JP3593985B2 - 積層体およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素樹脂層上に熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成された積層体に関すものであり、詳しくは、上記フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層もしくはゴム層とが接着強度1.2N/mm以上で強固に接着している積層体およびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薬品やガソリン等に対する耐腐食性に優れているフッ素樹脂は、種々の樹脂製品に使用されているが、多くの場合、フッ素樹脂単独で用いるのではなく、このフッ素樹脂から形成されたフッ素樹脂層と、例えば熱可塑性樹脂やゴムから形成された層とを積層した積層体として用いられている。このような積層体は、フッ素樹脂の優れた特性と、熱可塑性樹脂等が備える耐摩耗性等の力学的特性を兼ね備えるものである。
【0003】
上記積層体を製造するに際し、一般のフッ素樹脂ではなく、熱可塑性樹脂層等と接合する接合表層部が改質処理された特殊なフッ素樹脂が用いられている。これは、一般のフッ素樹脂の他の構成材料に対する接着性が著しく低いため、例えば、接着剤を用いた接着処理だけでは強固に接着しないからである。また、ガソリン等の燃料や薬品と接触するような特殊な用途に使用される積層体は、一般の積層体より高い接着強度(1.2N/mm以上)が要求されている。これは、ガソリン等との接触によりフッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層等とが剥離するおそれがあるからである。
【0004】
従来の接合表層部が改質処理されたフッ素樹脂としては、例えば、以下に示す2種類のフッ素樹脂があげられる。
(1)金属ナトリウム錯体により樹脂表面がエッチング処理されたフッ素樹脂(例えば、「Ind.Eng.Chem.,50,329,1958年」に記載のもの)。
(2)スパッタリングにより樹脂表面に凹凸が形成されたフッ素樹脂(例えば、「特公昭58−25742号公報」に記載のもの)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の改質処理されたフッ素樹脂は、種々の問題を有している。すなわち、上記(1)の金属ナトリウム錯体で改質されたフッ素樹脂は、これを用いた積層体の接着力が経時的に低下するという問題がある。特に、紫外線を照射した場合に、上記接着力の低下が著しい。さらに、上記金属ナトリウム錯体溶液による改質方法は、フッ素樹脂の金属ナトリウム錯体溶液への浸漬や洗浄等の工程を必要とするため、処理工程が長く複雑であるという問題も有する上、金属ナトリウム錯体溶液は、人に対する安全性の問題もある。
【0006】
また、上記(2)のスパッタリング処理されたフッ素樹脂は、流動性が低い接着剤を用いると接着性が悪くなり、またスパッタリング処理により形成された樹脂表面の凹凸が、摩耗により簡単に消失するという問題がある。このため、このスパッタリング処理されたフッ素樹脂を用いて積層体を製造する際、その取扱に細心の注意を払う必要があり、このため、積層体の製造効率が悪くなる。
【0007】
さらに、これら従来の改質フッ素樹脂は、接着剤を使用せず熱可塑性樹脂等を直接積層した場合の接着性が悪いという共通の問題を有している。例えば、フッ素樹脂と熱可塑性樹脂とを用いて積層体を製造する場合、上記熱可塑性樹脂を加熱溶融して融着させる方法がある。この加熱融着法によれば、接着剤の塗布や乾燥工程が省略されるため、積層体の製造工程が簡略化されるようになり、また接着剤を溶解させるための有機溶剤を使用する必要がなくなり、作業環境が安全になるという利点がある。しかし、上記のように、従来の改質フッ素樹脂は、加熱融着法による接着性が悪いため、加熱融着法の上記利点が生かせないのが実情である。
【0008】
このように、従来の改質フッ素樹脂は、充分な接着性の向上がないため、これを用いて得られる積層体は、実用に供することが可能な接着強度を備えるものではない。そして、このような従来の技術により製造されている積層体は、その製造において、作業の安全性,製造効率,コスト等の問題がある。しかし、前述のように、フッ素樹脂層の層上に、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成された積層体は、優れた特性を有するため、上記問題を解決することが強く望まれている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層もしくはゴム層との接着強度が1.2N/mm以上と充分に高く、かつその製造が簡単で、作業安全性やコストの問題がない積層体およびその製法の提供をその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、フッ素樹脂層上に熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成されている積層体であって、上記熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層の接合表層部に、減圧プラズマ処理およびその処理後の富酸素化空気処理によって水酸基が1.4%以上の割合で存在している積層体を第1の要旨とし、フッ素樹脂層上に、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成された積層体の製法であって、上記熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層の接合表層部に対して減圧プラズマ処理を施した後、このフッ素樹脂層の接合表層部に富酸素化空気を接触させることによって水酸基が1.4%以上の割合で存在するようにし、このフッ素樹脂層の接合表層部上に熱可塑性樹脂層もしくはゴム層を形成する積層体の製法を第2の要旨とする。
【0011】
すなわち、本発明者らは、フッ素樹脂の熱可塑性樹脂等に対する接着性の向上を目的として、その改質を中心に、一連の研究を重ねた。その過程で、フッ素樹脂の接着性の発現機構を詳細に調べたところ、接着性が発現するのは、フッ素樹脂表層部に水酸基が存在する場合であることを突き止めた。これを、フッ素樹脂とポリアミド樹脂とを例にとり説明すると、図3に示すように、フッ素樹脂中に水酸基が存在すれば、この水酸基(−OH)と、ポリアミド樹脂のアミド結合(−NHCO−)中の酸素原子(−C=O)との間で水素結合が起こり、接着性が発現するのである。そこで、フッ素樹脂表層部の水酸基と接着性の発現との関係についてさらに研究を重ねたところ、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層もしくはゴム層とからなる積層体において、上記熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対するフッ素樹脂層の接合表層部に、水酸基が1.4%以上存在すれば、積層体の接着強度が1.2N/mm以上の実用的な接着強度となることを突き止めた。そして、減圧プラズマ処理およびその処理後の富酸素化空気処理により、特殊な設備等を用いることなく、フッ素樹脂の接合表層部に対し、容易かつ安全に上記特定割合の水酸基を導入することが可能であることを見出し、上記知見と併せて本発明に到達した。本発明により、充分な接着強度を備えた高性能の積層体を簡単にかつ低コストで提供することが可能となる。
【0012】
なお、本発明において、上記フッ素樹脂層の接合表層部における水酸基量(%)は、光電子分光法(ESCA)で測定した値をいい、また、水酸基の割合は、フッ素樹脂の接合表層部の水素原子を除く全原子個数に対し、水酸基(−OH)の酸素原子数の割合をいう。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明を詳しく説明する。
【0014】
本発明の積層体は、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層もしくはゴム層とを積層したもので、上記熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層の接合表層部には、水酸基が1.4%以上存在している。
【0015】
上記フッ素樹脂層は、通常のフッ素樹脂を層状に形成した後、上記熱可塑性樹脂層等に対する接合表層部に、後述する改質処理を行うことにより得られる。
【0016】
上記フッ素樹脂層の形成材料であるフッ素樹脂としては、例えば、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE),ポリビニリデンフルオライド(PVDF),ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE),エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体(ECTFE),フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体,フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体,フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの三元共重合体,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP),テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA),フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体,フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体等があげられる。これらは単独であるいは2種類以上併用される。このなかでも、加工性,柔軟性,耐久性が優れるという理由からETFEを用いることが好ましい。
【0017】
そして、上記フッ素樹脂には、その物性改良の目的で充填剤を配合することが好ましい。このような充填剤としては、例えば、酸化チタン,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,シリカ,カーボンブラック,ケイ酸マグネシウム,ケイ酸アルミニウム,酸化亜鉛,アルミナ,硫酸カルシウム,硫酸アルミニウム,水酸化カルシウム,水酸化アルミニウム,タルク,二酸化モリブデン,ウィスカー,短繊維類,黒鉛,金属粉,ケイ砂,軽石粉,スレート粉,雲母粉,アスベスト,ガラス球等があげられる。この充填剤の配合割合は、通常、フッ素樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対し、30部以下に設定され、好ましくは、5〜20部の範囲に設定される。
【0018】
また、上記フッ素樹脂には、導電性を付与することが好ましい。すなわち、前述のように、ガソリン等の燃料と接触するような特殊な用途に使用される積層体において、積層体に静電気が発生すると、燃料に引火する危険性があるからである。このフッ素樹脂への導電性の付与は、例えば、フッ素樹脂に導電剤を配合することによりその目的を達成することができる。上記導電剤としては、カーボンブラック,微細なステンレス性金属繊維類等があげられる。この導電剤の配合割合は、フッ素樹脂100部に対し、0.5〜30部の範囲に設定することが好ましい。この範囲で導電剤を配合すると、得られる積層体のフッ素樹脂層の体積低効率が1010Ω・cm以下となって、静電気を積層体外部に放電して逃がすことが可能となり、上記特殊用途の積層体において、ガソリン等の燃料への引火等の事故が未然に防止されるようになる。
【0019】
つぎに、上記熱可塑性樹脂層およびゴム層について説明する。
【0020】
上記熱可塑性樹脂層の形成材料は、特に制限するものではなく、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂等があげられる。このなかで、耐摩耗性等の力学的特性が優れるという理由から、ポリアミド樹脂を使用することが好ましい。このポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナイロン12等があげられ、これらは単独でもしくは2種類以上併用される。このなかでも、特に、耐摩耗性および成形加工性の特性に優れる、ナイロン11,ナイロン12が好ましい。
【0021】
上記ポリアミド樹脂には、加工特性の改善および柔軟性の向上のために、必要に応じ、可塑剤が配合される。この可塑剤としては、スルホンアミド類,オキシ安息香酸エステル類があげられる。この可塑剤の配合割合は、通常、ポリアミド樹脂100部に対し、20部以下に設定される。
【0022】
そして、上記ゴム層の形成材料は、特に制限するものではなく、例えば、エピクロルヒドリンゴム(CO),エピクロルヒドリンとエチレンオキシドとの等モルのコポリマー(通称ECO,別名CHC),アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR),NBRとポリ塩化ビニル(PVC)とのブレンドゴム(NBR/PVC),クロロプレンゴム(CR),クロロスルホン化ポリエチレン(CSM),塩素化ポリエチレン(CPE),エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等があげられる。このなかでも、耐熱性や耐オゾン性等の特性が優れるという理由から、ECO,NBR,NBR/PVC,CSMが好ましく、特に好ましくは、ECOである。
【0023】
つぎに、本発明の積層体の製法について、シート状積層体の製法を例にとり、図1の工程概略図に基づき説明する。
【0024】
図1に示すように、シート状積層体1の製法は、シート状フッ素樹脂層2を準備する工程(a)と、シート状フッ素樹脂層2の接合表層部2aに対し減圧プラズマ処理4する工程(b)と、減圧プラズマ処理後のシート状フッ素樹脂層2接合表層部2aに富酸素化空気5を接触させる工程(c)と、シート状フッ素樹脂2接合表層部2a上に熱可塑性樹脂3あるいはゴム層3を積層形成する工程(d)とから構成される。
【0025】
まず、図1(a)に示すようなシート状フッ素樹脂層2を形成する。これは、上記フッ素樹脂に必要に応じて充填剤等の各種添加剤を所定の割合で配合し、これを押出機等により押出てシート状に成形することにより形成することができる。
【0026】
つぎに、図1(b)に示すように、このシート状フッ素樹脂2の接合表層部2aに対し、減圧プラズマ処理4を行う。この減圧プラズマ処理4は、シート状フッ素樹脂層2接合表層部2aに水酸基を導入することができる処理であれば、特に制限するものではない。このような減圧プラズマ処理として、グロー放電等の低温プラズマ処理を選択することが好ましい。これは、低温プラズマ処理が簡便な方法であり、かつ薬品やガソリンに対する耐腐食特性等のフッ素樹脂が本来有する優れた特性を損なうことなく、その表層部の改質処理を行うことが可能な方法だからである。この低温プラズマ処理を具体的に説明すると、低圧力下のガス雰囲気(減圧)において、電極に高電圧を印加した際に発生するグロー放電によって生じるプラズマ中に、被処理体(シート状フッ素樹脂層2)を暴露する方法である(例えば、「低温プラズマ化学,穂積啓一郎編、化学の領域、増刊111号、南江堂出版、1976年発行」に記載の方法)。
【0027】
上記低温プラズマ処理等の減圧プラズマ処理の条件は、シート状フッ素樹脂層2接合表層部2aに対し水酸基を導入することが可能な条件であれば、特に制限するものではない。一般的な条件としては以下の通りである。
【0028】
雰囲気ガス種類 : H2 や,He,N2 ,Ne,Ar等の不活性ガス。
雰囲気ガス圧力 : 10〜1000Pa
高周波電源(RF)出力 : 10〜300W
処理時間 : 1秒〜5分
【0029】
また、上記条件の好適範囲としては、以下に示す通りである。
【0030】
雰囲気ガス種類 : H2 ,N2 ,Ar
雰囲気ガス圧力 : 10〜300Pa
RF出力 : 10〜300W
処理時間 : 1秒〜1分
【0031】
そして、上記減圧プラズマ処理は、例えば、図2に示す減圧プラズマ処理装置12を用いて行われる。この減圧プラズマ処理装置12は、密閉状チャンバー6内に、電極7a,7bが互いに対峙する状態で配置されたものであり、この電極7a,7bには、高周波電源8が接続されている。また、この密閉状チャンバー6の所定位置には、雰囲気ガスの導入口9および排出口10が設けられ、それぞれ雰囲気ガス供給装置(図示せず)および真空ポンプ(図示せず)と配管を通じて連通している。図において、矢印11,13は、雰囲気ガスの流入,流出状態をそれぞれ示すものである。
【0032】
この減圧プラズマ処理装置12を用いた減圧プラズマ処理は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、図示のように、上記チャンバー6内の電極7a,7bの間に、シート状フッ素樹脂層2を配置する。一方、排出口10から、チャンバー6内の空気を排気し、ついで導入口11から雰囲気ガスを導入して密閉状チャンバー6内を所定の減圧状態とする。この状態で、高周波電源8により、上記所定の条件で、電極7a,7bに印加して、電極7a,7b間でプラズマを発生させる。そして、このプラズマ処理後、空気中へ取り出すと、シート状フッ素樹脂層2の接合表層部2aに対し、水酸基が導入される。この水酸基の導入割合は、上記プラズマ発生の諸条件により調整することができる。
【0033】
なお、この発明において、フッ素樹脂2の接合表層部2aとは、フッ素樹脂2の接合面部分およびこれから一定の深さ(厚み)までの部分をいう。これは、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層等とが接着する場合において、その接着に関与する部分は、面部分だけでなく、面部分を含む一定の厚みを持った部分だからである。
【0034】
つぎに、減圧プラズマ処理4されたシート状フッ素樹脂2接合表層部2aに対し、酸素濃度を高くした富酸素化空気を接触させる処理(以下適宜「富酸素化空気処理」ともいう)を行う。
【0035】
上記富酸素化空気処理は、通常、内部を富酸素化空気雰囲気にした処理槽に、上記減圧プラズマ処理をしたフッ素樹脂を投入することにより行われる。上記富酸素化空気の酸素含有量は、通常、20〜25℃で富酸素化空気全体の20〜90体積%、好ましくは20〜70体積%である。そして、この富酸素化空気は、水蒸気圧が、1〜40mmHgであることが好ましく、特に好ましくは4〜36mmHgである。
【0036】
このように、減圧プラズマ処理後に富酸素化空気処理を施すのは、つぎの理由による。すなわち、フッ素樹脂に対し、減圧プラズマ処理をすると、樹脂表層部に水酸基が導入されることは確実な事実であるが、導入量が不充分となる場合があり、この場合、減圧プラズマ処理後に富酸素化空気処理を施すと、充分量の水酸基を導入することが可能となるからである。
【0037】
上記の減圧プラズマ処理による水酸基導入機構や、その後に行われる富酸素化空気処理による水酸基導入機構について、明確に説明することはできないが、本発明者らは、積層体に関する一連の研究において得た知見から、以下に示す2つの経路を通じてフッ素樹脂に水酸基が導入されるものと推察している。
【0038】
まず、第1の経路としては、フッ素樹脂に対して減圧プラズマ処理を行うと、フッ素樹脂表層部の炭素原子が活性化して炭素ラジカルが発生し、この炭素ラジカルと、雰囲気ガス中に含まれる酸素原子および水素原子とが結合してフッ素樹脂表層部に水酸基が導入される経路が考えられる。また、第2の経路としては、減圧プラズマ処理により生成するフッ素樹脂表層部の炭素ラジカルにより、雰囲気ガス中の水分が解離して水酸基が生成し、この水酸基が、上記炭素ラジカルと結合してフッ素樹脂表層部に水酸基が導入される経路が考えられる。
【0039】
しかし、上記第1の経路の場合、通常、減圧プラズマ処理を行う雰囲気ガス中の酸素原子は微量であるため、フッ素樹脂表層部への水酸基の導入が不充分となるおそれがある。そこで、減圧プラズマ処理後、フッ素樹脂表層部に富酸素化空気を接触させることにより、フッ素樹脂表層部の炭素ラジカルに効果的に酸素を結合させることが可能となって、充分量の水酸基を導入することが可能となると考えられる。ここで、上記富酸素化空気としては、前述のように、水蒸気圧が1〜40mmHgのものが好ましく、特に好ましくは、4〜36mmHgのものである。
【0040】
また、フッ素樹脂表層部への水酸基の導入は、上記各経路を別々に経由するのではなく、上記2つの経路を同時に経由するものと考えられることから、減圧プラズマ処理後のフッ素樹脂には、相対湿度の高い富酸素化空気を接触させることが好ましい。
【0041】
つぎに、このような減圧プラズマ処理4およびその処理後の富酸素化空気処理5の後、シート状フッ素樹脂層2の接合表層部2aの上に、熱可塑性樹脂層3もしくはゴム層3が積層形成される。
【0042】
まず、上記熱可塑性樹脂層3を形成する場合について説明すると、まず、前述の熱可塑性樹脂を押出成形等によりシート状に成形してシート状熱可塑性樹脂層を準備し、この一面を加熱溶融させる。この加熱溶融の条件は、熱可塑性樹脂の融点等により適宜決定される。そして、上記シート状フッ素樹脂層2接合表層部2aの上に、上記加熱溶融されたシート状熱可塑性樹脂層3を、その加熱溶融面が上記フッ素樹脂層2接合表層部2aと対面するように配置する。ついで、圧力0.1〜30kgf/cm2 ,時間0.5〜10分間の条件で、プレス機で両シートをプレスしながら室温まで冷却して、両者を接着させる。このようにして、フッ素樹脂層2の上に熱可塑性樹脂層3が積層形成されたシート状積層体1を作製することができる。
【0043】
一方、ゴム層を形成する場合は、上記熱可塑性樹脂層を形成する場合と同様に、シート状未加硫ゴムを準備し、これを上記シート状フッ素樹脂層2接合表層部2aの上に配置する。ついで、圧力0.1〜30kgf/cm2 ,時間0.5〜10分間の条件で、プレス機で両シートをプレスし、シート状フッ素樹脂層2にシート状未加硫ゴムを圧着させる。そして、このシート状未加硫ゴムを加硫することにより、フッ素樹脂層2の上にゴム層3が積層形成されたシート状積層体1を作製することができる。上記ゴム加硫の条件は、用いるゴムの種類等により適宜決定されるが、通常、150〜180℃×20〜90分である。また、上記プレス時において、加熱処理を施してプレス加硫を行うこともできる。このプレス加硫の条件としては、圧力は上記プレスと同一であり、上記ゴム加硫は、ゴムの種類により適宜決定されるものである。このプレス加硫を行うことにより、上記プレス圧着とゴム加硫とを一工程で行うことができるようになり、シート状積層体の製造効率が向上するようになる。
【0044】
なお、本発明の積層体では、フッ素樹脂層の接合表層部に対し減圧プラズマ処理およびその処理後の富酸素化空気処理を行い、この接合表層部に接着剤を塗布した後、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層を形成してもよい。このように、接着剤を用いると、本発明の積層体において上記両層の接着強度がより一層向上するようになる。上記接着剤としては、ポリエステル系接着剤等があげられ、この他に、シラン系カップリング処理剤を使用することもできる。この接着剤塗布による接着強度の向上効果は、ゴム層を形成したときに顕著である。
【0045】
このような一連の工程(図1参照)を経て、シート状積層体が作製されるが、本発明の積層体は、シート状の形態に限定されず、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層もしくはゴム層とが積層されているものであれば、その形態は問わない趣旨である。シート状以外の形態の積層体としては、例えば、燃料タンクや薬品タンク等の容器形態の積層体があげられる。この場合、ガソリンや薬品と接触する内層としてフッ素樹脂層が形成され、この内層の外周面に熱可塑性樹脂層等が形成されるという構成をとる。さらに、フッ素樹脂を用いた積層体は、ガソリン等の燃料や薬品に対する耐腐食性に優れるため、チューブ形状に押出成形することにより自動車用燃料ホースとして使用できる他、自動車等の燃料配管部等に使用する部品や、薬品製造等に使用される部材等に使用することができる。
【0046】
このように、上記所定の条件で減圧プラズマ処理およびその処理後の富酸素化空気処理を施すことにより、フッ素樹脂の接合表層部に対し水酸基が1.4%以上の割合で導入されるようになる。前述のように、この水酸基量は、ESCAで測定した値をいう。このESCAは、光電子分光装置(例えば、ES−200,国際電気社製)を用い、フッ素樹脂接合表層部を分析する方法である。この測定条件は、例えば、以下に示す通りである。
【0047】
励起X線:Al,Kα1,2 線(1486.6eV)
X線出力:10kV,20mA
温 度:20℃
真空度 :3×10-8Torr
【0048】
なお、上記ESCAにおいて、フッ素樹脂接合表層部の水酸基を直接検出するのではなく、水酸基を化学修飾して検出することが、測定精度の上からも好ましい。この水酸基の化学修飾について説明すると、フッ素樹脂接合表層部に対し、下記の一般式(1)で表される含ケイ素反応試薬(HMDS)を接触させる。すると、フッ素樹脂層表層部において、下記の反応式(2)に示す反応が生起し、水酸基とケイ素(Si)とが置換する。そして、このケイ素量をESCAで測定することにより、フッ素樹脂接合表層部の水酸基量を定量することができる。
【0049】
【化1】
【0050】
【化2】
【0051】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0052】
【実施例,比較例1〜4】
シート状フッ素樹脂(ETFE)の接合表層部に対して、下記の表1に示す条件の減圧プラズマ処理を行った。次に、実施例における接合表層部にのみ、上記減圧プラズマ処理を施した後、酸素含有量50体積%(20℃),相対湿度RH70%の富酸素化空気処理を行った。ついで、実施例および比較例の接合表層部の上に、一面を240℃で加熱溶融させたシート状熱可塑性樹脂(ナイロン12)を、その加熱溶融面と上記接合表層部とが対面するように配置し、圧力2kgf/cm2 ,3分間の条件でプレス機で両シートをプレスしながら室温まで冷却してシート状積層体を作製した。このシート状積層体のサイズは、フッ素樹脂層の厚みが0.2mmであり、熱可塑性樹脂層の厚みが2.0mmである。
【0053】
このようにして得られた実施例品および比較例品のシート状積層体について、そのフッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層との接着強度、およびフッ素樹脂層接合表層部の水酸基量を調べた。この結果も併せて下記の表1に示す。なお、上記接着強度および水酸基量は、下記に示す方法により調べた。
【0054】
〔接着強度〕
接着強度は、90°剥離試験により測定した。すなわち、図4に示すように、シート状積層体1の一部を剥離させ、フッ素樹脂層2の剥離端を、ストログラフ(東洋精機社製)を用い速度50mm/分で、熱可塑性樹脂層3に対し垂直方向(矢印A)に引っ張って剥離強度を測定し、この剥離強度を接着強度とした
【0055】
〔水酸基量〕
上記接着強度試験に供したシート状積層体のフッ素樹脂層側の剥離面の表層部について、前述のHMDSを用い、水酸基とケイ素とを置換してESCA測定を行った。この時のESCA測定条件は、下記に示す通りである。
励起X線:Al,Kα1,2 線(1486.6eV)
X線出力:10kV,20mA
温 度:20℃
真空度 :3×10-8Torr
【0056】
【表1】
【0057】
上記表1から、実施例品は、そのフッ素樹脂層接合表層部の水酸基量が3.0%であり、接着強度が2.7N/mmであった。このことから、減圧プラズマ処理と、その後の富酸素化空気処理を行ったことにより、フッ素樹脂表層部に水酸基を充分に導入することができ、これにともなって接着強度も著しく向上したことが分かる。これに対し、比較例1〜3品では、そのフッ素樹脂層接合表層部の水酸基量が1.4%未満であり、接着強度が1.2N/mm未満であった。特に、減圧プラズマ処理をしなかった比較例品3のシート状積層体では、フッ素樹脂層と熱可塑性樹脂層とが接着しなかった。また、比較例4品は、そのフッ素樹脂層接合表層部の水酸基量が1.8%であり、接着強度が1.2N/mmであったことから、他の比較例に比べると層間接着性が高かったが、減圧プラズマ処理後の富酸素化空気処理が行われなかったため、実施例ほどの接着強度が得られなかった。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明の積層体は、フッ素樹脂層上に熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成されたものであって、上記フッ素樹脂層の接合表層部に1.4%以上の割合で水酸基が存在する。そして、上記フッ素樹脂層の接合表層部では、減圧プラズマ処理を施して水酸基を導入した後、さらに富酸素化空気処理を施している。これらの処理により、フッ素樹脂の接合表層部に充分量の水酸基を導入することが可能となり、上記特定割合以上の水酸基を接合表層部に有する改質フッ素樹脂とすることができ、その結果、上記水酸基から奏される水素結合により、熱可塑性樹脂もしくはゴムと、1.2N/mm以上の高い接着力で接着するようになる。したがって、本発明の積層体は、上記両層の剥離が発生しなくなり、耐久性に優れたものとなる。また、上記熱可塑性樹脂層として、耐摩耗性等の力学的特性に優れたポリアミド樹脂層を形成すれば、積層体の耐久性がより優れたものとなる。また、フッ素樹脂層の接合表層部に、接着剤(シラン系カップリング処理剤,ポリエステル系接着剤等)を塗布して熱可塑性樹脂層もしくはゴム層を積層形成すれば、上記両層の接着強度がさらに向上するようになる。
【0059】
また、本発明の積層体の製法は、フッ素樹脂層の接合表層部に減圧プラズマ処理を施して水酸基を導入した後、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層を形成するものである。上記減圧プラズマ処理は、特殊な設備や装置を必要としない簡易な方法であり、また有機溶剤等の人体に有害な物質を使用しない方法であるため、本発明の積層体の製法は、設備コスト等が低くくかつ安全な製法となる。また、減圧プラズマ処理の後に、さらに富酸素化空気処理を行っていることから、フッ素樹脂の接合表層部に充分量の水酸基を導入することが可能となって、得られる積層体の接着強度が著しく優れるようになる。そして、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層を形成する際に、上記熱可塑性樹脂等を加熱溶融してフッ素樹脂層接合表層部に直接融着すれば、接着剤の塗布工程等を経ることなく積層体を作製することができるようになり、製造効率が優れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、フッ素樹脂層を示す構成図であり、(b)は、上記フッ素樹脂層接合表層部に対し減圧プラズマ処理する状態を示す説明図であり、(c)は、上記減圧プラズマ処理後のフッ素樹脂層接合表層部に富酸素化空気を接触させる状態を示す説明図であり、(d)は、上記フッ素樹脂接合表層部の上に熱可塑性樹脂層あるいはゴム層を積層形成する状態を示す構成図である。
【図2】本発明に使用する減圧プラズマ処理装置の一例を示す構成図である。
【図3】ポリアミド樹脂とフッ素樹脂との間に水素結合が存在する状態を示す説明図である。
【図4】接着強度試験の実施状態を示す説明図である。
Claims (5)
- フッ素樹脂層上に熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成されている積層体であって、上記熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層の接合表層部に、減圧プラズマ処理およびその処理後の富酸素化空気処理によって水酸基が1.4%以上の割合で存在していることを特徴とする積層体。
- フッ素樹脂層上に、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が直接積層形成されている請求項1記載の積層体。
- 上記熱可塑性樹脂層が、ポリアミド樹脂層である請求項1または2記載の積層体。
- フッ素樹脂層上に、熱可塑性樹脂層もしくはゴム層が積層形成された積層体の製法であって、上記熱可塑性樹脂層もしくはゴム層に対する上記フッ素樹脂層の接合表層部に対して減圧プラズマ処理を施した後、このフッ素樹脂層の接合表層部に富酸素化空気を接触させることによって水酸基が1.4%以上の割合で存在するようにし、このフッ素樹脂層の接合表層部上に熱可塑性樹脂層もしくはゴム層を形成することを特徴とする積層体の製法。
- 富酸素化空気の水蒸気圧が、1〜40mmHgである請求項4記載の積層体の製法。
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