JP3769314B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前部に開口が形成された中空な金属製のヘッド本体と、該ヘッド本体の前部開口を塞ぐように配置され、かつ周縁部がヘッド本体の開口縁部に溶接された金属製のフェースプレートとを有し、該フェースプレートの肉厚が前記ヘッド本体の肉厚よりも大きく形成されているゴルフクラブヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記形式のゴルフクラブヘッドは従来より周知であり、図6はその一例を示す垂直断面図である。ここに示したウッドタイプのゴルフクラブヘッド1aは、前部に開口2aが形成された中空な金属製のヘッド本体3aと、同じく金属製のフェースプレート4aとを有している。フェースプレート4aはヘッド本体3aの前部開口2aを塞ぐように配置され、当該フェースプレート4aの周縁部5aがヘッド本体3aの開口縁部6aに溶接されている。符号7aは、その溶接によって形成されたビードを示し、当該ビード7aはフェースプレート4aの周縁部5aの全周に亘って形成されている。
【0003】
上述の如く構成されたゴルフクラブヘッド1aのネック部8aにシャフト9aの先端部が挿入固定されてゴルフクラブが構成される。プレーヤがかかるゴルフクラブを矢印A方向にスィングし、そのフェースプレート4aの外表面によって図示していないボールを打撃する。
【0004】
ここで、ゴルフクラブヘッド1aの全体の重量増を抑えつつ、その全体のサイズを大型化するには、ヘッド本体3aの肉厚tを小さくする必要がある。これに対し、フェースプレート4aは、ボールから大きな衝撃力を受けるので、その肉厚Tをあまり小さくすることはできない。従って、この種のゴルフクラブヘッド1aは、そのフェースプレート4aの肉厚Tが、ヘッド本体3aの肉厚tよりも大きく形成されている。
【0005】
このようなヘッド本体3aとフェースプレート4aとを溶接してゴルフクラブヘッドを製造する際、図7に拡大して示すように、ヘッド本体3aの開口縁部6aとフェースプレート4aの周縁部5aとの合せ部に、溶融した溶加材を供給し、その溶加材の溶融金属と、フェースプレート4a及びヘッド本体3aの溶融金属とを凝固させてヘッド本体3aとフェースプレート4aとを一体に溶接する。次いで、その溶接部を図5に符号Xで示す研磨ラインに沿って研磨することにより、図6に示したゴルフクラブヘッド1aが完成する。
【0006】
ところで、上述のようにヘッド本体3aとフェースプレート4aとを溶接するとき、ヘッド本体3aはフェースプレート4aよりも肉厚が薄いため、ヘッド本体3aの開口縁部6aの方がフェースプレート4aの周縁部5aよりも先に溶融し始め、その溶融量が多くなる。このため、溶融金属が図7に符号7bで示した如く、ヘッド本体3aの内側にまで入り込むことがあり、しかもその入り込み量がヘッド本体3aの開口縁部6aの周方向に沿ってばらつく。溶融した溶加材がヘッド本体3aの内側に入り込む量が、開口縁部6aの周方向において一定せずに、ばらついてしまうのである。このようになれば、完成したゴルフクラブヘッドの重量バランスが崩れ、当該クラブヘッドの品質が低下する。
【0007】
また、フェースプレート4aとヘッド本体3aとの溶接時に、フェースプレート4aは溶融し難く、しかもその溶融量がフェースプレートの周方向に沿って一定せずにばらつくため、フェースプレート4aとヘッド本体3aとの結合強度にばらつきを生じる。このため、その結合強度の弱い部分に、経時的に亀裂が発生するおそれがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した新規な認識に基づきなされたものであり、その目的とするところは、ヘッド本体とフェースプレートとを強固に結合することができ、しかも重量バランスを均一に保つことのできるゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式のゴルフクラブヘッドにおいて、ヘッド本体の開口縁部が、該開口の内側へ向けて折り曲げ形成され、その開口縁部とフェースプレートの周縁部とによってほぼ三角形の横断面形状を有する周溝を形成し、該周溝にヘッド本体とフェースプレートとの溶接時に形成されたビードが埋め込まれて両者が一体化されていることを特徴とするゴルフクラブヘッドを提案する。前記開口の内側へ向けて折り曲げは、該開口縁部の全周に亘らせることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態のウッドタイプのゴルフクラブヘッド1の斜視図であり、図2はその垂直断面図である。ここに示したゴルフクラブヘッド1も、前部に開口2が形成された中空な金属製のヘッド本体3と、同じく金属製のフェースプレート4とを有し、これらは例えばステンレス鋼によって構成されている。フェースプレート4はヘッド本体3の前部開口2を塞ぐように配置され、フェースプレート4の周縁部5がヘッド本体3の開口縁部6に溶接されている。符号7は、この溶接により形成されたビードを示し、かかるビード7はフェースプレート4の周縁部5の全周に亘って形成されている。
【0014】
ヘッド本体3のネック部8にはシャフト9の先端部が挿入されて固定され、クラブヘッドが構成されている。
【0015】
ゴルフのプレー時に、フェースプレート4の外表面に大きな衝撃力が加えられるので、そのフェースプレート4の肉厚Tが、ヘッド本体3の肉厚tよりも大きく形成されていることも従来のゴルフクラブヘッドと同様である。ヘッド本体3の肉厚tは例えば0.8mmに設定されるのに対し、フェースプレート4の肉厚Tは例えば3mmに設定され、後者の肉厚が前者のそれよりも2倍以上の厚さとなっている。このようにして、ヘッド本体3aのサイズを大型化することができるのである。
【0016】
ここで、本例のゴルフクラブヘッド1は、従来のクラブヘッドと異なり、図3にも示すように、ヘッド本体3の開口縁部6が、その全周に亘って、その開口2の内側(開口の中心側)へ向けて折り曲げ形成され、その開口縁部6とフェースプレート4の周縁部5とによってほぼ三角形の横断面形状を有する周溝10が形成され、かかる周溝10に、ヘッド本体3とフェースプレート4との溶接時に形成されたビード7が埋め込まれてヘッド本体3とフェースプレート4の両者が一体化されている。
【0017】
このようなゴルフクラブヘッド1を製造するには、先ず鋳造、鍛造又はプレス成形などの方法によって、図2に示した形態のヘッド本体3とフェースプレート4とをそれぞれ製作し、両者を図2に示したように組付ける。すなわち、前部に開口2が形成され、その開口縁部6がその開口2の内側へ向けて折り曲げられた金属製のヘッド本体3に、その開口2を塞ぐように、ヘッド本体3よりも肉厚の大なる金属製のフェースプレート4を組付け、これらを図示していない治具によって固定するのである。
【0018】
次いで、このフェースプレート4の周縁部5とヘッド本体3の開口縁部6とによって形成された前述の周溝10に、その全周に亘ってビード7が埋め込まれるように、そのヘッド本体3とフェースプレート4とを一体に溶接する。この溶接方法としては、例えばTIG溶接が採用される。その溶接後、図3に符号Xで示した研磨ラインに沿ってビード7を研磨すれば、図1及び図2に示したゴルフクラブヘッド1が完成する。
【0019】
上述した溶接時に、互いに突き合せられたフェースプレート4の周縁部5とヘッド本体3の開口縁部6とにより区画された三角形状の周溝10に溶融した溶加材が供給され、しかも熱によって周縁部5と開口縁部6の一部も溶融するが、これらの溶融金属は、周溝10に溜められるので、これがヘッド本体3の内部の側へ回わり込むことはない。このため、ヘッド本体3の開口縁部6と、フェースプレート4の周縁部5には、その全周に亘って均一な量の溶融金属が付着し、その凝固後のビード7の量が全周に亘って均一化する。このため、完成したゴルフクラブヘッド1の重量バランスは均一に保たれ、高品質なクラブヘッド1を得ることができる。しかも、溶接時に、周溝10に溶融金属が溜められるので、肉厚の大なるフェースプレート4の周縁部5にも充分に熱が伝えられ、従来よりも周縁部5の溶融金属量が増大し、かつ周溝10に溜まる溶融金属の量がその全周に亘って均一化される。これによりヘッド本体3とフェースプレート4は、その周縁部全周に亘って均一に、かつ強固に結合される。よって、完成したゴルフクラブヘッドの溶接部に局部的に強度が低い部分ができることはなく、長期に亘って亀裂を生ずることなく安定した品質を保証することができる。
【0020】
図3に示すように、折り曲げ形成された開口縁部6の外表面と、その開口縁部6に隣接するヘッド本体部分の外表面とが成す角度θは適宜な大きさに設定できるが、実験によると、その角度θを、135°乃至150°に設定したとき、特に均一で高い強度と、重量バランスに優れたゴルフクラブヘッド1を製造することができた。
【0021】
図4の示すように、折り曲げ形成された開口縁部6の外表面と、その開口縁部6に隣接するヘッド本体3の部分の外表面との成す角度θが135°よりも小さいと、周溝10の奥先端にまで溶融金属が入り込まず、ここにビード7が形成されずに、ヘッド本体3とフェートプレート4との結合強度が低下するおそれがある。
【0022】
これに対し、図5に示すように、上記角度θが150°よりも大きいと、周溝10に必要以上の溶加材の溶融金属が溜まり、そのビード7が大きくなりすぎて、完成したゴルフクラブヘッド1の重量が過大となるおそれがある。このような意味から、角度θを135°乃至150°に設定することが望ましいのである。
【0023】
本発明は、ウッドタイプ以外の金属製ゴルフクラブヘッドとその製造方法にも適用できるものである。
【0024】
【発明の効果】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドによれば、ヘッド本体とフェースプレートとが、一定した高い強度で結合され、しかもゴルフクラブヘッドの重量バランスを均一に保つことできる。
【0025】
請求項2に記載のゴルフクラブヘッドによれば、ヘッド本体とフェースプレートとが、その周縁部の全周に亘って一定した高い強度で結合される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゴルフクラブヘッドの一例を示す斜視図である。
【図2】図1の垂直断面図である。
【図3】ヘッド本体の開口縁部とフェースプレートの周縁部を拡大して示した断面図であり、ビードを研磨する前の様子を示した図である。
【図4】角度θが130°よりも小さく設定されたゴルフクラブヘッドの断面部分図である。
【図5】角度θが150°よりも大きく設定されたゴルフクラブヘッドを示す断面部分図である。
【図6】従来のゴルフクラブヘッドの垂直断面図である。
【図7】図6に示したゴルフクラブヘッドのヘッド本体の開口周縁部とフェースプレートの周縁部を拡大して示した断面図であり、ビードを研磨する前の様子を示した図である。

Claims (2)

  1. 前部に開口が形成された中空な金属製のヘッド本体と、該ヘッド本体の前部開口部を塞ぐように配置され、かつ周縁部がヘッド本体の開口縁部に溶接された金属製のフェースプレートとを有し、該フェースプレートの肉厚が前記ヘッド本体の肉厚よりも大きく形成されているゴルフクラブヘッドにおいて、
    前記ヘッド本体の開口縁部が、該開口の内側へ向けて折り曲げ形成され、その開口縁部とフェースプレートの周縁部とによってほぼ三角形の横断面形状を有する周溝を形成し、該周溝にヘッド本体とフェースプレートとの溶接時に形成されたビードが埋め込まれて両者が一体化されていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  2. ヘッド本体の開口縁部が、全周に亘って、折り曲げ形成されたことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
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