JP3768377B2 - 表皮端部の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレームを外側から被覆する表皮の端部を固定するための表皮端部の取付構造に関し、例えば、車両のアームレストなどに設けられるカップホルダや小物入れなどの形成位置に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
図6にアームレストを有する一般的な車両用リヤシートの概略、図7に従来の表皮端部の取付構造を表すアームレストの要部断面を示す。
【0003】
図6に示すように、リヤシートクッション001に対してリヤシートバック002が装着され、このリヤシートバック002の中央部にはシークレットボックス003が形成され、シートアームレスト004がこのシークレットボックス003内に収容可能であると共に、前方に傾倒可能に装着されている。そして、このシートアームレスト004には、前方への傾倒時にその前端部に現れるようにカップホルダ005が設けられており、2つのカップやボトル等を載置可能となっている。
【0004】
このカップホルダ005の取付構造において、図7に示すように、箱型をなす板金フレーム011の外側にクッション性を有するパッド012が装着され、この板金フレーム011及びパッド012を外側から被覆するように表皮013が設けられている。また、カップホルダ005の取付位置に対応して、板金フレーム011には開口部014が形成される一方、表皮013には開口した筒状の延設部015が形成されている。そして、表皮013の延設部015が板金フレーム011の開口部014内に折り返され、この開口部014にカップホルダ005が嵌合し、複数のビス016により板金フレーム011に固定されている。このとき、表皮013の延設部015の端部がカップホルダ005の周縁部により開口部014の周辺部に係止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このシートアームレスト004には乗員が腕や肘を乗せるため、表皮013に荷重が作用して引かれることから、この表皮013が皺にならないように確実に固定する必要がある。上述した従来の表皮端部の取付構造にあっては、板金フレーム011の開口部014にカップホルダ005を固定することで、表皮013の延設部015の端部をカップホルダ005の周縁部で係止するようにしている。この場合、表皮013の端部はカップホルダ005の弾性力で係止しているため、係止力が不十分となって外れやすい。
【0006】
そのため、従来は、表皮013の延設部015の長さを長くして外れにくくすることが考えられるが、表皮013の端部は外れにくくなるものの、係止力は変わらないために引かれて皺になってしまう。また、表皮013の延設部015をクリップを用いて板金フレーム011の開口部014の周縁に固定することも考えられるが、多数のクリップを取付けなければならず、取付作業が面倒なものとなってしまう。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するものであって、表皮の端部を容易に且つ確実に係止することで作業性の向上を図ると共に美観の低下を防止して商品性の向上を図った表皮端部の取付構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための本発明の表皮端部の取付構造は、フレームに開口部を形成すると共にこの開口部の周縁に互いに対向する少なくとも一対の係止片を設け、フレームの外側を表皮にて被覆し、この表皮における開口部との対応位置に外方に突出開口する筒部を形成すると共に、筒部の先端部内周側にほぼ全周にわたって伸長性を有する係止プレートを固着し、筒部を開口内に折り返して押し込んだ後、係止プレートが自然に外側に広がり係止プレートを少なくとも一対の係止片に係止することで筒部の端部を固定するようにしたものである。
【0009】
従って、表皮の筒部に係止プレートを固着しておくことで、この筒部を開口内に折り返して係止プレートを少なくとも一対の係止片に係止するだけで、表皮の端部を容易に、且つ、確実に固定することができ、作業性の向上を図ることができると共に、表皮の皺の発生を抑制して美観の低下を防止することで、商品性の向上を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1に本発明の一実施形態に係る表皮端部の取付構造を表すアームレストの要部断面(図4のI−I断面)、図2にフレームの概略、図3に表皮端部の構造を表す概略、図4にアームレストの概略を示す。
【0012】
以下に説明する実施形態では、本発明の表皮端部の取付構造をアームレストに設けられるカップホルダの取付部に適用している。即ち、車両のリヤシートには中央部に可倒式のアームレストが設けられている。図4に示すように、このアームレスト11は基端部の両側に取付軸12が固定される一方、先端部の上面にカップホルダ13が取付けられており、このカップホルダ13にはカップやボトル等を保持可能な円柱形状をなす2つの保持部14が形成されている。
【0013】
このカップホルダ13の取付構造において、図1及び図2に示すように、フレーム21は板金製であって、アームレスト11の全体構造をなすように底部21aと前後の壁部21b,21cと天井部21dとから構成され、カップホルダ13の取付位置に対応して開口部22が形成されている。そして、このフレーム21の開口部22の両側に位置するように、前壁部21bと天井部21dの端部が下方に折り曲げられることで、係止片23,24が形成されている。
【0014】
このフレーム21の外側にはクッション性を有するパッド26が装着され、このパッド26の外側には伸縮性を有する表皮27が全体を被覆するように設けられている。
【0015】
この表皮27には、図3(a)に詳細に示すように、フレーム21の開口部22に対応する位置に外方に突出開口する筒部27aが一体に形成されている。そして、この筒部27aの先端部にはその内周側にほぼ全周にわたって係止プレート28が縫い付けられている(縫い付け部28a)。この係止プレート28は樹脂製の平板をなす短冊形状のプレートであって、筒部27a内周長さよりやや長く形成されており、この筒部27aの内周側に縫い付けられることで折り曲げられるため、取付状態では元の真っ直ぐな状態に戻る伸長性により筒部27aの先端部が外側に広がるようになっている。
【0016】
そのため、この係止プレート28が固定された表皮27の筒部27aを、外方に突出状態からフレーム21の開口部22内に折り返して押し込むことで、係止プレート28が係止片23,24に係止することとなり、筒部27aの端部がフレーム21に固定されることとなる。この場合、係止プレート28は伸長性を有しているため、例えば、内側に折り曲げながら開口部22内に押し込んだ後は、自然に外側に広がって係止片23,24に係止する。
【0017】
このように表皮27の筒部27aが係止プレート28によりフレーム21に固定されると、開口部22にカップホルダ13を嵌合し、底部を複数のビス29によりフレーム21の底部21aに固定する。このとき、カップホルダ13により表皮27の筒部27aが押え付けられることで、表皮27が確実に固定される。
【0018】
このように本実施形態の表皮端部の取付構造にあっては、フレーム21の外側を被覆した表皮27の筒部27aの先端部内周側に、伸長性を有する係止プレート28を縫い付けて固定し、この筒部27aをフレーム21の開口部22内に折り返し、係止プレート28を係止片23,24に係止することで、筒部27aの端部をフレーム21に固定するようにしている。
【0019】
従って、表皮27の端部を容易に、且つ、確実にフレーム21の開口部22の周辺に固定することができ、作業性の向上を図ることができると共に、表皮27の皺の発生を抑制して美観の低下を防止することで、商品性の向上を図ることができる。
【0020】
なお、上述の実施形態では、フレーム21を底部21aと前後の壁部21b,21cと天井部21dとから構成したが、この構造に限定されるものではない。図5に他のフレームを表す概略を示す。図5(a)に示すフレーム31は内部の空間部を有する箱型形状をなし、カップホルダの取付位置に開口部32が形成され、この開口部32の周縁部に下方に折曲した係止片33が一体に形成されている。また、図5(b)に示すフレーム41は、前述した実施形態のフレーム21とほぼ同様の構成をなす2つのフレーム42,43を交差して重ね、底部同士を固定することで、開口部44及び係止片45を形成している。更に、図5(c)に示すフレーム51は内部の空間部を有する箱型形状をなし、カップホルダの取付位置に円形の開口部52が形成され、この開口部52の周縁部に下方に折曲した係止片53が一体に形成されており、開口部52の形状は矩形や円形以外の構造でもよい。
【0021】
なお、上述した実施形態では、フレームを板金製としたが、樹脂製等であってもよい。また、フレームの開口部の形状を矩形や円形としたが、その他の形状であってももよい。更に、表皮27の筒部27aの先端部内周側に係止プレート28を縫い付けて固定したが、強固に固定できれば接着等であってもよい。
【0022】
そして、上述した実施形態では、本発明の表皮端部の取付構造をアームレストに設けられるカップホルダの取付部に適用したが、その他、例えば、折り畳み式シートのシートバックの背面に設けてもよく、カップホルダに限らず小物入れ等に適用してもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように本発明の表皮端部の取付構造によれば、フレームに開口部を形成すると共にその周縁に互いに対向する少なくとも一対の係止片を設け、フレームの外側を表皮にて被覆し、この表皮における開口部との対応位置に外方に突出開口する筒部を形成すると共に、筒部の先端部内周側にほぼ全周にわたって伸長性を有する係止プレートを固着し、筒部を開口内に折り返して押し込んだ後、係止プレートが自然に外側に広がり係止プレートを少なくとも一対の係止片に係止することで筒部の端部を固定するようにしたので、表皮の端部を容易に、且つ、確実に固定することができ、作業性の向上を図ることができると共に、表皮の皺の発生を抑制して美観の低下を防止することで、商品性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表皮端部の取付構造を表すアームレストの要部断面(図4のI−I断面)図である。
【図2】フレームの概略図である。
【図3】表皮端部の構造を表す概略図である。
【図4】アームレストの概略図である。
【図5】他のフレームを表す概略図である。
【図6】アームレストを有する一般的な車両用リヤシートの概略図である。
【図7】従来の表皮端部の取付構造を表すアームレストの要部断面図である。
【符号の説明】
11 アームレスト
13 カップホルダ
21 フレーム
22 開口部
23,24 係止片
26 パッド
27 表皮
27a 筒部
28 係止プレート
28a 縫い付け部

Claims (1)

  1. フレームに開口部を形成すると共に該開口部の周縁に互いに対向する少なくとも一対の係止片を設け、前記フレームの外側を表皮にて被覆し、該表皮における前記開口部との対応位置に外方に突出開口する筒部を形成すると共に、該筒部の先端部内周側にほぼ全周にわたって伸長性を有する係止プレートを固着し、該筒部を前記開口内に折り返して押し込んだ後、前記係止プレートが自然に外側に広がり前記少なくとも一対の係止片に係止することで前記筒部の端部を固定することを特徴とする表皮端部の取付構造。
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