JP3642906B2 - 椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバー - Google Patents

椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバーに係わり、更に詳しくは肘掛けを取付可能且つ肘掛けを外した状態でスタッキング可能な脚フレーム構造を有する椅子において、肘掛けを外した状態の肘取付部材に嵌着するカバーにスタッキングする際のバンパー機能を持たせた椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、肘付き椅子及び肘なし椅子に共通して使用できる脚フレーム構造を有する椅子は、製造コスト低減化の要請及び肘付きと肘なしの仕様変更を容易にできるといった利点等の理由によって採用されている。一方、肘なし椅子の場合には、保管スペースを考慮してスタッキング可能な脚フレーム構造を採用することが一般的になっている。
【0003】
そこで、肘掛けを取付可能且つ肘掛けを外した状態でスタッキング可能な脚フレーム構造を有する椅子も提供されるに至ったが、従来は肘掛けを外した場合に肘取付部材を隠蔽するカバー部材を設けるとともに、スタッキング時の上下の脚フレーム間に介在させるバンパー部材を別々に設けていた。
【0004】
しかし、肘掛けを取付ける場合には、スタッキングできないので、バンパー部材は不要であるにも係わらず、脚フレームにバンパー部材を取付けたままであった。尚、スタッキング時にのみバンパー部材を脚フレームに取付けることも考慮されるが、バンパー部材の部品の管理が面倒である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、肘掛けを取付可能且つ肘掛けを外した状態でスタッキング可能な脚フレーム構造を有する椅子において、肘掛けを外した状態の肘取付部材に嵌着するカバー部材に、スタッキングする際のバンパー機能を持たせ、部品点数の減少とコスト低減を図るとともに、肘掛けを外した状態での外観性の向上とスタッキング時の脚フレームの傷付き防止を図り、一方、肘掛けを取付ける場合には、バンパー機能を有するカバー部材を容易に取外すことが可能な椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバーを提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題解決のために、肘掛けを取付可能且つ肘掛けを外した状態でスタッキング可能な脚フレーム構造を有する椅子であって、前記脚フレームが下方へ向かって互いの間隔が拡がる前脚杆と後脚杆とを有するとともに、前脚杆と後脚杆の間であって前脚杆又は後脚杆の上端部に肘取付部材を固定したものであり、該肘取付部材に嵌着した合成樹脂又は合成ゴム製のカバー部材の一部に形成したバンパー部にて前脚杆又は後脚杆を抱持してなる椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバーを構成した。
【0007】
また、前記肘取付部材が、内外へ貫通した開口を有する取付板と、両側の取付板の開口に連続して内面側に固着した連結パイプとから構成され、前記カバー部材が前記開口及び連結パイプ内に嵌入する挿入部と前脚杆又は後脚杆を抱持する断面略C字形のバンパー部とを有する構成となした。
【0008】
更に、前記カバー部材で覆われない肘取付部材の周縁部に、該カバー部材とは独立して化粧カバー部材を嵌着してなることがより好ましい。この化粧カバー部材は、カバー部材を取外して肘掛けを肘取付部材に取付けた場合にも、肘取付部材を外被するのである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態を添付図面に基づき更に詳細に説明する。図1は肘掛けを外した状態の椅子を示し、図2はスタッキング状態を示し、図3〜図6は本発明の要部を示し、図中1は脚フレーム、2は座部、3は背凭れ部、4は肘取付部材、5はカバー部材、6は化粧カバー部材をそれぞれ示している。
【0010】
本発明に係る椅子は、左右一対の脚フレーム1,1の上部に座部2を前後スライド可能に設けるとともに、背凭れ部3を座部2と連動して上下スライド可能に設けた構造、いわゆる「バーテブラ」タイプの椅子である。尚、前記座部2と背凭れ部3との間には胴部7を介在させ、座部2と背凭れ部3とともに連動して円弧に沿って移動するものを示している。
【0011】
本発明は、肘掛けを取付可能且つ肘掛けを外した状態でスタッキング可能な脚フレーム構造を有する椅子であって、前記脚フレーム1,1が下方へ向かって互いの間隔が拡がる前脚杆8と後脚杆9とを有するとともに、前脚杆8と後脚杆9の間であって前脚杆8又は後脚杆9の上端部に肘取付部材4を固定したものであり、該肘取付部材4に嵌着した合成樹脂又は合成ゴム製のカバー部材5の一部に形成したバンパー部10にて前脚杆8又は後脚杆9を抱持してなることを要旨としている。
【0012】
更に詳しくは、前記脚フレーム1は、前脚杆8が略垂直であり、後脚杆9が下方へ行くに従って後方へ傾斜し、前脚杆8は後脚杆9の上端部は上杆11で連続している。即ち、前記前脚杆8、後脚杆9及び上杆11は、1本の丸パイプ部材を屈曲して形成したものである。そして、前記前脚杆8と後脚杆9の下端間には、それぞれ合成樹脂製のコーナー部材12,13を介して下杆14が連結され、本実施形態の脚フレーム1は閉じた環状フレームとなっている。また、左右一対の脚フレーム1,1は、上部において後部が後述の連結パイプで連結され、前部が連結杆15で連結されている。
【0013】
前記肘取付部材4は、前記脚フレーム1の後脚杆9と上杆11のコーナー部に側面視略菱形の取付板16を溶着し、該取付板16には後脚杆9寄り位置に内外へ貫通した開口17を形成し、そして図6に示すように両側の取付板16,16の開口17,17に連続して内面側に固着した連結パイプ18とから構成されている。また、前記取付板16には、後述の肘掛けを固定するための螺孔19,19と、化粧カバー部材6を嵌着するための通孔20,20とを形成している。
【0014】
前記カバー部材5は、前記脚フレーム1に接触しても塗装が剥がれないような素材、即ち合成樹脂又は合成ゴム製で一体成形したものであり、前記開口17及び連結パイプ18内に嵌入する十文字状の挿入部21と後脚杆9を抱持する断面略C字形のバンパー部10とを有している。また、前記カバー部材5の前記挿入部21の周囲には、前記開口17の口縁を外覆する鍔部22を形成するとともに、該鍔部22から断面略T字形の保高部23を延設し、該保高部23の端部に化粧板24を形成し、そして前記バンパー部10は該化粧板24に延設している。尚、前記バンパー部10は、前記化粧板24から後脚杆9の直線部分に延びているので、前記開口17と後脚杆9の直線部分の関係によって化粧板24とバンパー部10との連結部分の形状は設定すべきであり、本実施形態では側面視クランク状に折れ曲がった形状となっている。図6に示すように、このカバー部材5は、前記取付板16の開口17及び連結パイプ18の端部に前記挿入部21を嵌入し且つバンパー部10を後脚杆9の上部に外嵌して取付ける。
【0015】
前記化粧カバー部材6は、前記取付板16及び後脚杆9にカバー部材5を取付けた状態で、前記カバー部材5の化粧板24によって外覆されない取付板16の他の周縁部を覆うものである。そして、該化粧カバー部材6は、前記取付板16の形状に応じた略菱形の表面板25に、前記カバー部材5の保高部23を受入れる切欠部26を形成するとともに、周縁部に背面側へ延びた縁板27を形成し且つ縁板27の内方に該縁板27よりも低い補強リブ28を形成し、更に表面板25の背面に前記通孔20,20に嵌入する突起29,29を形成するとともに、下縁側の前記縁板27の先端一部に前記取付板16の下端裏面に係止する係止片30を内向きに突設したものである。そして、この化粧カバー部材6を取付板16に取付けるには、前記切欠部26の開放側から前記カバー部材5の保高部23を受入れながら前記突起29,29を取付板16の通孔20,20に嵌入すると同時に係止片30を取付板16の下縁に係止する。この状態で、化粧カバー部材6の縁板27によって取付板16の外周縁を嵌合するとともに、補強リブ28が取付板16の表面に当接し、前記表面板25の切欠部26の周囲にカバー部材5の化粧板24の周囲が重なった状態となる(図6参照)。
【0016】
また、前記脚フレーム1のコーナー部材12は、図7及び図8に示すように、本体部31の一端に前記前脚杆8に嵌入する嵌合部32を形成するとともに、他端に前記下杆14の前端部に嵌入する嵌合部33を前記嵌合部32よりも外側に偏心した位置に形成し、更に前記嵌合部33の近傍の本体部31に他の脚フレーム1の前脚杆8の前面部に当止する当止部34を形成している。一方、前記コーナー部材13も同様に、本体部35の一端に前記後脚杆9に嵌入する嵌合部36を形成するとともに、他端に前記下杆14の後端部に嵌入する嵌合部37を前記嵌合部36よりも外側に偏心した位置に形成し、更に前記本体部35には他の脚フレーム1の後脚杆9の後面部、若しくは上面部に当止する当止部38を形成している。
【0017】
従って、複数の椅子を上下にスタッキングした場合に、下方の椅子の脚フレーム1に取付けたカバー部材5のバンパー部10に上方の椅子の後脚杆9が当止するとともに、上方の椅子のコーナー部材12,13の各当止部34,38が下方の椅子の前脚杆8及び後脚杆9にそれぞれ当止し、脚フレーム1の塗装に傷を付けないようになっている。
【0018】
また、図9及び図10に示したものは、他の構造の椅子に適用した本発明の第2実施形態を示している。本実施形態の椅子は、脚フレーム1は前記同様であるが、座部2が上下傾動するとともに、該座部2の後部に立上り部2Aを有し、その上方に背凭れ部3が傾動可能に設けた構造、いわゆる「ドーサル」タイプの椅子を示している。前記脚フレーム1の基本構造は前記同様であるが、前記後脚杆9と上杆11との角度関係、即ち後脚杆9の直線部分の位置が前述の例と若干異なるため、それに応じてカバー部材5のバンパー部10の形状を変更したものである。つまり、カバー部材5において、化粧板24から直線状にバンパー部10を延設している。その他の構成は前記同様であるので、同一構成には同一符号を付してその説明は省略する。
【0019】
また、図11及び図12に示したものは、前述の第2実施形態において、脚フレーム1の構造が異なる第3実施形態を示している。即ち、本実施形態の脚フレーム1は、前記下杆14が存在せず、前記前脚杆8と後脚杆9の下端に合成樹脂製のキャップ39,40を嵌着し、スタッキングした場合に該キャップ39,40が下方の椅子の前脚杆8及び後脚杆9に当止するようになっている。その他の構成は前記同様であるので、同一構成には同一符号を付してその説明は省略する。
【0020】
最後に、前記カバー部材5を外して、前記肘取付部材4に肘掛け41を取付ける場合を説明する。前記肘掛け41は、肘掛け部42から下方へ屈曲して延びた支持杆43の先端部43Aを余して固定板44を固着したものであり、前記先端部43Aを前記取付板16の開口17及び連結パイプ18の端部に嵌入するとともに、前記固定板44を取付板16に螺孔19,19を利用してネジ45,45にて固定する。そして、前記取付板16と固定板44は、前記化粧カバー部材6を嵌着して外覆するのである。
【0021】
【発明の効果】
以上にしてなる本発明の椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバーによれば、肘掛けを取付可能且つ肘掛けを外した状態でスタッキング可能な脚フレーム構造を有する椅子において、肘掛けを外した状態の肘取付部材にカバー部材を嵌着し、該カバー部材に一体成形したバンパー部を脚フレームの前脚杆又は後脚杆に外嵌することにより、肘取付部材の開口等を外覆して外観性の向上を図ることができるとともに、バンパー部によってスタッキング時における脚フレームの保護を図ることができ、同一の部材にカバー機能とバンパー機能を備えているので、部品点数の減少とコスト低減を図ることができる。また、肘掛けを取付ける場合には、バンパー機能を有するカバー部材を容易に取外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す椅子の側面図である。
【図2】同じくスタッキング状態を示す側面図である。
【図3】本発明の要部を示し、カバー部材を肘取付部材に装着した状態の分解斜視図である。
【図4】カバー部材の詳細を示し、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は(a) のA−A線断面図である。
【図5】化粧カバー部材の詳細を示し、(a) は正面図、(b) は背面図、(c) は(a) のB−B線断面図である。
【図6】脚フレームの肘取付部材と後脚杆にカバー部材を装着し且つ肘取付部材に化粧カバー部材を装着した状態を示し、(a) 横断面図、(b) は省略部分断面図である。
【図7】スタッキング状態の脚フレームの下部構造を一部破断して示した部分側面図である。
【図8】同じく横断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示す椅子の側面図である。
【図10】同じく要部の分解斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態を示す椅子の側面図である。
【図12】同じくスタッキング状態を示す側面図である。
【図13】肘掛けを脚フレームの肘取付部材に取付けた状態の部分側面図である。
【図14】同じく一部破断して示した部分正面図である。
【符号の説明】
1 脚フレーム 2 座部
3 背凭れ部 4 肘取付部材
5 カバー部材 6 化粧カバー部材
7 胴部 8 前脚杆
9 後脚杆 10 バンパー部
11 上杆 12 コーナー部材
13 コーナー部材 14 下杆
15 連結杆 16 取付板
17 開口 18 連結パイプ
19 螺孔 20 通孔
21 挿入部 22 鍔部
23 保高部 24 化粧板
25 表面板 26 切欠部
27 縁板 28 補強リブ
29 突起 30 係止片
31 本体部 32 嵌合部
33 嵌合部 34 当止部
35 本体部 36 嵌合部
37 嵌合部 38 当止部
39 キャップ 40 キャップ
41 肘掛け 42 肘掛け部
43 支持杆 44 固定板
45 ネジ

Claims (3)

  1. 肘掛けを取付可能且つ肘掛けを外した状態でスタッキング可能な脚フレーム構造を有する椅子であって、前記脚フレームが下方へ向かって互いの間隔が拡がる前脚杆と後脚杆とを有するとともに、前脚杆と後脚杆の間であって前脚杆又は後脚杆の上端部に肘取付部材を固定したものであり、該肘取付部材に嵌着した合成樹脂又は合成ゴム製のカバー部材の一部に形成したバンパー部にて前脚杆又は後脚杆を抱持してなることを特徴とする椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバー。
  2. 前記肘取付部材が、内外へ貫通した開口を有する取付板と、両側の取付板の開口に連続して内面側に固着した連結パイプとから構成され、前記カバー部材が前記開口及び連結パイプ内に嵌入する挿入部と前脚杆又は後脚杆を抱持する断面略C字形のバンパー部とを有する請求項1記載の椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバー。
  3. 前記カバー部材で覆われない肘取付部材の周縁部に、該カバー部材とは独立して化粧カバー部材を嵌着してなる請求項1又は2記載の椅子のスタッキングバンパー兼肘取付部カバー。
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