JP4496629B2 - 低透過性ホースおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低透過性ホースおよびその製造方法に関するものであり、より詳しくは冷媒、燃料ガス、溶断ガスなどの耐透過性を高めた低透過性ホースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーエアコン等に使用される冷媒輸送用のホースとして、ホースの内管にポリアミド樹脂または変性ブチルを配し、冷媒バリア層としているホースが一般的に用いられてきた。
また、冷媒輸送用ホースの低透過性を向上すべく、この冷媒バリア層として、金属蒸着膜を用いる技術も開発されており、例えば、特開平2−209224号公報には、合成樹脂製内管の外周面に一定の金属からなる薄膜をスパッタリング法またはイオンプレーティング法により形成する低透過性ゴムホースが開示されている。また、特開平2−209225号公報には、合成樹脂製内管の外周面に金属または金属化合物のドライめっき薄膜を形成する低透過性ゴムホースが開示されている。しかし、このような金属蒸着膜を形成することによって冷媒バリア層の低透過性は向上するが、金属蒸着膜は非常に薄いため、使用に際し大きく変形するゴムホースに追随することができず、金属蒸着膜にピンホールやクラックが入り、そこから冷媒が漏れてしまうという問題があった。
【0003】
一方で、ゴムホースの変形に対しても冷媒の低透過性を維持すべく、冷媒バリア層として金属箔を用いたホースが提案されてきている。例えば、特開平2−80881号公報には、バリア層として金属箔とプラスチックフィルムとからなる積層フィルムを使用したフロン低透過性フレキシブルホースについて開示されている。しかし、同公報記載の金属箔とプラスチックフィルムとからなる積層フィルムでは、ゴムホースの変形の際、金属箔が破損して冷媒の低透過性を維持できなくなる。また、同公報には、一般に接着が困難であるとされている金属箔とプラスチックフィルムとの接着方法、およびホースの内層ナイロンチューブとバリア層との接着方法について具体的な記載はなかった。このため、ゴムホースの変形にも充分耐えられ、かつ冷媒などの耐透過性に優れた低透過性ホースとその具体的な製造方法が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ホースの変形に追随可能な、金属層を主体とする冷媒バリア層を内部に有する、耐冷媒透過性(冷媒に対するバリア性)、耐気体透過性に優れた低透過性ホースを提供すること、および金属層主体の冷媒バリア層が使用に際しホースから剥がれることのない低透過性ホースの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、冷媒バリア層として、一定の性質を有する金属層を樹脂層間に挟み込んだ積層フィルムを使用することにより、冷媒、各種気体などに対する低透過性が向上し、ホースの変形に対しても低透過性を維持できること、およびこのような積層フィルムとゴム層とを接合する際、輸送する冷媒の温度が低い場合には、積層フィルムの表面をなす樹脂層に含まれる樹脂の融点以上に加熱すると同時に、ゴム層を加硫することにより、該積層フィルムとゴム層との接合を強固なものにすることができることを見出した。一方、冷媒の温度が百数十度にまで上がる場合には、フェノール樹脂系組成物により構成される接着剤層を設けることにより、冷媒の温度が上昇しても積層フィルムとゴム層とが剥離せず、高い接着強度が得られることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明の第一の態様である低透過性ホースは、少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有する低透過性ホースであって、前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムであることを特徴としている。
ここで、前記金属層が金属箔であり、前記樹脂層の少なくとも一方に強度保持層を有することが好ましく、前記強度保持層がポリアミド樹脂組成物またはポリエステル樹脂組成物により構成される層であることが好ましい。
また、前記樹脂層の最内層が前記強度保持層であり、該強度保持層と前記金属層とを芳香族ポリエステル系接着剤を用いて接着することが好ましい。
さらに、前記樹脂層の最外層がポリオレフィン樹脂組成物により構成されるポリオレフィン層であることが好ましく、前記ポリオレフィン樹脂組成物に含有されるポリオレフィン樹脂の融点が120℃以上であることが好ましい。また、前記ゴム層を構成するゴム組成物の加硫温度が120℃以上であることが好ましい。
【0007】
本発明の第二の態様である低透過性ホースは、少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有する低透過性ホースであって、前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムであることを特徴としている。
ここで、前記金属層が金属箔であり、前記樹脂層の少なくとも一方に強度保持層を有することが好ましく、前記強度保持層がポリアミド樹脂組成物またはポリエステル樹脂組成物により構成される層であることが好ましい。
また、前記樹脂層の最内層が前記強度保持層であり、該強度保持層と前記金属層とを芳香族ポリエステル系接着剤を用いて接着することが好ましい。
さらに、前記樹脂層の最外層がフェノール樹脂系組成物により構成される接着剤層であることが好ましい。
【0008】
本発明の第三の態様である低透過性ホースの製造方法は、
少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを重畳して構成する低透過性ホースの製造方法であって、
前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムであり、
前記冷媒バリア層中の樹脂層と前記ゴム層とを積層し、
前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを、前記樹脂層を構成する樹脂の融点以上に加熱し、前記樹脂を溶融させ、前記ゴム層を加硫して前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを接合させることを特徴としている。
ここで、前記冷媒バリア層中の樹脂層がポリオレフィン樹脂組成物により構成されるポリオレフィン層を有することが好ましく、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを120℃以上に加熱することにより接合することが好ましい。
【0009】
本発明の第四の態様である低透過性ホースの製造方法は、
少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを重畳して構成する低透過性ホースの製造方法であって、
前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムであり、
前記冷媒バリア層の表面をなす樹脂層にフェノール樹脂系組成物により構成される接着剤層を有している積層フィルムであって、
前記接着剤層と前記ゴム層とを積層し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを接合させることを特徴としている。
第三または第四の態様に係る冷媒バリア層において、前記金属層と前記樹脂層との接合面の少なくとも一方の面に芳香族ポリエステル系接着剤を塗布し、積層することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明の第一および第二の態様に係る低透過性ホースは、少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを備え、金属層を樹脂層間に挟み込むことで構成される積層フィルムであって、破断伸びが10%以上であるフィルムを前記冷媒バリア層として使用するものである。
【0011】
<冷媒バリア層>
本発明の第一および第二の態様に係る低透過性ホースが有する冷媒バリア層は、金属層を樹脂層と樹脂層との間に挟み込んだ積層フィルムである。
この金属層を構成する金属としては、例えばアルミニウム、銅、銀、金、コバルト、鉄、スズ、ニッケル、鉛、亜鉛等の1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
金属層は、金属箔からなり、金属箔の厚さは、耐冷媒透過性と振動伝達率の低減の点から0.1μm〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは1μm〜30μmである。
【0012】
金属層を挟む2つの樹脂層は、それぞれ1層から構成されていても、2層以上から構成されていてもよい。また、2つの樹脂層を構成する樹脂組成物に含有される樹脂は、同種であっても異種であってもよい。なお、ここで、樹脂組成物とは、樹脂および、必要がある場合には添加剤を含有する組成物である。
樹脂層を構成する樹脂組成物に含有される樹脂としては、本発明の目的を逸脱しない樹脂であれば特に限定はないが、破断強度、破断伸びに優れた樹脂や、ホース製造時に他のゴム層や樹脂層と接合が可能な樹脂等を好ましく使用することができる。例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を挙げることができる。
【0013】
樹脂層は、積層フィルムの破断強度を高める、金属層との接着を強固にするという観点から、2つある樹脂層のうち、少なくとも一方の樹脂層に、金属層との接着性がよく、強度を保つことができる強度保持層を有することが好ましい。強度保持層は、樹脂層内部に関して金属層に近づく方向を内、遠のく方向を外として、樹脂層の表面をなす最内層に設けられていることが好ましい。強度保持層を設けることによって、本発明で使用される積層フィルムの特徴の一つである破断伸びを更に向上させることができる。強度保持層を構成する樹脂組成物は、破断強度、破断伸びに優れる樹脂を単独または2種以上含有することが好ましく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらのうちでも、破断強度、破断伸びに特に優れるポリアミド樹脂を含む樹脂組成物が好ましい。
【0014】
ホース製造時において、輸送する冷媒や冷凍機油などの温度が120℃以下である用途を想定した、第一の態様に係る低透過性ホースを製造する場合には、積層フィルム間の接合、および冷媒バリア層と、冷媒バリア層と積層するゴム層との接合を強固にするという観点から、樹脂層の最外層(以下、「最外樹脂層」ともいう)は加熱により溶融し、ゴム層と接着できる樹脂層であることが好ましい。このような最外樹脂層を構成する樹脂組成物としては、例えばポリオレフィン樹脂組成物、ポリ塩化ビニル樹脂組成物等を挙げることができ、特にポリオレフィン樹脂組成物が好ましく挙げられる。これらの樹脂組成物を、融点以上に加熱し、溶融させることにより、冷媒バリア層とゴム層とを接合させることができる。
【0015】
一方、本発明の低透過性ホースを、輸送する冷媒や冷凍機油などの温度が120℃以上にまで上昇することもある、CO2 冷媒輸送用ホースなどの耐熱性が特に要求される用途に用いる場合には、上述のように樹脂層を熱融着するのでは、ホース使用時に樹脂層とゴム層との接合が弱まる可能性がある。
そこで、本発明の第二の態様においては、最外樹脂層として熱融着性の樹脂層を設ける代わりに、フェノール樹脂系組成物により構成される接着剤層を設けることを特徴とする。フェノール樹脂系組成物は、ハロゲン化フェノール樹脂、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂およびクレゾール樹脂などのフェノール系樹脂と溶媒とを含む混合物である。フェノール系樹脂としては、接着性の観点からハロゲン化フェノール樹脂またはフェノール樹脂が好ましい。溶媒としては、適度な揮発性を有するものであれば特に限定されないが、トルエン、キシレン、またはメチルエチルケトン、ジメチルケトンなどのケトン類などが好ましい。また、シランカップリング剤などの添加剤を含んでいてもよく、シランカップリング剤を含むことにより、樹脂層とゴム層との接合性がさらに高まるので好ましい。これらの混合比は、組成物中、フェノール系樹脂が1〜40重量%、溶媒が60〜99重量%であることが好ましく、シランカップリング剤を含む場合には、1〜10重量%の範囲内で含んでいることが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらを混合して用いることもできる。これらのうちでも、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0016】
本発明の第一および第二の態様に係る金属層と樹脂層との接合は、金属層または樹脂層のうち、どちらか一方または両方の接合面に芳香族ポリエステル系接着剤を塗布して接合するのが好ましい。芳香族ポリエステル系接着剤としては、例えば、エチル−m−アミノベンゾエート、メチル−p−ヒドロキシベンゾエート等の芳香族ポリエステル化合物と溶媒との混合物が挙げられる。溶媒は、適度な揮発性を有するものであれば特に限定されず、例えばメチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが好ましく挙げられ、芳香族ポリエステル化合物の接着剤中の濃度が1〜40重量%となる量添加するのが好ましい。また、芳香族ポリエステル系接着剤としては市販品を用いることもでき、例えば東洋紡社製のバイロン300(商品名)などが挙げられ、これらを上記溶媒と混合して芳香族ポリエステル化合物を上記濃度として用いることもできる。
【0017】
本発明の第一および第二の態様に係る積層フィルムは、最外樹脂層/強度保持層/金属箔/最外樹脂層の4層構造をとっていることが好ましく、最外樹脂層/強度保持層/金属箔/強度保持層/最外樹脂層の5層構造をとっていることが最も好ましい。
例えば、輸送する冷媒やHFC134aの温度が低い場合、すなわち第一の態様に係る積層フィルムは、ポリオレフィン層/ポリアミド層/金属箔/ポリオレフィン層の4層構造、ポリオレフィン層/ポリアミド層/金属箔/ポリアミド層/ポリオレフィン層、ポリオレフィン層/ポリアミド層/金属箔/ポリエステル層/ポリオレフィン層の5層構造を好ましく挙げることができ、ポリオレフィン層/ポリアミド層/アルミニウム箔(以下「アルミ箔」ともいう)/ポリオレフィン層の4層構造、ポリオレフィン層/ポリアミド層/アルミ箔/ポリアミド層/ポリオレフィン層、ポリオレフィン層/ポリアミド層/アルミ箔/ポリエステル層/ポリオレフィン層の5層構造であることが更に好ましい。
一方、輸送する冷媒やHFC134aの温度が高い場合、すなわち第二の態様に係る積層フィルムは、接着剤層/ポリアミド層/金属箔/接着剤層の4層構造、接着剤層/ポリアミド層/金属箔/ポリアミド層/接着剤層、接着剤層/ポリアミド層/金属箔/ポリエステル層/接着剤層の5層構造を好ましく挙げることができ、接着剤層/ポリアミド層/アルミ箔/接着剤層の4層構造、接着剤層/ポリアミド層/アルミ箔/ポリアミド層/接着剤層、接着剤層/ポリアミド層/アルミ箔/ポリエステル層/接着剤層の5層構造であることが更に好ましい。
【0018】
ポリアミド樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン666、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体を挙げることができる。これらの中でも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン666およびこれらの共重合体が好ましい。これらのポリアミド樹脂は、単独で用いても、2種以上併用してもよく、更に他の樹脂と併用してもよい。
【0019】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができ、好ましくはポリエチレンテレフタレートを使用することができる。
【0020】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜6のオレフィンからなるポリオレフィンを好ましく挙げることができ、更に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等を挙げることができる。積層フィルムとゴム層との接着性を向上させる、およびゴム層の加硫の観点から、融点が120℃以上であるポリオレフィンを使用することが好ましい。
【0021】
添加剤としては、例えば、加硫剤、充填剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、加硫促進剤、軟化剤、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤を挙げることができる。これらの添加剤は、樹脂層に用いられる樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
【0022】
このように、本発明の第一および第二の態様の冷媒バリア層として使用する積層フィルムは、金属層の両面に樹脂層を積層する構造をとっているため、金属層が樹脂層に追随して伸びることができるので、金属層のみを冷媒バリア層として使用する場合と異なり、破断伸びに非常に優れたものである。
すなわち、本発明に係る低透過性ホースにおいて、冷媒バリア層として使用される積層フィルムは、破断伸びが10%以上であり、より好ましくは20%以上である。この範囲であるとホースの変形時に亀裂が入ることがないからである。
【0023】
上記積層フィルムは、厚みが1μm〜500μmであることが好ましく、5μm〜200μmであることがより好ましい。厚さをこの範囲にすると、フィルムの耐冷媒透過性を維持しながら、ホースへの追随性を確保できるためである。
【0024】
本発明の第一および第二の態様に係る低透過性ホースの冷媒バリア層として使用される積層フィルムは上記のような構造を有するフィルムである。このような積層フィルムを形成する方法としては、例えば、樹脂間に金属を挟んで積層し、所定の厚さになるまで圧延ロールで延ばしてフィルムにする方法、樹脂および金属の薄層フィルムをそれぞれ予め形成しておいて、その後フィルムを重ねて加熱することで一枚のフィルムに作製する方法、同様に、金属フィルムを溶融樹脂につけ、硬化させることで金属フィルム表面に樹脂層を形成して所望の積層フィルムを作製する方法、ホース形成時に多層に射出成形することでバリア層を形成する方法、予め形成した樹脂フィルムに所望の金属を蒸着して金属層を形成し、該金属面にもう一方の樹脂フィルムを重ねて加熱することで接合する方法等を採用することができる。
【0025】
<低透過性ホース>
次に、本発明の第一および第二の態様に係る低透過性ホースの構造について具体的に説明する。
本発明の第一および第二の態様に係る低透過性ホースは少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有する層構造をとっていればよく、例えば、冷媒バリア層とゴム層とを有し、内管、補強層、外管から構成されるホースを挙げることができる。この場合、各管および補強層は1層で形成されていても、複数層で形成されていてもよく、冷媒バリア層は内管の一部または外管の一部を構成していてもよいし、内管または外管そのものであってもよい。
【0026】
図1は、本発明の第一および第二の態様に係る低透過性ホースの好ましい一実施形態例であるホースの各層を切り欠いて示す斜視図である。ホース1は、内管として、最内層2、積層フィルムからなる冷媒バリア層3、内管外層4を有し、その上層に補強層5、更にその上層に外管6を有する。図1のように、内管は、冷媒バリア層3を最内層2と内管外層4とで挟む三層構造をとっていてもよいし、最内層2と冷媒バリア層3とからなる二層構造、または冷媒バリア層3と内管外層4とからなる二層構造をとっていてもよい。また、外管6に冷媒バリア層3を設けても良く、その場合も冷媒バリア層3を一部に有する多層構造をとっていてもよい。
【0027】
ここで、内管を構成する物質としては、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、水素添加NBR(HNBR)、クロロスルホン化メチルポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、臭素化ブチルゴム(BIIR)、塩素化ブチルゴム(CIIR)、イソモノオレフィンとp−アルキルスチレンとの共重合ゴムのハロゲン化物(BIMS)等からなるゴム組成物、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、EPDM/PP系熱可塑性エラストマー組成物等の熱可塑性エラストマー組成物を挙げることができる。熱可塑性エラストマー組成物の中では、柔軟性に優れたEPDM/PP系熱可塑性エラストマー組成物が好ましい。具体的には、AES社製のサントプレン101−73が好適に用いられる。
【0028】
また、内管の一部が冷媒バリア層により構成されている場合であって、最外樹脂層として、ポリオレフィン層などの加熱によりゴム層と接着できる樹脂層を有している場合(第一の態様)には、内管のその他の層は、冷媒バリア層の表面をなす最外樹脂層との接着性に優れているゴム組成物、熱可塑性エラストマー組成物から構成されていることが好ましく、例えば、CIIR、BIIR、BIMS、NBR、HNBR、IIR、CSM、CMを含有する組成物から構成されていることが好ましい。
【0029】
ゴム組成物の加硫温度は、120℃以上が好ましい。冷媒バリア層の最外樹脂層として、ポリオレフィン層などの加熱によりゴム層と接着できる樹脂層を有している場合には、特別な接着剤なしでも接着するという観点から、冷媒バリア層の表面をなす樹脂層に含有される樹脂の融点以上であることが最も好ましい。
【0030】
一方、内管の一部が冷媒バリア層により構成されている場合であって、最外樹脂層として、フェノール樹脂系組成物により構成される接着剤層を有している場合(第二の態様)においても、内管のその他の層は、上記例示したものと同じものを使用でき、この場合もゴム組成物の加硫温度は120℃以上が好ましい。
【0031】
補強層としては、ブレード状で形成されたものでもスパイラル状で形成されたものでもよく、特に限定されない。用いる材料としては、糸、ワイヤ等を挙げることができる。
補強糸としては、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維等で製造された糸が例示される。また、補強用ワイヤとしては、硬鋼線が例示され、さらに具体的には、防錆および接着性付与のためにブラスメッキワイヤー又は亜鉛メッキワイヤーが例示される。
【0032】
外管を構成する物質としては、NBR、IIR、EPDM、CR、CSM、CM等からなるゴム組成物、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、EPDM/PP系熱可塑性エラストマー組成物等の熱可塑性エラストマー組成物を挙げることができる。
【0033】
また、外管の一部が冷媒バリア層により構成されている場合であって、最外樹脂層として上述の熱融着性の樹脂層を設けている場合(第一の態様)には、外管のその他の層は、冷媒バリア層の表面をなす樹脂層との接着性に優れているゴム組成物、熱可塑性エラストマー組成物から構成されていることが好ましく、例えばCR、EPDM、CSM、CM、CIIR、BIIR、BIMS、IIRを含有する組成物から構成されていることが好ましい。
この場合も、ゴム組成物の加硫温度は、ゴム層と積層フィルムとの接着の観点から120℃以上が好ましく、最外樹脂層として熱融着性の樹脂層を設けている場合には、冷媒バリア層の表面をなす樹脂層に含有される樹脂の融点以上であることが最も好ましい。
【0034】
一方、外管の一部が冷媒バリア層により構成されている場合であって、最外樹脂層としてフェノール樹脂系組成物により構成される接着剤層を有している場合(第二の態様)においても、外管のその他の層は、上記例示したものと同じものを使用でき、この場合もゴム組成物の加硫温度は、ゴム層と積層フィルムとの接着の観点から120℃以上が好ましい。
【0035】
<低透過性ホースの製造方法>
本発明の第三の態様に係る低透過性ホースの製造方法は、少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを重畳して構成する低透過性ホースの製造方法であって、
前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムであり、
前記冷媒バリア層中の樹脂層と前記ゴム層とを積層し、
前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを、前記樹脂層を構成する樹脂の融点以上に加熱し、前記樹脂を溶融させ、前記ゴム層を加硫して前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを接合させることにより製造するものである。
【0036】
ここで、低透過性ホースが有する冷媒バリア層は、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムである。この積層フィルムとしては、本発明の第一の態様に係る低透過性ホースに使用される積層フィルムとして例示した、冷媒バリア層の最外樹脂層として、加熱によりゴム層と接着できる樹脂層を有するものを使用することができる。
また、低透過性ホースが有するゴム層としては、本発明の第一の態様に係る低透過性ホースに使用されるゴム層を構成するゴム組成物として例示したすべてのゴム組成物を使用することができる。
【0037】
本発明の第三の態様に係る製造方法では、例えば、最内層であるゴム層の上層に積層フィルムをらせん状または縦添え状に巻くことにより、冷媒バリア層中の樹脂層とゴム層とを積層する。さらにその上層に任意にゴム組成物を押出成形し、補強糸または補強用ワイヤ等を複数本引きそろえてスパイラル状あるいはブレード状に編み組みして補強層を形成し、外管を押出成形により形成する。続いて、ホース全体を加熱する。加熱温度は、冷媒バリア層と他の層との接着の観点から好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃〜170℃であり、加熱により冷媒バリア層中の樹脂を溶融させ、樹脂層と積層するゴム層を構成するゴム組成物を加硫し、冷媒バリア層と隣り合うゴム層とを接合する。
【0038】
この際、樹脂の溶融とゴム組成物の加硫とは同時、またはほぼ同時に行う。冷媒バリア層中の樹脂の溶融とゴム層の加硫とを同時、またはほぼ同時に行うことにより、冷媒バリア層と、隣り合うゴム層との接合性が良くなる理由ははっきりと解明されているわけではないが、溶融した樹脂粒子が加硫時のゴム層に入り込むため、冷媒バリア層とゴム層とを物理的に接合することができるからであると考えられる。
【0039】
次に、本発明の第四の態様に係る製造方法について説明する。
本発明の第四の態様に係る低透過性ホースの製造方法は、少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを重畳して構成する低透過性ホースの製造方法であって、
前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムであり、
前記冷媒バリア層の表面をなす樹脂層にフェノール樹脂系組成物からなる接着剤層を有している積層フィルムであって、
前記接着剤層と前記ゴム層とを積層し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを接合させることにより製造するものである。
【0040】
ここでも同様に、低透過性ホースの冷媒バリア層は、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムである。この積層フィルムとしては、本発明の第二の態様に係る低透過性ホースに使用される積層フィルムとして例示した、冷媒バリア層の表面をなす最外樹脂層として、フェノール樹脂系組成物からなる接着剤層を有するものを使用することができる。
また、低透過性ホースが有するゴム層としては、本発明の第二の態様に係る低透過性ホースに使用されるゴム層を構成するゴム組成物として例示したすべてのゴム組成物を使用することができる。
【0041】
本発明の第四の態様に係る製造方法では、例えば、最内層であるゴム層の上層に、最外層として上述の接着剤層を有する積層フィルムをらせん状または縦添え状に巻くことにより、冷媒バリア層中の樹脂層とゴム層とを積層する。さらにその上層に任意にゴム組成物を押出成形し、補強糸または補強用ワイヤ等を複数本引きそろえてスパイラル状あるいはブレード状に編み組みして補強層を形成し、外管を押出成形により形成する。本発明の第四の態様においては、積層フィルムの表面をなす接着剤層により、フィルムとゴム層、およびフィルム同士の重なり部分を接合することができる。続いて、ホース全体を加熱し、ゴム層を構成するゴム組成物を加硫する。加熱温度は、好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃〜160℃である。
【0042】
以上説明したように、本発明の低透過性ホースは耐冷媒透過性、耐気体透過性に大変優れており、ホースの変形に対しても柔軟に追随できるものである。本発明の低透過性ホースの製造方法によれば、接合性の高い、耐冷媒透過性、耐気体透過性に優れた低透過性ホースを製造することができる。
【0043】
【実施例】
本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明する。
<ハロゲン化ブチルゴム組成物および樹脂組成物の調製>
(1)塩素化ブチルゴム組成物
以下に示される原料を第1表に示される量用いて、塩素化ブチルゴム組成物を得た。
▲1▼塩素化ブチルゴム:クロロブチル1066、エッソ化学社製
▲2▼添加剤
カーボンブラック(旭#50、旭カーボン社製)
ステアリン酸
老化防止剤(アンテージOD、川口化学社製)
軟化剤(マシン油22、富士興産社製)
マグネシア
亜鉛華
促進剤:テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)(サンセラーMSPO、三新化学工業社製)
【0044】
第 1 表 (重量部)
【0045】
(2)ポリアミド樹脂組成物
ポリアミド樹脂組成物として、ハーデンN2102(東洋紡社製)を使用した。
(3)ポリエステル樹脂組成物
ポリエステル樹脂組成物として、ポリマール(武田薬品社製)を使用した。
【0046】
(4)ポリプロピレン樹脂組成物
ポリプロピレン樹脂組成物として、パイレンP1128(東洋紡社製)を使用した。
(5)フェノール樹脂系組成物
フェノール樹脂系組成物として、臭素化フェノールホルムアルデヒド樹脂(タッキロール250−I、田岡化学工業社製)20g、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM603、信越化学工業社製)1gを、メチルエチルケトン79gに溶かしたものを使用した。
【0047】
(6)芳香族ポリエステル系接着剤
芳香族ポリエステル系接着剤として、バイロン300(東洋紡社製)50gをメチルエチルケトン950gに溶かしたものを使用した。
【0048】
<積層フィルムAの調製>
厚さ7μmのアルミ箔の両面に上記で得られた芳香族ポリエステル系接着剤を厚さ10μmとなるように塗布し、その上層に上記で得られたポリアミド樹脂組成物をそれぞれ厚さ15μmとなるように配し、さらにその両面に上記で得られたポリプロピレン樹脂組成物をそれぞれ厚さ20μmとなるように配し、破断伸びが32%の5層構造の積層フィルムを調製した。
【0049】
<積層フィルムBの調製>
厚さ7μmのアルミ箔の両面に上記で得られた芳香族ポリエステル系接着剤を厚さ10μmとなるように塗布し、その上層に上記で得られたポリアミド樹脂組成物をそれぞれ厚さ15μmとなるように配し、さらにその両面に上記で得られたフェノール樹脂系組成物をそれぞれ厚さ10μmとなるように配し、破断伸びが32%の5層構造の積層フィルムを調製した。
【0050】
<積層フィルムCの調製>
積層フィルムBで用いたポリアミド樹脂組成物に代えて、上記で得られたポリエステル樹脂組成物を用いたことを除いては、積層フィルムBと同様にして破断伸びが19%の積層フィルムCを調製した。
なお、積層フィルムA〜Cについて、JIS1号ダンベル試験片を作製し、JIS K7113の引張試験を行って、アルミ箔にクラックが発生するまでの伸びを目視にて測定し破断伸びとした。
【0051】
<アルミ蒸着フィルムの調製>
ポリアミド樹脂組成物により形成した厚さ12μmのフィルムにアルミ蒸着層を厚さ0.6μmに形成することによりアルミ蒸着フィルムを調製した。なお、破断伸びを測定したところ5%の変形でクラックが発生した。
【0052】
<低透過性ホース>
実施例1
上記で得られた塩素化ブチルゴム組成物を、ゴム用クロスヘッドダイ型の押出機で、直径11mmのマンドレルの外周に押出し、厚さ0.8mmの最内層を形成した。最内層の上に、上記で得られたアルミ箔積層フィルムAをハーフラップでらせん状に巻き、厚さ0.2mmの冷媒バリア層を形成した。冷媒バリア層の上に、上記で得られた塩素化ブチルゴム組成物を、ゴム用クロスヘッドダイ型の押出機を用いて押出し、厚さ0.8mmの内管外層を形成した。内管の外側に、PET糸からなる補強材を編み組して(1500d、96本)、補強層を形成した。補強層の上に、上記で得られた塩素化ブチルゴム組成物を、ゴム用クロスヘッドダイ型の押出機を用いて押出し、厚さ2mmの外層を形成した。その後、150℃で加硫した後マンドレルを抜取り、本発明の低透過性ホースAを得た。
【0053】
実施例2
上記で得られた塩素化ブチルゴム組成物を、ゴム用クロスヘッドダイ型の押出機で、直径11mmのマンドレルの外周に押出し、厚さ0.8mmの最内層を形成した。最内層の上に、上記で得られたアルミ箔積層フィルムBをハーフラップでらせん状に巻き、厚さ0.154mmの冷媒バリア層を形成した。冷媒バリア層の上に、上記で得られた塩素化ブチルゴム組成物を、ゴム用クロスヘッドダイ型の押出機を用いて押出し、厚さ0.8mmの内管外層を形成した。内管の外側に、PET糸からなる補強材を編み組して(1500d、96本)、補強層を形成した。補強層の上に、上記で得られた塩素化ブチルゴム組成物を、ゴム用クロスヘッドダイ型の押出機を用いて押出し、厚さ2mmの外層を形成した。その後、150℃で加硫した後マンドレルを抜取り、本発明の低透過性ホースBを得た。
【0054】
比較例1
最内層をポリアミド樹脂組成物から形成し、冷媒バリア層を設けない点を除けば実施例1と同様の方法で低透過性ホースを調製した。
【0055】
比較例2
冷媒バリア層として、上記で得られたアルミ蒸着フィルムをハーフラップでらせん状に巻くことにより形成した点を除けば実施例1と同様の方法で低透過性ホースを調製した。
【0056】
<耐冷媒透過試験>
変形前のホースA、および変形後のホースA、即ち規定のホース最小曲げ半径(R=60mm)に180°U字曲げを5回繰り返した後真っ直ぐに戻したホースAに対して、耐冷媒透過試験を行った。耐冷媒透過試験は、冷媒としてHFC134aを使用し、JRA規格(日本冷凍空調工業規格)のJRA2001に準ずる方法を採用した。
即ち、長さ50cmのホース4本のうち、3本に冷媒(HFC134a)をホースの容積1cm3 当たり0.6g±0.1g封入し、他の1本は空のまま密栓した。これら4本を、100℃の恒温槽に96時間保持し、24時間毎に重量を測定した。このとき冷媒を封入したホースの96時間後の内圧は、試験温度における飽和蒸気圧に保持されていることを確認した。冷媒透過量は、24時間以降96時間までのホースの自重変化分を除く重量損失分として、下記式により算出した。
D=[(B/S1)−(C/S2)]×100
式中、Dは冷媒透過量[g/(m・72hr)]、Bは冷媒封入ホースの損失重量[g/72hr]、Cは冷媒未封入ホースの損失重量[g/72hr]、S1は冷媒封入ホースの長さ[m]、S2は冷媒未封入ホースの長さ[m]を示す。
以下、結果を第2表に示す。
【0057】
第 2 表
【0058】
本発明の低透過性ホースAは、冷媒バリア層を設けないホース(比較例1)と比較して、格段に優れた耐冷媒透過性を示すことがわかる。また、冷媒バリア層としてアルミ蒸着フィルムを使用したホース(比較例2)は、蒸着膜が薄く、ホース曲げ変形時のみならず、ホースの生産中等に容易にピンホール等の欠陥が入ってしまうものであった。本発明の低透過性ホースは、冷媒バリア層としてアルミ蒸着フィルムを使用したホースと比較して、ホースの曲げ変形の前後に関わらず、優れた耐冷媒透過性を維持していることがわかる。
【0059】
<接着試験>
次に、上述のようにして得られた低透過性ホースBを用いて、常温、120℃および150℃における接着性を評価した。
接着試験は、JIS K6330−6に準ずる方法を採用し、ホースから採取した幅10mmの短冊状試験片(タイプ4)を恒温槽付きの引張り試験機を用いて、規定の温度雰囲気内で剥離試験を実施した。
【0060】
本発明の低透過性ホースBは、高温に加熱しても、ゴム層と冷媒バリア層との接合面は剥離しなかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明の低透過性ホースは、耐冷媒透過性に優れるので、種々の冷媒輸送用ホースに好適に用いられ、特にカーエアコン用冷媒輸送用ホースとして好適に用いられる。また、本発明の低透過性ホースの製造方法によれば、ゴム層と冷媒バリア層との接合性に優れ、耐冷媒透過性に優れた低透過性ホースを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の低透過性ホースの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 低透過性ホース
2 最内層
3 冷媒バリア層
4 内管外層
5 補強層
6 外管
Claims (9)
- 内管、前記内管の上層に補強層、更にその上層に外管を有し、前記内管が最内層、冷媒バリア層および内管外層を有し、前記冷媒バリア層を前記最内層と前記内管外層とで挟み、前記最内層および前記内管外層がゴム層であり、
前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムであり、
前記冷媒バリア層の両表面をなす、樹脂層の最外層が、ポリプロピレン樹脂組成物により構成されるポリプロピレン層、またはシランカップリング剤を含むフェノール樹脂系組成物により構成される接着剤層であり、
前記ポリプロピレン樹脂組成物に含有されるポリプロピレン樹脂の融点が120℃以上であり、
前記ゴム層を構成するゴム組成物の加硫温度が120℃以上であることを特徴とする低透過性ホース。 - 前記金属層が金属箔であり、前記樹脂層の少なくとも一方に強度保持層を有することを特徴とする請求項1に記載の低透過性ホース。
- 前記強度保持層がポリアミド樹脂組成物またはポリエステル樹脂組成物により構成される層であることを特徴とする請求項2に記載の低透過性ホース。
- 前記樹脂層の最内層が前記強度保持層であり、該強度保持層と前記金属層とを芳香族ポリエステル系接着剤を用いて接着することを特徴とする請求項2または3に記載の低透過性ホース。
- 前記シランカップリング剤が、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の低透過性ホース。
- 少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを重畳して構成する低透過性ホースの製造方法であって、
前記低透過性ホースが、内管、前記内管の上層に補強層、更にその上層に外管を有し、前記内管が最内層、前記冷媒バリア層および内管外層を有し、前記冷媒バリア層を前記最内層と前記内管外層とで挟み、
前記最内層および前記内管外層が前記ゴム層であり、
前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上である積層フィルムであり、
前記冷媒バリア層の両表面をなす、樹脂層の最外層が、ポリプロピレン樹脂組成物により構成されるポリプロピレン層であり、
前記冷媒バリア層中の樹脂層と前記ゴム層とを積層し、
前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを、前記樹脂層を構成する樹脂の融点以上に加熱し、前記樹脂を溶融させ、前記ゴム層を加硫して前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを接合させることを特徴とする低透過性ホースの製造方法。 - 前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを120℃以上に加熱することにより接合することを特徴とする請求項6に記載の低透過性ホースの製造方法。
- 少なくとも冷媒バリア層とゴム層とを有し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを重畳して構成する低透過性ホースの製造方法であって、
前記低透過性ホースが、内管、前記内管の上層に補強層、更にその上層に外管を有し、前記内管が最内層、前記冷媒バリア層、内管外層を有し、前記冷媒バリア層を前記最内層と前記内管外層とで挟み、
前記最内層および前記内管外層が前記ゴム層であり、
前記冷媒バリア層が、金属層を樹脂層間に積層する構成を有し、破断伸びが10%以上であり、
前記冷媒バリア層の両表面をなす樹脂層にシランカップリング剤を含むフェノール樹脂系組成物により構成される接着剤層を有している積層フィルムであり、
前記接着剤層と前記ゴム層とを積層し、前記冷媒バリア層と前記ゴム層とを接合させることを特徴とする低透過性ホースの製造方法。 - 前記冷媒バリア層において、前記金属層と前記樹脂層との接合面の少なくとも一方の面に芳香族ポリエステル系接着剤を塗布し、積層することを特徴とする請求項8に記載の低透過性ホースの製造方法。
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