JP3763720B2 - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力されたカラー画像データの画質を向上するための画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テレビカメラ、デジタルスチルカメラ、スキャナ、画像記憶装置及びインターネット等から入力されたカラー画像データの画質を向上するための画像処理方法として、ノイズ低減処理、ホワイトバランス処理、オートゲインコントロール及びガンマ補正などの明度調整処理が開発されている。
【0003】
このような処理方法には、明度調整処理が非常に一般的な画像処理方法として利用されている。これに対し、彩度調整処理によって画質を向上する方法は、あまり例がない。
【0004】
彩度調整処理を自動で行う数少ない画像処理方法としては、例えば、特開平3−73672号公報に開示されているものがある。
【0005】
これに開示されている処理方法は、まず、明度信号(Y信号)及び色差信号(C(R−Y、B−Y)信号)からなる画像データにおいて、R−Y信号に対して信号のセンター値より大きいデータは信号の上限値との差を、信号のセンター値より小さいデータは信号の下限値との差を求める。
【0006】
そして、これらの差分値のうち画像データ全体で最小となる値をR−Y最小差分値として検索する。同様にしてB−Y信号に対してもB−Y最小差分値を検索し、R−Y最小差分値とB−Y最小差分値を比較して小さいほうを係数演算用データXとして設定する。
【0007】
次に係数設定手段では、R−Y信号及びB−Y信号のダイナミックレンジ幅をオーバーフローを起こすことのない範囲で拡張するために係数値Kを
K=(D/2)/((D/2)−X) …(式1)
により決定する。
【0008】
式1においてDはダイナミックレンジである。求められた係数値Kは各画素における色差データに乗算される。このような演算処理によって、例えば図17に実線で示した色差信号は、同図に点線で示すようにダイナミックレンジの拡張された信号に変換される。
【0009】
図17で、Dmaxはダイナミックレンジの上限値、Dminはダイナミックレンジの下限値、Dmidはダイナミックレンジの中間値、dminは画像データの信号とダイナミックレンジの上限値との差の最小値である。
【0010】
このように、色差データに係数Kを乗ずることにより信号の上限値と下限値を超えることはないため彩度情報を欠損することはない。
【0011】
一方、入力したカラー画像データをそのまま出力装置へ出力すると高濃度の色や高彩度の色の再現性が悪く、コントラストが低い画像となる。
【0012】
このような問題を解決する手段として、入力したカラー画像データの色域を伸長してコントラストを上げてから所望の装置へ出力することが考えられる。色域とは、所定の表色系における色の集合を指す技術用語である。
【0013】
例えば、特開平4−196677号公報には、プリンタの色域はディスプレイの色域より一般に狭いためにプリンタのカラー画像をディスプレイに表示する際に発生する上記と同様の問題を解決する画像処理方法が開示されている。
【0014】
これは、プリンタの色域がディスプレイの色域に合致するように画像データの彩度のみあるいは彩度及び明度を伸長することで、プリンタの色域がディスプレイの色域より一般に狭いためにプリンタのカラー画像をディスプレイに表示する際に発生する上記と同様の問題を解決している。
【0015】
図18は従来の画像処理方法を説明するための、プリンタ、ディスプレイ、画像の色域を示した図である。
【0016】
図18において、1001で示される色域は入力装置となるプリンタの色域、1002で示される色域は出力装置となるディスプレイの色域、1003で示される色域は入力した画像データの色域、1004で示される変換量は従来例におけるプリンタとディスプレイの色域を合致させるように伸長した場合の最外郭点の変換量、1005で示される色値は変換処理を行う注目色値、1006で示される変換量は従来例における注目色値1005の変換量である。
【0017】
プリンタの色域がディスプレイの色域に合致するように画像データの彩度を伸長すると外郭点の変換量は図18における1004で図示される矢印となる。
【0018】
従って、注目色値1005の変換量1006は注目色値が最外郭点から無彩色軸の間のどの割合に位置するかに応じて外郭点の変換量1004から算出されるため、外郭点の変換量1004より小さい値となる。
【0019】
あるいは、逆にプリンタの色域はディスプレイの色域より一般に狭いためにディスプレイに表示されているカラー画像をプリンタに出力する際にプリンタ色域外の色が発生する場合、画像データの色域を圧縮する必要がある。
【0020】
特開平4−196675号公報に記載されている画像処理方法は、上記と同様の方法でディスプレイの色域がプリンタ色域に合致するようにディスプレイ色域を圧縮している。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の特開平3−73672号公報を始めとする彩度調整処理では、画像データ全体の彩度を上げる処理を行うため、入力した画像データに彩度の大きい(高い)部分が存在すると画像全体の見た目がギラギラと彩度が高すぎる印象となり好ましくない。
【0022】
また、入力した画像データでは彩度の小さい(低い)無彩色も彩度が上げらるためグレーが着色してもとの画像データにそぐわない画像となることがある。
【0023】
また、オートゲインコントロールやガンマ補正を明度調整処理や彩度調整処理として用いても、画像データ全体の彩度を上げることになるため同じような問題が発生する。
【0024】
一方、上記従来の特開平4−196677号公報に開示された画像処理方法などの、入力装置の色域が出力装置の色域に合致するように画像データの彩度のみあるいは彩度及び明度を伸長する画像処理方法では、入力した画像データをそのまま出力するよりは彩度、明度が強調される。
【0025】
しかし、これらの方法では、入力した画像データの色域は考慮せず、プリンタの色域とディスプレイの色域の合致を考慮しているため、入力した画像データの色域が入力装置の色域よりも狭い場合や色域の形状が異なる場合には、出力装置の色域を十分に活用することができない。
【0026】
従って、注目色値1005の変換量1006は注目色値が最外郭点から無彩色軸の間のどの割合に位置するかに応じて外郭点の変換量1004から算出されるため、外郭点の変換量1004より小さい値となる。
【0027】
しかし、画像データの色域1003とディスプレイの色域1002で考えれば、注目色値1005は1007で図示される変換量だけ変換できるはずである。
【0028】
以上のように従来の画像処理方法では画像データの色域をより伸長して彩度のダイナミックレンジを拡大したくとも出力装置の色域を十分に活用することができず伸長不足となる。
【0029】
あるいは、逆にプリンタの色域はディスプレイの色域より一般に狭いためにディスプレイに表示されているカラー画像をプリンタに出力する際にプリンタ色域外の色が発生する場合、画像データの色域を圧縮する必要がある。
【0030】
この問題を解決するために、特開平4−196675号公報に開示された画像処理方法は、上記と同様の方法でディスプレイの色域がプリンタ色域に合致するようにディスプレイ色域を圧縮している。
【0031】
しかし、上記と同様の理由で、画像データの色域が出力装置となるプリンタの色域内であり、入力装置の色域を考慮せず画像データの色域と出力装置の色域で比較すれば圧縮する必要がない場合にも、特開平4−196675号公報に開示されている画像処理方法では画像データの色域が一部圧縮されてしまうという不具合が生じる。
【0032】
また、特開平4−196675号公報及び特開平4−196677号公報に開示されている画像処理方法では、入力装置の色域が出力装置の色域に合致するように彩度あるいは彩度及び明度を伸長、圧縮しているため、例えば彩度のみを変換した場合は明度の異なる2つの色値は互いに異なる変換をかけられることになり彩度の位置関係が逆転してしまう。
【0033】
例えば、特開平4−196675号公報に記載されているディスプレイの色域がプリンタ色域に合致するようにディスプレイ色域を圧縮する方法には、圧縮する必要がない場合にも画像データの色域が一部圧縮されてしまうという問題点がある。この問題点を解決する方法として、画像の色域がプリンタ色域に合致するように画像色域を圧縮することが考えられる。しかし、画像の色域の形状がプリンタの色域の形状と大幅に異なる際には、図19に示すように、異なる色値に異なる変換がかけられることになり、色値の位置関係の逆転が激しくなってしまう。
【0034】
図19を用いてこの問題点を具体的に説明する。入力画像データの色域2201の最外郭上の色値A2203は、プリンタ色域2202の外にあるため、プリンタ色域2202の最外郭上点である色値B2205と同位置であるマッピング先2204にマッピングされる。色値B2205はそれによりさらに色域内の2206にマッピングされるというように、一部プリンタ色域外があった色は、それらの色がプリンタ内に入るように順次内側へ移動していくことになる。一方、色値C2207はプリンタ色域内の色であるため、変換されない。
【0035】
このように、画像の色域がプリンタ色域に合致するように、プリンタ色域外となる色のみを圧縮するようにすると、入力した画像の色のうち、圧縮により移動する色と、変換されない色ができるため、画像内の色のバランスが崩れ好ましくない。
【0036】
このような現象は処理結果の画像データにおいて偽輪郭などのアーチファクトとなり画質を低下するという課題を有していた。
【0037】
また、特開平4−196675号公報、特開平4−196677号公報に記載されている画像処理方法では、図20に示すように、注目色値を所定の表色空間の明度軸の中間点に向かって伸長あるいは圧縮する。明度軸の中間点に向かうというアイデアは、他の広報でも開示されている。この方法は、特に圧縮の場合に効果が大きい。この方法で、明度を保存して彩度のみを圧縮すると彩度の低下が激しい。また、この方法で、彩度を保存して明度のみを圧縮すると明度の低下が激しくなる。このため、この方法は、明度、彩度の低下をそこそことする方法として広く使われている。
【0038】
しかし、この方法でも、明度のみを圧縮する場合と比較すれば、明度の低下は軽減されてはいるが、十分満足できる範囲であるとはいえない。特に、明度の非常に大きい(高い)色値と明度の非常に小さい(低い)色値では、伸長あるいは圧縮の際に明度軸の中間点に向かう勾配が、非常に大きくなる。例えば明度の大きい色2001は、伸長の際には明度が急激に上がり、一方、圧縮の際には明度が急激に下がってしまうという課題がある。
【0039】
また、別の課題として、入力した画像データを圧縮する際には、画像データの色域が出力装置の色域内に完全に入るまでに圧縮すると、画像全体の彩度の低下が激しく、薄ぐらい画像が得られてしまうという問題がある。そこで、彩度の低下を招かないようにするため、圧縮するの代わりに、入力した画像データの色のうち出力装置の色域外である色はすべて出力装置の色域の最外郭にクリッピングするということが考えれる。しかし、この方法では、今度は、多くの色が同じ外郭上の色にマッピングされるため、階調のないベッタリとした画像となってしまう。
【0040】
また、別の課題として、プリンタの色域にノイズが乗っている問題がある。プリンタの色域は、プリンタの特性を計測することで得られる。プリンタの特性の一般的な計測方法について説明する。まず、CMYK信号で構成されるチャートをプリンタで出力し、例えば表色空間をCIE/L***空間とした場合には出力結果のL***信号を分光測定器などで測定する。また、CMYK信号と出力であるL***信号を対応付けたルックアップテーブルを、一般にプリンタの色特性を記述したプリンタプロファイルと呼んでいる。得られたL***信号がL***空間で成す集合がプリンタ色域となる。
【0041】
この分光測定器の計測結果にノイズが乗っている場合には、プリンタの色域の外郭はきれいな凸にならず、図21に示すように、凹を含んだカーブとなってしまう。入力した画像データの色のうち、プリンタの色域外となってしまう色は、その色に最も近いプリンタの色域の最外郭上の色にマッピングするのが一般的である。しかし、この方法でマッピングすると、マッピング対象色と本来マッピングされるはずであるプリンタ色域の最外郭の凹部の距離より、マッピング対象色と対象色近傍の凸部との距離のほうが近くなってしまうので、図22に示すようにマッピング先が凸部に集中してしまう。このため、入力画像では本来なめらかな色のグラデーションが、出力画像では不連続なグラデーションとなってしまう。
【0042】
一方、入力した画像データの色のうち、プリンタ色域内の色でも、計測時の誤差により、出力画像に偽輪郭などのアーチファクトが発生してしまうという問題がある。
【0043】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、入力されたカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かにする画像処理方法を提供することを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画像データを所定の表色系に変換する工程と、所定の表色系で表現された画像データの色域の最外郭色値変換量を指定する工程と、最外郭値変換量に基づいて表色系で表現された画像データの色域内色値変換量を決定する工程と、最外郭値変換量と色域内色値変換量に基づいて色変換を行う工程を有するものである。
【0045】
このように画像データの色域最外郭色値変換量に基づいて色域内色値変換量を決定し、圧縮あるいは伸長の色変換をすることで、画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かにできる。また、画像データを色変換した後でも画像データの色域形状が保存される。
【0046】
また、本発明は、画像入力装置により入力された画像データから所望の画像出力装置に出力する画像を作成する際に、入力された画像データの色変換後に、色変換の方向にディザ処理を行うディザ処理工程を有するものである。
【0047】
このように、入力された画像の色変換方向にディザ処理を行うことで、出力画像におけるアーチファクトを抑制することができる。
【0048】
また、画像入力装置により入力された画像データから所望の画像出力装置に出力する画像を作成する際に、画像出力装置の色域の最外郭に凹部がある場合に、これを補正して色域が全体で凸包、つまり凸のみからなる形状となるように補正する。
【0049】
このように、出力装置の色域を凸包となるように補正することで、出力画像における偽輪郭を抑制することができる。特に、入力画像における色のグラデーションが出力画像で不連続となってしまうことを避けることができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の態様にかかる画像処理装置は、画像入力装置により入力された画像データを所望の画像出力装置に出力する際に、所定の表色系における前記画像データの色域が前記出力装置の色域の内部にある場合には前記画像データの色域が前記出力装置の色域を十分活用するように前記画像データの色域を伸長する色変換を行ってから前記出力装置用の画像データとし、前記所定の表色系における画像データの色域が前記出力装置の色域を超えている場合には前記画像データの色域が前記出力装置の色域を十分活用するように前記画像データの色域を圧縮する色変換を行ってから前記出力装置用の画像データとするものである。
【0051】
このように、画像の入力装置の色域ではなく、画像データの色域を考慮し、画像データの色域が出力装置の色域を十分に活用する程度に圧縮あるいは伸長することで、伸長の場合は入力されたカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かにする作用を有することができる。また、圧縮の場合は画像データが不必要に圧縮されることなく、画像データの画質の低下を極力抑えた出力画像を得ることができる。
【0052】
本発明の第2の態様にかかる画像処理装置は、画像入力装置により入力された画像データを所望の画像出力装置に出力する際に、所定の表色系における前記画像データの色域が前記出力装置の色域の内部にある場合には前記画像データの色域の形状を保ったまま、前記画像データの色域が前記出力装置の色域を十分活用するように前記画像データの色域を伸長する色変換を行い、前記所定の表色系における画像データの色域が前記出力装置の色域を超えている場合には前記画像データの色域の形状を保ったまま前記画像データの色域が前記出力装置の色域を十分活用するように前記画像データの色域を圧縮するものである。
【0053】
このように、画像データの色域の形状を保ったまま、画像データの色域を伸長あるいは圧縮する色変換を行うことにより、画像データの色値の相対的な位置関係が崩れない。これにより、出力画像における偽輪郭などが発生しないという作用を有することができる。
【0054】
本発明の第3の態様にかかる画像処理方法は、画像データを所定の表色系に変換する表色系変換工程と、前記表色系で表現された画像データの色域の最外郭色値変換量を指定する画像色域外郭変換量指定工程と、前記最外郭色値変換量に基づいて前記表色系で表現された画像データの色域内色値変換量を決定する変換量決定工程と、前記最外郭値変換量と前記色域内色値変換量に基づいて色変換を行う色変換工程を有するものである。
【0055】
このように画像データの色域最外郭色値変換量に基づいて色域内色値変換量を決定し色変換をすることで、画像データを色変換した後でも画像データの色域形状が保存される。また、入力されたカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かにする作用を有することができる。
【0056】
本発明の第4の態様は、第3の態様にかかる画像処理方法において、前記表色系変換工程は、入力される画像データに異なる表色系を含むものである。
【0057】
このように表色系変換工程は、入力される画像データに異なる表色系を含むため、いかなる表色系の入力装置から入力された画像データに対しても画像処理ができる。
【0058】
本発明の第5の態様は、第3の態様または第4の態様にかかる画像処理方法において、前記画像色域外郭変換量指定工程は、前記画像データ色域と所定の出力装置色域に基づいて前記画像データ色域の最外郭色値変換量を指定するものである。
【0059】
このように、画像色域外郭変換量指定工程が画像データの色域の最外郭における変換量を入力装置の色域は考慮せず画像データの色域と出力装置の色域に基づいて指定することで、出力装置の色域を十分活用することができる。このため、入力したカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かに伸長、圧縮して所望の装置へ出力することができるという作用を有することができる。
【0060】
本発明の第6の態様は、第3の態様から第5の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記色域内色値変換量は、前記画像データの色域の最外郭からの距離に比例するように決定されるものである。
【0061】
このように画像データの色域の最外郭からの距離に比例して変換量を決定することで、画像データを色変換した後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0062】
本発明の第7の態様は、第3の態様から第6の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記表色系変換工程は、前記画像データを色相、明度、彩度によって表される表色系に変換するものである。
【0063】
このような表色系に画像データを変換することで、画像データと異なる表色系を持つ出力装置にも対応させて画像処理することができる。
【0064】
本発明の第8の態様は、第3の態様から第7の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記変換量決定工程は、前記色域内色値変換量を前記画像データの色域最外郭で前記最外郭色値変換量となり、色値を変換しない無変換色範囲の最外郭で0となるように前記画像データの色域最外郭から前記無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して決定するものである。
【0065】
このように画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで、画像データを色変換した後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。さらに、例えば色値の彩度のみを伸長する場合、画像データ全体の彩度を上げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにできる。これにより変換後の画像データの無彩色が着色することなくダイナミックレンジを拡大することができる。よって、入力された画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かにするための画像処理方法が得られるという作用を有する。
【0066】
本発明の第9の態様は、第8の態様にかかる画像処理方法において、前記色域内色値変換量は、前記画像データの色域最外郭から前記無変換色範囲の最外郭までの彩度の距離に比例して決定されるものである。
【0067】
このように色域内色値変換量を画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの彩度の距離に比例して決定することで、確実に無彩色に近い色は変換しないようにできる。
【0068】
本発明の第10の態様は、第8の態様にかかる画像処理方法において、前記表色系変換工程は、前記画像データを色相、明度、彩度によって表される表色空間の明度軸上に原点を持つ極座標系に変換し、前記色域内色値変換量は、前記画像データの色域最外郭から前記無変換色範囲の最外郭までの極座標半径の距離に比例して決定されるものである。
【0069】
このようにすることで、例えば色値の彩度のみを伸長する場合、画像データ全体の彩度を上げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにできる。これにより、変換後の画像データの無彩色が着色することなくダイナミックレンジを拡大することができる。また、このように色域内色値変換量を決定することで、画像データの変換後でも、確実に画像データの色域形状が保存される。
【0070】
本発明の第11の態様は、第8の態様にかかる画像処理方法において、前記表色系変換工程は、明度軸と2つの彩度軸によって表される表色空間の前記明度軸上に、第1の基準点と前記第1の基準点より小さい明度を有する第2の基準点を設定し、明度が前記第1の基準点の明度より大きい前記画像データは前記第1の基準点を原点とした極座標系に変換し、明度が前記第2の基準点の明度よりも小さい前記画像データは前記第2の基準点を原点とした極座標系に変換し、明度が前記第1の基準点の明度と前記第2の基準点の明度との間の前記画像データは前記彩度軸を軸とした円柱座標系に変換し、
前記色域内色値変換量は、明度が前記第1の基準点の明度より大きい前記画像データは前記画像データの色域最外郭から無変換色範囲の最外郭までの前記第1の基準点を原点とした極座標半径の距離に比例して決定され、明度が前記第2の基準点の明度より小さい前記画像データは前記画像データの色域最外郭から無変換色範囲の最外郭までの前記第2の基準点を原点とした極座標半径の距離に比例して決定され、明度が前記第1の基準点の明度と前記第2の基準点の明度との間の前記画像データは前記画像データの色域最外郭から無変換色範囲の最外郭までの彩度の距離に比例して決定されるものである。
【0071】
このようにすることで、画像データを圧縮する際に、明度が大きい(高い)ハイライト色の明度が急激に減少すること、あるいは明度の小さい(低い)ダーク色の明度が急激に増加することが防げる。これにより、入力した画像データと印象の異なる出力用画像データが作成されてしまうことを避けることができる。
【0072】
本発明の第12の態様は、第11の態様にかかる画像処理方法において、前記表色系変換工程は、前記第1の基準点及び前記第2の基準点を、各色相毎に連続的に変化させるものである。
【0073】
このようにすることで、画像データを圧縮する際に、各色相毎に色域の形状が異なることに対応したマッピングを実現することができる。さらに、明度が大きいハイライト色で明度が急激に減少すること、あるいは、明度の小さいダーク色で明度が急激に増加することが防げる。よって、入力した画像データと印象の異なる出力用画像データが作成されてしまうことを避けることができる。
【0074】
本発明の第13の態様は、第8の態様から第12の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記無変換色範囲は、無彩色軸から前記画像データの色域最外郭までの距離の割合で指定されるものである。
【0075】
このように無変換色範囲を指定することで、色域外郭の形に対応した無変換色範囲を指定できる。これにより、無変換色範囲の外郭から画像データ色域の外郭の間で行われる色変換において色値の相対的なバランスがとれ、より高品位な出力画像を得ることができる。
【0076】
本発明の第14の態様は、第8の態様から第12の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記無変換色範囲は、無彩色軸からの距離の定数値で指定されるものである。
【0077】
このようにして無彩色範囲を指定することで、無彩色範囲を簡単に指定できるので、処理が高速化できる。
【0078】
本発明の第15の態様は、第8の態様から第12の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記無変換色範囲は、無彩色軸から前記画像データの色域最外郭までの距離の割合で指定され、前記割合は、前記色域最外郭上の点の座標値を引数とした関数で記述されるものである。
【0079】
このように、各色毎に異なった無変換色範囲を指定することで、各色相毎に色域の形状が異なることに対応でき、より柔軟な画像処理を行うことができる。しかも無変換色範囲は連続的に変化するため、作成される出力用画像データにアーチファクトが生じないという作用を有する。
【0080】
本発明の第16の態様は、第8の態様から第12の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記無変換色範囲は、無彩色軸から前記画像データの色域最外郭までの距離の割合で指定され、前記割合は、前記色域最外郭上の点の明度を引数とした関数で記述されるものである。
【0081】
このように各明度毎には異なる無変換色範囲を指定することで、出力画像の画質に最も影響が大きい明度に対してより柔軟な画像処理を行うことができ、このように各色相毎には同じ無変換色範囲を指定することで、無変換色範囲を高速に指定することができる。
【0082】
本発明の第17の態様は、第16の態様にかかる画像処理方法において、前記関数は、明度が、ハイライト色あるいはダーク色に相当する場合には前記割合を高く、前記ハイライト色及び前記ダーク色に属さない場合には前記割合を低くする関数である。
【0083】
このように明度が大きいハイライト色と明度が小さいダーク色では、変換を行わない色範囲を大きくすることで、色変換を行うと非常に目につき違和感を感じ易いハイライトとダークの無彩色の色変換を行わないようにすることができる。
【0084】
本発明の第18の態様は、第8の態様から第12の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記無変換色範囲は、無彩色軸から前記画像データの色域最外郭までの距離の割合で指定され、前記割合は、前記色域外郭上の点の極座標系の緯度を引数とした関数で記述されるものである。
【0085】
このように各緯度毎に異なる無変換色範囲を指定することで、出力画像の画質に最も影響が大きい明度に対してより柔軟な画像処理を行うことができる。また、このように各色相毎には同じ無変換色範囲を指定することで、無変換色範囲を高速に指定することができる。
【0086】
本発明の第19の態様は、第18の態様にかかる画像処理方法において、前記関数は、前記緯度の絶対値が大きいほど前記割合を高くし、前記緯度の絶対値が小さいほど前記割合を低くする関数である。
【0087】
このように緯度が大きい領域に相当するハイライト色とダーク色の、変換を行わない色範囲を大きくすることができる。これにより、色変換を行うと非常に目につき違和感を感じ易いハイライトとダークの無彩色では、色変換を行わないようにすることができる。
【0088】
本発明の第20の態様は、第8の態様から第12の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記無変換色範囲は、無彩色軸から画像データの色域外郭までの距離の割合で指定され、前記割合は、明度軸と2つの彩度軸によって表される表色空間の前記明度軸上に、第1の基準点と前記第1の基準点より小さい明度を有する第2の基準点を設定し、明度が前記第1の基準点の明度より大きい領域は前記第1の基準点を原点とした極座標系の緯度を引数とし、明度が前記第2の基準点の明度より小さい領域は前記第2の基準点を原点とした極座標系の緯度を引数とし、明度が前記第1の基準点の明度と前記第2の基準点の明度との間の領域は明度を引数とした関数で記述されるものである。
【0089】
このように、入力画像の明度毎に異なる無変換色範囲を指定することで、出力画像の画質に最も影響が大きい明度に対してより柔軟な画像処理を行うことができる。また、このように各色相毎には同じ無変換色範囲を指定することで、無変換色範囲を高速に指定することができる。
【0090】
本発明の第21の態様は、第20の態様にかかる画像処理方法において、前記関数は、明度が前記第1の基準点の明度より大きい領域では前記第1の基準点を原点とした極座標系の緯度が大きいほど前記割合を高くし、明度が前記第2の基準点の明度より小さい領域では前記第2の基準点を原点とした極座標系の緯度が小さいほど前記割合を高くし、明度が前記第1の基準点の明度と前記第2の基準点の明度との間の領域は明度が前記第1の基準点の明度もしくは第2の基準点の明度に近いほど前記割合を高くする関数である。
【0091】
このように明度が大きいハイライト色と小さいダーク色では、変換を行わない色範囲を大きくすることができる。これにより、色変換を行うと非常に目につき違和感を感じ易いハイライトとダークの無彩色では、色変換を行わないようにすることができる。
【0092】
本発明の第22の態様は、第3の態様から第21の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記最外郭色値変換量は、前記画像データの色域最外郭上の全点で一定値である。
【0093】
このようにすることで、画像データの色域の形状を保存したまま、画像データの色域を伸長及び圧縮することができる。また、処理が高速化できる。
【0094】
本発明の第23の態様は、第3の態様から第21の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記最外郭色値変換量は、前記画像データの前記色変換の方向に対する割合で指定される。
【0095】
このようにすることで、画像データの色域の形状を保存したまま、画像データの色域を伸長及び圧縮することができる。特に、圧縮の場合には、変換量が一定値であると、無変換色範囲の最外郭と画像色域の最外郭の間隔が狭い場合には、その狭い範囲で多くの変換量を圧縮しなければならなくなるため、出力画像中にアーチファクトが発生してしまうのに対し、このように変換量を割合で指定することで、このようなアーチファクトが発生しにくくなるという作用を有する。
【0096】
本発明の第24の態様は、第23の態様にかかる画像処理方法において、前記色変換の方向に対する割合は、色相毎に異なるものである。
【0097】
このように割合で指定する変換量を色相毎に変えることで、特に圧縮の変換を行う場合には、画像データの色域が出力装置の色域を大幅に越えている色相では大きく圧縮し、超えてない色相では小さく圧縮できる。これにより、不必要に圧縮されることを防ぐことができる。このような処理は、画像全体の色相の相対関係があまり重要でない画像の場合に有効である。
【0098】
本発明の第25の態様は、第3の態様から第24の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記画像データの色域を圧縮する場合に、前記最外郭色値変換量は、前記色変換後の画像データの色域が前記出力装置の色域内に完全に入る量ではなく、前記色変換後の画像データの色うち前記出力装置の色域外となる色が残るような量である。
【0099】
このように、圧縮の変換を行う場合には、最外郭色値変換量を、画像データの色域が出力装置の色域内に完全に入る量ではなく、画像データの色域が出力装置の色域をややオーバーする程度に留め、残った色域外の色は、出力装置の色域の外郭上にクリッピングすることで、圧縮の場合の欠点である出力画像の全体的な彩度の低下を低減することができる。
【0100】
本発明の第26の態様は、第3の態様から第25の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記画像データの前記色変換後に、前記色変換の方向にディザ処理を行うディザ処理工程を有するものである。
【0101】
このように、色変換の方向にディザ処理することで、圧縮・伸長などの色変換処理、あるいは、画像データが出力装置の色域外である場合に行うクリッピング処理、あるいは、出力装置の色域の計測の段階での誤差によって発生した出力画像における偽輪郭などのアーチファクトを抑制することができる。
【0102】
本発明の第27の態様は、第5の態様から第25の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記出力装置色域の最外郭に凹部がある場合に、これを補正して色域が全体で凸包となるように補正するものである。
【0103】
このようにすることで、入力した画像データの色のうち、出力装置の色域外となる色を、出力装置の色域の最外郭にマッピングする際に、凸部にマッピング先が集中してしまうことが防げる。これにより、出力画像上で不連続なグラデーションが起こることを回避することができる。
【0104】
本発明の第28の態様は、第5の態様から第25の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記出力装置色域の最外郭に凹部がある場合、前記出力装置色域の最外郭の凸部データを抽出する凸部抽出工程と、前記凸部抽出工程で抽出されなかった前記出力装置色域の最外郭のデータを前記凸部抽出工程で抽出された前記凸部データを補間して求める凹部データ補正工程と、前記凹部データ補正工程で作成されたデータを前記出力装置の色域に加えることによって全体的に凸である、前記出力装置の新たな色域を作成する出力装置色域再構成工程と、を有するものである。
【0105】
このように出力装置の色域が凸になるように補正することで、入力した画像データの色のうち、出力装置の色域外となる色を、出力装置の色域の最外郭にマッピングする際に、凸部にマッピング先が集中してしまうことを防げる。これにより、出力画像上で不連続なグラデーションが起こることを簡単に回避することができる。
【0106】
本発明の第29の態様は、第5の態様から第28の態様のいずれかにかかる画像処理方法において、前記画像データの色に対応する前記出力装置の色を探索する場合に、前記画像データの前記色変換の方向の周囲に探索範囲を限定するものである。
【0107】
このようにすることで、入力した画像データの色のうち、出力装置の色域外となる色を、出力装置の色域の最外郭にマッピングする際に、通常凸部にマッピング先が集中してしまうことを回避して、凹部にもマッピングされるようになる。これにより、出力画像上で不連続なグラデーションが起こることを回避することができる。
【0108】
本発明の第30の態様は、画像入力装置により入力された画像データから所望の画像出力装置に出力する画像を作成する際に、前記色変換の方向にディザ処理を行うディザ処理工程を有する画像処理方法である。
【0109】
本発明の第31の態様は、画像入力装置により入力された画像データから所望の画像出力装置に出力する画像を作成する際に、前記画像出力装置の色域の最外郭に凹部がある場合に、これを補正して色域が全体で凸包となるように補正する画像処理方法である。
【0110】
本発明の第32の態様は、画像入力装置により入力された画像データから所望の画像出力装置に出力する画像を作成する際に、前記画像出力装置の色域の最外郭に凹部がある場合、前記画像出力装置の色域最外郭の凸部データを抽出する凸部抽出工程と、前記凸部抽出工程で抽出されなかった前記画像出力装置の色域の最外郭のデータを前記凸部抽出工程で抽出された前記凸部データを補間して求める凹部データ補正工程と、前記凹部データ補正工程で作成されたデータを前記画像出力装置の色域に加えることによって全体的に凸である、前記画像出力装置の新たな色域を作成する出力装置色域再構成工程と、を有する画像処理方法である。
【0111】
本発明の第33の態様は、画像入力装置により入力された画像データから所望の画像出力装置に出力する画像を作成する際に、前記入力された画像データの色に対応する前記出力装置の色を探索する場合に、前記画像データの前記色変換の方向の周囲に探索範囲を限定する画像処理方法である。
【0112】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0113】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。
【0114】
図1は、本発明の実施の形態1にかかる画像処理方法のブロック構成図である。
【0115】
入力プロファイル101は、インターネットなどから入力されたRGBで構成される入力カラー画像データの入力系のRGB信号とXYZ信号を対応付ける。
【0116】
また、本実施の形態の入力プロファイル101は入力カラー画像データの入力系のRGB信号とXYZ信号を対応付けるものであるが、入力カラー画像データの入力系はRGB系以外であっても良い。このような表色系に画像データを変換することで、画像データと異なる表色系を持つ出力装置にも対応させて画像処理することができる。
【0117】
表色系変換部102は、入力カラー画像データを入力プロファイル101を用いて所定の変換式で色相、明度、彩度で表される表色系である例えばCIE/L***空間の円柱座標系に変換する。
【0118】
また、入力プロファイル101の内容を変えることで、表色系変換部102は、入力される画像データに異なる表色系を含むことが可能になる。つまり、入力プロファイル101がRGB系以外の入力画像データに対応する内容であれば、表色系変換部102は、入力カラー画像データがRGB系以外であっても対応できる。
【0119】
注目画素設定部103は、表色系変換部102から出力されたCIE/L***表色空間の円柱座標系である色相、明度、彩度で表現された画像データの画素を順次注目画素として設定する。
【0120】
画像色域外郭変換量指定部104は、表色系変換部102から出力されたCIE/L***表色空間の円柱座標系である色相、明度、彩度で表現された画像データの色域の最外郭上の色値の変換量を出力装置の色域を考慮して指定する。
【0121】
無変換色範囲指定部105は、表色系変換部102から出力されたCIE/L***表色空間の円柱座標系である色相、明度、彩度で表現された画像データの色域の最外郭上の色値の変換量を出力装置の色域を考慮して色値を変換しない色範囲を指定する。
【0122】
無変換範囲加味変換量決定部106は、注目画素設定部103で設定された注目画素の色値変換量が、表色系変換部102から出力された画像データ色域の最外郭で画像色域外郭変換量指定部104によって指定された変換量となり、無変換色範囲の最外郭で0となるように画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して決定する。
【0123】
色変換部107は、画像色域外郭変換量指定部104と無変換範囲加味変換量決定部106によって決定された色値の変換量に基づいて色変換を行う。
【0124】
全体制御部108は、注目画素の処理が終了したことを表す信号を注目画素設定部103に入力し、また処理の終了した変換後色値を記憶する。
【0125】
109が付与されているプロファイルは所望のプリンタプロファイルであり、プリンタプロファイル変換部110はCIE/L***表色空間の円柱座標系で表されている変換処理後画像データをプリンタプロファイル109を参照してプリンタに対応するCMYK信号に変換する。
【0126】
プリンタ装置111は出力カラー画像データを入力とするプリンタ装置である。
【0127】
以下、実施の形態1にかかる上記構成の動作について詳細に説明する。
【0128】
まず、入力カラー画像データはRGB表色系で表されているため表色系変換部102において入力プロファイル101としてsRGBを用いてXYZ色空間に変換され、さらに色相、明度、彩度で表される表色系であるCIE/L***空間の円柱座標系に所定の変換式により変換され画像データとなる。
【0129】
画像色域外郭変換量指定部104は、画像データの色域の最外郭上色値の変換量を出力装置の色域を考慮して指定する。
【0130】
無変換色範囲指定部105は、色値を変換しない色範囲を指定する。
【0131】
無変換範囲加味変換量決定部106は、注目画素設定部103で設定された注目画素の色値変換量が、表色系変換部102から出力された画像データ色域の最外郭で画像色域外郭変換量指定部104によって指定された変換量となり、無変換色範囲の最外郭で0となるように画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して決定し、色変換部107へ出力する。
【0132】
色変換部107は、画像色域外郭変換量指定部104と無変換範囲加味変換量決定部106によって決定された色値の変換量に基づいて色変換を行う。
【0133】
全体制御部108は、注目画素の処理が終了したことを表す信号を注目画素設定部103に入力して次の画素の処理を促し、また処理の終了した変換後色値を記憶する。
【0134】
画像データの全画素に対して処理が終了すると全体制御部108から変換処理後画像データが出力される。
【0135】
プリンタプロファイル変換部110は、CIE/L***表色空間の円柱座標系で表されている変換処理後画像データをプリンタプロファイル109を参照してプリンタに対応するCMYK信号に変換する。
【0136】
このようにデバイスに依存しない色空間の信号をデバイスに依存する信号に変換し、変換した信号をデバイスに出力する。
【0137】
CMYK信号から構成される出力カラー画像データは所望のプリンタ装111に入力されハードコピーとなる。
【0138】
次に、本発明の特徴部分である実施の形態1にかかる画像色域外郭変換量指定部の動作について詳細に説明する。
【0139】
画像色域外郭変換量指定部104は、画像データの色域の最外郭上色値の変換量をプリンタ装置111の色域を考慮して指定する。
【0140】
以下、実施の形態1にかかる画像色域外郭変換量の指定方法について詳細に説明する。
【0141】
まず、画像データの色域の最外郭においてプリンタの色域の最外郭までの彩度の距離が最も短い位置を色域差最小点として検索する。
【0142】
図2は実施の形態1にかかる色域差最小点が検索された色相における画像データ色域とプリンタ色域を説明するための図である。
【0143】
図2において、201で示される色域は画像データの色域、202で示される色域はプリンタの色域、203で示される点は画像データ色域の尖点、204で示される点はプリンタ色域の尖点、205で示される点は色域差最小点、206で示される点は色域差最小点と同色相、同明度を持つプリンタ色域上の点である色域差最小対応点である。
【0144】
画像色域外殻変換量指定部104は、色域差最小点205と色域差最小点と同色相、同明度を持つプリンタ色域上の点である色域差最小対応点206の距離を画像色域外郭変換量として指定する。このように、画像データの色域の最外郭における変換量を入力装置の色域は考慮せず画像データの色域と出力装置の色域に基づいて指定することで、出力装置の色域を十分活用することができる。このため、入力したカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かに伸長、圧縮して所望の装置へ出力することができるという作用を有することができる。
【0145】
以降の処理で画像色域の最外郭上の色値はすべて同じ画像色域外郭変換量分だけ変換することになる。
【0146】
また、画像色域外殻変換量指定部104は、各色相毎に色域差最小点205を求め、次に色域差最小点205と同色相、同明度を持つプリンタ色域上の点である色域差最小対応点206を求め、色域差最小点205と色域差最小対応点206の距離を画像色域外郭変換量として指定する形態を採っても良い。
【0147】
この場合は、以降の処理で画像色域の最外郭上の色値は色相毎に同じ画像色域外郭変換量分だけ変換することになる。
【0148】
さらに、画像色域外殻変換量指定部104は、色相毎に画像データ色域の尖点203とプリンタ色域の尖点204の彩度及び明度の距離を画像色域外郭変換量として指定する形態を採っても良い。
【0149】
この指定方法では、画像データの色域内色のうちプリンタ色域の外に出てしまう色値が発生する可能性もあるが、このような場合は色域外となった色をプリンタ色域の最外郭に貼り付けることによりこの問題を解決できる。また、画像データの色域とプリンタの色域の形状があまり変わらない場合には、この指定方法により色域をより有効に活用して色変換することができ、また色域外色も少量であるため問題にならない。また、この処理方法においても、以降の処理で画像データの色域の最外郭上の色値は色相毎に同じ画像色域外郭変換量分だけ変換することになる。
【0150】
また、上述した画像色域外郭変換量は表色空間における距離で指定しているが、また別の提案として、表色空間における距離を画像色域外郭上点の彩度で割って得られた比を画像色域外郭変換量の代わりに画像色域外郭変換比として指定しても良い。この場合、変換量は、画像色域外郭上の各点の彩度に画像色域外郭変換比をかけた値を用いる。この指定方法は、特に変換が圧縮となった場合に効果が大きい。
【0151】
なぜなら、圧縮の際には、画像色域外郭変換量を一定距離で指定すると、その距離が非常に大きい場合、無変換範囲加味変換量決定部106で画像色域の各色の変換量を決定するときに、無変換範囲の最外郭と画像色域外郭の間隔が狭い箇所では、狭い空間で多くの圧縮を行わなければならなくなり、その結果が出力画像においてアーチファクトとして表れるからである。
【0152】
そこで、このように、画像色域外郭変換量を割合で指定することで、無変換範囲の最外郭と画像色域外郭の間隔が狭い場合には、より変換量を少なくすることができるので、上記原因に基づくアーチファクトが発生しないという作用を有する。
【0153】
以上の処理によって求められた画像色域外郭変換量がプラスの場合は、画像色域よりも出力装置であるプリンタ色域のほうが大きく、画像色域を伸長する色変換を行うことになる。一方、マイナスの場合は、画像色域を圧縮する色変換を行うことになる。
【0154】
また、画像色域を圧縮する場合には、普通、画像色域がプリンタ色域に合致するまで圧縮するが、本発明では、従来のように画像色域がプリンタ色域に合致するまで圧縮せず、プリンタ色域より少し大きい範囲までを圧縮目標とするようにすると良い。つまり、画像色域外郭変換量の絶対値を小さめにとって圧縮量を減らすと良い。すなわち、入力した画像データの色のうち、プリンタ色域の外となる色を若干残すことになる。残った色は、プリンタプロファイル変換部110で、変換処理後画像データをプリンタ信号にマッピングする際に、プリンタ色域の最外郭上の色にマッピングされる。このプリンタ色域の最外郭上の色に貼り付ける処理はクリッピングと一般に呼ばれている。
【0155】
このように、画像色域外郭変換量を小さめにとる理由は、画像色域を圧縮すると色変換後画像の彩りが低下して暗っぽい画像となるため、圧縮量をなるべく少なくしたいからである。一方、圧縮を全くせず、すべてのプリンタ色域外色を、プリンタ色域の最外郭に貼り付けると、今度は、多くの色が同じプリンタ色域の最外郭上の同一色にマッピングされることになる。このため、色変換後画像に階調がなくなってしまう。これに対し、本発明のように、圧縮とクリッピングの両方を用いることで、暗めの画像となることを軽減して、なおかつ、階調がなくなることを避けることができる。
【0156】
また、画像の色域を伸長する場合には、以上説明した方法によって求められた画像色域外郭変換量が所望の色変換量よりかなり大きい場合は、それ以下の値を指定することで解決できる。
【0157】
このように画像データの色域の最外郭における変換量を入力装置の色域は考慮せず、画像データの色域と出力装置の色域に基づいて指定することにより、出力装置の色域を十分活用して画像データの色域を伸長できる。これにより、入力したカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かに所望の装置へ出力することができる。
【0158】
また、入力装置の色域が出力装置の色域より広くカラー画像データを所望の装置へ出力する際に色域外色値が発生する場合、画像データの色域を圧縮することができる。
【0159】
次に、実施の形態1にかかる無変換色範囲指定部の動作について詳細に説明する。
【0160】
無変換色範囲指定部105は無変換色範囲を無彩色軸から画像データの色域の最外郭までの距離の割合αで指定する。αとして例えば20%などの値が選択される。
【0161】
図3は実施の形態1にかかる画像データの色域における無変換色範囲を説明するための図である。
【0162】
図3において、301で示される色域は画像データの色域、302で示される範囲は無変換色範囲である。
【0163】
このように無彩色範囲を指定することで、色域外郭の形に対応した無彩色範囲を指定できるため、無彩色範囲の外郭から画像データ色域の外郭の間で行われる色変換において色値の相対的なバランスがとれ、より高品位な出力画像を得ることができる。
【0164】
また、無変換範囲指定部105は色値を変換しない無変換色範囲を無彩色軸からの距離の定数値で指定する形態も採れる。
【0165】
このように無彩色範囲を指定することで、このようにして無彩色範囲を指定することで、無彩色範囲を簡単に指定できるので処理が高速化できる。
【0166】
図4は、実施の形態1にかかる画像データの色域における無変換色範囲を説明するための図である。
【0167】
図4において、401で示される色域は画像データの色域、402で示される範囲は無変換色範囲である。このように無彩色軸から画像データの色域最外郭までの距離の割合により無彩色範囲を指定することで、無彩色範囲を簡単に指定できるので処理が高速化できる。
【0168】
また、無変換範囲指定部105は色値を変換しない無変換色範囲を無彩色軸から画像データの色域外郭までの距離の割合で指定され、その割合は、外郭上点の座標値を引数とした関数で指定する形態もとれる。このように、各色毎に異なった無変換色範囲を指定することで、より柔軟な画像処理を行うことができる。しかも無変換色範囲は連続的に変化するため、作成される出力用画像データにアーチファクトが生じないという作用を有することができる。
【0169】
また無変換色範囲を指定する距離の割合を、前記色域最外郭上の点の明度を引数とした関数で記述することもできる。このように各明度毎には異なる無変換色範囲を指定することで、出力画像の画質に最も影響が大きい明度に対してより柔軟な画像処理を行うことができ、このように各色相毎には同じ無変換色範囲を指定することで、無変換色範囲を高速に指定することができる。
【0170】
例えば、関数としては、明度が大きい場合あるいは逆に小さい場合には割合を高く、明度が中間値の場合には割合を低くする関数として指定する。図5は実施の形態1にかかる無変換色範囲を外郭上点の座標値を引数とした関数で指定する場合の説明図である。
【0171】
図5において、1101で示される色域は画像データの色域、1102で示される範囲は無変換色範囲である。このように、明度が大きいハイライト色に相当する部分であるハイライト部1103と、明度が小さいダーク色に相当する部分であるダーク部1104では、変換を行わない色範囲を大きくしている。これにより、色変換を行うと非常に目につき違和感を感じ易いハイライト色とダーク色の無彩色では、色変換を行わないようにすることができる。
【0172】
以上のように色値を無彩色に近い範囲で変換しないことにより色域の伸長の際に無彩色色値が着色したり、圧縮の際に無彩色色値が潰れることを防ぐ。
【0173】
次に、本発明の特徴である、実施の形態1にかかる無変換範囲加味変換量決定部の動作の詳細について説明する。
【0174】
無変換範囲加味変換量決定部106は、注目画素設定部103で設定された注目画素の色値変換量が、表色系変換部102から出力された画像データ色域の最外郭で画像色域外郭変換量指定部104によって指定された変換量となり、無変換色範囲の最外郭で0となるように画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して決定し、色変換部107へ出力する。
【0175】
図6は実施の形態1にかかる無変換範囲加味変換量決定部の動作を説明するための図である。
【0176】
図6において501で示される色域は画像データの色域、502で示される色域はプリンタ装置の色域、503で示される外郭は無変換色範囲の最外郭、504で示される色域は注目画素の色値、505で示される彩度は注目画素の色値504の彩度、506で示される点は注目画素の色値と同色相同明度を持つ画像データ色域の最外郭上の点、507で示される彩度は点506の彩度、508で示される点は注目画素の色値と同色相同明度を持つ無変換色範囲の最外郭上の点、509で示される彩度は点508の彩度である。
【0177】
また、無変換色範囲は、無変無彩色軸から画像データの色域の最外郭までの距離の割合αで指定されている。
【0178】
注目画素の色値と同色相同明度を持つ無変換色範囲の最外郭上の点508では変換量は0であり、注目画素の色値と同色相同明度を持つ画像データ色域の最外郭上の点506では最外郭色値の変換量だけ変換するように注目画素の色値504の変換量を
ΔCin=(Cin−Cachromatic)/(Cmax−Cachromatic)×ΔCmax+Cin …(式2)
を用いて決定する。
【0179】
式2において、Cinは注目画素の色値504の彩度505、Cmaxは注目画素の色値と同色相同明度を持つ画像データ色域の最外郭上の点506の彩度507、Cachromaticは注目画素の色値504と同色相同明度を持つ無変換色範囲の最外郭上の点508の彩度509、ΔCinは求める注目画素の色値の変換量、ΔCmaxは最外郭色値の変換量である。
【0180】
彩度を変換する場合にはΔCmaxとして彩度の変換量を指定し、明度を変換する場合にはΔCmaxとして明度の変換量を指定すれば良い。
【0181】
ΔCmaxは画像データの色域を伸長する場合は正の値をとり、圧縮する場合には負の値をとる。
【0182】
このように、変換量を画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの彩度の距離に比例して決定することで、例えば色値の彩度のみを伸長する場合、画像データ全体の彩度を上げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにするため変換後の画像データの無彩色が着色することなくダイナミックレンジを拡大することができる。
【0183】
さらに、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで、画像データを色変換した後でも画像データの色域形状が保存されるとともに、画像データの色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0184】
また、例えば色値の彩度のみを圧縮する場合、画像データ全体の彩度を下げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにするため変換後の画像データの無彩色が潰れることなくダイナミックレンジを圧縮することができる。
【0185】
さらに、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで変換後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0186】
次に、プリンタプロファイル109及びプリンタプロファイル変換部110の詳細について説明する。
【0187】
プリンタプロファイル109はL***信号をCMYK信号に変換するときに利用されるルックアップテーブルである。
【0188】
プリンタプロファイル109は色変換処理を行う前に予め作成され記憶されている。ルックアップテーブルを作成するには、まず、CMYK信号で構成されるチャートをプリンタで出力し、出力結果のL***信号を分光測定器などで測定する。
【0189】
次に、測定された各カラーパッチのCMYK信号を入力としL***信号を出力とするテーブルからL***信号を入力としCMYK信号を出力とする逆テーブルを作成する。このとき、格子となるL***信号に対応する値は周囲のデータ点から補間する。以上のように作成されたプリンタプロファイル109を補間内挿することで、プリンタプロファイル変換部110は変換処理後画像データのL***信号に対応するプリンタのCMYK信号を決定する。
【0190】
以上のように実施の形態1によれば、画像色域外郭変換量指定部が画像データの色域の最外郭における変換量を入力装置の色域は考慮せず画像データの色域と出力装置の色域に基づいて指定することにより、出力装置の色域を十分活用して画像データの色域を伸長、圧縮して画質を向上することができる。
【0191】
また、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで変換後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0192】
さらに、伸長の場合、画像データ全体の彩度及び明度を上げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにするため変換後の画像データの無彩色が着色することなくダイナミックレンジを拡大することができる。
【0193】
以上のように、入力されたカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かに所望の装置へ出力するための画像処理方法が得られる。
【0194】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0195】
実施の形態1では、表色系変換部102において色相、明度、彩度で表される表色系であるCIE/L***空間の円柱座標系に所定の変換式により変換した。一方、実施の形態2では、CIE/L***空間の明度L軸上に原点を持つ極座標系に変換する場合を示す。
【0196】
実施の形態2にかかる画像処理方法のブロック図は図1であり、実施の形態1にかかる画像処理方法のブロック図と同じである。実施の形態1と異なるのは、表色系変換部102、画像色域外郭変換量指定部104、無変換色範囲指定部105、無変換範囲加味変換量決定部106の動作である。
【0197】
実施の形態1にかかる画像処理方法と異なる動作となる表色系変換部102、画像色域外郭変換量指定部104、無変換色範囲指定部105、無変換範囲加味変換量決定部106の詳細について以下順を追って説明する。
【0198】
表色系変換部102は、画像データをCIE/L***空間の明度L軸上に原点を持つ極座標系に変換する。原点としては、例えばL=50を用いたり、各色相毎に画像データの色域の尖点の明度値を用いたり、あるいは色相毎に画像データ色域の尖点とプリンタ色域の尖点を結ぶ直線が明度軸と交わる点を用いたりすることができる。
【0199】
次に図1における画像色域外郭変換量指定部104の動作の詳細について説明する。
【0200】
画像色域外郭変換量指定部104は、画像データの色域の最外郭上色値の変換量をプリンタ装置111の色域を考慮して指定する。
【0201】
以下、実施の形態2にかかる画像色域外郭変換量の指定方法について説明する。
【0202】
まず、画像データの色域最外郭上の任意の点と極座標の原点を結ぶ直線がプリンタの色域の最外郭と交わる点を求め、画像データの色域の最外郭点からプリンタ装置111の色域の最外郭点までの距離を求める。
【0203】
次に、画像データの色域の最外郭上の全点において前記距離のうち最も小さい値を画像色域外郭変換量として指定する。
【0204】
図7は実施の形態2にかかる最小距離が検索された色相における画像データ色域とプリンタ色域を説明するための図である。
【0205】
図7において601で示される色域は画像データの色域、602で示される色域はプリンタの色域、603で示される点は画像データ色域601の尖点、604で示される点はプリンタ色域602の尖点、605で示される点は最小距離をもたらした画像データの色域の最外郭上の点、606で示される点は最小距離をもたらしたプリンタ色域の最外郭上の点、607で示される点は極座標原点、608で示される長さは最小距離である。
【0206】
以降の処理で画像色域の最外郭上の色値はすべて同じ画像色域外郭変換量分だけ変換することになる。このようにすることで、画像データの色域の形状を保存したまま、画像データの色域を伸長及び圧縮することができる。また、処理が高速化できる。
【0207】
また、各色相毎に最小距離を求めても良いが、この場合は以降の処理で画像色域の最外郭上の色値は色相毎に同じ画像色域外郭変換量分だけ変換することになる。このように割合で指定する変換量を色相毎に変えることで、特に圧縮の変換を行う場合には、画像データの色域が出力装置の色域を大幅に超えている色相では大きく圧縮し、超えてない色相では小さく圧縮できる。これにより、不必要に圧縮されることを防ぐことができる。このような処理は、画像全体の色相の相対関係があまり重要でない画像の場合に有効である。
【0208】
さらに、表色系変換部102において極座標系の原点を色相毎に画像データ色域の尖点603とプリンタ色域の尖点604を結ぶ直線が明度軸と交わる点と定義し、画像データ色域の尖点603とプリンタ色域の尖点604の距離を画像色域外郭変換量と指定しても良い。
【0209】
この場合、画像データの色域内色値のうちプリンタ色域の外に出てしまう色値が発生する可能性もあり、このような場合は色域外となった色をプリンタ色域の最外郭に貼り付ける。
【0210】
さらに、画像データの色域とプリンタの色域の形状があまり変わらない場合には、この方法により色域をより有効に活用して色変換することができ、色域外色も少量であるため問題にならない。
【0211】
この場合も、以降の処理で画像データの色域の最外郭上の色値は色相毎に同じ画像色域外郭変換量分だけ変換することになる。
【0212】
また、上述した画像色域外郭変換量は、表色空間における距離で指定しているが、また別の提案として、前記距離を画像色域外郭上点の極座標半径で割って得られた比を、画像色域外郭変換量の代わりに、画像色域外郭変換比として指定しても良い。この場合、変換量は、画像色域外郭上の各点の極座標半径に画像色域外郭変換比をかけた値を用いる。この指定方法は、特に変換が圧縮となった場合に効果が大きい。
【0213】
なぜなら、圧縮の際には、画像色域外郭変換量を一定距離で指定すると、その距離が非常に大きい場合、無変換範囲加味変換量決定部106で画像色域の各色の変換量を決定するときに、無変換範囲の最外郭と画像色域外郭の間隔が狭い箇所では、狭い空間で多くの圧縮を行わなければならなくなり、その結果が出力画像においてアーチファクトとして現れるからである。
【0214】
そこで、このように、画像色域外郭変換量を割合で指定することで、無変換範囲の最外郭と画像色域外郭の間隔が狭い場合には、より変換量を少なくすることができる。これにより、上記原因に基づくアーチファクトが発生しないという作用を有する。
【0215】
以上の処理によって求められた画像色域外郭変換量がマイナスの値である場合は、画像色域を圧縮することになる。
【0216】
また、画像色域を圧縮する場合には、実施の形態1と同様にして、画像色域外郭変換量の絶対値を小さめにとって圧縮量を減らすと良い。このようにして、圧縮量を減らすして、プリンタ色域外に残った色はプリンタ色域の最外郭にクリッピングすることで、圧縮の欠点である変換処理後の画像の彩りが低下してしまうことを低減しつつ、クリッピングの欠点である画像のグラデーションがなくなってしまうことを低減することができる。
【0217】
このように画像データの色域の最外郭における変換量を入力装置の色域は考慮せず画像データの色域と出力装置の色域に基づいて指定することにより、出力装置の色域を十分活用して画像データの色域を伸長するので、入力したカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かに所望の装置へ出力することができる。
【0218】
また、入力装置の色域が出力装置の色域より広くカラー画像データを所望の装置へ出力する際に色域外色値が発生する場合、上記と同様の方法で画像色域外郭変換量を求めて画像データの色域を圧縮することができる。
【0219】
次に図1における無変換色範囲指定部105の動作の詳細について説明する。無変換色範囲指定部105は無変換色範囲を極座標の原点から画像データの色域の最外郭までの距離の割合αで指定する。αとして例えば20%などの値が選択される。
【0220】
図8は実施の形態2にかかる画像データの色域における無変換色範囲を説明するための図である。
【0221】
図8において、701で示される色域は画像データの色域、702で示される範囲は無変換色範囲、703で示される点は極座標原点である。
【0222】
また、無変換範囲指定部105は色値を変換しない無変換色範囲を無彩色軸からの距離の定数値で指定する形態も採れる。
【0223】
また、無変換範囲指定部105は色値を変換しない無変換範囲を、極座標系の緯度の関数として指定する形態も採れる。このように各緯度毎に異なる無変換色範囲を指定することで、出力画像の画質に最も影響が大きい明度に対してより柔軟な画像処理を行うことができる。また、このように各色相毎には同じ無変換色範囲を指定することで、無変換色範囲を高速に指定することができる。
【0224】
例えば、関数として、明度の大きいハイライト色に相当する部分であるハイライト部と明度の小さいダーク色に相当する部分であるダーク部では無変換範囲を広くする。一方、明度がハイライト色及びダーク色に属さない中間値では、無変換範囲を狭くするように指定する。このようにすることで、画像において変換が行われると目につき易いハイライト色とダーク色の無彩色が変換されないので、より高品位な変換後画像を得ることができる。ここでいう、明度の中間値は、明度が0から100の値をとる値なので、例えば明度が20から80くらいの範囲の値を示す。
【0225】
次に図1における無変換範囲加味変換量決定部106の動作の詳細について説明する。
【0226】
無変換範囲加味変換量決定部106は、注目画素設定部103で設定された注目画素の色値変換量が、表色系変換部102から出力された画像データ色域の最外郭で画像色域外郭変換量指定部104によって指定された変換量となり、無変換色範囲の最外郭で0となるように画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して決定し、色変換部107へ出力する。
【0227】
図9は実施の形態2にかかる無変換範囲加味変換量決定部の動作を説明する図である。
【0228】
図9において801で示される色域は画像データの色域、802で示される色域はプリンタ装置111の色域、803で示される外郭は無変換色範囲の最外郭、804で示される色値は注目画素の色値、805で示される半径は注目画素の色値804の極座標半径、806で示される点は注目画素の色値と極座標の原点を結ぶ直線が画像データ色域の最外郭と交わる点、807で示される半径は点806の極座標半径、808で示される点は注目画素の色値と極座標の原点を結ぶ直線が無変換色範囲の最外郭と交わる点、809で示される半径は点808の極座標半径、810で示される点は極座標原点である。無変換色範囲は極座標原点から画像データの色域の最外郭までの距離の割合αで指定されている。注目画素の色値と極座標の原点を結ぶ直線が無変換色範囲の最外郭と交わる点808では変換量は0であり、注目画素の色値と極座標の原点を結ぶ直線が画像データ色域の最外郭と交わる点806では最外郭色値の変換量811だけ変換するように注目画素の色値804の変換量を
ΔRin=(Rin−RaRhromatiR)/(Rmax− RaRhromatiR)×ΔRmax+Rin …(式3)
によって決定する。
【0229】
式3において、Rinは注目画素の色値804の極座標半径805、Rmaxは注目画素の色値と極座標の原点を結ぶ直線が画像データ色域の最外郭と交わる点806の極座標半径807、RaRhromatiRは注目画素の色値と極座標の原点を結ぶ直線が無変換色範囲の最外郭と交わる点808の極座標半径809、ΔRinは求める注目画素の色値の変換量、ΔRmaxは最外郭色値の変換量811である。
【0230】
これにより、例えば色値の彩度のみを伸長する場合、画像データ全体の彩度を上げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにできる。この結果、変換後の画像データの無彩色が着色することなくダイナミックレンジを拡大することができる。
【0231】
さらに、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで変換後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0232】
また、例えば色値の彩度のみを圧縮する場合、画像データ全体の彩度を下げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにできる。この結果、変換後の画像データの無彩色が潰れることなくダイナミックレンジを圧縮することができる。
【0233】
さらに、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで変換後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0234】
以上のように本実施の形態によれば、表色系変換部102がCIE/L***空間の明度L軸上に原点を持つ極座標系に変換するようにし、画像色域外郭変換量指定部104、無変換色範囲指定部105、無変換範囲加味変換量決定部106を明度L軸上に原点を持つ極座標系において動作するようにし、画像色域外郭変換量指定部104が画像データの色域の最外郭における変換量を入力装置の色域は考慮せず画像データの色域と出力装置の色域に基づいて指定することにより、出力装置の色域を十分活用して画像データの色域を伸長、圧縮して画質を向上することができる。
【0235】
また、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで変換後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0236】
さらに、伸長の場合、画像データ全体の彩度及び明度を上げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにするため変換後の画像データの無彩色が着色することなくダイナミックレンジを拡大することができる。
【0237】
以上のように、入力されたカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かに所望の装置へ出力するための画像処理方法が得られる。
【0238】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0239】
実施の形態1では、表色系変換部102において色相、明度、彩度で表される表色系であるCIE/L***空間の円柱座標系に、実施の形態2では、CIE/L***空間の明度L軸上に原点を持つ極座標系に所定の変換式により変換した。実施の形態3では、CIE/L***空間の明度L軸上に2つの基準点を持つ変形極座標系に変換する場合を示す。
【0240】
圧縮あるいは伸長の色変換を行う色空間の座標系について説明する。特開平4−196675号公報、特開平4−196677号公報に記載されている画像処理方法では、図20に示すように、注目色値を所定の表色空間の明度軸の中間点に向かって伸長あるいは圧縮する。明度軸の中間点に向かうというアイデアは、他の広報でも開示されている。この方法は、特に圧縮の場合に影響が大きく、明度を保存して彩度のみを圧縮すると彩度の低下が激しく、一方、彩度を保存して明度のみを圧縮すると明度の低下が激しくなるため、明度、彩度の低下をそこそことする方法として広く使われている。
【0241】
しかし、この方法でも、明度のみを圧縮する場合と比較すれば、明度の低下は軽減されてはいるが、十分満足できる範囲であるとはいえない。これは、明度の非常に大きい色値と非常に小さい色値では、伸長あるいは圧縮の際に明度軸の中間点に向かう勾配が非常に大きくなるため、伸長の際には明度が急激に上がり、一方、圧縮の際には明度が急激に下がってしまうからである。
【0242】
そのため、本発明では、明度の大きいハイライト色と明度の小さいダーク色で、明度が急激に減少したり、増加したりする現象を低減する座標系として、変形極座標系を提案する。
【0243】
実施の形態3にかかる画像処理方法のブロック図は図1であり、実施の形態1にかかる画像処理方法のブロック図と同じである。実施の形態1と異なるのは、表色系変換部102、画像色域外郭変換量指定部104、無変換色範囲指定部105、無変換範囲加味変換量決定部106の動作である。
【0244】
実施の形態1にかかる画像処理方法と異なる動作となる表色系変換部102、画像色域外郭変換量指定部104、無変換色範囲指定部105、無変換範囲加味変換量決定部106の詳細について以下順を追って説明する。
【0245】
表色系変換部102は、画像データをCIE/L***空間の明度L軸上に2つの基準点を持つ変形極座標系に変換する。
【0246】
以下、変形極座標系への具体的な変換方法について説明する。変形極座標系の基準点としては、例えば明度軸上の点L1=30とL2=70を用いたり、各色相毎に画像データの色域の尖点の明度値を中間とする2点を用いたり、あるいは色相毎に画像データ色域の尖点とプリンタ色域の尖点を結ぶ直線が明度軸と交わる点を中間とする2点を用いる。
【0247】
そして、例えば、色相を示すhueが0のときは、L1=40,L2=80,hueがπ/3のときは、L1=30,L2=70というように、代表的なところでのL1,L2の値を設定しておき、hueが0とπ/3の間のときは、L1はhueの値に対応して40と30の間を線形補間して使う。また、L1、L2を色相毎に連続的に異なるようにする方法は、線形補間つまり折れ線でつなぐのではなく、n次補間つまり曲線でつないでも良い。
【0248】
そして、設定された2つの基準点L1,L2を用いて式4により、(L*,a*,b*)値を(hue,ModifiedLatitude,ModifiedRadius)値に変換する。
(式4)
表色空間の明度軸をL、彩度軸をa*,b*と表すとする。
【0249】
hueの算出
hを以下のような値とすると、hueは以下のように求められる
Figure 0003763720
すなわち、変形極座標系では、図10に示すように、明度が基準点L1の明度より大きい色は、L1を原点とする極座標で表現され、hueは極座標でいう色相で表され、ModifiedLatitudeは極座標でいう緯度で表され、ModifiedRadiusは極座標でいう半径で表される。
【0250】
また、明度が基準点L1の明度とL2の明度の間の色は、彩度軸を中心軸とした円柱座標がとられ、hueは色相で表され、ModifiedLatitudeは円柱座標でいう明度で表され、ModifiedRadiusは円柱座標でいう彩度で表される。
【0251】
また、明度が基準点L2の明度より小さい色は、L2を原点とする極座標で表現され、hueは極座標でいう色相で表され、ModifiedLatitudeは極座標でいう緯度で表され、ModifiedRadiusは極座標でいう半径で表される。
【0252】
図11は、このような変形極座標系を用いることによる効果を表している。ハイライト色である注目色値Cは、通常の極座標系では、直線P1に沿って、圧縮される。この勾配が大きいほど急激に明度が低下することになる。一方、変形極座標系では、同じ注目色値Cが直線P2に沿って圧縮されるため、通常の極座標系と比較して明度の低下が緩和することができる。
【0253】
このように、画像データを圧縮する際に、明度が大きい(高い)ハイライト色の明度が急激に減少すること、あるいは明度の小さい(低い)ダーク色の明度が急激に増加することが防げる。これにより、入力した画像データと印象の異なる出力用画像データが作成されてしまうことを避けることができる。
【0254】
また、このような変形極座標系は、極座標と円柱座標を統一的に一つの座標系で表現しているため、一般に極座標や円柱座標で開発されている各種の圧縮方式やクリッピング方式を、容易に本座標系での処理に置きかえることができる。
【0255】
従って、変形極座標系は、本発明における圧縮及び伸長の色変換処理を行うための座標系に限ったものではなく、あらゆる色変換処理を行う座標系として有効である。
【0256】
次に図1における画像色域外郭変換量指定部104の動作の詳細について説明する。
【0257】
画像色域外郭変換量指定部104は、画像データの色域の最外郭上色値の変換量をプリンタ装置111の色域を考慮して指定する。
【0258】
以下、実施の形態3にかかる画像色域外郭変換量の指定方法について説明する。
【0259】
画像色域外郭変換量は、ModifiedRadiusにおける距離で予め指定しておく。
【0260】
あるいは、また別の提案として、前記距離を画像色域外郭上点のModifiedRadiusで割って得られた比を、画像色域外郭変換量の代わりに、画像色域外郭変換比として指定しても良い。この場合、変換量は、画像色域外郭上の各点の彩度に画像色域外郭変換比をかけた値を用いる。この指定方法は、特に変換が圧縮となった場合に効果が大きい。
【0261】
なぜなら、圧縮の際には、画像色域外郭変換量を一定距離で指定すると、その距離が非常に大きい場合、無変換範囲加味変換量決定部106で画像色域の各色の変換量を決定するときに、無変換範囲の最外郭と画像色域外郭の間隔が狭い箇所では、狭い空間で多くの圧縮を行わなければならなくなり、その結果が出力画像においてアーチファクトとして表れるからである。
【0262】
そこで、このように、画像色域外郭変換量を割合で指定することで、無変換範囲の最外郭と画像色域外郭の間隔が狭い場合には、より変換量を少なくすることができるので、上記原因に基づくアーチファクトが発生しないという作用を有する。
【0263】
以上の処理によって求められた画像色域外郭変換量がプラスの場合は、画像色域よりも出力装置であるプリンタ色域のほうが大きく、画像色域を伸長する色変換を行うことになる。一方、マイナスの場合は、画像色域を圧縮する色変換を行うことになる。
【0264】
なお、画像色域を圧縮する場合には、実施の形態1と同様にして、画像色域外郭変換量の絶対値を小さめにとって、圧縮量を減らす。このようにして、圧縮量を減らすし、残った色はプリンタ色域の最外郭にマッピングすることで、圧縮の欠点である変換処理後の画像の彩りが低下してしまうことを低減しつつ、マッピングの欠点である画像のグラデーションがなくなってしまうことを低減することができる。
【0265】
このように画像データの色域の最外郭における変換量を入力装置の色域は考慮せず画像データの色域と出力装置の色域に基づいて指定することにより、出力装置の色域を十分活用して画像データの色域を伸長するので、入力したカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かに所望の装置へ出力することができる。
【0266】
また、入力装置の色域が出力装置の色域より広くカラー画像データを所望の装置へ出力する際に色域外色値が発生する場合、上記と同様の方法で画像色域外郭変換量を求めて画像データの色域を圧縮することができる。
【0267】
次に図1における無変換色範囲指定部105の動作の詳細について説明する。無変換色範囲指定部105は、実施の形態1及び2と同様に、無変換色範囲を2つの基準点から画像データの色域の最外郭までのModifiedRadius軸上の距離の割合αで指定する。αとして例えば20%などの値が選択される。
【0268】
また、無変換範囲指定部105は色値を変換しない無変換色範囲を無彩色軸からのModifiedRadius軸上の距離の定数値で指定する形態も採れる。このようにして無彩色範囲を指定することで、無彩色範囲を簡単に指定できるので処理が高速化できる。
【0269】
また、無変換範囲指定部105は色値を変換しない無変換範囲を、ModifideLatitude値の関数、つまり、明度が基準点L2の明度より大きい領域はL2の基準点を原点とした極座標系の緯度を引数とし、明度が基準点L1の明度より小さい領域は基準点L1を原点とした極座標系の緯度を引数とし、明度が基準点L1の明度と基準点L2の明度との間の領域は明度を引数とした関数として指定する形態も採れる。
【0270】
このように各明度毎には異なる無変換色範囲を指定することで、出力画像の画質に最も影響が大きい明度に対してより柔軟な画像処理を行うことができ、各色相毎には同じ無変換色範囲を指定することで、無変換色範囲を高速に指定することができる。しかも無変換色範囲は連続的に変化するため、作成される出力用画像データにアーチファクトが生じないという作用を有する。
【0271】
例えば、関数として、明度の大きいハイライト色と明度の小さいダーク色では、無変換範囲を広くし、明度が中間値では、無変換範囲を狭くするように指定する。つまり、この関数は、明度が基準点L2の明度より大きい領域では基準点L2を原点とした極座標系の緯度が大きいほど前記割合を高くし、明度が基準点L1の明度より小さい領域では基準点L1を原点とした極座標系の緯度が小さいほど前記割合を高くし、明度が基準点L1の明度と基準点L2の明度との間の領域は明度が基準点L1の明度もしくは基準点L2の明度に近いほど割合を高くする関数である。このようにすることで、画像において変換が行われると目につきやすいハイライトとダークの無彩色が変換されないので、より高品位な変換後画像を得ることができる。
【0272】
次に図1における無変換範囲加味変換量決定部106の動作の詳細について説明する。
【0273】
無変換範囲加味変換量決定部106の動作は、実施の形態2における極座標半径をModifiedRadiusに変更し、極座標の緯度をModifiedLatitudeに変更するだけであり、それ以外は実施の形態2と同様である。
【0274】
これにより、例えば色値の彩度のみを伸長する場合、画像データ全体の彩度を上げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにするため変換後の画像データの無彩色が着色することなくダイナミックレンジを拡大することができる。
【0275】
さらに、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで変換後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0276】
また、画像の色域を圧縮する場合、画像データ全体の彩りや明るさを下げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにするため変換後の画像データの無彩色が潰れることなくダイナミックレンジを圧縮することができる。
【0277】
さらに、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までの距離に比例して変換量を決定することで変換後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0278】
以上のように本実施の形態によれば、表色系変換部102がCIE/L***空間の明度L軸上に2つの基準点を持つ変形極座標系に変換するようにし、画像色域外郭変換量指定部104、無変換色範囲指定部105、無変換範囲加味変換量決定部106を変形極座標系において動作するようにし、画像色域外郭変換量指定部104が画像データの色域の最外郭における変換量を入力装置の色域は考慮せず画像データの色域と出力装置の色域に基づいて指定することにより、出力装置の色域を十分活用して画像データの色域を伸長、圧縮して画質を向上することができる。
【0279】
また、画像データの色域の最外郭から無変換色範囲の最外郭までのModifiedLatitudeの距離に比例して変換量を決定することで変換後でも画像データの色域形状が保存され、色値の表色系における相対位置も逆転しない。
【0280】
さらに、伸長の場合、画像データ全体の彩度及び明度を上げるのではなく、無彩色に近い色は変換しないようにするため変換後の画像データの無彩色が着色することなくダイナミックレンジを拡大することができる。
【0281】
以上のように、入力されたカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かに所望の装置へ出力するための画像処理方法が得られる。
【0282】
なお、実施の形態1または実施の形態2または実施の形態3では入力されたカラー画像データ毎にその色値をプリンタ装置111の色域内の候補色値に対応付けて色変換する形態で説明したが、所定の入力装置の色域内に含まれる色値をすべてL***表色系に変換し、この変換した色値をプリンタ装置111の色域内の候補色値に対応させる形態にも適用することが可能である。
【0283】
さらに、この形態の応用として、上述した動作と全く同じ動作により、予め、入力装置の色域内のすべての色値の座標値に対して、この座標値を色変換するプリンタ装置111の色値内の候補色値の座標値を対応させた処理結果を格納し、入力装置の色値をL***信号で入力しプリンタ装置111の候補色値をCMY信号で出力するルックアップテーブルの形態も考えられる。
【0284】
このようにして、ルックアップテーブルに入力装置の色域の色値のすべてを出力装置の色域に対応付けて格納しておけば、画像データがこのルックアップテーブルに対応した入力装置から入力されたものであるときは、ルックアップテーブルを参照するだけで出力装置へ出力するための信号を作成することができる。
【0285】
あるいは、入力装置の色域の色値の代表色値をプリンタ装置の色域に対応付けておき、画像データが入力装置から入力されたときにルックアップテーブルを参照して画像データに近い複数の色値を検索し、それらの色値から内挿補間することで出力装置へ出力するための信号を作成しても良い。
【0286】
このようなルックアップテーブルを画像処理装置に具備することで、所定の入力装置から入力された画像データの色値を、所定の出力装置に対応させた色値に変換する処理を行う必要がなくなる。このため、このような形態を採った画像処理装置によれば処理時間を大幅に削減できる。また、このような形態を採った画像処理装置は、特別な処理装置を具備する必要がないため小型化される。
【0287】
さらに、このルックアップテーブルをプリンタ装置の外部記憶部、例えばCDーROMなどに記憶し、プリンタ装置に具備する形態を採ることにより、同じ色域を持つプリンタ装置であれば、どのようなものにも適用でき、汎用性が増す。
【0288】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0289】
本実施の形態では、実施の形態1から実施の形態3のいずれかによって、出力装置用の画像データが作成されるが、それに比べて出力装置用の画像データにおいてアーチファクトの発生を抑制し、画質を向上させるようにしたものである。
【0290】
画質の低下の原因の一つには、プリンタの特性を計測したプロファイルにノイズが乗っている問題がある。
【0291】
プリンタの特性の一般的な計測方法について説明する。まず、CMYK信号で構成されるチャートをプリンタで出力し、例えば表色空間をCIE/L***空間とした場合には、出力結果のL***信号を分光測定器などで測定する。CMYK信号と出力であるL***信号を対応付けたルックアップテーブルを、一般にプリンタの色特性を記述したプリンタプロファイルと呼んでいる。得られたL***信号がL***空間で成す集合がプリンタ色域となる。
【0292】
この分光測定器の計測結果にノイズが乗っている場合には、プリンタの色域の外郭はきれいな凸にならず、図21に示すように、凹を含んだカーブとなってしまう。入力した画像データの色のうち、プリンタの色域外となってしまう色は、その色に最も近いプリンタの色域の最外郭上の色にマッピングするのが一般的である。しかし、この方法でマッピングすると、図22に示すようにマッピング先が凸部に集中してしまうため、入力画像では本来なめらかな色のグラデーションが、出力画像では不連続なグラデーションとなってしまう。
【0293】
一方、入力した画像データの色のうち、プリンタ色域内の色でも、計測時の誤差により、出力画像に偽輪郭やアーチファクトが残ってしまう。
【0294】
また、アーチファクトの別の原因として、入力した画像データの色のうち、プリンタ色域内の色とプリンタ色域外の色が、入力画像においてグラデーションを成していた場合には、プリンタ色域外の色のうちクリッピング処理された色のところで、階調がなくなるため、階調が不連続となり、出力画像上でアーチファクトとなる。
【0295】
また、アーチファクトの別の原因として、圧縮処理の不備によるものもある。圧縮量が大きいと、入力した画像データでは滑らかな階調であったものが、より狭い空間内に押し込められるように変換されるため、階調の滑らかさが低減することによるものである。
【0296】
また、別の原因として、補間処理の誤差によるものがある。
【0297】
これらの課題を解決するために、実施の形態4では、実施の形態1から実施の形態3のいずれかにおける画像処理装置において、色変換を行った後に、以下に述べるディザ処理部の処理を行ってから、得られた画像をプリンタプロファイル変換部でプリンタ信号に変換する。
【0298】
ディザ処理部では、入力画像データの色変換の方向、つまり実施の形態1の画像処理装置の場合は彩度の方向に、実施の形態2の画像処理装置の場合が極座標系における極半径の方向に、実施の形態3の画像処理装置の場合は変形極座標系におけるModifiedRadiusの方向にディザ処理を行う。
【0299】
ディザマトリクスは例えば4画素×4画素のものを用いる。図12に0から15までの番号を割り振ったディザマトリクスの一例を示す。ディザマトリクスはDither(x,y)で左からx番目、上からy番目のマトリクスを参照できるものとする。
【0300】
図12のディザマトリクスを用いたディザ処理部の詳細な動作について説明する。
【0301】
入力画像は実施の形態1から実施の形態3のいずれかの方法を用いて圧縮されているとし、得られた画像を色変換処理後画像と呼ぶ。
【0302】
まず、色変換処理後画像を左上から順に走査していく。左からx番目、上からy番目の注目画素において、式5を用いて、ディザ値Dを得る。
【0303】
D=Dither(×%4,y%4) ...(式5)
次に、図13は以降のディザ処理の説明図である。注目画素の極座標系における半径(あるいは彩度、あるいは変形極座標系におけるModifiedRadius値)をRとし、同色相、同緯度(あるいは同明度、あるいは同ModifiedLatitude値)における色変換処理後画像の色域の最外郭上点をRconvertedとし、同色相、同緯度(あるいは同明度、あるいは同ModifiedLatitude値)における入力画像の色域の最外郭上点をRinputとする。ディザ処理によって加算されるディザ値のダイナミックレンジをDrangeとし、Drangeの値は予め決定しておく。そして、ディザ処理後の極座標半径(あるいは彩度、あるいは変形極座標系におけるModifiedRadius値) Rnew を式6により算出する。
【0304】
Rnew=R+D×(1/15)×Drange ...(式6)
このように式6によりディザ値を注目画素の色の極座標半径に加算することで、同じ色が画像の位置毎に異なる色をとることになるため、上記画像中のアーチファクトが目につきにくくすることができる。
【0305】
なお、式6において、ディザ値のダイナミックレンジDrangeは例えば2×(Rinput−Rconverted)とおく。なぜなら、ディザ処理によって、4×4画素内において平均的にDrangeの1/2倍だけ極座標半径値(あるいは彩度、あるいはModifiedRadius値)が大きくなるため、Drangeを2×(Rinput−Rconverted)とおけば、圧縮された色変換処理後画像の色域を、空間的に平均して入力画像の色域にまで回復させることになるからである。
【0306】
しかし、入力画像の色域がプリンタの色域よりも大きかった場合に、ディザ処理によって色変換処理後画像の色域を入力画像の色域まで回復させると、多くのプリンタ色域外色値が発生する。これらのプリンタ色域外色値は、プリンタプロファイル変換部で、プリンタ色域の最外郭にマッピングされる。これをクリッピングという。
【0307】
このようにプリンタ色域外の色がある場合には、4×4画素内において平均的にDrangeの1/2倍だけ極座標半径(あるいは彩度、あるいはModifiedRadius値)が大きくなることを満たすことはできなくなり、画像全体がやや暗めとなる。しかし、入力画像をそのままクリッピングしたときには多くの色が同じ最外郭上の色にマッピングされて、それが出力画像では偽輪郭のようなアーチファクトとなるのに対し、本処理では、ディザ処理によって似通った色に振幅がかけられているため、このようなアーチファクトは目につきにくくなる。
【0308】
なお、このようなプリンタ色域外色が発生するために画像がやや暗めになることをできるだけ回避する方法として、加算するディザ値のうち、プリンタ色域内となる色を、より値の大きな値に補正することを提案する。
【0309】
このようにすることで、色域外色によって平均的に入力画像に加算される値が小さくなってしまった分を補うことができる。
【0310】
具体的には、次のように計算する。まず、入力した画像のある4×4画素領域において、プリンタ色域外となる色の数をnとする。4×4画素領域において入力画像に加算されるD×Drangeの期待値は理想的には式7となる。
【0311】
1/16×(0+1+2+...+15) ...(式7)
しかし、このうちn個がプリンタ色域外となっている場合には、式8となってしまう。
【0312】
1/16×(0+1+2+...+(16−n−1)+(16−n)×n)
=1/16×(0+1+2+...+(16−n−1))+1/16×(16−n)×n...(式8)
なお、式8において(0+1+2+...+(16−n−1))=Sumとおくと、式9のようになる。
【0313】
1/16×Sum+1/16×(16−n)×n...(式9)
そこで、式8の値が式7の理想値に近づくように、式9のSumの値、すなわち、(16−n−1)以下の値をより大きくすることを考える。具体的には、式10を満たすNewSumを求める。
【0314】
1/16×NewSum+1/16×(16−n)×n=1/16×(0+1+2+...+15)...(式10)
最後に、NewSumとSumの比Ratioを式11で求め、ディザマトリクスのうち、(16−n−1)以下の値にRatioをかけた値を、新しくディザ値とするように、ディザマトリクスを構成しなおす。なお、Ratioは1より大きい値となる。
【0315】
Ratio=NewSum/Sum ...(式11)
例を示す。図14はn=3の場合に上記手法で構成しなおしたディザマトリクスである。15,14,13の3箇所はプリンタ色域外色なので、プリンタ最外郭上にクリッピングされる。そのため、もともとのディザマトリクスでは、色の平均値が理想より小さくなってしまうため、本手法により、図12のディザマトリクスディザ値のうち、プリンタ色域内となる色には、ディザ値としてより大きい値を用いるようにディザマトリクスを再構成することで、全体の平均値を上げている。
【0316】
以上のように、本実施の形態によれば、色変換方向、つまり彩度の方向、あるいは極座標系における極半径の方向、あるいは変形極座標系におけるModifiedRadiusの方向にディザ処理を行うことで、出力画像におけるアーチファクトを抑制することができる。
【0317】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5について、図面を用いながらその詳細を説明する。
【0318】
本実施の形態では、実施の形態1あるいは実施の形態3のいずれかによって、出力装置用の画像データが作成されるが、それに比べ出力装置用の画像データにおいてアーチファクトの発生を抑制し、画質の向上を行うものである。
【0319】
画質の低下の原因の一つには、プリンタの特性を計測したプロファイルにノイズが乗っている問題がある。
【0320】
プリンタの特性の一般的な計測方法について説明する。まず、CMYK信号で構成されるチャートをプリンタで出力し、例えば表色空間をCIE/L***空間とした場合には、出力結果のL***信号を分光測定器などで測定する。CMYK信号と出力であるL***信号を対応付けたルックアップテーブルを、一般にプリンタの色特性を記述したプリンタプロファイルと呼んでいる。得られたL***信号がL***空間で成す集合がプリンタ色域となる。
【0321】
この分光測定器の計測結果にノイズが乗っている場合には、プリンタの色域の外郭はきれいな凸にならず、図21に示すように、凹を含んだカーブとなってしまう。入力した画像データの色のうち、プリンタの色域外となってしまう色は、その色に最も近いプリンタの色域の最外郭上の色にマッピングするのが一般的である。しかし、この方法でマッピングすると、図22に示すようにマッピング先が凸部に集中してしまうため、入力画像では本来なめらかな色のグラデーションが、出力画像では不連続なグラデーションとなってしまう。
【0322】
そこで本実施の形態では、画像入力装置により入力された画像データから所望の画像出力装置に出力する画像を作成する際に、画像出力装置の色域の最外郭に凹部がある場合に、これを補正して色域が全体で凸包となるように補正する。
【0323】
このように、出力装置の色域が凸包となるように補正することで、出力画像におけるアーチファクトを抑制することができる。特に、入力画像における色のグラデーションが出力画像で不連続となってしまうことを避けることができる。
【0324】
具体的な本発明に基づくプリンタプロファイルの作成方法について説明する。まず、プリンタからCMYK信号で構成されるチャートをプリンタで出力し、例えば表色空間をCIE/L***空間とした場合には、出力結果のL***信号を分光測定器などで測定する。得られたL***信号がL***空間で成す集合がプリンタ色域となる。
【0325】
次に、プリンタの色域において、凸を形成する色値のみを抽出する。その具体方法はいくつか考えられるが、例えば、プリンタ色域全体を包含する仮想的な球を考える。この球上の等間隔な複数の色を、プリンタ色域において最も近い色にマッピングさせる。このように、最も近い色にマッピングすると、そのマッピング先はすべてプリンタ色域において凸を成す色となる。
【0326】
次に、例えば極座標系を用いる場合には、プリンタ色域の最外郭を、極座標の色相、緯度で等間隔にサンプリングし、対応する半径を算出する。各色相、緯度における半径は、上記で凸を成すと判定された色から補間して算出する。補間には例えば、ラグランジュ補間などを用いることができる。図15は凸の色データから補間により新しい色データを発生する場合の説明図である。
【0327】
最後に、計測して得られたL***信号に、上記で補間により得られた新しい色データを加え、これら両方の色によりプリンタ色域を構成しなおす。
【0328】
以上の方法により凸のプリンタ色域を構成することができる。
【0329】
このようにして得られた凸のプリンタ色域に、入力した画像データのうちプリンタ色域外となる色をクリッピングすることで、出力画像におけるアーチファクトを軽減し、特にグラデーションが不連続となるようなことがなくなる。
【0330】
以上のように本実施の形態によれば、出力装置の色域が凸になるように補正することで、入力した画像データの色のうち、出力装置の色域外となる色を、出力装置の色域の最外郭にマッピングする際に、凸部にマッピング先が集中してしまうことによって出力画像上で不連続なグラデーションが起こることを簡単に回避することができる。
【0331】
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6について、図面を用いながらその詳細を説明する。
【0332】
本発明の実施の形態6は、実施の形態5に記載した課題と同様のアーチファクトを解決するものである。
【0333】
本形態では、実施の形態1から実施の形態3のいずれかのプリンタプロファイル変換部110において、入力した画像データあるいは圧縮あるいは伸長色変換処理後画像データの色に対応する出力装置の色を探索する場合に、画像データの色変換方向の周囲に限定、つまり画像データの注目色の色相、明度の周囲に探索範囲を限定するか、あるいは極座標系では、注目色の色相、緯度の周囲に探索範囲を限定するか、あるいは変形極座標系では、注目色のhue,ModifiedLatitudeの周囲に探索範囲を限定する。
【0334】
図16は本形態におけるプリンタ色域外色がクリッピングされる様子を説明する図である。このように、探索範囲を限定することで、図22のようにマッピングが凸に偏ることなく、プリンタ色域が凹となっている箇所にもマッピングされるため、良好な出力画像を得ることができる。
【0335】
以上のように、本実施の形態によれば、入力された画像データの色に対応する出力装置の色を探索する場合に、前記画像データの注目色の色相、明度の周囲に探索範囲を限定するか、あるいは極座標系では、注目色の色相、緯度の周囲に探索範囲を限定するか、あるいは変形極座標系では、注目色のhue,ModifiedLatitudeの周囲に探索範囲を限定することにより、入力した画像データの色のうち出力装置の色域外となる色を出力装置の色域の最外郭にマッピングする際に、通常凸部にマッピング先が集中してしまうことを回避して、凹部にもマッピングされるようになるため、出力画像におけるアーチファクトを軽減することができる。
【0336】
また、本発明は、上述した一連の処理をCDROMに記憶し、CDROMに記憶してあるプログラムをPC上のRAMにダウンロードし、PCのCPUに表色系変換部102、注目画素設定部103、画像色域外郭変換量指定部104、無変換色範囲指定部105、無変換範囲加味変換量決定部106、色変換部107、全体処理部108、プリンタプロファイル変換部110が行う処理を行わせる形態のものである。また、入力プロファイル102、プリンタプロファイル109などのプロファイルもCDROMに記憶してあり、PC上のRAMに格納される。
【0337】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、入力されたカラー画像データの画質を向上し画像内に含まれる情報をより豊かにする画像処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる画像処理方法のブロック構成図
【図2】実施の形態1にかかる色域差最小点が検索された色相における画像データ色域とプリンタ色域を説明するための図
【図3】実施の形態1にかかる画像データの色域における無変換色範囲を説明するための図
【図4】実施の形態1にかかる画像データの色域における無変換色範囲を説明するための図
【図5】実施の形態1にかかる無変換色範囲を外郭上点の座標値を引数とした関数で指定する場合の説明図
【図6】実施の形態1にかかる無変換範囲加味変換量決定部の動作を説明するための図
【図7】本発明の実施の形態2にかかる最小距離が検索された色相における画像データ色域とプリンタ色域を説明するための図
【図8】実施の形態2にかかる画像データの色域における無変換色範囲を説明するための図
【図9】実施の形態2にかかる無変換範囲加味変換量決定部の動作を説明する図
【図10】本発明の実施の形態3にかかる変形極座標系での色変換の説明図
【図11】実施の形態3にかかる変形極座標系での色変換の効果を示す図
【図12】本発明の実施の形態4にかかるディザマトリクスの例を示す図
【図13】実施の形態4にかかるディザ処理の説明図
【図14】実施の形態4にかかる補正型ディザマトリクスの例を示す図
【図15】本発明の実施の形態5にかかるプリンタ色域の凹部補正の説明図
【図16】本発明の実施の形態6にかかるマッピング手法の説明図
【図17】従来の画像処理方法にかかるはダイナミックレンジの上限値、ダイナミックレンジの下限値、ダイナミックレンジの中間値、及び画像データの信号とダイナミックレンジの上限値との差の最小値を説明する図
【図18】従来の画像処理方法を説明するための、プリンタ、ディスプレイ、画像の色域を示した図
【図19】従来の画像の色域形状を考慮せずに画像色域を圧縮する方法の問題点を説明するための図
【図20】従来の明度軸上の中間点に向かう色変換する方法を説明するための図
【図21】プリンタ色域における計測ノイズを説明するための図
【図22】従来の最近傍点をクリッピング先とする方法の問題点を説明するための図
【符号の説明】
101 入力プロファイル
102 表色系変換部
103 注目画素設定部
104 画像色域外郭変換量指定部
105 無変換色範囲指定部
106 無変換範囲加味変換量決定部
107 色変換部
108 全体制御部
109 プリンタプロファイル
110 プリンタプロファイル変換部
111 プリンタ装置

Claims (12)

  1. 画像データを色相、明度、彩度によって表される表色空間の明度軸上に原点を持つ極座標系に変換する表色系変換工程と、前記表色系で表現された画像データの色域と所定の出力装置色域に基づいての最外郭色値変換量を指定する画像色域外郭変換量指定工程と、前記表色系で表現された画像データの色域内色値変換量を、前記画像データの色域最外郭から色値を変換しない無変換色範囲の最外郭までの極座標半径の距離に比例して決定する色域内変換量決定工程と、前記最外郭値変換量と前記色域内色値変換量に基づいて色変換を行う色変換工程を有する画像処理方法。
  2. 前記表色系変換工程は、明度軸と2つの彩度軸によって表される表色空間の前記明度軸上に、第1の基準点と前記第1の基準点より小さい明度を有する第2の基準点を設定し、明度が前記第1の基準点の明度より大きい前記画像データは前記第1の基準点を原点とした極座標系に変換し、明度が前記第2の基準点の明度よりも小さい前記画像データは前記第2の基準点を原点とした極座標系に変換し、明度が前記第1の基準点の明度と前記第2の基準点の明度との間の前記画像データは円柱座標系に変換し、
    前記色域内色値変換量は、明度が前記第1の基準点の明度より大きい前記画像データは前記画像データの色域最外郭から無変換色範囲の最外郭までの前記第1の基準点を原点とした極座標半径の距離に比例して決定され、明度が前記第2の基準点の明度より小さい前記画像データは前記画像データの色域最外郭から無変換色範囲の最外郭までの前記第2の基準点を原点とした極座標半径の距離に比例して決定され、明度が前記第1の基準点の明度と前記第2の基準点の明度との間の前記画像データは前記画像データの色域最外郭から無変換色範囲の最外郭までの彩度の距離に比例して決定されることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  3. 前記表色系変換工程は、前記第1の基準点及び前記第2の基準点を、各色相毎に連続的に変化させることを特徴とする請求項2記載の画像処理方法。
  4. 前記無変換色範囲は、無彩色軸から前記画像データの色域最外郭までの距離の割合で指定され、前記割合は、前記色域最外郭上の点の座標値を引数とした関数で記述されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理方法。
  5. 前記無変換色範囲は、無彩色軸から前記画像データの色域最外郭までの距離の割合で指定され、前記割合は、前記色域最外郭上の点の明度の関数で記述されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理方法。
  6. 前記関数は、明度が、ハイライト色あるいはダーク色に相当する場合には前記割合を高く、前記ハイライト色及び前記ダーク色に属さない場合には前記割合を低くする関数であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
  7. 前記無変換色範囲は、無彩色軸から前記画像データの色域最外郭までの距離の割合で指定され、前記割合は、前記色域外郭上の点の極座標系の緯度を引数とした関数で記述されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理方法。
  8. 前記関数は、前記緯度の絶対値が大きいほど前記割合を高くし、前記緯度の絶対値が小さいほど前記割合を低くする関数であることを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
  9. 前記無変換色範囲は、無彩色軸から画像データの色域外郭までの距離の割合で指定され、前記割合は、明度軸と2つの彩度軸によって表される表色空間の前記明度軸上に、第1の基準点と前記第1の基準点より小さい明度を有する第2の基準点を設定し、明度が前記第1の基準点の明度より大きい領域は前記第1の基準点を原点とした極座標系の緯度を引数とし、明度が前記第2の基準点の明度より小さい領域は前記第2の基準点を原点とした極座標系の緯度を引数とし、明度が前記第1の基準点の明度と前記第2の基準点の明度との間の領域は明度を引数とした関数で記述されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理方法。
  10. 前記関数は、明度が前記第1の基準点の明度より大きい領域では前記第1の基準点を原点とした極座標系の緯度が大きいほど前記割合を高くし、明度が前記 第2の基準点の明度より小さい領域では前記第2の基準点を原点とした極座標系の緯度が小さいほど前記割合を高くし、明度が前記第1の基準点の明度と前記第2の基準点の明度との間の領域は明度が前記第1の基準点の明度もしくは第2の基準点の明度に近いほど前記割合を高くする関数であることを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
  11. 前記画像データの前記色変換後に、前記色変換の方向にディザ処理を行うディザ処理工程を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の画像処理方法。
  12. 前記出力装置色域の最外郭に凹部がある場合、前記出力装置色域の最外郭の凸部データを抽出する凸部抽出工程と、前記凸部抽出工程で抽出されなかった前記出力装置色域の最外郭のデータを前記凸部抽出工程で抽出された前記凸部データを補間して求める凹部データ補正工程と、前記凹部データ補正工程で作成されたデータを前記出力装置の色域に加えることによって全体的に凸である、前記出力装置の新たな色域を作成する出力装置色域再構成工程と、を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の画像処理方法。
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