JP3765884B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具用部材、建具等の建材用や冷蔵庫、テレビキャビネット等の電気製品の表面化粧に使用される化粧シートの改良に関するもので、特に、木目印刷柄等で、天然木に近い状態を再現し、且つ、耐候性に優れ、折り曲げ加工等の加工適性のよい化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる用途に用いる化粧シートとしては、主に下記の3種の化粧シートが知られている。
(1)ポリ塩化ビニルシートに印刷やエンボス加工等で装飾を施したもの(特公昭28ー5036号公報、特公昭58ー14312号公報)。
(2)ポリ塩化ビニルに代えて、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂シーを使用したもの(特開昭54ー62255号公報)。
(3)極性官能基をグラフト重合させたポリオレフィン樹脂に、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを混合したり(特開平6ー210808号公報、特開平4ー504384号公報)、ポリオレフィン樹脂に相溶化剤を用いてポリウレタン樹脂を混合したり(特開平7ー26038号公報)することで、(1)の化粧シートの欠点や、(2)の化粧シートの下記の▲4▼、▲5▼、▲6▼の欠点を解決しようとしたもの、等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)のようなポリ塩化ビニルシートを用いた化粧シートにあっては、耐熱性が不足するとか、表面の耐汚染性が悪いという問題点があった。
また、(2)のような従来の化粧シートにあっては、上記ポリ塩化ビニルを用いた化粧シートの欠点を改善し得るものの、▲1▼透明性が不足する。▲2▼耐熱性が不足する。▲3▼耐候性が悪い。▲4▼柔軟性がない。▲5▼印刷やラミネート時のインキ、接着剤との接着力が不足する。▲6▼耐衝撃性が弱く、化粧シートを表面に積層した化粧材裏面に、断面V字状やU字状の溝を形成した後、化粧材を折り曲げ加工施した際に(V字状やU字状の溝を形成して化粧材を折り曲げる加工のことを、以下単にVカット加工と呼ぶ。)、化粧シートが亀裂破断する。特に、加熱軟化〜エンボス版押圧〜冷却というエンボス加工時の熱履歴により、結晶化が進行してシートが脆弱化し、この傾向が強まる。更に、▲7▼結晶化度が高いため、エンボス加工条件が非常に狭い。等の問題点があった。
更にまた(3)のような化粧シートにあっても、依然、前記(2)のシートの欠点▲1▼、▲2▼、▲3▼に関しては解決されているとは言い難いものであった。
【0004】
更に、本発明者は、ポリオレフィン樹脂のシート基材にアクリル系樹脂の保護シートを積層した構造の化粧シートについて検討した。しかしながら、アクリル系樹脂の保護シートを有する化粧シートは、該シートを積層し化粧材にVカット加工を施すと、アクリル系樹脂の保護シートに亀裂が生じたり、保護シートが白化したりするという問題があった。
【0005】
本発明の化粧シートは、本件の構成とすることにより、ポリオレフィン樹脂シート基材の表面にアクリル系樹脂からなる保護シートを積層した構成の化粧シートの上記欠点を解消し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、化粧シートの構成を下記のようにした。
熱可塑性樹脂シートの片面に、印刷インキ層、アクリル樹脂シートが順次積層されており、該アクリル樹脂シートの表面にエンボス及びトップコート層を形成した化粧シートにおいて、該トップコート層が、ガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上であるアクリル樹脂と、イソプロピルアルコールと酢酸エチルの組成物からなる塗料を用いて厚さ1〜10μmに形成されていることを特徴とする化粧シートとした。
また、前記熱可塑性樹脂シートが、ポリオレフィン樹脂である化粧シートとした。
【0007】
更に、前記エンボス模様の凹部に、ワイピング加工法により着色インキ層を施した化粧シートとした。そして、該着色インキとして、ガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上であるアクリル樹脂と、イソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤と、着色剤を主成分とする着色インキを用いて着色インキ層を形成した化粧シートとした。
また、前記化粧シートの裏面にプライマー層を形成した化粧シートとした。
【0008】
本発明は、 熱可塑性樹脂シートの片面に、印刷インキ層、アクリル樹脂シートが順次積層し、該アクリル樹脂シートの表面にエンボス模様を形成した後、その上に、トップコート層として、ガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上であるアクリル樹脂と、イソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤からなる塗料を用いて形成し、Vカット適性や折り曲げ加工適性に優れ、且つ耐候性のよい化粧シートとした。
【0009】
また、化粧シートの意匠性を高めるために、前記化粧シートのエンボス模様の凹部に、ワイピング加工法により着色インキを充填し、その着色インキのバインダーとして、トップコート層と同じ樹脂を使用して層間の接着力を高めると共に、化粧シートの裏面に接着性のプライマー層を形成して、化粧シートと被接着基材との接着力を高めて、Vカット適性や折り曲げ加工適性の向上を図った。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照にして本発明の実施の形態をを詳しく説明する。
図1は本発明の化粧シートの一例を示す拡大断面図であり、図2は本発明の化粧シートの別の例を示す拡大断面図である。
図3は化粧シートを作製するときの説明図であり、図4は別の態様の化粧シートを作製するときの説明図である。
図5は実施例2により化粧シートを作製するときの説明図である。
【0011】
本発明の化粧シート1は、図1に示すように、裏面にプライマー層16を形成した熱可塑性樹脂シート11の表面に、印刷層12形成し、その印刷シートの印刷面に透明なアクリル樹脂シート13を積層し、その積層シートのアクリル樹脂シート13面にエンボス模様15を形成し、更にその上に、トップコート層14を形成したものである。
また、本発明の別の態様の化粧シートは、図2に示すように、図1における化粧シート1のエンボス模様15の凹部15aに、ワイピイング法により着色インキ17を充填し、更にその上に、トップコート層14を形成したものである。
【0012】
そして、前記トップコート層14は、ガラス転移点が40℃以下で、重量平均分子量が100,000以上のアクリル樹脂と、イソプロピルアルコール(以下IPAとする)と酢酸エチル(以下酢エチとする)の混合溶剤からなる塗料を用いて塗布、乾燥してトップコート層としたものである。
トップコート層を上記組成の塗料を用いて形成することにより、Vカット適性や折り曲げ加工適性に優れ、且つ耐候性のよい化粧シートを得ることができた。
【0013】
熱可塑性樹脂シートとしてポリオレフィン樹脂シートを使用する場合、ポリオレフィン樹脂シート自体に直接印刷したり、接着剤を塗布することも可能であるが、印刷インキや接着剤とポリオレフィン樹脂シートとの接着力を、より強固にする必要が有る場合は、ポリオレフィン樹脂シートの表面に、易接着剤の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理等により、易接着性処理を施す。
本発明の化粧シートにおいて、易接着層(プライマー層、或いはアンカー層とも言う)としては、アクリル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が使用されるが、特に、塩素化ポリプロピレンが望ましい。
【0014】
アクリルとしては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂が挙げられる。但し、ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、ポリアクリル酸メチル又はポリメタクリル酸メチルを意味し、以下(メタ)は同様の意味を示すものとする。
【0015】
ポリウレタンとはポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエスレルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
【0016】
イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。
例えば、2ー4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4ー4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートが用いられる。
【0017】
装飾処理とは、顔料添加による着色、模様の印刷、エンボス加工(加熱プレス)ヘアライン加工等による凹凸模様賦型等のことを言う。
【0018】
添加顔料としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等である。
これらの顔料は、粉末、或いは鱗片状箔片として添加、分散せしめられる。
顔料添加による着色は、透明着色でも、或いは不透明(隠蔽性)着色でもよい。
【0019】
印刷模様としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用いインキ(或いは塗料)にて模様を形成する。
模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、或いは全面ベタ等がある。模様はシートの表面、裏面、表裏両面、或いは層間に設ける。
【0020】
インキ(或いは)塗料としては、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、等を用い、1種又は2種以上混合して用いる。これに前記列挙したような公知の顔料を添加したものを用いる。
【0021】
ポリオレフィン樹脂に直接印刷する場合は、バインダーとして塩素化ポリオレフィン、ポリウレタン等が接着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択して形成すれば、その他のバインダーを用いても十分な接着性を与える。
【0022】
エンボス加工としては、ポリオレフィン樹脂を加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦型し、冷却固定して形成するもので、公知の枚葉、或いは輪転式のエンボス機が用いられる。
凹凸形状としては、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。
【0023】
更に、必要に応じて、凹凸模様の凹凸に公知のワイピング法(特公昭58ー14312号公報等参照)によって、着色インキを充填することもできる。
着色インキは前記と同様のバインダーが使用されるが、耐摩耗性の点で、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーとするものが好ましい。
【0024】
金属薄膜は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。或いは、これらの組み合わせでもい。
該金属薄膜は、全面に設けても、或いは、部分的にパターン状に設けてもよい。
【0025】
本発明の化粧シートは以下のように作製される。
先ず、図3(a)に示すように、熱可塑性樹脂シート11の裏面に、合板等の被接着基材との接着力を高めるために、接着性のプライマー層16を形成し、又、熱可塑性樹脂シート11の表面には、印刷インキとの接着力を上げるために、常法に従って、コロナ処理を行う。
前記コロナ処理した熱可塑性樹脂シート11の表面に、通常はグラビア印刷により、隠蔽性ベタ印刷層12bと絵柄印刷層12aを形成して印刷シート2を作製する。
【0026】
次に、図3(b)に示すように、前記印刷シート2の印刷面にアクリル樹脂シート13をラミネートし、そのアクリル樹脂シートの表面にエンボス模様15を形成して積層シート3を作製する。
積層シートは、通常、公知のダブリングエンボス法によって作製される。
即ち、図3(b)に示すように、前記印刷シート2とアクリル樹脂シート13を重ね合わせ、これをエンボス模様を形成したエンボスロールを用いて、アクリル樹脂シート13がエンボスロールに接触するようにして、加熱、加圧することにより、印刷シートとアクリル樹脂シートを加熱溶融してラミネートすると同時に、アクリル樹脂シートの表面にエンボス模様15を形成して積層シート3を作製する。
【0027】
アクリル樹脂シートの厚さは、20〜100μmの範囲で使用可能であるが、好ましくは30〜75μmがよい。
エンボス模様の凹凸形状としては、木目導管溝、ヘアライン、万線条溝、砂目、梨地等がある。
また、アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂が挙げられる。
尚、ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、ポリアクリル酸メチル又はポリメタクリル酸メチルを意味し、以下(メタ)は同様の意味を示すものとする。
【0028】
更に、図3(c)に示すように、前記エンボス模様を形成した積層シート3のエンボス模様15面に、透明なトップコート層14を形成して化粧シート1とする。
トップコート層14は、前述のように、ガラス転移点が40℃以上で、重量平均分子量が100,000以上のアクリル樹脂と、IPAと酢エチの混合溶剤からなる塗料を用いて、グラビアコート、ロールコート等の公知の塗布方法により塗布、乾燥してトップコート層14としたものである。
トップコート層の厚さは、1〜10μmの範囲で形成されるが、好ましくは、2〜3μmの範囲がよい。
1μm未満ではトップコート層としての保護作用が十分得られない。また、
10μmを超えても、保護効果がそれ以上に向上することがなく、また、Vカットによる折り曲げ加工適性は、トップコート層の厚さを必要以上に厚くすると却って悪くなることがある。
更に、トップコート層を必要以上に厚くするとコストの点で不利となる。
【0029】
トップコート層に使用されるアクリル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が50℃を超えるとアクリル樹脂は固くなり、折り曲げ加工時に割れが生じて、本発明の目的が達成されなくなる。
また、アクリル樹脂の重量平均分子量が100,000未満では、樹脂の軟化点が低くなり過ぎて、化粧シートの製造工程中にブロッキングし易くなり、作業中のトラブルの原因となる。
【0030】
また、アクリル樹脂を溶解する溶剤としては、アルコールと酢酸エステルの混合溶剤を用い、アルコール系を多くすることにより、溶剤によるアタックを低減させることができ、且つ折り曲げ加工時の割れを防止しすることができた。
通常、溶剤としては、IPAと酢エチの混合溶剤が用いられ、その混合割合は、10:0〜4:6の範囲で使用可能であるが、好ましくは6:4がよい。
また、4:6より酢エチの割合を多くすると、アクリル樹脂の耐溶剤性が悪くなり、トップコート層の被膜が溶剤のアタックを受け易くなる。
【0031】
本発明の熱可塑性樹脂シートとしては、ポリオレフィン樹脂が使用される。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PE)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテンー1共重合体、プロピレン・ブテンー1共重合体、ポリブテンー1、ブテンー1・プロピレン・エチレンの3共重合体、ブテンー1・ヘキセンー1・オクテンー1の3共重合体、ポリメチルペンテン、或いは特開平6ー16832号公報等に記載のオレフィン系エラストマー等が使用される。
シートは、厚さが50〜200μmの範囲で、好ましくは100μm前後であり、延伸シート又は未延伸シートのいずれも使用可能であるが、Vカット加工等の加工適性上は未延伸シートの方が良好である。
【0032】
上記ポリオレフィン樹脂は、それ自体単体でも使用されるが、ポリオレフィン樹脂に柔軟性、耐衝撃性、易接着性を付与するために、各種のゴム類を添加して使用することがある。
ゴム類としては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等使用されるが、中でも、水素添加ジエン系ゴムが好ましい。水素添加ジエン系ゴムは、ポリオレフィン樹脂の改質剤として使用されが、ポリオレフィン樹脂の結晶化を抑制し、柔軟性、透明性を向上させる働きがある。
また、一般に、ポリオレフィン樹脂にジエン系ゴムを添加するとジエン系ゴムの二重結合のために、耐候性、耐熱性はジエン系ゴムを添加しないポリオレフィン樹脂より低下するが、本発明ではジエン系ゴムの二重結合を水素で飽和させた水素添加ジエン系ゴムを使用することにより、ポリオレフィン樹脂の耐候性、耐熱性の低下を防止した。
【0033】
水素添加する前のジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等がある。
ジエン系ゴムの添加量としては、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して1〜90重量部の範囲が使用可能であり、添加量が1重量部未満では、弾性、伸び率、耐衝撃性が不足し、Vカット加工、折り曲げ加工時に、亀裂や割れが生じ易くなる。
また、添加量が90重量部では、弾性、伸び率が大きすぎて印刷基材として好ましくない。
【0034】
本発明の化粧シートの別の態様として、図2に示すように、エンボス模様15の凹部15aに着色インキを充填して、意匠性を高めた化粧シートがある。
本発明の化粧シートは、図4(a)及び(b)に示すように、印刷シート2及び積層シート3は、前述の化粧シートと同様に作製される。
次に、図4(c)に示すように、積層シート3の表面に形成されたエンボス模様15面に、ドクターブレードコート法又はナイフコート法にて、凹陥部を含む表面全面に着色インキを塗布し、直ちに、ワイピング法によって凹陥部以外の表面のインキを取り除き、エンボス模様の凹部15aに着色インキ17を充填する。
更に、エンボス模様の凹部15aに着色インキ17を充填した積層シートのエンボス模様面に、図4(d)に示すように、前述の化粧シートと同様に、トップコート層14を形成して化粧シート1する。
【0035】
着色インキ17のインキ組成としては、トップコート層との接着性をよくするために、インキのバインダー及び溶剤はトップコート層と同じアクリル樹脂及び溶剤を用い、これに着色剤その他の添加剤を添加してワイピング用着色インキとした。
即ち、バインダー樹脂は、ガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上のアクリル樹脂を用い、溶剤はIPAと酢エチの混合溶剤を用いて、これに、着色剤として、有機顔料、光輝性顔料等の着色顔料、その他熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などの結着剤樹脂を添加してグラビアインキとした。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
図3(a)に示すように、熱可塑性樹脂シート11として、表面にコロナ処理を施した厚さ0.1mmのポリオレフィン系樹脂シート(タツノ化学(株)製「タフパーTKPS ADIS 」)を用い、その裏面にはエマルジョン系接着剤との接着性を良くするために、接着性のプライマーを塗布してプライマー層16を形成した。
このポリオレフィン樹脂シートの表面にグラビアインキ(昭和インク工業所(株)製「化Xインキ」)を用いて、ベタ印刷層12b及び絵柄印刷層12aを形成した。
次に、図3(b)に示すように、上記印刷シート2の印刷面に、厚さ30μmの透明なアクリル樹脂フィルム13(三菱レーヨン(株)製「HBS-027 」)を重ね合わせ、下記の条件でダブリングエンボスして貼り合わせると同時に、アクリル樹脂フィルム13の表面にエンボス模様15を形成した。
エンボス条件;エンボス圧:20kg/cm2 、ドラム温度:120℃
【0037】
更に、上記エンボス模様を形成した積層シート3のエンボス模様15面に、下記組成のOPインキ(A)を塗布して、図3(c)に示すように、トップコート層14(乾物としての厚さ3μm)を形成して化粧シート1を作製した。
OPインキ(A)の組成
・アクリル樹脂成分 30重量部
・ポリエチレンワックス 1重量部
・溶剤(IPA/酢酸エチル=60/40) 70重量部
但し、アクリル樹脂成分は、ガラス転移点40℃、重量平均分子量120,000のアクリル樹脂100重量部に対して硬化剤12重量部を添加したものである。
【0038】
(実施例2)
熱可塑性樹脂シート11として、両面にコロナ処理した厚さ0.1mmのPPシート(理研ビニル工業(株)製)を用い、図5(a)に示すように、このPPシート11の表面に、実施例1と同じグラビアインキを用いて、ベタ印刷層12b及び絵柄印刷層12aを形成して印刷シート2を作製した。
実施例1と同様に、その印刷シートと透明なアクリル樹脂フィルム13をダブリングエンボスして貼り合わせ、図5(b)に示すように、積層シート3の表面にエンボス模様15を形成した。
【0039】
次に、エンボス模様を形成した積層シート3のエンボス模様面に、下記のワイピング着色インキを塗布し、ワイピング法によって余分なインキを除去して、図5(c)に示すように、エンボス模様の凹部15aに着色インキ17を充填した。
ワイピングインキ組成
・アクリル樹脂成分 30重量部
・着色剤 5重量部
・溶剤 70重量部
但し、アクリル樹脂成分は、ガラス転移点30℃、重量平均分子量200,000のアクリル樹脂100重量部に対して硬化剤12重量部を添加したものである。
【0040】
更に、上記ワイピング着色インキを施した積層シートのエンボス模様面に、下記組成のOPインキ(B)を塗布してトップコート層(乾物としての厚さ30μm)を形成して、図5(d)に示すように、化粧シート1を作製した。
OPインキ(B)の組成
・アクリル樹脂成分 30重量部
・溶剤(IPA/酢酸エチル=60/40) 70重量部
但し、アクリル樹脂成分は、ガラス転移点30℃、重量平均分子量200,000のアクリル樹脂100重量部に対して硬化剤12重量部を添加したものである。
【0041】
(比較例1)
実施例1と同様に、ポリオレフィン樹脂シートのタフパー及びグラビアインキを用いて、図3(a)に示すように、印刷シート2を作製した。
この印刷シート2と透明なアクリル樹脂フィルム13を、実施例1と同様に、ダブリングエンボスして貼り合わせ、図3(b)に示すように、積層シート3の表面にエンボス模様15を形成した。
上記エンボス模様を形成した積層シート3のエンボス模様面に、下記組成のOPインキ(C)を塗布して、図3(c)に示すように、トップコート層14(乾物としての厚さ3μm)を形成して化粧シート1を作製した。
OPインキ(C)の組成
・アクリル樹脂成分 30重量部
・溶剤(IPA/酢酸エチル=60/40) 70重量部
但し、アクリル樹脂成分は、ガラス転移点50℃、重量平均分子量40,000のアクリル樹脂100重量部に対して硬化剤12重量部を添加したものである。
【0042】
(比較例2)
比較例1のOP層を下記組成のOPインキ(D)を用いて形成した。
OPインキ(D)の組成
・アクリル樹脂成分 30重量部
・溶剤(IPA/酢酸エチル=60/40) 70重量部
但し、アクリル樹脂成分は、ガラス転移点90℃、重量平均分子量80,000のアクリル樹脂100重量部に対して硬化剤12重量部を添加したものである。
【0043】
実施例1、2及び比較例1、2で作製した化粧シートを合板に貼り付け、その化粧合板について、Vカットによる折り曲げ試験を行った。
また、化粧シートについて、常法に従ってブロッキング試験を行った。
試験結果は表1に示すとおりである。
【0044】
【表1】
【0045】
表1の結果から分かるように、実施例1、2で作製した化粧シートは、折り曲げ試験で割れが発生することなく、加工適性が良好であった。また、化粧シートのブロッキングもなく取扱作業中にトラブルが発生することもなかった。
これに対して、トップコート層に分子量が40,000と小さいアクリル樹脂を使用した比較例1では、化粧シートにブロッキングが発生して取扱作業上問題であり、また、ブロッキングを防止するために、Tgの高い(90℃)アクリル樹脂を使用した比較例2では、折り曲げ試験で割れが発生して加工適性が悪くなった。
従って、本発明において、トップコート層に使用されるアクリル樹脂を、Tgが50℃以下、重量平均分子量を100,000以上に設定したことは非常に効果的あることが実証された。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、化粧シートの熱可塑性樹脂シートとして、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂シートを使用し、そのポリオレフィン樹脂シートの片面に、印刷インキ層、アクリル樹脂シートを順次積層して積層シートを作製し、該積層シートのアクリル樹脂シート表面にエンボス模様を形成した後、その上に、ガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上であるアクリル樹脂と、イソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤からなる塗料を用いて、トップコート層を形成することにより、Vカット適性や折り曲げ加工適性に優れ、且つ耐候性のよい化粧シートを得ることができる。
また、化粧シートの意匠性を高めるために、前記化粧シートのエンボス模様の凹部に、ワイピング加工法により着色インキを充填して化粧シートを作製し、その着色インキのバインダーとしてトップコート層と同じ樹脂を使用して、層間の接着力を高めて、Vカット適性や折り曲げ加工適性の向上を図った。
更に、本発明の化粧シートは、ポリ塩化ビニルシートの代りに、ポリオレフィン樹脂シートを使用したので、従来の化粧シートの大きな問題であった、ポリ塩化ビニルシートによる塩素や塩化水素の発生問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一例を示す拡大断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの別の例を示す拡大断面図である。
【図3】化粧シートを作製するときの説明図であり、
(a) 熱可塑性樹脂シートにベタ印刷層及び絵柄印刷層を形成した印刷シートの模式断面図である。
(b) 前記印刷シートとアクリル樹脂シートをダブリングエンボスした積層シートの模式断面図である。
(c) 前記積層シートにトップコート層を形成した化粧シートの模式断面図である。
【図4】別の態様の化粧シートを作製するときの説明図であり、
(a) 熱可塑性樹脂シートにベタ印刷層及び絵柄印刷層を形成した印刷シートの模式断面図である。
(b) 前記印刷シートとアクリル樹脂シートをダブリングエンボスした積層シートの模式断面図である。
(c) 前記積層シートのエンボス模様の凹部に着色インキを充填した積層シートの模式断面図である。
(d) 前記エンボス模様の凹部に着色インキを充填した積層シートにトップコート層を形成した化粧シートの模式断面図である。
【図5】実施例2により化粧シートを作製するときの説明図であり、
(a) 熱可塑性樹脂シートにベタ印刷層及び絵柄印刷層を形成した印刷シートの模式断面図である。
(b) 前記印刷シートとアクリル樹脂シートをダブリングエンボスした積層シートの模式断面図である。
(c) 前記積層シートのエンボス模様の凹部に着色インキを充填した積層シートの模式断面図である。
(d) 前記エンボス模様の凹部に着色インキを充填した積層シートにトップコート層を形成した化粧シートの模式断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 印刷シート
3 積層シート
11 熱可塑性樹脂シート(フィルム)
12 印刷層
12a 絵柄印刷層
12b ベタ印刷層
13 アクリル樹脂シート
14 トップコート層
15 エンボス模様
15a エンボス模様の凹部
16 プライマー層
17 着色インキ
Claims (7)
- 装飾処理を施した熱可塑性樹脂シートの表面に、アクリル樹脂シートが積層され、該アクリル樹脂シート表面にエンボス模様及びトップコート層を形成した化粧シートにおいて、該トップコート層がガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上であるアクリル樹脂からなり且つ厚さ1〜10μmであることを特徴とする化粧シート。
- 装飾処理を施した熱可塑性樹脂シートの片面に、アクリル樹脂シートが積層され、該アクリル樹脂シートの表面にエンボス模様及びトップコート層を形成した化粧シートにおいて、該トップコート層が、ガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上であるアクリル樹脂と、イソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤からなる塗料を用いて形成されていることを特徴とする化粧シート。
- 前記熱可塑性樹脂シートが、ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
- 前記エンボス模様の凹部に、ワイピング加工法により着色インキ層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
- 前記着色インキ層がガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上であるアクリル樹脂からなることを特徴とする請求項4に記載の化粧シート。
- 前記着色インキ層が、ガラス転移点が50℃以下で、重量平均分子量が100,000以上であるアクリル樹脂と、イソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤と、着色剤を主成分とする組成物からなる塗料を用いて形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の化粧シート。
- 前記化粧シートの裏面にプライマー層を形成したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。
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