JP3772915B2 - 基礎杭の構築方法及び基礎杭 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、杭穴内に既成杭を埋設して構築する基礎杭の構築方法及び基礎杭に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、杭穴内に既成杭を埋設し、杭穴と地面とを密着するために隙間にセメントミルクなどを充填して基礎杭を構築していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術では、基礎杭の強度は杭のみで負担していたため、強度確保のため、基礎杭を必要以上に大径としなければならなかった。とりわけ、杭頭付近に生じる地震の際の水平力を負担するためには、杭頭付近の補強が不可欠であった。
【0004】
また、杭頭付近の強度を増加させるために既成杭の杭頭を大径にしなければならず、係る杭は製造や扱いが面倒となる問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
然るにこの発明は、杭穴に拡頂した大径部を形成し、既成杭の杭頭部にリブを形成したので、前記問題点を解決した。
【0006】
即ちこの発明は、径D 1 の軸部で上端から長さHに亘り、外径D 2 でリブを形成して既成杭を構成し、前記既成杭の軸部径D 1 に対応させて杭穴軸部を掘削後、地上から所定深さまで、径D 3 の杭穴拡頂部を形成し、前記杭穴内に、所定のセメントミルクを注入して撹拌混合してソイルセメントを形成し、前記杭穴内に、前記既成杭を埋設し、前記既成杭のリブを前記杭穴拡頂部に位置させて、かつD 1 <D 2 <D 3 として、前記杭穴内のソイルセメントと既成杭とを一体に形成することを特徴とした基礎杭の構築方法である。
【0007】
また、他の構築方法は、径D 1 の軸部で上端から長さHに亘り、外径D 2 でリブを形成して既成杭を構成し、所定間隔で並列して、かつ前記既成杭の軸部径D 1 に対応させて、杭穴軸部を掘削すると共に、該杭穴軸部に並列方向に連通した径D 3 の拡頂部を形成し、該杭穴内に所定のセメントミルクを充填して撹拌混合してソイルセメントを形成し、前記各杭穴内に、前記既成杭を夫々埋設し、前記既成杭のリブを前記杭穴拡頂部に位置させて、かつD 1 <D 2 <D 3 として、前記杭穴内のソイルセメントと各既成杭とを一体に形成することを特徴とした基礎杭の構築方法である。
【0008】
前記両構築方法において、既成杭の軸部の径をD 1 とし、杭穴拡頂部の径を2D 1 乃至3D 1 とし、ソイルセメントの圧縮強度を10乃至200Kg/cm2 とすることもできる。
【0009】
また、基礎杭の発明は、径D3の拡頂部を有する1又は複数の並列した杭穴内に、圧縮強度10乃至200Kg/cm2 のソイルセメントを介して、既成杭を埋設して構成し、
前記既成杭は、径D 1 の軸部で上端から長さHに亘り、外径D 2 で前記杭穴の軸部より大径のリブを形成してなり、前記既成杭のリブを前記杭穴拡頂部に位置させて、かつD 1 <D 2 <D 3 とし、前記杭穴は既成杭の軸部径D 1 に対応させて杭穴軸部を形成したことを特徴とする基礎杭である。
【0010】
前記における既成杭は、主にコンクリート製が望ましいが、同様な構造であれば、鋼管あるいはこれらの組合せとすることもできる。
【0011】
【実施の態様】
既成杭の軸部の口径をD1とした場合、既成杭のリブの外径「D2=1.2〜2×D1」程度とし、杭穴拡頂部の径「D3=2〜3×D1」程度とする。
【0012】
また、この発明のソイルセメントの圧縮強度は通常のソイルセメントの圧縮強度(5Kg/cm2程度)に比して圧縮強度が大きい「20〜300Kg/cm2 」程度としてある。杭穴内の全体に亘りソイルセメントの圧縮強度を20〜300Kg/cm2となるように、セメントミルク等を選択することが望ましい。あるいは、杭穴拡頂部のみ上記圧縮強度とすることも可能である。
【0013】
また、杭穴の並列掘削は、地上構造物の平面に合わせて、矩形、格子状など所定の必要数を行う。
【0014】
【作用】
杭穴の拡頂部に、ソイルセメントを介して既成杭のリブが位置するので、拡頂部の既成杭とソイルセメントとが一体になった基礎杭が形成できる。
【0015】
【実施例1】
図1に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0016】
この発明の実施例に使用するコンクリート製の既成杭4は、下部(軸部)1を径D1で形成し、上部2に、上端から長さHに亘り、外径D2のリブ3、3を上下に所定間隔で突設してある。前記リブ3の外径D2=1.2〜2×D1、としてある。
【0017】
地面6の所定位置に、前記既成杭の径D1に対応した杭穴7の軸部8を掘削し、次いで、杭穴7の上部を、地上から深さH(H=5〜10×D1)まで、径D3 で拡頂し、該部を拡頂部9とする。ここで、前記拡頂部9の径D3=2〜3×D1、としてある。また、前記において、D1<D2<D3、としてある。
【0018】
続いて、杭穴7内に、セメントミルクを充填し、掘削泥土と撹拌混合して、杭穴内にソイルセメント10を形成する。この際、ソイルセメントは、圧縮強度200Kg/cm2程度としてある。
【0019】
その後、前記杭穴7内に前記既成杭4を沈設する。この際、既成杭4のリブ3部分が、杭穴7の拡頂部9に位置する。
【0020】
ソイルセメントが強度発現後に、既成杭4はリブ3、3が形成してあるので、該部での表面積が多く、拡頂部9のソイルセメント10と一体となり、軸部が径D1、拡頂部が径D3の基礎杭11を構成する(図1(a)(b))。
【0021】
この、基礎杭11は、通常の垂直力は径D1の既成杭4で負担し、地上付近(建造物の直下)で生じる水平力に対しては、径D3のソイルセメント10と既成杭4との一体構造物で負担することができる。
【0022】
また、前記において、例えば、D1=600mmの既成杭を埋設する場合、リブ部の外周D2=800mm、杭穴の拡頂部の口径D3=1500mm、とする。
【0023】
前記実施例において、ソイルセメントの圧縮強度は、全体を100〜300Kg/cm2程度に設定することが望ましいが、少くとも拡頂部を100〜300Kg/cm2程度に設定し、下部(軸部周辺)のソイルセメントの圧縮強度は10〜30Kg/cm2とすることが望ましい。また、圧縮強度は10〜300Kg/cm2の範囲内で、適宜選択して使用することもできる。
【0024】
また、前記実施例において、拡頂部9内のソイルセメント10内に鉄筋篭などの補強鋼材を埋設することもでき、この場合には、ソイルセメントの強度を適宜低下させることもできる。
【0025】
【実施例2】
図2に基づきこの発明の他の実施例を説明する。この実施例は、前記実施例1の基礎杭を並列して連続基礎を構築し、軟弱地盤などに小規模建造物を構築する際に使用する。
【0026】
前記実施例1と同様に、地面の所定位置に軸部8、径D3の拡頂部9からなる杭穴7を、距離Lをあけて並列して掘削する。ここで、距離Lは2.0×D1程度としてある。
【0027】
実施例1と同様に、杭穴内にセメントミルクを充填し、掘削泥土と撹拌混合して、杭穴内にソイルセメント10を形成する。この際、ソイルセメントは、圧縮強度200Kg/cm2程度としてある。
【0028】
その後、前記杭穴7、7内に前記実施例1と同様の既成杭4を夫々沈設する。この際、各既成杭4のリブ3部分が、杭穴7の拡頂部9に夫々位置する。
【0029】
ソイルセメントが強度発現後に、既成杭4は、拡頂部9のソイルセメント10と一体となり、軸部が径D1、拡頂部が径D3の連続した基礎杭13を構成する(図2(a)(b))。
【0030】
この場合、地上構造物の形状に合わせて必要な平面形状に、例えば矩形状、格子状等に連続して構築する。この基礎杭13は、前記実施例1と同様に通常の垂直力は径D1の既成杭4、4で分担して負担し、地上付近(建造物の直下)で生じる水平力に対しては、径D3のソイルセメント10と既成杭4との並列した一体構造物で負担することができる。
【0031】
他の実施例は、前記実施例1と同様である。
【0032】
【発明の効果】
この発明は、杭穴拡頂部の既成杭とソイルセメントとが一体になった基礎杭が形成でき、通常の垂直力は既成杭で負担し、地上付近で生じる水平力に対しては、拡頂部の径を有するソイルセメントと既成杭との一体構造物で負担することができる効果がある。従って、既成杭の径を大幅に増加させることなく、所定の水平力に耐える強度を負担できる基礎杭を構築できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例で、(a)は平面図、(b)は杭穴を断面にした正面図である。
【図2】同じく他の実施例で、(a)は平面図、(b)は杭穴を断面にした正面図である。
【符号の説明】
3 リブ
4 既成杭
6 地面
7 杭穴
8 杭穴軸部
9 杭穴拡頂部
10 ソイルセメント
11 基礎杭
13 基礎杭
Claims (4)
- 径D 1 の軸部で上端から長さHに亘り、外径D 2 でリブを形成して既成杭を構成し、
前記既成杭の軸部径D 1 に対応させて杭穴軸部を掘削後、地上から所定深さまで、径D 3 の杭穴拡頂部を形成し、前記杭穴内に、所定のセメントミルクを注入して撹拌混合してソイルセメントを形成し、前記杭穴内に、前記既成杭を埋設し、前記既成杭のリブを前記杭穴拡頂部に位置させて、かつD 1 <D 2 <D 3 として、前記杭穴内のソイルセメントと既成杭とを一体に形成することを特徴とした基礎杭の構築方法。 - 径D 1 の軸部で上端から長さHに亘り、外径D 2 でリブを形成して既成杭を構成し、
所定間隔で並列して、かつ前記既成杭の軸部径D 1 に対応させて、杭穴軸部を掘削すると共に、該杭穴軸部に並列方向に連通した径D 3 の拡頂部を形成し、該杭穴内に所定のセメントミルクを充填して撹拌混合してソイルセメントを形成し、前記各杭穴内に、前記既成杭を夫々埋設し、前記既成杭のリブを前記杭穴拡頂部に位置させて、かつD 1 <D 2 <D 3 として、前記杭穴内のソイルセメントと各既成杭とを一体に形成することを特徴とした基礎杭の構築方法。 - 既成杭の軸部の径をD 1 とし、杭穴拡頂部の径を2D 1 乃至3D 1 とし、ソイルセメントの圧縮強度を10乃至200Kg/cm2 とした請求項1又は2記載の基礎杭の構築方法。
- 径D3の拡頂部を有する1又は複数の並列した杭穴内に、圧縮強度10乃至200Kg/cm2 のソイルセメントを介して、既成杭を埋設して構成し、
前記既成杭は、径D 1 の軸部で上端から長さHに亘り、外径D 2 で前記杭穴の軸部より大径のリブを形成してなり、前記既成杭のリブを前記杭穴拡頂部に位置させて、かつD 1 <D 2 <D 3 とし
前記杭穴は既成杭の軸部径D 1 に対応させて杭穴軸部を形成したことを特徴とする基礎杭。
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