JP3765853B2 - 冷媒輸送用ホース及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自動車用クーラーやエアコン等の配管用ホースとして好適な冷媒輸送用ホース及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
自動車用クーラー等の配管などに用いられる冷媒輸送用ホースにおいては、フロンの漏洩を防ぐ目的で、樹脂からなるガスバリア層を内管のゴム層の内側に配置した複合ホースが提案されている。この場合、上記冷媒輸送用ホースにおいて、冷媒としてフロン134aを用いた場合、内管ゴム層としてはイオウ加硫のブチルゴム又は樹脂加硫のIIR(イソブチレンイソプレンゴム)が用いられている。これらのゴムが用いられている理由は、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)やアクリルゴムと比較すると耐透水性に優れているので、ホース内に水分を透過させることがなく、このためシステムに悪影響を及ぼすことがないからである。
【0003】
しかしながら、本発明者らの検討によると、イオウ加硫ブチルゴムは加熱によって軟化が生じるので耐久性に劣り、上記内管ゴム層として長期間使用した場合、バーストや吹き抜けが起こるという問題がある。また、イオウ加硫ブチルゴムは耐永久圧縮歪性に劣るので、ゴムの熱老化に伴う熱軟化が加わった場合、冷媒の漏れが生じるという問題もある。また、樹脂加硫ブチルゴムはイオウ加硫ブチルゴムと比較して耐永久圧縮歪性に優れ、かつ熱軟化も抑えることができるが、加硫には高温を必要とし、このため加硫に要するエネルギー消費量が多く、かつ高温での加硫方法には限界があり、従って、樹脂加硫ブチルゴムは生産性が悪いという問題がある。たとえ、樹脂加硫ゴムをイオウ加硫ブチルゴムと同一の加硫条件で加硫したとしても、耐永久圧縮歪性はイオウ加硫ブチルゴムよりも劣るという問題がある。
【0004】
また、イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合物でパラメチルスチレンの一部を臭素化した共重合体は、優れた耐熱軟化性、耐熱性、耐永久圧縮歪性を有していることから注目されているが、異種材料との接着が困難で、他の材料と複合化したホースなどを製造し難い。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、耐熱軟化性、耐熱性、耐永久圧縮歪性が優れ、かつ樹脂とゴムとが強固に接着し、冷媒漏れのない冷媒輸送用ホース及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、内側樹脂層と外側ゴム層とで構成される内管層を備えた冷媒輸送用ホースにおいて、上記外側ゴム層をイソブチレンとパラメチルスチレンとの共重合物でパラメチルスチレンの一部を臭素化した共重合体(以下、臭素化IB−PMS共重合体という)を主成分とし、かつ下記式(1)で示されるアルコキシシラン化合物を配合してなるゴム組成物で形成することにより、内側樹脂層と外側ゴム層とが容易にかつ堅固に接着し得、耐熱軟化性、耐熱性、耐永久圧縮歪性が優れ、かつ冷媒漏れがない冷媒輸送用ホースを製造することができることを見い出した。
【0007】
またこの場合、上記冷媒輸送用ホースの製造方法において、上記外側ゴム層を積層する前に上記内側樹脂層表面をプラズマ処理、コロナ放電処理又は紫外線照射により改質することがより有効であり、この改質表面に上記ゴム組成物を貼り合わせることにより、臭素化IB−PMS共重合体の接着性がより堅固になることを見い出し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
【化2】
(但し、式中R1はアルコキシ基,R2はアミノ基を含有する基を示し、R3,R4はアルキル基を示す。)
【0009】
従って、本発明は、内側樹脂層と外側ゴム層とで構成される内管層を備えた冷媒輸送用ホースにおいて、上記外側ゴム層がイソブチレンとパラメチルスチレンとの共重合物でパラメチルスチレンの一部を臭素化した共重合体と上記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物とを配合してなるゴム組成物で形成されてなることを特徴とする冷媒輸送用ホース、及び内側樹脂層と外側ゴム層とで構成される内管層を備えた冷媒輸送用ホースの製造方法において、上記外側ゴム層を積層する前に上記内側樹脂層表面にプラズマ処理、コロナ処理又は紫外線照射処理を施すことを特徴とする上記冷媒輸送用ホースの製造方法を提供する。
【0010】
以下、本発明を更に詳しく説明すると、本発明に係る冷媒輸送用ホースとしては、例えば図1に示す構造のものが挙げられる。この冷媒輸送用ホース6は、最内層が樹脂層1から構成され、その上に外側ゴム層(内管ゴム層)2が積層されてなる内管層3が、補強糸及び中間ゴム層4を介して外被ゴム層5で被覆されたものである。
【0011】
本発明の冷媒輸送用ホースは、上述の外側ゴム層が、臭素化IB−PMS共重合体を主成分とし、かつアルコキシシラン化合物を配合してなるゴム組成物で形成されてなるものである。
【0012】
ここで、臭素化IB−PMS共重合体は、特開平2−150408号公報に記載されているように、IB−PMS共重合体のPMSの一部が架橋のため臭素化されているものである。この場合、臭素化の割合は共重合されたPMSの10〜80%、特に20〜70%とすることが好ましい。この割合が10%未満では架橋効率が悪くなり、また80%を超えると耐熱性が悪くなる場合がある。
【0013】
また、イソブチレンとパラメチルスチレンの重合割合はPMSが2〜20%(重量%、以下同じ)、特に5〜10%とすることが好ましい。パラメチルスチレンの重合割合が20%を超えるとTg(ガラス転移点)が高くなり、ゴムの特性が失われる場合があり、また、2%未満では架橋効率が悪くなる場合がある。
【0014】
次に、アルコキシシラン化合物としては、下記式(1)で示されるものを使用する。
【0015】
【化3】
(但し、式中R1はアルコキシ基,R2はアミノ基を含有する基を示し、R3,R4はアルキル基を示す。)
【0016】
ここで、R1は、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を示し、R2としてはアミノアルキル基などが挙げられる。
【0017】
R3,R4はそれぞれ炭化水素基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であり、即ち−OR3、−OR4はメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基である。
【0018】
式(1)のアルコキシシラン化合物として具体的には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好適に用いられる。
【0019】
上記アルコキシシラン化合物の配合量は、上記臭素化IB−PMS共重合体100重量部に対して0.05〜5重量部、特に0.05〜1重量部が好ましく、0.05重量部に満たないと十分な接着力が得られない恐れがあり、5部を超えると材料コストが増大する上、ゴム練り機での作業性を低下させるといった問題が生じる場合がある。
【0020】
上記式(1)のアルコキシシラン化合物をゴム組成物に配合する場合は、通常の方法で添加・混合することができるが、作業性を良くする目的で一旦シリカ等と混ぜ合わせ、その後で臭素化IB−PMS共重合体と混ぜ合わせてもよい。
【0021】
上記ゴム組成物は、臭素化IB−PMS共重合体及びアルコキシシラン化合物のみから構成してもよいが、必要によりカーボンブラックやケイ酸などの補強剤、炭酸カルシウム、マイカなどの充填剤、加硫促進剤や加硫助剤などを配合することができる。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0022】
本発明に係るホースにおいて、内側ガスバリア層である樹脂層1を形成する材質に特に制限はないが、ナイロン6を50〜70%(重量%、以下同じ)、ナイロン12を15〜40%及びポリオレフィンを5〜20%含む樹脂で構成することが好ましい。
【0023】
ここで、ナイロン6が50%より少ないか、ナイロン12が40%より多い場合には、フロン透過量が多くなり、透過により冷房能力が劣るために冷媒を何度か補充することが必要となる場合がある。また、ポリオレフィンが20%よりも多い場合には、乾熱老化後の樹脂の伸びが低下し、ホースが極度に曲げられる状況では、樹脂層に亀裂が生じる場合がある。ナイロン12が15%より少ない場合には、熱水老化後の樹脂の伸びが低下し、吸湿性の高い潤滑油をホース内に用いた場合には、樹脂に亀裂が生じる場合がある。ナイロン6が70%より多いか、ポリオレフィンが5%より少ない場合には、樹脂に柔軟性が付与されず、ホースの耐久性に問題が生じる場合がある。
【0024】
なお、本発明において、ポリオレフィンはアイオノマーやα−オレフィン共重合物等の変性オレフィンであってもよい。また、樹脂層を構成する樹脂には、必要に応じて耐熱剤、老化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
【0025】
樹脂層を構成する好ましい樹脂は、上記配合組成の樹脂であって、かつナイロン6の海相と、ナイロン12の島相とで主に構成され、全ポリオレフィンのうち90%以上がナイロン12の島相中に散点状に分散したものである。
【0026】
本発明の冷媒輸送用ホースは、上記した冷媒輸送用ホースにおいて、内側樹脂層1に上記ゴム組成物からなる外側ゴム層(内管ゴム層)2を積層することが、この場合、本発明においては、内側樹脂層1の表面をプラズマ放電処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理などの前処理を行った後、外側ゴム層(内管ゴム層)2を積層することが、接着性向上の点から推奨される。ここで、これらの処理は常法に従って行うことができるが、プラズマ放電処理の条件としては、圧力1乃至100000パスカル、雰囲気ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素がより好適である。放電周波数、放電出力、処理時間は、処理装置の形状や大きさによって適宜調整することが望ましいが、通常は周波数13.56MHz、出力10〜1000ワット、処理時間5秒〜10分間程度が好適である。
【0027】
また、コロナ放電処理は、通常、装置の手軽さから空気中で行われることが多いが、処理効果を向上させ接着性を高めるためにアルゴンガス等の不活性ガスや酸素、窒素などのガス雰囲気で処理を実施してもよいし、これらのガスを電極近傍に吹き付けながら処理をしてもよい。特に窒素ガス中でコロナ放電処理を行うと、処理効果が高く、ランニングコストも比較的低く抑えられ、更に空気中でコロナ放電処理を実施した場合に発生するオゾン処理をする必要がないという利点がある。
【0028】
コロナ放電処理の周波数は、適宜調整し得るが、処理効果と効率の点から通常は5kHz以上、特に20〜30kHzが好適である。5kHzより低いと安定で均一な処理ができ難く、かつ電力消費量も大きくなってしまうため、電力コストが高くなり、電極の耐久性も短くなってしまうという場合がある。
【0029】
また、放電出力、処理時間は被処理物の材質、形状、大きさや、電極の形状、大きさ等に応じて適宜調整するのが良いが、通常は50〜5000ワット、1〜60秒程度が好適である。
【0030】
紫外線照射処理の光源としては、水銀ランプ、ハロゲンランプ、エキシマランプ、エキシマレーザー等が用いられる。処理は空気中で行ってもよいが、窒素ガス雰囲気で行うこともできる。光源出力及び照射時間に特に制限はなく、光源の種類、特性、処理雰囲気、被処理物までの距離、被処理物の材質、形状等に応じて適宜調整するのがよい。
【0031】
なお、内側樹脂層と外側ゴム層とを接着させる場合、工程を簡易化できて廃溶液が発生しないという点で、両者の間に接着剤を塗布しないことが望ましいが、接着剤を使用しても差し支えないし、上記の表面処理と接着剤塗布を併用しても構わない。ここで用いる接着剤としては、塩化ゴム系接着剤、塩酸ゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、イソシアネート系接着剤など、一般に用いられているゴム用加硫接着剤であればどのようなものでもよい。
【0032】
本発明に係る冷媒輸送用ホースのその他の構成については、特に制限はなく、通常の冷媒輸送用ホースの構成を採用することができる。例えば、図1に示す冷媒輸送用ホース6において、補強糸としては、ビニロン、ポリエステル、ナイロン、アラミド等からなる繊維を用いることができ、これらをスパイラル状又はブレード状に編んだ構造で被覆することができる。また、中間ゴム層は、ブチルゴム等の層とすることができ、外被ゴム5はEPDM、CR、H−NBR(水素添加NBR)、Cl−IIR(塩素化ブチルゴム)等のゴム層により形成することができる。
【0033】
上記冷媒輸送用ホースにおいて、内側樹脂層1は、耐フロン透過性と柔軟性との兼ね合いから0.05〜0.3mm程度とするのが好ましい。また、外側ゴム層2は、耐水分透過性と柔軟性との兼ね合いから1〜4mmとすることが好ましい。
【0034】
更に、補強糸及び中間ゴム層4の厚さは1.4〜2.6mm、外被ゴム層5の厚さは1〜2mmとすることが好ましい。
【0035】
本発明の冷媒輸送用ホースは、例えば樹脂をチューブ状に押し出して必要に応じて表面処理を行い、更に必要に応じて樹脂表面に接着剤の塗布及び乾燥を行い、次いでこのチューブ状樹脂の外側にゴム組成物を押し出し、更に補強系を含む中間ゴム層、外皮ゴム層を形成した後、この一体物をホース形状に整えて加硫することで容易に製造することができる。この場合、加硫条件は、140〜190℃で15〜120分とすることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の冷媒輸送用ホースは、内管層を形成する内側樹脂層と外側ゴム層とが強固に接着し、冷媒漏れもなく、耐熱軟化性、耐熱性、耐永久圧縮歪性が優れ、生産性よく製造することができるもので、本発明方法によれば、上記冷媒輸送用ホースを生産性よく得ることが可能である。従って、本発明の冷媒輸送用ホースは、自動車用エアコン等の配管などとして極めて有用である。
【0037】
【実施例】
以下、実験例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0038】
〔実験例〕
6・66共重合ナイロン(ウベ興産社製5033)及び12ナイロン(ウベ興産社製3035)の2種類の樹脂をそれぞれTダイ押し出しにて150ミクロン厚フィルムとして押し出した。
【0039】
次に、表1に示すように上記フィルムに下記方法で各々プラズマ処理、コロナ処理(1)、コロナ処理(2)、紫外線照射処理、接着剤塗布を行った。
プラズマ処理:
外部電極型の10×25cmで間隔が15cmの平行平板電極を備えたガラス製真空容器内で0.7torrの圧力のアルゴンガス雰囲気にて日本高周波社製の高周波電源(SKN−05P)及びマッチングボックス(MB−500)を使用し、13.56MHz、出力100Wにて3分間プラズマ処理を施した。
コロナ処理(1):
100mm長で4mm幅、表面を厚さ1mmのテフロン(PTFEのデュポン社商標)で被覆した電極と、150×150mmの大きさで前記電極と5mm間隔に配置したアース電極からなるコロナ処理電極と、TANTEC社製コロナ電源HV05−2を用いて、空気中にて出力80Wで放電せしめ、この放電内に前記ナイロンフィルムを1m/分のスピードで通過させた。
コロナ処理(2):
前記のコロナ処理電極全体を容積が180×180×900mmでガスの吸入口と、100×0.5mmのフィルム出入口が備わった容器中に設置した。次に、1リットル/minの流量の窒素ガスをガス吸入口から5分間流して容器内の空気を窒素ガスで置換した。この状態でコロナ処理(1)と同条件で前記ナイロンフィルムを処理した。
紫外線照射処理:
ウシオ電機社製の誘電バリア型エキシマ紫外線ランプ(型番VES20−172)を用い、空気中で照射窓からの距離5mmの位置にナイロンフィルムを置き、5分間紫外線にフィルム表面を露光した。
接着剤塗布:
ナイロンフィルムに市販の加硫接着剤(LORD社製Chemlok220)を乾燥膜厚が約40μmになるように刷毛塗りした。
未処理:
比較品として全く表面改質処理を施さないものを用意した。
【0040】
【表1】
【0041】
次に、表2に示す4種類の組成のゴム組成物(未加硫)を3mm厚さにシーティングし、前述の表面処理を施したナイロンフィルムを処理面がゴム側になるように表3に示すような組み合わせで貼り合わせ、熱プレスにて圧力5kgf/cm2、温度140℃の条件で80分間加硫した。
【0042】
加硫後の樹脂(ナイロン)−ゴム積層物を12mm幅にカットし、島津製作所社製オートグラフにて引張り速度50mm/分でT−剥離法にてナイロン−ゴム間の接着力を測定した。結果を表3に示す。
【0043】
表3に示すように本発明に係わる樹脂(ナイロン)−ゴム積層物は接着性に優れていることが確認された。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
[実施例]
図1に示す構造の冷媒輸送用ホースを製造した。まず、60%のナイロン6、30%のナイロン12、10%のポリオレフィンからなる組成物を内径11.0mm、厚み100ミクロンのチューブ状に押し出した。次に、図2に示すコロナ処理電極を用い、窒素ガス雰囲気にて25kHz、300Wでコロナ放電を発生させ、前記ナイロンチューブを5m/分の速度で通過させた(樹脂チューブI)。この場合、コロナ処理電極は、絶縁体7がテフロン(PTFE)、電極8がステンレス、被処理物の樹脂チューブはマンドレル9の周囲に形成されており、窒素ガスが窒素導入管10から導入されるものである。なお、絶縁体7は、この電極においてマンドレルを電極中心に位置せしめるためのガイドと放電部分を高濃度の窒素雰囲気に保つためのハウジングを兼ねている。
【0047】
更に、実験例のゴム組成物(n)と同様の組成のゴムを上記チューブ状樹脂の外側に押し出し、内管ゴム層を形成した。この時の内管ゴム層の厚さは1.5mmであった。
【0048】
次に、ポリエステル製の補強糸と表4に示す配合のゴムを中間層4として配し、更にその上に表5に示す配合のゴムを外被ゴム層5として,厚さ1.2mm、外径18.5mmに押し出し、この一体化物をホース形状に整えて150℃で45分間加硫した(ホースA)。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
次に、ホースAに用いたのと同じコロナ処理を施した樹脂チューブDの表面に市販のゴム用接着剤(LORD社製Chemlok220)を塗布し、乾燥させた(チューブII)。チューブEの外側に実験例のゴム組成物(n)と同様の組成のゴムを押し出し、内管ゴム層を形成した。以下ホースAと全く同じ手順でホースを作成した(ホースB)。
【0052】
また、比較例として、チューブE(接着剤塗布したもの)の外側に実験例のゴム組成物(m)と同様のゴムを押し出し、以下同様にしてホースCを作成した。
【0053】
ホースA,B,Cを切り開き、樹脂層と内管ゴム層管の接着性を下記方法で調べた。
【0054】
上記各例で製造したホースについて、性能確認試験を以下の方法で行った。
接着力試験:
樹脂層と内管ゴム層との間の接着力を180度剥離法で測定し、破壊形態を観察した。
【0055】
上記試験結果より、ホースA及びホースBは接着していたが、ホースCは接着が不十分であり、本発明に係わるホースは樹脂層と内管ゴム層との間の接着性が高いことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷媒輸送用ホースの一例を示す斜視図である。
【図2】実施例で使用したコロナ処理電極を示す斜視図である。
【図3】実施例で使用したコロナ処理電極を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 内側樹脂層
2 外側ゴム層
3 内管層
4 中間ゴム層
5 外被ゴム層
6 冷媒輸送用ホース
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自動車用クーラーやエアコン等の配管用ホースとして好適な冷媒輸送用ホース及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
自動車用クーラー等の配管などに用いられる冷媒輸送用ホースにおいては、フロンの漏洩を防ぐ目的で、樹脂からなるガスバリア層を内管のゴム層の内側に配置した複合ホースが提案されている。この場合、上記冷媒輸送用ホースにおいて、冷媒としてフロン134aを用いた場合、内管ゴム層としてはイオウ加硫のブチルゴム又は樹脂加硫のIIR(イソブチレンイソプレンゴム)が用いられている。これらのゴムが用いられている理由は、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)やアクリルゴムと比較すると耐透水性に優れているので、ホース内に水分を透過させることがなく、このためシステムに悪影響を及ぼすことがないからである。
【0003】
しかしながら、本発明者らの検討によると、イオウ加硫ブチルゴムは加熱によって軟化が生じるので耐久性に劣り、上記内管ゴム層として長期間使用した場合、バーストや吹き抜けが起こるという問題がある。また、イオウ加硫ブチルゴムは耐永久圧縮歪性に劣るので、ゴムの熱老化に伴う熱軟化が加わった場合、冷媒の漏れが生じるという問題もある。また、樹脂加硫ブチルゴムはイオウ加硫ブチルゴムと比較して耐永久圧縮歪性に優れ、かつ熱軟化も抑えることができるが、加硫には高温を必要とし、このため加硫に要するエネルギー消費量が多く、かつ高温での加硫方法には限界があり、従って、樹脂加硫ブチルゴムは生産性が悪いという問題がある。たとえ、樹脂加硫ゴムをイオウ加硫ブチルゴムと同一の加硫条件で加硫したとしても、耐永久圧縮歪性はイオウ加硫ブチルゴムよりも劣るという問題がある。
【0004】
また、イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合物でパラメチルスチレンの一部を臭素化した共重合体は、優れた耐熱軟化性、耐熱性、耐永久圧縮歪性を有していることから注目されているが、異種材料との接着が困難で、他の材料と複合化したホースなどを製造し難い。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、耐熱軟化性、耐熱性、耐永久圧縮歪性が優れ、かつ樹脂とゴムとが強固に接着し、冷媒漏れのない冷媒輸送用ホース及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、内側樹脂層と外側ゴム層とで構成される内管層を備えた冷媒輸送用ホースにおいて、上記外側ゴム層をイソブチレンとパラメチルスチレンとの共重合物でパラメチルスチレンの一部を臭素化した共重合体(以下、臭素化IB−PMS共重合体という)を主成分とし、かつ下記式(1)で示されるアルコキシシラン化合物を配合してなるゴム組成物で形成することにより、内側樹脂層と外側ゴム層とが容易にかつ堅固に接着し得、耐熱軟化性、耐熱性、耐永久圧縮歪性が優れ、かつ冷媒漏れがない冷媒輸送用ホースを製造することができることを見い出した。
【0007】
またこの場合、上記冷媒輸送用ホースの製造方法において、上記外側ゴム層を積層する前に上記内側樹脂層表面をプラズマ処理、コロナ放電処理又は紫外線照射により改質することがより有効であり、この改質表面に上記ゴム組成物を貼り合わせることにより、臭素化IB−PMS共重合体の接着性がより堅固になることを見い出し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
【化2】
(但し、式中R1はアルコキシ基,R2はアミノ基を含有する基を示し、R3,R4はアルキル基を示す。)
【0009】
従って、本発明は、内側樹脂層と外側ゴム層とで構成される内管層を備えた冷媒輸送用ホースにおいて、上記外側ゴム層がイソブチレンとパラメチルスチレンとの共重合物でパラメチルスチレンの一部を臭素化した共重合体と上記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物とを配合してなるゴム組成物で形成されてなることを特徴とする冷媒輸送用ホース、及び内側樹脂層と外側ゴム層とで構成される内管層を備えた冷媒輸送用ホースの製造方法において、上記外側ゴム層を積層する前に上記内側樹脂層表面にプラズマ処理、コロナ処理又は紫外線照射処理を施すことを特徴とする上記冷媒輸送用ホースの製造方法を提供する。
【0010】
以下、本発明を更に詳しく説明すると、本発明に係る冷媒輸送用ホースとしては、例えば図1に示す構造のものが挙げられる。この冷媒輸送用ホース6は、最内層が樹脂層1から構成され、その上に外側ゴム層(内管ゴム層)2が積層されてなる内管層3が、補強糸及び中間ゴム層4を介して外被ゴム層5で被覆されたものである。
【0011】
本発明の冷媒輸送用ホースは、上述の外側ゴム層が、臭素化IB−PMS共重合体を主成分とし、かつアルコキシシラン化合物を配合してなるゴム組成物で形成されてなるものである。
【0012】
ここで、臭素化IB−PMS共重合体は、特開平2−150408号公報に記載されているように、IB−PMS共重合体のPMSの一部が架橋のため臭素化されているものである。この場合、臭素化の割合は共重合されたPMSの10〜80%、特に20〜70%とすることが好ましい。この割合が10%未満では架橋効率が悪くなり、また80%を超えると耐熱性が悪くなる場合がある。
【0013】
また、イソブチレンとパラメチルスチレンの重合割合はPMSが2〜20%(重量%、以下同じ)、特に5〜10%とすることが好ましい。パラメチルスチレンの重合割合が20%を超えるとTg(ガラス転移点)が高くなり、ゴムの特性が失われる場合があり、また、2%未満では架橋効率が悪くなる場合がある。
【0014】
次に、アルコキシシラン化合物としては、下記式(1)で示されるものを使用する。
【0015】
【化3】
(但し、式中R1はアルコキシ基,R2はアミノ基を含有する基を示し、R3,R4はアルキル基を示す。)
【0016】
ここで、R1は、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を示し、R2としてはアミノアルキル基などが挙げられる。
【0017】
R3,R4はそれぞれ炭化水素基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であり、即ち−OR3、−OR4はメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基である。
【0018】
式(1)のアルコキシシラン化合物として具体的には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好適に用いられる。
【0019】
上記アルコキシシラン化合物の配合量は、上記臭素化IB−PMS共重合体100重量部に対して0.05〜5重量部、特に0.05〜1重量部が好ましく、0.05重量部に満たないと十分な接着力が得られない恐れがあり、5部を超えると材料コストが増大する上、ゴム練り機での作業性を低下させるといった問題が生じる場合がある。
【0020】
上記式(1)のアルコキシシラン化合物をゴム組成物に配合する場合は、通常の方法で添加・混合することができるが、作業性を良くする目的で一旦シリカ等と混ぜ合わせ、その後で臭素化IB−PMS共重合体と混ぜ合わせてもよい。
【0021】
上記ゴム組成物は、臭素化IB−PMS共重合体及びアルコキシシラン化合物のみから構成してもよいが、必要によりカーボンブラックやケイ酸などの補強剤、炭酸カルシウム、マイカなどの充填剤、加硫促進剤や加硫助剤などを配合することができる。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0022】
本発明に係るホースにおいて、内側ガスバリア層である樹脂層1を形成する材質に特に制限はないが、ナイロン6を50〜70%(重量%、以下同じ)、ナイロン12を15〜40%及びポリオレフィンを5〜20%含む樹脂で構成することが好ましい。
【0023】
ここで、ナイロン6が50%より少ないか、ナイロン12が40%より多い場合には、フロン透過量が多くなり、透過により冷房能力が劣るために冷媒を何度か補充することが必要となる場合がある。また、ポリオレフィンが20%よりも多い場合には、乾熱老化後の樹脂の伸びが低下し、ホースが極度に曲げられる状況では、樹脂層に亀裂が生じる場合がある。ナイロン12が15%より少ない場合には、熱水老化後の樹脂の伸びが低下し、吸湿性の高い潤滑油をホース内に用いた場合には、樹脂に亀裂が生じる場合がある。ナイロン6が70%より多いか、ポリオレフィンが5%より少ない場合には、樹脂に柔軟性が付与されず、ホースの耐久性に問題が生じる場合がある。
【0024】
なお、本発明において、ポリオレフィンはアイオノマーやα−オレフィン共重合物等の変性オレフィンであってもよい。また、樹脂層を構成する樹脂には、必要に応じて耐熱剤、老化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
【0025】
樹脂層を構成する好ましい樹脂は、上記配合組成の樹脂であって、かつナイロン6の海相と、ナイロン12の島相とで主に構成され、全ポリオレフィンのうち90%以上がナイロン12の島相中に散点状に分散したものである。
【0026】
本発明の冷媒輸送用ホースは、上記した冷媒輸送用ホースにおいて、内側樹脂層1に上記ゴム組成物からなる外側ゴム層(内管ゴム層)2を積層することが、この場合、本発明においては、内側樹脂層1の表面をプラズマ放電処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理などの前処理を行った後、外側ゴム層(内管ゴム層)2を積層することが、接着性向上の点から推奨される。ここで、これらの処理は常法に従って行うことができるが、プラズマ放電処理の条件としては、圧力1乃至100000パスカル、雰囲気ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素がより好適である。放電周波数、放電出力、処理時間は、処理装置の形状や大きさによって適宜調整することが望ましいが、通常は周波数13.56MHz、出力10〜1000ワット、処理時間5秒〜10分間程度が好適である。
【0027】
また、コロナ放電処理は、通常、装置の手軽さから空気中で行われることが多いが、処理効果を向上させ接着性を高めるためにアルゴンガス等の不活性ガスや酸素、窒素などのガス雰囲気で処理を実施してもよいし、これらのガスを電極近傍に吹き付けながら処理をしてもよい。特に窒素ガス中でコロナ放電処理を行うと、処理効果が高く、ランニングコストも比較的低く抑えられ、更に空気中でコロナ放電処理を実施した場合に発生するオゾン処理をする必要がないという利点がある。
【0028】
コロナ放電処理の周波数は、適宜調整し得るが、処理効果と効率の点から通常は5kHz以上、特に20〜30kHzが好適である。5kHzより低いと安定で均一な処理ができ難く、かつ電力消費量も大きくなってしまうため、電力コストが高くなり、電極の耐久性も短くなってしまうという場合がある。
【0029】
また、放電出力、処理時間は被処理物の材質、形状、大きさや、電極の形状、大きさ等に応じて適宜調整するのが良いが、通常は50〜5000ワット、1〜60秒程度が好適である。
【0030】
紫外線照射処理の光源としては、水銀ランプ、ハロゲンランプ、エキシマランプ、エキシマレーザー等が用いられる。処理は空気中で行ってもよいが、窒素ガス雰囲気で行うこともできる。光源出力及び照射時間に特に制限はなく、光源の種類、特性、処理雰囲気、被処理物までの距離、被処理物の材質、形状等に応じて適宜調整するのがよい。
【0031】
なお、内側樹脂層と外側ゴム層とを接着させる場合、工程を簡易化できて廃溶液が発生しないという点で、両者の間に接着剤を塗布しないことが望ましいが、接着剤を使用しても差し支えないし、上記の表面処理と接着剤塗布を併用しても構わない。ここで用いる接着剤としては、塩化ゴム系接着剤、塩酸ゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、イソシアネート系接着剤など、一般に用いられているゴム用加硫接着剤であればどのようなものでもよい。
【0032】
本発明に係る冷媒輸送用ホースのその他の構成については、特に制限はなく、通常の冷媒輸送用ホースの構成を採用することができる。例えば、図1に示す冷媒輸送用ホース6において、補強糸としては、ビニロン、ポリエステル、ナイロン、アラミド等からなる繊維を用いることができ、これらをスパイラル状又はブレード状に編んだ構造で被覆することができる。また、中間ゴム層は、ブチルゴム等の層とすることができ、外被ゴム5はEPDM、CR、H−NBR(水素添加NBR)、Cl−IIR(塩素化ブチルゴム)等のゴム層により形成することができる。
【0033】
上記冷媒輸送用ホースにおいて、内側樹脂層1は、耐フロン透過性と柔軟性との兼ね合いから0.05〜0.3mm程度とするのが好ましい。また、外側ゴム層2は、耐水分透過性と柔軟性との兼ね合いから1〜4mmとすることが好ましい。
【0034】
更に、補強糸及び中間ゴム層4の厚さは1.4〜2.6mm、外被ゴム層5の厚さは1〜2mmとすることが好ましい。
【0035】
本発明の冷媒輸送用ホースは、例えば樹脂をチューブ状に押し出して必要に応じて表面処理を行い、更に必要に応じて樹脂表面に接着剤の塗布及び乾燥を行い、次いでこのチューブ状樹脂の外側にゴム組成物を押し出し、更に補強系を含む中間ゴム層、外皮ゴム層を形成した後、この一体物をホース形状に整えて加硫することで容易に製造することができる。この場合、加硫条件は、140〜190℃で15〜120分とすることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の冷媒輸送用ホースは、内管層を形成する内側樹脂層と外側ゴム層とが強固に接着し、冷媒漏れもなく、耐熱軟化性、耐熱性、耐永久圧縮歪性が優れ、生産性よく製造することができるもので、本発明方法によれば、上記冷媒輸送用ホースを生産性よく得ることが可能である。従って、本発明の冷媒輸送用ホースは、自動車用エアコン等の配管などとして極めて有用である。
【0037】
【実施例】
以下、実験例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0038】
〔実験例〕
6・66共重合ナイロン(ウベ興産社製5033)及び12ナイロン(ウベ興産社製3035)の2種類の樹脂をそれぞれTダイ押し出しにて150ミクロン厚フィルムとして押し出した。
【0039】
次に、表1に示すように上記フィルムに下記方法で各々プラズマ処理、コロナ処理(1)、コロナ処理(2)、紫外線照射処理、接着剤塗布を行った。
プラズマ処理:
外部電極型の10×25cmで間隔が15cmの平行平板電極を備えたガラス製真空容器内で0.7torrの圧力のアルゴンガス雰囲気にて日本高周波社製の高周波電源(SKN−05P)及びマッチングボックス(MB−500)を使用し、13.56MHz、出力100Wにて3分間プラズマ処理を施した。
コロナ処理(1):
100mm長で4mm幅、表面を厚さ1mmのテフロン(PTFEのデュポン社商標)で被覆した電極と、150×150mmの大きさで前記電極と5mm間隔に配置したアース電極からなるコロナ処理電極と、TANTEC社製コロナ電源HV05−2を用いて、空気中にて出力80Wで放電せしめ、この放電内に前記ナイロンフィルムを1m/分のスピードで通過させた。
コロナ処理(2):
前記のコロナ処理電極全体を容積が180×180×900mmでガスの吸入口と、100×0.5mmのフィルム出入口が備わった容器中に設置した。次に、1リットル/minの流量の窒素ガスをガス吸入口から5分間流して容器内の空気を窒素ガスで置換した。この状態でコロナ処理(1)と同条件で前記ナイロンフィルムを処理した。
紫外線照射処理:
ウシオ電機社製の誘電バリア型エキシマ紫外線ランプ(型番VES20−172)を用い、空気中で照射窓からの距離5mmの位置にナイロンフィルムを置き、5分間紫外線にフィルム表面を露光した。
接着剤塗布:
ナイロンフィルムに市販の加硫接着剤(LORD社製Chemlok220)を乾燥膜厚が約40μmになるように刷毛塗りした。
未処理:
比較品として全く表面改質処理を施さないものを用意した。
【0040】
【表1】
【0041】
次に、表2に示す4種類の組成のゴム組成物(未加硫)を3mm厚さにシーティングし、前述の表面処理を施したナイロンフィルムを処理面がゴム側になるように表3に示すような組み合わせで貼り合わせ、熱プレスにて圧力5kgf/cm2、温度140℃の条件で80分間加硫した。
【0042】
加硫後の樹脂(ナイロン)−ゴム積層物を12mm幅にカットし、島津製作所社製オートグラフにて引張り速度50mm/分でT−剥離法にてナイロン−ゴム間の接着力を測定した。結果を表3に示す。
【0043】
表3に示すように本発明に係わる樹脂(ナイロン)−ゴム積層物は接着性に優れていることが確認された。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
[実施例]
図1に示す構造の冷媒輸送用ホースを製造した。まず、60%のナイロン6、30%のナイロン12、10%のポリオレフィンからなる組成物を内径11.0mm、厚み100ミクロンのチューブ状に押し出した。次に、図2に示すコロナ処理電極を用い、窒素ガス雰囲気にて25kHz、300Wでコロナ放電を発生させ、前記ナイロンチューブを5m/分の速度で通過させた(樹脂チューブI)。この場合、コロナ処理電極は、絶縁体7がテフロン(PTFE)、電極8がステンレス、被処理物の樹脂チューブはマンドレル9の周囲に形成されており、窒素ガスが窒素導入管10から導入されるものである。なお、絶縁体7は、この電極においてマンドレルを電極中心に位置せしめるためのガイドと放電部分を高濃度の窒素雰囲気に保つためのハウジングを兼ねている。
【0047】
更に、実験例のゴム組成物(n)と同様の組成のゴムを上記チューブ状樹脂の外側に押し出し、内管ゴム層を形成した。この時の内管ゴム層の厚さは1.5mmであった。
【0048】
次に、ポリエステル製の補強糸と表4に示す配合のゴムを中間層4として配し、更にその上に表5に示す配合のゴムを外被ゴム層5として,厚さ1.2mm、外径18.5mmに押し出し、この一体化物をホース形状に整えて150℃で45分間加硫した(ホースA)。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
次に、ホースAに用いたのと同じコロナ処理を施した樹脂チューブDの表面に市販のゴム用接着剤(LORD社製Chemlok220)を塗布し、乾燥させた(チューブII)。チューブEの外側に実験例のゴム組成物(n)と同様の組成のゴムを押し出し、内管ゴム層を形成した。以下ホースAと全く同じ手順でホースを作成した(ホースB)。
【0052】
また、比較例として、チューブE(接着剤塗布したもの)の外側に実験例のゴム組成物(m)と同様のゴムを押し出し、以下同様にしてホースCを作成した。
【0053】
ホースA,B,Cを切り開き、樹脂層と内管ゴム層管の接着性を下記方法で調べた。
【0054】
上記各例で製造したホースについて、性能確認試験を以下の方法で行った。
接着力試験:
樹脂層と内管ゴム層との間の接着力を180度剥離法で測定し、破壊形態を観察した。
【0055】
上記試験結果より、ホースA及びホースBは接着していたが、ホースCは接着が不十分であり、本発明に係わるホースは樹脂層と内管ゴム層との間の接着性が高いことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷媒輸送用ホースの一例を示す斜視図である。
【図2】実施例で使用したコロナ処理電極を示す斜視図である。
【図3】実施例で使用したコロナ処理電極を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 内側樹脂層
2 外側ゴム層
3 内管層
4 中間ゴム層
5 外被ゴム層
6 冷媒輸送用ホース
Claims (5)
- 前記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物において、官能基R1がメトキシ基又はエトキシ基である請求項1記載の冷媒輸送用ホース。
- 前記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物において、R3、R4がそれぞれメチル基又はエチル基である請求項1又は2記載の冷媒輸送用ホース。
- 内管樹脂層が、ナイロン6を50〜70%(重量%、以下同じ)、ナイロン12を15〜40%及びポリオレフィンを5〜20%含む樹脂で形成された請求項1乃至3のいずれか1項記載の冷媒輸送用ホース。
- 内側樹脂層と外側ゴム層とで構成される内管層を備えた冷媒輸送用ホースの製造方法において、上記外側ゴム層を積層する前に上記内側樹脂層表面にプラズマ処理、コロナ処理又は紫外線照射処理を施すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の冷媒輸送用ホースの製造方法。
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