JP3764029B2 - 成形品、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形または圧縮成形により溶融樹脂組成物を成形してなる成形品、及びその製造方法に関する。より具体的には、異なる方向から流れてきた溶融樹脂組成物同士の合流領域に形成されるウェルドラインを、複数のウェルドラインに分割形成することで、強度低下が抑制されてなる成形品、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流動状態にある熱可塑性樹脂(溶融樹脂)を固化成形する、あるいは流動状態にある熱硬化性樹脂(溶融樹脂)を硬化成形して成形品を得る方法として、例えば、さまざまな射出成形法や、圧縮成形法が一般に採用されている。
【0003】
これら射出形成法や圧縮成形法は、金型のキャビティー(空間部)形状に応じた成形品を上記溶融樹脂から再現性良く製造することができる反面、異なる方向から流れてきた溶融樹脂同士が合流する合流領域において、ほとんどの場合ウェルドラインが出るという問題点を有する。特に、射出成形法において2点ゲート以上で溶融樹脂が射出された場合、必然的に溶融樹脂同士の合流領域を有するので、そこにウェルドラインが発生する。また、1点ゲートで溶融樹脂が射出される場合でも、開口部を有する成形品を製造する場合には、やはりウェルドラインが発生する。以下、開口部を有する直方体状の成形品を射出成形法にて成形する場合を一例にあげ、ウェルドラインの発生につき具体的に説明を行う。
【0004】
図23に示す成形品101は直方体形状の成形品であり、その中心部には上面側から下面側に貫通した円筒状の開口部101aが形成されている。溶融樹脂は、矢印103・103で示す、対向する2方向から同一の流動速度でもって金型のキャビティー(図示せず)内に導入される。溶融樹脂の流れはそれぞれ、開口部101aに対応してキャビティー内に挿入されたインサート(図示せず)により2つに分断され(矢印にて図示)、対向する2方向からの流れがキャビティーの長手方向の中心部付近で合流し、合流領域に2つのウェルドライン102・102が発生する。
【0005】
図24に示す形成品201は、上記成形品101と同一形状の成形品であり、溶融樹脂が、矢印203で示す1方向から金型のキャビティー(図示せず)内に導入されることで成形される。溶融樹脂の流れは、開口部101aに対応してキャビティー内に挿入されたインサートにより2つに分断されたのち(矢印にて図示)、該インサートの後段側(溶融樹脂の流れ方向の後段側)で合流し、合流領域全体に連続した1つのウェルドライン202が発生する。
【0006】
成形品に残存したウェルドラインは、その大きさや深さに違いこそあれ形成品の強度を低下させるものであり、加えて、成形品の外観を損ねるものでもあるため、該ウェルドラインの発生をなくする、あるいは目立たなくする成形方法や、成形用金型については、既にいくつか提案されている。
【0007】
例えば、特開昭53−21256号公報には、異なる2方向から流れてきた溶融樹脂が金型のキャビティー内にて合流(接合)する場合、合流領域(接合部)の溶融樹脂の流れと垂直な方向全体に沿って、キャビティー空間の厚肉部分と薄肉部分とを隣接配置した金型が開示されている。そして、この隣接配置により溶融樹脂の流れに道筋を与えることができ、発生するウェルドラインを短くすることができる旨、記載されている。
【0008】
また、特開平8−258100号公報では、金型のキャビティー内に複数の制御ピンの先端を出し入れすることで、溶融樹脂のキャビティー内における流動方向、流動速度、圧力分布を適宜制御しながら射出成形を行い、ウェルドラインの発生を抑制する方法、並びに、該方法の実施のための金型装置が開示されている。
【0009】
さらに、特開平8−224762号公報には、異なる方向から流れてきた溶融樹脂相互の合流部を含む領域(合流部領域)を有し、該合流部領域が、溶融樹脂の主流動方向に対して垂直な方向の一端側から他端側に向けて肉厚が次第に薄くなっていく形状に構成された成形品、並びに該成形品を与える金型が開示されている。そして、この傾斜により溶融樹脂の流れを制御して、ウェルドラインの発生をなくする、または目立たなくすることができる旨、記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭53−21256号公報に記載されている技術では、ウェルドラインの長さを短くできるものの、キャビティー空間の厚肉部分における合流部ではウェルドラインが明確に残存してしまう。また、キャビティー空間の薄肉部分における合流領域でも、上記厚肉部分におけるウェルドラインに連続して樹脂同士の結合の弱い領域(ウェルド領域と称する)が残存するので、溶融樹脂同士の合流部全体における強度の低下を防止することはできない。
【0011】
また、特開平8−258100号公報、並びに、特開平8−224762号公報に記載されている技術ではいずれも、ウェルドラインの発生がなくなる、または抑制される旨の記載がなされているが、微視的には溶融樹脂同士の合流領域全体にわたり直線状に結合の弱い領域(ウェルド領域)が残存し、合流領域全体における強度の低下を防止することはできない。加えて、ウェルドラインの発生をなくす、または抑制する条件を選定するための試験を、使用される樹脂や所望する形成品の種類毎に繰り返し行う必要があるなど、金銭的・時間的コスト面での問題も有する。
【0012】
以上のように、ウェルドラインを消すために、該ウェルドラインが入ると想定される部分の板厚を全体的に厚肉または薄肉にして成形品を製造しても、ウェルドラインの発生を抑制することは困難である。また、仮に抑制できたとしても溶融樹脂の合流領域に沿って結合の弱い領域が残存する。特に、ウェルドライン発生防止の目的で成形品を全体的に薄肉にすれば、成形品自体の強度が低下するので、合流領域における強度低下はより顕著となる。
【0013】
本願発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶融樹脂組成物同士の合流領域に形成されるべきウェルドラインが複数のウェルドラインに分割形成されることで、強度低下が防止されてなる成形品、及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる成形品は、上記の課題を解決するために、溶融樹脂組成物を射出成形または圧縮成形することにより成形され、成形の際に、異なる方向から流れてきた該溶融樹脂組成物同士の合流領域が発生する成形品であって、上記合流領域に対応して形成されるウェルドラインを分割するように、連続した帯形状の薄肉部が設けられており、かつ、これら分割されてなるウェルドライン同士は互いに非隣接状態にあることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、薄肉部により分割されてなるウェルドライン同士が同一平面上に連続していないので、成形品の強度低下が防止される。よって、例えば、成形品の肉厚を厚くすることなく、また、補強部材を組み込む事なく、強度低下が防止されてなる成形品を提供することができる。
【0016】
本発明にかかる成形品はまた、上記構成において、連続した帯形状の上記薄肉部が、該薄肉部を挟んで配された2つの厚肉部の一方に凸状で他方に凹状の凸状湾曲領域を少なくとも一つ有してなることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、特に曲げ強度の低下が防止されてなる成形品を提供することができる。
【0018】
本発明にかかる成形品はさらに、上記構成において、上記凸状湾曲領域に囲まれた厚肉部の領域に、開口部が設けられていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、開口部周辺に入るウェルドラインの位置がずらされて、強度低下が防止されてなる成形品を提供することができる。
【0020】
本発明にかかる成形品は、上記の課題を解決するために、溶融樹脂組成物を成形してなる成形品であって、連続した帯形状の薄肉部と、該薄肉部を挟んで配された2つの厚肉部とを備えてなる肉厚変化領域を有するとともに、上記薄肉部が、上記2つの厚肉部の一方に凸状で他方に凹状の凸状湾曲領域を少なくとも一つ有してなり、上記凸状湾曲領域に囲まれた厚肉部の領域内であって該凸状湾曲領域の頂点部近傍の領域に、凸状湾曲領域の2点を結ぶように形成された一つのウェルドラインと、上記ウェルドラインが形成された厚肉部とは異なる側の厚肉部の領域内であって、上記凸状湾曲領域をなす2つの脚領域それぞれの、頂点部から遠位側に位置する端部近傍の領域ごとに形成されたウェルドラインとをさらに備えてなることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、特に曲げ強度の低下が防止されてなる成形品を提供することができる。
【0022】
本発明にかかる成形品の製造方法は、上記の課題を解決するために、金型を用いて溶融樹脂組成物を射出成形または圧縮成形して成形品を製造する方法であって、上記金型として、異なる2方向から流れてきた溶融樹脂組成物同士が合流する合流領域と交差するとともに、キャビティー空間を狭めるようにキャビティー内に突出した帯形状の流動制御部を備えてなるものを使用し、上記キャビティー内に注入された溶融樹脂組成物同士の合流を、上記流動制御部で制御して、上記合流領域に発生するウェルドラインを分割することを特徴としている。
【0023】
上記の方法によれば、分割されてなるウェルドライン同士が非隣接状態に配され、強度低下が防止されてなる成形品を製造することができる。
【0024】
本発明にかかる成形品の製造方法はまた、上記方法において、上記帯形状の流動制御部が、一方の溶融樹脂組成物の流れ方向に沿って凸状で、かつ他方の溶融樹脂組成物の流れ方向に沿って凹状の凸状湾曲部を少なくとも一つ有してなることを特徴としている。
【0025】
上記の方法によれば、特に、曲げ強度の低下が防止されてなる成形品を製造することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる成形品は、金型を用いて溶融樹脂組成物(以下に説明する)を射出成形または圧縮成形により成形してなる成形品であって、成形品製造用の金型のキャビティー形状から発生が予想されるウェルドラインを、複数のウェルドラインに分割形成することで、強度低下が防止されてなるものである。
【0027】
本発明において、溶融樹脂組成物とは、溶融状態にあり流動性を有する樹脂単独、または、該樹脂に各種添加材を添加してなる原料組成物を総称するものである。使用可能な樹脂としては、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブチレン・スタジエン樹脂)、PP樹脂(ポリプロピレン)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、などの熱可塑性樹脂;ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリフェノール樹脂、エポキシ樹脂、などの熱硬化成樹脂;が挙げられる。
【0028】
また、必要に応じて溶融状態の樹脂に添加される添加材とは、ガラス繊維(ガラス長繊維など)、カーボン繊維、金属繊維、などの強化繊維;炭酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、雲母、タルク、マイカ、などの充填剤;顔料、染料などの着色剤;可塑剤(熱可塑性樹脂を使用する場合);離型剤;帯電防止剤;などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0029】
上記添加材のうち、溶融樹脂組成物内で非溶融状態(その形状を失うことなく溶融樹脂内に分散されている状態)にある繊維形状またはフレーク形状のもの(非溶融添加材と称する)は、異なる方向から流れてきた溶融樹脂組成物同士が合流する際に、その合流面(界面)に沿って配列する傾向を有し、成形品の強度低下の一因となる。それゆえ、本願発明にかかる製造方法によりウェルドラインを分割形成する意義が大きい。
【0030】
一般的には、上記例示の添加材のうち、強化繊維および充填剤が上記非溶融添加材に相当する。特に強化繊維は明確な軸を有し、互いに絡み合うことなく溶融樹脂組成物の合流面に沿って配列する傾向が極めて強いため、本発明にかかる製造方法を採用して、得られる成形品の強度低下を防止する意義が特に大きい。
【0031】
本発明において、「薄肉部により分割されてなるウェルドライン同士が互いに非隣接状態にある」とは、1)分割されてなるウェルドライン同士がほぼ同一平面上に並ばないこと、または、2)分割されてなるウェルドライン同士がほぼ同一平面上に並ぶ場合には、これらウェルドラインの間に厚肉部が介在していること、を意味するものとする。したがって、分割されてなるウェルドライン同士が薄肉部のみを介してほぼ同一平面上に並んでいる状態は、本発明における非隣接状態には該当しない。なお、ウェルドラインとは、異なる方向から流れてきた溶融樹脂組成物の合流界面に形成されるものであるから実際は面状であり、上記「同一平面上に並ぶ・並ばない」とは、面状のウェルドライン同士が同一平面に並んで存在するか否かで判断するものとする。
【0032】
また、本発明において射出成形および圧縮成形とは、金型を用い、該金型のキャビティー内で、異なる方向から流れてきた溶融樹脂組成物同士の合流が発生する成形法一般を指す。すなわち射出成形とは、1)金型を完全に閉じた状態で、そのキャビティー内に溶融樹脂組成物を注入する各種一般射出成形のみならず、2)キャビティー内に溶融樹脂組成物を注入した状態で型締めを行う、射出−圧縮成形や射出スタンピング成形なども含むものとする。また圧縮成形とは、金型内に注入した溶融樹脂組成物を型締めする一般圧縮成形を指すものとし、金型を使用しない積層板圧縮成形などは除くものとする。
【0033】
これら、金型を用いた射出成形法または圧縮成形法では、溶融樹脂組成物の射出時の圧力や、型締め時の圧力により、金型のキャビティー内で溶融樹脂組成物の流れが発生し、その合流領域においてウェルドラインが形成される。なお、「溶融樹脂組成物の流れ」とは、該溶融樹脂組成物の主流動を指し、溶融樹脂組成物の流れ方向または流動方向とは、該溶融樹脂組成物の主流動方向を指すものとする。
【0034】
本発明にかかる成形品を製造する際には、使用される樹脂の種類や成形品の形状などに応じて射出成形または圧縮成形のいずれかの方法を選択すればよい。ただし、一般的には、圧縮成形と比較して、射出成形の方が合流領域の発生位置(ウェルドラインの発生位置)の予想を容易かつ極めて正確に行うことができるので、本発明にかかる製造方法を採用する効果はより大きい。
【0035】
以下、本発明にかかる成形品の製造に使用される金型装置、該金型装置を用いた成形品の製造方法、並びに得られる成形品につき、特に一般射出成形の場合を例に挙げて説明を行う。該金型装置は、例えば、可動側取付板、固定側取付板、並びに両取付板の間に配された金型を備えてなる、射出成形用の装置である。
【0036】
図1は、金型20(図2・3参照)の樹脂注入空間であるキャビティー23の平面図であり、内周側および外周側の角部全てが円弧状に切り落とされた四角形枠状の横断面形状を有する空間部である。キャビティー23の横断面は、上記四角形枠状の断面の一辺に平行で、かつ断面の中心を通るA−A’線、並びに、該一辺に隣り合う辺に平行で、かつ断面の中心を通るB−B’線のそれぞれに対して線対称である。なお、図1において、断面の中心(断面中心)とは、四角形枠状の横断面を有する上記キャビティー23の対角線同士の交点と同義である。
【0037】
上記A−A’線とB−B’線とが交差する上記断面中心には、スプール13が設けられており、図示しない射出ノズルを介して、原料としての溶融樹脂組成物が注入される。また、スプール13とキャビティー23とを空間的に接続するランナー14・14が上記A−A’線に沿って設けられており、それぞれのキャビティー23側の端部内径が絞られてゲート15・15が形成されている。すなわち、図示しない射出ノズルから射出された溶融樹脂組成物は、スプール13、ランナー14・14、ゲート15・15をこの順に介して(すなわち2点ゲートで)金型のキャビティー23内に注入される。
【0038】
図2は、図1に示すキャビティー23を有する金型装置をA−A’線で切断した断面図であり、図3は該金型装置をB−B’線で切断した断面図である。この金型装置は、固定側取付板11、可動側取付板12、並びにこれら取付板の間に配された金型20を備えてなり、固定側取付板11、可動側取付板12、金型20は互いに略平行に配されている。
【0039】
固定側取付板11は、図示しない射出ノズルを位置決めし固定するロケートリング16と、スプール13を形成するスプールブシュ17とを備えてなり、射出成形時には、上記射出ノズルに対し相対移動不能に固定される。一方、可動側取付板12には図示しないシリンダが取り付けられており、固定側取付板11に対し垂直方向(図中、矢印C方向)に可動に配されている。
【0040】
金型20は固定側ブロック21と可動側ブロック22とを一対として備えてなる。固定側ブロック21は固定側取付板11の内面側に固定されており、一方、可動側ブロック22は、スペーサーブロック18・18を介し、可動側取付板12の内面側に対して所定の間隔をおいて固定されている。すなわち、可動側ブロック22は可動側取付板12と一体となって、矢印C方向に動作可能である。そして、溶融樹脂組成物の射出成形時(図2、3に示す状態)には、固定側ブロック21と可動側ブロック22との対向面同士が密接するように可動側ブロック22を移動させ、両対向面間に上記説明の空間領域、すなわちランナー14・14、及びキャビティー23が形成される。
【0041】
さらに、可動側取付板12と可動側ブロック22との間の空隙には、可動側ブロック22を貫通する複数のエジェクターピン19…を固定したエジェクタープレート25が平行に配されている。エジェクタープレート25の板厚は、可動側取付板12と可動側ブロック22との間隔よりも小さく、その下面に取り付けられたエジェクターロッド26の操作により、エジェクターピン19…と一体となって矢印C方向に可動とされている。そして、射出成形後にはエジェクターピン19・19をキャビティー23内に挿入して成形品を押し出す。
【0042】
なお、固定側取付板11、ロケートリング16、スプールブシュ17、並びに固定側ブロック21はそれぞれ、2つに分割して図示されているが、いずれも空間部であるスプール13を取り囲むように形成された一体物である。また、可動側取付板12も同様に、エジェクターロッド26を取り囲むように形成された一体物である。
【0043】
次に、射出成形時における、キャビティー23内での溶融樹脂組成物の流れについて説明を行う。ゲート15・15を介してキャビティー23内に注入された溶融樹脂組成物は、図1中、矢印にて示すように、上記A−A’線を軸として左右対象に流動する。これは、上記説明のように、キャビティー23が2つのゲート15・15を結ぶ線(A−A’線)を軸として対称に形成されているからである。
【0044】
そして、理論上では、それぞれのゲート15からキャビティー23内を、時計周り方向または反時計周り方向に90°流動した地点で、異なるゲート15から注入された溶融樹脂組成物同士が合流する合流領域27・27が発生する。すなわち、ほぼ対向する2方向(キャビティーの長さ方向に沿って対向する2方向、以下に示す矢印(A)・(B)方向に相当)から流動してきた溶融樹脂組成物同士は、ゲート15・15のそれぞれから等距離にある2つの地点近傍(B−B’線とキャビティー23とが交差する領域近傍)で合流し、キャビティー23の幅方向に連続したウェルドラインが、それぞれの合流領域27に対応して1本づつ発生することが予想される。
【0045】
なお、上記のように、着目する流動制御部(以下に説明する)により溶融樹脂組成物の流動を制御する以前の段階で、理論上または実験上、溶融樹脂組成物同士の合流領域に発生が予想されるウェルドラインのことを、以下、場合によっては「仮想のウェルドライン」と称する。
【0046】
金型20の固定側ブロック21(図2参照)は、図1に示すように、合流領域に対応して入れ子型24・24を挿脱可能に設計されている。そして、入れ子型24・24に設けられ、キャビティー23側(ここではキャビティーの上面側から下面側に)に突出した所定形状の流動制御部により、上記合流領域27・27近傍における溶融樹脂組成物同士の合流を制御して、発生が予想される上記ウェルドラインを複数のウェルドラインに分割して成形品の製造を行う。以下、金型20内に挿入される入れ子型24と、入れ子型24を使用して得られる成形品のバリエーションについて、図面に基づいて具体的に説明を行う。
【0047】
〔実施の形態1〕
図4(a)・(b)に示すのは、流動制御部30を備えてなる入れ子型24を固定側ブロック21に挿入した場合における、キャビティー23の空間形状である。なお、図4(a)に示すB−B”線は、図1に示すB−B”線に相当する。また、図4(b)は、図4(a)に示すキャビティー23を有する金型20をB−B”線で切断した断面図である。
【0048】
流動制御部30は、矢印(A)で示す溶融樹脂組成物の流動方向を基準として仮想のウェルドライン28の上流側に位置し、キャビティー23の側面の一つである面23aから対向する面23b(側面の他方)側に向かって、キャビティー幅(面23a・23b間の距離)の約1/3程度、B−B”線に(キャビティーの幅方向に)平行に延びた平行部30a;仮想のウェルドライン28の下流側に位置し、面23bから面23a側に向かって、キャビティー幅の約1/3程度、B−B”線に平行に延びた平行部30c;平行部30a・30cそれぞれの、キャビティー側面に非隣接な端部同士をつなぐように斜行する斜行部30b;により構成される、一定幅・一定高の帯状突起部である。また、図4(b)に示すように、流動制御部30は、その伸長方向に垂直な平面による断面がいずれも直方体形状となっている。
【0049】
上記流動制御部30は、斜行部30bの略中心において仮想のウェルドライン28(すなわち、対向する2方向から流れてくる溶融樹脂組成物同士の合流領域27)と斜めに交差し、該仮想のウェルドライン28の伸長方向全体にわたり(ここでは、キャビティーの側面である面23a側から面23b側にかけて、キャビティーの幅方向全体にわたり)連続しており、さらに図4(b)に示すようにキャビティー空間を狭めるように、キャビティー23内に突出している。なお、該図からも明らかなように、入れ子型24は、その流動制御部30でのみキャビティー23側に突出する。換言すれば、入れ子型24は、流動制御部30以外では、固定側ブロック21の入れ子型挿入位置の前後のキャビティー23と連続するように(キャビティー空間を狭めず、かつ、広げないように)形成されている。
【0050】
以上のように、上記流動制御部30はキャビティー23の幅方向にわたり連続的に形成されており、該キャビティー23を、キャビティー空間が狭められた帯状の狭空間部23dと、該狭空間部23dを挟んで対向する2つの空間部23c・23cとに分断しているので、上記溶融樹脂組成物の流動および合流を制御する制御部として良好に機能する。
【0051】
より具体的には、矢印(A)方向からの溶融樹脂組成物の流れは、その流動方向の最上流側に位置する平行部30aによりはじめに阻害される。この結果、平行部30aを越えて下流側へ向かう流れが著しく抑制されるとともに、斜行部30bに沿って下流側へ向かう流れが優勢となる。一方、矢印(B)方向からの溶融樹脂組成物の流れは、その流動方向の最上流側に位置する平行部30cによりはじめに阻害される。この結果、平行部30cを越えて下流側へ向かう流れが著しく抑制されるとともに、斜行部30bに沿って下流側へ向かう流れが優勢となる。
【0052】
そして、平行部30aの近傍であり、矢印(A)方向からみて下流側の領域では、優勢に流れてきた矢印(B)方向からの溶融樹脂組成物と、その流れが抑制された矢印(A)方向からの溶融樹脂組成物とが合流し、そこに、仮想のウェルドライン28が分割されてなるウェルドライン28bが発生する。また、平行部30cの近傍であり、矢印(A)方向からみて上流側の領域では同様に、矢印(A)・(B)両方向からの溶融樹脂組成物の流れが合流し、ウェルドライン28aが発生する。
【0053】
なお、斜行部30bを挟んで、矢印(A)・(B)方向から対向する溶融樹脂組成物の流れはそれぞれ、該斜行部30bによりその流れ方向を変えられながら合流し、可視的なウェルドラインを発生させない合流部(ウェルド部と称する)となる。すなわち、上記ウェルドライン28a・28bは可視的には分割されてはいるが上記ウェルド部により連続された一つの合流部であり、この点に関しては、以下の各実施の形態でも同様である。
【0054】
図4(c)は、図4(a)・(b)に示す入れ子型24に対応して成形された成形品40の肉厚変化領域の形状を示すものである。なお、以下の説明において、「肉厚変化領域の長さ方向」とは該領域の長手方向を、「肉厚変化領域の幅方向」とは、上記長さ方向に直交する成形品上の方向(該図では、仮想のウェルドライン28の伸長方向と同じ)を指すものとする。
【0055】
上記肉厚変化領域は、流動制御部30に対応する溝状空間が該肉厚変化領域の幅方向全体にわたって連続的に形成されることで、薄肉部40aと、該薄肉部40aを挟んで対向する2つの厚肉部40b・40cとを備えた形状に構成されてなる。上記薄肉部40aは、キャビティー23の狭空間部23dに対応して形成された所定の幅および厚さを有する連続した帯状体であり、仮想のウェルドライン28と交差して、これをより短いウェルドライン28a・28bに分割し、対向する厚肉部40c・40bにそれぞれを分配するように設けられている。
【0056】
厚肉部40b・40cはそれぞれ、対向する厚肉部側に台形状(横断面形状)に突出した凸状領域40b’・40c’を有し、薄肉部40aを挟んでこれら凸状領域40b’・40c’が互いに噛み合うように配されている。また、分割されたウェルドライン28aは、上記凸状領域40c’の先端部近傍に、幅方向に平行に形成されており、ウェルドライン28bも同様、上記凸状領域40b’の先端部近傍に、幅方向に平行に形成されている。
【0057】
すなわち、図4(c)に示す状態では、仮想のウェルドライン28が分割されてなる2つのウェルドライン28a・28bは、同一の伸長方向(ウェルドラインを面としてとらえた場合の伸長方向)を有するものの同一平面上に存在するものではなく、本願発明でいう「互いに非隣接状態に配された状態」となっている。これにより、仮想のウェルドライン28が形成される場合と比較して、成形品40の強度低下が防止される。よって、成形品40の強度を確保するために、肉厚をさらに厚くする必要性や、補強部材を組み込む必要性がなくなる。
【0058】
また、可視的なウェルドラインが全く発生せず、かつ結合の弱いウェルド部が全く発生しない理想状態と比較すれば、上記肉厚変化領域では薄肉部の形状に応じた強度低下が生じるが、本願発明では薄肉部を狭幅の帯形状としているため、上記理想状態と比較しても85%〜95%と実用上充分な強度を有する成形品を製造することができる。なお、上記「薄肉部の形状に応じた強度低下」の度合いは、一般的には、薄肉部とこれを挟んでなる2つの厚肉部とで3方を囲まれた溝状空間(流動制御部30に対応する空間)の、成形品に占める体積に比例する。したがって、該溝状空間の体積が、成形品の体積の10%程度になるように設定することがより好ましい。
【0059】
〔実施の形態2〕
以下に説明する成形品の製造方法は、異なる2方向から合流する溶融樹脂組成物の一方の流れ方向に沿って凸状で、かつ他方の溶融樹脂組成物の流れ方向に沿って凹状の凸状湾曲部を一つ有してなる流動制御部を、金型のキャビティー内に設けて、溶融樹脂組成物の射出成形を行った例を示すものである。そして、この方法により製造された成形品は、特に曲げ強度の低下が抑制されてなる特徴を有する。
【0060】
図5(a)は、上記形状の流動制御部31を備えてなる入れ子型24(図1参照)を挿入した場合における、キャビティー23の空間形状を説明した図面である。なお、図5(a)に示すB−B”線は、図1に示すB−B”線に相当する。
【0061】
流動制御部31は、矢印(B)で示す溶融樹脂組成物の流動方向を基準として仮想のウェルドライン28の上流側に位置する面23a上の領域から対向する面23b側に向かって、キャビティー幅の約1/4程度、B−B”線(キャビティー23の幅方向)に平行に延び(平行部と称する)、続いて、矢印(B)方向に沿って、仮想のウェルドライン28を越えて伸長する(垂直部と称する)逆L字形状の脚部31a;脚部31aの平行部と対向する面23b上の領域から、面23a側に向かってキャビティー幅の約1/4程度、B−B”線に平行に延び(平行部と称する)、続いて、矢印(B)方向に沿って、該脚部31aと同じ長さ伸長する(垂直部と称する)L字状の脚部31c;脚部31a・31cそれぞれの、キャビティー側面に非隣接な端部同士をつなぐ頂点部31b;により構成される、一定幅・一定高の帯状突起部である。
【0062】
換言すれば、上記流動制御部31は、一方の溶融樹脂組成物の流れ方向(矢印(B)方向)に沿って凸状で、かつ他方の溶融樹脂組成物の流れ方向(矢印(A)に沿って凹状の凸状湾曲部(脚部31a・31cそれぞれの垂直部、および頂点部31bから形成されるコの字型域)を一つ有してなり、凸状湾曲部をなす脚部31a・31cの垂直部の中央近傍において、上記発生が予想されるウェルドライン28(すなわち、合流領域27)と交差するように配されている。加えて、キャビティーの幅方向にわたり連続しているので、上記溶融樹脂組成物の流動および合流を制御する制御部として良好に機能する。
【0063】
より具体的には、矢印(A)方向からの溶融樹脂組成物の流れは、その流動方向の最上流側に位置する頂点部31bによりはじめに阻害され、脚部31a・31cの垂直部に沿って下流側へ向かう流れが優勢となる。一方、ほぼ対向する矢印(B)方向からの溶融樹脂組成物の流れは、その流動方向の最上流側に位置する脚部31a・31cそれぞれの平行部によりはじめに阻害され、脚部31a・31cの垂直部に沿って下流側へ向かう流れが優勢となる。その結果、頂点部31bの近傍であり、矢印(A)方向からみて下流側の領域にウェルドライン28bが発生し、脚部31a・31cそれぞれの平行部の近傍であり、矢印(A)方向からみて上流側の領域に、ウェルドライン28a・28aが発生する。
【0064】
図5(b)は、図5(a)に示す入れ子型24に対応して成形された成形品41の肉厚変化領域の形状を示すものであり、その幅方向全体にわたり連続し、同一幅・同一厚で形成された帯形状の薄肉部41aと、該薄肉部41aを挟んで配された2つの厚肉部41b・41cとを備えてなる。
【0065】
上記薄肉部41aは、キャビティー23の狭空間部(図4(b)参照)に対応して形成され、その厚さを除き上記流動制御部31と同一の形状を有するものである。すなわち、薄肉部41aは、側面42a側から側面42b側へ向かって、該肉厚変化領域の幅W0 の1/4程度、幅方向に平行に延び(平行部と称する)、続いて、平行部と垂直に厚肉部41c側に向かって伸長する(垂直部と称する)逆L字形状の脚領域41a1 ;脚領域41a1 の平行部に対向する面42b上の領域から面42a側へ向かって、幅W0 の1/4程度、幅方向に平行に延び(平行部と称する)、続いて、平行部と垂直に、脚領域41a1 の垂直部と同じ長さだけ厚肉部41c側に向かって伸長する(垂直部と称する)L字形状の脚領域41a3 ;脚領域41a1 ・41a3 それぞれの、側面に非隣接な端部同士をつなぎ、幅方向に平行な頂点部41a2 ;により構成されている。すなわち、薄肉部41aは、上記2つの厚肉部の一方(厚肉部41c)に凸状で他方(厚肉部41b)に凹状の凸状湾曲領域(脚領域41a1 ・41a3 それぞれの垂直部、および頂点部41a2 からなるコの字型域)を一つ有してなる。
【0066】
一方、薄肉部41aを挟んで対向する2つの厚肉部41b・41cは、それぞれ薄肉部41aに応じた形状、すなわち、厚肉部41bは対向する厚肉部41cに対して凸形状であり、厚肉部41cは対向する厚肉部41bに対して凹形状となっており、この凸凹形状により互いに噛み合っている。また、厚肉部41bは、上記凸状湾曲領域であるコの字型域により3方を囲まれた領域41b’を有している。
【0067】
図5(b)に示す肉厚変化領域において仮想のウェルドライン28は、1)厚肉部41bの領域41b’内であって頂点部41a2 近傍の領域に、凸状湾曲領域をなす2つの脚領域41a1 ・41a3 を結ぶように(すなわち、凸状湾曲領域上の2点を結ぶように)形成された一つのウェルドライン28bと、2)他方の厚肉部41cの領域内であって、上記凸状湾曲領域をなす2つの脚領域41a1 ・41a3 それぞれの、頂点部41a2 から遠位側に位置する端部(垂直部それぞれの端部)近傍の領域ごとに、上記ウェルドライン28bと略平行に形成されたウェルドライン28a・28aと、に分割されている。
【0068】
そして、これらウェルドラインのうち、ウェルドライン28aとウェルドライン28bとは、肉厚変化領域の長さ方向に上下に配され同一平面上に並ばないことから、本発明でいう「互いに非隣接状態」にあり、また、ウェルドライン28a・28aは、互いにほぼ同一平面上に並ぶものの、両ウェルドライン28a・28aの間に厚肉部(領域41b’)が介在し、互いに充分な間隔で隔てられていることから、本発明でいう「互いに非隣接状態」にある。つまり、上記肉厚変化領域では、分割形成されたウェルドライン28a・28a・28bは、互いに非隣接状態に配されている。
【0069】
また、図6(a)〜(c)に示すのは、上記流動制御部31と類似した形状の流動制御部32を備えてなる入れ子型24を挿入した場合における、キャビティー23の空間形状を説明した図面である。以下、流動制御部31との相違点を中心に説明する。なお、図6(b)・(c)は順に、図6(a)に示すキャビティー23を有する金型20をC−C’線、B−B”線に沿ってそれぞれ切断した断面図である。
【0070】
流動制御部32は、流動制御部31とほぼ同じ幅、および高さに形成された帯状体である。流動制御部31と比較した相違点は、1)頂点部32bの長さが頂点部31bの長さと比較して短くなっている点、及び、2)すべての角部を曲面状に形成した点、にある。特に、頂点部32bの長さが短くなっているので、脚部32a・32cがそれぞれ、平行部と、矢印(B)方向に延び、対向する面側にやや斜行する斜行部と、から形成されることとなる。すなわち、上記流動制御部32は、流動制御部31とは異なり、頂が平らな山型の凸状湾曲部(脚部32a・32cそれぞれの斜行部、および頂点部32bからなる領域)を一つ有してなる。
【0071】
また、図6(b)にも示すように、キャビティー23は、上記山型の凸状湾曲部の「山の高さ方向」中心(仮想のウェルドライン28が入るB−B”線上の位置)において、上記流動制御部32により、キャビティー23の幅方向に3等分されるように形成されている。すなわち、B−B”線上の位置では、狭空間部23d・23dにより仕切られてなる3つの空間部23c・23c・23cの幅はそれぞれ等しくなっている(図6(c)参照)。
【0072】
なお、流動制御部32による溶融樹脂組成物の流動・合流制御の動作、および該流動・合流制御により仮想のウェルドライン28が分割されて3つのウェルドライン28a’・28a’・28b’が形成されることに関しては、上記図5(a)・(b)に示す場合とほぼ同一であり、詳細な説明は省略する。
【0073】
図7は、図6(a)〜(c)に示す入れ子型24に対応して成形された成形品43の肉厚変化領域の形状を示すものであり、その幅方向全体にわたり連続し、同一幅・同一厚で形成された帯形状の薄肉部43aと、該薄肉部43aを挟んで配された2つの厚肉部43b・43cとを備えてなる。
【0074】
上記薄肉部43aは、図5(b)に示す薄肉部41aと類似の形状であるが、脚領域43a1 ・43a3 それぞれが、幅方向に平行な平行部と斜行部とからなり、2つの厚肉部の一方(43c)に凸状で他方(43b)に凹状の凸状湾曲領域として、脚領域43a1 ・43a3 それぞれの斜行部、および頂点部43a2 からなる頂きが平らな山型域を一つ有してなる点で相違している。また、厚肉部43bは、上記凸状湾曲領域である頂きが平らな山型域により3方を囲まれた領域43b’を有している。
【0075】
図7に示す肉厚変化領域において仮想のウェルドライン28は、1)厚肉部43bの領域43b’内であって頂点部43a2 近傍の領域に、2つの脚領域43a1 ・43a3 の斜行部間を結ぶように形成された一つのウェルドライン28b’と、2)他方の厚肉部43cの領域内であって、上記凸状湾曲領域をなす2つの脚領域43a1 ・43a3 それぞれの、頂点部43a2 から遠位側に位置する端部(斜行部それぞれの端部)近傍の領域ごとに、上記ウェルドライン28b’と略平行に形成されたウェルドライン28a’・28a’と、に分割されている。なお、これら3つのウェルドラインが、「互いに非隣接状態」にあることは、図5(b)に示すウェルドライン28a・28a・28bのケースと同様であり、詳細な説明を省略する。
【0076】
なお、図5(b)および図7に示す肉厚変化領域において、上記凸状湾曲領域の高さA0 は特に限定されるものではないが、曲げ強度の低下防止を特に目的とする場合には、肉厚変化領域の幅W0 に対し、
0 ≧1/2W0
の関係を満たすことで実用上充分な強度を確保できてより好ましく、
0 ≧W0
の関係を満たすことがさらに好ましい。一方、曲げ強度のみならず、引っ張り強度の低下防止をも目的とする場合には、
0 ≧W0
の関係を満たすことで実用上充分な強度を確保できてより好ましく、
0 ≧2W0
の関係を満たしていることがさらに好ましい。
【0077】
またこれに対応し、成形品の曲げ強度の低下防止を特に目的とする場合には、流動制御部31・32において、凸状湾曲部の高さをキャビティー幅の1/2以上とすることがより好ましく、キャビティー幅以上とすることがさらに好ましい。一方、成形品の引っ張り強度の低下防止をも目的とする場合には、凸状湾曲部の高さをキャビティー幅以上とすることがより好ましく、キャビティー幅の2倍以上とすることがさらに好ましい。上記の関係は、特に上記例示の場合に限定されず、薄肉部が凸状湾曲領域を少なくとも一つ有し、該凸状湾曲領域に囲まれた厚肉部の領域内に開口部が形成されない成形品を製造するあらゆる場合に適用可能である。
【0078】
〔実施の形態3〕
以下に説明する成形品の製造方法は、上記実施の形態2の応用例であり、異なる2方向から合流する溶融樹脂組成物の一方の流れ方向に沿って凸状で、かつ他方の溶融樹脂組成物の流れ方向に沿って凹状の凸状湾曲部を一つ有してなる流動制御部を金型のキャビティー内に設けて、さらに、該凸状湾曲部に囲まれたキャビティー空間に、成形品に開口部を形成するためのインサートを挿入した状態で溶融樹脂組成物の射出成形を行った例を示すものである。これにより開口部近傍にはいるウェルドラインの位置をずらし、成形品の強度低下を防止することが可能となる。
【0079】
図8(a)は、流動制御部33を備えてなる入れ子型24(図1参照)、およびインサート40を挿入した場合における、キャビティー23の空間形状を説明した図面である。上記インサート40は、その直径がキャビティー幅の約1/2である円を底面とする円柱状であり、矢印(A)・(B)両方向からの溶融樹脂組成物の流れが合流する領域の中心に、上記底面の中心Oが位置するように挿入され、キャビティー23を、その高さ方向に完全にふさいでいる。
【0080】
つまり、矢印(A)方向、および矢印(B)方向からの溶融樹脂組成物の流れはいずれもインサート40により二分された後に、その側方に位置する合流領域57・57で合流する。したがって、流動制御部33が設けられていない状態での仮想のウェルドラインは、該インサート40の側方からキャビティー23の側面23a側および側面23b側に、B−B”線に沿って延びる2つのウェルドライン48・48となる。
【0081】
流動制御部33は、矢印(B)で示す溶融樹脂組成物の流動方向を基準として仮想のウェルドライン48・48の上流側に位置する面23a上の領域から対向する面23b側に向かって、キャビティー幅の約1/8程度、B−B”線に平行に延び(平行部と称する)、続いて、矢印(B)方向に沿って、仮想のウェルドライン48まで伸長し(垂直部と称する)、さらに、インサート40の中心Oを中心として、側面23b方向に約80°の角をなす円弧状に延びた(円弧部と称する)脚部33a;脚部33aの平行部と対向する面23b上の領域から、面23a側に向かってキャビティー幅の約1/8程度、B−B”線に平行に延び(平行部と称する)、続いて、矢印(B)方向に沿って、仮想のウェルドライン48まで伸長し(垂直部と称する)、さらに、インサート40の中心Oを中心として、側面23a方向に約80°の角をなす円弧状に延びた(円弧部と称する)脚部33c;脚部33a・33cそれぞれの円弧部の外周側に位置し、該円弧部の端部同士をつなぐようにキャビティーの幅方向に延びる頂点部33b;により構成される、ほぼ一定幅・一定高の帯状突起部である。なお、流動制御部33のうち、脚部33a・33cそれぞれの平行部、並びに頂点部33bでは、キャビティー23の高さ方向に沿ってその幅が徐々に変化するよう斜面状に形成されているが(図8(b)の対応箇所参照)、キャビティー23の高さ方向に沿って幅が一定となるように形成してもよい。
【0082】
以上のように、上記流動制御部33は、一方の溶融樹脂組成物の流れ方向(矢印(B)方向)に沿って凸状で、かつ他方の溶融樹脂組成物の流れ方向(矢印(A)に沿って凹状の凸状湾曲部(脚部33a・33cそれぞれの垂直部、円弧部、並びに、頂点部33bから形成される、湯呑の垂直断面形状様の領域)を一つ有してなり、凸状湾曲部をなす脚部33a・33cにおいて、合流領域57・57と交差するように配されている。加えて、キャビティー幅方向にわたり連続しているので、上記溶融樹脂組成物の流動および合流を制御する制御部として良好に機能する。
【0083】
なお、キャビティー23は、上記湯呑様の凸状湾曲部の「湯呑の高さ」方向中心(仮想のウェルドライン48・48が入るB−B”線上の位置)において、上記流動制御部33により、キャビティー23の幅方向に4等分されるように形成されている。すなわち、B−B”線上において、側面23aから脚部33aまでの距離、脚部33aからインサート40までの距離、インサート40から脚部33cまでの距離、脚部33cから側面23bまでの距離、はそれぞれ等しくなっている。
【0084】
以下、流動制御部33による、溶融樹脂組成物の流動・合流制御動作について簡単に説明を行う。矢印(A)方向からの溶融樹脂組成物の流れは、その流動方向の最上流側に位置する頂点部33bにより阻害され、一方、矢印(B)方向からの溶融樹脂組成物の流れは、その流動方向の最上流側に位置する脚部33a・33cそれぞれの平行部により阻害される。そして、頂点部33bの近傍であり、矢印(A)方向からみて下流側の領域で、矢印(A)・(B)両方向から流れてきた溶融樹脂組成物同士が合流してウェルドライン48bが発生する。また、脚部33a・33cそれぞれの平行部の近傍であり、矢印(A)方向からみて上流側の領域で、矢印(A)・(B)両方向から流れてきた溶融樹脂組成物同士が合流してウェルドライン48a・48aが発生する。
【0085】
図8(b)は、図8(a)に示す入れ子型24に対応して成形された成形品44の肉厚変化領域の形状を示すものであり、幅方向全体にわたり連続し、ほぼ同一幅・同一厚で形成された帯形状の薄肉部44aと、該薄肉部44aを挟んで配された2つの厚肉部44b・44cとを備えてなる。
【0086】
上記薄肉部44aは、キャビティー23の狭空間部(図4(b)参照)に対応して形成されるものであり、側面42a側から側面42b側へ向かって、該肉厚変化領域の幅W0 の1/8程度、幅方向に平行に延び(平行部と称する)、続いて、平行部と垂直に厚肉部44c側に向かって伸長し(垂直部と称する)、さらに、円筒状の開口部50の横断面中心を中心として、側面42b方向に約80°の角をなす円弧状に延びた(円弧部と称する)脚領域44a1 ;脚領域44a1 の平行部と対向する側面42b上の領域から、他方の側面42a側に向かって肉厚変化領域の幅W0 の約1/8程度、幅方向に平行に延び(平行部と称する)、続いて、平行部と垂直に、脚領域44a1 の垂直部と同じ長さだけ厚肉部44c側に向かって伸長し(垂直部と称する)、さらに、開口部50の垂直断面中心を中心として、側面42a方向に約80°の角をなす円弧状に延びた(円弧部と称する)脚領域44a3 ;脚領域44a1 ・44a3 それぞれの円弧部の外周側に位置し、該円弧部の端部同士をつなぐように肉厚変化領域の幅方向に延びる頂点部44a2 ;により構成される、ほぼ一定幅・一定高の帯状突起部である。
【0087】
すなわち、薄肉部44aは、上記2つの厚肉部の一方(厚肉部44c)に凸状で他方(厚肉部44b)に凹状の凸状湾曲領域(脚領域44a1 ・44a3 それぞれの垂直部、円弧部、並びに、頂点部44a2 からなる、湯呑の垂直断面形状様の領域)を一つ有してなる。また、厚肉部44bは、上記凸状湾曲領域により囲まれた領域44b’を有している。また、凸状湾曲領域の高さA0 は、肉厚変化領域の幅W0 と等しくなるように設定されている。
【0088】
図8(b)に示す肉厚変化領域において仮想のウェルドライン48・48は、1)厚肉部44bの領域44b’内であって頂点部44a2 近傍の領域に、凸状湾曲領域をなす2つの脚領域44a1 ・44a3 を結ぶように(すなわち、凸状湾曲領域上の2点を結ぶように)形成された一つのウェルドライン48bと、2)他方の厚肉部44cの領域内であって、上記凸状湾曲領域をなす2つの脚領域44a1 ・44a3 それぞれの、頂点部44a2 から遠位側に位置する端部(垂直部それぞれの端部)近傍の領域ごとに、上記ウェルドライン48bと略平行に形成されたウェルドライン48a・48aと、に分割されている。また、円筒状の開口部50は、上記領域44b’内であって、ウェルドライン48bを挟み頂点部44a2 とは反対側の領域に形成されている。
【0089】
そして、これらウェルドラインのうち、ウェルドライン48aとウェルドライン48bとは、肉厚変化領域の長さ方向に上下に配され同一平面上に並ばないことから、本発明でいう「互いに非隣接状態」にあり、また、ウェルドライン48a・48aは、互いにほぼ同一平面上に並ぶものの、両ウェルドライン48a・48aの間に厚肉部(領域44b’)が介在し、互いに充分な間隔で隔てられていることから、本発明でいう「互いに非隣接状態」にある。つまり、上記肉厚変化領域では、分割形成されたウェルドライン48a・48a・48bは、互いに非隣接状態に配されている。
【0090】
また、図9は、図8(a)に示す流動制御部33において、脚部33a・33cのそれぞれの円弧部の端部同士を連結して半円状とした流動制御部(図示せず)を備えてなる入れ子型24を使用し、得られた成形品45の肉厚変化領域を示したものである。つまり、この肉厚変化領域を得るための流動制御部は、凸状湾曲領域の頂部近傍の領域の幅が上記流動制御部33と比較して厚くなっており、矢印(A)方向側から流れてくる溶融樹脂組成物の、流動制御部を越える流動がより抑制される。そのため、図8(b)に示す成形品44の肉厚変化領域と比較すれば、凸状湾曲領域の頂点部と開口部50との間に形成されるウェルドラインの形成位置・長さが異なってくる。
【0091】
つまり、図9に示す肉厚変化領域を得るための流動制御部の方が、矢印(A)方向(図8(a)参照)から頂点部を越えるような溶融樹脂組成物の流動を抑制する効果が高いため、ウェルドライン48b’は、対応するウェルドライン48bと比較して、より薄肉部の頂点部側へ形成されるとともに、短くなっている。このため、成形品45は、成形品44と比較して、より高い強度を有することが期待される。なお、分割形成された他のウェルドラインであるウェルドライン48a・48a(図8(b)参照)と、それに対応するウェルドライン48a’・48a’(図9参照)とはほぼ同じ位置に形成される。
【0092】
〔実施の形態4〕
以下に説明する成形品の製造方法は、図10(a)に示す流動制御部34を備えてなる入れ子型24(図1参照)を使用するものであり、図8(a)と比較して、インサート40と、流動制御部の凸状湾曲部の頂点部との距離がより広くなるべく流動制御部が形成されている点に特徴がある。なお、使用したインサート40の横断面直径は上記説明のようにキャビティー幅の1/2である。
【0093】
流動制御部34は、矢印(B)で示す流動方向を基準として仮想のウェルドライン48・48(すなわち、合流領域57・57)の上流側に位置する面23a上の領域から対向する面23b側に向かって、B−B”線に平行に延び(平行部と称する)、続いて、矢印(B)方向に沿って、仮想のウェルドライン48を越えて伸長した(垂直部と称する)脚部34a;脚部34aの平行部と対向する面23b上の領域から、面23a側に向かって、B−B”線に平行に延び(平行部と称する)、続いて、矢印(B)方向に沿って、脚部34aの垂直部と同じ長さ伸長した(垂直部と称する)脚部34c;脚部33a・33cそれぞれの、キャビティー側面から遠位側の端部同士をつなぐように、キャビティー幅方向の中心位置を中心として半円状に延びる頂点部34b;により構成される、一定幅・一定高の帯状突起部である。
【0094】
なお、キャビティー23は、図8(a)の場合と同様に、上記ドーム状の凸状湾曲部の「ドームの高さ」方向中心(仮想のウェルドライン48・48が入るB−B”線上の位置)において、上記流動制御部34により、キャビティー23の幅方向に4等分されるように形成されている。
【0095】
以上のように、上記流動制御部34は、一方の溶融樹脂組成物の流れ方向(矢印(B)方向)に沿って凸状で、かつ他方の溶融樹脂組成物の流れ方向(矢印(A)に沿って凹状の凸状湾曲部(脚部34a・34cそれぞれの垂直部、および、頂点部34bから形成される、ドーム型域)を一つ有してなり、凸状湾曲部をなす脚部34a・43cにおいて、合流領域57・57と交差するように配されている。加えて、仮想のウェルドライン48・48の伸長方向全体にわたり(ここでは、キャビティーの側面である面23a側から面23b側にかけて)連続しているので、上記溶融樹脂組成物の流動および合流を制御する制御部として良好に機能する。
【0096】
流動制御部34による溶融樹脂組成物の流動・合流制御動作は、図8(a)に示す流動制御部33の場合とほぼ同様であり、その結果、頂点部34bの近傍であって矢印(A)方向からみて下流側の領域には、ウェルドライン48bに対応したウェルドライン48b”が発生し、脚部33a・33cそれぞれの平行部の近傍であって矢印(A)方向からみて上流側の領域には、ウェルドライン48a・48aに対応したウェルドライン48a”・48a”が発生する。また、矢印(B)方向からみてインサート40の後段側の領域には、該インサート40により2分された矢印(B)方向からの流れが合流してウェルドライン48c”が発生する。
【0097】
図10(b)は、図10(a)に示す入れ子型24に対応して成形された成形品46の肉厚変化領域の形状を示すものであり、幅方向全体にわたり連続し、同一幅・同一厚で形成された帯形状の薄肉部46aと、該薄肉部46aを挟んで配された2つの厚肉部46b・46cとを備えてなる。
【0098】
上記薄肉部46aは、側面42a側から側面42b側へ向かって幅方向に平行に延び(平行部と称する)、続いて、平行部と垂直に厚肉部46c側に伸長した(垂直部と称する)脚領域46a1 ;脚領域46a1 の平行部と対向する側面42b上の領域から、他方の側面42a側に向かって幅方向に平行に延び(平行部と称する)、続いて、平行部と垂直に、脚領域46a1 の垂直部と同じ長さだけ厚肉部46c側に伸長した(垂直部と称する)脚領域46a3 ;脚領域46a1 ・46a3 それぞれの、側面から遠位側の端部同士をつなぐように、肉厚変化領域の幅方向の中心位置を中心として半円状に延びる頂点部46a2 ;により構成される、一定幅・一定高の帯状体である。
【0099】
すなわち、薄肉部46aは、上記2つの厚肉部の一方(厚肉部46c)に凸状で他方(厚肉部46b)に凹状の凸状湾曲領域(脚領域46a1 ・46a3 それぞれの垂直部、及び頂点部46a2 からなる、ドーム型の領域)を一つ有してなる。また、厚肉部46bは、上記凸状湾曲領域により囲まれた領域46b’を有している。
【0100】
図10(b)に示す肉厚変化領域において仮想のウェルドライン48・48は、1)厚肉部46bの領域46b’内であって頂点部46a2 近傍の領域に、該頂点部46a2 上の2点を結ぶように(すなわち、凸状湾曲領域上の2点を結ぶように)形成された一つのウェルドライン48b”と、2)該領域46b’内に形成され、開口部50からウェルドライン48b”側へ、肉厚変化領域の長さ方向に沿って伸長するウェルドライン48c”と、3)他方の厚肉部46cの領域内であって、上記凸状湾曲領域をなす2つの脚領域46a1 ・46a3 それぞれの、頂点部46a2 から遠位側に位置する端部近傍の領域ごとに、上記ウェルドライン48b”と略平行に形成されたウェルドライン48a”・48a”と、に分割されている。また、開口部50は、上記領域46b’内であって、ウェルドライン48b”を挟み頂点部46a2 とは反対側の領域に形成されており、その断面直径C0 が1/2W0 の円筒状である。
【0101】
なお、3つのウェルドライン48a”・48a”・48b”が、互いに非隣接状態に配されている点に関しては、図8(b)に示すウェルドライン48a・48a・48bの場合と同様であり説明を省略する。また、上記3つのウェルドラインに対し、ウェルドライン48cが非隣接状態に配されていることも明らかであり(伸長方向が直交しているため)、説明を省略する。
【0102】
ただし流動制御部34では、溶融樹脂組成物の流れ方向における、インサート40と、流動制御部の凸状湾曲部の頂点部との距離が、図8(a)の場合と比較してより広く形成されているので、上記ウェルドライン48b”は、ウェルドライン48bと比較して開口部50から離れた位置に形成される。これにより元来強度が劣る開口部近傍に、その形状に沿って分割されたウェルドラインが入ることが防止され、より高強度な成形品を提供することが可能となる。
【0103】
また、図11(b)に示すのは、図10(b)に示した成形品46の肉厚変化領域の一変形例であり、薄肉部46aを挟んで対向する2つの厚肉部46b・46cをつなぐように、肉厚変化領域の幅方向両端部に厚肉部46d・46dを残した点に特徴を有する。すなわち、図10(b)に示す脚領域46a1 ・46a3 それぞれの平行部を、側面42a・42bから所定の距離離れた位置より形成することで、該所定の距離の幅(W3 )を有する厚肉部46d・46dが、上記平行部と側面42a・42bとの間に形成されている。これにより、図10(b)に示す肉厚変化領域と比較して、その強度低下をより防止することが可能となる。なお、上記幅W3 の大きさは特に限定されないが、一般には薄肉部46aの板厚Ta以下とすることがより好ましい。
【0104】
上記形状の肉厚変化領域を得るためには、図10(a)に示す流動制御部34の脚部34a・34bそれぞれの平行部を、キャビティー23の側面23a・23bから上記所定の距離離れた位置より形成してなる流動制御部34’(図11(a)参照)を採用すればよい。上記所定の距離の大きさにもよるが、矢印(B)方向からの溶融樹脂組成物の流れは、脚部34a’・34b’それぞれの平行部により阻害されるので、図11(b)に示すように分割されてなる4つのウェルドライン48a”・48a”・48b”・48c”が形成される。
【0105】
なお、上記所定の距離の大きさが極めて大きく、実質的に脚部34a’・34b’が上記平行部を有しないように設定される場合には、上記ウェルドライン48a”・48a”・48b”それぞれが、開口部50の近傍に移動し、互いに非隣接状態に配されない場合がある。このような肉厚変化領域は強度が弱く、本願発明にて所望されるものではない。
【0106】
すなわち本願発明において、1)流動制御部が、発生が予想されるウェルドライン(仮想のウェルドライン)の伸長方向(ウェルドラインがなす面の長手方向)にわたり実質的に連続している、または、2)流動制御部が、キャビティーの幅方向にわたり実質的に連続しているとは、異なる方向から流れてきた溶融樹脂組成物同士の流動・合流を、成形品に残存する複数のウェルドライン同士が非隣接状態となるよう制御可能な程度に、上記流動制御部が連続して形成されていることを意味する。したがって、上記説明のように、流動制御部が実際にはキャビティー23の側面23aから他方の側面23b側にわたり連続していなくても、キャビティーの幅方向にわたり実質的に連続しているとされる場合がある。
【0107】
なお、図10(b)および図11(b)に示す厚肉変化領域において、上記凸状湾曲領域の高さA0 、開口部50の横断面中心O’から凸状湾曲領域の下端までの高さA1 、並びに、該断面中心O’から凸状湾曲領域の頂点部までの高さB1 の関係は特に限定されるものではないが、曲げ強度の低下防止を特に目的とする場合には、肉厚変化領域の幅W0 に対し、
0 ≧W0 でかつ、A1 ≧1/2W0 、並びにB1 ≧1/2W0
の関係を満たすことで実用上充分な強度を確保できてより好ましい。一方、曲げ強度のみならず、引っ張り強度の低下防止をも目的とする場合には、
0 ≧2W0 でかつ、A1 ≧W0 、並びにB1 ≧W0
の関係を満たすことで実用上充分な強度を確保できてより好ましく、
0 ≧3W0 でかつ、A1 ≧1.5W0 、並びにB1 ≧1.5W0
の関係を満たしていることがさらに好ましい。なお、上記いずれの場合でもA1 とB1 とを等しくすることがより好ましい。
【0108】
またこれに対応し、成形品の曲げ強度の低下防止を特に目的とする場合には、流動制御部34・34’において、凸状湾曲部の高さをキャビティー幅以上とし、かつ、インサート40の横断面中心Oから凸状湾曲部の下端までの高さ、及び頂点部までの高さをそれぞれキャビティー幅の1/2以上とすることがより好ましい。一方、成形品の引っ張り強度の低下防止をも目的とする場合には、凸状湾曲部の高さをキャビティー幅の2倍以上とし、かつ、インサート40の横断面中心Oから凸状湾曲部の下端までの高さ、及び頂点部までの高さをそれぞれキャビティー幅以上とすることがより好ましく、凸状湾曲部の高さをキャビティー幅の3倍以上とし、かつ、インサート40の横断面中心Oから凸状湾曲部の下端までの高さ、及び頂点部までの高さをそれぞれキャビティー幅の1.5倍以上とすることがより好ましい。
【0109】
また、本実施の形態にかかる成形品に限られず、本発明における薄肉部の板厚(肉厚)Taは特に限定されるものではないが、基本板厚(ここでは厚肉部の板厚)T0 が3.0mm〜10.0mm程度の範囲内にあるものでは、上記板厚Taが基本板厚T0 の約1/3程度になるように設計されることがより好ましい。すなわち、金型内において、流動制御部がキャビティー空間の高さの約2/3程度突出するように設計されることが、溶融樹脂組成物の合流を制御するうえでより好ましい。実際には、使用する樹脂の特性や、溶融樹脂組成物をなす樹脂以外の組成分の種類により上記板厚Taを設定すればよいが、通常は、板厚Taは0.5mm以上3.0mm以下の範囲内であることがより好ましく、1.0mm以上2.0mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。
【0110】
また、薄肉部の幅Wa も特に限定されるものではなく、例えば、薄肉部の長さなどに応じて設定すればよいが、通常は、0.5mm以上3.0mm以下の範囲内であることがより好ましく、1.0mm以上2.0mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。
【0111】
また、上記薄肉部の、伸長方向に垂直な断面形状も特に限定されるものではない。一例として、図10(b)に示す薄肉部46aの脚領域46a1 と、それを挟んで対向する厚肉部46b・46cとを、開口部50の断面中心O’を通り、薄肉部46aの伸長方向に垂直な平面で切断した断面を用いて説明する。
【0112】
この断面は、図12(a)〜(g)に示すように、流動制御部34の断面形状に対応して形成された溝を厚肉部46b・46c間に有してなり、該溝の下方に位置する領域が薄肉部46(脚領域46a1 )に相当する。図12(a)・(b)は、伸長方向に垂直な断面形状が四角形の流動制御部34を用いた場合における肉厚変化領域を示し、図12(c)は、上記断面形状が、角部のとれた四角形状の流動制御部34を用いた場合の、また、図12(d)・(e)は、キャビティー空間に対し凹状面で突出した断面形状を有する流動制御部34を用いた場合における肉厚変化領域をそれぞれ示している。さらに、図12(f)には、上記断面形状が、頂角のとれた三角形状の流動制御部34を用いた場合における肉厚変化領域を示している。
【0113】
なお、上記例示の薄肉部46aの断面形状のうち、図12(d)・(e)に示す形状は、その幅方向の中心付近に、流動制御部の凹状面に対応した凸状の隆起部を有し、これが肉厚変化領域の強度の維持に貢献するため、より好ましい場合がある。また、図12(g)に示すように、キャビティー23の上下面をなす固定側ブロック21、および可動側ブロック22(図2参照)の双方に流動制御部を設け、薄肉部46aを形成してもよい。
【0114】
〔実施の形態5〕
本実施の形態は、図6(a)にて示した、頂が平らな山型の凸状湾曲部を有してなる流動制御部32を、勾配変化があり(多面的な)、幅広な成形品の成形に応用した例である。図13(a)は、成形品47(図13(c)参照)製造用金型のキャビティー23における溶融樹脂組成物の合流領域77近傍を示す平面図であり、図13(b)は、図13(a)をD−D’線に沿って切断した、キャビティー空間の断面形状を示している。
【0115】
キャビティー23の上面・下面はそれぞれ、3つの面(面23f・23h・23j、並びに、面23e・23g・23i)により構成され、2つの勾配変化域を有する。また、キャビティー23の上面には、一方の側面23a’から他方の側面23b’にかけて連続し、キャビティー空間を狭めるように鉛直方向に突出した帯形状の流動制御部35が、合流領域77(すなわち仮想のウェルドライン68)と交差するように形成されている。なお、上記流動制御部35は、入れ子型によらず、金型の固定側ブロック(図2参照)に直接設けられたものである。
【0116】
上記流動制御部35は、図6(a)にて示した流動制御部32を繰り返し単位として有する。より具体的には、流動制御部35は、隣り合う流動制御部32・32が、一方の脚部32cと他方の脚部32aとの端部同士で結合されるように4つ連続した形状であり、溶融樹脂組成物の流れ方向の一方である矢印(B)方向に沿って凸状で、流れ方向の他方である矢印(A)方向に沿って凹状の凸状湾曲部(流動制御部32の有する、頂が平らな山型の凸状湾曲部と同じ)を4つ有してなるジグザグ形状の帯状体となっている。また、キャビティー23上面の2つの勾配変化域それぞれに沿って、上記山型の凸状湾曲部の斜面の一つが配されている。なお、上記矢印(A)・(B)方向とは、キャビティー23の長さ方向に沿って対向した方向である。
【0117】
なお、上記凸状湾曲部を一単位としてみれば、流動制御部35による溶融樹脂組成物の流動・合流制御の動作、および該流動・合流制御により仮想のウェルドライン68が上記凸状湾曲部ごとに3つのウェルドライン68a’・68a’・68b’に分割されることは、図6(a)と同一であり説明は省略する。すなわち成形品47の肉厚変化領域には、合計9つのウェルドライン68a’…・68b’…が形成される。
【0118】
図13(c)は、図13(a)・(b)に示すキャビティー23に対応して成形された成形品47の肉厚変化領域の形状を示すものであり、幅方向全体にわたり連続し、同一幅・同一厚で形成された帯形状の薄肉部47aと、該薄肉部47aを挟んで配された2つの厚肉部47b・47cとを備えてなる。また、薄肉部47aは、厚肉部47cに凸状で、厚肉部47bに凹状の凸状湾曲領域を四つ有してなる。なお、凸状湾曲領域ごとに3つのウェルドライン68a’・68a’・68b’が分割形成され、これらが非隣接状態にあることに関しては、図7に示す場合と同様であり、説明は省略する。
【0119】
〔実施の形態6〕
本実施の形態は、図6(a)にて示した、頂が平らな山型の凸状湾曲部を有してなる流動制御部32を、インサートにより流れが2つに分断された溶融樹脂組成物同士の合流を制御する目的で応用した例を示すものである。
【0120】
図14(a)は、成形品49(図14(b)参照)製造用金型のキャビティー23の一部を示すものであり、一方向(B)から流れてくる溶融樹脂組成物の流れはインサート40により2つに分断される。そして、これら分断された流れは、矢印(C)・(D)にて示すようにインサート40の外周面に沿って進行した後に、合流領域97において、矢印(B)方向からみて該インサート40の後段側に連続するウェルドライン78を発生させるように合流する。
【0121】
流動制御部36は、図6(a)にて示した流動制御部32と同一形状の帯状体であるが、発生が想定されるウェルドライン78の伸長方向にあわせて、キャビティー23の長さ方向にわたって伸長するように設けられている。また、流動制御部36の凸状湾曲部の高さがインサート40の直径とほぼ同等となり、かつ、インサート40に連続する領域(流動制御部32の脚部32cの平行部に相当する領域)が、該インサート40に対し接線状となるように配されている。
【0122】
なお、図6(a)において、1)矢印(A)方向および矢印(B)方向からの溶融樹脂組成物の流れを順に、矢印(D)方向および矢印(C)方向からの流れとみなし、2)発生が想定されるウェルドライン28をウェルドライン78とみなせば、上記流動制御部32と流動制御部36とはほぼ同一の機能を有するように形成されていることが判る。よって、流動制御部36により、仮想のウェルドライン78が3つのウェルドライン78d’・78d’・78c’に分割して形成されることに関し、説明を省略する。
【0123】
図14(b)は、図14(a)に示すキャビティー23に対応して成形された成形品49の肉厚変化領域の形状を示すものであり、その長さ方向に連続し、同一幅・同一厚で形成された帯形状の薄肉部49aと、該薄肉部49aを挟んで配された2つの厚肉部49b・49cとを備えてなる。なお、2つの厚肉部49b・49cは、肉厚変化領域外の領域(図14(b)中、開口部50を挟んで肉厚変化領域と反対側に位置する領域)では、同一の厚肉部49dに連続している。
【0124】
また、薄肉部49aは、厚肉部49cに凸状で、厚肉部49bに凹状の凸状湾曲領域を一つ有してなる。なお、凸状湾曲領域近傍に3つのウェルドライン78d’・78d’・78c’が分割形成され、これらが非隣接状態にあることに関しては、図7に示す場合と同様であり、説明は省略する。
【0125】
上記実施の形態1〜6で説明した成形品の種類は特に限定されるものではなく、例えば、樹脂製の浴槽や、図15(a)に示す、車両前部に取り付けられる樹脂製フロントエンドパネル79などが挙げられる。該フロントエンドパネル79には、高強度、かつ高剛性が要求され、特に襲撃強度を重視するために、溶融樹脂組成物として強化繊維を混合してなるものが一般に用いられる。
【0126】
図15(b)に示すように、上記フロントエンドパネル79を射出成形により製造する場合には、その大きさ故、例えば7〜9点のゲート82…(該図では9点ゲート)からキャビティー内に溶融樹脂組成物を射出し、効率よく成形する必要がある。加えて、開口部を多数有するために、ウェルドライン79’が多数発生する。特に、フロントエンドパネル79の細かい箇所(断面積が小さな箇所)にウェルドライン79’が発生すると、その箇所が弱くなり強度不足の問題を招来する。このような場合、一般には、溶融樹脂組成物の流れを変え、ウェルドライン79’の発生箇所を移動させる方法が採用されるが、製品の細長い箇所にウェルドライン79’の発生が予想される場合には、該箇所を完全に避けるようにウェルドライン79’を移動させることは困難であり、1)該箇所を広範囲にわたり肉厚にする、2)補強リブを立てる、3)補強部材を組み付ける、などの対策を講じる必要があった。
【0127】
そこで、本願発明者らは、ウェルドライン79’の発生部分(溶融樹脂組成物の合流領域)に相当する金型のキャビティー内に、該キャビティーの空間形状に応じた流動制御部を設け、フロントエンドパネル79上に上記いずれかの実施の形態で述べた肉厚変化領域を形成させた。すると、溶融樹脂組成物同士の合流が制御され、ウェルドラインが薄肉部により非隣接状態となるよう分割されて、成形材料の基本物性をほとんど低下させることなく、実用上充分な強度を確保できることが確認された。また、成形品の美観を重視する場合には、その裏面側に肉厚変化領域が形成されるように金型を設計すればよい。
【0128】
なお、特に射出成形においては、キャビティー23の空間形状(すなわち、所望する成形品の形状)、溶融樹脂組成物の種類・粘度(流動性)・温度、溶融樹脂組成物の射出圧力、金型温度などの射出条件が決定されれば、仮想のウェルドラインの発生位置(溶融樹脂組成物の合流領域)をほぼ正確にシュミレーション可能であることは公知であり、加えて、同形の金型を使用した反復試験により、仮想のウェルドラインの発生位置を現実に確認してもよい。
【0129】
また、本発明にかかる製造方法に適用される、金型温度、溶融樹脂組成物の温度、射出圧力、射出後の冷却時間などの諸条件は、使用する溶融樹脂組成物の種類に応じた一般的な条件を採用すればよい。
【0130】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0131】
〔実施例1、2〕
溶融樹脂組成物(成形材料)として、ポリプロピレン(PP)とガラス長繊維(含有量:40重量%、長さ:約10mm(非溶融状態の添加材))との混合組成物を使用し、金型温度を60℃、溶融樹脂組成物の温度を230℃〜250℃の範囲内、金型内における射出圧力を300〜350kgf/cm2 (約2.94×107 〜3.43×107 Pa:成形機の射出ノズルでの圧力で700kgf/cm2 (約6.86×107 Pa))の範囲内、金型内へ射出後の冷却時間を10〜20秒の範囲内とし、図1〜図3に示す金型装置を用いて、図8(b)に示す肉厚変化領域を有する実施例1用テストピース6片(引張り試験用3片・曲げ試験用3片)と、図9に示す肉厚変更領域を有する実施例2用テストピース2片(引張り試験用1片・曲げ試験用1片)とを作成し、以下の要領で引張り試験と、曲げ試験とを行った。
【0132】
なお、いずれのテストピースも、開口部50の直径を15mm、幅W0 を37mm、長さを150mm、厚さを3mmとし、開口部50の横断面中心がテストピースの長さ方向および幅方向の中心に位置するように作成した。また、薄肉部はその断面形状が図12(b)に示す形状をもつものとし、板厚Taは1.0mm、幅Waは1.7mmとし、薄肉部の凸状湾曲領域の高さA0 は幅W0 と同一となるよう作成した。
【0133】
引張り試験は、テストピースを、開口部50の横断面中心を挟みその長さ方向に40mmづつ離れた2点で水平に挟持し、10mm/分のテストスピードで水平方向に引っ張り、テストピースに亀裂を生じさせるまでに要する荷重値(単位(N))で評価した。また、曲げ試験は、テストピースの下面を、開口部50の横断面中心を挟みその長さ方向に40mmづつ離れた2点で水平に支持し、10mm/分のテストスピードで上面側から鉛直方向に荷重を加え、テストピースに亀裂を生じさせるまでに要する荷重値(単位(N))で評価した。
【0134】
引張り試験および曲げ試験の結果(試験1〜3)、各試験結果の平均値、並びに、ウェルドラインの発生対策を施していない比較例8にて得られた平均値を100とした評価値(%)に関し、以下の表1にまとめて示す。
【0135】
〔比較例1〜8〕
図1〜3に示す金型装置を用い、使用する入れ子型の形状を変えた以外は、実施例1・2にかかるテストピースと同一の条件で図16〜図23に示す8種類のテストピースを6片づつ作成し、これらを順に比較例1〜8用テストピースとして、上記実施例の条件で引張り試験、および曲げ試験をそれぞれ3度ずつ行った(表1中、試験1〜3に相当)。
【0136】
図16〜図22に示すテストピースにおいては、開口部301の内径が15mm、外径が19mmであり、幅W100 が37mm、長さが150mm、厚さが3mmに設計されている。また、図23に示すテストピースでは、開口部101aの直径が15mmであり、幅が37mm、長さが150mm、厚さが3mmに設計されている。さらに、図16〜図20に示すテストピースは、ウェルドラインの発生を防止するべく開口部301近傍に傾きT100 (2mm)/A100 (30mm)の傾斜が設けられており、各傾斜の幅は、幅W100 を順に2等分、3等分、4等分、5等分、6等分するものとなっている。
【0137】
また、図21(a)に示すテストピースは、傾きがT100 /A100 である3つの傾斜が設けられているが、各傾斜は図21(b)に示すように、その幅が途中で変化している。なお、該図においてW101 は23mm、W102 は17mmとなるよう設計されている。さらに、図22に示すテストピースは、幅W100 ×長さA100 の領域内に、底面が2mm×2mmで高さが1mmの角錐形状の凹部302…を規則的に形成したものである。これら図16〜図22に示すテストピースは、本願発明とは異なるウェルドラインの発生防止・抑制策を講じて作成されたものであり、可視的なウェルドラインの発生はほぼみられなかった。また、仮に見られたものでも、発生したウェルドライン同士が薄肉状の傾斜により非隣接状態に分割された状態とはなっていなかった。
【0138】
引張り試験および曲げ試験の結果(試験1〜3)、各試験結果の平均値、並びに、ウェルドラインの発生防止策を施していない比較例8にて得られた平均値を100とした評価値(%)に関し、以下の表1にまとめて示す。
【0139】
【表1】
Figure 0003764029
【0140】
表1から明らかなように、比較例1〜7にかかるテストピースでは、可視的なウェルドラインの発生はほぼ防止できるものの、ウェルドラインが発生した比較例8のテストピースと比較して、曲げ強度が著しく低下することが確認された。また、比較例4を除けば、引張り強度に関しても軒並み低下していることが確認された。これは、ウェルドラインの発生防止策を講じたことにより肉薄領域が大きくなりすぎたことに原因があると考えられる。
【0141】
一方、実施例1・2では、上記比較例8のテストピースと比較して、引張り強度・曲げ強度ともに、大きく改善されていることが判る。これは、流動制御部により溶融樹脂組成物同士の合流を制御し、比較例8のテストピースで発生したウェルドライン102・102にかえて、互いに非隣接状態に分割配置された複数のウェルドラインを形成させたためである。
【0142】
なお、実施例2にかかるテストピースが、実施例1にかかるテストピースより優れた強度を示す理由は、上記実施の形態3で記載ずみであり説明は省略する。また、実施例1・2で用いたテストピースでは、図8(b)・図9に示すように開口部50近傍の細くなった領域にウェルドラインが発生し、この領域から破壊が始まることが確認された。この対策として、例えば、上記実施の形態4で記載した肉厚変化領域を成形品に形成し、開口部50近傍に、その形状に沿ったウェルドラインが発生することを抑止すればよい。
【0143】
【発明の効果】
本発明にかかる成形品は、以上のように、溶融樹脂組成物同士の合流領域に対応して形成されるウェルドラインを分割するように、連続した帯形状の薄肉部が設けられており、かつ、これら分割されてなるウェルドライン同士は互いに非隣接状態にある構成である。
【0144】
上記の構成によれば、分割されてなるウェルドライン同士が同一平面上に連続していないので、強度低下が防止されてなる成形品を提供することができるという効果を奏する。
【0145】
本発明にかかる成形品はまた、上記構成において、上記薄肉部が凸状湾曲領域を少なくとも一つ有してなる構成である。
【0146】
上記の構成によれば、特に曲げ強度の低下が防止されてなる成形品を提供することができるという効果を加えて奏する。
【0147】
本発明にかかる成形品はさらに、上記構成において、上記凸状湾曲領域に囲まれた厚肉部の領域に、開口部が設けられている構成である。
【0148】
上記の構成によれば、開口部周辺に入るウェルドラインの位置がずらされて、強度低下が防止されてなる成形品を提供することができるという効果を加えて奏する。
【0149】
本発明にかかる成形品は、以上のように、溶融樹脂組成物を成形してなる成形品であって、連続した帯形状の薄肉部と、これを挟んで配された2つの厚肉部とを備えた肉厚変化領域を有し、さらに、上記薄肉部が凸状湾曲領域を有してなり、さらに、凸状湾曲領域に囲まれ、その頂点部近傍に位置する厚肉部の領域に形成された一つのウェルドラインと、この厚肉部とは異なる側の厚肉部の領域内であって、上記凸状湾曲領域の頂点部から遠位側に位置する端部近傍の領域ごとに形成されたウェルドラインとを備えてなる構成である。
【0150】
上記の構成によれば、特に曲げ強度の低下が防止されてなる成形品を提供することができるという効果を奏する。
【0151】
本発明にかかる成形品の製造方法は、以上のように、金型を用いて溶融樹脂組成物から成形品を製造する方法であって、上記金型として、溶融樹脂組成物同士が合流する合流領域と交差するとともに、キャビティー空間を狭めるようにキャビティー内に突出した帯形状の流動制御部を備えてなるものを使用する方法である。
【0152】
上記の方法によれば、分割されてなるウェルドライン同士が非隣接状態に配され、強度低下が防止された成形品を製造できるという効果を奏する。
【0153】
本発明にかかる成形品の製造方法はまた、上記方法において、上記帯形状の流動制御部が凸状湾曲部を有してなる方法である。
【0154】
上記の方法によれば、特に、曲げ強度の低下が防止されてなる成形品を製造することができるという効果を加えて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形品を成形する金型装置のキャビティーを示す平面図である。
【図2】図1に示す金型装置のA−A’線での断面図である。
【図3】図1に示す金型装置のB−B’線での断面図である。
【図4】本発明の製造方法を説明する図面であり、(a)・(b)はキャビティー空間の説明図、(c)は、成形品の肉厚変化領域を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の製造方法を説明する図面であり、(a)はキャビティー空間の説明図、(b)は、成形品の肉厚変化領域を示す斜視図である。
【図6】本発明のさらに他の製造方法を説明する図面であり、(a)〜(c)はキャビティー空間の説明図である。
【図7】図6に示すキャビティー空間に対応して成形された、成形品の肉厚変化領域を示す斜視図である。
【図8】本発明のさらに他の製造方法を説明する図面であり、(a)はキャビティー空間の説明図、(b)は、成形品の肉厚変化領域を示す斜視図である。
【図9】図8(b)に図示した肉厚変化領域の変形例を示す斜視図である。
【図10】本発明のさらに他の製造方法を説明する図面であり、(a)はキャビティー空間の説明図、(b)は、成形品の肉厚変化領域を示す斜視図である。
【図11】本発明のさらに他の製造方法を説明する図面であり、(a)はキャビティー空間の説明図、(b)は、成形品の肉厚変化領域を示す斜視図である。
【図12】(a)〜(g)は、肉厚変化領域をなす薄肉部の形状を示す断面図である。
【図13】本発明のさらに他の製造方法を説明する図面であり、(a)・(b)はキャビティー空間の説明図、(c)は、成形品の肉厚変化領域を示す斜視図である。
【図14】本発明のさらに他の製造方法を説明する図面であり、(a)はキャビティー空間の説明図、(b)は、成形品の肉厚変化領域を示す斜視図である。
【図15】(a)は、成形品の一例としてのフロントエンドパネルの斜視図であり、(b)は、射出成形時のゲート配置を示す説明図である。
【図16】比較例に使用したテストピースの一例を示す斜視図である。
【図17】比較例に使用したテストピースの他の例を示す斜視図である。
【図18】比較例に使用したテストピースのさらに他の例を示す斜視図である。
【図19】比較例に使用したテストピースのさらに他の例を示す斜視図である。
【図20】比較例に使用したテストピースのさらに他の例を示す斜視図である。
【図21】比較例に使用したテストピースのさらに他の例を示し、(a)はその斜視図、(b)はその平面図である。
【図22】比較例に使用したテストピースのさらに他の例を示す斜視図である。
【図23】比較例に使用したテストピースのさらに他の例を示す斜視図である。
【図24】ウェルドラインの発生を説明するための図面である。
【符号の説明】
20 金型
23 キャビティー
27 合流領域
28a・b ウェルドライン(分割されてなるウェルドライン)
28a’・b’ ウェルドライン(分割されてなるウェルドライン)
30 流動制御部
31 流動制御部
32 流動制御部
33 流動制御部
34 流動制御部
34’ 流動制御部
35 流動制御部
36 流動制御部
40a 薄肉部
40b・c 厚肉部
41a 薄肉部
41b・c 厚肉部
43a 薄肉部
43b・c 厚肉部
44a 薄肉部
44b・c 厚肉部
46a 薄肉部
46b・c 厚肉部
47a 薄肉部
47b・c 厚肉部
48a・b ウェルドライン(分割されてなるウェルドライン)
48a’・b’ ウェルドライン(分割されてなるウェルドライン)
48a”・b” ウェルドライン(分割されてなるウェルドライン)
49a 薄肉部
49b・c 厚肉部
50 開口部
57 合流領域
77 合流領域
97 合流領域

Claims (6)

  1. 溶融樹脂組成物を射出成形または圧縮成形することにより成形され、成形の際に、異なる方向から流れてきた該溶融樹脂組成物同士の合流領域が発生する成形品であって、
    上記合流領域に対応して形成されるウェルドラインを分割するように、連続した帯形状の薄肉部が設けられており、かつ、これら分割されてなるウェルドライン同士は互いに非隣接状態にあることを特徴とする成形品。
  2. 連続した帯形状の上記薄肉部が、該薄肉部を挟んで配された2つの厚肉部の一方に凸状で他方に凹状の凸状湾曲領域を少なくとも一つ有してなることを特徴とする請求項1記載の成形品。
  3. 上記凸状湾曲領域に囲まれた厚肉部の領域に、開口部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の成形品。
  4. 溶融樹脂組成物を成形してなる成形品であって、
    連続した帯形状の薄肉部と、該薄肉部を挟んで配された2つの厚肉部とを備えてなる肉厚変化領域を有するとともに、
    上記薄肉部が、上記2つの厚肉部の一方に凸状で他方に凹状の凸状湾曲領域を少なくとも一つ有してなり、
    上記凸状湾曲領域に囲まれた厚肉部の領域内であって該凸状湾曲領域の頂点部近傍の領域に、凸状湾曲領域の2点を結ぶように形成された一つのウェルドラインと、
    上記ウェルドラインが形成された厚肉部とは異なる側の厚肉部の領域内であって、上記凸状湾曲領域をなす2つの脚領域それぞれの、頂点部から遠位側に位置する端部近傍の領域ごとに形成されたウェルドラインとをさらに備えてなることを特徴とする成形品。
  5. 金型を用いて溶融樹脂組成物を射出成形または圧縮成形して成形品を製造する方法であって、
    上記金型として、
    異なる2方向から流れてきた溶融樹脂組成物同士が合流する合流領域と交差するとともに、キャビティー空間を狭めるようにキャビティー内に突出した帯形状の流動制御部を備えてなるものを使用し、
    上記キャビティー内に注入された溶融樹脂組成物同士の合流を、上記流動制御部で制御して、上記合流領域に発生するウェルドラインを分割することを特徴とする成形品の製造方法。
  6. 上記帯形状の流動制御部が、一方の溶融樹脂組成物の流れ方向に沿って凸状で、かつ他方の溶融樹脂組成物の流れ方向に沿って凹状の凸状湾曲部を少なくとも一つ有してなることを特徴とする請求項5記載の成形品の製造方法。
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