JP3760616B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル複写機等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式を利用したデジタル複写機等では、原稿の画像を光学的に読み取って、その読み取り画像に対応した静電潜像を感光体上に形成し、これを現像して得られたトナー像を用紙に転写したのち、そのトナー像を用紙に定着している。また、原稿画像の読み取りに際しては、透明ガラス等の原稿台の上に原稿をセットし、これを原稿押えカバーで押さえた状態で、光学走査系により原稿の画像を読み取り走査している。さらに、読み取り走査で得られた画像データに種々の画像処理を施して、出力画像の最適化を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、画像の読み取り対象となる原稿には種々のものが存在するが、特にトレーシングペーパーのような光透過性の高い透過原稿の場合に、以下のような問題が発生していた。
【0004】
先ず、原稿の読み取りに際しては、図8に示すように、透明な原稿台31の上に原稿32を載せる。このとき、印刷や加筆等によって原稿32に記録された画像33が原稿台31に接するよう、原稿32は下向きにセットされる。この状態で、原稿32の上から原稿押さえカバー34が被せられ、原稿画像の読み取り走査が行われる。このとき、光学走査系に組み込まれたランプ(不図示)から原稿32に向けて光が照射され、これに伴う原稿32からの反射光がミラー等で反射されて結像レンズに導かれ、さらにCCDセンサ等の読取センサへと導かれる。
【0005】
その際、原稿32がトレーシングペーパー等の透過原稿であると、上記ランプから照射された光が原稿32を透過して原稿押さえカバー34に達し、そのカバー面で反射する。このとき、原稿32の画像33が文字や線画などであると、その画像33の内部や周辺部に影35ができてしまう。また、原稿押さえカバー34で反射した光(図の矢印)が原稿32の裏面(図の上面)側から画像33を照らすことでコントラストが悪化してしまう。
【0006】
ここで通常、上述の光学走査系、結像レンズ、読取センサ等により得られた画像データに対しては種々の画像処理が施されるが、なかでもデジタルフィルタによるフィルタ処理では、図9(a)に示すように、画像/非画像周波数に対応してゲインが変わるデジタルフィルタの係数が周波数帯域であまり差がないものを採用し、TRC(Tone Reproduction Correction)補正処理では、図9(b)に示すように入力濃度に対して出力濃度がなだらかな階調性を持つものを採用している。この理由は、絵柄印刷などの原稿画像に対しては階調性を持たせて再現し、文字や線画などの原稿画像に対しては鮮明に再現させるためである。
【0007】
ところが、透過原稿を読み取った場合は、図10(a)に示すように、原稿32の画像(文字等)33の領域Eに対応した本来の濃度部分Vtに加えて、先述の影の発生に起因した低濃度部分Vfが現れる。この低濃度部分Vfは、先述のフィルタリング処理を行った後でも図10(b)に示すように残り、さらにTRC補正処理を行った後でも図10(c)に示すように残る。
その結果、実際にコピーされた用紙では、画像の周辺部が滲んだ状態になるなど、出力画像の品質低下を招く。
【0008】
この対策としては、複写機等の濃度選択ボタンでコピー濃度のレベルを「薄く」に設定したり、現像バイアス電圧を変えるなどして、上記本来の濃度部分Vtのみを再現し、上記低濃度部分Vfを出力画像に現れないように調整することも考えられる。
【0009】
しかしながら、この対策を採った場合には、もともとの原稿画像が濃く印刷されていれば問題ないが、原稿32の画像33が例えば鉛筆などで薄く書かれていると、画像33の領域に対応した濃度部分Vtと上記低濃度部分Vfとのレベル差が小さくなるため、出力画像(文字)がかすれたり途切れたりして、本来の画像の再現性が悪化するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、透過原稿に記録された文字などの画像を、滲みやかすれ等を生じさせることなく忠実に再現することができる画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る読取手段と、この読取手段で読み取られた画像データに画像処理を施す画像処理手段と、この画像処理手段で画像処理された画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段とを備えた画像形成装置において、上記画像処理手段は、原稿が透過原稿である場合に、読取手段から入力される画像データに対して非透過原稿に対するエッジ強調よりも強いエッジ強調を行う強調手段と、この強調手段で強調された画像データから所定の低濃度部分を除去する除去手段とを有した構成となっている。
【0012】
上記構成から成る画像形成装置においては、光透過性の高い透過原稿の画像を読取手段で読み取った場合に、これによって得られた画像データに対して強調手段によりエッジ強調を行うことで、文字等の画像領域の濃度レベルが高められ、さらにエッジ強調した画像データのなかで、透過原稿特有の影に起因した低濃度部分を除去手段で除去することで、文字等の画像部分のみが抽出される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示すブロック図である。
図1において、画像読み取り部1は、原稿台(プラテンガラス等)に載置された原稿の画像を光学的に読み取るもので、例えば、ランプからの光を原稿面に照射し、これによって得られた原稿からの反射光を反射ミラーで結像レンズに導き、その結像レンズを介してCCDセンサ等のイメージセンサに結像させることにより、原稿画像に対応したアナログ画像信号を生成する。また、イメージセンサから出力されたアナログ画像信号は、アンプで増幅され、かつA/Dコンバータでデジタルデータに変換された後、シェーディング補正回路2に供給される。
【0014】
シェーディング補正回路2は、画像読み取り部1における照明系・結像光学系の主走査方向照度ムラや、イメージセンサの画素毎の感度ムラ、さらには照明光量・イメージセンサ出力の時間的変動などを補正するものである。
【0015】
画像処理部3は、デジタルフィルタ処理回路4、階調補正処理回路5およびスクリーン処理回路6を備えている。
【0016】
デジタルフィルタ処理回路4は、、文字/線画等のテキスト領域を鮮鋭に再生しかつ絵柄等のイメージ領域を滑らかに再生するなど、原稿の画像を忠実に再現するために、画像の黒部分と白地の画像周波数(ラインペア:lp)に対応したフィルタリング処理(ゲイン処理等)を行うもので、その処理内容としては、エッジ強調、スムージング,モアレ除去などがある。
【0017】
階調補正処理回路5は、入力画像に対する出力画像の階調補正を行うもので、その処理内容としては、入力画像の濃度に対する出力画像の濃度特性曲線の傾き(γ)を、γ補正テーブル(LUT:ルックアップテーブル)を用いて補正するガンマ補正がある。
【0018】
スクリーン処理回路6は、入力された画像データを適切なデジタル画像出力パターンにするためのスクリーン処理を行うもので、その代表的な処理方式として面積階調法、濃度階調法、ディザ法などがある。
【0019】
レーザードライバ7は、画像処理部3で処理された画像データに基づいてレーザー8を駆動するものである。レーザー8から出射されたレーザー光は図示せぬ感光体上に照射され、これによって形成された静電潜像が現像→転写→定着の各プロセスを経て用紙上にコピーされるようになっている。
【0020】
ちなみに、本実施形態においては、400dpiの解像度を持つイメージセンサ(CCDセンサ)およびレーザー8を採用するとともに、スクリーン処理回路6での処理方式として、条件付き決定型ディザ法の一つである誤差拡散法を採用している。
【0021】
ここで本実施形態においては、上述のように種々の画像処理を行う画像処理部3のなかで、特に、透過原稿を取り扱う場合の、デジタルフィルタ処理回路4および階調補正処理回路5の各々の処理形態に特徴がある。
【0022】
先ず、デジタルフィルタ処理回路4では、図2(a)に示すような周波数特性のフィルタを採用している。
この図2(a)に示すフィルタ特性においては、画像の空間周波数が低い3ラインペア/mm以下の領域で一様にゲインを1としており、この周波数領域でのゲイン設定は従来の場合(図9(a)参照)とほぼ同様である。
【0023】
ただし、従来の場合は、画像の空間周波数が3ラインペア/mmを超える領域でも、ゲインのレベルがそれほど高く設定されていなかったのに対し、本実施形態の場合は、3ラインペア/mmを超える領域でゲインレベルが急激に高くなるように設定してある。そして、画像の空間周波数が8ラインペア/mmでのゲインを比較すると、従来の場合は1.8に設定していたのに対し、本実施形態の場合はその2倍の3.6に設定してある。
【0024】
一方、階調補正処理回路5では、図2(b)に示すように非常に急峻(ハイガンマ)な濃度特性曲線をもつγ補正テーブルを採用している。
この図2(b)に示す濃度特性曲線では、入力画像の濃度が0.22以下の低濃度域で出力画像の濃度を0(零)としており、その濃度領域(0.22)を超えると出力画像の濃度が一気に1.6程度まで高くなるように設定してある。
【0025】
図3は、透過原稿に記録された文字/線画等の画像を画像読み取り部1で読み取って得られた画像データに、上記デジタルフィルタ処理回路4と階調補正処理回路5で画像処理した場合の濃度変化を示す模式図である。
【0026】
先ず、入力された画像データの濃度には、図3(a)に示すように、原稿(透過原稿)32の画像(文字/線画)33の領域Eに対応した本来の濃度部分Vtと、透過原稿特有の影の発生による低濃度部分Vfが現れる。
【0027】
この画像データを、先の図2(a)に示す周波数特性を有するデジタルフィルタ処理回路4で処理すると、図3(b)に示すように、空間周波数が高くなる画像33のエッジ部分が強調された画像データとなる。ただし、この時点では、本来の画像部分ではない低濃度部分Vfも若干強調されたかたちで残る。
【0028】
そこで、デジタルフィルタ処理回路4で処理した画像データを、先の図2(b)に示す濃度特性曲線をもつガンマ補正テーブルを用いてγ補正する。
このとき、入力濃度が0.22以下のレベルでは出力濃度が0(零)に変換され、0.22を超えた濃度レベルでは出力濃度が1.6に変換される。これに対して、フィルタ処理後の画像データでは、本来の濃度部分Vtのレベルが0.7以上となっており、透過原稿の影による低濃度部分Vfのレベルが0.20以下となっている。
【0029】
このことから、γ補正後の画像データでは、図3(c)に示すように、透過原稿の影による低濃度部分Vfが取り除かれたかたちで、本来の濃度部分Vtのレベルが一様に1.6レベルに高められる。
【0030】
一方、鉛筆等で薄い線画を記録した透過原稿の場合、入力された画像データの濃度レベルは、図4(a)に示すように、原稿32の画像33の領域Eに対応した本来の濃度部分Vtと、透過原稿特有の影の発生による低濃度部分Vfとがあまりレベル差のない状態で現れる。
【0031】
この画像データを、先の図2(a)に示す周波数特性を有するデジタルフィルタ処理回路4で処理すると、図4(b)に示すように、空間周波数が高くなる画像33のエッジ部分が強調された画像データとなる。ただし、この時点では、本来の画像部分ではない低濃度部分Vfも若干強調されたかたちで残り、また画像33のエッジ部分の濃度レベルも、先ほどの場合より低くなる。
【0032】
そこで、デジタルフィルタ処理回路4で処理した画像データを、先の図2(b)に示す濃度特性曲線をもつガンマ補正テーブルを用いてγ補正する。このとき、入力濃度が0.22以下のレベルでは出力濃度が0(零)に変換され、0.22を超えた濃度レベルでは出力濃度が1.6に変換されるため、γ補正後の画像データでは、図4(c)に示すように、透過原稿の影による低濃度部分Vfが取り除かれたかたちで、本来の濃度部分Vtのレベルが一様に1.6レベルに高められる。
【0033】
このように本実施形態においては、透過原稿を読み取り走査して得られた画像データを画像処理するにあたり、先ずデジタルフィルタ処理回路4では、画像の空間周波数が高くなる領域でゲインが高くなるフィルタを採用してエッジ強調処理を行い、さらに階調補正処理回路5では、入力画像の濃度に対する出力画像の濃度の傾きが急峻なγ補正テーブルを用いてガンマ補正するようにしたので、透過原稿特有の影の発生に起因した滲みを発生させることなく、本来の画像部分のみを鮮鋭に再現することができる。また、鉛筆等で薄く書かれた透過原稿の場合も、画像のかすれを生じさせることなく、本来の画像部分を鮮鋭に再現することができる。
【0034】
なお、図2(b)に示す画像濃度の入出力特性では、入力画像の濃度が0.22付近で、濃度曲線の傾きがほぼ垂直になる、いわゆる2値化処理によって低濃度部分Vfを取り除くようにしているが、濃度曲線の傾きについては必ずしも垂直に立ち上がるものに限らず、低濃度部分Vfを取り除き得る程度の急峻性を有していればよい。また、低濃度部分Vfを取り除く際の閾値に関しては、予め数種類の原稿をサンプリングし、その代表値(平均値等)を採用すればよい。あるいは使用する原稿に合わせて、その閾値を変更できる様にしてもよい。
【0035】
ところで、上記実施形態においては、原稿32がトレーシングペーパーなどの透過原稿である場合の対応について説明したが、画像読み取り対象となる原稿32が透過原稿であるか否かについては、図5に示すような原稿検知手段を利用することで判別することが可能となる。
【0036】
図5は自動原稿送り装置(ADF)を備えた画像読み取り装置の概略構成図である。
図5において、原稿送りトレイ10は、読み取り対象となる原稿11をセットするためのもので、その原稿11の端部に近接するように原稿送りロール12が配設されている。原稿送りシュート13は、原稿送りロール12の下流側に配置され、その原稿送りロール12により送り出された原稿11を原稿台14へと導くものである。原稿搬送ベルト15は、原稿送りシュート13から導出された原稿11を原稿台14上の原稿読み取り位置まで搬送するとともに、読み取り済の原稿11を原稿台14から排除するものである。
【0037】
こうした構成のなかで、原稿送りシュート13の原稿導出部分には、原稿11の搬送通路を介して対向するように原稿センサ16が配設されている。この原稿センサ16は、発光素子16aと受光素子16bの組み合わせから成る光学センサで、発光素子16aから出射した光を受光する構成となっている。なお、図例では光透過型の光学センサを原稿センサ16として採用しているが、これ以外にも、原稿11の搬送通路に対して発光素子と受光素子とをそれぞれ所定の角度で対向配置した光反射型の光学センサを採用してもよい。
【0038】
図6は透過原稿の判別機能を備えた制御系の機能ブロック図である。
図6において、CPU20は、予めROM21に格納された制御プログラムにしたがって原稿読み取り装置の処理動作を制御するもので、そのための制御用データはRAM22に記憶される。CPU20には、上記原稿センサ16の出力信号が入力データとして与えられ、その入力データを用いて原稿の透過性、即ち原稿が透過原稿であるか否かを判別する原稿判別部23と、その判別結果に応じて画像処理モードを選択するモード選択部24とが設けられている。
【0039】
図7はCPU20によって実行される原稿読み取り装置の処理動作の流れを示すフローチャートである。
先ず、ユーザーによって原稿送りトレイ10に原稿11がセットされて読み取り開始のスタートボタンが押下(ON)されると、モータドライバ等を介して原稿送りロール12を回転駆動させ、かつ原稿センサ16の発光素子16aを点灯させる(ステップS1〜S3)。これにより、原稿送りトレイ10にセットされた原稿11が原稿送りロール12の回転駆動により送り出されるとともに、発光素子16aから出射した光が受光素子16bで受光される。
【0040】
次に、原稿センサ16からの出力信号を調べて、そのセンサ受光率が100%から95%以下に変化したか否かを判定する(ステップS4)。
ここで、原稿センサ16での受光率が100%とは、発光素子16aと受光素子16bとの間を原稿が通過していない状態で、発光素子16aからの光を受光素子16bで受光したときの受光率のことである。
【0041】
この受光率100%の設定に関しては、予め固定データとして与えておいてもよいが、より好ましくは、装置電源が投入されたときのウォームアップ時、あるいは原稿の自動送りに際して、原稿の先端が原稿センサ16の検知ポジションに到達する前(例えば、スタートボタンがONされたとき)に発光素子16aを発光させ、そのときに受光素子16bで受光した光量を100%に設定すれば、発光量の経時的なバラツキ等を補正できる。
【0042】
続いて、原稿センサ16での受光率が95%以下に変化すると、その時点を起点に原稿送りロール12による原稿11の送り量が送り方向で1mmの距離に達したか否かを判定する(ステップS5)。そして、原稿11の送り量が1mmの距離に達したら、原稿センサ16から得られる受光量データを、送り方向1mm間隔で10mmまでRAM22に蓄積する(ステップS6)。これにより、原稿11の先端が確実に原稿センサ16の検知ポジション(発光素子16aと受光素子16bの間)を通過した状態で、受光量データを取得することができる。
【0043】
次いで、RAM22に蓄積された受光量データに基づき、送り方向1mmから10mmまでの最大受光量が30%以下であるか否かを判定する(ステップS7)。この判定処理は、原稿判別部23にて行われるもので、この場合は最大受光量30%を判定基準として、原稿11が透過原稿であるか否かを判別する。
【0044】
ここで、原稿11が透過原稿ではない(最大受光量が30%以下)と判定された場合は、その判定結果に応じてモード選択部24が非透過原稿に対応した画像処理モード、即ち非透過原稿用のデジタルフィルタとノーマル階調補正とを自動的に選択する(ステップS8)。
【0045】
これに対して、原稿11が透過原稿である(最大受光量が30%オーバー)と判定された場合は、その判定結果に応じてモード選択部24が透過原稿に対応した画像処理モード、即ち透過原稿用のデジタルフィルタとハイガンマ階調補正とを自動的に選択する(ステップS9)。
【0046】
このように原稿台14にセットされた原稿11が透過原稿であるか否かを原稿センサ16からの出力信号(受光量データ)に基づいて判定し、その判定結果に応じて画像処理モードを自動的に選択することにより、常に原稿11の透過性に適した画像処理モードで画像処理を行うことができる。
【0047】
なお、原稿台14にセットされた原稿11が透過原稿であるか否かの判定については、ユーザ操作パネル上に透過/非透過原稿の選択ボタンを設け、その選択ボタンをユーザが押下した際の情報を基に判定するようにしてもよい。但し、ユーザの操作負担や、人為的なミス等を考慮すると、先述の原稿センサ16を用いた判別機能を採用した方が好適である。
【0048】
また、図5においては、自動原稿送り装置で送られる原稿11の透過性を原稿検知センサ16で検知する構成を採用しているが、原稿台14の上にユーザの手作業で原稿11が置かれる場合への対応としては、読取走査用のランプ17の照射エリアに受光センサを設け、この受光センサでランプ17の光を受光した際の受光量データを用いることにより、原稿台14上に置かれた原稿11が透過原稿であるか否かを判別することができる。
【0049】
更には、透過原稿が汚れていたり、原稿カバー表面が汚れている場合に、透過原稿用の画像処理モードが選択されると、原稿の地肌部分にまで透過原稿用のフィルタ処理をかけてしまうため、地肌部分の汚れ等も文字画像と一緒に強調することになるので、出力画像の背景部に黒点が発生するという不具合が生じる。
【0050】
この対策として本実施形態では、入力画像の濃度に対応してエッジ強調のレベルを変える手段を採用するものとする。
【0051】
具体的には、デジタルフィルタの係数を予め二つ用意しておき、透過原稿用の画像処理モードが選択された場合に、入力画像の濃度に応じてフィルタ係数をリアルタイムに切り替えるようにする。即ち、入力画像の濃度が低い領域(地肌部分)に対しては、通常のモードに対応したフィルタ係数(図9(a)参照)を適用し、入力画像の濃度が高い領域(文字部分)に対しては、図2(a)に示すように画像のエッジ部分が強調される透過原稿用のフィルタ係数を適用する。
こうしたフィルタ係数の切り替えは、濃度検出手段によって行われる。
【0052】
このように原稿が透過原稿の場合において、入力画像の濃度に応じてフィルタ係数をリアルタイムに切り替えることにより、デジタルフィルタ処理で原稿の地肌部分の汚れ等を強調することがなくなるため、出力画像での黒点の発生を確実に防止したうえで、透過原稿に記録された文字等の画像を忠実に再現することが可能となる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の画像形成装置によれば、光透過性の高い透過原稿の画像を読み取る場合に、その読み取った画像データをエッジ強調したうえで、透過原稿特有の影に起因した低濃度部分を除去することにより、本来の画像部分のみを抽出できるようにしたので、透過原稿に記録された文字などの画像を、滲みやかすれ等を生じさせることなく忠実に再現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】 実施形態における画像処理のフィルタ特性と階調特性を示す図である。
【図3】 実施形態での画像処理に対応した濃度変化を示す図(その1)である。
【図4】 実施形態での画像処理に対応した濃度変化を示す図(その2)である。
【図5】 自動原稿送り装置を備えた画像読み取り装置において、原稿判別用のセンサ取付状態を示す図である。
【図6】 透過原稿の判別機能を備えた制御系の機能ブロック図である。
【図7】 実施形態における装置処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】 透過原稿による不具合の発生原因を説明する図である。
【図9】 従来における画像処理のフィルタ特性と階調特性を示す図である。
【図10】 従来での画像処理に対応した濃度変化を示す図である。
【符号の説明】
1…画像読み取り部、3…画像処理部、4…デジタルフィルタ処理回路、5…階調補正処理回路、16…原稿センサ、20…CPU、23…原稿判別部、24…モード選択部

Claims (9)

  1. 原稿台に載置された原稿の画像を読み取る読取手段と、
    前記読取手段で読み取られた画像データに画像処理を施す画像処理手段と、
    前記画像処理手段で画像処理された画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段とを備えた画像形成装置において、
    前記画像処理手段は、前記原稿が透過原稿である場合に、前記読取手段から入力される画像データに対して非透過原稿に対するエッジ強調よりも強いエッジ強調を行う強調手段と、この強調手段で強調された画像データから所定の低濃度部分を除去する除去手段とを有してなる
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記所定の低濃度部分は、前記透過原稿の画像読み取り時に発生する影に起因した低濃度部分である
    ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記透過原稿はトレーシングペーパーを含み、
    前記エッジ強調手段は、前記原稿がトレーシングペーパーである場合に、前記読取手段から入力される画像データに対して非透過原稿に対するエッジ強調よりも強いエッジ強調を行う
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 前記原稿台に載置された原稿が透過原稿であるか否かを判別する原稿判別手段と、この原稿判別手段の判別結果に応じて画像処理モードを選択するモード選択手段とを具備してなる
    ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. 前記原稿判別手段は、原稿の搬送通路を介して対向するように配設された発光素子と当該発光素子から出射した光を受光する受光素子とを有し、前記発光素子と前記受光素子の間を原稿が通過した状態で前記発光素子からの光を前記受光素子で受光した受光量に基づいて、前記原稿が透過原稿であるか否かを判別する
    ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
  6. 前記原稿判別手段は、前記発光素子と前記受光素子の間を原稿が通過していない状態で前記発光素子からの光を前記受光素子で受光したときの受光量を原稿非通過時受光量とし、前記発光素子と前記受光素子の間を原稿が通過した状態で前記発光素子からの光を前記受光素子で受光した受光量を原稿通過時受光量とした場合に、前記原稿非通過時受光量に対する前記原稿通過時受光量の比率に基づいて、前記原稿が透過原稿であるか否かを判別する
    ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
  7. 前記原稿判別手段は、前記原稿非通過時受光量の設定を装置のウォームアップ時に行う
    ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
  8. 原稿が透過原稿か非透過原稿かを選択する選択手段を具備し、
    前記原稿判別手段は、前記選択手段で選択された情報に基づいて、前記原稿が透過原稿であるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
  9. 前記原稿台に載置された原稿が透過原稿である場合に、入力画像の濃度に対応してエッジ強調のレベルを決定する決定手段を具備してなる
    ことを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
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