JP4928192B2 - 拡頭杭の施工方法 - Google Patents

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本発明は、プレボーリング工法による既製杭からなる拡頭杭の施工方法に関するものである。
杭頭部に作用する過大なせん断力と曲げモーメントに備えて杭頭部に杭の本体部分より径の大きい拡頭部を有する拡頭杭が知られている。この種の拡頭杭は主にRC杭やPC杭、SC杭などの既製杭、鋼管杭などから形成され、またプレボーリング工法によって施工されることが多い。
プレボーリング工法は、あらかじめアースオーガー等を用いて地中に杭施工用孔をあけ、この杭施工用孔内に既製杭を立て込んで杭を施工する方法で、騒音の心配がないため広く採用されている。
従来、既製杭からなる拡頭杭をプレボーリング工法で施工する場合、アースオーガー等を用いて杭を施工するための杭施工用孔を削孔する前か後に、当該杭施工用孔の上部に杭施工用孔より大きい内径の拡径部を形成し、次にこの杭施工用孔に既製杭を立て込んで杭の本体部分を形成し、続いて拡径部に拡頭部を形成する。
またその際、杭の支持力は一般に、杭の先端支持力と杭の周面摩擦力の合計によって評価され、ほとんどが杭の先端支持力に依存する杭として施工されるため、施工時の杭の先端処理が重要になる。
特開昭62−253817号公報 特開2006−132100号公報 特開2006−118215号公報
しかし、杭施工用孔を削孔する前に当該杭施工用孔の上部に大きな孔を掘って拡径部を形成する方法は、拡径部がその後の作業を行う上で障害となることがあり、安全性に問題があった。
一方、杭施工用孔を削孔した後に当該杭施工用孔の上部に孔壁を切削して拡径部を形成する方法は、掘削土が杭施工用孔に落ち、これが杭の支持力を低下させる恐れがある。
また、杭施工用孔と同様に拡径部もアースオーガーで削孔しようとすると、径の大きい掘削ロッドを使用する必要があるため、段取りによっては別に孔を削孔することになるため、非効率な施工を強いられる恐れがあった。
さらに、いずれの方法も、杭施工用孔の上部に拡径部を有することにより、杭施工用孔に既製杭を立て込む際にふらついて杭の立て込み精度が落ちる等の課題があった。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、プレボーリング工法を利用し、杭の支持力の低下を招く掘削土の混入を防ぎながら効率的かつ安全に施工できる拡頭杭の施工方法を提供することを目的とするものである。
請求項1記載の拡頭杭の施工方法は、プレボーリング工法による拡頭杭の施工方法であって、外周上部にらせん翼を有するケーシングと当該ケーシングを貫通する掘削ロッドを回転させながら地中に挿入して杭施工用孔を削孔する工程と、前記ケーシングを推進方向に回転させながら、前記ケーシングのらせん翼を有する部分を引き抜いて前記ケーシングのらせん翼により前記杭施工用孔の上部を切削し、かつ掘削土を地上に排出することにより前記杭施工用孔の上部に拡径部を形成する工程と、前記ケーシングをガイドにして前記杭施工用孔に既製杭を立て込んで前記拡頭杭の本体部分を形成する工程と、前記ケーシングを撤去する工程と、前記拡径部に前記拡頭杭の拡頭部分を形成する工程とを有することを特徴とするものである。
本発明は、既成杭からなる拡頭杭をプレボーリング工法によって施工する際、特に孔壁を保護するケーシングの外周の上部に掘削手段を設け、杭施工用孔を削孔した後、当該ケーシングを掘削方向に回転させなから引き抜くことにより杭施工用孔の上部に拡径部を容易に形成できるようにしたものである。
また、拡径部の施工中および杭施工用孔に既製杭を立て込む際、杭施工用孔の上部をケーシングによって保護し、掘削土が杭施工用孔に落ちないようにすることで、掘削土の落下が原因とされる杭の支持力の低下を防止するようにしたものである。
さらに、杭施工用孔の上端部にケーシングを鉛直に立て付け、当該ケーシングを杭施工用孔に既製杭を立て込む際のガイド部材として利用することにより既製杭の鉛直性を保持して施工性と施工精度を高めるようにしたものである。
なお、杭施工用孔の削孔には、掘削時の孔壁を保護するため泥水工法を併用することが望ましい。また、拡頭部は場所打ちコンクリートまたは既製杭のいずれでも形成することができる。さらに、杭本体部分の先端に拡径部を設けて杭の先端支持力を高めることもできる。
また、杭施工用孔の上部を切削して拡径部を形成するためのらせん翼は、杭施工用の孔壁を効率的に切削して拡径することができる。
請求項記載の拡頭杭の施工方法は、請求項記載の拡頭杭の施工方法において、拡頭部分は既製杭によって形成することを特徴とするものである。
拡頭部分は場所打ちコンクリートまたは既製杭のいずれでも形成することができるが、特に既製杭による施工は現場施工の省力化が図れる。
本発明は、杭施工用孔の上部を切削して拡径部を形成する際および杭施工用孔に既製杭を立て込む際、杭施工用孔の上端部にケーシングを設置して掘削土が杭施工用孔に落ちないようにすることで、掘削孔に掘削土が落ちこれがもとで杭の先端支持力が低下するようなことはない。
また、杭施工用孔に既製杭を立て込む際、杭施工用孔の上端部にケーシングを設置し、このケーシングを杭施工用孔に既製杭を鉛直に立て込むためのガイド部材として利用することにより、既製杭のふらつき等を防止して既製杭の鉛直性が保てるため、既製杭を杭施工用孔に効率的にかつ精度良く立て込むことができる。
図1は拡頭杭の一例を示し、拡頭杭の本体部分1bと当該本体部分1bより大きい径の拡頭部分1aの全長がRC杭やPC杭、SC杭などの既製杭、鋼管杭などから一体に形成されている。
杭の本体部分1bは、一定長さに形成された既製杭を必要数継ぎ足し、互いに接合することにより一体に形成され、当該本体部分1bの上端部に拡頭部分1aが一体に形成されている。
図2(a)〜(g)は、プレボーリング工法による拡頭杭の施工方法を示し、以下施工手順について説明する。
最初に、ケーシング2と当該ケーシング2を貫通する掘削ロッド3を回転させながら地中に鉛直に押し込んで杭施工用孔4を削孔する。ここで用いられるケーシング2は鋼管から形成され、外周に鋼管の上端部から中間部にわたって連続するらせん翼2aを備えている。掘削ロッド3は杭施工用孔4の深さに応じてロッドを順次継ぎ足して延長できるように構成されている。また、杭施工用孔4の削孔には泥水工法を併用して孔壁を保護する。
こうして、所定の深さまで杭施工用孔4を削孔したら、地中にケーシング2を残し、掘削ロッド3を回転させながら引き上げて撤去する。また、杭施工用孔4内に杭周固定液(図省略)を注入する。なお、杭周固定液は杭施工用孔4内に形成された拡頭杭1の本体部分1bを一体的に固定するための固化液である。
次に、ケーシング2を回転させながら引き抜いて、杭施工用孔4の上部に杭施工用孔4の径より大きい径の拡径部4aを形成する。
この場合、ケーシング2を推進方向に回転させながら引き抜くことにより、杭施工用孔4の上部の孔壁がケーシング2のらせん翼2aによって切削され、掘削土がらせん翼2aによって地上に排出されることで、杭施工用孔4の上部に拡径部4aが形成される。
ケーシング2は、らせん翼2aを有するケーシング2の中間部より上の部分のみを地中から引き抜き、中間部より下の部分を杭施工用孔4の上端部に挿入した状態で地上に鉛直に立て付ける。こうすることで、掘削土が杭施工用孔4内に落ち込むのを防止することができる。
次に、杭施工用孔4内に杭の本体部分1bとなる既製杭を立て込む。この場合、既製杭はケーシング2に通して杭施工用孔4内に立て込むことにより既製杭の鉛直性を保持する。また、杭の本体部分1bの長さに応じて一定長さに形成された既製杭を順次継ぎ足し、互いに接続しながら杭施工用孔4内に立て込んで本体部分1bの全長を形成する。そして、本体部分1bの施工が完了したらケーシング2を撤去する。
次に、拡径部4a内に拡頭部分1aとなる既製杭を立て込み、本体部分1bと一体的に接合することにより拡頭杭1の全長を形成する。
本発明は、プレボーリング工法を利用し、杭の先端支持力の低下を招く掘削土の混入を防ぎながら効率的かつ安全に拡頭杭を施工することができる。
拡頭杭の一例を示す正面図である。 (a)〜(g)はプレボーリング工法による拡頭杭の施工手順を示す工程図である。 (a)は本工法で用いられるケーシングの正面図、(b)はケーシングの使用状態を示す縦断面図である。
符号の説明
1 拡頭杭
1a 拡頭杭の拡頭部分
1b 拡頭杭の本体部分
2 ケーシング
2a らせん翼(掘削手段)
3 掘削ロッド
4 杭施工用孔
4a 拡径部

Claims (2)

  1. プレボーリング工法による拡頭杭の施工方法であって、外周上部にらせん翼を有するケーシングと当該ケーシングを貫通する掘削ロッドを回転させながら地中に挿入して杭施工用孔を削孔する工程と、前記ケーシングを推進方向に回転させながら、前記ケーシングのらせん翼を有する部分を引き抜いて前記ケーシングのらせん翼により前記杭施工用孔の上部を切削し、かつ掘削土を地上に排出することにより前記杭施工用孔の上部に拡径部を形成する工程と、前記ケーシングをガイドにして前記杭施工用孔に既製杭を立て込んで前記拡頭杭の本体部分を形成する工程と、前記ケーシングを撤去する工程と、前記拡径部に前記拡頭杭の拡頭部分を形成する工程とを有することを特徴とする拡頭杭の施工方法。
  2. 拡頭部分は既製杭で形成することを特徴とする請求項記載の拡頭杭の施工方法。
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