JP2004092480A - スクロール式流体機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】スクロール式流体機械のシール部材として、剛性の高い材質の部材を用いた場合のシール性を向上させる。
【解決手段】一方のスクロールのラップ部歯先の凹溝に配置されたシール部材71のリップ72を、シール部材71の幅方向に複数の部分72a,72bに分割してリップ72の剛性を低くすることで、シール部材71の切れ込み71aに圧縮空気が作用した際に確実にリップ72が起立して、凹溝内からラップ部に沿った圧縮空気の漏洩を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】一方のスクロールのラップ部歯先の凹溝に配置されたシール部材71のリップ72を、シール部材71の幅方向に複数の部分72a,72bに分割してリップ72の剛性を低くすることで、シール部材71の切れ込み71aに圧縮空気が作用した際に確実にリップ72が起立して、凹溝内からラップ部に沿った圧縮空気の漏洩を防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ケーシングと、該ケーシングに設けられ鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロール(第1スクロール)と、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記固定スクロールと対向して該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板に固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロール(第2スクロール)とによって構成してなるスクロール式流体機械は知られている。
【0003】
そして、このような従来技術によるスクロール式流体機械は、圧縮室の密閉性を高めるために、旋回スクロールと固定スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部には、該ラップ部の歯先に沿って延びる凹溝(溝部)を形成し、該凹溝内には相手方の歯底面(鏡板)に摺接するシール部材を装着している。
【0004】
ここで、上記の従来技術によるスクロール式流体機械の一例としては、特開平3−11101号公開特許公報に開示されるスクロール式空気圧縮機が挙げられる。該公開特許公報によれば、旋回スクロールまたは固定スクロールのいずれか一方のラップ部21の歯先の凹溝2内に設けられたシール部材1は、背面1a(溝部2の底部2aに対向する側)においてひれ状の複数のリップ5aが連続して設けられており、溝部2の底部2aとシール部材1の背面1aとの隙間31に圧縮空気が入り込むことにより該複数のリップ5aが起立して隙間31からラップ部21の凹溝2に沿った空気の漏れをシールするとともに、隙間31の圧縮空気の圧力によりシール部材1が溝部2の底部2aから浮上して他方のスクロールの鏡板14に摺接し、他方のスクロールの鏡板14との間をシールするようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シール部材1に剛性の高い材料を選択した場合、上記の従来技術のスクロール式流体機械ではリップ5aの剛性も高いものとなる。そしてリップ5aの剛性が高くなると、溝部2の底部2aと背面1aとの隙間31に圧縮空気が入り込んでもリップ5aが起立しにくくなり、隙間31からラップ部21の凹溝2に沿った空気の漏れに対するシール性が低下し、また、これにより隙間31に作用する圧縮空気の圧力が低下してシール部材1が充分に他方のスクロールの鏡板14に摺接せず、他方のスクロールの鏡板14との間のシール性が低下するという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のスクロール式流体機械は、鏡板に渦巻状のラップ部が立設された第1スクロールと、前記第1スクロールと対向し、鏡板に前記第1スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、前記第1スクロールと相対的に公転旋回可能な第2スクロールと、前記第1スクロールと前記第2スクロールのうち少なくとも一方のラップ部の歯先に該歯先の渦巻形状に沿って開口形成された溝部と、該溝部に配設され他方の鏡板に摺接するシール部材とにより構成してなるスクロール式流体機械において、
前記シール部材は前記溝部の底部に対向する側に複数のリップが配設され、該リップは前記シール部材の幅方向において分割されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のスクロール式流体機械においては、前記リップを前記シール部材の幅方向に分割する切れ目が、隣り合う前記リップ同士の間において、前記シール部材の長手方向で重ならないようにしたことを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明のスクロール式流体機械においては、鏡板に渦巻状のラップ部が立設された第1スクロールと、前記第1スクロールと対向し、鏡板に前記第1スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、前記第1スクロールと相対的に公転旋回可能な第2スクロールと、前記第1スクロールと前記第2スクロールのうち少なくとも一方のラップ部の渦巻状の先端面に該先端面の渦巻形状に沿って開口形成された溝部と、該溝部に配設され他方の鏡板に摺接するシールとにより構成してなるスクロール式流体機械において、
前記シールは該シールの幅方向に複数のシール部材を並べて設けて構成されており、該複数のシール部材はそれぞれ前記溝部の底部に対向する側に複数のリップが配設されていることを特徴とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械として、スクロール式空気圧縮機を例に挙げて図と共に説明する。
【0010】
図2及び図3において、50はケーシング、51は固定スクロール(第1スクロール)をそれぞれ示し、該固定スクロール51は、略円板状に形成された鏡板52と、該鏡板52の外縁側から径方向外向きに突出し、ケーシング50の一端側に固着されるフランジ部53と、前記鏡板52の表面側から軸方向に立設された渦巻状のラップ部54とから大略構成されており、固定スクロール51はケーシング50に対して、ラップ部54の歯先面55がケーシング50に対向するように、フランジ部53を介して固着されている。
【0011】
図2及び図3において、61は固定スクロール51と対向するようにケーシング50内に旋回可能に配設された旋回スクロール(第2スクロール)を示し、該旋回スクロール61は、円板状に形成された鏡板62と、該鏡板62の表面側に立設され、固定スクロール51のラップ部54との間に複数の圧縮室60を画成する渦巻状のラップ部63とから大略構成されている。
【0012】
ケーシング50の他端側には、図示しない電動モータが設けられており、電動モータはケーシング50内に設けられたクランク軸90a及び補助クランク90bからなる自転−公転変換機構90を介して旋回スクロール61を旋回駆動するものである。
【0013】
そして、旋回スクロール61が旋回駆動されることにより、固定スクロール51外周側に設けられた吸込口91から圧縮室60内に吸込んだ空気を各圧縮室60内で順次圧縮しつつ、中心側の圧縮室60から吐出口56を介して外部に圧縮空気を吐出するようになっている。
【0014】
図3に示すように、固定スクロール51のラップ部54は、内周側が内端58となり外周側が外端59となって、例えば3巻程度の渦巻状に形成されている。そして、ラップ部54の歯先面55は、図4に示すように、旋回スクロール61の歯底面となる鏡板62表面から微小なクリアランスをもって離間されている。
【0015】
同様に、図3に示すように、旋回スクロール61のラップ部63は、内周側が内端66となり外周側が外端67となって、例えば3巻程度の渦巻状に形成されている。そして、ラップ部63の歯先面64は、図4に示されたラップ部54の歯先面55と同様に、固定スクロール51の歯底面となる鏡板52表面から微小なクリアランスをもって離間されている。
【0016】
57は固定スクロール51のラップ部54の歯先面55に開口して設けられた凹溝(溝部)で、該凹溝57は、図3及び図4に示すように、ラップ部54の幅方向中間部に位置して横断面がコ字状をなすように形成され、ラップ部54の渦巻き形状に沿ってその内端58から外端59まで延びている。また、凹溝57の溝深さ寸法は、その全長に亘ってほぼ同一の値に設定されている。
【0017】
同様に、旋回スクロール61のラップ部63にも、その歯先面64には図4に示されたラップ部54の歯先面55と同様に、凹溝65がラップ部63の幅方向中間部に位置して横断面がコ字状をなすように形成され、ラップ部63の渦巻き形状に沿ってその内端66から外端67まで延びている。また、凹溝65の溝深さ寸法は、その全長に亘ってほぼ同一の値に設定されている。
【0018】
71は固定スクロール51のラップ部54の凹溝57に設けられたシール部材で、該シール部材71は、図1及び図4に示すように横断面が略四角形状をなす長尺の紐状に形成され、直線状に伸長したときにはほぼ同一の高さ寸法となるものである。また、シール部材71は、耐摩耗性や摺動性に優れた弾性樹脂材料、例えば炭素繊維等を含有したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の複合材等を用いて形成されている。
【0019】
また、シール部材71には、図1に示すようにその全長に亘って凹溝57の底面57A(底部)側に複数の切れ込み71aが設けられることによりリップ72が形成されており、リップ72には、シール部材71の全長に亘って、シール部材71の長手方向に1本の切れ目73が設けられており、各々のリップ72はシール部材71の幅方向において各々2つの部分72a,72bに分割されている。
【0020】
シール部材71は、渦巻状に湾曲した状態で凹溝57内に装着されている。そして、シール部材71は、スクロール式空気圧縮機の圧縮動作時には圧縮空気が切れ込み71a内に入ることによってリップ72が起立し、シール部材71と凹溝57の底面57Aとの間の隙間92(図4参照)から凹溝57に沿った空気の漏れをシールする。また、シール部材71は、隙間92に入った圧縮空気の圧力によって凹溝57の底面57A側から旋回スクロール61側に向けて浮上する。これにより、シール部材71は旋回スクロール61の鏡板62表面に摺接し、相手方となる旋回スクロール61の鏡板62との間をシールする。
【0021】
同様に、81は旋回スクロール61のラップ部63の凹溝65に設けられたシール部材で、該シール部材81は、図1及び図4に示されたシール部材71と同様に、横断面が略四角形状をなす長尺の紐状に形成され、直線状に伸長したときにはほぼ同一の高さ寸法となるものである。また、シール部材81は、耐摩耗性や摺動性に優れた弾性樹脂材料、例えば炭素繊維等を含有したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の複合材等を用いて形成されている。
【0022】
また、シール部材81には、図1に示されたシール部材71と同様にその全長に亘って凹溝65の底面65A(底部)側に複数の切れ込み81aが設けられることによりリップ82が形成されており、リップ82には、シール部材81の全長に亘って、シール部材81の長手方向に1本の切れ目83が設けられており、各々のリップ82はシール部材81の幅方向において各々2つの部分82a,82bに分割されている。
【0023】
シール部材81は、渦巻状に湾曲した状態で凹溝65内に装着されている。そして、シール部材81は、スクロール式空気圧縮機の圧縮動作時には圧縮空気が切れ込み内に入ることによってリップ82が起立し、シール部材81と凹溝65の底面65Aとの間の隙間95から凹溝65に沿った空気の漏れをシールする。また、シール部材81は、隙間95に入った圧縮空気の圧力によって凹溝65の底面65A側から固定スクロール51側に向けて浮上する。これにより、シール部材81は旋固定スクロール51の鏡板52表面に摺接し、相手方となる固定スクロール51の鏡板52との間をシールする。
【0024】
本実施の形態のスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次にその圧縮動作について説明する。
【0025】
まず、図示しない電動モータに給電を行い、自転−公転変換機構90を介して旋回スクロール61を旋回駆動すると、固定スクロール51のラップ部54と旋回スクロール61のラップ部63間に画成された圧縮室60が連続的に縮小する。これにより、固定スクロール51の吸込口91から吸込んだ外気を該各圧縮室60で順次圧縮しつつ、この圧縮空気を固定スクロール51の吐出口56から外部の空気タンク等に吐出する。そして圧縮室60内の空気はラップ部54とラップ部63の渦巻中心に向かうほど高圧となり、ラップ部54,63により隔てられた圧縮室60同士の空気の圧力差はラップ部54,63の渦巻中心に向かうほど大きくなる。
【0026】
そしてこの圧縮動作時には、高圧側の圧縮室60の圧縮空気が凹溝57,65内に入り込むことにより、シール部材71,81のリップ72,82が起立してシール部材71,81と凹溝57,65の底面57A,65Aとの間の隙間92,95から凹溝57,65に沿った空気の漏れをシールする。また、シール部材71,81は、隙間92,95に入った圧縮空気の圧力によって凹溝57,65の底面57A,65A側から浮上し鏡板62,52に摺接して高圧側の圧縮室60とラップ部54,63を挟んで隣り合う低圧側の圧縮室60との間のシール性が保たれる。
【0027】
ここで、従来の技術によるスクロール式流体機械においては、シール部材の剛性が高いと、圧縮空気が凹溝内に入り込んでもシール部材のリップが起立しにくくなり、シール性が不充分となる場合があった。特に、シール部材はラップ部の渦巻形状に合わせて湾曲させて(すなわち変形させて)組み付けられているので、シール部材のリップには曲げの歪みが生じており、その歪みによりいっそう剛性が高くなり、起立しにくくなっていた。
【0028】
しかし、本実施の形態においては、リップ72,82には、シール部材71,81の全長に亘って、シール部材71,81の長手方向に1本の切れ目73,83が設けられており、各々のリップ72,82は各々2つの部分72a,72b、82a,82bに分割されている。このため、シール部材71,81の剛性が高い場合であっても、分割されることで上記の曲げの歪みが軽減されてリップ72,82の剛性は低くなり、圧縮空気が凹溝57,65内に入り込んだ場合にリップ72,82は確実に起立するようになる。このため、圧縮動作時にはシール部材71,81は隙間92,95の凹溝57,65に沿った空気の漏れに対する充分なシール性を発揮し、また、これにより、シール部材71,81は鏡板62,52に充分摺接して高圧側の圧縮室60とラップ部54,63を挟んで隣り合う低圧側の圧縮室60との間の充分なシール性を発揮することとなり、シール部材の高い耐久性と高いシール性を両立できる。
【0029】
なお、本実施の形態においては、リップ72,82は2分割としたが、これに限るものではなく、例えば図5に示すようにシール部材71,81に切れ目73,83を2箇所設けて、シール部材71,81の幅方向に3分割としてリップ72,82をそれぞれ3つの部分72a,72b,72c、82a,82b、82cに分けるようにしてもよく、また4分割以上でもよい。このように多数に分割することにより、それだけリップの剛性が下がることとなり、シール部材としてより剛性の高い材料を用いることができ、より高い耐久性を実現できる。
【0030】
また、本実施の形態においては、リップ72,82をシール部材71,81の幅方向に分割する切れ目73,83は、隣り合うリップ72,82の間において、シール部材71,81の長手方向において重なるような位置に設けられているが、これに限るものではなく、例えば図6に示すように、切れ目73,83のシール部材71,81の長手方向における位置が、隣り合うリップ72,82の間において重ならないようにしてもよい。隣り合うリップ72,82を分割する切れ目73,83同士がシール部材の長手方向において重なることにより切れ目73,83を介して圧縮空気がラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩しやすい場合があるが、このように構成することでシール部材71,81の長手方向における切れ目73,83の位置がずれてラビリンス効果が発揮され、圧縮空気がラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩するのを適度に防止できる。
【0031】
また、本実施の形態においては、隣り合うリップ72,82同士は全て同一数に分割しているが、これに限るものではなく、隣り合うリップ同士の分割数を違えて、例えば図7に示すように、2分割のリップ74,84と3分割のリップ75,85とが隣り合うようにしてもよい。また、3分割のリップと4分割のリップとが隣り合うようにしてもよい。隣り合うリップ同士を同一数に分割すると、上記と同様にリップを分割する切れ目73,83同士がシール部材の長手方向において重なることにより圧縮空気がラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩しやすい場合があるが、隣り合うリップ同士の分割数を違えることにより、各リップ74,75、84,85の切れ目73,83同士がシール部材の長手方向において重ならず、ラビリンス効果が発揮され圧縮空気がラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩するのを適度に防止できる。
【0032】
また、本実施の形態においては、シール部材71,81の全長に亘ってリップ72,82を分割しているが、これに限るものではなく、必要に応じて、例えば圧縮室間の圧力差が大きく、より強いシール性が必要とされるラップ部の内端58,66寄りの部分のみリップ72,82をシール部材71,81の幅方向に分割してもよく、また反対に、圧縮室内の圧縮空気が比較的低圧であるためにシール部材71,81のリップ72,82を起立させる力が弱くなりがちなラップ部の外端59,67寄りの部分のみリップ72,82をシール部材71,81の幅方向に分割してもよく、またその他必要に応じてシール部材71,81の任意の範囲のみリップ72,82をシール部材71,81の幅方向に分割してもよい。
【0033】
また、本実施の形態においては、リップ72,82は連続して分割されているが、これに限るものではなく、シール部材71,81の幅方向に分割されたリップ72,82と分割されていないリップ72,82とを任意の数で交互に設けてもよい。
【0034】
また、本実施の形態においては、凹溝57,65内にはそれぞれ一本づつのシール部材71,81が配設され、該シール部材57,65のリップ72,82が分割されている構成としたが、これに限るものではなく、図8に示すように、リップを有する幅の細いシール部材93をその幅方向に複数本(図8では2本)並べてシール94とし、凹溝57,65内に配設することでも同様の効果が得られる。特に、剛性の高いシール部材をラップ部の渦巻形状に合わせて湾曲させながら凹溝に組付ける製造行程においては、幅の細いシール部材を複数本並べてシールとすることで、幅広のシール部材1本で構成されたシールよりも曲げ剛性が低くなり、組み付けやすいというメリットがある。
【0035】
また、本実施の形態においては、リップ72,82はシール部材71,81の凹溝57,65の底面57A,65A側にのみ設けられているが、これに限るものではなく、シール部材71,81の凹溝57,65の高圧側(渦巻中心側)の側面57B,65B側にもリップ(側面リップ)を設けてもよく、さらに該側面リップを分割するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施の形態においては、固定スクロール51と旋回スクロール61の両方にシール部材71,81を設けているが、これに限るものではなく、必要に応じていずれか一方のみにシール部材を配設してもよい。
【0037】
また、本実施の形態においては、一方のスクロールが固定スクロール、他方のスクロールが旋回スクロールであるスクロール式空気圧縮機を例にあげて説明したが、これに限るものではなく、両方のスクロールが旋回するタイプのスクロール式流体機械に用いてもよい。
【0038】
【発明の効果】
上記のように、請求項1に記載の本発明のスクロール式流体機械によれば、シール部材に剛性の高い材料を用いた場合であっても、リップの剛性を低くしてリップを確実に起立させられることから、シール部材のシール性向上と耐久性とを両立させることができる。
【0039】
また、請求項2に記載の本発明のスクロール式流体機械によれば、分割されたリップの切れ目同士がシール部材の長手方向において重ならないのでラビリンス効果が発揮され、圧縮空気がリップの切れ目を介してラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩するのを適度に防止でき、シール性をより向上させることができる。
【0040】
また、請求項3に記載の本発明のスクロール式流体機械によれば、上記請求項1に記載の本発明のスクロール式流体機械と同様の効果を有しつつ、シールの凹溝への組付けがより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械のシール部材を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の固定スクロールと旋回スクロールを示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の固定スクロールと旋回スクロールを、図2に示すA‐A断面で切断した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の固定スクロールのラップ部の凹溝とシール部材を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の変形例のシール部材を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の変形例のシール部材を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の変形例のシール部材を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の変形例のシールを示す図である。
【符号の説明】
51 固定スクロール(第1スクロール)
52 鏡板
54 ラップ部
55 歯先面
57 凹溝(溝部)
57A 底面(底部)
60 圧縮室
61 旋回スクロール(第2スクロール)
62 鏡板
63 ラップ部
65 凹溝(溝部)
65A 底面(底部)
71 シール部材
72 リップ
81 シール部材
82 リップ
90 自転−公転変換機構
92 切れ目
95 切れ目
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ケーシングと、該ケーシングに設けられ鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロール(第1スクロール)と、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記固定スクロールと対向して該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板に固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロール(第2スクロール)とによって構成してなるスクロール式流体機械は知られている。
【0003】
そして、このような従来技術によるスクロール式流体機械は、圧縮室の密閉性を高めるために、旋回スクロールと固定スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部には、該ラップ部の歯先に沿って延びる凹溝(溝部)を形成し、該凹溝内には相手方の歯底面(鏡板)に摺接するシール部材を装着している。
【0004】
ここで、上記の従来技術によるスクロール式流体機械の一例としては、特開平3−11101号公開特許公報に開示されるスクロール式空気圧縮機が挙げられる。該公開特許公報によれば、旋回スクロールまたは固定スクロールのいずれか一方のラップ部21の歯先の凹溝2内に設けられたシール部材1は、背面1a(溝部2の底部2aに対向する側)においてひれ状の複数のリップ5aが連続して設けられており、溝部2の底部2aとシール部材1の背面1aとの隙間31に圧縮空気が入り込むことにより該複数のリップ5aが起立して隙間31からラップ部21の凹溝2に沿った空気の漏れをシールするとともに、隙間31の圧縮空気の圧力によりシール部材1が溝部2の底部2aから浮上して他方のスクロールの鏡板14に摺接し、他方のスクロールの鏡板14との間をシールするようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シール部材1に剛性の高い材料を選択した場合、上記の従来技術のスクロール式流体機械ではリップ5aの剛性も高いものとなる。そしてリップ5aの剛性が高くなると、溝部2の底部2aと背面1aとの隙間31に圧縮空気が入り込んでもリップ5aが起立しにくくなり、隙間31からラップ部21の凹溝2に沿った空気の漏れに対するシール性が低下し、また、これにより隙間31に作用する圧縮空気の圧力が低下してシール部材1が充分に他方のスクロールの鏡板14に摺接せず、他方のスクロールの鏡板14との間のシール性が低下するという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のスクロール式流体機械は、鏡板に渦巻状のラップ部が立設された第1スクロールと、前記第1スクロールと対向し、鏡板に前記第1スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、前記第1スクロールと相対的に公転旋回可能な第2スクロールと、前記第1スクロールと前記第2スクロールのうち少なくとも一方のラップ部の歯先に該歯先の渦巻形状に沿って開口形成された溝部と、該溝部に配設され他方の鏡板に摺接するシール部材とにより構成してなるスクロール式流体機械において、
前記シール部材は前記溝部の底部に対向する側に複数のリップが配設され、該リップは前記シール部材の幅方向において分割されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のスクロール式流体機械においては、前記リップを前記シール部材の幅方向に分割する切れ目が、隣り合う前記リップ同士の間において、前記シール部材の長手方向で重ならないようにしたことを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明のスクロール式流体機械においては、鏡板に渦巻状のラップ部が立設された第1スクロールと、前記第1スクロールと対向し、鏡板に前記第1スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、前記第1スクロールと相対的に公転旋回可能な第2スクロールと、前記第1スクロールと前記第2スクロールのうち少なくとも一方のラップ部の渦巻状の先端面に該先端面の渦巻形状に沿って開口形成された溝部と、該溝部に配設され他方の鏡板に摺接するシールとにより構成してなるスクロール式流体機械において、
前記シールは該シールの幅方向に複数のシール部材を並べて設けて構成されており、該複数のシール部材はそれぞれ前記溝部の底部に対向する側に複数のリップが配設されていることを特徴とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械として、スクロール式空気圧縮機を例に挙げて図と共に説明する。
【0010】
図2及び図3において、50はケーシング、51は固定スクロール(第1スクロール)をそれぞれ示し、該固定スクロール51は、略円板状に形成された鏡板52と、該鏡板52の外縁側から径方向外向きに突出し、ケーシング50の一端側に固着されるフランジ部53と、前記鏡板52の表面側から軸方向に立設された渦巻状のラップ部54とから大略構成されており、固定スクロール51はケーシング50に対して、ラップ部54の歯先面55がケーシング50に対向するように、フランジ部53を介して固着されている。
【0011】
図2及び図3において、61は固定スクロール51と対向するようにケーシング50内に旋回可能に配設された旋回スクロール(第2スクロール)を示し、該旋回スクロール61は、円板状に形成された鏡板62と、該鏡板62の表面側に立設され、固定スクロール51のラップ部54との間に複数の圧縮室60を画成する渦巻状のラップ部63とから大略構成されている。
【0012】
ケーシング50の他端側には、図示しない電動モータが設けられており、電動モータはケーシング50内に設けられたクランク軸90a及び補助クランク90bからなる自転−公転変換機構90を介して旋回スクロール61を旋回駆動するものである。
【0013】
そして、旋回スクロール61が旋回駆動されることにより、固定スクロール51外周側に設けられた吸込口91から圧縮室60内に吸込んだ空気を各圧縮室60内で順次圧縮しつつ、中心側の圧縮室60から吐出口56を介して外部に圧縮空気を吐出するようになっている。
【0014】
図3に示すように、固定スクロール51のラップ部54は、内周側が内端58となり外周側が外端59となって、例えば3巻程度の渦巻状に形成されている。そして、ラップ部54の歯先面55は、図4に示すように、旋回スクロール61の歯底面となる鏡板62表面から微小なクリアランスをもって離間されている。
【0015】
同様に、図3に示すように、旋回スクロール61のラップ部63は、内周側が内端66となり外周側が外端67となって、例えば3巻程度の渦巻状に形成されている。そして、ラップ部63の歯先面64は、図4に示されたラップ部54の歯先面55と同様に、固定スクロール51の歯底面となる鏡板52表面から微小なクリアランスをもって離間されている。
【0016】
57は固定スクロール51のラップ部54の歯先面55に開口して設けられた凹溝(溝部)で、該凹溝57は、図3及び図4に示すように、ラップ部54の幅方向中間部に位置して横断面がコ字状をなすように形成され、ラップ部54の渦巻き形状に沿ってその内端58から外端59まで延びている。また、凹溝57の溝深さ寸法は、その全長に亘ってほぼ同一の値に設定されている。
【0017】
同様に、旋回スクロール61のラップ部63にも、その歯先面64には図4に示されたラップ部54の歯先面55と同様に、凹溝65がラップ部63の幅方向中間部に位置して横断面がコ字状をなすように形成され、ラップ部63の渦巻き形状に沿ってその内端66から外端67まで延びている。また、凹溝65の溝深さ寸法は、その全長に亘ってほぼ同一の値に設定されている。
【0018】
71は固定スクロール51のラップ部54の凹溝57に設けられたシール部材で、該シール部材71は、図1及び図4に示すように横断面が略四角形状をなす長尺の紐状に形成され、直線状に伸長したときにはほぼ同一の高さ寸法となるものである。また、シール部材71は、耐摩耗性や摺動性に優れた弾性樹脂材料、例えば炭素繊維等を含有したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の複合材等を用いて形成されている。
【0019】
また、シール部材71には、図1に示すようにその全長に亘って凹溝57の底面57A(底部)側に複数の切れ込み71aが設けられることによりリップ72が形成されており、リップ72には、シール部材71の全長に亘って、シール部材71の長手方向に1本の切れ目73が設けられており、各々のリップ72はシール部材71の幅方向において各々2つの部分72a,72bに分割されている。
【0020】
シール部材71は、渦巻状に湾曲した状態で凹溝57内に装着されている。そして、シール部材71は、スクロール式空気圧縮機の圧縮動作時には圧縮空気が切れ込み71a内に入ることによってリップ72が起立し、シール部材71と凹溝57の底面57Aとの間の隙間92(図4参照)から凹溝57に沿った空気の漏れをシールする。また、シール部材71は、隙間92に入った圧縮空気の圧力によって凹溝57の底面57A側から旋回スクロール61側に向けて浮上する。これにより、シール部材71は旋回スクロール61の鏡板62表面に摺接し、相手方となる旋回スクロール61の鏡板62との間をシールする。
【0021】
同様に、81は旋回スクロール61のラップ部63の凹溝65に設けられたシール部材で、該シール部材81は、図1及び図4に示されたシール部材71と同様に、横断面が略四角形状をなす長尺の紐状に形成され、直線状に伸長したときにはほぼ同一の高さ寸法となるものである。また、シール部材81は、耐摩耗性や摺動性に優れた弾性樹脂材料、例えば炭素繊維等を含有したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の複合材等を用いて形成されている。
【0022】
また、シール部材81には、図1に示されたシール部材71と同様にその全長に亘って凹溝65の底面65A(底部)側に複数の切れ込み81aが設けられることによりリップ82が形成されており、リップ82には、シール部材81の全長に亘って、シール部材81の長手方向に1本の切れ目83が設けられており、各々のリップ82はシール部材81の幅方向において各々2つの部分82a,82bに分割されている。
【0023】
シール部材81は、渦巻状に湾曲した状態で凹溝65内に装着されている。そして、シール部材81は、スクロール式空気圧縮機の圧縮動作時には圧縮空気が切れ込み内に入ることによってリップ82が起立し、シール部材81と凹溝65の底面65Aとの間の隙間95から凹溝65に沿った空気の漏れをシールする。また、シール部材81は、隙間95に入った圧縮空気の圧力によって凹溝65の底面65A側から固定スクロール51側に向けて浮上する。これにより、シール部材81は旋固定スクロール51の鏡板52表面に摺接し、相手方となる固定スクロール51の鏡板52との間をシールする。
【0024】
本実施の形態のスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次にその圧縮動作について説明する。
【0025】
まず、図示しない電動モータに給電を行い、自転−公転変換機構90を介して旋回スクロール61を旋回駆動すると、固定スクロール51のラップ部54と旋回スクロール61のラップ部63間に画成された圧縮室60が連続的に縮小する。これにより、固定スクロール51の吸込口91から吸込んだ外気を該各圧縮室60で順次圧縮しつつ、この圧縮空気を固定スクロール51の吐出口56から外部の空気タンク等に吐出する。そして圧縮室60内の空気はラップ部54とラップ部63の渦巻中心に向かうほど高圧となり、ラップ部54,63により隔てられた圧縮室60同士の空気の圧力差はラップ部54,63の渦巻中心に向かうほど大きくなる。
【0026】
そしてこの圧縮動作時には、高圧側の圧縮室60の圧縮空気が凹溝57,65内に入り込むことにより、シール部材71,81のリップ72,82が起立してシール部材71,81と凹溝57,65の底面57A,65Aとの間の隙間92,95から凹溝57,65に沿った空気の漏れをシールする。また、シール部材71,81は、隙間92,95に入った圧縮空気の圧力によって凹溝57,65の底面57A,65A側から浮上し鏡板62,52に摺接して高圧側の圧縮室60とラップ部54,63を挟んで隣り合う低圧側の圧縮室60との間のシール性が保たれる。
【0027】
ここで、従来の技術によるスクロール式流体機械においては、シール部材の剛性が高いと、圧縮空気が凹溝内に入り込んでもシール部材のリップが起立しにくくなり、シール性が不充分となる場合があった。特に、シール部材はラップ部の渦巻形状に合わせて湾曲させて(すなわち変形させて)組み付けられているので、シール部材のリップには曲げの歪みが生じており、その歪みによりいっそう剛性が高くなり、起立しにくくなっていた。
【0028】
しかし、本実施の形態においては、リップ72,82には、シール部材71,81の全長に亘って、シール部材71,81の長手方向に1本の切れ目73,83が設けられており、各々のリップ72,82は各々2つの部分72a,72b、82a,82bに分割されている。このため、シール部材71,81の剛性が高い場合であっても、分割されることで上記の曲げの歪みが軽減されてリップ72,82の剛性は低くなり、圧縮空気が凹溝57,65内に入り込んだ場合にリップ72,82は確実に起立するようになる。このため、圧縮動作時にはシール部材71,81は隙間92,95の凹溝57,65に沿った空気の漏れに対する充分なシール性を発揮し、また、これにより、シール部材71,81は鏡板62,52に充分摺接して高圧側の圧縮室60とラップ部54,63を挟んで隣り合う低圧側の圧縮室60との間の充分なシール性を発揮することとなり、シール部材の高い耐久性と高いシール性を両立できる。
【0029】
なお、本実施の形態においては、リップ72,82は2分割としたが、これに限るものではなく、例えば図5に示すようにシール部材71,81に切れ目73,83を2箇所設けて、シール部材71,81の幅方向に3分割としてリップ72,82をそれぞれ3つの部分72a,72b,72c、82a,82b、82cに分けるようにしてもよく、また4分割以上でもよい。このように多数に分割することにより、それだけリップの剛性が下がることとなり、シール部材としてより剛性の高い材料を用いることができ、より高い耐久性を実現できる。
【0030】
また、本実施の形態においては、リップ72,82をシール部材71,81の幅方向に分割する切れ目73,83は、隣り合うリップ72,82の間において、シール部材71,81の長手方向において重なるような位置に設けられているが、これに限るものではなく、例えば図6に示すように、切れ目73,83のシール部材71,81の長手方向における位置が、隣り合うリップ72,82の間において重ならないようにしてもよい。隣り合うリップ72,82を分割する切れ目73,83同士がシール部材の長手方向において重なることにより切れ目73,83を介して圧縮空気がラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩しやすい場合があるが、このように構成することでシール部材71,81の長手方向における切れ目73,83の位置がずれてラビリンス効果が発揮され、圧縮空気がラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩するのを適度に防止できる。
【0031】
また、本実施の形態においては、隣り合うリップ72,82同士は全て同一数に分割しているが、これに限るものではなく、隣り合うリップ同士の分割数を違えて、例えば図7に示すように、2分割のリップ74,84と3分割のリップ75,85とが隣り合うようにしてもよい。また、3分割のリップと4分割のリップとが隣り合うようにしてもよい。隣り合うリップ同士を同一数に分割すると、上記と同様にリップを分割する切れ目73,83同士がシール部材の長手方向において重なることにより圧縮空気がラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩しやすい場合があるが、隣り合うリップ同士の分割数を違えることにより、各リップ74,75、84,85の切れ目73,83同士がシール部材の長手方向において重ならず、ラビリンス効果が発揮され圧縮空気がラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩するのを適度に防止できる。
【0032】
また、本実施の形態においては、シール部材71,81の全長に亘ってリップ72,82を分割しているが、これに限るものではなく、必要に応じて、例えば圧縮室間の圧力差が大きく、より強いシール性が必要とされるラップ部の内端58,66寄りの部分のみリップ72,82をシール部材71,81の幅方向に分割してもよく、また反対に、圧縮室内の圧縮空気が比較的低圧であるためにシール部材71,81のリップ72,82を起立させる力が弱くなりがちなラップ部の外端59,67寄りの部分のみリップ72,82をシール部材71,81の幅方向に分割してもよく、またその他必要に応じてシール部材71,81の任意の範囲のみリップ72,82をシール部材71,81の幅方向に分割してもよい。
【0033】
また、本実施の形態においては、リップ72,82は連続して分割されているが、これに限るものではなく、シール部材71,81の幅方向に分割されたリップ72,82と分割されていないリップ72,82とを任意の数で交互に設けてもよい。
【0034】
また、本実施の形態においては、凹溝57,65内にはそれぞれ一本づつのシール部材71,81が配設され、該シール部材57,65のリップ72,82が分割されている構成としたが、これに限るものではなく、図8に示すように、リップを有する幅の細いシール部材93をその幅方向に複数本(図8では2本)並べてシール94とし、凹溝57,65内に配設することでも同様の効果が得られる。特に、剛性の高いシール部材をラップ部の渦巻形状に合わせて湾曲させながら凹溝に組付ける製造行程においては、幅の細いシール部材を複数本並べてシールとすることで、幅広のシール部材1本で構成されたシールよりも曲げ剛性が低くなり、組み付けやすいというメリットがある。
【0035】
また、本実施の形態においては、リップ72,82はシール部材71,81の凹溝57,65の底面57A,65A側にのみ設けられているが、これに限るものではなく、シール部材71,81の凹溝57,65の高圧側(渦巻中心側)の側面57B,65B側にもリップ(側面リップ)を設けてもよく、さらに該側面リップを分割するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施の形態においては、固定スクロール51と旋回スクロール61の両方にシール部材71,81を設けているが、これに限るものではなく、必要に応じていずれか一方のみにシール部材を配設してもよい。
【0037】
また、本実施の形態においては、一方のスクロールが固定スクロール、他方のスクロールが旋回スクロールであるスクロール式空気圧縮機を例にあげて説明したが、これに限るものではなく、両方のスクロールが旋回するタイプのスクロール式流体機械に用いてもよい。
【0038】
【発明の効果】
上記のように、請求項1に記載の本発明のスクロール式流体機械によれば、シール部材に剛性の高い材料を用いた場合であっても、リップの剛性を低くしてリップを確実に起立させられることから、シール部材のシール性向上と耐久性とを両立させることができる。
【0039】
また、請求項2に記載の本発明のスクロール式流体機械によれば、分割されたリップの切れ目同士がシール部材の長手方向において重ならないのでラビリンス効果が発揮され、圧縮空気がリップの切れ目を介してラップ部の内端側から外端側に向けて漏洩するのを適度に防止でき、シール性をより向上させることができる。
【0040】
また、請求項3に記載の本発明のスクロール式流体機械によれば、上記請求項1に記載の本発明のスクロール式流体機械と同様の効果を有しつつ、シールの凹溝への組付けがより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械のシール部材を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の固定スクロールと旋回スクロールを示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の固定スクロールと旋回スクロールを、図2に示すA‐A断面で切断した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の固定スクロールのラップ部の凹溝とシール部材を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の変形例のシール部材を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の変形例のシール部材を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の変形例のシール部材を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態のスクロール式流体機械の変形例のシールを示す図である。
【符号の説明】
51 固定スクロール(第1スクロール)
52 鏡板
54 ラップ部
55 歯先面
57 凹溝(溝部)
57A 底面(底部)
60 圧縮室
61 旋回スクロール(第2スクロール)
62 鏡板
63 ラップ部
65 凹溝(溝部)
65A 底面(底部)
71 シール部材
72 リップ
81 シール部材
82 リップ
90 自転−公転変換機構
92 切れ目
95 切れ目
Claims (3)
- 鏡板に渦巻状のラップ部が立設された第1スクロールと、前記第1スクロールと対向し、鏡板に前記第1スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、前記第1スクロールと相対的に公転旋回可能な第2スクロールと、前記第1スクロールと前記第2スクロールのうち少なくとも一方のラップ部の歯先に該歯先の渦巻形状に沿って開口形成された溝部と、該溝部に配設され他方の鏡板に摺接するシール部材とにより構成してなるスクロール式流体機械において、
前記シール部材は前記溝部の底部に対向する側に複数のリップが配設され、該リップは前記シール部材の幅方向において分割されていることを特徴とするスクロール式流体機械。 - 前記リップを前記シール部材の幅方向に分割する切れ目が、隣り合う前記リップ同士の間において、前記シール部材の長手方向で重ならないようにしたことを特徴とする、請求項1に記載のスクロール式流体機械。
- 鏡板に渦巻状のラップ部が立設された第1スクロールと、前記第1スクロールと対向し、鏡板に前記第1スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、前記第1スクロールと相対的に公転旋回可能な第2スクロールと、前記第1スクロールと前記第2スクロールのうち少なくとも一方のラップ部の渦巻状の先端面に該先端面の渦巻形状に沿って開口形成された溝部と、該溝部に配設され他方の鏡板に摺接するシールとにより構成してなるスクロール式流体機械において、
前記シールは該シールの幅方向に複数のシール部材を並べて設けて構成されており、該複数のシール部材はそれぞれ前記溝部の底部に対向する側に複数のリップが配設されていることを特徴とするスクロール式流体機械。
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