JP3765571B2 - シフトロック装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、自動車のA/Tシフトレバー装置に組み込まれるソレノイド式のシフトロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−109559号公報
【0003】
AT用のシフトレバー装置には、キイをACCに回し、かつブレーキペダルを踏まないとシフトレバーをPポジションから他のポジションに動かすことができないようにするためのシフトロック装置が組み込まれている。特許文献1にはブレーキペダルの動きをケーブルによりシフトロックプレートに伝達する機械式のシフトロック装置が開示されている。
【0004】
シフトロック装置にはこのほか、ブレーキペダルの動きに連動してオンオフするソレノイドを用いたソレノイド式のシフトロック装置が知られている。しかし従来のソレノイド式のシフトロック装置は、離れた位置にあるヨークをソレノイドで吸着することによりシフトロック動作を行わせる構造であるため、所定の吸着力を得るために大型のソレノイドを必要とし、重量増加やコスト増加を招くという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、小型軽量のソレノイドにより確実なシフトロック動作を行わせることができるソレノイド式のシフトロック装置を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明のシフトロック装置は、A/Tシフトレバー装置の本体内部に組み込まれるシフトロック装置であって、ケースの内部にセレクト方向にスライドできるスライダと、ブレーキペダルが踏まれたときにオンとなるセレクト方向に配置されたソレノイドとを設け、このスライダに固定されたヨークをスプリングによりソレノイドの端面に密着させることによってスライダを常にPポジション側に弾発しておき、またこのスライダの端部には、シフトレバーをPポジションにシフトさせたときに嵌り込む二股部を先端に備えたシフトロックプレートを揺動可能に枢着しておき、ソレノイドがオフ状態でシフトレバーをPポジションからセレクト方向に移動させようとしたときには、スライダがソレノイドから離脱してシフトロックプレートとともにセレクト方向にスライドすることによりシフトレバーを前記二股部から離脱不能とし、ソレノイドがオン状態でシフトレバーをPポジションからセレクト方向に移動させようとしたときには、ソレノイドの吸着力によりスライダを固定してシフトロックプレートの回転及びシフトレバーの前記二股部からの離脱を許容することを特徴とするものである。
【0007】
なおスプリングをトーションスプリングとして、その先端をシフトロックプレートに設けた山型カムに係合させてシフトロックプレートの位置を規制した構造とすることができる。また、スプリングをコンプレッションスプリングとし、シフトロックプレートを別のスプリングにより弾発した構造とすることもできる。さらに、シフトレバーがPポジションにあることを検出するPポジション検出用スイッチを、ケースの内部に収納することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1はA/Tシフトレバー装置の全体図であり、1は装置本体、2はシフトレバー、3はシフトレバー2のシフト中心軸である。装置本体1の上面には図2に示すようなゲート溝4が形成されている。図3はシフトレバー2をPポジションにシフトさせた状態の内部構造を示す図であり、シフトレバー2の下部はU字状となっており、シフト中心軸3よりもやや下方にセレクト中心軸5が配置されている。このため、シフトレバー2はシフト中心軸3を中心とするシフト操作と、セレクト中心軸5を中心とするセレクト操作とができる。
【0009】
図1に破線で示すように、シフトレバー2をPポジションにシフトさせたときにシフトレバー2の下部と係合する位置に、本発明のシフトロック装置が設けられている。10は本発明のシフトロック装置のケースであり、その内部には図3〜図7に示すように、スライダ11、ソレノイド12、シフトロックプレート13、トーションスプリング14などが設けられている。
【0010】
先ずスライダ11は、ケース10の内部にシフトレバー2のセレクト方向にスライドできるように設置されたものである。その方向は図3では紙面に垂直方向、図4では左右方向、図5以下では上下方向である。なおそのスライド距離はごくわずかなものである。スライダ11にはシフトロックプレート13が軸15によって枢着されている。シフトロックプレート13は図5以下に示すように先端が二股部16になっており、シフトレバー2をPポジションにシフトさせたときに、シフトレバー2の下部がこの二股部16に嵌まり込むようになっている。またこのスライダ11には、ヨーク17が固定されている。
【0011】
図3に示すように、ケース10の内部にはソレノイド12が固定されており、図4に示すようにスライダ11のヨーク17を常に密着している。後述するように、ヨーク17がソレノイド12から離れるのは特殊な場合のみであり、常時はソレノイド12に密着されたままであるから、ソレノイド12を小型軽量とすることができる。なお図5以下の図ではソレノイド12は略されている。
【0012】
またケース10の内部には、図5以下に示すようにトーションスプリング14が設けられている。このトーションスプリング14は、基部がケース10の内面に接しており、先端18はくの字に湾曲されている。図4に示されるように、前記のシフトロックプレート13の一方の端部には上下の平板間にスリットが形成されており、スリットの内面は山型カム19となっている。そしてトーションスプリング14の先端18はこの山型カム19の何れかの面20,21に常に接触している。
【0013】
なおこのほか、ケース10の内部にPポジション検出用スイッチ22が収納されている。このPポジション検出用スイッチ22は従来品ではケース10の外部に設置されるのが普通であるが、本発明ではソレノイド12を小型化できたのでケース10の内部に収納することができ、防水構造としなくてもよい等の効果がある。
【0014】
以下に図5,6,7を参照しつつ、このシフトロック装置の作動について説明する。先ず図5はシフトレバー2がPポジションにある状態を示している。この状態ではトーションスプリング14の先端18はシフトロックプレート13の山型カム19の面20と接触し、シフトロックプレート13を反時計方向に弾発してその位置を安定させている。またこのトーションスプリング14の力によりシフトロックプレート13が取り付けられているスライダ11全体も図面上の上方(すなわちソレノイド12の方向)に押されているため、スライダ11のヨーク17はソレノイド12に押し付けられたままとなる。このため、ブレーキペダルの操作によりソレノイド12がオンオフされても、ソレノイド12がヨーク17を吸着する作動音は発生しない。
【0015】
図6はブレーキペダルを踏まないまま、シフトレバー2をPポジションからセレクト方向に移動させようとした状態を示している。このときにはシフトレバー2からシフトロックプレート13に図面上で下向きの力が加えられる。この力はシフトロックプレート13を時計方向に回転させる力と、シフトロックプレート13をスライダ11とともに下向きに移動させる力とを発生させる。
【0016】
前記したように、この状態においてはシフトロックプレート13にはトーションスプリング14から反時計方向の力が加えられている。このため、ブレーキペダルを踏まない状態では、シフトロックプレート13を時計方向に回転させる力はトーションスプリング14からの反時計方向の力により打ち消され、シフトロックプレート13をスライダ11とともに下向きに移動させる力が勝る。この結果、図6のようにシフトロックプレート13はほとんど回転することなく下向きにスライドするので、シフトレバー2をシフトロックプレート13の先端の二股部から離脱不能とし、シフトレバー2をPポジションからセレクト方向に移動させることができなくなる。すなわち、ブレーキペダルを踏まない状態では、シフトロックされることとなる。
【0017】
しかしキイをACCに回した状態でブレーキペダルを踏めば、ソレノイド12はオンとなりスライダ11のヨーク17はソレノイド12に強く吸着される。このため図7のようにシフトレバー2をPポジションからセレクト方向に移動させようとしたとき、シフトロックプレート13をスライダ11とともに下向きに移動させる力は吸着力によって打ち消され、スライドすることができない。
【0018】
そこでシフトロックプレート13はトーションスプリング14から加えられている反時計方向の力に打ち勝って図7のように時計方向に回転し、シフトレバー2をシフトロックプレート13の先端の二股部から離脱させて、シフトレバー2をPポジションからセレクト方向に移動させることができる。すなわち、キイをACCに回した状態でブレーキペダルを踏むことにより、シフトレバー2をPポジションから他のポジションに移動させることが可能となる。またこれとともにトーションスプリング14の先端18はシフトロックプレート13の山型カム19の他の面21と接触し、シフトロックプレート13を図7の位置に規制する。このため、シフトレバー2をPポジションに戻す操作も支障なく行うことができる。
【0019】
なお、ケース10の内部に収納されているPポジション検出用スイッチ22は、図5、図6の状態ではオフのままであるが、図7の状態ではシフトロックプレート13の背面の突起23によって押され、オンとなる。これによってシフトレバー2がPポジションから出たことが電気信号として取り出される。
【0020】
以上に説明した実施形態では、トーションスプリング14の先端をシフトロックプレート13に設けた山型カム19に係合させることにより、スライダ11をソレノイド12の方向に弾発すると同時に、シフトレバー2がPポジションにあるときのシフトロックプレート13の位置を安定させている。すなわち単一のトーションスプリング14に2つの役割をもたせている。しかし図8に示す他の実施形態のように、各役割を2つのスプリング31,32により分担させることもできる。
【0021】
図8に示す実施形態では、第1のスプリング24がスライダ11とケース10との間に設けられて、スライダ11をソレノイド12の方向に弾発している。また第2のスプリング25がスライダ11とシフトロックプレート13との間に設けられており、シフトロックプレート13を図面上の時計方向に弾発している。この構造では、シフトロックプレート13は二股部16の内面がシフトレバー2に当たる位置で位置決めされる。
【0022】
図8に示す実施形態の構造においても、ソレノイド12がオフの状態ではスライダ11が第1のスプリング24に抗して図面の下方にスライドしてしまうため、シフトレバー2をPポジションからセレクト操作することができないが、ソレノイド12がオンの状態ではスライダ11はスライドしないので、シフトロックプレート13を回転させながらシフトレバー2をPポジションからセレクト操作できることは、前記の実施形態と同様である。
【0023】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のシフトロック装置においては、ヨークはソレノイドに常に吸着された状態にあるので、小型軽量のソレノイドにより確実なシフトロック動作を行わせることができる。しかもソレノイドの作動音も発生しない。さらにソレノイドの小型化により、Pポジション検出用スイッチをケース内部に収納することが可能となり、防水型とする必要がない。このため大幅なコストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A/Tシフトレバー装置の全体図である。
【図2】ゲート溝を示す平面図である。
【図3】シフトレバーをPポジションにシフトさせた状態の内部構造図である。
【図4】シフトロック装置の側面図である。
【図5】シフトレバーがPポジションにある状態を示す拡大平面図である。
【図6】ブレーキペダルを踏まないまま、シフトレバーをPポジションからセレクト方向に移動させようとした状態を示す拡大平面図である。
【図7】ブレーキペダルを踏みながら、シフトレバーをPポジションからセレクト方向に移動させようとした状態を示す拡大平面図である。
【図8】他の実施形態を示す要部の拡大平面図である。
【符号の説明】
1 装置本体
2 シフトレバー
3 シフト中心軸
4 ゲート溝
5 セレクト中心軸
10 ケース
11 スライダ
12 ソレノイド
13 シフトロックプレート
14 トーションスプリング
15 軸
16 二股部
17 ヨーク
18 トーションスプリングの先端
19 山型カム
20 山型カムの面
21 山型カムの面
22 Pポジション検出用スイッチ
23 シフトロックプレートの背面の突起
24 第1のスプリング
25 第2のスプリング
Claims (3)
- A/Tシフトレバー装置の本体内部に組み込まれるシフトロック装置であって、ケースの内部にセレクト方向にスライドできるスライダと、ブレーキペダルが踏まれたときにオンとなるセレクト方向に配置されたソレノイドとを設け、このスライダに固定されたヨークをスプリングによりソレノイドの端面に密着させることによってスライダを常にPポジション側に弾発しておき、またこのスライダの端部には、シフトレバーをPポジションにシフトさせたときに嵌り込む二股部を先端に備えたシフトロックプレートを揺動可能に枢着しておき、ソレノイドがオフ状態でシフトレバーをPポジションからセレクト方向に移動させようとしたときには、スライダがソレノイドから離脱してシフトロックプレートとともにセレクト方向にスライドすることによりシフトレバーを前記二股部から離脱不能とし、ソレノイドがオン状態でシフトレバーをPポジションからセレクト方向に移動させようとしたときには、ソレノイドの吸着力によりスライダを固定してシフトロックプレートの回転及びシフトレバーの前記二股部からの離脱を許容することを特徴とするシフトロック装置。
- スプリングをトーションスプリングとし、その先端をシフトロックプレートに設けた山型カムに係合させてシフトロックプレートの位置を規制した請求項1記載のシフトロック装置。
- シフトレバーがPポジションにあることを検出するPポジション検出用スイッチを、ケースの内部に収納した請求項1記載のシフトロック装置。
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