JP2000055248A - 燃料ホースおよびその製法 - Google Patents
燃料ホースおよびその製法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】フッ素樹脂製内層と熱可塑性樹脂製外層との初
期接着力に優れ、エンジンルーム内のような厳しい環境
下においても、熱老化後および燃料浸漬後の接着力の低
下を抑制することができ、優れた接着信頼性を備えた燃
料ホースを提供する。 【解決手段】フッ素樹脂製管状内層1の外周に、熱可塑
性樹脂製外層2が積層形成されてなる燃料ホースであ
る。そして、上記フッ素樹脂製管状内層1の外周表層部
1aがプラズマ処理およびシランカップリング剤水性液
により処理されている。
期接着力に優れ、エンジンルーム内のような厳しい環境
下においても、熱老化後および燃料浸漬後の接着力の低
下を抑制することができ、優れた接着信頼性を備えた燃
料ホースを提供する。 【解決手段】フッ素樹脂製管状内層1の外周に、熱可塑
性樹脂製外層2が積層形成されてなる燃料ホースであ
る。そして、上記フッ素樹脂製管状内層1の外周表層部
1aがプラズマ処理およびシランカップリング剤水性液
により処理されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の燃料配
管に用いられる燃料ホースおよびその製法に関するもの
である。
管に用いられる燃料ホースおよびその製法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車等の燃料配管に用いられ
る燃料ホースは、種々のゴム層や樹脂層を組み合わせた
多層構造となっている。この多層構造の燃料ホースのな
かでも、内層がフッ素樹脂から形成され、この内層の外
周面に熱可塑性樹脂製外層が積層形成された2層構造の
燃料ホースが賞用されている。これは、フッ素樹脂が、
薬品やガソリン等に対する耐腐食性と耐透過性に優れて
いるとともに、ガソリンが酸化されて生成するサワーガ
ソリンに対する耐性(耐サワーガソリン性)にも優れて
いるため、燃料と直接接する燃料ホース内層の形成材料
として最適だからである。一方、上記熱可塑性樹脂製外
層は、燃料ホースの補強層として形成されるものであ
り、これにより、燃料ホースに耐圧性等の力学的特性が
付与される。
る燃料ホースは、種々のゴム層や樹脂層を組み合わせた
多層構造となっている。この多層構造の燃料ホースのな
かでも、内層がフッ素樹脂から形成され、この内層の外
周面に熱可塑性樹脂製外層が積層形成された2層構造の
燃料ホースが賞用されている。これは、フッ素樹脂が、
薬品やガソリン等に対する耐腐食性と耐透過性に優れて
いるとともに、ガソリンが酸化されて生成するサワーガ
ソリンに対する耐性(耐サワーガソリン性)にも優れて
いるため、燃料と直接接する燃料ホース内層の形成材料
として最適だからである。一方、上記熱可塑性樹脂製外
層は、燃料ホースの補強層として形成されるものであ
り、これにより、燃料ホースに耐圧性等の力学的特性が
付与される。
【0003】しかし、上記フッ素樹脂製内層の形成材料
であるフッ素樹脂は、他の構成材料に対する接着性が著
しく低く、接着剤を用いて、フッ素樹脂製内層と熱可塑
性樹脂製外層を接着するのみでは、両層の接着力が著し
く低いという難点がある。そのため、上記フッ素樹脂製
内層の表面をコロナ放電(高周波処理)等により改質処
理し、この処理済みフッ素樹脂製内層の外周に熱可塑性
樹脂製外層を積層形成した燃料ホースが提案されてい
る。この燃料ホースは、実際に自動車等の燃料配管に実
用化されており、例えば、ガソリンタンク用配管等とし
て使用されている。
であるフッ素樹脂は、他の構成材料に対する接着性が著
しく低く、接着剤を用いて、フッ素樹脂製内層と熱可塑
性樹脂製外層を接着するのみでは、両層の接着力が著し
く低いという難点がある。そのため、上記フッ素樹脂製
内層の表面をコロナ放電(高周波処理)等により改質処
理し、この処理済みフッ素樹脂製内層の外周に熱可塑性
樹脂製外層を積層形成した燃料ホースが提案されてい
る。この燃料ホースは、実際に自動車等の燃料配管に実
用化されており、例えば、ガソリンタンク用配管等とし
て使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記コ
ロナ放電等により処理した燃料ホースは、フッ素樹脂製
内層と熱可塑性樹脂製外層との初期接着力が不充分であ
る。そのため、上記燃料ホースをエンジンルーム内のよ
うな厳しい環境下で使用する場合、雰囲気温度の上昇や
エンジンの振動等による影響を直接受けやすく、熱老化
後および燃料浸漬後に、フッ素樹脂製内層と熱可塑性樹
脂製外層との接着力が著しく低下し、接着信頼性に劣る
という難点がある。
ロナ放電等により処理した燃料ホースは、フッ素樹脂製
内層と熱可塑性樹脂製外層との初期接着力が不充分であ
る。そのため、上記燃料ホースをエンジンルーム内のよ
うな厳しい環境下で使用する場合、雰囲気温度の上昇や
エンジンの振動等による影響を直接受けやすく、熱老化
後および燃料浸漬後に、フッ素樹脂製内層と熱可塑性樹
脂製外層との接着力が著しく低下し、接着信頼性に劣る
という難点がある。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、フッ素樹脂製内層と熱可塑性樹脂製外層との初
期接着力に優れ、エンジンルーム内のような厳しい環境
下においても、熱老化後および燃料浸漬後の接着力の低
下を抑制することができ、優れた接着信頼性を備えた燃
料ホースおよびその製法の提供をその目的とする。
もので、フッ素樹脂製内層と熱可塑性樹脂製外層との初
期接着力に優れ、エンジンルーム内のような厳しい環境
下においても、熱老化後および燃料浸漬後の接着力の低
下を抑制することができ、優れた接着信頼性を備えた燃
料ホースおよびその製法の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、フッ素樹脂製管状内層の外周に、熱可
塑性樹脂製外層が積層形成されてなる燃料ホースであっ
て、上記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部がプラズマ
処理され、かつ、このプラズマ処理済み外周表層部がシ
ランカップリング剤水溶液により処理されている燃料ホ
ースを第1の要旨とする。また、本発明は、上記燃料ホ
ースの製法であって、フッ素樹脂製管状内層の表面をプ
ラズマ処理した後、このプラズマ処理済み外周表層部を
シランカップリング剤水溶液により処理し、ついでこの
シランカップリング剤水溶液処理済み外周表層部の外周
に熱可塑性樹脂製外層を積層形成する燃料ホースの製法
を第2の要旨とする。
めに、本発明は、フッ素樹脂製管状内層の外周に、熱可
塑性樹脂製外層が積層形成されてなる燃料ホースであっ
て、上記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部がプラズマ
処理され、かつ、このプラズマ処理済み外周表層部がシ
ランカップリング剤水溶液により処理されている燃料ホ
ースを第1の要旨とする。また、本発明は、上記燃料ホ
ースの製法であって、フッ素樹脂製管状内層の表面をプ
ラズマ処理した後、このプラズマ処理済み外周表層部を
シランカップリング剤水溶液により処理し、ついでこの
シランカップリング剤水溶液処理済み外周表層部の外周
に熱可塑性樹脂製外層を積層形成する燃料ホースの製法
を第2の要旨とする。
【0007】本発明者らは、フッ素樹脂製管状内層の表
面をプラズマ処理すると、フッ素樹脂製管状内層と熱可
塑性樹脂製外層との接着力が向上し、優れた初期接着力
が得られるという知見はすでに得ている。この理由は、
プラズマ処理によって、フッ素樹脂の分子骨格からフッ
素原子と水素原子が離脱して炭素ラジカルが生成し、こ
の炭素ラジカルが大気と反応して接着官能基が生成する
とともに、フッ素原子の離脱によりフッ素原子の表面濃
度が低下することに加えて、プラズマ処理済み外周表層
部が凹凸形状になるためであることを確認している。本
発明者らは、このプラズマ処理済み燃料ホースについて
さらに研究を重ねた結果、プラズマ処理済み外周表層部
をシランカップリング剤水溶液を用いてさらに処理する
ことにより、エンジンルーム内のような厳しい環境下に
おいても、熱老化後および燃料浸漬後の接着力の低下を
抑制することができ、優れた接着信頼性を備えた燃料ホ
ースが得られることを見出し本発明に到達した。すなわ
ち、プラズマ処理のみを行った従来の燃料ホースは、フ
ッ素樹脂製管状内層の外周表層部におけるフッ素原子の
表面濃度が依然として大きく、接着に関与しないフッ素
原子を有する官能基が広く分布しているため、フッ素樹
脂製管状内層と熱可塑性樹脂製外層との接着力が不充分
である。しかし、本発明のように、プラズマ処理済み外
周表層部をシランカップリング剤水溶液を用いて処理す
ることにより、上記接着に関与しないフッ素原子を有す
る官能基が、フッ素樹脂製管状内層の内部に潜り込むよ
うになる。そして、フッ素樹脂製管状内層の外周表層部
において、フッ素原子の表面濃度が低下し、接着に関与
しないフッ素原子を有する官能基の分布が少なくなり、
反対に、OH基等の接着官能基(酸素含有官能基)が広
く分布するようになる。加えて、上記シランカップリン
グ剤水溶液のなじみが良くなってシランカップリング剤
層を形成し、フッ素樹脂製管状内層とシランカップリン
グ剤層との接着力、およびシランカップリング剤層と熱
可塑性樹脂製外層との接着力が向上するようになる。こ
れらの結果、フッ素樹脂製管状内層と熱可塑性樹脂製外
層との接着力が向上し、エンジンルーム内のような厳し
い環境下においても、熱老化後および燃料浸漬後の接着
力の低下を抑制することができ、優れた接着信頼性を備
えるようになるのである。
面をプラズマ処理すると、フッ素樹脂製管状内層と熱可
塑性樹脂製外層との接着力が向上し、優れた初期接着力
が得られるという知見はすでに得ている。この理由は、
プラズマ処理によって、フッ素樹脂の分子骨格からフッ
素原子と水素原子が離脱して炭素ラジカルが生成し、こ
の炭素ラジカルが大気と反応して接着官能基が生成する
とともに、フッ素原子の離脱によりフッ素原子の表面濃
度が低下することに加えて、プラズマ処理済み外周表層
部が凹凸形状になるためであることを確認している。本
発明者らは、このプラズマ処理済み燃料ホースについて
さらに研究を重ねた結果、プラズマ処理済み外周表層部
をシランカップリング剤水溶液を用いてさらに処理する
ことにより、エンジンルーム内のような厳しい環境下に
おいても、熱老化後および燃料浸漬後の接着力の低下を
抑制することができ、優れた接着信頼性を備えた燃料ホ
ースが得られることを見出し本発明に到達した。すなわ
ち、プラズマ処理のみを行った従来の燃料ホースは、フ
ッ素樹脂製管状内層の外周表層部におけるフッ素原子の
表面濃度が依然として大きく、接着に関与しないフッ素
原子を有する官能基が広く分布しているため、フッ素樹
脂製管状内層と熱可塑性樹脂製外層との接着力が不充分
である。しかし、本発明のように、プラズマ処理済み外
周表層部をシランカップリング剤水溶液を用いて処理す
ることにより、上記接着に関与しないフッ素原子を有す
る官能基が、フッ素樹脂製管状内層の内部に潜り込むよ
うになる。そして、フッ素樹脂製管状内層の外周表層部
において、フッ素原子の表面濃度が低下し、接着に関与
しないフッ素原子を有する官能基の分布が少なくなり、
反対に、OH基等の接着官能基(酸素含有官能基)が広
く分布するようになる。加えて、上記シランカップリン
グ剤水溶液のなじみが良くなってシランカップリング剤
層を形成し、フッ素樹脂製管状内層とシランカップリン
グ剤層との接着力、およびシランカップリング剤層と熱
可塑性樹脂製外層との接着力が向上するようになる。こ
れらの結果、フッ素樹脂製管状内層と熱可塑性樹脂製外
層との接着力が向上し、エンジンルーム内のような厳し
い環境下においても、熱老化後および燃料浸漬後の接着
力の低下を抑制することができ、優れた接着信頼性を備
えるようになるのである。
【0008】なお、シランカップリング剤は、消防法に
より第4類第1石油類〜第3石油類に分類されており、
使用に際しては可燃物に対する設備導入が必要になる。
そのため、通常は、シランカップリング剤をアルコール
等の有機溶剤で希釈した有機溶液が使用されるが、有機
溶剤が大気中に蒸散することによる作業環境、地球環境
への悪影響が懸念される。本発明においては、アルコー
ル等の有機溶剤を使用せずに、シランカップリング剤を
水等で希釈したシランカップリング剤水溶液を使用する
ため、可燃物に対する設備導入が不要になるとともに、
火災等の恐れがなく安全性に優れ、作業性が向上し、大
気汚染を防止することができる。
より第4類第1石油類〜第3石油類に分類されており、
使用に際しては可燃物に対する設備導入が必要になる。
そのため、通常は、シランカップリング剤をアルコール
等の有機溶剤で希釈した有機溶液が使用されるが、有機
溶剤が大気中に蒸散することによる作業環境、地球環境
への悪影響が懸念される。本発明においては、アルコー
ル等の有機溶剤を使用せずに、シランカップリング剤を
水等で希釈したシランカップリング剤水溶液を使用する
ため、可燃物に対する設備導入が不要になるとともに、
火災等の恐れがなく安全性に優れ、作業性が向上し、大
気汚染を防止することができる。
【0009】また、シランカップリング剤として、前記
一般式(1)で表されるアミノ系シランカップリング剤
を用いることにより、シランカップリング剤水溶液の安
定性が向上するようになる。そして、上記シランカップ
リング剤の濃度を水溶液全体の10重量%以下に設定す
ることにより、プラズマ処理済み外周表層部へのシラン
カップリング剤水溶液による処理が容易となる。
一般式(1)で表されるアミノ系シランカップリング剤
を用いることにより、シランカップリング剤水溶液の安
定性が向上するようになる。そして、上記シランカップ
リング剤の濃度を水溶液全体の10重量%以下に設定す
ることにより、プラズマ処理済み外周表層部へのシラン
カップリング剤水溶液による処理が容易となる。
【0010】さらに、シランカップリング剤水溶液とし
てシランカップリング剤酸性水溶液を用いることによ
り、熱老化後および燃料浸漬後に充分な接着力が得ら
れ、一層優れた接着信頼性を備えるようになる。また、
上記酸性水溶液の水素指数(pH)をpH=2〜6に設
定することにより、熱老化後および燃料浸漬後に充分な
接着力が得られ、さらに優れた接着信頼性を備えるよう
になる。そして、シランカップリング剤として、前記一
般式(2)で表されるエポキシ系シランカップリング剤
を用いることにより、シランカップリング剤酸性水溶液
の安定性が向上するようになる。また、上記シランカッ
プリング剤の濃度を酸性水溶液全体の10重量%以下に
設定することにより、プラズマ処理済み外周表層部への
シランカップリング剤酸性水溶液による処理が容易とな
る。
てシランカップリング剤酸性水溶液を用いることによ
り、熱老化後および燃料浸漬後に充分な接着力が得ら
れ、一層優れた接着信頼性を備えるようになる。また、
上記酸性水溶液の水素指数(pH)をpH=2〜6に設
定することにより、熱老化後および燃料浸漬後に充分な
接着力が得られ、さらに優れた接着信頼性を備えるよう
になる。そして、シランカップリング剤として、前記一
般式(2)で表されるエポキシ系シランカップリング剤
を用いることにより、シランカップリング剤酸性水溶液
の安定性が向上するようになる。また、上記シランカッ
プリング剤の濃度を酸性水溶液全体の10重量%以下に
設定することにより、プラズマ処理済み外周表層部への
シランカップリング剤酸性水溶液による処理が容易とな
る。
【0011】そして、フッ素樹脂製管状内層の表面をプ
ラズマ処理した後、このプラズマ処理済み外周表層部を
シランカップリング剤水溶液により処理し、ついでこの
シランカップリング剤水溶液処理済み外周表層部の外周
に熱可塑性樹脂製外層を積層形成することにより、上記
のような優れた特性を備えた燃料ホースを極めて効率よ
く生産することができる。
ラズマ処理した後、このプラズマ処理済み外周表層部を
シランカップリング剤水溶液により処理し、ついでこの
シランカップリング剤水溶液処理済み外周表層部の外周
に熱可塑性樹脂製外層を積層形成することにより、上記
のような優れた特性を備えた燃料ホースを極めて効率よ
く生産することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
しく説明する。
【0013】本発明の燃料ホースは、例えば、図1に示
すように、フッ素樹脂製管状内層1の外周に熱可塑性樹
脂製外層2が積層形成されて構成されている。そして、
上記フッ素樹脂製管状内層1の外周表層部1aは、プラ
ズマ処理およびシランカップリング剤水溶液により処理
されている。
すように、フッ素樹脂製管状内層1の外周に熱可塑性樹
脂製外層2が積層形成されて構成されている。そして、
上記フッ素樹脂製管状内層1の外周表層部1aは、プラ
ズマ処理およびシランカップリング剤水溶液により処理
されている。
【0014】上記フッ素樹脂製管状内層1の形成材料で
あるフッ素樹脂としては、特に限定するものではなく、
例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体
(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVD
F)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、
エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(EC
TFE)、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パー
フルオロアルコキシエチレン3元共重合体、フッ化ビニ
リデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニ
リデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビ
ニリデン3元共重合体(THV)等があげられる。これ
らは単独であるいは2種以上併せて用いられる。なかで
も、耐ガソリン透過性、成形加工性に優れるという点
で、ETFE、PVDF、THVが好ましい。
あるフッ素樹脂としては、特に限定するものではなく、
例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体
(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVD
F)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、
エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(EC
TFE)、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パー
フルオロアルコキシエチレン3元共重合体、フッ化ビニ
リデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニ
リデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビ
ニリデン3元共重合体(THV)等があげられる。これ
らは単独であるいは2種以上併せて用いられる。なかで
も、耐ガソリン透過性、成形加工性に優れるという点
で、ETFE、PVDF、THVが好ましい。
【0015】また、上記フッ素樹脂には、燃料(ガソリ
ン等)が燃料ホース内部を流れる際に発生する静電気を
逃がす目的で、導電剤を配合することが好ましい。上記
導電剤としては、カーボンブラック、微細なステンレス
繊維等があげられる。上記導電剤の配合割合は、フッ素
樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.
5〜30部の範囲に設定することが好ましい。すなわ
ち、導電剤の配合割合を上記範囲に設定することによ
り、フッ素樹脂製管状内層1の体積抵抗率が1010Ω・
cm以下となり、発生する静電気を燃料ホース外部へ放
電して逃がすことができ、その結果、静電気による燃料
への引火等の事故を未然に防止することが可能となるか
らである。
ン等)が燃料ホース内部を流れる際に発生する静電気を
逃がす目的で、導電剤を配合することが好ましい。上記
導電剤としては、カーボンブラック、微細なステンレス
繊維等があげられる。上記導電剤の配合割合は、フッ素
樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.
5〜30部の範囲に設定することが好ましい。すなわ
ち、導電剤の配合割合を上記範囲に設定することによ
り、フッ素樹脂製管状内層1の体積抵抗率が1010Ω・
cm以下となり、発生する静電気を燃料ホース外部へ放
電して逃がすことができ、その結果、静電気による燃料
への引火等の事故を未然に防止することが可能となるか
らである。
【0016】なお、上記フッ素樹脂には、物性改良等を
目的として、充填剤を適宜に配合することもできる。上
記充填剤としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラック、ケイ
酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、アル
ミナ、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化カル
シウム、水酸化アルミニウム、タルク、二酸化モリブデ
ン、ウィスカー、短繊維類、黒鉛、金属粉等があげられ
る。上記充填剤の配合割合は、フッ素樹脂100部に対
して、30部以下に設定することが好ましい。
目的として、充填剤を適宜に配合することもできる。上
記充填剤としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラック、ケイ
酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、アル
ミナ、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化カル
シウム、水酸化アルミニウム、タルク、二酸化モリブデ
ン、ウィスカー、短繊維類、黒鉛、金属粉等があげられ
る。上記充填剤の配合割合は、フッ素樹脂100部に対
して、30部以下に設定することが好ましい。
【0017】本発明の燃料ホースにおけるフッ素樹脂製
管状内層1は、図1に示したような単層構造に限定され
るものではなく、多層構造とすることも可能である。例
えば、フッ素樹脂製管状内層1を2層構造とし、内側層
を導電性フッ素樹脂を用いて形成し、外側層を非導電性
フッ素樹脂を用いて形成することが好ましい。なお、内
側層を非導電性フッ素樹脂を用いて薄肉に形成し、外側
層を導電性フッ素樹脂を用いて形成してもよい。
管状内層1は、図1に示したような単層構造に限定され
るものではなく、多層構造とすることも可能である。例
えば、フッ素樹脂製管状内層1を2層構造とし、内側層
を導電性フッ素樹脂を用いて形成し、外側層を非導電性
フッ素樹脂を用いて形成することが好ましい。なお、内
側層を非導電性フッ素樹脂を用いて薄肉に形成し、外側
層を導電性フッ素樹脂を用いて形成してもよい。
【0018】上記フッ素樹脂製管状内層1の表面に行う
プラズマ処理としては、特に限定するものではなく、減
圧に保ったチャンバーに放電用ガスを導入しながら高周
波をかけ、発生したプラズマ雰囲気にさらす減圧プラズ
マ処理や、常圧に保ったチャンバーに放電用ガスを導入
しながら高周波をかけ、発生したプラズマ雰囲気にさら
す常圧プラズマ処理等があげられる。なかでも、均一な
処理が得られやすいという点で、減圧プラズマ処理が好
ましい。上記放電用ガスとしては、含Arガスが好まし
い。この含Arガスは、Arガス単独の他、Arガスと
N2 ガス,H2ガス,O2 ガス等との混合ガスを用いる
こともできる。なお、混合ガスを用いる場合、Arガス
の割合は混合ガス全体の50容量%以上に設定すること
が好ましい。
プラズマ処理としては、特に限定するものではなく、減
圧に保ったチャンバーに放電用ガスを導入しながら高周
波をかけ、発生したプラズマ雰囲気にさらす減圧プラズ
マ処理や、常圧に保ったチャンバーに放電用ガスを導入
しながら高周波をかけ、発生したプラズマ雰囲気にさら
す常圧プラズマ処理等があげられる。なかでも、均一な
処理が得られやすいという点で、減圧プラズマ処理が好
ましい。上記放電用ガスとしては、含Arガスが好まし
い。この含Arガスは、Arガス単独の他、Arガスと
N2 ガス,H2ガス,O2 ガス等との混合ガスを用いる
こともできる。なお、混合ガスを用いる場合、Arガス
の割合は混合ガス全体の50容量%以上に設定すること
が好ましい。
【0019】そして、上記プラズマ処理済み外周表層部
をシランカップリング剤水溶液により処理する方法とし
ては、プラズマ処理済み外周表層部にシランカップリン
グ剤水溶液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定
するものではなく、例えば、シランカップリング剤水溶
液を滴下する方法、シランカップリング剤水溶液を霧状
に吹き付ける方法、シランカップリング剤水溶液をはけ
やスプレー等で塗布する方法、シランカップリング剤水
溶液中に浸漬する方法、超音波発振器を用いてシランカ
ップリング剤水溶液を飛散する方法等があげられる。そ
して、上記シランカップリング剤の塗布量(溶媒を除
く)は、フッ素樹脂製管状内層1のプラズマ処理済み外
周表層部1cm2 に対して、1×10-9〜1×10-4g
/cm2 の範囲に設定することが好ましく、特に好まし
くは1×10-8〜1×10-5g/cm2 である。すなわ
ち、シランカップリング剤の塗布量が1×10-9g/c
m2未満であると、シランカップリング剤の付着量が少
なすぎ、フッ素樹脂製管状内層1と熱可塑性樹脂製外層
2との接着力が劣り、1×10-4g/cm2 を超える
と、シランカップリング剤の付着量が過剰になりすぎ、
熱可塑性樹脂製外層2に発泡が見られるからである。
をシランカップリング剤水溶液により処理する方法とし
ては、プラズマ処理済み外周表層部にシランカップリン
グ剤水溶液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定
するものではなく、例えば、シランカップリング剤水溶
液を滴下する方法、シランカップリング剤水溶液を霧状
に吹き付ける方法、シランカップリング剤水溶液をはけ
やスプレー等で塗布する方法、シランカップリング剤水
溶液中に浸漬する方法、超音波発振器を用いてシランカ
ップリング剤水溶液を飛散する方法等があげられる。そ
して、上記シランカップリング剤の塗布量(溶媒を除
く)は、フッ素樹脂製管状内層1のプラズマ処理済み外
周表層部1cm2 に対して、1×10-9〜1×10-4g
/cm2 の範囲に設定することが好ましく、特に好まし
くは1×10-8〜1×10-5g/cm2 である。すなわ
ち、シランカップリング剤の塗布量が1×10-9g/c
m2未満であると、シランカップリング剤の付着量が少
なすぎ、フッ素樹脂製管状内層1と熱可塑性樹脂製外層
2との接着力が劣り、1×10-4g/cm2 を超える
と、シランカップリング剤の付着量が過剰になりすぎ、
熱可塑性樹脂製外層2に発泡が見られるからである。
【0020】上記シランカップリング剤の溶解に用いる
水としては、金属イオン等を含有していないものが好ま
しく、例えば、純水(pH=7)が用いられる。また、
酢酸、ギ酸、塩酸、フェノール等を水に希釈した酸性水
溶液を用いてシランカップリング剤を溶解させることも
可能である。上記酸性水溶液の水素指数(pH)は、p
H=2〜6に設定することが好ましい。
水としては、金属イオン等を含有していないものが好ま
しく、例えば、純水(pH=7)が用いられる。また、
酢酸、ギ酸、塩酸、フェノール等を水に希釈した酸性水
溶液を用いてシランカップリング剤を溶解させることも
可能である。上記酸性水溶液の水素指数(pH)は、p
H=2〜6に設定することが好ましい。
【0021】上記シランカップリング剤としては、特に
限定するものではないが、水に溶解させる場合は、水溶
液での安定性を考慮して、下記の一般式(1)で表され
るアミノ系シランカップリング剤を用いることが好まし
い。
限定するものではないが、水に溶解させる場合は、水溶
液での安定性を考慮して、下記の一般式(1)で表され
るアミノ系シランカップリング剤を用いることが好まし
い。
【0022】
【化3】
【0023】上記一般式(1)で表されるアミノ系シラ
ンカップリング剤のなかでも、N−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
ンカップリング剤のなかでも、N−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0024】また、シランカップリング剤を酸性水溶液
に溶解させる場合は、酸性水溶液での安定性を考慮し
て、下記の一般式(2)で表されるエポキシ系シランカ
ップリング剤を用いることが好ましい。
に溶解させる場合は、酸性水溶液での安定性を考慮し
て、下記の一般式(2)で表されるエポキシ系シランカ
ップリング剤を用いることが好ましい。
【0025】
【化4】
【0026】上記一般式(2)で表されるエポキシ系シ
ランカップリング剤のなかでも、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好まし
い。
ランカップリング剤のなかでも、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好まし
い。
【0027】上記シランカップリング剤の濃度は、水溶
液全体の10重量%以下に設定することが好ましく、特
に好ましくは5重量%以下である。すなわち、濃度が1
0重量%を超えると、水溶液中でゲルが生じ、均一に塗
布できなくなるおそれがあるからである。なお、酸性水
溶液中のシランカップリング剤の濃度も、上記と同様の
範囲に設定することが好ましい。
液全体の10重量%以下に設定することが好ましく、特
に好ましくは5重量%以下である。すなわち、濃度が1
0重量%を超えると、水溶液中でゲルが生じ、均一に塗
布できなくなるおそれがあるからである。なお、酸性水
溶液中のシランカップリング剤の濃度も、上記と同様の
範囲に設定することが好ましい。
【0028】このように、プラズマ処理およびシランカ
ップリング剤水溶液による処理が行われたフッ素樹脂製
管状内層1の外周表層部1aには、燃料ホースの構造強
度の付与を目的として、熱可塑性樹脂製外層2が積層形
成される。上記熱可塑性樹脂製外層2の形成材料である
熱可塑性樹脂としては、特に限定するものではなく、例
えば、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)等のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリ
オレフィン樹脂や、これらの変性樹脂等があげられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。な
かでも、耐熱性および加水分解性に優れるという点で、
ポリアミド樹脂が特に好ましい。上記ポリアミド樹脂と
しては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
11、ナイロン12等があげられ、成形加工性および耐
凍結防止剤性に優れる点で、ナイロン11、ナイロン1
2が特に好ましい。
ップリング剤水溶液による処理が行われたフッ素樹脂製
管状内層1の外周表層部1aには、燃料ホースの構造強
度の付与を目的として、熱可塑性樹脂製外層2が積層形
成される。上記熱可塑性樹脂製外層2の形成材料である
熱可塑性樹脂としては、特に限定するものではなく、例
えば、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)等のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリ
オレフィン樹脂や、これらの変性樹脂等があげられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。な
かでも、耐熱性および加水分解性に優れるという点で、
ポリアミド樹脂が特に好ましい。上記ポリアミド樹脂と
しては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
11、ナイロン12等があげられ、成形加工性および耐
凍結防止剤性に優れる点で、ナイロン11、ナイロン1
2が特に好ましい。
【0029】また、上記熱可塑性樹脂には、熱可塑性樹
脂製外層2への導電性の付与を目的として、導電剤を配
合することが好ましい。上記導電剤の種類および配合割
合は、前記フッ素樹脂製管状内層1の場合と同様であ
る。
脂製外層2への導電性の付与を目的として、導電剤を配
合することが好ましい。上記導電剤の種類および配合割
合は、前記フッ素樹脂製管状内層1の場合と同様であ
る。
【0030】なお、上記熱可塑性樹脂には、加工特性の
改善および柔軟性の向上を目的として、可塑剤を適宜に
配合することもできる。上記可塑剤としては、例えば、
スルホンアミド類、オキシ安息香酸エステル類等があげ
られる。上記可塑剤の配合割合は、熱可塑性樹脂100
部に対して20部以下に設定することが好ましい。
改善および柔軟性の向上を目的として、可塑剤を適宜に
配合することもできる。上記可塑剤としては、例えば、
スルホンアミド類、オキシ安息香酸エステル類等があげ
られる。上記可塑剤の配合割合は、熱可塑性樹脂100
部に対して20部以下に設定することが好ましい。
【0031】本発明の燃料ホースにおいて、フッ素樹脂
製管状内層1は、通常、内径4〜50mm程度、厚み
0.05〜1mm程度に設定され、熱可塑性樹脂製外層
2は、通常、厚み0.2〜4mm、好ましくは0.5〜
3mmに設定される。なお、フッ素樹脂製管状内層1お
よび熱可塑性樹脂製外層2は、図1に示したような単層
構造に限定されるものではなく、それぞれ多層構造とす
ることも可能である。
製管状内層1は、通常、内径4〜50mm程度、厚み
0.05〜1mm程度に設定され、熱可塑性樹脂製外層
2は、通常、厚み0.2〜4mm、好ましくは0.5〜
3mmに設定される。なお、フッ素樹脂製管状内層1お
よび熱可塑性樹脂製外層2は、図1に示したような単層
構造に限定されるものではなく、それぞれ多層構造とす
ることも可能である。
【0032】本発明の燃料ホースの他の例としては、図
2に示すように、フッ素樹脂製管状内層1の外周表層部
1a上に熱可塑性樹脂製外層2が形成され、この熱可塑
性樹脂製外層2の外周にゴム製または熱可塑性エラスト
マー製外層18が形成された燃料ホースがあげられる。
このように、上記外層18を形成した燃料ホースは、優
れた耐火炎性および耐チッピング性を備える点で好まし
い。
2に示すように、フッ素樹脂製管状内層1の外周表層部
1a上に熱可塑性樹脂製外層2が形成され、この熱可塑
性樹脂製外層2の外周にゴム製または熱可塑性エラスト
マー製外層18が形成された燃料ホースがあげられる。
このように、上記外層18を形成した燃料ホースは、優
れた耐火炎性および耐チッピング性を備える点で好まし
い。
【0033】上記ゴム製外層18の形成材料としては、
特に限定するものではないが、例えば、エピクロルヒド
リンゴム(CO)、エピクロルヒドリンとエチレンンオ
キシドとの等モルコポリマー(通称ECO、別名CH
C)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NB
R)、NBRとポリ塩化ビニル(PVC)とのブレンド
ゴム(NBR/PVC)、クロロプレンゴム(CR)、
クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリ
エチレン(CPE)、エチレン−プロピレン−ジエンゴ
ム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EP
M)、フッ素ゴム(FKM)等があげられる。なかで
も、耐熱性および耐オゾン性に優れるという点で、C
O、ECO、NBR/PVC、CSM、EPDM、EP
Mが好ましい。また、上記熱可塑性エラストマー製外層
18の形成材料としては、オレフィン系、塩化ビニル
系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマーがあげられ
る。そして、上記外層18の厚みは、通常、0.5〜
5.0mm、好ましくは0.5〜3.0mm程度に設定
される。
特に限定するものではないが、例えば、エピクロルヒド
リンゴム(CO)、エピクロルヒドリンとエチレンンオ
キシドとの等モルコポリマー(通称ECO、別名CH
C)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NB
R)、NBRとポリ塩化ビニル(PVC)とのブレンド
ゴム(NBR/PVC)、クロロプレンゴム(CR)、
クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリ
エチレン(CPE)、エチレン−プロピレン−ジエンゴ
ム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EP
M)、フッ素ゴム(FKM)等があげられる。なかで
も、耐熱性および耐オゾン性に優れるという点で、C
O、ECO、NBR/PVC、CSM、EPDM、EP
Mが好ましい。また、上記熱可塑性エラストマー製外層
18の形成材料としては、オレフィン系、塩化ビニル
系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマーがあげられ
る。そして、上記外層18の厚みは、通常、0.5〜
5.0mm、好ましくは0.5〜3.0mm程度に設定
される。
【0034】本発明の燃料ホースのさらに他の例として
は、図3に示すように、フッ素樹脂製管状内層1の外周
表層部1a上に熱可塑性樹脂製外層2が形成され、この
熱可塑性樹脂製外層2の外周に補強糸層19が形成さ
れ、この補強糸層19の外周に外層18が形成された燃
料ホースがあげられる。この燃料ホースは、図3に示し
た燃料ホースの熱可塑性樹脂製外層2と外層18との間
に、補強糸層19を設けた以外は、図2と同様の構成で
ある。このように、補強糸層19を形成した燃料ホース
は、優れた耐圧性を備える点で好ましい。上記補強糸層
19は、麻や綿等の天然素材の糸や、ポリエステル糸,
ビニロン糸,ナイロン糸等の合成糸、あるいはワイヤー
等の金属製糸を用い、これらを編組機により編組するこ
とにより形成することができる。なお、上記外層18の
形成材料としては、前記と同様のゴムまたは熱可塑性エ
ラストマーがあげられる。
は、図3に示すように、フッ素樹脂製管状内層1の外周
表層部1a上に熱可塑性樹脂製外層2が形成され、この
熱可塑性樹脂製外層2の外周に補強糸層19が形成さ
れ、この補強糸層19の外周に外層18が形成された燃
料ホースがあげられる。この燃料ホースは、図3に示し
た燃料ホースの熱可塑性樹脂製外層2と外層18との間
に、補強糸層19を設けた以外は、図2と同様の構成で
ある。このように、補強糸層19を形成した燃料ホース
は、優れた耐圧性を備える点で好ましい。上記補強糸層
19は、麻や綿等の天然素材の糸や、ポリエステル糸,
ビニロン糸,ナイロン糸等の合成糸、あるいはワイヤー
等の金属製糸を用い、これらを編組機により編組するこ
とにより形成することができる。なお、上記外層18の
形成材料としては、前記と同様のゴムまたは熱可塑性エ
ラストマーがあげられる。
【0035】つぎに、本発明の燃料ホースの製法につい
て説明する。図1に示した本発明の燃料ホースは、前記
層形成材料を用いて、例えば、つぎのようにして作製す
ることができる。これを図4にもとづいて説明する。ま
ず、内層押出成形機3を用いて層形成材料(フッ素樹脂
等)を押し出し、フッ素樹脂製管状内層1を形成する。
ついで、このフッ素樹脂製管状内層1を減圧プラズマ処
理装置5内の反応室6に導入し、電極9a間のプラズマ
処理ゾーンでプラズマ処理を行う。そして、このプラズ
マ処理済みフッ素樹脂製管状内層1を処理槽12に導入
し、ノズル12aを用いてシランカップリング剤水溶液
を滴下する。ついで、このシランカップリング剤水溶液
を滴下したフッ素樹脂製管状内層1を処理槽13に導入
し、エアーブロー装置13aを用いて過剰な水溶液を乾
燥除去する。つづいて、外層押出成形機14を用いて層
形成材料(熱可塑性樹脂等)を押し出し、フッ素樹脂製
管状内層1の外周に熱可塑性樹脂製外層2を積層形成す
る。これを巻き取り機15を用いて巻き取り、目的とす
る燃料ホースを作製することができる。
て説明する。図1に示した本発明の燃料ホースは、前記
層形成材料を用いて、例えば、つぎのようにして作製す
ることができる。これを図4にもとづいて説明する。ま
ず、内層押出成形機3を用いて層形成材料(フッ素樹脂
等)を押し出し、フッ素樹脂製管状内層1を形成する。
ついで、このフッ素樹脂製管状内層1を減圧プラズマ処
理装置5内の反応室6に導入し、電極9a間のプラズマ
処理ゾーンでプラズマ処理を行う。そして、このプラズ
マ処理済みフッ素樹脂製管状内層1を処理槽12に導入
し、ノズル12aを用いてシランカップリング剤水溶液
を滴下する。ついで、このシランカップリング剤水溶液
を滴下したフッ素樹脂製管状内層1を処理槽13に導入
し、エアーブロー装置13aを用いて過剰な水溶液を乾
燥除去する。つづいて、外層押出成形機14を用いて層
形成材料(熱可塑性樹脂等)を押し出し、フッ素樹脂製
管状内層1の外周に熱可塑性樹脂製外層2を積層形成す
る。これを巻き取り機15を用いて巻き取り、目的とす
る燃料ホースを作製することができる。
【0036】上記反応室6内は、安定したプラズマを発
生させるために、真空ポンプ7により減圧状態にされた
後、ガス供給装置8により放電用ガス(含Arガス)が
導入され、減圧状態(通常、0.005〜8Torr)
に維持されている。また、上記プラズマ処理は、高周波
電源10およびマッチングボックス11を用いて、マッ
チングのとれた高周波高出力電流を電極9aに所定時間
流して電極9a間で放電を行わせ、放電用ガスを電離し
てプラズマ状態を生成することにより行われる。このと
きの周波数は、通常、0.1〜1000MHzであり、
好ましくは1〜100MHzである。また、高周波電源
10の出力は、通常、2〜400Wであり、好ましくは
5〜300Wである。処理時間は、フッ素樹脂の種類や
サイズ等によって適宜決定されるが、通常、1〜180
秒であり、好ましくは3〜60秒である。なお、上記プ
ラズマ処理は、含Arガス雰囲気下のグロー放電プラズ
マ処理が好ましい。このグロー放電プラズマ処理は、減
圧条件を厳しくする必要がないため、用いる減圧プラズ
マ処理装置5も高性能のものではなく、通常のものを用
いることができるという利点がある。
生させるために、真空ポンプ7により減圧状態にされた
後、ガス供給装置8により放電用ガス(含Arガス)が
導入され、減圧状態(通常、0.005〜8Torr)
に維持されている。また、上記プラズマ処理は、高周波
電源10およびマッチングボックス11を用いて、マッ
チングのとれた高周波高出力電流を電極9aに所定時間
流して電極9a間で放電を行わせ、放電用ガスを電離し
てプラズマ状態を生成することにより行われる。このと
きの周波数は、通常、0.1〜1000MHzであり、
好ましくは1〜100MHzである。また、高周波電源
10の出力は、通常、2〜400Wであり、好ましくは
5〜300Wである。処理時間は、フッ素樹脂の種類や
サイズ等によって適宜決定されるが、通常、1〜180
秒であり、好ましくは3〜60秒である。なお、上記プ
ラズマ処理は、含Arガス雰囲気下のグロー放電プラズ
マ処理が好ましい。このグロー放電プラズマ処理は、減
圧条件を厳しくする必要がないため、用いる減圧プラズ
マ処理装置5も高性能のものではなく、通常のものを用
いることができるという利点がある。
【0037】また、上記プラズマ処理は、大気圧より低
い減圧状態で行うことが好ましく、減圧プラズマ処理装
置5のシール部4のシール性が悪いと、減圧プラズマ処
理装置5内の減圧状態を一定状態に制御することが困難
となり、安定したプラズマを発生させることができなく
なる。そのため、上記シール部4はゴム弾性体により形
成することが好ましい。上記ゴム弾性体としては、通
常、硬度45〜80(JIS A)範囲のものを使用す
ることが好ましい。また、ゴム弾性体の種類は、特に限
定するものではないが、シリコーンゴムやアクリロニト
リル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)を用いると好結
果が得られる。
い減圧状態で行うことが好ましく、減圧プラズマ処理装
置5のシール部4のシール性が悪いと、減圧プラズマ処
理装置5内の減圧状態を一定状態に制御することが困難
となり、安定したプラズマを発生させることができなく
なる。そのため、上記シール部4はゴム弾性体により形
成することが好ましい。上記ゴム弾性体としては、通
常、硬度45〜80(JIS A)範囲のものを使用す
ることが好ましい。また、ゴム弾性体の種類は、特に限
定するものではないが、シリコーンゴムやアクリロニト
リル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)を用いると好結
果が得られる。
【0038】また、図4においては、処理槽13内でエ
アーブロー13aを用いて水溶液を乾燥除去する方法に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、図5に示すように、フッ素樹脂製管状内層1の導
入経路上にパッキン13bを設け、このパッキン13b
内にフッ素樹脂製管状内層1を導入することによりフッ
素樹脂製管状内層1上の過剰な水溶液を除去することも
可能である。
アーブロー13aを用いて水溶液を乾燥除去する方法に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、図5に示すように、フッ素樹脂製管状内層1の導
入経路上にパッキン13bを設け、このパッキン13b
内にフッ素樹脂製管状内層1を導入することによりフッ
素樹脂製管状内層1上の過剰な水溶液を除去することも
可能である。
【0039】そして、上記シール部4の形状は、図4に
示した一段階構造に限定されるものではなく、図6に示
すように、予備真空室23を設けた二段階構造とするこ
とも可能である。なお、図において、図4と同一部分に
は同一符号を付している。上記予備真空室23は、仕切
り板24によって反応室6と隔てられており、また、配
管22を介して真空ポンプ26と連結されている。図に
おいて、25は上記配管22に設けられたバルブを示
す。なお、上記予備真空室23は、真空ポンプ26によ
り反応室6よりも穏やかな減圧状態(約0.1〜10T
orr)となっている。このように、予備真空室23を
設けることにより、燃料ホースの導入、導出部から減圧
プラズマ処理装置5内への外部空気の混入が完全に防止
されるようになり、その結果、反応室6内の減圧状態を
正確に制御することができ、安定したプラズマを発生さ
せることが可能となる。そして、シール部4の形状も、
前述のゴム弾性体を用いたものに限定されるものではな
く、図7に示すように、略円錐台形状のシール部4aを
形成することも可能である。このように、略円錐台形状
のシール部4aを形成することにより、フッ素樹脂製管
状内層1との接触部分が小さくなって接触摩擦が低下
し、フッ素樹脂製管状内層1を円滑に減圧プラズマ処理
装置5内に導入することが可能となるとともに、減圧プ
ラズマ処理装置装置5の気密性をも充分に保持すること
が可能となる。なお、図において、矢印方向は、フッ素
樹脂製管状内層1の導入方向を示す。また、図8に示す
ように、円盤状のシール部4bを形成することも可能で
あり、減圧プラズマ処理装置の気密性をさらに高めるこ
とができるようになる。
示した一段階構造に限定されるものではなく、図6に示
すように、予備真空室23を設けた二段階構造とするこ
とも可能である。なお、図において、図4と同一部分に
は同一符号を付している。上記予備真空室23は、仕切
り板24によって反応室6と隔てられており、また、配
管22を介して真空ポンプ26と連結されている。図に
おいて、25は上記配管22に設けられたバルブを示
す。なお、上記予備真空室23は、真空ポンプ26によ
り反応室6よりも穏やかな減圧状態(約0.1〜10T
orr)となっている。このように、予備真空室23を
設けることにより、燃料ホースの導入、導出部から減圧
プラズマ処理装置5内への外部空気の混入が完全に防止
されるようになり、その結果、反応室6内の減圧状態を
正確に制御することができ、安定したプラズマを発生さ
せることが可能となる。そして、シール部4の形状も、
前述のゴム弾性体を用いたものに限定されるものではな
く、図7に示すように、略円錐台形状のシール部4aを
形成することも可能である。このように、略円錐台形状
のシール部4aを形成することにより、フッ素樹脂製管
状内層1との接触部分が小さくなって接触摩擦が低下
し、フッ素樹脂製管状内層1を円滑に減圧プラズマ処理
装置5内に導入することが可能となるとともに、減圧プ
ラズマ処理装置装置5の気密性をも充分に保持すること
が可能となる。なお、図において、矢印方向は、フッ素
樹脂製管状内層1の導入方向を示す。また、図8に示す
ように、円盤状のシール部4bを形成することも可能で
あり、減圧プラズマ処理装置の気密性をさらに高めるこ
とができるようになる。
【0040】なお、本発明において使用するプラズマ処
理装置は、図4に示したような、内部電極9aを有する
減圧プラズマ処理装置5に限定されるものではなく、図
9に示すように、減圧プラズマ処理装置5の外周に誘導
コイル電極9bを備えたものを用いることもできる。な
お、図において、図4と同一部分には同一符号を付して
いる。
理装置は、図4に示したような、内部電極9aを有する
減圧プラズマ処理装置5に限定されるものではなく、図
9に示すように、減圧プラズマ処理装置5の外周に誘導
コイル電極9bを備えたものを用いることもできる。な
お、図において、図4と同一部分には同一符号を付して
いる。
【0041】また、本発明の燃料ホースの製法において
は、図10に示すように、減圧プラズマ処理装置5にフ
ッ素樹脂製管状内層1を導入する前に、冷却ゾーン20
を設け、押出成形直後のフッ素樹脂製管状内層1を冷却
することが好ましい。これは、押出成形直後のフッ素樹
脂製管状内層1は高温で柔らかいため、その管状形状の
保形性が悪いためである。また、同様の理由から、熱可
塑性樹脂製外層2の押出成形機14の直後にも冷却ゾー
ン(図示せず)を設け、これを通過させて冷却すること
が最も好ましい。なお、図において、図4と同一部分に
は同一符号を付している。
は、図10に示すように、減圧プラズマ処理装置5にフ
ッ素樹脂製管状内層1を導入する前に、冷却ゾーン20
を設け、押出成形直後のフッ素樹脂製管状内層1を冷却
することが好ましい。これは、押出成形直後のフッ素樹
脂製管状内層1は高温で柔らかいため、その管状形状の
保形性が悪いためである。また、同様の理由から、熱可
塑性樹脂製外層2の押出成形機14の直後にも冷却ゾー
ン(図示せず)を設け、これを通過させて冷却すること
が最も好ましい。なお、図において、図4と同一部分に
は同一符号を付している。
【0042】なお、図4はマンドレルを使用しない燃料
ホースの製法について説明したが、図11に示すよう
に、マンドレル供給装置16から内層押出成形機3にマ
ンドレル17を供給し、マンドレル17上にフッ素樹脂
製管状内層1を形成することによっても作製することが
できる。図において、マンドレル供給装置16、マンド
レル17を用いる以外は基本的に図4と同じ構成であ
り、同一部分には同一符号を付している。
ホースの製法について説明したが、図11に示すよう
に、マンドレル供給装置16から内層押出成形機3にマ
ンドレル17を供給し、マンドレル17上にフッ素樹脂
製管状内層1を形成することによっても作製することが
できる。図において、マンドレル供給装置16、マンド
レル17を用いる以外は基本的に図4と同じ構成であ
り、同一部分には同一符号を付している。
【0043】また、上記燃料ホースの製法においては、
管状内層形成工程、プラズマ処理工程、シランカップリ
ング剤水溶液による処理工程、乾燥工程、熱可塑性樹脂
製外層形成工程の5つの工程を連続して行う例をあげた
が、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
内層押出成形機3から層形成材料(フッ素樹脂等)を押
し出してフッ素樹脂製管状内層1を形成し、これを巻き
取り機(図示せず)に巻きとった後、改めて、減圧プラ
ズマ処理装置5内に導入し、プラズマ処理、カップリン
グ剤水溶液による処理、乾燥処理および熱可塑性樹脂製
外層形成処理を施してもよい。これは、一部バッチ式の
工程をとることにより、フッ素樹脂製管状内層1や熱可
塑性樹脂製外層2の形成材料の変更が簡便になるという
利点があるからである。
管状内層形成工程、プラズマ処理工程、シランカップリ
ング剤水溶液による処理工程、乾燥工程、熱可塑性樹脂
製外層形成工程の5つの工程を連続して行う例をあげた
が、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
内層押出成形機3から層形成材料(フッ素樹脂等)を押
し出してフッ素樹脂製管状内層1を形成し、これを巻き
取り機(図示せず)に巻きとった後、改めて、減圧プラ
ズマ処理装置5内に導入し、プラズマ処理、カップリン
グ剤水溶液による処理、乾燥処理および熱可塑性樹脂製
外層形成処理を施してもよい。これは、一部バッチ式の
工程をとることにより、フッ素樹脂製管状内層1や熱可
塑性樹脂製外層2の形成材料の変更が簡便になるという
利点があるからである。
【0044】そして、図2および図3に示した燃料ホー
スは、例えば、図4に示した外層押出成形機14の後
に、編組機や押出成形機等を配置し、これらの装置によ
る編組工程や押出工程等を経ることにより製造すること
ができる。
スは、例えば、図4に示した外層押出成形機14の後
に、編組機や押出成形機等を配置し、これらの装置によ
る編組工程や押出工程等を経ることにより製造すること
ができる。
【0045】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
明する。
【0046】まず、実施例および比較例に先立ち、下記
に示すアミノ系シランカップリング剤A〜Dおよびエポ
キシ系シランカップリング剤E,Fを準備した。
に示すアミノ系シランカップリング剤A〜Dおよびエポ
キシ系シランカップリング剤E,Fを準備した。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
【実施例1】後記の表1に示すように、フッ素樹脂製管
状内層の形成材料としてエチレン−テトラフルオロエチ
レン共重合体(ETFE)を準備するとともに、熱可塑
性樹脂製外層の形成材料としてナイロン12(PA1
2:可塑剤5%含有)を準備した。また、シランカップ
リング剤Aを純水(pH=7)に溶解して、シランカッ
プリング剤Aの1重量%水溶液を準備した。そして、こ
れらの材料を用いて、図4に示した方法に準じて燃料ホ
ースを作製した。このようにして得られた燃料ホースの
フッ素樹脂製管状内層は、内径6.0mm、厚み0.2
5mmであり、熱可塑性樹脂製外層は厚み0.75mm
であった。また、プラズマ処理の条件は、周波数13.
56MHz、出力250Wであった。また、反応室6
は、真空ポンプ7により10-3Torrに減圧された
後、ガス供給装置8から含Arガスが供給されて0.0
7Torrの減圧状態となっている。そして、シランカ
ップリング剤の塗布量(水溶液を除く)は、フッ素樹脂
製管状内層のプラズマ処理済み外周表層部に対して3×
10-7g/cm2 となるように設定した。
状内層の形成材料としてエチレン−テトラフルオロエチ
レン共重合体(ETFE)を準備するとともに、熱可塑
性樹脂製外層の形成材料としてナイロン12(PA1
2:可塑剤5%含有)を準備した。また、シランカップ
リング剤Aを純水(pH=7)に溶解して、シランカッ
プリング剤Aの1重量%水溶液を準備した。そして、こ
れらの材料を用いて、図4に示した方法に準じて燃料ホ
ースを作製した。このようにして得られた燃料ホースの
フッ素樹脂製管状内層は、内径6.0mm、厚み0.2
5mmであり、熱可塑性樹脂製外層は厚み0.75mm
であった。また、プラズマ処理の条件は、周波数13.
56MHz、出力250Wであった。また、反応室6
は、真空ポンプ7により10-3Torrに減圧された
後、ガス供給装置8から含Arガスが供給されて0.0
7Torrの減圧状態となっている。そして、シランカ
ップリング剤の塗布量(水溶液を除く)は、フッ素樹脂
製管状内層のプラズマ処理済み外周表層部に対して3×
10-7g/cm2 となるように設定した。
【0050】
【実施例2〜10】後記の表1および表2に示す、フッ
素樹脂製管状内層、シランカップリング剤水溶液および
熱可塑性樹脂製外層を用いる以外は、実施例1と同様に
して燃料ホースを作製した。
素樹脂製管状内層、シランカップリング剤水溶液および
熱可塑性樹脂製外層を用いる以外は、実施例1と同様に
して燃料ホースを作製した。
【0051】なお、実施例7は、フッ素樹脂製管状内層
を2層構造とし、内側層を導電性ETFE層(内径6.
0mm、厚み0.10mm)とし、外側層をETFE層
(厚み0.15mm)とした。そして、上記導電性ET
FE層は、ETFEに導電性カーボンブラック(ケッチ
ェンEC、ケッチェンブラック・インターナショナル社
製)を15%配合した材料を用いて形成した。
を2層構造とし、内側層を導電性ETFE層(内径6.
0mm、厚み0.10mm)とし、外側層をETFE層
(厚み0.15mm)とした。そして、上記導電性ET
FE層は、ETFEに導電性カーボンブラック(ケッチ
ェンEC、ケッチェンブラック・インターナショナル社
製)を15%配合した材料を用いて形成した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【比較例1】後記の表3に示すように、シランカップリ
ング剤水溶液による処理を行わなかった。それ以外は、
実施例1と同様にして燃料ホースを製造した。
ング剤水溶液による処理を行わなかった。それ以外は、
実施例1と同様にして燃料ホースを製造した。
【0055】
【比較例2】後記の表3に示すように、シランカップリ
ング剤水溶液による処理を行わなかった。それ以外は、
実施例9と同様にして燃料ホースを製造した。
ング剤水溶液による処理を行わなかった。それ以外は、
実施例9と同様にして燃料ホースを製造した。
【0056】
【比較例3】後記の表3に示すように、プラズマ処理を
行わず、また、シランカップリング剤水溶液に代えて、
純水(pH=7)を用いた。それ以外は、実施例1と同
様にして燃料ホースを製造した。
行わず、また、シランカップリング剤水溶液に代えて、
純水(pH=7)を用いた。それ以外は、実施例1と同
様にして燃料ホースを製造した。
【0057】
【比較例4】後記の表3に示すように、プラズマ処理に
代えて、コロナ処理を行った。また、シランカップリン
グ剤水溶液に代えて、純水(pH=7)を用いた。それ
以外は、実施例1と同様にして燃料ホースを製造した。
なお、コロナ処理は図12に示す装置を用い、周波数2
0kHz、出力0.4kwの条件にて、大気中で行っ
た。図において、31は高周波電源、39は電極であ
る。
代えて、コロナ処理を行った。また、シランカップリン
グ剤水溶液に代えて、純水(pH=7)を用いた。それ
以外は、実施例1と同様にして燃料ホースを製造した。
なお、コロナ処理は図12に示す装置を用い、周波数2
0kHz、出力0.4kwの条件にて、大気中で行っ
た。図において、31は高周波電源、39は電極であ
る。
【0058】
【比較例5】後記の表3に示すように、シランカップリ
ング剤水溶液に代えて、エポキシ樹脂系接着剤の20%
エタノール溶液(東亜合成化学工業社製BX−60)を
用いた。それ以外は、実施例1と同様にして燃料ホース
を製造した。
ング剤水溶液に代えて、エポキシ樹脂系接着剤の20%
エタノール溶液(東亜合成化学工業社製BX−60)を
用いた。それ以外は、実施例1と同様にして燃料ホース
を製造した。
【0059】
【比較例6】後記の表3に示すように、シランカップリ
ング剤水溶液に代えて、水酸化ナトリウムの1重量%水
溶液(pH=11)を用いた。それ以外は、実施例1と
同様にして燃料ホースを製造した。
ング剤水溶液に代えて、水酸化ナトリウムの1重量%水
溶液(pH=11)を用いた。それ以外は、実施例1と
同様にして燃料ホースを製造した。
【0060】
【比較例7】後記の表4に示すように、シランカップリ
ング剤水溶液に代えて、シランカップリング剤のエタノ
ール溶液(濃度3%)を用いた。それ以外は、実施例5
と同様にして燃料ホースを製造した。
ング剤水溶液に代えて、シランカップリング剤のエタノ
ール溶液(濃度3%)を用いた。それ以外は、実施例5
と同様にして燃料ホースを製造した。
【0061】
【比較例8】後記の表4に示すように、シランカップリ
ング剤水溶液に代えて、シランカップリング剤のエタノ
ール溶液(濃度3%)を用いた。それ以外は、実施例6
と同様にして燃料ホースを製造した。
ング剤水溶液に代えて、シランカップリング剤のエタノ
ール溶液(濃度3%)を用いた。それ以外は、実施例6
と同様にして燃料ホースを製造した。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】このようにして得られた実施例品および比
較例品の燃料ホースを用いて、下記の基準に従い、初期
接着強度、ガソリン浸漬後の接着強度および熱老化後の
接着強度を測定した。また、実施例1品および比較例
1,6品の燃料ホースについて、フッ素樹脂製管状内層
の処理面をX線光電子分光法(ESCA)により分析し
た。これらの結果を、後記の表5〜表8に併せて示し
た。
較例品の燃料ホースを用いて、下記の基準に従い、初期
接着強度、ガソリン浸漬後の接着強度および熱老化後の
接着強度を測定した。また、実施例1品および比較例
1,6品の燃料ホースについて、フッ素樹脂製管状内層
の処理面をX線光電子分光法(ESCA)により分析し
た。これらの結果を、後記の表5〜表8に併せて示し
た。
【0065】〔初期接着強度〕初期接着強度の測定は、
JIS K 6301に準拠して行った。すなわち、図
13に示すように、燃料ホースを長さ(L)10mmと
なるようにリング状に切断し、さらに長手方向に切開し
て接着試験片を作製した。そして、この接着試験片の切
開面よりフッ素樹脂製管状内層1および熱可塑性樹脂製
外層2を一部剥離し、これら各剥離端を引張試験機の挟
み治具によって固定し、この引張試験機により引張速度
25mm/分で引張試験を行った。この引張試験により
得られた荷重を、上記両層間の初期接着強度とした。
JIS K 6301に準拠して行った。すなわち、図
13に示すように、燃料ホースを長さ(L)10mmと
なるようにリング状に切断し、さらに長手方向に切開し
て接着試験片を作製した。そして、この接着試験片の切
開面よりフッ素樹脂製管状内層1および熱可塑性樹脂製
外層2を一部剥離し、これら各剥離端を引張試験機の挟
み治具によって固定し、この引張試験機により引張速度
25mm/分で引張試験を行った。この引張試験により
得られた荷重を、上記両層間の初期接着強度とした。
【0066】〔ガソリン浸漬後の接着強度〕上記と同様
にして作製した接着試験片を、40℃×168時間の条
件で、ガソリン(Fuel C)に浸漬した。そして、
フッ素樹脂製管状内層1と熱可塑性樹脂製外層2との接
着強度を、上記と同様にして測定した。
にして作製した接着試験片を、40℃×168時間の条
件で、ガソリン(Fuel C)に浸漬した。そして、
フッ素樹脂製管状内層1と熱可塑性樹脂製外層2との接
着強度を、上記と同様にして測定した。
【0067】〔熱老化後の接着強度〕上記と同様にして
作製した接着試験片を、125℃×240時間の条件で
加熱処理した。そして、フッ素樹脂製管状内層1と熱可
塑性樹脂製外層2との接着強度を、上記と同様にして測
定した。
作製した接着試験片を、125℃×240時間の条件で
加熱処理した。そして、フッ素樹脂製管状内層1と熱可
塑性樹脂製外層2との接着強度を、上記と同様にして測
定した。
【0068】〔ESCA分析〕燃料ホースのフッ素樹脂
製管状内層の処理面(外周表層部)を、光電子分光装置
(5600Ci、ULVAC PHI社製)を用いて、
下記の測定条件により分析した。そして、フッ素(F1
s)のピークトップの結合エネルギーを基準値(68
9.63eV)とした場合の、表面炭素(C1s)結合
状態における結合エネルギー強度比〔I(286.5e
V)/I(292.2eV)〕を求めた。なお、フッ素
樹脂製管状内層の表面処理工程から熱可塑性樹脂製外層
被覆工程までの間に雰囲気(空気、水分)による影響を
避けるため、上記フッ素樹脂製管状内層は所定の表面処
理工程後、直ちに減圧保存し、速やかに測定を行った。 励起X線:Al、Kα1,2 線(1486.6eV) X線出力:10kV、20mA 温 度:20℃ 真空度 :3×10-8Torr
製管状内層の処理面(外周表層部)を、光電子分光装置
(5600Ci、ULVAC PHI社製)を用いて、
下記の測定条件により分析した。そして、フッ素(F1
s)のピークトップの結合エネルギーを基準値(68
9.63eV)とした場合の、表面炭素(C1s)結合
状態における結合エネルギー強度比〔I(286.5e
V)/I(292.2eV)〕を求めた。なお、フッ素
樹脂製管状内層の表面処理工程から熱可塑性樹脂製外層
被覆工程までの間に雰囲気(空気、水分)による影響を
避けるため、上記フッ素樹脂製管状内層は所定の表面処
理工程後、直ちに減圧保存し、速やかに測定を行った。 励起X線:Al、Kα1,2 線(1486.6eV) X線出力:10kV、20mA 温 度:20℃ 真空度 :3×10-8Torr
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】
【表8】
【0073】上記表5〜表8の結果から、実施例品の燃
料ホースは、優れた初期接着強度を備え、ガソリン浸漬
後および熱老化後の接着強度の低下が抑制され、充分な
接着信頼性を備えていることがわかる。
料ホースは、優れた初期接着強度を備え、ガソリン浸漬
後および熱老化後の接着強度の低下が抑制され、充分な
接着信頼性を備えていることがわかる。
【0074】フッ素樹脂製管状内層の外周表層部のES
CA分析によるデータを図14および図15に示す。図
14は、フッ素(F1s)のピークトップの結合エネル
ギーを基準値(689.63eV)とした場合のデータ
を示す図である。図15(a)はプラズマ未処理品のデ
ータを示す図、(b)はプラズマ処理品(比較例1品)
のデータを示す図、(c)は実施例1品のシランカップ
リング剤水溶液処理による水の効果を示す図である。図
15(a)と図15(b)とを比べると、プラズマ処理
を行うことにより、その表面炭素(C1s)結合エネル
ギー強度は、CF2に由来のピーク(292.2eV)
強度が、脱フッ素により低下しフッ素原子の表面濃度が
低下することがわかる。また、図15(b)と図15
(c)とを比べると、シランカップリング剤水溶液処理
による水の効果により、フッ素原子の表面濃度がさらに
低下し、CH2由来のピーク(286.5eV)が低エ
ネルギー側へシフトすることが確認された。これは、プ
ラズマ処理後にさらに水処理を行うことによって、接着
に関与しないフッ素原子を有する官能基がフッ素樹脂製
管状内層の内部に潜り込み、フッ素原子の表面濃度が低
下したことに加えて、OH基等の接着官能基(酸素含有
官能基)が増加したためであると推察される。
CA分析によるデータを図14および図15に示す。図
14は、フッ素(F1s)のピークトップの結合エネル
ギーを基準値(689.63eV)とした場合のデータ
を示す図である。図15(a)はプラズマ未処理品のデ
ータを示す図、(b)はプラズマ処理品(比較例1品)
のデータを示す図、(c)は実施例1品のシランカップ
リング剤水溶液処理による水の効果を示す図である。図
15(a)と図15(b)とを比べると、プラズマ処理
を行うことにより、その表面炭素(C1s)結合エネル
ギー強度は、CF2に由来のピーク(292.2eV)
強度が、脱フッ素により低下しフッ素原子の表面濃度が
低下することがわかる。また、図15(b)と図15
(c)とを比べると、シランカップリング剤水溶液処理
による水の効果により、フッ素原子の表面濃度がさらに
低下し、CH2由来のピーク(286.5eV)が低エ
ネルギー側へシフトすることが確認された。これは、プ
ラズマ処理後にさらに水処理を行うことによって、接着
に関与しないフッ素原子を有する官能基がフッ素樹脂製
管状内層の内部に潜り込み、フッ素原子の表面濃度が低
下したことに加えて、OH基等の接着官能基(酸素含有
官能基)が増加したためであると推察される。
【0075】これに対して、比較例1品および比較例2
品の燃料ホースは、プラズマ処理後にシランカップリン
グ剤水溶液による処理を行っていないため、ガソリン浸
漬後および熱老化後の接着強度に劣ることがわかる。ま
た、比較例1品の燃料ホースは、ESCA分析の結果、
結合エネルギー強度比〔I(286.5eV)/I(2
92.2eV)〕が1.3以下であった。比較例3品の
燃料ホースは、プラズマ処理を行っていないため、初期
接着強度が著しく劣り、その結果、ガソリン浸漬後およ
び熱老化後の接着強度が0(N/mm)であることがわ
かる。比較例4品の燃料ホースは、プラズマ処理を行わ
ずにコロナ処理を行っているため、初期接着強度が劣
り、その結果、ガソリン浸漬後および熱老化後の接着強
度にも劣ることがわかる。比較例5品の燃料ホースは、
エポキシ樹脂系接着剤による処理を行っているため、ガ
ソリン浸漬後および熱老化後の接着強度が著しく低下
し、接着信頼性に劣ることがわかる。比較例6品の燃料
ホースは、酸素含有官能基に関しては、実施例1品の水
処理を行った場合と同様増えるが、水酸化ナトリウム水
溶液による処理を行っているため、初期接着力が劣り、
ガソリン浸漬後および熱老化後の接着強度も劣ることが
わかる。この原因としては、ナトリウムイオンにより水
素結合等の結合力が阻害されること、ナトリウムイオン
が熱可塑性樹脂製外層の強度を低下させること等が推察
される。このような例としては、ナイロン樹脂の凍結防
止剤(塩化カルシウム等)によるクラック発生がよく知
られている。なお、シランカップリング剤のエタノール
溶液を用いた比較例7品の燃料ホースは、シランカップ
リング剤の水溶液を用いた実施例5品の燃料ホースに比
べて、初期、ガソリン浸漬後および熱老化後の接着強度
が若干劣ることがわかる。同様に、シランカップリング
剤のエタノール溶液を用いた比較例8品の燃料ホース
は、シランカップリング剤の水溶液を用いた実施例6品
の燃料ホースに比べて、初期、ガソリン浸漬後および熱
老化後の接着強度が若干劣ることがわかる。
品の燃料ホースは、プラズマ処理後にシランカップリン
グ剤水溶液による処理を行っていないため、ガソリン浸
漬後および熱老化後の接着強度に劣ることがわかる。ま
た、比較例1品の燃料ホースは、ESCA分析の結果、
結合エネルギー強度比〔I(286.5eV)/I(2
92.2eV)〕が1.3以下であった。比較例3品の
燃料ホースは、プラズマ処理を行っていないため、初期
接着強度が著しく劣り、その結果、ガソリン浸漬後およ
び熱老化後の接着強度が0(N/mm)であることがわ
かる。比較例4品の燃料ホースは、プラズマ処理を行わ
ずにコロナ処理を行っているため、初期接着強度が劣
り、その結果、ガソリン浸漬後および熱老化後の接着強
度にも劣ることがわかる。比較例5品の燃料ホースは、
エポキシ樹脂系接着剤による処理を行っているため、ガ
ソリン浸漬後および熱老化後の接着強度が著しく低下
し、接着信頼性に劣ることがわかる。比較例6品の燃料
ホースは、酸素含有官能基に関しては、実施例1品の水
処理を行った場合と同様増えるが、水酸化ナトリウム水
溶液による処理を行っているため、初期接着力が劣り、
ガソリン浸漬後および熱老化後の接着強度も劣ることが
わかる。この原因としては、ナトリウムイオンにより水
素結合等の結合力が阻害されること、ナトリウムイオン
が熱可塑性樹脂製外層の強度を低下させること等が推察
される。このような例としては、ナイロン樹脂の凍結防
止剤(塩化カルシウム等)によるクラック発生がよく知
られている。なお、シランカップリング剤のエタノール
溶液を用いた比較例7品の燃料ホースは、シランカップ
リング剤の水溶液を用いた実施例5品の燃料ホースに比
べて、初期、ガソリン浸漬後および熱老化後の接着強度
が若干劣ることがわかる。同様に、シランカップリング
剤のエタノール溶液を用いた比較例8品の燃料ホース
は、シランカップリング剤の水溶液を用いた実施例6品
の燃料ホースに比べて、初期、ガソリン浸漬後および熱
老化後の接着強度が若干劣ることがわかる。
【0076】
【発明の効果】以上のように、本発明の燃料ホースは、
フッ素樹脂製管状内層の外周表層部がプラズマ処理され
ているため、フッ素樹脂製管状内層と熱可塑性樹脂製外
層との接着力が向上し、優れた初期接着力を備えてい
る。さらに、上記プラズマ処理済み外周表層部がシラン
カップリング剤水溶液により処理されているため、接着
に関与しないフッ素原子を有する官能基が、フッ素樹脂
製管状内層の内部に潜り込み、フッ素樹脂製管状内層の
外周表層部において、フッ素原子の表面濃度が低下し、
接着に関与しないフッ素原子を有する官能基の分布が少
なくなり、反対に、OH基等の接着官能基(酸素含有官
能基)が広く分布するようになる。加えて、上記シラン
カップリング剤水溶液のなじみが良くなってシランカッ
プリング剤層を形成し、フッ素樹脂製管状内層とシラン
カップリング剤層との接着力、およびシランカップリン
グ剤層と熱可塑性樹脂製外層との接着力が向上するよう
になる。これらの結果、フッ素樹脂製管状内層と熱可塑
性樹脂製外層との接着力が向上し、エンジンルーム内の
ような厳しい環境下においても、熱老化後および燃料浸
漬後の接着力の低下を抑制することができ、優れた接着
信頼性を備えるようになる。なお、シランカップリング
剤は、消防法により第4類第1石油類〜第3石油類に分
類されており、使用に際しては可燃物に対する設備導入
が必要になる。そのため、通常は、シランカップリング
剤をアルコール等の有機溶剤で希釈した有機溶液が使用
されるが、有機溶剤が大気中に蒸散することによる作業
環境、地球環境への悪影響が懸念される。本発明におい
ては、アルコール等の有機溶剤を使用せずに、シランカ
ップリング剤を水等で希釈したシランカップリング剤水
溶液を使用するため、可燃物に対する設備導入が不要に
なるとともに、火災等の恐れがなく安全性に優れ、作業
性が向上し、大気汚染を防止することができる。
フッ素樹脂製管状内層の外周表層部がプラズマ処理され
ているため、フッ素樹脂製管状内層と熱可塑性樹脂製外
層との接着力が向上し、優れた初期接着力を備えてい
る。さらに、上記プラズマ処理済み外周表層部がシラン
カップリング剤水溶液により処理されているため、接着
に関与しないフッ素原子を有する官能基が、フッ素樹脂
製管状内層の内部に潜り込み、フッ素樹脂製管状内層の
外周表層部において、フッ素原子の表面濃度が低下し、
接着に関与しないフッ素原子を有する官能基の分布が少
なくなり、反対に、OH基等の接着官能基(酸素含有官
能基)が広く分布するようになる。加えて、上記シラン
カップリング剤水溶液のなじみが良くなってシランカッ
プリング剤層を形成し、フッ素樹脂製管状内層とシラン
カップリング剤層との接着力、およびシランカップリン
グ剤層と熱可塑性樹脂製外層との接着力が向上するよう
になる。これらの結果、フッ素樹脂製管状内層と熱可塑
性樹脂製外層との接着力が向上し、エンジンルーム内の
ような厳しい環境下においても、熱老化後および燃料浸
漬後の接着力の低下を抑制することができ、優れた接着
信頼性を備えるようになる。なお、シランカップリング
剤は、消防法により第4類第1石油類〜第3石油類に分
類されており、使用に際しては可燃物に対する設備導入
が必要になる。そのため、通常は、シランカップリング
剤をアルコール等の有機溶剤で希釈した有機溶液が使用
されるが、有機溶剤が大気中に蒸散することによる作業
環境、地球環境への悪影響が懸念される。本発明におい
ては、アルコール等の有機溶剤を使用せずに、シランカ
ップリング剤を水等で希釈したシランカップリング剤水
溶液を使用するため、可燃物に対する設備導入が不要に
なるとともに、火災等の恐れがなく安全性に優れ、作業
性が向上し、大気汚染を防止することができる。
【0077】また、シランカップリング剤として、前記
一般式(1)で表されるアミノ系シランカップリング剤
を用いることにより、シランカップリング剤水溶液の安
定性が向上するようになる。そして、上記シランカップ
リング剤の濃度を水溶液全体の10重量%以下に設定す
ることにより、プラズマ処理済み外周表層部へのシラン
カップリング剤水溶液による処理が容易となる。
一般式(1)で表されるアミノ系シランカップリング剤
を用いることにより、シランカップリング剤水溶液の安
定性が向上するようになる。そして、上記シランカップ
リング剤の濃度を水溶液全体の10重量%以下に設定す
ることにより、プラズマ処理済み外周表層部へのシラン
カップリング剤水溶液による処理が容易となる。
【0078】さらに、シランカップリング剤水溶液とし
てシランカップリング剤酸性水溶液を用いることによ
り、熱老化後および燃料浸漬後に充分な接着力が得ら
れ、一層優れた接着信頼性を備えるようになる。また、
上記酸性水溶液の水素指数(pH)をpH=2〜6に設
定することにより、熱老化後および燃料浸漬後に充分な
接着力が得られ、さらに優れた接着信頼性を備えるよう
になる。そして、シランカップリング剤として、前記一
般式(2)で表されるエポキシ系シランカップリング剤
を用いることにより、シランカップリング剤酸性水溶液
の安定性が向上するようになる。また、上記シランカッ
プリング剤の濃度を酸性水溶液全体の10重量%以下に
設定することにより、プラズマ処理済み外周表層部への
シランカップリング剤酸性水溶液による処理が容易とな
る。
てシランカップリング剤酸性水溶液を用いることによ
り、熱老化後および燃料浸漬後に充分な接着力が得ら
れ、一層優れた接着信頼性を備えるようになる。また、
上記酸性水溶液の水素指数(pH)をpH=2〜6に設
定することにより、熱老化後および燃料浸漬後に充分な
接着力が得られ、さらに優れた接着信頼性を備えるよう
になる。そして、シランカップリング剤として、前記一
般式(2)で表されるエポキシ系シランカップリング剤
を用いることにより、シランカップリング剤酸性水溶液
の安定性が向上するようになる。また、上記シランカッ
プリング剤の濃度を酸性水溶液全体の10重量%以下に
設定することにより、プラズマ処理済み外周表層部への
シランカップリング剤酸性水溶液による処理が容易とな
る。
【0079】そして、フッ素樹脂製管状内層の表面をプ
ラズマ処理した後、このプラズマ処理済み外周表層部を
シランカップリング剤水溶液により処理し、ついでこの
シランカップリング剤水溶液処理済み外周表層部の外周
に熱可塑性樹脂製外層を積層形成することにより、上記
のような優れた特性を備えた燃料ホースを極めて効率よ
く生産することができる。
ラズマ処理した後、このプラズマ処理済み外周表層部を
シランカップリング剤水溶液により処理し、ついでこの
シランカップリング剤水溶液処理済み外周表層部の外周
に熱可塑性樹脂製外層を積層形成することにより、上記
のような優れた特性を備えた燃料ホースを極めて効率よ
く生産することができる。
【図1】本発明の燃料ホースの一例を示す構成図であ
る。
る。
【図2】本発明の燃料ホースの他の例を示す構成図であ
る。
る。
【図3】本発明の燃料ホースのさらに他の例を示す構成
図である。
図である。
【図4】本発明の燃料ホースの製法の一例を示す説明図
である。
である。
【図5】本発明の燃料ホースの製法において、処理槽1
3の他の例を示す説明図である。
3の他の例を示す説明図である。
【図6】本発明の燃料ホースの製法において、予備真空
室を有する減圧プラズマ処理装置を用いた例を示す説明
図である。
室を有する減圧プラズマ処理装置を用いた例を示す説明
図である。
【図7】本発明における減圧プラズマ処理装置のシール
部の一例を示す構成図である。
部の一例を示す構成図である。
【図8】本発明における減圧プラズマ処理装置のシール
部の他の例を示す構成図である。
部の他の例を示す構成図である。
【図9】本発明の燃料ホースの製法において、誘電コイ
ル電極を有する減圧プラズマ処理装置を用いた例を示す
説明図である。
ル電極を有する減圧プラズマ処理装置を用いた例を示す
説明図である。
【図10】本発明の燃料ホースの製法において、冷却ゾ
ーンを設けた例を示す説明図である。
ーンを設けた例を示す説明図である。
【図11】本発明の燃料ホースの製法において、マンド
レルを用いた例を示す説明図である。
レルを用いた例を示す説明図である。
【図12】比較例の燃料ホースの製法に用いたコロナ放
電処理装置の構成図である。
電処理装置の構成図である。
【図13】燃料ホースの接着強度を測定する際に使用す
る接着試験片の構成図である。
る接着試験片の構成図である。
【図14】フッ素樹脂製管状内層の外周表層部のESC
A分析によるデータを示す図である。
A分析によるデータを示す図である。
【図15】フッ素樹脂製管状内層の外周表層部のESC
A分析によるデータを示す図である。
A分析によるデータを示す図である。
1 フッ素樹脂製管状内層 1a 外周表層部 2 熱可塑性樹脂製外層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 弘昭 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 村上 公洋 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 3H111 AA02 BA15 BA34 CA53 CB03 CB24 DA09 DA14 DA26 DB08 EA15 4F100 AH02C AH03C AH06C AK01B AK17A AK17D AK18 AK48 BA03 BA04 BA07 BA10A BA10B DA11 EH462 EJ612 EJ672 GB32 JA20C JB16B JG01A JK06 YY00C
Claims (9)
- 【請求項1】 フッ素樹脂製管状内層の外周に、熱可塑
性樹脂製外層が積層形成されてなる燃料ホースであっ
て、上記フッ素樹脂製管状内層の外周表層部がプラズマ
処理され、かつ、このプラズマ処理済み外周表層部がシ
ランカップリング剤水溶液により処理されていることを
特徴とする燃料ホース。 - 【請求項2】 シランカップリング剤が、下記の一般式
(1)で表されるアミノ系シランカップリング剤である
請求項1記載の燃料ホース。 【化1】 - 【請求項3】 シランカップリング剤の濃度が水溶液全
体の10重量%以下である請求項1または2記載の燃料
ホース。 - 【請求項4】 シランカップリング剤水溶液が、シラン
カップリング剤酸性水溶液である請求項1記載の燃料ホ
ース。 - 【請求項5】 シランカップリング剤酸性水溶液の水素
指数(pH)が2〜6である請求項4記載の燃料ホー
ス。 - 【請求項6】 シランカップリング剤が、下記の一般式
(2)で表されるエポキシ系シランカップリング剤であ
る請求項1、4、5のいずれか一項に記載の燃料ホー
ス。 【化2】 - 【請求項7】 シランカップリング剤の濃度が酸性水溶
液全体の10重量%以下である請求項4〜6のいずれか
一項に記載の燃料ホース。 - 【請求項8】 フッ素樹脂製管状内層が少なくとも2層
構造からなり、上記フッ素樹脂製管状内層の内側層が導
電性フッ素樹脂を用いて形成され、かつ、上記フッ素樹
脂製管状内層の外側層が非導電性フッ素樹脂を用いて形
成されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料
ホース。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃
料ホースの製法であって、フッ素樹脂製管状内層の表面
をプラズマ処理した後、このプラズマ処理済み外周表層
部をシランカップリング剤水溶液により処理し、ついで
このシランカップリング剤水溶液処理済み外周表層部の
外周に熱可塑性樹脂製外層を積層形成することを特徴と
する燃料ホースの製法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22508798A JP2000055248A (ja) | 1998-08-10 | 1998-08-10 | 燃料ホースおよびその製法 |
US09/369,357 US6602565B1 (en) | 1998-08-10 | 1999-08-06 | Method of producing fuel hose and fuel hose obtained thereby |
EP19990306286 EP0979968B1 (en) | 1998-08-10 | 1999-08-09 | Method of producing fuel hose and fuel hose obtained thereby |
DE1999630696 DE69930696T2 (de) | 1998-08-10 | 1999-08-09 | Verfahren zur Herstellung eines Treibstoffschlauchs und dadurch hergestellter Treibstoffschlauch |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22508798A JP2000055248A (ja) | 1998-08-10 | 1998-08-10 | 燃料ホースおよびその製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000055248A true JP2000055248A (ja) | 2000-02-22 |
Family
ID=16823812
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22508798A Pending JP2000055248A (ja) | 1998-08-10 | 1998-08-10 | 燃料ホースおよびその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000055248A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000291849A (ja) * | 1999-02-05 | 2000-10-20 | Asahi Glass Co Ltd | 燃料輸送用ホース |
JP2004506550A (ja) * | 2000-08-23 | 2004-03-04 | ダイネオン エルエルシー | フルオロプラスチック層を含む多層製品 |
EP1522780A1 (en) | 2003-09-08 | 2005-04-13 | Nissan Motor Company, Limited | Resin tube |
JP2007051758A (ja) * | 2005-07-22 | 2007-03-01 | Toyox Co Ltd | 可撓性積層ホース及びその製造方法 |
JP2008156592A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-07-10 | Asahi Rubber:Kk | 接着用基材及びそれを用いたシリコーンゴム接着体 |
US7488521B2 (en) | 2001-01-19 | 2009-02-10 | Nissan Motor Co., Ltd. | Resinous tube |
-
1998
- 1998-08-10 JP JP22508798A patent/JP2000055248A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000291849A (ja) * | 1999-02-05 | 2000-10-20 | Asahi Glass Co Ltd | 燃料輸送用ホース |
JP2004506550A (ja) * | 2000-08-23 | 2004-03-04 | ダイネオン エルエルシー | フルオロプラスチック層を含む多層製品 |
US7488521B2 (en) | 2001-01-19 | 2009-02-10 | Nissan Motor Co., Ltd. | Resinous tube |
EP1522780A1 (en) | 2003-09-08 | 2005-04-13 | Nissan Motor Company, Limited | Resin tube |
JP2007051758A (ja) * | 2005-07-22 | 2007-03-01 | Toyox Co Ltd | 可撓性積層ホース及びその製造方法 |
JP4639367B2 (ja) * | 2005-07-22 | 2011-02-23 | 株式会社トヨックス | 可撓性積層ホースの製造方法 |
JP2008156592A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-07-10 | Asahi Rubber:Kk | 接着用基材及びそれを用いたシリコーンゴム接着体 |
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---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
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