JP3769186B2 - 感熱磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばプリペイドカード、預貯金カード等のカード類、乗車券、回数券、通行券等の券紙類、POSラベル等のラベル類などに用いられる、特に偽造防止性の高い感熱磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方式は、装置が小型軽量化でき、無騒音で記録を行うことが可能であり、現像剤等の消耗品も不要である等の利点から、広くファクシミリやプリンターのアウトプットに使用されているのみならず、乗車券、定期券、通行券等の券紙やプリペイドカード等のカード類及びPOSラベル等のラベル類への応用も近年さかんに行われている。特に、記録方式の利便性から、感熱記録方式を磁気記録媒体に組み合わせた感熱磁気記録媒体は、回数券やポイントカード等へ幅広く応用されている。
【0003】
一方、上記のように磁気記録媒体が広く普及するのに伴い、このような磁気記録媒体の偽造、変造等の不正使用が社会的な問題となっており、これをいかに防止するかが大きなテーマになっており、多数の偽造防止方法が提案されている。それらの中で最も幅広く採用されているものが、磁気記録媒体に磁気的に読みとり可能な磁気バーコードを付与する方法である。通常この方法で偽造防止を図る場合、真偽判定のために設けられた磁気バーコードパターンが容易に判読されないように、磁気的に読みとり可能な正規パターンと非磁性の磁気的に読みとりが出来ないダミーパターンが組み合わされている。
【0004】
しかしながら、磁気バーコードにおける正規パターンとダミーパターンは、一般的に正規パターンに使用されている磁性体と、ダミーパターンに使用されている非磁性体では、材料の粒径や比表面積が異なるため、形成されたパターンの表面性に差異があるので、正規パターンとダミーパターンが目視で判別可能であるという問題がある。
【0005】
また、従来技術による磁気記録媒体では磁気記録層及び磁気バーコードの表面には、一般にアルミニウム粉末を含有した隠蔽層が設けられており、感熱磁気記録媒体では隠蔽層上にさらに感熱記録層が形成されている。しかし、このような積層構成を有するにもかかわらずアルミニウム粉末を用いた隠蔽層では前記表面性の差異を隠蔽することができず、磁気バーコードにおける正規パターンとダミーパターンとを目視で判別できる問題は依然として残されている。しかも、これらパターンの表面性の差異と、隠蔽層に使用されるアルミニウムの粒径や形状との関係から、かえって表面性の差異が強調されてしまう場合もあり、問題となっている。
【0006】
このような問題を防ぐために、すなわち磁気バーコードの隠蔽効果を向上させるためには、隠蔽層を厚く形成すれば良いが、それに伴って磁気記録特性が損なわれるという問題がある。また、アルミニウム粉末に代えて磁性体の形状に近い他の無機顔料を使用すると、隠蔽性が劣るために結局厚く設ける必要があり、上記と同様に磁気記録特性に問題を生じるものであった。更に、隠蔽層上に感熱記録層を積層した場合、アルミニウム粉末中に残存している脂肪酸や高沸点溶剤の影響と推測される感熱記録画像の消色や感熱記録層の地肌カブリを生じたり、隠蔽層と感熱記録層との密着性が悪く剥離を生じさせたりと、保存安定性に問題を有するものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の如き問題点を改良するものであって、具体的には券紙やカード類として使用できるような優れた磁気記録特性と、保存安定性の良好な感熱記録特性を有し、かつ、正規パターンとダミーパターンとが目視で識別することができない磁気バーコードが形成された優れた偽造防止効果を有する感熱磁気記録媒体を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基体上に磁気記録層、正規パターンとダミーパターンよりなる磁気バーコード、隠蔽層、ロイコ染料と顕色剤が含有された感熱記録層を順次積層した感熱磁気記録媒体において、該隠蔽層中にアルミニウム粉末とカーボンブラックを含有し、該カーボンブラックのpHが5.0以上であることを特徴とする感熱磁気記録媒体である。また、本発明の感熱磁気記録媒体は隠蔽層中に、カーボンブラックが0.2〜5重量%含有されていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の感熱磁気記録媒体における基体としては、ポリエステルフィルム、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルムや、合成紙、木材パルプ紙、ラミネート紙等の非磁性のシート状物が適宜使用できる。実用的には、厚さ150μm〜1mmのプラスチックフィルムや合成紙が好適である。
【0010】
磁気記録層は、磁性体とバインダーを主成分として形成される。磁性体としては、γ−酸化鉄、コバルトドープのγ−酸化鉄、酸化クロム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の保磁力300〜5000エルステッドの磁性粉が使用される。また、バインダーとしては塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が使用される。このような磁性体とバインダーを配合割合2:8〜8:2で用いて、必要に応じて顔料、分散剤等の添加剤とともに溶媒中に分散して磁性塗料またはインキを調製して、これを基体上に塗布または印刷後、乾燥することによって磁気記録層は形成される。この際、磁気記録層が乾燥する前に磁場配向処理を行ってもよい。なお、磁気記録層の厚さは5〜30μm、好ましくは10〜20μmである。
【0011】
本発明における磁気バーコードは、正規パターンとダミーパターンが組み合わされた構成を有するものである。正規パターンには、保磁力が50エルステッド以下、好ましくは0.01〜20エルステッドの磁性体、例えばセンダスト、パーマロイ、Mn−Znフェライト、マグネタイト、鉄粉等が用いられる。正規パターンは、上記のような磁性体を、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等のバインダー中に分散してインキとし、これを磁気記録層の上に、例えばグラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷方式より印刷することで形成される。またダミーパターンは、正規パターンにおける磁性体に代えてアルミナ、シリカ等の非磁性体を使用して、正規パターンと同様にインキ化し、磁気記録層上に印刷することにより形成される。
【0012】
本発明における隠蔽層は、アルミニウム粉末とカーボンブラックをバインダー中に分散した構成を有するものである。隠蔽層中に含有されるアルミニウム粉末は、平均粒径3〜30μm、特に5〜18μmの鱗片状のものが、磁気記録特性を損なうことなく、良好な隠蔽性が得られるので好ましく使用される。また、バインダーとしてはニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が使用可能である。
【0013】
隠蔽層中にアルミニウム粉末とともに含有されるカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック等の各種カーボンブラックを、適宜使用することができる。隠蔽層中のカーボンブラックの配合比率は0.2〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜3.0重量%である。この場合、0.2重量%未満の場合は、正規パターンとダミーパターンの表面性の差異を隠蔽することができず、目視で判別されるおそれがあり、5重量%を越えると上記パターンの表面性の差異がかえって強調されて目視で判別されてしまう場合があり、また、カーボンブラックによる着色のために感熱記録層の記録が読み取り難くなるという問題を有する。
【0014】
また、使用するカーボンブラックは,pH5.0以上であり、好ましくはpH7.0〜10.0であり、特にpH8.0〜9.0が好適である。これは、隠蔽層上に直接感熱記録層が形成される場合、カーボンブラックのpHが小さいつまり酸性が強くなると、保存安定性が損なわれて発色画像の褪色を生じるおそれがあるためである。
【0015】
隠蔽層におけるアルミニウム粉末とバインダーの重量配合比率は2:8〜7:3が好ましく、更に好ましくは3:7〜6:4である。
隠蔽層は、上記のような組成を有する隠蔽層用塗料を用いて、慣用の塗工方法または印刷方法により形成することが出来、その層厚は0.5〜5μmの範囲で、好ましくは1〜3μmである。
【0016】
本発明における感熱記録層中には、ロイコ染料と該ロイコ染料を熱時発色させる顕色剤が含有されるが、かかるロイコ染料及び顕色剤は特に限定されるものではなく、従来から使用されている各種の材料を適宜組み合せて使用することができる。なお、本発明において優れた発色濃度、感度、保存安定性等を有することから、好適に使用されるロイコ染料及び顕色剤の具体例として、下記の化合物が挙げられる。
【0017】
ロイコ染料としては、構造式(1)〜(5)の化合物が好ましい。
【化1】
【0018】
また、本発明で感熱記録層に使用される好ましい顕色剤としては、次の構造式(6)〜(15)の化合物が挙げられる。
【化2】
【0019】
本発明の感熱記録層は、バインダー中に、前記ロイコ染料及び顕色剤を分散して得た感熱記録層用塗料を、前記の隠蔽層上に塗布・乾燥することによって形成される。該バインダーとしては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、有機溶剤可溶性樹脂等を適宜使用することができるが、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の有機溶剤可溶性樹脂が、耐久性、耐水性、隠蔽層との接着性等に優れていることから好ましい。なお、ロイコ染料と顕色剤の配合比率は、10:1〜1:10、好ましくは1:1〜1:3であり、また感熱記録層中に占めるバインダーの割合は、固形分で重量比5〜95%、好ましくは15〜50%である。
【0020】
本発明の感熱記録層には必要に応じて、顔料、滑剤、紫外線吸収剤、分散剤等の添加剤を使用することが出来る。顔料としては例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、タルク等の無機顔料や、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等からなる有機顔料が挙げられる。また、滑剤としては高級脂肪酸の金属塩、ワックス類、フルオロカーボン等が挙げられる。また、耐熱性を損なわない範囲での各種増感剤の使用も可能である。上記のような組成よりなる感熱記録層の形成方法は、慣用の塗工方法、印刷方法のいずれでもよく、層厚は1〜8μm、好ましくは2〜5μmである。
【0021】
本発明を構成する感熱磁気記録媒体には、必要に応じて感熱記録層上に保護層が、また、ラベル類として使用する場合は、基体の裏面に接着層を介してセパレータを積層した構成であっても良い。感熱記録層上に設けられる保護層は、耐薬品性に優れた造膜性の良い樹脂を主体とするもので、油脂、溶剤、水分等の接触による感熱記録層の地肌発色や記録部分の消色を防止するためのバリアー効果とともに、例えば券紙やカードとして使用される際の耐摩耗性の向上という機能を有する。保護層に用いられる樹脂としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、有機溶剤可溶性樹脂等を適宜選択して用いることが出来るが、中でも紫外線または電子線硬化型樹脂が優れた耐薬品性と強固な耐摩耗性を有することから好ましい。
【0022】
紫外線または電子線硬化型の樹脂としては、例えば、ビニル基を含むモノマー、オリゴマー等に紫外線又は電子線を照射してラジカル重合又はカチオン重合を行うことが出来るものを適宜使用することができる。ビニル基を含むモノマー、オリゴマーの具体例としては、オリゴアクリレート、ウレタンアクリレート、シリコンアクリレート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、紫外線により硬化する場合は、ベンゾイルアルキルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルミヒラーケトン等の光重合開始剤を含有させることが必要である。また、ルイス酸触媒によるカチオン反応で開環重合するエポキシ化合物も紫外線硬化型樹脂として使用でき、この場合、光重合開始剤としてルイス酸の芳香族ハロニウム塩、ルイス酸の芳香族スルホニウム塩等を用いることが必要である。
【0023】
保護層は直接感熱ヘッドと接触するため、印字時には300℃以上の高温に曝される場合もあり、感熱ヘッドとのマッチング性向上を目的として顔料、高級脂肪酸もしくはその金属塩、熱可塑性滑剤、潤滑剤から選ばれる1種以上が添加される。該顔料としては例えば、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等の無機顔料または有機顔料が用いられる。熱可塑性滑剤としてはポリエチレンワックス、パラフィンワックス、フルオロカーボン等が用いられる。潤滑剤としては、パラフィン、シリコン系オイル等の液体潤滑剤、反応性シリコン等の固形潤滑剤が用いられる。これらの添加量は、紫外線または電子線硬化性樹脂100重量部に対して1〜40重量部、好ましくは3〜30重量部である。添加量がこれより少ないと、感熱ヘッドとのマッチング性が十分に得られず、逆に40重量部以上使用すると保護層の機能が損なわれるおそれがある。保護層の形成方法は慣用の塗工方法、ベタまたは網点による印刷方法のいずれでもよく、層厚は0.1〜3μmの範囲、好ましくは0.5〜2μmである。
【0024】
次に、本発明の感熱磁気記録媒体を図面により説明する。
図1は本発明の感熱磁気記録媒体の積層構成の一例を示すもので、基体1上に、磁気記録層2が設けられ、該磁気記録層2上に正規パターン3とダミーパターン4とからなる磁気バーコードが形成されている。そして、磁気記録層と該層上の磁気バーコードを覆って隠蔽層5が設けられ、更に、隠蔽層5上に感熱記録層6が形成されており、該感熱記録層上に保護層が設けられている。また、図2は本発明において設けられる磁気バーコードの一例であって、正規パターン3とダミーパターン4からなる磁気バーコードが、磁気記録層表面上に形成された状態を示す平面図である。なお、図1及び図2は本発明の感熱磁気記録媒体の一実施態様を示すもので、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
磁気記録層用塗料を以下の配合で調製した。
・バリウムフェライト(保磁力2750エルステッド) 100重量部
(戸田工業社製、商品名:MC−127)
・カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:MA100) 3重量部
・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20重量部
(積水化学工業社製、商品名:エスレックA)
・ポリウレタン樹脂 20重量部
(日本ポリウレタン工業社製、商品名:N2304)
・トルエン 60重量部
・メチルエチルケトン 60重量部
・メチルイソブチルケトン 60重量部
【0026】
上記の組成よりなる混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートL)5重量部を添加して磁気記録層用塗料を作製し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムからなる基体上にグラビア塗工法で塗布し、磁場配向処理を行った後乾燥して磁気記録層を形成した。なお、乾燥塗布量は30g/m2であった。得られた磁気記録層上に下記の組成からなる正規パターン用インキと、ダミーパターン用インキを、それぞれスクリーン印刷方式により、図1及び図2のパターンのように印刷して正規パターンとダミーパターンとからなる磁気バーコードを設けた。
【0027】
<正規パターン用インキ>
・鉄粉 100重量部
・レシチン(日清ファインケミカル社製、商品名:レシチンDX) 3重量部
・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20重量部
(積水化学工業社製、商品名:エスレックA)
・ポリウレタン樹脂 20重量部
(日本ポリウレタン工業社製、商品名:N2301)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
<ダミーパターン用インキ>
・アルミナ 100重量部
・レシチン(日清ファインケミカル社製、商品名:レシチンDX) 3重量部
・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20重量部
(積水化学工業社製、商品名:エスレックA)
・ポリウレタン樹脂 20重量部
(日本ポリウレタン工業社製、商品名:N2301)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0028】
次に、下記の組成よりなる隠蔽層用インキを用いてスクリーン印刷方式により印刷して隠蔽層を形成した。なお、乾燥塗布量は3g/m2であった。
・アルミニウムペースト(平均粒径10μm) 39重量部
(旭化成工業社製、商品名:MR9000)
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・カーボンブラック 1重量部
(三菱化学社製、商品名:#40、pH8.4)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0029】
次に、隠蔽層上に下記の組成からなる感熱記録層用塗料を、グラビア印刷方式にて塗布乾燥して感熱記録層を形成した。なお、乾燥塗布量は5g/m2であった。
・前記構造式(5)のロイコ染料のトルエン分散液 10重量部
(固形分20重量%)
・前記構造式(6)の顕色剤のトルエン分散液 15重量部
・水酸化アルミニウムのトルエン分散液(固形分30重量%) 10重量部
・アクリル樹脂(三菱レイヨン社製、商品名:BR−75) 20重量部
【0030】
上記で得られた感熱記録層上に下記の組成からなる保護層用インキを、UVオフセット印刷方式で印刷し、UV硬化することにより厚さ1μmの保護層を形成し、本発明の感熱磁気記録媒体を得た。
・ポリエステルアクリレート 100重量部
(サンノプコ社製、商品名:フォトマー5018)
・1−(4’−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン 1重量部
【0031】
実施例2
実施例1において、下記の組成からなる隠蔽層用塗料をスクリーン印刷方式で印刷乾燥し乾燥塗布量3g/m2の隠蔽層を形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱磁気記録媒体を作製した。
・アルミニウムペースト(平均粒径15μm) 38重量部
(旭化成工業社製、商品名:MR7000)
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・カーボンブラック(pH8.5) 2重量部
(キャボット社製、商品名:BLACK PEARLS 480)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0032】
参考例
実施例1において、下記の組成からなる隠蔽層用塗料を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱磁気記録媒体を作製した。
・アルミニウムペースト(平均粒径10μm) 39重量部
(旭化成工業社製、商品名:MR9000)
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・カーボンブラック(pH3.0) 1重量部
(三菱化学社製、商品名:MA−100)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0033】
実施例3
実施例1において、下記の組成からなる隠蔽層用塗料を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱磁気記録媒体を作製した。
・アルミニウムペースト(平均粒径10μm) 35重量部
(旭化成工業社製、商品名:MR9000)
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・カーボンブラック(pH8.4) 5重量部
(三菱化学社製、商品名:#40)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0034】
実施例4
実施例1において、下記の組成からなる隠蔽層用塗料を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱磁気記録媒体を作製した。
・アルミニウムペースト(平均粒径20μm) 39重量部
(旭化成工業社製、商品名:MC−666)
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・カーボンブラック(pH8.4) 1重量部
(三菱化学社製、商品名:#40)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0035】
比較例1
実施例1において、下記の組成からなる隠蔽層用塗料を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1の感熱磁気記録媒体を作製した。
・アルミニウムペースト(平均粒径10μm) 39重量部
(旭化成工業社製、商品名:MR9000)
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0036】
比較例2
実施例1において、下記の組成からなる隠蔽層用塗料を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例2の感熱磁気記録媒体を作製した。
・アルミニウムペースト(平均粒径10μm) 39重量部
(旭化成工業社製、商品名:MR9000)
・シリカ 1重量部
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0037】
比較例3
実施例1において、下記の組成からなる隠蔽層用塗料を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例3の感熱磁気記録媒体を作製した。
・アルミニウムペースト(平均粒径10μm) 39重量部
(旭化成工業社製、商品名:MR9000)
・酸化チタン 1重量部
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0038】
比較例4
実施例1において、下記の組成からなる隠蔽層用塗料を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例4の感熱磁気記録媒体を作製した。
・アルミニウムペースト(平均粒径10μm) 39重量部
(旭化成工業社製、商品名:MR9000)
・ポリエチレンワックス 1重量部
・ニトロセルロース樹脂 60重量部
(旭化成工業社製、商品名:セルノバBT−SL)
・トルエン 40重量部
・イソホロン 60重量部
【0039】
以上の実施例1〜4及び比較例1〜4で作製した感熱磁気記録媒体について、磁気記録媒体の磁気バーコード部分、すなわち図2のX−X’部分にバイアス磁界を加えながら磁気ヘッドで読みとりを行ったところ、正規パターンとダミーパターンに対応したパルス出力を得ることが出来、このパルス出力の波形は磁気記録媒体の識別情報として有用であり、偽造防止情報として用いることが可能であることが確認された。
【0040】
次いで、実施例1〜4及び比較例1〜4で作製した感熱磁気記録媒体について下記に示す特性の評価を行った。
(1)磁気バーコード識別性
磁気バーコードにおける正規パターンとダミーパターンの区別が、識別可能かどうか目視により評価した。正規パターンとダミーパターンの区別が識別できないものを○、わずかに表面性の差が認められるものを△、はっきりと差が認められて容易に識別できるものを×とした。
(2)密着性
印字面にセロテープを貼り付け、強く剥がした時の状態を観察した。全く変化がないものを○、感熱層と隠蔽層の界面で剥がれが発生したものを×とした。
【0041】
(3)感熱記録特性
ラインドット型薄膜ヘッドを用い、0.45W(1.0mj/dot)のエネルギーで画像記録を行い、その黒ベタ画像部分及び非画像部の地肌部分をマクベス濃度計のビジュアルフィルターで測定した。
(4)耐環境保存性
印字記録を行った感熱磁気記録媒体を、温度55℃,湿度90%RHの環境条件下に48時間放置した後、黒ベタ部分及び地肌部分の画像濃度を測定した。
【0042】
結果は表1に示す通りであり、本発明の感熱磁気記録媒体は、磁気バーコードの正規パターンとダミーパターンの識別が困難であることから、良好な偽造防止性を有することが確認された。加えて、良好な記録特性と優れた耐環境特性を有することが認められた。一方、比較例の感熱磁気記録媒体はいずれも正規パターンとダミーパターンの識別ができるものであり、識別がやや困難の場合には耐環境保存性が実用上問題を有するものであった。なお、磁気記録特性は3000エルステッドまでの保磁力を持つ磁気層に記録、消去できる磁気ヘッドで205BPIの記録密度でFM記録方式で記録を行ったところ、いずれの感熱磁気記録媒体も良好に記録、再生でき、磁気記録特性に問題はなかった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明の感熱磁気記録媒体は、基体上に少なくとも磁気記録層、正規パターンとダミーパターンから形成される磁気バーコード、隠蔽層、感熱記録層を順次積層した磁気記録媒体において、前記隠蔽層中にアルミニウム粉末とカーボンブラックが含有されていることにより、偽造防止のために付与された磁気バーコードを形成する正規パターンとダミーパターンの目視による判別が困難であることから、優れた偽造防止性を有し、かつ良好な記録特性と優れた耐環境特性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様に係わる感熱磁気記録媒体の磁気バーコード部分(図2のX−X’線に沿う部分)の断面図である。
【図2】 図1の感熱記録媒体において、磁気バーコードを設けた状態(隠蔽層が形成される前の状態)における平面図である。
【符号の説明】
1…基体、2…磁気記録層、3…磁気バーコードにおける正規パターン、4…磁気バーコードにおけるダミーパターン、5…隠蔽層、6…感熱記録層、7…保護層、8…感熱磁気記録媒体
Claims (2)
- 基体上に少なくとも磁気記録層、正規パターンとダミーパターンから形成される磁気バーコード、隠蔽層及びロイコ染料と顕色剤が含有された感熱記録層を順次積層した感熱磁気記録媒体において、該隠蔽層中にアルミニウム粉末とカーボンブラックを含有し、該カーボンブラックのpHが5.0以上であることを特徴とする感熱磁気記録媒体。
- 前記隠蔽層におけるカーボンブラックの含有量が、0.2〜5重量%であることを特徴とする請求項1記載の感熱磁気記録媒体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000357103A JP3769186B2 (ja) | 2000-11-24 | 2000-11-24 | 感熱磁気記録媒体 |
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Publications (2)
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