JP3768384B2 - 無線制御式の腕時計 - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は請求項１の分類部分（「おいて書き」部分）に記載された無線制御式の腕時計に関する。
【０００２】
この種の形式の腕時計は、例えば欧州特許公報ＥＰ ０ ８９６ ２６２ Ａ１に記載されているように既に実用化されている。ここに記載されているものは、その機構部分が極めてコンパクトな構成を有するという利点があるという点で、他のものと区別される。なぜこのようなコンパクトな構成とすることができるかというと、複数の板状部材を積層してなりケース内で可撓性を有し、ケーシングの内側輪郭に沿わせることができるようになっているフェライトバーアンテナを、電気的に受信、復号化（デコーディング）および計時を行う回路とともに、プリント基板上に一体的に組み込むことができるからである。しかし、このような構成をとる場合には、非金属の腕時計ケーシングを用いる必要がある。なぜなら、非金属のケーシングを用いないとするならば、金属部材のそばにアンテナを配置することになるが、このことは、同調ミスの結果としてのみならず特に引き続き行われる同調によっては補償できない受信クオリティの低下の結果として、アンテナが機能しなくなる程にアンテナの機能を損なうことを意味するからである。
【０００３】
しかしながら、もし、美的な理由により金属の腕時計ケーシングを用いることが望まれるならば、符号化（エンコード）された時刻情報を受信するための磁気長波アンテナは、ケーシングの外側の位置に移動させなければならない。ケーシングの外側の位置とは、すなわち、欧州特許公報ＥＰ ０ ４３９ ７２４ Ｂ２に詳細に記載されている腕時計のように、ストラップ若しくはブレスレット内である。
【０００４】
このような構造は標準的なものとして約１０年前に開発されたものである。しかし、この構造は、ケーシングに対するストラップ若しくはブレスレットの接合部（アンテナ線の導入部に可撓性が求められるため）、そしてストラップ若しくはブレスレット自体（可撓性はあるものの、ラミネートされたフェライトアンテナの形態の無視することのできない異物が筒状のストラップ若しくはブレスレット内にあるため）が、手首上に装着されるため、摩耗およびその影響によるトラブルが発生するという重大な危険があるからである。
【０００５】
従って、本発明の目的は、従来から知られているプラスチック製のケーシングおよび内蔵アンテナを持つ無線制御式の腕時計と金属製のケーシングおよび外部アンテナを持つ無線制御式の腕時計とを統合し、これによりデザイン自由度を向上させ、高品質で、快適に装着でき、トラブル発生の可能性の低い腕時計を提供することにある。
【０００６】
本発明によれば、この目的は、主たる請求項の特徴部分に記載されている特徴により達成される。無線制御式の腕時計は、時計ガラスと電気伝導性を有しない底部との間に金属製の中央部分を有し、フェライトバーアンテナが、その全長にわたって、時計ケーシングの内壁からケーシング中央に向けて半径方向の無視できない大きさの隙間をもって内装されている。
【０００７】
設計上好都合であることから、磁気長波アンテナが時計機構の周縁においてプリント基板上に再び配置される場合には、ケーシングの電気伝導性のある中央部分の内壁に対してアンテナコアが全ての方向に対して半径方向の隙間を確保することができるように、射出成形により得られたプラスチック材料製のスペーサリングがケーシングの中央部分にはめ込まれる。スペーサリングはその中心においてフェライトバーを具備する機構のための受け入れリングとしての役割も果たす。この場合、湾曲した状態で取り付けられる高価な構造であるラミネートコアをフェライトバーとして選択する必要が無くなる。機構部分の周縁に関する割線に沿って廉価な堅固な柱状のバーを内装するだけで十分である。好ましくは、バーの両端は傾斜面をなすように削り取られ、可能であるならば、スペーサリングの内側周縁に形成された対応形状を有する溝の中に、ぴったりとはめ込まれる。
【０００８】
腕時計ケーシングの非金属の底部は、プラスチック材料により形成することができる。腕時計のガラスが設けられた時計を見る側（表側）と同様に、背面側にもガラスを装着することがより好まい。腕に当接する部分にガラスを用いることにより、肌に非常に優しくアレルギーを全く生じさせないようにすることができる。もし、スケルトンタイプの時計のように腕時計の内部機構を見せる必要がないならば、底部ガラスの内側は、非金属を蒸着してもよく、これにより不透明にすることができる。この場合、蒸着過程において、底部の見た目を装飾用途に適した形態、例えば、抽象的なステンシルにより構成することができる。若しくは、蒸着層は、文字形状とすることができる。または、この蒸着層に、レーザーエロージョン法（この方法は蒸着層に黒く焼けたプロセストラックを形成するとともに、底部のガラスがすでに定位置に装着された場合にもガラスを通して外側から影響を与える（処理する）ことができる。）により更に処理を施して、形象描写的な形態を付与してもよい。
【０００９】
本発明のさらなる特徴部分、発展形態および利点は、他の請求項、並びに図面に本質的な部分にのみ限定して大幅に簡略化された形態で図示された本発明による構造の好適な実施形態に関する下記の説明により明らかになるであろう。なお、図面のスケールは正しくはない。
【００１０】
図面にその長手方向断面が概略的に示されている無線制御式の腕時計１１は、電気伝導性を有する中央部分１３を持ったケーシング１２を有している。この中央部分は、例えば、金属の覆い若しくはコーティングを施された射出成形された非金属により形成されていてもよい。しかし、中央部分１３は、明らかに無垢（ソリッド）であることが好ましく、半径方向（放射方向）の厚さが薄い高品質の鉄鋼材料またはチタニウム若しくはその合金製のリングであることが好ましい。この中央部分１３を設けることにより、仮にこの中央部分１３が無かったとした場合に、この無線制御式の腕時計の、腕時計のケーシング１２内に収容されるアンテナに、横断方向に接続された金属部材を結合したブレスレットから入り込みうる妨害の影響を遮断することができる。
【００１１】
仮に、中央部分１３がガラスリング１４および／または底部リング１５と一体的に形成されておらず、図示されているようにガラスリング１４および底部リング１５が、別体に製造された、ケーシングの中央部分１３への取り付け部材の形式で取り付けられているとすれば、それらは、好ましくは鉄鋼材料からなる中央部分とは異なった材料（可能ならば電気伝導性を有する材料）から構成することができる。しかしながら、リング１４，１５に電気伝導性を有する材料を用いた場合、それらは、可能であるならば、中央部分１３を実質的に超えて腕時計のケーシング１２の中心に向けて半径方向に突出しないようにするべきである。
【００１２】
ケーシング１２に圧入された底部１６は、電気伝導性の無い堅固なプレート、特にセラミックスまたはガラスからなる。ガラスは、ハウジング内部に向けて、ガラス製の底部１６を通して見ることができる装飾目的の若しくは情報を表示するための覆いまたはコーティング１７を担持することができる。底部１６と反対側において、腕時計のガラス１８が一般的な手法でシールリング１９を用いてケーシング１２にはめ込まれている。
【００１３】
ケーシング１２の内部には、電気伝導性の無い材料、特にプラスチック射出成形材からなるスペーサリング２０が配置されている。スペーサリング２０は、リング１４，１５よりも、中央部分１３からハウジング１２の中心に向けて実質的により遠くまで延びている。リング２０は、アリーナ（円形闘技状、演技場）状のフェースまたはダイヤルリング２１と一体的に形成しても良い。ダイヤルリング２１は、図示しているように、他の材料から分離して製造し、スペーサリング２０の端面の見える側（使用者から見える側）に取り付けてもよい。図面には記載されていないが、収容スリーブを形成するための半径方向ボアをリング２０に設けてもよい。この収容スリーブ内にはケーシングの中央部分１３を貫通するプッシュロッドが受け入れられ、プッシュロッドは遠隔操作式の腕時計の機構２２の切り替え操作を行うために収容スリーブ内で水密にガイドされる。
【００１４】
ケーシング１２内に支持されたスペーサリング２０は、直接的におよび／またはその表面（フェース）若しくはダイヤルリング２１により、機構リングの役割を果たす。言うならば、ケーシング１２内で腕時計の機構２２を保持する役割を果たす。その見える側（使用者から見える側）で機構２２に当接支持されるとともに電気伝導性の無い材料からなるフェースすなわち文字盤２３の端縁には、半径方向にその上に係合するフェースリング２１が設けられている。これにより文字盤２３は見える側において隠される。腕時計の機構は、本質的には、針２５を動かすギア機構２４と、駆動コントロールを行うとともに符号化された時刻情報を受信して復号化するする電気ブロック２６とから構成される。電気的ブロック２６では定期的に時刻チェックが行われ、必要に応じてギア機構２４を動作させて針位置の修正を行う。この目的のため、電気ブロック２６には、長波受信器２７が設けられる。長波受信器２７は、例えばドイツ国においてリーガルタイム（ＤＣＦ７７）を送信する時刻情報送信機に対して固定的に同調されている。受信器２７は、図示されたようにその内部をフェライトコア２９が貫通するコイル３０の形態の磁気長波アンテナ２８に接続されている。
【００１５】
仮にアンテナ２８が金属製のケーシング１２の直近に配置されていたとすると、前述したように共鳴による同調ずれ（基本的には補償可能）だけでなく、受信クオリティの劣化（補償不可能）が生じ、非常に感度の高い受信器２７を備えていたとしても、もはや使用に耐えうる受信状態を当てにすることはできない。従って、スペーサリング２０をケーシング１２とアンテナ２８を有する機構２２との間に配置することにより、フェライトコア２９を金属製のケーシング１２の内部から十分に間隔を確保して配置することができ、このため、フェライトコア２９を内壁に対してケーシング１２の中心に向けて変位させた状態で配置することができる。コア２９が取り付けられる平面内で測定すると、スペーサリング２０の幅は、典型的にはケーシング１２の内側径の２０％〜３０％の間にある。
【００１６】
アンテナコア２９は、ラミネート品であってもよいが、その周囲を囲む金属製ケーシング１２との間に十分な間隔を確保した可撓性の無い柱状の物体、略円柱形状の棒状体とすることも適当である。図示されたように、コア２９は、ケーシング１２の中心に関して半径方向に向けて、電気ブロック２６のプリント基板上に取り付けることができる。または、他の電気部品に対するスペース的要求を考慮して、アンテナコア２９は、図示された状態を基準として図面の平面から９０度旋回させて外れた位置に、機構２２の外側周縁の近傍における割線となるような位置に配置することもできる。中心線３１と平行な関係をもってガラス１８および１６を通過する磁力線は、腕時計１１の中心線３１を横切る平面に沿って、言い換えれば腕時計１１の機構２２およびケーシング１２自体の中心線３１を横切る平面に沿って、コアを通過することはないと認められであろう。しかし、これらの磁力線は、ギア機構２４の金属部分およびケーシング１２の金属製の中央部分１３があるため、そのままこの無線制御式の腕時計を通過するのではなく歪められ、このため、好ましくはラミネートされたコア２９を通る長波を受信する上で適当な磁気フラックスが存在する。このとき、コア２９の向きが軸と略平行な関係にある場合に生じうる腕時計の高さの不当な増大は生じない。
【００１７】
これにより、無線制御式のの腕時計１１の場合、一方では金属製のケーシング１２の採用を控える必要はなく、また他方では、デコーディングすべき時刻情報を受信するための磁気長波アンテナをケーシング１２の外部、例えばブレスレット若しくはストラップ内に移動させる必要がなくなる。従って、本発明によれば、少なくともケーシング１３の中央部分は、薄い無垢の若しくは被覆された導電性を有するリングからなり、その中には導電性を有しないスペーサーリング２０が腕時計の機構２２を保持する。そして機構２２は細長い柱状のアンテナコア２９を有する。コア２９は、２つの導電性を有しないディスク、特に腕時計のガラス１８およびケーシングの底部１６の間において、金属製の中央部分１３に対して半径方向の間隔をおいて、機構２２の周縁の割線に配置される。底部１６は、好ましくは装飾用若しくは情報表示用のコーティングがケーシングの内側を向いた面に施される。
【図面の簡単な説明】
【図１】唯一の図面は、無線制御式の腕時計の本発明による構造の長手方向の軸方向断面図である。腕時計は、金属製の腕時計ケーシングに統合された、符号化された時刻情報を受信するための磁気長波アンテナを有している。

Claims (5)

1. ケーシング（１２）内に収容された磁気長波アンテナ（２８）を有する無線制御式の腕時計（１１）において、
   磁気長波アンテナ（２８）は、コイル（３０）とこのコイル（３０）内を貫通する柱状のアンテナコア（２９）を有しており、
   表面ガラス（１８）と電気伝導性を有しない底部（１６）との間において、ケーシング（１２）は、金属製の中央部分（１３）を有しており、
   アンテナコア（２９）は、ケーシング（１２）の金属製の中央部分（１３）の断面高さ範囲内において、該アンテナコア（２９）の軸線がケーシング（１２）の半径方向を向くか、或いは腕時計の機構（２２）の周縁における割線に沿うようにケーシング（１２）内に配置されており、
   アンテナコア（２９）は、ケーシング（１２）の中心側にケーシング（１２）から離れて配置されており、
   電気伝導性の無いスペーサリング（２０）が、ケーシング（１２）の金属製の中央部分（１３）とアンテナコア（２９）との間に配置されており、
   腕時計の金属部分を有するギア機構（２４）が、スペーサリング（２０）の内側に配置されていることを特徴とする無線制御式の腕時計。
2. スペーサリング（２０）が、ギア機構（２４）を有する腕時計の機構（２２）を保持していることを特徴とする、請求項１に記載の無線制御式の腕時計。
3. ケーシングの中央部分（１３）は、鉄鋼またはチタニウムにより形成された中実の金属製のリングにより形成されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載の無線制御式の腕時計。
4. ケーシングの底部（１６）は、セラミックス製またはガラス製のプレートからなることを特徴とする、請求項１乃至３のいずれか一項に記載の無線制御式の腕時計。
5. ケーシングの底部（１６）は、透明または半透明の電気伝導性を有しない材料からなり、底部（１６）のケーシングの内部を向いている部分には装飾用または情報表示用のコーティングが施されていることを特徴とする、請求項１乃至４のいずれか一項に記載の無線制御式の腕時計。

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