JP3768610B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気圧縮機、冷媒圧縮機または真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、該固定スクロールに対向して設けられ、鏡板の歯底面に該固定スクロールのラップ部との間で複数の圧縮室を画成するように渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールとを備え、該旋回スクロールまたは固定スクロールのラップ部に該ラップ部の歯先に沿って延びる凹溝を形成し、該凹溝内には相手方の歯底面に摺接するシール部材を装着したスクロール式流体機械は知られている。
【0003】
また、前記シール部材の内周面に多数の切込み溝を形成することにより、シール部材のシール性を高めたものが、例えば実開平2−147888号公報等により知られている。
【0004】
さらに、前記ラップ部歯先に形成された凹溝の両側面に、凹溝の幅方向で互いに対抗するようにそれぞれ突起部を設け、該凹溝内に装着されたシール部材の両側面を、該各突起部の先端で押圧することにより、シール部材を凹溝の渦巻方向に位置ずれするのを防止したものが、例えば、実開平3−8688号公報等により知られている。
【0005】
ここで、図3ないし図7は従来技術によるスクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて示している。以下、図3ないし図7に基づいて従来技術によるスクロール式空気圧縮機について説明する。
【0006】
図において、1は当該スクロール式空気圧縮機のケーシングの一部となる固定スクロールを示し、該固定スクロール1は、大略有蓋筒状に形成されたケーシング本体(図示せず)の開口端側を施蓋するように、この開口端側に固着されている。そして、該固定スクロール1は、その中心が後述する駆動軸15の軸線O1−O1と一致するように配設された円板状の鏡板2と、該鏡板2の歯底面2Aに立設された渦巻状のラップ部3と、前記鏡板2の外径側に位置し、該ラップ部3を囲むように筒状に形成された支持部4とから大略構成されている。
【0007】
また、該固定スクロール1のラップ部3は、図4に示す如く、内径側が巻始め端となり外径側が巻終り端となって、例えば3巻半程度の渦巻状に形成されている。そして、該ラップ部3の歯先3Aは、図5に示すように、後述する旋回スクロール10の歯底面11Aから微小なクリアランスをもって離間している。
【0008】
5はラップ部3の歯先3A側に形成された凹溝を示し、該凹溝5はラップ部3の渦巻形状に沿ってラップ部3の巻始め端から巻終り端まで延びている。また、該凹溝5は、図5に示すように、ラップ部3の幅方向中間部に位置して横断面が略コ字状をなすように形成され、底面5A、内側面5Bおよび外側面5Cから構成されている。
【0009】
6,6は固定スクロール1の内径側に位置する凹溝5の内側面5B、外側面5Cに、該凹溝5の幅方向にそれぞれ対向するように形成された突起部を示し、該各突起部6は、図6に示すように、前記凹溝5の底面5Aからラップ部3の歯先3Aに亘って該凹溝5の高さ方向に伸長する突条形状をなしている。
【0010】
そして、該各突起部6の先端は、凹溝5内に装着されたシール部材7の内周面7Bと外周面7Cにそれぞれ当接し、該シール部材7の内周面7B、外周面7Cをそれぞれ押圧している。これにより、該各突起部6は、圧縮運転時に図4中の矢示B方向に作用する圧縮空気の圧力を受けて、シール部材7が矢示B方向に位置ずれするのを規制している。なお、該各突起部6は、前記凹溝5の底面5Aからラップ部3の歯先3Aに亘って伸長する突条形状をなしているため、シール部材7は、圧縮運転時に図5中の矢示A方向に侵入する圧縮空気により相手方の歯底面11Aに向けて図5中の矢示C方向に浮上可能となっている。
【0011】
7はラップ部3の凹溝5内に装着されたシール部材を示し、該シール部材7は耐摩耗性や摺動性に優れた弾性樹脂材料、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)またはポリスルフォン(PSF)等を用いて、横断面が四角形状をなす長尺のチップシールとして形成され、凹溝5の長手方向に沿って渦巻状に伸長している。
【0012】
また、該シール部材7は図5、図7に示す如く、圧縮運転時の圧縮空気によって該シール部材7が浮上したときに相手方の歯底面11Aに摺接する上面7Aと、渦巻状をなすシール部材7の径方向内側に位置する内周面7Bと、該シール部材7の径方向外側に位置する外周面7Cと、凹溝5の底面5A上に載置され圧縮運転時の圧縮空気を受圧する下面7D等とから構成されている。
【0013】
そして、該シール部材7は、内周面7B,外周面7Cが凹溝5内に僅かな隙間をもって挿入されているため、圧縮運転時に、シール部材7の内周面7B側が外周面7C側に比して高圧になると、シール部材7の外周面7Cが凹溝5の外側面5Cに密接し、後述の各切込み溝8が圧縮空気の圧力によって拡開し、各リップ部9が凹溝5の内側面5Bをシールすると共に、該シール部材7が凹溝5の底面5A上から相手方となる旋回スクロール10の歯底面11Aに向けて図5中の矢示C方向に浮上する。
【0014】
また、該シール部材7の内周面7B、外周面7Cは、各突起部6によって押圧されることにより、各突起部6先端が当接する部位(以下、これを「当接部7E」という)が弾性的に凹んでいる。これにより、該シール部材7は各突起部6によって挟持され、圧縮運転時に矢示B方向に作用する圧縮空気の圧力を受けても、該シール部材7が矢示B方向に位置ずれすることはない。
【0015】
8,8,…はシール部材7の長手方向にそれぞれ所定間隔をもって形成された切込み溝を示し、該各切込み溝8は、図7に示すように、シール部材7の内周面7Bを斜めに切込むことにより形成されている。そして、圧縮運転時には、図4に示すように、凹溝5内を矢示B方向に流れる圧縮空気によって該各切込み溝8が拡開し、内周面7Bのうち各切込み溝8が形成された部分がひれ状のリップ部9,9,…となって凹溝5の内側面5Bに押し付けられる。
【0016】
10は固定スクロール1に対向して前記ケーシング本体内に旋回可能に設けられる旋回スクロールを示し、該旋回スクロール10は、表面側が歯底面11Aとなって円板状に形成された鏡板11と、該鏡板11の歯底面11Aから固定スクロール1の鏡板2に向けて立設され、該固定スクロール1のラップ部3と同様に渦巻状に形成されたラップ部12と、鏡板11の背面側中央に設けられたボス部13とから構成され、該ボス部13は、後述する駆動軸15のクランク15Aに回転可能に取付けられている。
【0017】
ここで、該旋回スクロール10のラップ部12も、固定スクロール1のラップ部3と同様に例えば3巻半程度の渦巻状に形成され、その歯先12A側には、底面14A、内側面14Bおよび外側面14Cから横断面コ字形状をなす凹溝14が形成されている。また、旋回スクロール10の内径側に位置する凹溝14の内側面14B、外側面14Cには、該凹溝14の幅方向にそれぞれ対向するように一対の突起部が形成されている。
【0018】
また、該ラップ部12の凹溝14内には、前記固定スクロール1側と同様に、多数の切込み溝8,8,…が形成されたシール部材7が装着されている。
【0019】
15は前記ケーシング本体に回転自在に設けられる駆動軸を示し、該駆動軸15は先端側がケーシング本体内に延びるクランク15Aとなり、該クランク15Aはその軸線O2 −O2 が駆動軸15の軸線O1 −O1 に対して所定寸法δだけ偏心している。そして、該駆動軸15のクランク15Aには旋回スクロール10のボス部13が旋回軸受16を介して旋回可能に取付けられ、旋回スクロール10には自転防止機構(図示せず)等を介して旋回運動が与えられる。
【0020】
ここで、旋回スクロール10のラップ部12は固定スクロール1のラップ部3に対して周方向に所定角度だけずらして重ね合わせるように配設され、図4に示すように、ラップ部3,12間には三日月形状の複数の圧縮室17,17,…が画成される。そして、旋回スクロール10を固定スクロール1に対して旋回させたときに、該各圧縮室17はその容積が連続的に縮小され、後述する吸込ポート18から吸込んだ空気を圧縮するようになっている。
【0021】
18,19は固定スクロール1に形成された吸込ポート,吐出ポートを示し、該吸込ポート18は最も外径側に位置する圧縮室17と連通するように鏡板2の外径側に穿設され、吐出ポート19は、最も内径側に位置する圧縮室17と連通するように鏡板2の中心部に穿設されている。
【0022】
従来技術によるスクロール式空気圧縮機は上述のような構成を有するもので、次にこの動作について説明する。
【0023】
まず、ケーシングの外部からモータ等の駆動源(図示せず)によって駆動軸15を回転駆動すると、この回転は該駆動軸15のクランク15Aから旋回軸受16を介して旋回スクロール10に伝えられ、該旋回スクロール10は駆動軸15の軸線O1 −O1 を中心にして寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行う。
【0024】
そして、この旋回運動によって各ラップ部3,12の間に画成される圧縮室17,17,…は中央側に向けて連続的に縮小し、吸込ポート18から吸込んだ空気を順次圧縮しつつ、この圧縮空気を吐出ポート19から外部のエアタンク(図示せず)等に向けて吐出する。
【0025】
ここで、圧縮運転が開始されると、ラップ部3(12)の凹溝5(14)内には図5中の矢示A方向に高圧側の圧縮室17から圧縮空気の一部が侵入し、シール部材7は受圧面となる下面7Dでこの圧縮空気の圧力を受圧することにより、凹溝5(14)の底面5A(14A)から図5中の矢示C方向に浮上し、対向する鏡板11(2)の歯底面11A(2A)に向けて押圧される。これにより、該シール部材7は上面7Aが相手方の歯底面11A(2A)に摺接し、ラップ部3(12)間に画成される各圧縮室17を気密にシールする。
【0026】
また、図5中の矢示A方向に凹溝5(14)内に侵入した圧縮空気は、該凹溝5(14)の渦巻形状に沿って、高圧の内径側から低圧の外径側に向けて図4中の矢示B方向に流れようとする。このとき、シール部材7の各切込み溝5(14)が図4に示すように拡開し、各リップ部9が凹溝5(14)の内側面5B(14B)に押し付けられる。これにより、圧縮空気が凹溝5(14)の側面5B(14B)とシール部材7との間を流通して、内径側の圧縮室17から外径側の圧縮室17へと漏洩するのを防止できる。
【0027】
さらに、シール部材7は、図4中の矢示B方向に作用する圧縮空気の圧力を受けるが、凹溝5に設けられた各突起部6の先端が、該シール部材7の内周面7B、外周面7Cをそれぞれ押圧しているため、シール部材7が位置ずれすることはない。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、シール部材7の内周面7Bに多数の切込み溝8を形成している。そして、この各切込み溝8は各突起部6とシール部材7とが当接している当接部7Eの近傍にも設けられている。このため、下記に述べるような問題が生じる。
【0029】
即ち、圧縮運転時において、該シール部材7には、圧縮空気の圧力が図4中の矢示B方向に作用する。さらに、シール部材7の上面7Aが相手方の歯底面11A(2A)に摺接した状態で、旋回スクロール10が固定スクロール1に対して旋回運動するため、シール部材7の上面には摺動抵抗が作用する。このとき、シール部材7の当接部7Eは各突起部6先端によって挟持されているため、シール部材7の当接部7Eには、上記圧縮空気の圧力と、摺動抵抗による応力とが集中するようになり、大きな負荷がかかる。
【0030】
一方、シール部材7のうち、切込み溝8が形成されている部位は、切込みが形成されている分、シール部材7の断面積が他の部位と比較して小さいため、脆弱であり、大きな負荷(外力)がかかることにより破損し易い。
【0031】
この結果、当該スクロール式空気圧縮機を長期間運転した場合や、シール部材7の摩耗が進行した場合には、シール部材7のうち、当接部7E近傍に位置し、切込み溝8が形成された部位、例えば図4中の二点鎖線H−Hで示す部位で、該シール部材7が破断するおそれがあり、シール部材7の耐久性、信頼性が低いという問題がある。
【0032】
また、シール部材7のうち、切込み溝8が形成されている部位と、突起部6が設けられた位置とが一致し、突起部6の先端が、切込み溝8の形成された部位に当接する場合がある。このような場合には、該切込み溝8、リップ部9が破断し易く、突起部6によるシール部材7の固定が不安定になるという問題がある。
【0033】
なお、シール部材7の厚さ寸法をを増加させることにより、シール部材7の剛性を増加させる手段も考えられる。しかし、かかる手段を採用すると、シール部材7の材料費が高くなるだけでなく、シール部材7の剛性が増加することにより、シール部材7が渦巻状に湾曲しにくくなり、圧縮運転時において比較的に圧縮空気の圧力が低いスクロール外径側において、シール部材7が十分に浮上しなくなるという新たな問題を生じる。
【0034】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は、シール部材の耐久性,信頼性を向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することを目的としている。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上述した問題を解決するために請求項1に係る発明の特徴は、凹溝の内側面と外側面のうち少なくともいずれか一方の側面には、先端側をシール部材に当接させることにより該シール部材が前記凹溝の渦巻方向に位置ずれするのを規制する突起部を設け、前記凹溝の内側面と対向する前記シール部材の内周面には、前記突起部先端が該シール部材に当接する部位の近傍を除き、該シール部材の長さ方向に離間する多数の切込み溝を形成したことにある。
【0036】
上記構成により、シール部材のうち、突起部先端が該シール部材に当接する部位の近傍には切込み溝を形成しないため、突起部先端が当接する部位近傍は、切込み溝が形成された他の部位と比較してシール部材の剛性が増加する。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って詳述する。
【0038】
ここで、図1および図2は本発明の実施例によるスクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて示している。なお、本実施例では前述した従来技術の構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0039】
図において、21は固定スクロール1の鏡板2に立設されたラップ部3の凹溝5内に装着された本実施例によるシール部材を示し、該シール部材21は、従来技術によるシール部材7とほぼ同様に、耐摩耗性や摺動性に優れた弾性樹脂材料により横断面が四角形状をなす長尺のチップシールとして形成され、凹溝5の長手方向に沿って渦巻状に伸長している。また、該シール部材21は、圧縮運転時に相手方の歯底面11Aに摺接する上面21Aと、シール部材21の径方向内側に位置する内周面21Bと、シール部材21の径方向外側に位置する外周面21Cと、下面等とから構成されている。
【0040】
また、該シール部材21の内周面21B、外周面21Cは、各突起部6によって押圧されることにより、各突起部6先端が当接する部位(以下、これを「当接部21D」という)が弾性的に凹んでいる。これにより、圧縮運転時に矢示B方向に作用する圧縮空気の圧力を受けても、該シール部材21が図1中の矢示B方向に位置ずれすることはない。
【0041】
22,22,…はシール部材21の内周面21Bに多数形成された本実施例による切込み溝を示し、該各切込み溝22は、シール部材21の当接部21Dの近傍を除き、シール部材21の長さ方向に多数形成されている。即ち、該各切込み溝22は、図2に示すように、固定スクロール1の内径側に位置するシール部材21の内径側端部21Eから固定スクロール1の外径側に位置するシール部材21の外径側端部21Fに亘って所定の離間間隔で多数形成されているものの、シール部材21の当接部21D近傍には、該切込み溝22は形成されていない。
【0042】
また、該各切込み溝22は、圧縮運転時には、図1に示すように、凹溝5内を矢示B方向に流れる圧縮空気によって拡開し、内周面22Bのうち各切込み溝22が形成された部分がひれ状のリップ部23,23,…となって凹溝5の内側面5Bに押し付けられる。
【0043】
なお、旋回スクロール10の鏡板11に立設されたラップ部12の凹溝14内にも、当接部21D近傍にのみ切込み溝22が形成されていないシール部材21が装着されている。
【0044】
本実施例によるスクロール式空気圧縮機は上述したような構成を有するもので、その基本的動作は従来技術によるものと格別差異はない。
【0045】
然るに、本実施例では、シール部材21の当接部21D近傍を除き、シール部材21の内周面21Bに多数の切込み溝22を形成したことにより、シール部材21の当接部21D近傍の剛性がシール部材21の他の部位と比較して増加する。
【0046】
即ち、シール部材21に切込み溝22を形成すると、その切込み溝22を形成した部位においてシール部材21の断面積が、切込み溝22を形成していない部位と比較して小さくなるため、切込み溝22を形成した部位では、シール部材21の剛性が低下する。従って、当接部21D近傍に切込み溝22を形成しないことにより、当接部21D近傍ではシール部材21の剛性を低下するのを防止できる。
【0047】
かくして、本実施例によれば、シール部材21の当接部21D近傍を除き、シール部材21の内周面21Bに多数の切込み溝22を形成する構成としたから、当接部21D近傍においてシール部材21の剛性を高めることができ、当該スクロール式空気圧縮機を長期間運転した場合や、シール部材21の摩耗が進行した場合でも、シール部材21が当接部21Dの近傍で破断するのを防止できる。
【0048】
即ち、圧縮運転時において、シール部材21には、圧縮空気の圧力が図1中の矢示B方向に作用すると共に、シール部材21の上面21Aが相手方の歯底面11A(2A)に摺接するため、摺動抵抗による応力が作用する。このため、シール部材21の当接部21Dには、圧縮空気の圧力と、摺動抵抗による応力が集中するようになり、大きな負荷がかかる。
【0049】
ところが、シール部材21の当接部21D近傍には切込み溝22が形成されていないため、シール部材21の剛性が比較的高い。従って、大きな負荷がかかっても、シール部材21が傷付いたり、破断したりすることはなく、シール部材21の耐久性、信頼性を大幅に向上させることができる。
【0050】
また、シール部材21のうち、切込み溝22が形成されていない部位に突起部6の先端を当接させることにより、シール部材21を安定して挟持でき、シール部材21を確実に固定することができる。これにより、シール部材21が凹溝5の渦巻方向(図1中の矢示B方向)に位置ずれするのを確実に防止でき、シール性の向上を図ることができる。
【0051】
また、本実施例によれば、シール部材21の当接部21Dに切込み溝22を形成しないことで、当接部21D近傍においてシール部材21の剛性を高めることができ、シール部材21の剛性を高めるためにシール部材21の材料、厚さ寸法等を変更する必要なない。従って、シール部材21を改良するに際して材料費が上昇することはない。
【0052】
さらに、本実施例によれば、シール部材21の当接部21Dのみに切込み溝22を形成しない構成としたから、シール部材21の当接部21D近傍のみ、剛性を高めることができる。即ち、シール部材21の当接部21D近傍以外の部分では、従来技術によるシール部材7と同様に、ラップ部3の渦巻形状に沿って容易に湾曲するような柔軟性を確保することができる。従って、本実施例によるシール部材21は、シール部材21の浮上性、シール性、またはシール部材21を凹溝5(14)内に装着する際の装着容易性等を低下させることなく、シール部材21の当接部21Dの剛性を高めることができ、シール部材21の寿命を延ばすことができる。
【0053】
なお、前記実施例では、固定スクロール1のラップ部3に凹溝5を形成し、該凹溝5内にシール部材21を装着すると共に、旋回スクロール10のラップ部12に凹溝14を形成し、該凹溝14内にシール部材21を装着するものとして述べたが、本発明はこれに限るものでなく、固定スクロール1のラップ部3と旋回スクロール10のラップ部12のうち、いずれか一方のラップ部に凹溝を形成し、該凹溝内にシール部材21を形成するようにしてもよい。
【0054】
また、前記実施例では、スクロールの内径側に位置する凹溝5(14)の内側面5B(14B),外側面5C(14C)に各突起部6を形成するものとして述べたが、各突起部6を形成する位置は、スクロールの内径側に限らず、渦巻方向に延びる凹溝5の任意の位置に形成してもよく、また、各突起部6を凹溝5(14)の複数箇所に形成してもよい。各突起部6を凹溝5(14)の複数箇所に形成した場合、シール部材21には、各突起部6を形成した箇所に対応するように、切込み溝22を形成しない部位を複数設けるようにする。
【0055】
さらに、前記実施例では、突起部6を凹溝5(14)の内側面5B(14B)と外側面5C(14C)とに、互いに対抗するように設けるものとして述べたが、本発明はこれに限るものでなく、凹溝5(14)の内側面5B(14B)に形成した突起部6と外側面5C(14C)に形成した突起部6とをそれぞれ凹溝5(14)の異なる位置に形成してもよい。また、凹溝5(14)の内側面5B(14B)と外側面5C(14C)のうち、いずれか一方の側面にのみ突起部を形成するようにしてもよい。
【0056】
さらにまた、前記実施例では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、例えば、真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用できる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、請求項1に係る発明によれば、凹溝の内側面と対向するシール部材の内周面には、凹溝の内側面と外側面のうち少なくともいずれか一方の側面に形成された突起部の先端が該シール部材に当接する部位の近傍を除き、該シール部材の長さ方向に離間する多数の切込み溝を形成する構成としたから、当該スクロール式流体機械を長期間運転した場合や、シール部材の摩耗が進行した場合でも、シール部材が突起部先端の当接する部位近傍で破断するのを防止でき、シール部材の耐久性,信頼性を向上させることができる。
【0058】
また、シール部材のうち、切込み溝が形成されていない部位に突起部先端を当接させることにより、シール部材を確実に固定することができ、シール性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるスクロール式空気圧縮機の固定スクロール,ラップ部,凹溝およびシール部材等を示す断面図である。
【図2】図1中のシール部材を長さ方向に展開した状態で示す平面図である。
【図3】従来技術によるスクロール式空気圧縮機を示す断面図である。
【図4】図3中の矢示IV−IV方向断面図である。
【図5】図4中の矢示V−V方向断面図である。
【図6】従来技術によるラップ部,凹溝および突起部等を示す斜視図である。
【図7】従来技術によるシール部材を長さ方向に展開した状態で示す平面図である。
【符号の説明】
1 固定スクロール
2,11 鏡板
2A,11A 歯底面
3,12 ラップ部
3A,12A 歯先
5,14 凹溝
5A,14A 底面
5B,14B 側面
6 突起部
10 旋回スクロール
17 圧縮室
21 シール部材
21B 内周面
21D 当接部
22 切込み溝
23 リップ部
Claims (1)
- 鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、該固定スクロールに対向して設けられ、鏡板の歯底面に該固定スクロールのラップ部との間で複数の圧縮室を画成するように渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールとを備え、該旋回スクロールと固定スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部には、該ラップ部の歯先に沿って延びる凹溝を形成し、該凹溝内には相手方の歯底面に摺接するシール部材を装着してなるスクロール式流体機械において、
前記凹溝の内側面と外側面のうち少なくともいずれか一方の側面には、先端側を前記シール部材に当接させることにより該シール部材が前記凹溝の渦巻方向に位置ずれするのを規制する突起部を設け、
前記凹溝の内側面と対向する前記シール部材の内周面には、前記突起部先端が該シール部材に当接する部位の近傍を除き、該シール部材の長さ方向に離間する多数の切込み溝を形成したことを特徴とするスクロール式流体機械。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP23253496A JP3768610B2 (ja) | 1996-08-14 | 1996-08-14 | スクロール式流体機械 |
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JP23253496A JP3768610B2 (ja) | 1996-08-14 | 1996-08-14 | スクロール式流体機械 |
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Family Applications (1)
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JP23253496A Expired - Lifetime JP3768610B2 (ja) | 1996-08-14 | 1996-08-14 | スクロール式流体機械 |
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-
1996
- 1996-08-14 JP JP23253496A patent/JP3768610B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH1061571A (ja) | 1998-03-03 |
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