JPH1030761A - チューブの製法 - Google Patents

チューブの製法

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JPH1030761A
JPH1030761A JP18644496A JP18644496A JPH1030761A JP H1030761 A JPH1030761 A JP H1030761A JP 18644496 A JP18644496 A JP 18644496A JP 18644496 A JP18644496 A JP 18644496A JP H1030761 A JPH1030761 A JP H1030761A
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JP
Japan
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layer
inner layer
tubular inner
fluororesin
coupling agent
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Pending
Application number
JP18644496A
Other languages
English (en)
Inventor
Koyo Murakami
公洋 村上
Hiroaki Ito
弘昭 伊藤
Kazutaka Katayama
和孝 片山
Michinori Ootsuka
道詔 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】より厳しい耐熱性および振動耐久性が要求され
る環境下においても、熱老化後および振動屈曲後の接着
性が優れ、しかも、フッ素樹脂製管状内層形成工程、プ
ラズマ処理工程、表面処理剤塗布工程、および熱可塑性
樹脂製外層形成工程を連続して行うことができる生産生
の高いチューブの製法を提供する。 【解決手段】フッ素樹脂製管状内層の外周に、熱可塑性
樹脂製外層が積層形成されたチューブの製法であって、
上記フッ素樹脂製管状内層を形成する工程と、上記形成
されたフッ素樹脂製管状内層の外周面にプラズマ処理を
施して上記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部に処理層
を形成する工程と、上記プラズマ処理が施された上記フ
ッ素樹脂製管状内層の外周表層部にカップリング系表面
処理剤を塗布する工程と、上記カップリング系表面処理
剤が塗布された上記フッ素樹脂製管状内層の外周に上記
熱可塑性樹脂製外層を形成する工程とを備え、上記4つ
の工程を連続して行うものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素樹脂製管状
内層と熱可塑性樹脂製外層とから構成されるチューブの
製法に関するものであり、詳しくは、自動車の燃料ホー
ス等に用いられるチューブの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車等の燃料配管に用いられ
る燃料ホースは、種々のゴム層や樹脂層を組み合わせた
多層構造となっている。この多層構造の燃料ホースのな
かでも、内層がフッ素樹脂から形成され、この内層の外
周面に熱可塑性樹脂製外層が積層形成された2層構造の
燃料ホースが賞用されている。これは、フッ素樹脂が、
薬品およびガソリン等に対する耐腐食性を有するととも
に、ガソリンが酸化されて生成するサワーガソリンに対
する耐性(耐サワーガソリン性)にも優れているため、
燃料と直接接するホース内層の形成材料として最適だか
らである。そして、上記熱可塑性樹脂製外層は、ホース
の補強層として形成されるものであり、これにより、燃
料ホースに耐圧性等の力学的特性が付与される。
【0003】上記構成の燃料ホースの製造において、フ
ッ素樹脂製内層をそのままの状態で用いるのではなく、
上記熱可塑性樹脂製外層と接合するフッ素樹脂製内層の
外周面を改質処理することが行われている。これは、通
常、フッ素樹脂が、他の構成材料に対する接着性が著し
く低いという特性を有しており、例えば、接着剤を用い
た接着処理だけでは上記両層が強固に接着しないからで
ある。そこで、フッ素樹脂製内層の表面をコロナ放電処
理等で処理し、この処理済みフッ素樹脂製内層の外周に
上記熱可塑性樹脂製外層を積層形成した燃料ホースが提
案されている(特公平8−5167号公報)。このよう
な燃料ホースは、実際に自動車等の燃料配管に実用化さ
れており、例えば、ガソリンタンク用配管等として使用
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の燃料ホースを、例えば、エンジンルーム内の配管等
に使用する場合、熱老化後および振動屈曲後の接着性に
関して充分とは言えない。これは、従来の燃料ホースを
エンジンルーム内の配管等に使用する場合には、ガソリ
ンタンク用配管等に使用する場合に比べて、雰囲気温度
の上昇や、エンジン振動の影響を燃料ホースが直接受け
やすいためである。したがって、より高度な耐熱性およ
び振動耐久性が要求される環境下、例えば、上記のよう
に、エンジンルーム内の配管等においては、上記従来の
燃料ホースでは、熱老化後および振動屈曲後の接着性等
が不充分であることから、層間が剥離し、結果、燃料ホ
ースが閉塞する等の問題が生じる。
【0005】そこで、フッ素樹脂製内層の表面にコロナ
放電処理等を施した後、エポキシ樹脂系接着剤を介し
て、上記フッ素樹脂製内層と熱可塑性樹脂製外層とを積
層した燃料ホースが提案されている。しかしながら、上
記エポキシ樹脂系接着剤は、通常、粘度が高いためトル
エン等の溶剤に希釈した後塗布される。ところが、乾燥
工程でエポキシ樹脂自体の粘度が高いため、トルエン等
の溶剤の揮散に対してバリヤーとして働くので、上記溶
剤を除去するのに長時間の乾燥工程が必要になる。した
がって、エポキシ樹脂系接着剤を塗布した後、次工程の
熱可塑性樹脂製外層形成工程に移行するまでに、長時間
の乾燥工程が必要になるため、燃料ホースの生産性が低
下するという問題が生じる。一方、トルエン等の溶剤の
除去が不充分のまま、熱可塑性樹脂製外層の形成工程を
行って燃料ホースを作製した場合には、フッ素樹脂製内
層と熱可塑性樹脂製外層の層間に発泡等が認められて、
フッ素樹脂製内層と熱可塑性樹脂製外層の充分な接着力
を得ることができないという問題が生じる。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、より厳しい耐熱性および振動耐久性が要求され
る環境下においても、熱老化後および振動屈曲後の接着
性が優れ、しかも、フッ素樹脂製管状内層形成工程、プ
ラズマ処理工程、表面処理剤塗布工程、および熱可塑性
樹脂製外層形成工程を連続して行うことができる生産生
の高いチューブの製法の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のチューブの製法は、フッ素樹脂製管状内
層の外周に、熱可塑性樹脂製外層が積層形成されたチュ
ーブの製法であって、上記フッ素樹脂製管状内層を形成
する工程と、上記形成されたフッ素樹脂製管状内層の外
周面にプラズマ処理を施して上記フッ素樹脂製管状内層
の外周表層部に処理層を形成する工程と、上記プラズマ
処理が施された上記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部
にカップリング剤系表面処理剤を塗布する工程と、上記
カップリング剤系表面処理剤が塗布された上記フッ素樹
脂製管状内層の外周に上記熱可塑性樹脂製外層を形成す
る工程とを備え、上記4つの工程を連続して行うという
構成をとる。
【0008】なお、本発明において、上記4つの工程を
連続して行うとは、前工程と次工程の工程間で作業を中
断することなく、上記フッ素樹脂製管状内層形成工程、
プラズマ処理工程、カップリング剤系表面処理剤塗布工
程および熱可塑性樹脂製外層形成工程の4つの工程を連
続して行うことをいう。
【0009】すなわち、本発明者らは、フッ素樹脂の他
の構成材料に対する接着強度の向上を目的として、一連
の研究を重ねた。その過程で、フッ素樹脂の接着性の発
現機構を詳細に調べたところ、フッ素樹脂層の表層部を
プラズマ処理すれば、他の材料に対する接着性が発現す
ることを突き止めた。これは、フッ素樹脂層の表層部
を、プラズマ処理により活性化すれば、フッ素樹脂の分
子骨格からフッ素原子と水素原子とが離脱して、炭素ラ
ジカルが生成し、ついで空気中の酸素と反応して官能基
が生成すると同時に表面が凹凸形状になるためと推察さ
れる。しかし、このプラズマ処理のみでは、先に述べた
より厳しい耐熱性および振動耐久性の要求に対して、極
度な評価を行うと接着の低下が認められる。そこで、さ
らに研究を重ねた結果、プラズマ処理後の表層部にカッ
プリング剤系表面処理剤を用い、これを介して、上記フ
ッ素樹脂層の表層部と熱可塑性樹脂層とを積層形成すれ
ば、より厳しい耐熱性および振動耐久性が要求される環
境下においても、熱老化後および振動屈曲後の接着性が
優れ、接着信頼性が向上することを突き止めた。しか
も、カップリング剤系表面処理剤は粘度が低く、溶剤と
して一般に用いられるエチルアルコールやトルエン等の
揮散が極めて早いので、カップリング剤系表面処理剤溶
剤を塗布した後、極めて短時間で上記溶剤を除去でき、
直ぐに次工程である熱可塑性樹脂製外層の形成工程に進
むことができるので、チューブの生産性が向上すること
を見いだし、本発明に到達した。
【0010】また、上記カップリング剤系表面処理剤と
して、上記一般式(1)で表されるシラン系カップリン
グ剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等
のチタネート系カップリング剤、および、上記一般式
(2)で表されるアルミニウム系カップリング剤を用い
た場合には、より厳しい耐熱性および振動耐久性が要求
される環境下においても、熱老化後および振動屈曲後の
接着性がより一層向上するとともに、上記表面処理剤溶
液からエタノール等の溶媒の除去を極めて短時間で行う
ことができるので生産性が向上することを突き止めた。
なお、本発明におけるカップリング剤系表面処理剤と
は、上記アルミニウム系カップリング剤、チタネート系
カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤以外
に、ジルコアルミネート系等のカップリング剤を含む趣
旨であるが、エポキシ樹脂系接着剤等の通常用いられる
接着剤は含まない趣旨である。
【0011】さらに、プラズマ処理を施した上記フッ素
樹脂製管状内層の外周表層部を、フッ素原子数(F)と
炭素原子数(C)との比(F/C)が前記式(3)を満
足する値に設定された処理層に形成することにより、よ
り厳しい耐熱性および振動耐久性が要求される環境下に
おいても、熱老化後および振動屈曲後の接着性がより一
層向上することを突き止めた。なお、本発明において、
上記フッ素樹脂のフッ素原子数(F)および炭素原子数
(C)は、X線光電子分光法(ESCA)で測定した値
をいう。
【0012】そして、上記フッ素樹脂製管状内層および
熱可塑性樹脂製外層の少なくとも一方が、一層もしくは
多層構造であり、かつ、これら層のうち少なくとも一層
が導電性を有していれば、このチューブを燃料ホースと
して用いた場合、燃料(ガソリン等)がホース内部を流
れた際に発生する静電気をホース外部へ放電して逃がす
ことが可能となるため、静電気による燃料への引火等の
事故を未然に防止することが可能となることを突き止め
た。
【0013】また、上記フッ素樹脂製管状内層と熱可塑
性樹脂製外層との組み合わせにおいて、上記フッ素樹脂
製管状内層が、エチレンとテトラフルオロエチレンの共
重合体からなる層であり、かつ、上記熱可塑性樹脂製外
層が、ポリアミド樹脂からなる層であれば、より厳しい
耐熱性および振動耐久性が要求される環境下において
も、特に熱老化後および振動屈曲後の接着性がより一層
向上することを突き止めた。
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0014】本発明のチューブの製法は、まず、フッ素
樹脂製管状内層を形成し、この形成されたフッ素樹脂製
管状内層の外周面にプラズマ処理を施して上記フッ素樹
脂製管状内層の外周表層部に処理層を形成する。つぎ
に、上記プラズマ処理が施された上記フッ素樹脂製管状
内層の外周表層部にカップリング剤系表面処理剤を塗布
し、このカップリング剤系表面処理剤が塗布された上記
フッ素樹脂製管状内層の外周に上記熱可塑性樹脂製外層
を形成するものである。そして、上記内層形成工程、処
理層形成工程、カップリング剤系表面処理剤塗布工程お
よび熱可塑性樹脂製外層形成工程の4つの工程間で作業
を中断することなく、上記4つの工程を連続して行うも
のである。このようにして、例えば、図1に示すような
チューブを作製することができる。図において、1はフ
ッ素樹脂製管状内層、2は熱可塑性樹脂製外層であり、
1aはフッ素樹脂製管状内層1の外周表層部であって、
プラズマ処理およびカップリング剤系表面処理剤が塗布
されている状態を示している。
【0015】上記フッ素樹脂製管状内層1の形成材料で
あるフッ素樹脂としては、エチレンとテトラフルオロエ
チレンの共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオ
ライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン
(CTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレン
の共重合体(ECTFE)、ヘキサフルオロプロピレン
とテトラフルオロエチレンの共重合体(FEP)、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロ
エチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重
合体(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフル
オロプロピレンとパーフルオロアルコキシエチレンの3
元共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレ
ンの共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロ
ピレンの共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロ
エチレンとヘキサフルオロプロピレンの3元共重合体等
があげられ、これらは単独であるいは2種以上併せて用
いられる。なかでも、耐ガソリン透過性、成形加工性が
優れるという理由から、ETFE、PVDF、ECTF
Eが好ましく、特に好ましくは、ETFEである。
【0016】上記フッ素樹脂には、物性改良等の目的に
より充填剤を適宜に配合することが可能である。このよ
うな充填剤としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸
カルシウム、シリカ、カーボンブラック、ケイ酸マグネ
シウム、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、アルミナ、硫
酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化カルシウム、
水酸化アルミニウム、タルク、二酸化モリブデン、ウィ
スカー、短繊維類、黒鉛、金属粉等があげられる。この
充填剤の配合割合は、フッ素樹脂100重量部(以下
「部」と略す)に対し、30部以下の範囲である。
【0017】また、上記チューブを燃料ホースとして用
いる場合、上記フッ素樹脂製管状内層1を形成するフッ
素樹脂には、燃料(ガソリン等)がホース内部を流れた
際に発生する静電気を逃がす目的で導電性を付与するこ
とが好ましい。このフッ素樹脂への導電性の付与は、例
えば、フッ素樹脂に導電剤を配合することにより、その
目的を達成することができる。上記導電剤としては、カ
ーボンブラック、微細なステンレス繊維等の導電剤があ
げられる。この導電剤の配合割合は、フッ素樹脂100
部に対し、0.5〜30部の範囲に設定することが好ま
しい。この範囲で導電剤を配合することにより、得られ
る燃料ホースのフッ素樹脂製管状内層1の体積抵抗率が
1010Ω・cm以下となって、発生する静電気をホース
外部へ放電して逃がすことが可能となる。この結果、静
電気による燃料への引火等の事故を未然に防止すること
が可能となる。
【0018】そして、このような充填剤や導電剤を配合
したフッ素樹脂のみを使用して管状内層(単層)を形成
する他、充填剤等を配合したフッ素樹脂から形成された
層と充填剤等の無配合フッ素樹脂から形成された層とを
積層して多層構造の管状内層としてもよい。なお、上記
導電剤を配合する場合の多層構造のフッ素樹脂製管状内
層の態様としては、通常、燃料と接触する最内層が導電
剤配合フッ素樹脂を用いて形成されるが、本発明は、こ
れに限定されない。すなわち、多層構造のフッ素樹脂製
管状内層において、その最内層(導電剤無配合)を薄肉
に形成し、この最内層の外周に直接形成される層を、導
電剤が配合されたフッ素樹脂を用いて形成することによ
っても、発生する静電気を燃料ホース外部に逃がすこと
が可能である。
【0019】上記フッ素樹脂製管状内層1は、上記フッ
素樹脂を用いて、例えば、押出成形等により形成され、
このフッ素樹脂製管状内層1の外周表層部に対し、プラ
ズマ処理が施される。このプラズマ処理としては、放電
用ガスを導入しながら、減圧に保ったチャンバーに高周
波をかけて発生したプラズマ雰囲気にさらす減圧プラズ
マ処理や、常圧で放電用ガスを導入したチャンバーに高
周波をかけて発生したプラズマ雰囲気にさらす常圧プラ
ズマ処理等があげられるが、均一な処理が得られやすい
という理由から、減圧プラズマ処理が特に好ましい。
【0020】上記熱可塑性樹脂製外層2は、チューブに
構造強度を付与するために、上記フッ素樹脂製管状内層
1の外周に積層形成されるものである。この熱可塑性樹
脂製外層2の形成材料としては、特に限定するものでは
なく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ウ
レタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂や、これらの
樹脂を変性した変性樹脂等があげられる。なかでも、耐
熱性および加水分解性に優れるという理由から、ポリア
ミド樹脂が特に好ましい。このポリアミド樹脂として
は、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン1
1、ナイロン12等があげられ、これらは単独でもしく
は2種以上併せて用いられる。なかでも、成形加工性に
優れるという理由から、ナイロン11、ナイロン12が
特に好ましい。
【0021】そして、上記熱可塑性樹脂製外層2の形成
材料であるポリアミド樹脂等には、加工特性の改善およ
び柔軟性の向上のために、必要に応じて、可塑剤が配合
される。この可塑剤としては、スルホンアミド類、オキ
シ安息香酸エステル類等があげられる。この可塑剤の配
合割合は、通常、ポリアミド樹脂100部に対して、2
0部以下の範囲に設定される。
【0022】また、上記熱可塑性樹脂製外層2の形成材
料であるポリアミド樹脂等に対しても、導電性付与等の
目的により、前述した導電剤を配合することが可能であ
る。そして、この導電剤の配合割合や導電剤を配合した
ポリアミド樹脂等の使用態様は、前述のフッ素樹脂製管
状内層1の場合と同様である。
【0023】そして、上記フッ素樹脂製管状内層1と上
記熱可塑性樹脂製外層2とは、カップリング剤系表面処
理剤を介して積層形成される。上記カップリング剤系表
面処理剤としては、特に限定するものではないが、シラ
ン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ア
ルミニウム系カップリング剤が特に好ましい。
【0024】上記シラン系カップリング剤としては、特
に限定するものではないが、下記の一般式(1)で表さ
れるものが特に好ましい。これらは単独でもしくは2種
以上併せて用いられる。
【0025】
【化3】
【0026】上記一般式(1)で表されるシラン系カッ
プリング剤のなかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピ
ル)トリメトキシシラン、γ−(ウレイドプロピル)ト
リエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0027】また、上記チタネート系カップリング剤と
しては、特に限定するものではなく従来公知のものが用
いられる。例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタ
ネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネー
ト、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネ
ート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネ
ート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエ
チル)チタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホス
フェート)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチ
ルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ
デシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルト
リクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス
(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチ
ルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テト
ラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス
(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオ
クチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネー
ト、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチ
タネート等があげられる。これらは単独でもしくは2種
以上併せて用いられる。
【0028】上記チタネート系カップリング剤のなかで
も、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イ
ソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チ
タネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホス
フェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキ
シメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファ
イトチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホ
スファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホス
フェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオク
チルパイロホスフェート)エチレンチタネートを単独で
あるいは2種以上併用することが特に好ましい。
【0029】そして、上記アルミニウム系カップリング
剤としては、特に限定するものではないが、下記の一般
式(2)で表されるものが特に好ましい。これらは単独
でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0030】
【化4】
【0031】上記一般式(2)で表されるアルミニウム
系カップリング剤のなかでも、R1が−OC2 5 また
は−OC1835であり、Aが
【化5】 であり、R2 が−CH3 、−C4 9 または−C8 17
であり、xが1または2であり、yが1であるアルミニ
ウム系カップリング剤が好ましく、特に好適なのはR1
が−OC1835、xが2、yが1であるアルミニウム系
カップリング剤(味の素社製プレンアクトAL−M)で
ある。
【0032】上記カップリング剤系表面処理剤は、通
常、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、n−プロパノール、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、n−ヘキサン、トルエ
ン、キシレン等の有機溶剤に希釈して使用される。ま
た、必要に応じてフェノール等との混合溶液に希釈して
使用することもできる。この場合、上記カップリング剤
系表面処理剤を希釈したメタノール等の溶液の濃度とし
ては、1〜20重量%(以下「%」と略す)が好まし
く、特に好ましくは、1〜10%である。すなわち、上
記溶液の濃度が1〜20%の範囲外であれば、接着性が
劣るからである。
【0033】そして、上記カップリング剤系表面処理剤
溶液は、例えば、上記プラズマ処理が施されたフッ素樹
脂製管状内層1の外周表層部1aの表面に塗布される。
この塗布方法としては、上記所定濃度に調製されたカッ
プリング剤系表面処理剤溶液が充填された溶液槽中に、
上記フッ素樹脂製管状内層1を浸漬させる方法が特に好
ましいが、これ以外にも、上記カップリング剤系表面処
理剤溶液を、フッ素樹脂製管状内層1のプラズマ処理済
み外周表層部1aの表面に、はけやスプレー等で塗布す
る方法や、上記カップリング剤系表面処理剤溶液を滴下
する方法等があげられる。上記カップリング剤系表面処
理剤の塗布量(メタノール等の溶液を除く)は、上記フ
ッ素樹脂製管状内層1のプラズマ処理済み外周表層部1
cm2 に対して、1×10-9〜1×10-4g/cm2
好ましく、特に好ましくは1×10-8〜1×10-5g/
cm2 である。すなわち、カップリング剤系表面処理剤
の塗布量が、1×10-9g/cm2 未満であれば、カッ
プリング剤系表面処理剤の付着量が少なすぎるため上記
フッ素樹脂製管状内層1と熱可塑性樹脂製外層2との接
着性が劣るからであり、逆に、1×10-4g/cm2
超えると、カップリング剤系表面処理剤が何層にも付着
するため付着性が劣るからである。
【0034】つぎに、本発明のチューブの製法を、図2
にもとづいて説明する。
【0035】まず、内層押出成形機3により上記フッ素
樹脂が押し出されてフッ素樹脂製管状内層1が形成され
る。このフッ素樹脂製管状内層1は、通常、内径4〜5
0mm程度、厚み0.05〜1mm程度の範囲に設定さ
れる。
【0036】つぎに、上記フッ素樹脂製管状内層1は、
シール部4を通過し、減圧プラズマ処理装置5の反応室
6に導かれる。この反応室6内は、安定したプラズマを
発生させるために、真空装置(真空ポンプ)7により減
圧状態にされた後、ガス供給装置8により放電用ガスが
導入され、0.005〜8Torrの減圧状態に維持さ
れる。上記放電用ガスとしては、Arガスを単独で使用
することが好ましいが、ArガスとN2 ガスとの混合ガ
ス、あるいはN2 ガス単独でもよい。
【0037】そして、電極9a間がプラズマ処理ゾーン
であり、この電極9a間にフッ素樹脂製管状内層1が導
かれ、このフッ素樹脂製管状内層1の外周表層部に対し
てプラズマ処理が施される。このプラズマ処理は、高周
波電源10およびマッチングボックス11を用いて、マ
ッチングのとられた高周波高出力電流を電極9aに所定
時間加えることにより上記電極9a間で放電を行い、上
記放電用ガスを電離させてプラズマ状態を生成すること
により行われるものである。このときの周波数は、0.
1〜1000MHzの範囲であり、好ましくは、1〜1
00MHzの範囲である。また、高周波電源の出力は、
2〜400Wの範囲であり、好ましくは、5〜300W
である。処理時間は、フッ素樹脂の種類やサイズ等によ
って適宜決定されるものであるが、通常1〜180秒の
範囲であり、好ましくは、3〜60秒の範囲である。こ
のような減圧プラズマ処理を施すことにより、フッ素樹
脂製管状内層1の外周表層部を、上記特定の処理層
(A)とすることができる。
【0038】上記プラズマ処理は、上記フッ素樹脂製管
状内層1の外周表層部1aが、フッ素原子数(F)と炭
素原子数(C)との比(F/C)が下記の式(3)を満
足する値に設定された処理層に形成されるように設定す
ることが好ましい。すなわち、上記処理層において、フ
ッ素原子数(F)と炭素原子数(C)との比(F/C)
が上記式(2)の値を満足しなければ、接着信頼性が不
充分となるからである。
【0039】
【数2】(F/C)≦a×0.9 …(3) 〔上記式(3)において、aは(F/C)の初期値であ
る。〕
【0040】このように、上記プラズマ処理によって、
フッ素樹脂製管状内層1の外周表層部1aのフッ素原子
数(F)と炭素原子数(C)との比(F/C)が、プラ
ズマ処理前におけるフッ素原子数と炭素原子数との比
(初期F/C)に対して90%以下となることによっ
て、プラズマ処理後の表層部に施されるカップリング剤
系表面処理剤との相互作用が強固となり、熱老化後およ
び振動屈曲後の接着性が優れるようになる。さらに、7
0%未満となることによって、この接着性は良好にな
る。
【0041】なお、上記処理層(A)の形成のためのプ
ラズマ処理条件は、用いるフッ素樹脂等の種類等により
適宜決定されるものである。また、この処理層(A)形
成のための減圧プラズマ処理としては、含Arガス雰囲
気下のグロー放電プラズマ処理が好ましい。このグロー
放電プラズマ処理によれば、上記処理層(A)を容易に
形成することが可能だからである。また、このグロー放
電プラズマ処理は、減圧条件も厳しくする必要がないた
め、用いる減圧プラズマ処理装置5も高性能のものでは
なく、通常のものを用いることができるという利点もあ
る。含Arガスとしては、Arガス単独の他、Arガス
とN2 ガス、H2 ガス、O2 ガス等との混合ガスを用い
ることができる。この混合ガスの場合、Arガスの割合
は、ガス全体に対し、Arガスが50容量%以上である
ことが好ましい。
【0042】ついで、上記プラズマ処理が施されたフッ
素樹脂製管状内層1は、シール部4を通過して減圧プラ
ズマ処理装置5外に導出され、上記所定濃度に調製され
たカップリング剤系表面処理剤溶液が充填されたカップ
リング剤系表面処理剤溶液槽12に導かれる。そして、
上記フッ素樹脂製管状内層1が、上記カップリング剤系
表面処理剤溶液槽12を通過する間に、上記フッ素樹脂
製管状内層1のプラズマ処理済み外周表層部の表面にカ
ップリング剤系表面処理剤溶液が塗布されることにな
る。この場合、カップリング剤系表面処理剤の塗布量
(溶液を除く)は、前述のように、上記フッ素樹脂製管
状内層1のプラズマ処理済み外周表層部1cm2 に対し
て、1×10-9〜1×10-4g/cm2 の範囲に設定す
るのが好ましい。そして、このカップリング剤系表面処
理剤の塗布量は、カップリング剤系表面処理剤溶液の濃
度や、上記フッ素樹脂製管状内層1の上記カップリング
剤系表面処理剤溶液槽12中への浸漬時間や通過速度等
を制御することにより適宜に調整される。
【0043】つづいて、上記カップリング剤系表面処理
剤溶液が塗布された上記フッ素樹脂製管状内層1は、乾
燥機13に導かれ、カップリング剤系表面処理剤溶液中
のメタノール等の溶媒が除去される。上記乾燥機13
は、上記カップリング剤系表面処理剤溶液が塗布された
上記フッ素樹脂製管状内層1の表面から上記溶媒を迅速
に除去できるものであれば特に限定はなく、例えば、赤
外線ランプ、熱風乾燥機、減圧乾燥機等があげられる。
なかでも、乾燥効率が良いという理由から、熱風乾燥
機、減圧乾燥機を用いることが好ましい。そして、熱風
乾燥機を用いる場合には、40〜180℃×1〜60秒
間程度の条件で、上記溶媒を除去することができる。ま
た、減圧乾燥機を用いる場合には、室温〜80℃×0.
5〜30秒間程度の条件で上記溶媒を除去することがで
きる。そして、減圧乾燥の場合は、つぎに述べる熱可塑
性樹脂製外層押出成形機14で通常使用する減圧を利用
することができるため、複雑な設備を必要とすることな
く、連続化が容易であるという点で好ましい。
【0044】そして、上記溶媒が除去され、カップリン
グ剤系表面処理剤のみが塗布された上記フッ素樹脂製管
状内層1は、上記乾燥機13外に導出され、直ちに外層
押出成形機14により熱可塑性樹脂が上記管状内層1の
外周に押し出されて熱可塑性樹脂製外層2が形成され
る。この熱可塑性樹脂製外層2の厚みは、0.2〜4m
mの範囲、好ましくは0.5〜3mm程度の範囲であ
る。そして、上記フッ素樹脂製管状内層1および熱可塑
性樹脂製外層2は、巻き取り機15によって巻き取られ
る。このような一連の連続した工程を経て、上記チュー
ブが作製される。
【0045】上記チューブの製法では、マンドレルを使
用せずにチューブを作製する製法について説明したが、
本発明のチューブの製法は、例えば、図3に示すよう
に、マンドレル供給装置16から上記内層押出成形機3
にマンドレル17を供給し、マンドレル17上にフッ素
樹脂製管状内層1を形成することによっても上記と同様
のチューブを製造することも可能である。図3におい
て、マンドレル供給装置16、マンドレル17を用いる
以外は基本的に図2と同じ構成であり、同一部分には同
一符号を付している。チューブの製造において、マンド
レル17を使用するのは、チューブの形状を保持しなが
ら工程を進めるためであり、特に、本発明においてチュ
ーブのフッ素樹脂製管状内層1は、0.05〜1.00
mmの薄肉であるため、マンドレル17を使用しないと
チューブに潰れが生じその中空状態を保持することが困
難となる。このように、フッ素樹脂製管状内層1が潰れ
てしまうと、この外周への熱可塑性樹脂製外層2等の形
成が困難となる。しかし、前述のように、減圧プラズマ
処理を行えば、マンドレル17を使用しなくとも、この
ような問題は生じない。すなわち、フッ素樹脂製管状内
層1は、その内部が大気圧であり、一方、減圧プラズマ
処理装置5内は、前述のように0.005〜8Torr
の低圧条件であるため、上記管状内層1を上記減圧プラ
ズマ処理装置5内に導入すると、その圧力差により、フ
ッ素樹脂製管状内層1は、マンドレル17なしでもその
チューブ形状を保持することができる。また、マンドレ
ル17の使用が省略されると、チューブからのマンドレ
ル17抜き取り工程が必要なくなり、チューブの製造効
率がより一層向上するようになる。
【0046】そして、上記チューブの製法において、2
層構造のチューブの製法について説明したが、本発明
は、これに限定するものでない。すなわち、本発明のチ
ューブの基本構造は、フッ素樹脂製管状内層1の外周に
熱可塑性樹脂製外層2が形成された2層構造(図1参
照)であるが、この熱可塑性樹脂製外層2上にさらに補
強糸層やゴム製外層もしくは熱可塑性エラストマー製外
層を形成した、3層構造、4層構造等の多層構造チュー
ブとしてもよい。
【0047】上記3層構造のチューブの例としては、図
4に示すような、フッ素樹脂製管状内層1の外周表層部
1a上に、熱可塑性樹脂製外層2が形成され、この熱可
塑性樹脂製外層2の外周にゴム製外層18もしくは熱可
塑性エラストマー製外層18が形成されたチューブがあ
げられる。
【0048】上記ゴム製外層18の形成材料としては、
特に限定するものではないが、例えば、エピクロルヒド
リンゴム(CO)、エピクロルヒドリンとエチレンンオ
キシドとの等モルのコポリマー(通称ECO、別名CH
C)、アクリルニトリルブタンジエンゴム(NBR)と
ポリ塩化ビニル(PVC)とのブレンドゴム(NBR/
PVC)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン
化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CP
E)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)等があげら
れる。このなかでも、耐熱性や耐オゾン性等の特性が優
れるという理由から、CO、ECO、NBR/PVC、
CSM、EPDM、EPM等が好ましい。
【0049】また、上記熱可塑性エラストマー製外層1
8の形成材料としては、ウレタン系、オレフィン系、ニ
トリル系、アミド系等の熱可塑性エラストマーがあげら
れる。
【0050】そして、上記ゴム製外層18もしくは熱可
塑性エラストマー製外層18の厚みは、通常0.5〜
5.0mm、好ましくは0.5〜3.0mm程度であ
る。このように、外層18を形成したチューブは、耐火
炎性や耐チッピング性を備えるようになる。
【0051】また、上記4層構造のチューブの例として
は、図5に示すような、フッ素樹脂製管状内層1の外周
表層部1a上に、熱可塑性樹脂製外層2が形成され、こ
の熱可塑性樹脂製外層2の外周に補強糸層19が形成さ
れ、この補強糸層19の外周にゴム製外層18もしくは
熱可塑性エラストマー製外層18が形成されたチューブ
があげられる。上記補強糸層19は、麻や綿等の天然素
材の糸や、ポリエステル糸、ビニロン糸、ナイロン糸等
の合成糸、あるいはワイヤー等の金属製糸を用い、編組
機により形成される。このように、補強糸層19を形成
すれば、チューブの耐圧性が向上するようになる。ま
た、この4層構造のチューブの外層18の厚みや形成材
料は、上記3層構造のチューブの外層18と同様であ
る。
【0052】上記のような、補強糸層19や外層18を
形成する場合は、図2に示す外層押出成形機14の後
に、編組機や押出成形機等を配置し、これらの装置によ
る編組工程や、押出工程を経ることにより、上記補強糸
層19や外層18が形成された多層構造のチューブを製
造することができる。
【0053】また、図6に示すように、減圧プラズマ処
理装置5にフッ素樹脂製管状内層1を導入する前に、冷
却ゾーン20を通過させて冷却することが好ましい。こ
れは、押出成形直後のフッ素樹脂製管状内層1が高温で
あるため柔らかく、その管状形状の保形性が悪いからで
ある。また、同様の理由から、熱可塑性樹脂製外層2の
押出成形機14の直後にも冷却ゾーン(図示せず)を設
け、これを通過させて冷却することが最も好ましい。な
お、図6において、図2と同一部分には同一符号を付し
ている。
【0054】つぎに、本発明において使用する減圧プラ
ズマ処理装置について詳しく説明する。
【0055】上記チューブの製造の説明において、図2
に示すように、内部電極9aを有する減圧プラズマ処理
装置5をあげたが、これに限定するものではない。この
内部電極の装置の他、例えば、図7に示すような、減圧
プラズマ処理装置5の外周に誘導コイル電極9bを備え
た減圧プラズマ処理装置5があげられる。なお、図7に
おいて、図2と同一部分には同一符号を付している。
【0056】また、上記のように、本発明のプラズマ処
理は、大気圧より低い減圧状態で行うことが好ましく、
減圧プラスマ処理装置5のシール部4のシール性が悪い
と、装置内の減圧状態を一定状態に制御することが困難
となり、安定したプラズマを発生させることができなく
なる。特に、長さが長いチューブを連続して製造する場
合は、この問題は深刻である。前述のように、従来の減
圧プラズマ処理装置5を用いる場合は、装置のチューブ
導入、導出部分に、差動排気方式を利用した減圧ゾーン
を、多段階に設置する必要があった。この場合、特殊な
装置(減圧ゾーン)を減圧プラズマ処理装置5に設置す
る必要があるため、設備コストがかかるという問題があ
る。
【0057】そこで、本発明では、減圧プラズマ処理装
置5のシール部4をゴム弾性体により形成することによ
り、減圧プラズマ処理装置5の気密性を保持して上記製
造効率低下の問題や設備コストの問題を解決している。
【0058】上記ゴム弾性体としては、硬度45〜80
(JIS A)のものを使用することが好ましい。ゴム
弾性体の種類は、特に限定するものではないが、シリコ
ーンゴムやNBRを用いると好結果が得られる。すなわ
ち、このような好適の種類や硬度のゴム弾性体を用いて
形成されたシール部4は、一定速度で減圧プラズマ処理
装置5内に導入、導出されるチューブ(フッ素樹脂製管
状内層1)に対する密着追従性に優れるため、上記チュ
ーブの導入、導出速度を高速度(約5〜20m/分)と
しても、減圧プラズマ処理装置5内の気密性が保たれ
る。
【0059】そして、このようにチューブの導入、導出
速度を高速度とすることにより、チューブの製造効率を
向上させることが可能となる。そして、このゴム弾性体
製シール部の形状は、例えば、図8に示すシール4aお
よび図9に示すシール4bがあげられる。両図におい
て、1はフッ素樹脂製管状内層を示す。図8に示すよう
に、ゴム弾性体(シール4a)を、外形状が略円錐台形
状で全体形状をカップ形状とすると、チューブ(フッ素
樹脂製管状内層)との接触部分が小さくなって接触摩擦
が低下しチューブを円滑に装置内に導入あるいは装置外
に導出することが可能となるとともに、装置の気密性も
充分保持することが可能となる。なお、同図において、
矢印は、チューブ進行方向を示す。また、図9に示すよ
うに、ゴム弾性体(シール4b)を円盤状としてもよ
い。このように、シール部4を円盤状のゴム弾性体を用
いて形成すると、減圧プラズマ処理装置5の気密性をさ
らに高めることができるようになる。
【0060】また、図10に示すように、シール部4を
シール室としてもよい。図示のように、このシール室
は、筒状体21の両端部に、円盤状ゴム弾性体製シール
4bが形成されている。また、上記筒状体21の胴部に
は、配管22が連結しており、この配管22を介して、
このシール室内と真空ポンプ(図示せず)が連結されて
いる。また、図において、1は、フッ素樹脂製管状内層
である。このシール室は、上記真空ポンプにより、後述
する予備真空室23の減圧状態と略同じ減圧状態となっ
ている。このように、シール部4が、シール室の態様を
とることにより、減圧プラズマ処理装置5の気密性が向
上するようになる。なお、上記筒状体21の両端部に
は、図8にしめすシール4aを形成しても同様の好結果
が得られる。
【0061】そして、シール部4のその他の態様として
は、図11に示すように、シール部4を二段階として予
備真空室23を設けてもよい。この予備真空室23は、
仕切り板24によって、反応室6と隔てられた気密空間
となっており、またこの予備真空室23は、配管22を
介して真空ポンプ26と連結されている。図において、
25は、上記配管22の途中に設けられたバルブを示
す。そして、この予備真空室23のチューブ(フッ素樹
脂製管状内層1)が出入りするシール部4は、上記ゴム
弾性体製シールにより形成されている。このゴム弾性体
製シールの形状としては、特に限定するものではなく、
上記の2種類の形状4a、4bのものや上記シール室の
形態があげられるが、好ましくは円盤状ゴム弾性体製シ
ール4b(図9参照)である。なお、図11において、
図2と同一部分には同一符号を付している。
【0062】上記予備真空室23を介したフッ素樹脂製
管状内層1のプラズマ処理装置5に対する導入、導出
は、つぎのようにして行われる。まず、導入の場合は、
フッ素樹脂製管状内層1が、予備真空室23の一端側か
らシール部4を通して予備真空室23内に導入されてこ
れを通過し、この予備真空室23の他端側のシール部4
を通って減圧プラズマ処理装置5内に導入される。ま
た、上記管状内層1の導出は、これと逆の順序で行われ
る。そして、上記フッ素樹脂製管状内層1が予備真空室
23内を通過する際には、真空ポンプ26の作用によ
り、配管22を通して、予備真空室23内が反応室6よ
りも穏やかな減圧状態(約0.1〜10Torr)とな
っている。このように、予備真空室23を設けることに
より、チューブ導入、導出部からの外部空気の減圧プラ
ズマ処理装置5内への混入が完全に防止されるようにな
る。この結果、反応室6内の減圧状態を正確に制御する
ことができ、安定したプラズマを発生させることが可能
となる。
【0063】このように、上記所定の条件で減圧プラズ
マ処理を施すことにより、フッ素樹脂製管状内層1の外
周表層部1aを、特定のF/C比の範囲の処理層(A)
に形成することができる。このF/C比は、前述のよう
に、ESCAで測定した値をいう。このESCAは、光
電子分光装置(例えば、5600Ci ULVACPH
I社製)を用い、減圧プラズマ処理されたフッ素樹脂製
管状内層1の外周面を分析する方法である。そして、こ
の光電子分光装置の測定条件は、例えば、下記に示す通
りである。
【0064】 励起X線:Al、Kα1,2 線(1486.6eV) X線出力:10kV、20mA 温 度:20℃ 真空度 :3×10-8Torr
【0065】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0066】(1)カップリング剤系表面処理剤とし
て、シラン系カップリング剤を用いる場合について説明
する。
【0067】まず、実施例および比較例に先立ち、下記
の表1に示すシラン系カップリング剤A〜Fを準備し
た。
【0068】
【表1】
【0069】
【実施例1〜6】上記フッ素樹脂製管状内層1および上
記熱可塑性樹脂製外層2の形成材料として、後記の表2
および表3に示す材料を用い、かつ、上記シラン系カッ
プリング剤として、後記の表2および表3に示す種類の
シラン系カップリング剤A〜Fを用い、前述の図2に示
す方法に従ってチューブを製造した。
【0070】すなわち、まず、上記内層押出成形機3に
よりETEFを押し出して、内径6.0mm、厚み0.
25mmのETFE製管状内層1を形成した。ついで、
このETFE製管状内層1を減圧プラズマ処理装置5内
の放電室(反応室)6まで導入した。この放電室6は、
真空ポンプ7により10-3Torrに減圧された後、ガ
ス供給装置8からArガス(放電用ガス)が供給されて
0.07Torrの減圧状態とした。
【0071】そして、上記放電室6の電極9a間に、E
TFE製管状内層1を導入し、高周波電源10およびマ
ッチングボックス11によりインピーダンス整合させた
周波数13.56MHz、出力250Wの高周波電力を
電極9aに印加してグロー放電を発生させてプラズマを
生成し、上記ETFE製管状内層1の外周表層部1aに
対してプラズマ処理を行い処理層を形成した。
【0072】つぎに、上記プラズマ処理を施したフッ素
樹脂製管状内層1を、上記シラン系カップリング剤の3
%エタノール溶液が充填されたシラン系カップリング剤
溶液槽12に導入し、上記フッ素樹脂製管状内層1のプ
ラズマ処理済み外周表層部1aの表面に、上記シラン系
カップリング剤溶液を塗布した。なお、このシラン系カ
ップリング剤溶液の塗布において、シラン系カップリン
グ剤の塗布量(エタノール溶液を除く)は、上記フッ素
樹脂製管状内層1のプラズマ処理済み外周表層部に対し
て、3×10-7g/cm2 となるように行った。
【0073】つづいて、上記シラン系カップリング剤溶
液が塗布された上記フッ素樹脂製管状内層1を、乾燥機
13に導入し、上記フッ素樹脂製管状内層1の表面から
上記エタノール溶媒を除去した。なお、乾燥機13とし
て減圧乾燥機を用い、室温×3秒間の条件で上記エタノ
ール溶媒を除去した。
【0074】そして、上記溶媒除去後のシラン系カップ
リング剤のみが塗布されたフッ素樹脂製管状内層1を外
層押出成形機14へ供給し、厚み0.75mmのナイロ
ン12(PA12:可塑剤7%含有)製外層2を積層形
成し、これを巻き取り機15に巻き取ることにより目的
とするチューブを得た。なお、上記ナイロン12製外層
2の形成は、ナイロン12を240℃に設定した外層押
出成形機14により形成した。
【0075】
【実施例7】上記フッ素樹脂製内層1を2層構造とし、
その最内層および最外層の形成材料として、それぞれ後
記の表3に示す材料を用いた。すなわち、2台の押出し
成形機を用いて、最内層である導電ETFE層の厚みが
0.08mm、最外層であるETFE層の厚みが0.1
7mmの2層構造のフッ素樹脂製内層を形成した。それ
以外は、実施例1と同様にしてチューブを製造した。
【0076】なお、上記最内層である導電ETFE層の
形成材料としては、下記に示す組成からなる形成材料を
用いた。
【0077】〔導電ETFE層の形成材料〕導電性カー
ボンブラックとしてケッチェンEC(ケッチェンブラッ
ク・インターナショナル社製)を用い、このケッチェン
ECをETFEに15%配合した。
【0078】
【実施例8】上記フッ素樹脂製内層1の外周に形成する
熱可塑性樹脂製外層2の形成材料として、後記の表3に
示す導電ナイロン12を用いた以外は、実施例1と同様
にしてチューブを製造した。
【0079】なお、上記導電ナイロン12は、下記に示
す組成からなるものである。 〔導電ナイロン12の形成材料〕導電性カーボンブラッ
クとしてケッチェンEC(ケッチェンブラック・インタ
ーナショナル社製)を用い、このケッチェンECをナイ
ロン12に13%配合した。
【0080】
【実施例9】減圧状態を0.12Torrとした以外
は、実施例1と同様にして燃料ホースを製造した。
【0081】
【比較例1】上記フッ素樹脂製管状内層1および上記熱
可塑性樹脂製外層2の形成材料として、後記の表4に示
す材料を用い、シラン系カップリング剤の塗布処理を施
さない以外は、実施例1と同様にしてチューブを製造し
た。
【0082】
【比較例2】上記フッ素樹脂製管状内層1および上記熱
可塑性樹脂製外層2の形成材料として、後記の表4に示
す材料を用い、かつ、上記シラン系カップリング剤とし
て、後記の表4に示す種類のシラン系カップリング剤を
用い、プラズマ処理を施さない以外は、実施例1と同様
にしてチューブを製造した。
【0083】
【比較例3,4】上記フッ素樹脂製管状内層1および上
記熱可塑性樹脂製外層2の形成材料として、後記の表4
に示す材料を用い、かつ、上記シラン系カップリング剤
として、後記の表4に示す種類のシラン系カップリング
剤を用い、上記プラズマ処理に代えてコロナ処理を施し
た以外は、実施例1と同様にしてチューブを製造した。
上記コロナ処理は図14に示す装置を用い、周波数20
kHz、出力0.4kwの条件にて、大気中で行った。
なお、図14において、31は高周波電源、39は電極
である。
【0084】
【比較例5】上記フッ素樹脂製管状内層1および上記熱
可塑性樹脂製外層2の形成材料として、後記の表4に示
す材料を用い、上記シラン系カップリング剤に代えて、
エポキシ樹脂系接着剤(東亜合成化学工業社製、BX−
60)の20%エタノール溶液を用いた以外は、実施例
1と同様にしてチューブを製造した。
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】 *:実施例7のF/C比は、2層構造であるフッ素樹脂製内層のうち、外層であ るETFE層の表面における値である。
【0087】
【表4】 *:シラン系カップリング剤に代えて、エポキシ樹脂系接着剤を用いた。
【0088】このようにして製造した実施例1〜9品お
よび比較例1〜5品のチューブを用いて、フッ素樹脂製
管状内層1の処理層の原子組成(F/C)、初期の接着
強度、ガソリン浸漬後の接着強度、熱老化後の接着強
度、および屈曲試験での剥離性について、下記の基準に
従い比較評価を行った。その結果を、下記の表5〜7に
併せて示す。
【0089】〔フッ素樹脂製管状内層の処理層の原子組
成〕ESCAにより調べた。すなわち、光電子分光装置
(5600Ci ULVAC PHI社製)を用い、下
記に示す条件で測定を行った。
【0090】 励起X線:Al、Kα1,2 線(1486.6eV) X線出力:10kV、20mA 温 度:20℃ 真空度 :3×10-8Torr
【0091】〔初期の接着強度〕接着強度の測定は、J
IS K 6301に準拠して行った。すなわち、図1
2に示すように、チューブを長さ(L)500mmとな
るようにリング状に切断し、さらに長手方向に切開して
試験サンプルとした。この試験サンプルの切開面よりフ
ッ素樹脂製管状内層1および熱可塑性樹脂製外層2を一
部剥離し、これら各剥離端を引張試験機の挟み治具によ
って固定し、この引張試験機により引張速度25mm/
分で引張試験を行った。この引張試験により得られた荷
重を、上記両層間の接着強度とした。
【0092】〔ガソリン浸漬試験後の接着強度〕上記接
着強度の測定に用いる試験サンプルを、40℃、168
時間の条件でガソリン(Fuel C)に浸漬後、上記
接着強度の測定と同様にして、フッ素樹脂製管状内層1
とこの内層の外周に形成された熱可塑性樹脂製外層2と
の接着強度を測定した。
【0093】〔熱老化試験の接着強度〕上記接着強度の
測定に用いる試験サンプルを、125℃、240時間の
条件で加熱処理した後、上記接着強度の測定と同様にし
て、フッ素樹脂製管状内層1とこの外周に形成された熱
可塑性樹脂製外層2との接着強度を測定した。
【0094】〔屈曲試験での剥離性〕図13に示すよう
に、燃料ホース41(250mm)の両端を振動試験機
のジョイント42に固定し、雰囲気温度80℃中で燃料
ホース41内に擬似ガソリン(Fuel C:メタノー
ル=85:15、体積比)液を循環させ、燃料ホース4
1の片端41aを矢印方向に振巾±10mm、周波数1
000cpmの条件で500時間振動耐久試験を実施し
た後、上記接着強度の測定と同様にして、フッ素樹脂製
管状内層1とこの外周に形成された熱可塑性樹脂製外層
2との接着強度を測定した。
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
【表7】
【0098】上記表5および表6の結果から、実施例1
〜9品のチューブは、初期の接着強度、ガソリン浸漬後
の接着強度、熱老化後の接着強度、および屈曲試験での
剥離性の全てにおいて優れていることが分かった。
【0099】これに対して、上記表7の結果から、比較
例1〜5品のチューブは、初期の接着強度、ガソリン浸
漬後の接着強度、熱老化後の接着強度、および屈曲試験
での剥離性の全ての特性において実施例品よりも劣り、
特に熱老化後の接着強度が著しく劣ることが分かった。
特に、比較例5品のチューブは、エポキシ樹脂系接着剤
の溶剤として使用したトルエン溶媒の揮散が遅いため、
乾燥機13での乾燥が充分に行われず、巻き取り機15
の速度を遅くして乾燥時間を長くしたにもかかわらず、
熱可塑性樹脂製外層2の形成材料であるPA12を被覆
した段階で、内層樹脂と外層樹脂間に発泡が認められ
て、実用に耐える接着力が得られないことが分かった。
【0100】(2)カップリング剤系表面処理剤とし
て、チタネート系カップリング剤を用いる場合について
説明する。
【0101】まず、実施例に先立ち、下記の表8に示す
チタネート系カップリング剤G〜Mを準備した。
【0102】
【表8】
【0103】
【実施例10〜16】カップリング剤系表面処理剤とし
て、シラン系カップリング剤に代えて後記の表9および
表10に示すチタネート系カップリング剤を用いる以外
は、実施例1と同様にしてチューブを製造した。
【0104】
【実施例17】カップリング剤系表面処理剤として、シ
ラン系カップリング剤に代えて後記の表10に示すチタ
ネート系カップリング剤を用いる以外は、実施例7と同
様にしてチューブを製造した。
【0105】
【実施例18】カップリング剤系表面処理剤として、シ
ラン系カップリング剤に代えて後記の表10に示すチタ
ネート系カップリング剤を用いる以外は、実施例8と同
様にしてチューブを製造した。
【0106】
【実施例19】減圧状態を0.12Torrとした以外
は、実施例10と同様にして燃料ホースを製造した。
【0107】
【表9】
【0108】
【表10】 *:実施例17のF/C比は、2層構造であるフッ素樹脂製内層のうち、外層で あるETFE層の表面における値である。
【0109】このようにして製造した実施例10〜19
品のチューブを用いて、フッ素樹脂製管状内層1の処理
層の原子組成(F/C)、初期の接着強度、ガソリン浸
漬後の接着強度、熱老化後の接着強度、および屈曲試験
での剥離性について、上記の基準に従い比較評価を行っ
た。その結果を、下記の表11および表12に併せて示
す。
【0110】
【表11】
【0111】
【表12】
【0112】上記表11および表12の結果から、実施
例10〜19品のチューブは、初期の接着強度、ガソリ
ン浸漬後の接着強度、熱老化後の接着強度、および屈曲
試験での剥離性の全てにおいて優れていることが分かっ
た。
【0113】(3)カップリング剤系表面処理剤とし
て、アルミニウム系カップリング剤を用いる場合につい
て説明する。
【0114】まず、実施例に先立ち、下記の表13に示
すアルミニウム系カップリング剤N〜Sを準備した。
【0115】
【表13】
【0116】
【実施例20〜25】カップリング剤系表面処理剤とし
て、シラン系カップリング剤に代えて後記の表14およ
び表15に示すアルミニウム系カップリング剤を用いる
以外は、実施例1と同様にしてチューブを製造した。
【0117】
【実施例26】カップリング剤系表面処理剤として、シ
ラン系カップリング剤に代えて後記の表15に示すアル
ミニウム系カップリング剤を用いる以外は、実施例7と
同様にしてチューブを製造した。
【0118】
【実施例27】カップリング剤系表面処理剤として、シ
ラン系カップリング剤に代えて後記の表15に示すアル
ミニウム系カップリング剤を用いる以外は、実施例8と
同様にしてチューブを製造した。
【0119】
【実施例28】減圧状態を0.12Torrとした以外
は、実施例20と同様にして燃料ホースを製造した。
【0120】
【表14】
【0121】
【表15】 *:実施例26のF/C比は、2層構造であるフッ素樹脂製内層のうち、外層で あるETFE層の表面における値である。
【0122】このようにして製造した実施例20〜28
品のチューブを用いて、フッ素樹脂製管状内層1の処理
層の原子組成(F/C)、初期の接着強度、ガソリン浸
漬後の接着強度、熱老化後の接着強度、および屈曲試験
での剥離性について、上記の基準に従い比較評価を行っ
た。その結果を、下記の表16および表17に併せて示
す。
【0123】
【表16】
【0124】
【表17】
【0125】上記表16および表17の結果から、実施
例20〜28品のチューブは、初期の接着強度、ガソリ
ン浸漬後の接着強度、熱老化後の接着強度、および屈曲
試験での剥離性の全てにおいて優れていることが分かっ
た。
【0126】
【発明の効果】以上のように、本発明のチューブの製法
は、上記フッ素樹脂製管状内層を形成する工程と、上記
形成されたフッ素樹脂製管状内層の外周面にプラズマ処
理を施して上記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部に処
理層を形成する工程と、上記プラズマ処理が施された上
記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部にカップリング剤
系表面処理剤を塗布する工程と、上記カップリング剤系
表面処理剤が塗布された上記フッ素樹脂製管状内層の外
周に上記熱可塑性樹脂製外層を形成する工程とを備え、
上記4つの工程を連続して行うものである。したがっ
て、カップリング剤系表面処理剤の粘度が低く、エチル
アルコール等の溶剤の揮散が極めて早いので、カップリ
ング剤系表面処理剤溶剤を塗布した後、極めて短時間で
上記溶剤を除去でき、直ぐに次工程である熱可塑性樹脂
製外層の形成工程に進むことができるので、チューブの
生産性が向上する。本発明のチューブの製法は、例え
ば、燃料ホース用チューブ、エバポホース用チューブ、
ブリーザーホース用チューブ、フィラーホース用チュー
ブ等の製法に適用することができる。
【0127】また、上記カップリング剤系表面処理剤と
して、上記一般式(1)で表されるシラン系カップリン
グ剤や、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート
等のチタネート系カップリング剤や、上記一般式(2)
で表されるアルミニウム系カップリング剤を用いた場合
には、より厳しい耐熱性および振動耐久性が要求される
環境下においても、熱老化後および振動屈曲後の接着性
がより一層向上するとともに、上記表面処理剤溶液から
エタノール等の溶媒の除去を極めて短時間で行うことが
できるので生産性が向上する。
【0128】さらに、プラズマ処理を施した上記フッ素
樹脂製管状内層の外周表層部を、フッ素原子数(F)と
炭素原子数(C)との比(F/C)が前記式(2)を満
足する値に設定された処理層に形成することにより、よ
り厳しい耐熱性および振動耐久性が要求される環境下に
おいても、熱老化後および振動屈曲後の接着性がより一
層向上する。
【0129】そして、上記フッ素樹脂製管状内層および
熱可塑性樹脂製外層の少なくとも一方が、一層もしくは
多層構造であり、かつ、これら層のうち少なくとも一層
が導電性を有していれば、このチューブを燃料ホースと
して用いた場合、燃料(ガソリン等)がホース内部を流
れた際に発生する静電気をホース外部へ放電して逃がす
ことが可能となるため、静電気による燃料への引火等の
事故を未然に防止することが可能となる。
【0130】また、上記フッ素樹脂製管状内層と熱可塑
性樹脂製外層との組み合わせにおいて、上記フッ素樹脂
製管状内層が、エチレンとテトラフルオロエチレンの共
重合体からなる層であり、かつ、上記熱可塑性樹脂製外
層が、ポリアミド樹脂からなる層であれば、より厳しい
耐熱性および振動耐久性が要求される環境下において
も、特に熱老化後および振動屈曲後の接着性がより一層
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法により得られたチューブの構成図
である。
【図2】本発明のチューブの製法の一実施例を説明する
模式図である。
【図3】本発明のチューブの製法において、マンドレル
を用いた例を説明する模式図である。
【図4】本発明の製法により得られたチューブにおい
て、外層を設けた例を示す構成図である。
【図5】本発明の製法により得られたチューブにおい
て、補強糸層および外層を設けた例を示す構成図であ
る。
【図6】本発明のチューブの製法において、冷却ゾーン
を設けた例を説明する模式図である。
【図7】本発明のチューブの製法において、誘電コイル
電極を有する減圧プラズマ処理装置を用いた例を説明す
る模式図である。
【図8】本発明のチューブの製法に用いる減圧プラズマ
処理装置のシール部を説明する構成図である。
【図9】本発明のチューブの製法に用いる減圧プラズマ
処理装置のその他のシール部を説明する構成図である。
【図10】本発明のチューブの製法に用いる減圧プラズ
マ処理装置のその他のシール部を説明する構成図であ
る。
【図11】本発明のチューブの製法において、予備真空
室を有する減圧プラズマ処理装置を用いた例を説明する
模式図である。
【図12】チューブの接着強度を測定する際に使用する
試験サンプルの構成図である。
【図13】燃料ホースの屈曲試験での剥離性の測定を説
明する模式図である。
【図14】比較例におけるコロナ放電処理装置の構成図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 27/12 C08L 27/12 B29K 27:12 (72)発明者 大塚 道詔 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂製管状内層の外周に、熱可塑
    性樹脂製外層が積層形成されたチューブの製法であっ
    て、上記フッ素樹脂製管状内層を形成する工程と、上記
    形成されたフッ素樹脂製管状内層の外周面にプラズマ処
    理を施して上記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部に処
    理層を形成する工程と、上記プラズマ処理が施された上
    記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部にカップリング剤
    系表面処理剤を塗布する工程と、上記カップリング剤系
    表面処理剤が塗布された上記フッ素樹脂製管状内層の外
    周に上記熱可塑性樹脂製外層を形成する工程とを備え、
    上記4つの工程を連続して行うことを特徴とするチュー
    ブの製法。
  2. 【請求項2】 上記カップリング剤系表面処理剤が、シ
    ラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤お
    よびアルミニウム系カップリング剤からなる群から選ば
    れた少なくとも一つである請求項1記載のチューブの製
    法。
  3. 【請求項3】 上記シラン系カップリング剤が、下記の
    一般式(1)で表されるものである請求項2記載のチュ
    ーブの製法。 【化1】
  4. 【請求項4】 上記チタネート系カップリング剤が、イ
    ソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロ
    ピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネー
    ト、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェー
    ト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチ
    ル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチ
    タネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファ
    イト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェー
    ト)オキシアセテートチタネートおよびビス(ジオクチ
    ルパイロホスフェート)エチレンチタネートからなる群
    から選ばれた少なくとも一つである請求項2記載のチュ
    ーブの製法。
  5. 【請求項5】 上記アルミニウム系カップリング剤が、
    下記の一般式(2)で表されるものである請求項2記載
    のチューブの製法。 【化2】
  6. 【請求項6】 上記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部
    が、上記プラズマ処理により下記(A)の処理層に形成
    されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のチュー
    ブの製法。 (A)フッ素原子数(F)と炭素原子数(C)との比
    (F/C)が、下記の式(3)で表される範囲に設定さ
    れている。 【数1】(F/C)≦a×0.9 …(3) 〔上記式(3)において、aは(F/C)の初期値であ
    る。〕
  7. 【請求項7】 上記フッ素樹脂製管状内層および熱可塑
    性樹脂製外層の少なくとも一方が、一層もしくは多層構
    造であり、かつ、これら層のうち少なくとも一層が導電
    性を有している請求項1〜6のいずれか一項に記載のチ
    ューブの製法。
  8. 【請求項8】 上記フッ素樹脂製管状内層が、エチレン
    とテトラフルオロエチレンの共重合体からなる層であ
    り、かつ、上記熱可塑性樹脂製外層が、ポリアミド樹脂
    からなる層である請求項1〜7のいずれか一項に記載の
    チューブの製法。
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