JP3763383B2 - 多角形描画装置および多角形描画方法、ならびに多角形描画プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

多角形描画装置および多角形描画方法、ならびに多角形描画プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正多角形や星型等の多角形を描画する多角形描画装置および多角形描画方法、ならびに多角形描画プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、直線を組み合わせて多角形を描く場合、あらかじめ求めておいた座標をクリックして頂点を配置しながら頂点間を連結線で結ぶため、非常に手間がかかっていた。特に、星型等の複雑な図形を描く場合、すべての頂点の座標を上下左右のバランスに注意しながら求め、点と点との繋がりを意識しながら連結線を引く必要があるため、きれいに描くことが難しかった。
【0003】
そこで、補助円の中心について点対称である正多角形(図6(a))や星型(図6(b))などの多角形を描く場合には、指定された補助円に基づいてすべての頂点の座標を計算して描く方法があった。なお、図6(a)・(b)は、本発明の説明図である。
【0004】
この方法では、すべての頂点の位置をあらかじめ算出しておき、頂点を配置して連結線を引く動作を繰り返して多角形を描画する。例えば正五角形は、頂点を配置しながら連結線を引く動作を5回繰り返すことで描画できる。また、頂点が5つの星型は、この動作を10回繰り返して10本の連結線を組み合わせることで描画できる。しかし、この方法では、多角形は各線分ごとに管理されるため、一度描画すると多角形として修正することができなかった。
【0005】
この問題を解決する方法として、想定される図形のオブジェクトをあらかじめ用意しておく方法がある。すなわち、この方法では、あらかじめ用意されているオブジェクト群から所望の形状(頂点の数等)のオブジェクトを選択して、所望の位置に配置することにより多角形を描画することができる。例えば五角形を描く場合、オブジェクト群から五角形のオブジェクトをドラッグして目標の位置に配置し、大きさ等を設定する。また、星型も全く同様の操作で描くことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のあらかじめ用意されているオブジェクトを利用する多角形の描画方法では、描画後に形状を変更することが難しいという問題点があった。すなわち、一度描画を確定すると、頂点の数等の形状の変更は不可能であった。例えば、正五角形から正六角形への変更や、正五角形から星型への変更はできなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、頂点の座標をあらかじめ求めることなく、描画後に頂点の数を含めて各属性の属性値の変更が可能な、正多角形や星型等の多角形を描画することができる多角形描画装置および多角形描画方法、ならびに多角形描画プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の多角形描画装置は、上記の課題を解決するために、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する多角形描画手段と、属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備することを特徴としている。
【0009】
また、本発明の多角形描画方法は、上記の課題を解決するために、多角形描画装置の多角形描画方法であって、上記多角形描画装置が備える属性値管理手段が、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する第1のステップと、上記多角形描画装置が備える多角形描画手段が、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する第2のステップと、上記多角形描画装置が備える描画制御手段が、属性値の変更を検知して描画を更新する第3のステップとを含むことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の多角形描画プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記の課題を解決するために、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する第1の処理と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する第2の処理と、属性値の変更を検知して描画を更新する第3の処理とを、コンピュータに実行させるための多角形描画プログラムを記録していることを特徴としている。
【0011】
上記の構成により、多角形描画手段(第2のステップ,第2の処理)で各属性の属性値に基づいて多角形を描画した後、属性値管理手段(第1のステップ,第1の処理)で変更可能に管理されている属性値の変更を、描画制御手段(第3のステップ,第3の処理)で検知して、描画を更新することができる。
【0012】
したがって、多角形を所定の属性を備えた多角形オブジェクトとして定義するため、頂点の座標をあらかじめ求めることなく描画することができる。また、描画後に頂点の数を含めて各属性値を変更できるように管理するとともに、属性値の変更を検知するため、頂点の数の増減等の変更をリアルタイムに反映して多角形を描画することができる。
【0013】
例えば、正五角形から正六角形へ変更する場合、正五角形のオブジェクトを削除した後、正六角形のオブジェクトを新規作成する必要がなく、頂点の数の属性値を5個から6個に変更するだけで修正することができる。
【0014】
また、本発明の多角形描画装置は、上記の課題を解決するために、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する星型を描画する星型描画手段と、属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備することを特徴としている。
【0015】
上記の構成により、星型描画手段で各属性の属性値に基づいて星型を描画した後、属性値管理手段で変更可能に管理されている属性値の変更を、描画制御手段で検知して、描画を更新することができる。
【0016】
したがって、星型を所定の属性を備えた多角形オブジェクトとして定義するため、頂点および凹点の座標をあらかじめ求めることなく描画することができる。また、描画後に頂点の数を含めて各属性値を変更できるように管理するとともに、属性値の変更を検知するため、頂点の数の増減等の変更をリアルタイムに反映して星型を描画することができる。
【0017】
例えば、星型の頂点の数を5個から6個へ変更する場合、頂点が5個のオブジェクトを削除した後、頂点が6個のオブジェクトを新規作成する必要がなく、頂点の数の属性値を5個から6個に変更するだけで修正することができる。
【0018】
また、本発明の多角形描画装置は、上記の課題を解決するために、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、多角形か星型かの指定を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する多角形描画手段と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する星型を描画する星型描画手段と、多角形か星型かの指定に応じて、上記の多角形描画手段と星型描画手段とを切り換える切り換え手段と、属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備することを特徴としている。
【0019】
上記の構成により、切り換え手段で多角形か星型かの指定に応じて選択された多角形描画手段あるいは星型描画手段で各属性の属性値に基づいて多角形あるいは星型を描画した後、属性値管理手段で変更可能に管理されている属性値の変更を、描画制御手段で検知して、描画を更新することができる。
【0020】
したがって、多角形および星型を所定の属性を備えた多角形オブジェクトとして定義するため、頂点および星型の凹点の座標をあらかじめ求めることなく描画することができる。また、描画後に多角形か星型かの指定を含めて各属性値を変更できるように管理するとともに、属性値の変更を検知するため、多角形か星型かの指定等の変更をリアルタイムに反映して多角形を描画することができる。
【0021】
例えば、正五角形から頂点が5個の星型へ変更する場合、正五角形のオブジェクトを削除した後、頂点が5個の星型のオブジェクトを新規作成する必要がなく、正多角形か星型かの指定の属性値を変更するだけで修正することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図1から図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0023】
本実施の形態に係る多角形描画装置は、補助円の中心(オブジェクトの中心)について点対称である正多角形(図6(a))や星型(図6(b))などの多角形を、頂点の座標をあらかじめ求めることなく、描画後に頂点の数を含めて各属性の変更が可能であるように描画するものである。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係る多角形描画装置は、CPU1、メモリ部2、入力部3、表示部4およびアプリケーション部5を備えて構成されている。
【0025】
上記CPU1は、メモリ部2に記憶されたシステムプログラムにしたがって、システム全体を制御するほか、アプリケーション部5のプログラムおよびデータにしたがって多角形描画処理(後述)を行うようになっている。
【0026】
上記メモリ部2は、上記システムプログラムを格納するROM(read only memory)、多角形描画処理に必要なデータを一時的に格納するためのメモリ(RAM(random access memory)など)といったメモリ装置を含んでいる。
【0027】
上記入力部3は、多角形描画処理に必要なデータ入力を始めとする各種の操作を行うために利用できるマウス、キーボードなどの入力装置である。
【0028】
上記表示部4は、描画図形を表示するためのCRT(cathode-ray tube)、LCD(liquid crystal display)などの表示装置である。
【0029】
上記アプリケーション部5は、上記CPU1によって実行される多角形描画機能を実現するためのソフトウェアの集合体であって、ハードディスクドライブ(図示せず)などの記憶装置に格納されている。このアプリケーション部5は、特に、描画制御部(描画制御手段)51、属性値管理部(属性値管理手段)52、描画実行部53を含んでいる。
【0030】
ここで、本実施の形態に係る多角形描画装置の機能は、描画に必要な境界線(外形線)、塗り込み色、塗り込み開始座標などのデータを入力する作画エディタの一機能として組み込まれていてもよい。この作画エディタとしては、既存の描画ソフトウェア(描画ソフト)のエディタ機能を利用してもよい。また、この作画エディタとしては、FA(factory automation)の分野などで幅広く活用されているプログラマブル表示器用の画面作成ソフトウェア(作画ソフト)が備えるエディタ機能や、作画ソフトにあらかじめ用意されている基本図形を利用してもよい。
【0031】
プログラマブル表示器は、ドット表示画面、操作用入力スイッチ、ホストコントローラとのインタフェース、画面上での操作入力のような制御のためのプログラムメモリなどを備えた操作用表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示を行うので、操作盤、スイッチ、表示灯などの機能を備えることができるほか、制御対象機器の稼働状況や作業指示のような管理のための各種のモニタ、機器に対する設定値を入力する端末としての機能を備えている。
【0032】
このようなプログラマブル表示器で表示される画面は、上記の作画ソフトを用いてユーザ独自で作成できるようになっている。画面作成に際しては、ユーザが、作画ソフトによって提供されるスイッチ、テンキー、メータ表示器、グラフ表示器等の部品、描画機能などを用いて所望の画面を構成する。そして、その描画機能を作画エディタとして利用できる。
【0033】
つづいて、上記アプリケーション部5の描画制御部51、属性値管理部52、描画実行部53について説明する。
【0034】
上記属性値管理部52は、属性値入力部52aと、補助円作成部52bとを備えて構成されている。
【0035】
ここで、本実施の形態に係る多角形描画装置で描画される多角形オブジェクトは、本質的には、頂点の数のみを指定して正多角形または星型を描画するように定義されている。
【0036】
上記の属性値管理部52および描画実行部53では、描画する正多角形および星型の図形を、各属性値が変更可能な属性を備えたオブジェクト(多角形オブジェクト)として定義している。
【0037】
具体的には、上記多角形オブジェクトは、位置・大きさ・頂点の数・正多角形/星型の指定・色等の属性が定義されている。また、上記多角形オブジェクトは、頂点の数のみを指定して補助円に内接する正多角形または星型を描画するものとして定義されている。すなわち、上記多角形オブジェクトは、頂点の数が可変な正多角形あるいは星型のオブジェクトである。
【0038】
これにより、上記属性値管理部52は、頂点の数・正多角形/星型の指定を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理することができる。
【0039】
なお、上記属性値管理部52では、各頂点の座標は扱わない。これは、従来のように描画後に各頂点を座標にしてしまうと、それ以後の変更ができなくなるためである。
【0040】
そして、頂点ノード(頂点)の数や正多角形/星型の指定等の属性は、属性値入力部52aの設定画面(属性設定ツール)で設定することができる。また、位置・大きさ等の属性は、補助円作成部52bで補助円を描くことにより設定することができる。なお、属性値管理部52および補助円作成部52bによる属性値の変更は、描画後の任意の時点で可能である。
【0041】
上記描画実行部53は、正多角形描画部(多角形描画手段)53a、星型描画部(星型描画手段)53b、切り換え部(切り換え手段)53cを備えて構成されている。
【0042】
上記描画実行部53は、多角形オブジェクトの各属性値に基づいて多角形を描画する。具体的には、まず、切り換え部53cが、正多角形/星型の指定に基づいて、正多角形描画部53aおよび星型描画部53bの何れか一方を選択する。すなわち、正多角形/星型の指定が正多角形であれば正多角形描画部53aで正多角形を描画し、星型であれば星型描画部53bで星型を描画する。
【0043】
基本的には、正円の補助円に基づき、円周を均等割りするように頂点ノードを決めて、正多角形あるいは星型を描画する。なお、正多角形描画部53aおよび星型描画部53bによる具体的な描画方法については後述する。
【0044】
上記描画制御部51は、描画された多角形オブジェクトの属性値が変更されたか否かを監視し、属性値の変更を検知すると、その多角形オブジェクトを新たな属性値に基づいて再度描画する。
【0045】
これにより、ユーザが頂点の追加や形状の変更を行うと、ほぼ同時に描画制御部51が属性値の変更を検知して再描画するため、ユーザは変更結果をリアルタイムで確認することができる。
【0046】
つづいて、図2のフローチャートおよび図3〜図7の説明図を参照しながら、本実施の形態に係る多角形描画装置の動作について説明する。なお、以下では、五角形および頂点が5つの星型を多角形の例として説明する。
【0047】
上記多角形描画装置の動作の概略は、図2のフローチャートに示すとおりである。なお、ステップS1・S2が第1のステップ(第1の処理)に、ステップS3が第2のステップ(第2の処理)に、ステップS4が第3のステップ(第3の処理)にそれぞれ相当する。
【0048】
まず、ステップS1では、オブジェクトの属性値を設定する。
【0049】
後述するように、上記の属性値管理部52および描画実行部53は、描画する正多角形および星型の図形を、属性を備えたオブジェクト(多角形オブジェクト)として扱う。
【0050】
そして、多角形オブジェクトの属性のうち位置および大きさを除く属性は、ステップS1において、属性設定ツール(図3(a),(b))を用いて設定できる。なお、属性設定ツールは、上記属性値管理部52のユーザインタフェースプログラムである。また、多角形オブジェクトの位置および大きさの属性は、ステップS2(後述)において、補助円を描きながら設定することができる。
【0051】
図3(a)は、属性設定ツールの形状(Shape)関連の属性を設定するページである。図3(a)に示すように、この設定ページには多角形の頂点ノードの数(Number of Nodes)を記入するボックス71が設けられている。そして、ボックス71に記入されている数字に応じて、この設定で描画される正多角形および星型の形状が例示部72a・72bにそれぞれ表示される。さらに、例示部72a・72bの横にはラジオボタンがそれぞれ設けられており、正多角形および星型の何れを描画するのかを選択することができる。
【0052】
なお、頂点ノードの数は最小3個(すなわち、正三角形を描画する)より設定でき、5個以上の場合に例示部72bに星型が表示されて選択可能になる。また、必要により頂点ノードに上限(例えば、30個)を設定してもよい。
【0053】
図3(b)は、属性設定ツールの色(color )関連の属性を設定するページである。図3(b)に示すように、この設定ページでは多角形の外形線(Line Setting)(図7(b)の外形線L)および内部の塗り込み(塗りつぶし)(Fill Setting)(図7(b)の内部B)の属性を設定できる。
【0054】
まず、外形線については、線の色(Ln:Black)、点滅の有無(Blk:No)、線幅(Width )、線種(Style )の属性値が、あらかじめ設定されているリストよりそれぞれ選択されて、ボックス73a・73b・73c・73dに表示される。例えば、外形線の線種では、実線、点線、一点鎖線等を選択できる。
【0055】
また、内部の塗り込みについては、前景の色(Fg:Black)、前景の点滅の有無(FgBlk:No)、背景の色(Bg:Black)、背景の点滅の有無(BgBlk:No)、模様(Pattern)の属性値が、あらかじめ設定されているリストよりそれぞれ選択されて、ボックス74a・74b・74c・74d・74eに表示される。なお、外形線と内部の塗り込みとの属性値の組み合わせで、塗り込みの有無が設定できる。
【0056】
さらに、オブジェクトの属性値は、図3(a),(b)に示した属性設定ツールを用いて設定するほか、図4に示す属性設定ツールを用いても設定することができる。また、多角形の描画後にこれらの属性設定ツールを起動すれば、オブジェクトの属性値を確認して、変更することができる。なお、図4には、図3で設定した属性値に加えて、描画したオブジェクトの名前(Name)およびオブジェクト枠F(図7(b))の形状に関する属性値(Top,Left,Width,Height)も表示されている。
【0057】
ステップS2では、目的の五角形D1(図6(a))あるいは星型D2(図6(b))が内接する補助円Sを作成する。この補助円Sは、多角形オブジェクトの位置および大きさを決める基準線となる。なお、補助円Sの作成方法には、以下の2種類の方法があり、キー操作により相互に切り換えられる。
【0058】
図5(a)に示すように、例えばマウスを開始点Rsでクリックした後、コントロールキーを押しながら終了点Reまで斜め方向にドラッグすると、開始点Rsおよび終了点Reを対角とする正方形のオブジェクト枠Fの位置および大きさが決定される。そして、マウスの移動に応じて伸縮するオブジェクト枠Fに内接する円として、補助円Sが描画され決定される。なお、マウスをドラッグさせる方向は、オブジェクト枠Fの左上角から右下角、左下角から右上角、右上角から左下角、右下角から左上角の何れであってもよい。
【0059】
また、図5(b)に示すように、例えばマウスを中心点Cでクリックした後、コントロールキーおよびシフトキーを押しながら何れかの方向にドラッグすると、中心点Cからの距離を半径として補助円Sが決定される。この場合、補助円Sに外接する正方形としてオブジェクト枠Fが決定される。
【0060】
つぎに、ステップS3では、多角形オブジェクトの形状の属性に基づいて、正多角形および星型の何れを描画するのかを判別する。すなわち、例示部72a(図3(a))が選択されている場合には正多角形描画部53aにより正多角形を描画する一方、例示部72b(図3(a))が選択されている場合には星型描画部53bにより星型を描画する。なお、この判別は描画制御部51によって行われる。
【0061】
ここで、正多角形および星型の描画方法について具体的に説明する。
【0062】
図6(a)に示すように、正多角形の描画方法は、補助円Sを決定した後、例えば表示画面の垂直方向の最上点を頂点ノードP1として、これを基準に円周をn等分する点(頂点ノードP2〜P5)を求め、それらを順に結べばよい。
【0063】
図6(b)に示すように、星型の描画方法は、補助円Sを決定した後、まず、例えば表示画面の垂直方向の最上点を頂点ノードP1として、これを基準に円周をn等分する点(頂点ノードP2〜P5)を求める。つぎに、一定個数(図6(b)では2個)離れて隣接する頂点ノード同士を連結線(P1P3、…)で結び、連結線同士の交点のうち頂点ノードと隣接する交点を凹点(凹点ノードQ1〜Q5)とする。そして、頂点ノードと凹点ノードとを両端とする区間(P1Q1、…、Q5P1)以外の連結線(Q1Q2、…、Q5Q1)を消去する。
【0064】
なお、上記のように、起点である頂点ノードP1を表示画面の垂直方向の最上点に配置することにより、正多角形および星型を左右対称に描画することができる。
【0065】
ステップS4では、描画した多角形オブジェクトの属性値が変更されたか否かを監視し、変更を検知した場合には(YES)、新たな属性値で再描画するように、ステップS1へ移行する。
【0066】
多角形オブジェクトの形状と頂点ノードの数とは、属性設定ツール(ステップS1)を使用して設定を変更することができる。例えば、正五角形で描画した多角形オブジェクトを正六角形へ変更したり、正五角形から星型へ変更できる。また、多角形オブジェクトの位置・大きさは、オブジェクト枠(図7(b))を変更することにより変更できる。
【0067】
つづいて、図7(a)・(b)を用いて、多角形の画面表示について説明する。
【0068】
図7(a)は、属性値確定前(描画中)の多角形オブジェクトである。オブジェクトを描く過程では、補助円Sとして正円が表示される。そして、描画操作の間、正多角形あるいは星型が、伸縮する補助円Sに内接して描かれる。
【0069】
図7(b)は、属性値確定後(描画後)の多角形オブジェクトである。描画後は、属性値に設定されている色で表示される。もちろん、色についても変更できる。
【0070】
確定した多角形オブジェクトは、外周が表示画面のXY座標軸とそれぞれ平行な矩形のオブジェクト枠Fで境界付けられている。描画完了後には、正方形のオブジェクト枠Fが表示される。
【0071】
確定後の多角形オブジェクトは、補助円Sではなく、オブジェクト枠Fによって取り扱うことができる。例えば、オブジェクト枠Fは、枠線をマウスでドラッグすることによって、長方形に変形できる。これにより、オブジェクト枠Fに内接する補助円Sが楕円に変形し、その結果補助円Sに内接する五角形や星型を変形させることができる。
【0072】
また、五角形や星型は、オブジェクト枠Fとともに回転させることができる。例えば、表示画面に対して90°単位で回転させることができる。
【0073】
本実施の形態に係る多角形描画装置では、ユーザに対して、正多角形あるいは星型を補助円とともに伸縮させながら表示し、ユーザが適当な位置・大きさで確定できるようにすることが可能である。すなわち、補助円Sを斜め方向に伸縮させる方法(図5(a))および中心から等方的に伸縮させる方法(図5(b))のどちらの方法であっても、伸縮する補助円Sに内接して多角形オブジェクトである正五角形D1(図6(a))あるいは星型D2(図6(b))が描画される。これにより、ユーザは、結果をリアルタイムで確認しながら描画することができる。
【0074】
ここで、本実施の形態に係る多角形オブジェクトは、本質的には、頂点の数のみを指定して正多角形または星型を描画するように定義されている。よって、星型の凹点ノードQ1〜Q5(図6(b))は頂点ノード間の連結線上に決まるため、この位置は変更できない。しかし、多角形オブジェクトの定義を変更することで、他の形状の多角形にも適用できることはいうまでもない。
【0075】
例えば、星型の凹点ノードの中心からの距離を変えるために、星型の内部に内接する円の半径の属性を追加してもよい。また、星型を描画する際の連結線の結び方を3個以上離れた頂点ノードと行うように定義することもできる。
【0076】
以上のように、上記多角形描画装置では、頂点ノードおよび凹点ノードの座標位置をあらかじめ計算することなく、正多角形あるいは星型を描画することができる。また、ユーザは属性値を設定するとともに補助円を作成するだけで、複雑な形状の多角形を描画することができる。また、描画の過程では最終結果を表示するため、ユーザは確認しながら描画できる。さらに、変更の自由度が大きく、頂点の追加あるいは削除や正多角形と星型との相互の変更なども可能である。
【0077】
最後に、上記の実施の形態は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、以下のように構成することができる。
【0078】
本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、端末コンピュータ、インタフェース機器、ネットワーク機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、携帯型コンピュータ、ワープロ装置など)に適用してもよい。
【0079】
加えて、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウエアである多角形描画プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0080】
上記プログラムコードを供給するための記録媒体は、システムあるいは装置と分離可能に構成することができる。また、上記記録媒体は、プログラムコードを供給可能であるように固定的に担持する媒体であってもよい。そして、上記記録媒体は、記録したプログラムコードをコンピュータが直接読み取ることができるようにシステムあるいは装置に装着されるものであっても、外部記憶装置としてシステムあるいは装置に接続されたプログラム読み取り装置を介して読み取ることができるように装着されるものであってもよい。
【0081】
例えば、上記記録媒体としては、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピーディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0082】
また、上記プログラムコードは、コンピュータが記録媒体から読み出して直接実行できるように記録されていてもよいし、記録媒体から主記憶のプログラム記憶領域へ転送された後コンピュータが主記憶から読み出して実行できるように記録されていてもよい。
【0083】
さらに、上記記録媒体は、通信ネットワーク等を介してプログラムコードを供給可能であるように流動的に担持する媒体であってもよい。この場合、システムあるいは装置を通信ネットワーク(インターネット等を含む)と接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークからダウンロードすることにより供給することができる。
【0084】
なお、プログラムコードを記録媒体から読み出して主記憶に格納するためのプログラム、および、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするためのプログラムは、コンピュータによって実行可能にあらかじめシステムあるいは装置に格納されているものとする。
【0085】
上述した機能は、コンピュータが読み出した上記プログラムコードを実行することによって実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行うことによっても実現される。
【0086】
さらに、上述した機能は、上記記録媒体から読み出された上記プログラムコードが、コンピュータに装着された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行うことによっても実現される。
【0087】
【発明の効果】
本発明の多角形描画装置は、以上のように、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する多角形描画手段と、属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備する構成である。
【0088】
また、本発明の多角形描画方法は、以上のように、多角形描画装置の多角形描画方法であって、上記多角形描画装置が備える属性値管理手段が、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する第1のステップと、上記多角形描画装置が備える多角形描画手段が、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する第2のステップと、上記多角形描画装置が備える描画制御手段が、属性値の変更を検知して描画を更新する第3のステップとを含む構成である。
【0089】
また、本発明の多角形描画プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、以上のように、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する第1の処理と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する第2の処理と、属性値の変更を検知して描画を更新する第3の処理とを、コンピュータに実行させるための多角形描画プログラムを記録して構成である。
【0090】
それゆえ、多角形を所定の属性を備えた多角形オブジェクトとして定義するため、頂点の座標をあらかじめ求めることなく描画することができるという効果を奏する。また、描画後に頂点の数を含めて各属性値を変更できるように管理するとともに、属性値の変更を検知するため、頂点の数の増減等の変更をリアルタイムに反映して多角形を描画することができるという効果を奏する。
【0091】
また、本発明の多角形描画装置は、以上のように、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する星型を描画する星型描画手段と、属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備する構成である。
【0092】
それゆえ、星型を所定の属性を備えた多角形オブジェクトとして定義するため、頂点および凹点の座標をあらかじめ求めることなく描画することができるという効果を奏する。また、描画後に頂点の数を含めて各属性値を変更できるように管理するとともに、属性値の変更を検知するため、頂点の数の増減等の変更をリアルタイムに反映して星型を描画することができるという効果を奏する。
【0093】
また、本発明の多角形描画装置は、以上のように、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、多角形か星型かの指定を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する多角形描画手段と、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する星型を描画する星型描画手段と、多角形か星型かの指定に応じて、上記の多角形描画手段と星型描画手段とを切り換える切り換え手段と、属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備する構成である。
【0094】
それゆえ、多角形および星型を所定の属性を備えた多角形オブジェクトとして定義するため、頂点および星型の凹点の座標をあらかじめ求めることなく描画することができるという効果を奏する。また、描画後に多角形か星型かの指定を含めて各属性値を変更できるように管理するとともに、属性値の変更を検知するため、多角形か星型かの指定等の変更をリアルタイムに反映して多角形を描画することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る多角形描画装置の構成の概略を示す機能ブロック図である。
【図2】 図1に示す多角形描画装置の動作の概略を示すフローチャートである。
【図3】 図1に示す多角形描画装置における多角形の属性についての説明図であり、図3(a)は形状に関する属性値の設定画面の表示例、図3(b)は色に関する属性値の設定画面の表示例である。
【図4】 図1に示す多角形描画装置における多角形の属性値の設定画面の表示例である。
【図5】 図1に示す多角形描画装置における補助円についての説明図であり、図5(a)はオブジェクト枠の対角点を指定する方法の説明図、図5(b)は補助円の中心および半径を指定する方法の説明図である。
【図6】 図1に示す多角形描画装置で描画する多角形の説明図であり、図6(a)は正五角形の説明図、図6(b)は頂点が5個の星型の説明図である。
【図7】 図1に示す多角形描画装置の動作の説明図であり、図7(a)は描画途中の表示例、図7(b)は描画確定後の表示例である。
【符号の説明】
51 描画制御部(描画制御手段)
52 属性値管理部(属性値管理手段)
53a 正多角形描画部(多角形描画手段)
53b 星型描画部(星型描画手段)
53c 切り換え部(切り換え手段)
S1,S2 (第1のステップ、第1の処理)
S3 (第2のステップ、第2の処理)
S4 (第3のステップ、第3の処理)
P1〜P5 頂点ノード(頂点)
Q1〜Q5 凹点ノード(凹点)

Claims (6)

  1. 矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、
    各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する多角形描画手段と、
    属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備することを特徴とする多角形描画装置。
  2. 矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、
    各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する星型を描画する星型描画手段と、
    属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備することを特徴とする多角形描画装置。
  3. 矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、多角形か星型かの指定を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する属性値管理手段と、
    各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する多角形描画手段と、
    各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する星型を描画する星型描画手段と、
    多角形か星型かの指定に応じて、上記の多角形描画手段と星型描画手段とを切り換える切り換え手段と、
    属性値の変更を検知して描画を更新する描画制御手段とを具備することを特徴とする多角形描画装置。
  4. 上記多角形オブジェクトは、星型の内部に内接する円の半径を属性に含むことを特徴とする請求項2または3に記載の多角形描画装置。
  5. 多角形描画装置の多角形描画方法であって、
    上記多角形描画装置が備える属性値管理手段が、矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する第1のステップと、
    上記多角形描画装置が備える多角形描画手段が、各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する第2のステップと、
    上記多角形描画装置が備える描画制御手段が、属性値の変更を検知して描画を更新する第3のステップとを含むことを特徴とする多角形描画方法。
  6. 矩形状のオブジェクト枠で外周が境界付けられ、頂点の数を属性に含む多角形オブジェクトを、各属性の属性値が変更可能であるように管理する第1の処理と、
    各属性値に基づいて、上記オブジェクト枠に内接する円状または楕円状の補助円に内接する多角形を描画する第2の処理と、
    属性値の変更を検知して描画を更新する第3の処理とを、コンピュータに実行させるための多角形描画プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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