に隆起したばね掛け部12cと取付部12dが形成されている。そして、取付部12dには鉄片13が取り付けられているが、この鉄片13は、上記の鉄片7について説明したのと同様に、取付部12dの側面に固定してもよいし、圧縮ばねを介在させることによって、電磁石に接触したとき、変位し得るようにしても構わない。
【0018】
後羽根用駆動部材12の筒部12aには、後羽根用駆動ばね14が緩く巻回されている。そして、この後羽根用駆動ばね14の一端は、先羽根用駆動ばね8と同様にして、図示していない支持板に直接又は間接的に掛けられており、他端は、後羽根用駆動部材12のばね掛け部12cに掛けられている。従って、図1の露光作動終了直後の状態においては、後羽根用駆動部材12が後羽根用駆動ばね14によって、時計方向へ回転するように付勢されているが、補助地板2に設けられた図示していないストッパに取り付けられた緩衝部材に当接して、停止された状態となっている。
【0019】
更に、軸1f,2a,2dの先端部に取り付けられた上記の図示していない支持板には、一点鎖線で示した電磁石15,16が取り付けられている。それらの電磁石15,16は、夫々、鉄芯部材15a,16aと、それらに巻回されたコイル15b,16bで構成されており、セット状態においては、それらの鉄芯部材15a,16aに、上記した鉄片7,13が接触するようになっている。
【0020】
次に、本実施例の作動を説明する。図1はシャッタの露光作動終了直後の状態を示している。既に、説明したように、この状態においては、各駆動ばね8,14による、アーム4の時計方向の作動と、後羽根駆動部材12の時計方向の作動は、夫々、図示していないストッパに取り付けられた緩衝部材に当接して、停止させられている。従って、この状態においては先羽根群の各羽根は重畳されて開口部1aの下方位置に格納されており、後羽根群の各羽根は展開されて開口部1aを覆っている。
【0021】
フィルム使用のカメラにおいては、この状態において、フィルムが巻き上げられると、それに連動して、カメラ本体側の部材によって、先羽根用駆動部材6の被押動部6bが図1の上方から下方へ押される。そのため、先羽根用駆動部材6は、図示していないばねに抗して時計方向へ回転され、押動部6cが被押動部4aを押すことによってアーム4を反時計方向へ回転させ、また、押動部6dが被押動部12bを押すことによって後羽根駆動部材12、即ちアーム9を反時計方向へ回転させることになる。また、その場合には、アーム4の反時計方向への回転が、アーム9の反時計方向への回転よりも若干早く開始されるようにすると、スリット形成羽根5,11の重なりが充分に確保されるようになり、セット作動中にスリット形成羽根5,11の間から光が漏れるようなことがなくなる。
【0022】
そして、このセット作動によって、先羽根用駆動ばね8と後羽根用駆動ばね14が緊張されてゆくが、先羽根群の各羽根が展開状態となって開口部1aを覆い、後羽根群の各羽根が重畳状態となって開口部1aの上方位置に格納された段階で、カメラ本体側の部材による先羽根用駆動部材6の回転が停止される。その状態が、図2に示すセット状態であり、このとき、鉄片7,13は、電磁石15,16の鉄芯部材15a,16aに接触した状態になる。そして、この状態は、次の撮影が行われえるまで維持されることになる。
【0023】
撮影に際して、カメラのレリーズボタンが押されると、その初期段階で電源スイッチが閉じ(カメラによってはレリーズボタンが押される前に電源スイッチが閉じているものもある)、電磁石15,16のコイル15b,16bに通電される。それによって、鉄芯部材15a,16aが、接触していた鉄片7,13を磁力によって吸着する。次に、図示していないカメラ本体側の部材が先羽根用駆動部材6の被押動部6bから離れ、先羽根用駆動部材6の作動に影響しない位置に退避するが、先羽根用駆動部材6は、鉄片7が鉄芯部材15aに吸着されているので、露光作動を開始しない。また、カメラ本体側の部材の退避と前後して、自動焦点調節装置による焦点合わせやミラーアップの作動が行われる。そして、それらが終了すると、その終了信号によって露光時間制御回路が作動し、電磁石15のコイル15bに対する通電を断つと共に露光秒時のカウントを開始する。
【0024】
電磁石15による鉄片7の保持力が失われると、先羽根用駆動ばね8の付勢力によってアーム4が時計方向へ回転され、それによって先羽根用駆動部材6が反時計方向へ回転される。そのため、アーム3,4に枢支されている複数枚の羽根は、開口部1aを覆っていた展開状態から下方へ作動され、隣接する羽根との相互の重なり量を大きくしながら開口部1aを開放していく。そして、スリット形成羽根5のスリット形成端縁が、開口部1aの下端縁(下辺)を過ぎた段階において、先羽根用駆動部材6が、上記した図示していないストッパの緩衝部材に当接し、先羽根群の露光作動が終了する。
【0025】
先羽根群の露光作動が開始されてから所定の時間が経過すると、露光時間制御回路からの出力信号によって、電磁石16のコイル16bに対する通電が断たれる。それによって、後羽根用駆動部材12、即ちアーム9が後羽根用駆動ばね14の付勢力によって時計方向へ回転される。従って、アーム9,10に枢支されている複数枚の羽根は、開口部1aの上方位置に格納された重畳状態から下方へ作動され、隣接する羽根との相互の重なり量を小さくしながら開口部1aを閉鎖していく。そして、スリット形成羽根11のスリット形成端縁が、開口部1aの下端縁(下辺)を過ぎた段階において、後羽根用駆動部材12が、上記した図示していないストッパの緩衝部材に当接することによって、後羽根群の露光作動が終了する。このときの状態が図1に示された状態である。
【0026】
このようにして、本実施例においては、開閉駆動機構の構成が従来とは大きく異なり、また、それによってアームの一部が変形されているとはいえ、各羽根群の露光作動は、従来通りのスペースで、従来通りに何の支障もなく行うことが可能である。また、本実施例の構成によれば、特開平9−179164号公報に記載された従来例に示されているようなセット部材が不必要になるばかりでなく、先羽根用駆動部材6の回転軸1fをアーム3,4の回転軸よりも開口部1a側に配置したため、シャッタ地板1の表面側における左下方のスペースが充分に確保でき、そのスペースに自動焦点調節装置のモータを配置するなど他の構成部品を配置できるので、シャッタの小型化は基より、カメラの小型化にとって、極めて効果的である。
【0027】
尚、本実施例においては、露光作動に際して、各羽根群は図2において下方へ作動するようになっているが、シャッタによっては、上方へ作動するようにしたタイプのものもある。そのため、本発明を、そのようなタイプのシャッタに適用した場合には、各部材の位置が上下に裏返した配置となるので、シャッタ地板1の表面側における左上方のスペースが充分に確保できることになる。また、このことから、各アームや各駆動部材を開口部1aの右側に配置すれば、開口部1aの右上方又は右下方のスペースを確保するようにすることも可能である。
【0028】
また、本実施例においては、被押動部4aとばね掛け部4bがアーム4に形成されているが、それらに相当する部位をアーム3に形成し、それらを先羽根用駆動部材6と先羽根用駆動ばね8に関係させるようにしても構わない。但し、その場合には、本実施例に比較して、スペース確保の点で若干劣ることになる。更に、本実施例においては、先羽根用駆動部材6の押動部6cをアーム4の被押動部4aに接触させ、先羽根用駆動ばね8の一端をばね掛け部4bに掛けているが、先羽根用駆動ばね8の一端を先羽根用駆動部材6に直接掛け、アーム4と先羽根用駆動部材6の連結は、一方に形成された長孔(カム形状の孔)に、他方に形成されたピンを嵌合させるようにしても差し支えない。
【0029】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、開閉駆動機構を簡単な構成にできるだけでなく、先羽根用駆動部材の回転軸を、先羽根群のアームの回転軸の位置よりも開口部に近い位置に配置したことによって、シャッタ地板の隅位置のスペースを大きく確保することが可能になる。そのため、シャッタユニットの小型化は基より、そのスペースに種々の構成部品の配置が可能になり、カメラのコンパクト化に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の露光作動終了直後の状態を示した平面図である。
【図2】実施例のセット状態を示した平面図である。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a 開口部
1b 切欠き部
1c,1d,1e 孔
1f,2a,2b,2c,2d 軸
2 補助地板
3,4,9,10 アーム
4a,6b,12b 被押動部
4b,12c ばね掛け部
5,11 スリット形成羽根
6 先羽根用駆動部材
6a,12a 筒部
6c,6d 押動部
6e,12d 取付部
7,13 鉄片
8 先羽根用駆動ばね
12 後羽根用駆動部材
14 後先羽根用駆動ばね
15,16 電磁石
15a,16a 鉄芯部材
15b,16b コイル
Claims (4)
- 略中央部に開口部を有する二つの地板の間に配置されていて該開口部の側方位置において夫々の一端部が前記地板に対して回転可能となるようにして配置された主アームを含む複数のアームと該複数のアームの他端部に向けて順次枢支された複数枚の羽根とで構成されている後羽根群と、被押動部と電磁石に吸着される鉄片とを有していて後羽根群の主アームに連結され該主アームと共に同一軸心上で同一方向へ回転できるように配置された後羽根用駆動部材と、後羽根用駆動部材を露光作動方向に付勢する後羽根用駆動ばねと、前記二つの地板の間に配置されていて前記側方位置において夫々の一端部が前記地板に対して回転可能となるようにして配置された主アームを含む複数のアームと該複数のアームの他端部に向けて順次枢支された複数枚の羽根とで構成されている先羽根群と、セット時に前記被押動部を後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して押す押動部と電磁石に吸着される鉄片とを有していて先羽根群の複数のアームの回転軸心とは異なる前記開口部に近い軸心上で前記地板に対して回転可能に配置され該回転に連動して先羽根群の主アームを回転させる先羽根用駆動部材と、先羽根用駆動部材を露光作動方向に付勢する先羽根用駆動ばねとを備えていることを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
- 先羽根群のアームのうち主アームが後羽根群のアーム側に位置するように、また、後羽根群のアームのうち主アームが先羽根群のアームに対し反対側に位置するようにして配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
- 後羽根用駆動部材が、後羽根群の主アームと合成樹脂で一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
- 先羽根群の主アームが、被押動部とばね掛け部とを有しており、また、先羽根用駆動部材がセット時に該被押動部を押すもう一つの押動部を有しており、更に、先羽根用駆動ばねの一端が該ばね掛け部に掛けられていて、露光作動時には、該先羽根用駆動ばねの一端が該ばね掛け部を押して先羽根群を作動させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
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