JP3759828B2 - 仮撚り複合糸及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2本のフィラメント糸を仮撚りして得られる仮撚り複合糸及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、例えば、この種の仮撚り複合糸を使用して目の透けたガーゼ状の織編地を作成する場合、後の染色処理等の沸水処理による仮撚り複合糸の収縮に起因した目の詰まりを考慮する必要があり、手間であった。
【0003】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、その目的は、例えば、ガーゼ状の織編地を容易に作成できる仮撚り複合糸及びその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、少なくとも2本のフィラメント糸を仮撚りして得られる仮撚り複合糸であって、半延伸糸である第1の糸に対して同じく半延伸糸である第2の糸が三重に巻き付いた三重部と、第1の糸と第2の糸とが一重に巻き付いた一重部とを備え、該一重部は、第2の糸が第1の糸に巻き付いた正転部と、第1の糸が第2の糸に巻き付いた逆転部と、第1の糸と第2の糸とが主従関係なく巻き付いた普通撚り部とを備え、該普通撚り部が前記正転部より長い仮撚り複合糸である。
【0006】
請求項2の発明では、正転部は、第2の糸が第1の糸に対して解撚方向に巻き付いた第1正転部と、第2の糸が第1の糸に対して加撚方向に巻き付いた第2正転部とを備えるものである。
【0007】
請求項3の発明では、第1の糸及び第2の糸には、延伸状態が強い部分と弱い部分とが混在されている。
請求項4の発明では、少なくとも2本のフィラメント糸を仮撚りして得られる仮撚り複合糸であり、半延伸糸である第1の糸に対して同じく半延伸糸である第2の糸が三重に巻き付いた三重部と、第1の糸と第2の糸とが一重に巻き付いた一重部とを備え、該一重部は、第2の糸が第1の糸に巻き付いた正転部と、第1の糸が第2の糸に巻き付いた逆転部と、第1の糸と第2の糸とが主従関係なく巻き付いた普通撚り部とを備え、該普通撚り部が前記正転部より長い仮撚り複合糸の製造方法であって、未延伸のフィラメント糸である第1及び第2の糸をそれぞれフルドロー値の20〜80%の範囲でドローすることで半延伸状態とし、第1の糸の加撚域に第2の糸を供給することで第1の糸と第2の糸とを仮撚りする仮撚り複合糸の製造方法である。
【0008】
(作用)
上記構成の本発明においては、沸水処理を施しても収縮するどころか伸長される仮撚り複合糸となり、例えば、ガーゼ状の織編地を得る場合、後の染色処理等の沸水処理による仮撚り複合糸の沸水収縮を考慮しなくとも良いため、その作成が容易となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の仮撚り複合糸を模式的に示した図である。この仮撚り複合糸は、フィラメント糸である第1の糸11に対して同じくフィラメント糸である第2の糸12が三重に巻き付いた三重部Bと、第1の糸11と第2の糸12とが一重に巻き付いた一重部Aを備える。図示しないが、一重部A及び三重部Bは糸条の走行方向に複数が交互に形成されている。
【0010】
前記第1及び第2の糸11,12には、未延伸糸をフルドロー値の20〜80%でドローした半延伸糸が用いられている。図示しないが、両糸11,12をミクロ的に観察すれば、延伸状態が強い部分と弱い部分とが混在されている。
【0011】
前記一重部Aは、第1の糸11に対して第2の糸12が一重に巻き付いた正転部A1 と、第2の糸12に対して第1の糸11が一重に巻き付いた逆転部A2 と、第1の糸11と第2の糸12とが主従関係なく巻き付いた普通撚り部A3 とがランダムに混在されてなる。
【0012】
前記正転部A1は、第2の糸12が第1の糸11に対して解撚方向に巻き付いた第1正転部A1-1と、第2の糸12が第1の糸11に対して加撚方向に巻き付いた第2正転部A1-2とを備える。
【0013】
図示しないが、織編地は、上記構成の仮撚り複合糸を使用して製造される。例えば、織地を得る場合には、経糸又は緯糸の少なくとも一方に本実施形態の仮撚り複合糸を使用している。
【0014】
上記構成の本実施形態においては、次のような効果を奏する。
(1)第1の糸11及び第2の糸12は共に半延伸糸であり、それらを仮撚りした仮撚り複合糸に沸水処理を施すと、収縮するどころかむしろ伸長される。従って、例えば、この仮撚り複合糸(沸水処理前)を用いてガーゼ状の織地を得る場合、その後の染色処理等の沸水処理にともなう目の詰まりを考慮する必要なく容易に作成することができる。
【0015】
(2)第1の糸11に対して第2の糸12が三重に巻き付いた三重部Bと、第1の糸11と第2の糸12とが一重に巻き付いた一重部11とを備える。従って、本仮撚り複合糸は糸条表面の凹凸感に優れ、清涼感に富んだ織編地を得ることが可能となる。
【0016】
(3)一重部Aは、第1の糸11と第2の糸12との巻き付き形態がそれぞれ異なる、第1正転部A1 -1、第2正転部A1-2、逆転部A2 及び普通撚り部A3 により構成されている。従って、糸条全体として複雑な巻き付き形態となり、織編地に新規な風合いが醸し出される。
【0017】
(4)第1及び第2の糸11,12には、延伸状態が強い部分と弱い部分とが混在されている。従って、延伸状態が強い部分には第1及び第2の糸11,12の色が薄く現れ、延伸状態が弱い部分には第1及び第2の糸11,12の色が濃く表れ、本仮撚り複合糸は、例えば、掠り調の織編地を得るのに好適となる。
【0018】
次に、本実施形態の仮撚り複合糸を製造する方法について説明する。
図2に示すように、第1の糸11は未延伸のフィラメント糸であり、送り出しローラ21及びホットピン22を通過される。ホットピン22を通過された第1の糸11は、フルドロー値の20〜80%にドロー(セミドロー)されて半延伸状態となり、第1フィードローラ23を経て加撚域Kに供給される。
【0019】
第2の糸12は未延伸のフィラメント糸であり、送り出しローラ24及びホットピン25を通過される。ホットピン25を通過された第2の糸12は、フルドロー値の20〜80%にドローされて半延伸状態となり、第2フィードローラ26によって第1の糸11より少なくとも30%オーバーフィードされながら給糸ガイド27を介して供給され、加撚域Kにおいて第1の糸11と合流される。なお、加撚域Kにおいて第1の糸11の糸条走行方向線から少なくとも30mm離れた位置に給糸ガイド27が配置されている。
【0020】
加撚域Kで合流された第1及び第2の糸11,12は、第1ヒータ28、仮撚りスピンナ29を通過して、第1デリベリローラ30、第2ヒータ31及び第2デリベリローラ32を経て、テイクアップローラ33上でチーズ34として巻き取られる。
【0021】
ここで、前記三重部Bの撚り形態は、第1の糸11に対する第2の糸12のオーバーフィード量と仮撚りスピンナ29の回転にともなう糸条の撚りの伝播による加撚域Kにおいての第2の糸12の積極的な振れにより形成される。
【0022】
前記一重部Aにおいて、第1正転部A1-1、逆転部A2 及び普通撚り部A3 の撚り形態は、仮撚り複合糸の解撚時に形成される。第2正転部A1-2の撚り形態は、加撚時に形成された撚りが、解撚されないでそのまま残ったものである。
【0023】
未延伸糸をセミドローすると、応力の集中度合いのばらつき等から、得られた半延伸糸に延伸状態が強い部分と弱い部分とが混在されることは、周知の事項である。
【0024】
次に、図2に示す装置を用いて以下の加工条件で仮撚り加工を行った。
第1の糸11:ポリエステル175デニール48フィラメントの未延伸糸
第2の糸12:ポリエステル95デニール48フィラメントの未延伸糸
第1の糸11の糸条方向線からの給糸ガイド27の距離:280mm
仮撚りスピンナ29の回転数:234,000rpm
仮撚り数:2,955T/M
第1の糸11の延伸比:1.4倍
第2の糸12の延伸比:1.5倍
第2の糸12の第1の糸11に対するオーバーフィード:1.8倍
第1フィードローラ23のフィード率:+4.1%
第2フィードローラ26のフィード率:−7.5%
テイクアップローラ33による巻取りテイクアップ率:−8.0%
第1ヒータ28の温度:190℃
第2ヒータ31の温度:220℃
上記加工条件により、一重部Aにおいて逆転部A2 が発生し、しかも、一重部Aにおいて、第1正転部A1 -1、第2正転部A1 -2、逆転部A2 及び普通撚り部A3 がランダムに混在され、そのうえ、沸水処理により伸長される新規な仮撚り複合糸を得ることができた。
【0025】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、例えば、以下の態様でも実施できる。
(1)第1の糸11及び第2の糸12を冷延伸によりセミドローすること。この場合、ホットピン22,25は不要となる。
【0026】
(2)上記仮撚り複合糸を使用して編地を形成すること。
上記実施形態から把握できる技術思想について記載すると、第1の糸12に対して第2の糸12を少なくとも30%以上オーバーフィードさせて給糸し、加撚域Kで第1の糸11の走行方向線から少なくとも30mm離れた位置に第2の糸12の給糸ガイド27を配設した請求項4に記載の仮撚り複合糸の製造方法。
【0027】
このようにすれば、ガーゼ状の織編地を容易に作成できる仮撚り複合糸を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、例えば、ガーゼ状の織編地を、後の染色処理等の沸水処理にともなう目の詰まりを考慮することなく容易に作成することが可能な仮撚り複合糸を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 仮撚り複合糸を示す模式図。
【図2】 仮撚り複合糸を製造するための製造装置を示す模式図。
【符号の説明】
11…第1の糸、12…第2の糸、A…一重部、B…三重部。
Claims (4)
- 少なくとも2本のフィラメント糸を仮撚りして得られる仮撚り複合糸であって、半延伸糸である第1の糸に対して同じく半延伸糸である第2の糸が三重に巻き付いた三重部と、第1の糸と第2の糸とが一重に巻き付いた一重部とを備え、該一重部は、第2の糸が第1の糸に巻き付いた正転部と、第1の糸が第2の糸に巻き付いた逆転部と、第1の糸と第2の糸とが主従関係なく巻き付いた普通撚り部とを備え、該普通撚り部が前記正転部より長い仮撚り複合糸。
- 前記正転部は、第2の糸が第1の糸に対して解撚方向に巻き付いた第1正転部と、第2の糸が第1の糸に対して加撚方向に巻き付いた第2正転部とからなる請求項1に記載の仮撚り複合糸。
- 前記第1の糸及び第2の糸には、延伸状態が強い部分と弱い部分とが混在されている請求項1又は請求項2に記載の仮撚り複合糸。
- 少なくとも2本のフィラメント糸を仮撚りして得られる仮撚り複合糸であり、半延伸糸である第1の糸に対して同じく半延伸糸である第2の糸が三重に巻き付いた三重部と、第1の糸と第2の糸とが一重に巻き付いた一重部とを備え、該一重部は、第2の糸が第1の糸に巻き付いた正転部と、第1の糸が第2の糸に巻き付いた逆転部と、第1の糸と第2の糸とが主従関係なく巻き付いた普通撚り部とを備え、該普通撚り部が前記正転部より長い仮撚り複合糸の製造方法であって、未延伸のフィラメント糸である第1及び第2の糸をそれぞれフルドロー値の20〜80%の範囲でドローすることで半延伸状態とし、第1の糸の加撚域に第2の糸を供給することで第1の糸と第2の糸とを仮撚りする仮撚り複合糸の製造方法。
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JP28201397A JP3759828B2 (ja) | 1997-10-15 | 1997-10-15 | 仮撚り複合糸及びその製造方法 |
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JPH11117136A JPH11117136A (ja) | 1999-04-27 |
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JP28201397A Expired - Lifetime JP3759828B2 (ja) | 1997-10-15 | 1997-10-15 | 仮撚り複合糸及びその製造方法 |
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1997
- 1997-10-15 JP JP28201397A patent/JP3759828B2/ja not_active Expired - Lifetime
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