JP3759320B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラー複写機やカラープリンタなどのカラー画像を形成することができる複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の支持部材に支持されて回転可能な無端ベルト状の転写材担持体と、この転写材担持体に沿って配置された複数の像担持体と、これら各像担持体上に形成された画像を前記転写材担持体上に担持された転写材に順次転写するための複数の転写手段とを備えた画像形成装置として、図5に示す構成のものが知られている。
【0003】
図5において、転写材担持体としての搬送転写ベルト5は無端状のベルトであって、水平方向に対向して配置された2つの支持部材としての支持ローラ5a、5bに支持されている。この搬送転写ベルト5の上側ベルトに沿って矢印で示す回転方向順に、上流側から、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、BK(ブラック)の各トナー像を担持する像担持体としてのドラム状の感光体1Y,1M,1C,1BKがベルトに接するようにして並んでいる。
【0004】
これらの各感光体1Y,1M,1C,1BKの各まわりには、各回転方向順に、コロナ放電ワイヤを使用した非接触型の帯電装置2Y’,2M’,2C’,2BK’,現像装置4Y,4M,4C,4BK,搬送転写ベルト5を介して放電ワイヤを使用した非接触型の転写手段8Y’,8M’,8C’,8BK’,クリーニング手段6Y,6M,6C,6BKなどが配置されている。各現像装置4Y,4M,4C,4BKに設けられた現像ローラ4aはそれぞれ対応する感光体に近接するように配置されている。
【0005】
これらの各感光体1Y,1M,1C,1BKの上方には光書き込み手段50が配置されていて、カラー画像信号に応じて変調された露光光Lbが2連のポリゴンミラー240から出射され、レンズ、ミラーなどを介して、各感光体1Y,1M,1C,1BKにおける帯電装置と現像装置との間の露光部に照射されるようになっている。
【0006】
搬送転写ベルト5は矢印で示すように反時計回りの向きに回転駆動されるようになっている。該搬送転写ベルト5の上側ベルトの上流端のさらに上流側の位置には一対のレジストローラ9が設けられている。このレジストローラ9に向けて、図示しない搬送ガイドに案内されてトレイ10に収納された転写材としての転写紙Sが給紙コロ11から送り出されるようになっている。搬送転写ベルト5の上側ベルトの下流端のさらに下流の位置には、定着装置12が配置されている。
【0007】
搬送転写ベルト5の上側ベルトの上流端部において該搬送転写ベルト5を支持している支持ローラ5aの上方には、該搬送転写ベルト5に当接するようにして転写材吸着手段とてのコロナ放電ワイヤを使用した非接触型の帯電器20’が設けられている。また、搬送転写ベルト5の上側ベルトの上流端部であって支持ローラ5bと対向する部位には転写紙Sを除電して搬送転写ベルト5から容易に離脱させるべく、除電手段21が設けられている。
【0008】
さらに、搬送転写ベルト5の下側ベルトには、搬送転写ベルト5の除電を行なうコロナ放電ワイヤを使用した非接触型の除電手段22’が設けられ、さらに下流の位置には該搬送転写ベルト5のクリーニングを行なうクリーニング手段24が設けられている。
【0009】
この画像形成装置において、画像形成は次のようにして行われる。各感光体1Y,1M,1C,1BKが回転を始め、この回転中に暗中において帯電装置2Y,2M,2C,2BKにより均一に帯電され、同一の転写紙S上に重ね転写されるように、書込みのタイミングをずらして露光光Lbが露光部に照射、走査されて作成すべき画像に対応した潜像が形成され、それぞれ現像装置4Y,4M,4C,4BKによりトナー像が形成される。
【0010】
一方、トレイ10から給紙コロ11により転写紙Sが送り出され、破線で示す搬送経路を経て一対のレジストローラ9の位置で一旦停止し、感光体1上のトナー像と転写部7で合致するように送り出しのタイミングを待ち、かかる好適なタイミングが到来するとレジストローラ9に停止していた転写紙Sはレジストローラ9から送り出され、帯電器20’によって搬送転写ベルト5に吸着されて搬送され、各感光体1Y,1M,1C,1BKのそれぞれのトナー像が、各感光体との当接位置である転写部において該転写紙S上に順次転写され、色重ねされフルカラートナー画像が形成される。
【0011】
こうしてフルカラートナー画像が転写された転写紙Sは除電手段21で除電されてから搬送転写ベルト5より分離され、そのまま定着装置7に搬送され,定着されて排紙トレイ15に排出される。一方、感光体1Y,1M,1C,1BK上に残った残留トナーは感光体の回転と共にクリーニング手段6Y,6M,6C,6BKに至り、該クリーニング手段を通過する間に清掃されて次の画像形成に備えられる。また、転写紙Sを分離した後の搬送転写ベルト5についても、除電手段22で除電されてからクリーニング手段24に至り、クリーニングされて次の転写紙の搬送に備えられる。
【0012】
このように、Y、M、C、Bkの各色毎に像担持体を持ち、各色のトナー像を搬送転写ベルト5に保持された転写紙Sに順次転写することにより、フルカラー画像を形成するタンデム方式のカラー画像形成装置は、像担持体を一つしか持たない転写ドラム方式や中間転写方式のカラー画像形成装置に比べ、はるかに高速のフルカラー画像の出力が可能であるという大きな特徴がある。
【0013】
しかしながら、タンデム方式の画像形成装置では像担持体と同数の帯電手段、転写手段が必要となるため、帯電手段、転写手段としてコロナ放電方式を用いるとオゾン等の放電生成物が大量に発生してしまう、また装置が大型でコスト高になりやすく小型化、低コスト化が難しい、等の問題がある。
【0014】
オゾン等の放電生成物の発生量を減少させるための対策として、近年では帯電手段、転写手段として従来のコロナ放電ワイヤを使用したコロナ放電方式に代えて、ローラやブレードなどの接触部材を用いた接触方式が実用化され、放電生成物の発生量を大幅に減少させることが可能となった。これによりタンデム方式の画像形成装置においても帯電手段、転写手段として接触方式を採用でき、大量の放電生成物を発生させることなく画像形成を行うことが可能となった。
【0015】
このようなローラやブレード等の接触方式の転写手段を用いた画像形成装置では転写部材に所定の電流を与える定電流制御とすることで、使用環境や転写材の抵抗が変化しても良好な転写特性が得られることが特開平6−110343号公報、特開平6−171159号公報等に開示されている。
【0016】
タンデム方式の画像形成装置で接触転写部材を用いて定電流制御を行う場合に、特開平6−110343号公報では転写材上に順次多重転写する際に、転写回数により転写電流を順次増加させることで良好な転写特性が維持できることが開示されている。また、特開平6−171159号公報には各色の転写電流の設定値を同一とすることで良好な転写特性を得ることができる旨、開示されている。
【0017】
従来、タンデム方式の画像形成装置は、装置の小型化、低コスト化が困難とされていたが、近年では小径の像担持体や小型の現像装置を用いた画像形成装置が開発されるようになり、タンデム方式の画像形成装置であっても小型化が可能となりつつある。
【0018】
タンデム方式の画像形成装置を小型化するためには転写材担持体の周長もできる限り短くする必要があり、該周長を短くすると転写材担持体を支持するローラと第一色目や最終色の転写位置とが従来より近接して配置されることになる。
【0019】
また、転写材担持体に転写材を静電吸着させる転写材吸着手段や、転写材が分離された後の転写材担持体を除電する除電手段はそれぞれ転写材担持体を挟んで配置された一対の部材から構成することができる。
【0020】
この一対の部材を構成する一方の部材は転写材担持体に接触あるいは非接触に配置され高圧電源に接続された放電電極であり、もう一方の部材は転写材担持体に接触あるいは非接触に配置され高圧電源に接続された放電電極、あるいは転写材担持体に接触して配置され接地されている対向電極とするのが一般的である。これら二つの部材間で発生する静電的な作用により、転写材の静電吸着や転写材担持体の除電が行われる。ここで、対向電極を別途配置するのではなく、転写材担持体の支持ローラが吸着手段や除電手段の対向電極としての機能を兼ね備えるようにすることで部品の削減が可能となり、一層の小型化と低コスト化を図ることができる。この場合、対向電極として十分な機能を果させるためには転写材担持体の支持ローラは低抵抗の材質で構成されている必要がある。
【0021】
しかしながら、装置の小型化のために転写材担持体の周長を短くしたことに関連して転写材担持体の支持ローラと第一色目あるいは最終色の転写位置とが近接して配置された場合には、転写手段により与えられた電荷のうち転写材担持体の裏面を通じて支持ローラに漏洩して転写に有効に寄与しない電荷量が無視できない大きさになり、特開平6−110343号公報、特開平6−171159号公報に示されているような制御方法では第一色目あるいは最終色で十分な転写性能が得られずに、転写不良が発生する場合がある。特に対向電極とするために支持ローラを低抵抗化した場合に転写不良が発生しやすい。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況をふまえ、タンデム方式の画像形成装置を小型化、低コスト化するために転写手段と転写材担持体の支持ローラを近接して配置した場合でも転写不良の発生を防止し、長期にわたり安定して高画質が得られる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1).複数の支持部材にそれぞれ支持されて回転可能な無端ベルト状の転写材担持体と、この転写材担持体に沿って配置された複数の像担持体と、これら各像担持体上に形成された画像を前記転写材担持体上に担持された転写材に順次転写するための複数の転写手段とを備えた画像形成装置において、前記転写材担持体をそれぞれ支持している複数の支持部材に近接して配置された全ての転写手段の転写電流を支持部材から離れて配置されている転写手段の転写電流より大きくなるように制御することとした(請求項1)。
【0024】
(2).(1)記載の画像形成装置において、前記複数の支持部材の抵抗に応じ、低抵抗の支持部材に近接して配置された転写手段の転写電流が、高抵抗の支持部材に近接して配置された転写手段の転写電流よりも大きくなるように設定されていることとした(請求項2)。
【0026】
).(1)又は()記載の画像形成装置において、前記転写材担持体が鉛直方向に沿って配置されていて、この鉛直方向にわたり、前記複数の像担持体がそれぞれ配置されていることとした(請求項)。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
〈例1〉画像形成装置の構成および画像形成プロセスの概要
本発明の実施の形態として、転写材担持体に沿って配置される像担持体が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つからなり、これらの色を重ねてフルカラーの画像を得るフルカラーの画像形成装置について説明する。
【0029】
図1において、搬送転写ベルト5は転写材担持体の一例であって無端状のベルトからなり、鉛直方向に対向して配置された支持部材としての2つの支持ローラ5a、5bに支持されている。側の支持ローラ5に駆動系が連結されていて駆動ローラとして機能し、側の支持ローラ5は従動ローラとして機能している。よって、支持ローラ5が矢印で示すように時計まわりの向きに回転駆動されることにより、搬送転写ベルト5も矢印で示すように、時計まわりの向きに回転される。
【0030】
図2において、この搬送転写ベルト5の左側のベルトに沿って矢印で示す回転方向順つまり、上流側から下流側に向けて、位置的には下から上に向けて、イエロー(Y)の画像を担持する感光体1Y、マゼンタ(M)の画像を担持する感光体1M、シアン(C)の画像を担持する感光体1C、ブラック(BK)の画像を担持する感光体1BKが間隔をおいて配置されている。これら感光体1Y,1M,1C,1BKはドラム状をしていて、それぞれの色のトナー像を担持し、搬送転写ベルト5に順次転写する。このため、これらの感光体1Y,1M,1C,1BKは搬送転写ベルト5に接するようにして並んでいる。
【0031】
これらの各感光体1Y,1M,1C,1BKの各まわりには、各回転方向順に、導電性の帯電ローラからなり感光体を一様に初期帯電させる帯電装置2Y,2M,2C,2BK,潜像をトナーにより可視像化する現像装置4Y,4M,4C,4BK,搬送転写ベルト5を介して各感光体に対向して配置されていてトナー像を転写する転写バイアスを印加する導電性のローラからなる転写手段8Y,8M,8C,8BK,転写後の残トナーなどを感光体から除去するクリーニング手段6Y,6M,6C,6BKなどが配置されている。各現像装置4Y,4M,4C,4BKに設けられた現像ローラ4aはそれぞれ対応する感光体に近接するように配置されている。
【0032】
これらの各感光体1Y,1M,1C,1BKの横方向(水平方向)の位置には、これら各感光体に露光光Lbを照射する光書き込み手段50が配置されている。光書き込み手段50の構成は前記図5で説明した構成に準ずる。光書き込み手段50からは、カラー画像信号に応じて変調された露光光Lbが出射され、各感光体1Y,1M,1C,1BK上であって帯電装置2Y,2M,2C,2BKと現像装置4Y,4M,4C,4BKとの間の所定の位置である露光部に照射されるようになっている。
【0033】
搬送転写ベルト5の上流端(下端)のさらに下方には一対のレジストローラ9が設けられている。このレジストローラ9の左寄りの下方、つまり、当該画像形成装置の略中央の下部にはトレイ10が配置されている。このトレイ10からはレジストローラ9に向けて図示しない搬送ガイドに案内されて、トレイ10に収納されている転写紙Sが給紙コロ11の回転により1枚分離されて送り出されるようになっている。搬送転写ベルト5の左側ベルトの下流端(上端)のさらに下流(上方)の位置には、定着装置12が配置されている。
【0034】
支持ローラ5aに対向するようにして転写材吸着手段とてのブラシローラ20が矢印で示す時計回りの向きに回転駆動されるようにして設けられている。ブラシローラ20の回転によりブラシは搬送転写ベルト5に摺接する。このブラシローラ20には図示しないバイアス印加手段により、転写紙Sを搬送転写ベルト5に吸着させるバイアス電流が印加される。
【0035】
また、支持ローラ5bの右側部には搬送転写ベルト5の除電を行なう針電極型の除電手段22対向して設けられ、支持ローラ5aの右側部に対向する位置には搬送転写ベルト5のクリーニングを行なうクリーニング手段24が該搬送転写ベルト5に接するようにして設けられている。
【0036】
この画像形成装置において、画像形成は次のようにして行われる。各感光体1Y,1M,1C,1BKが回転を始め、この回転中に暗中において各感光体は帯電装置2Y,2M,2C,2BKにより均一に帯電され、次いで、レジストローラ9から送り出された同一の転写紙S上に重ね転写されるように書込みのタイミングをずらして露光光Lbが光書き込み手段50より露光部に照射、走査されて作成すべき画像に対応した潜像が形成され、これらの潜像はそれぞれ現像装置4Y,4M,4C,4BKにおいてトナーにより可視像化される。
【0037】
一方、トレイ10から給紙コロ11により送り出された転写紙Sは、破線で示す搬送経路を経て一対のレジストローラ9の位置で一旦停止し、各感光体上のトナー像と各転写手段8Y、8M、8C、8BKの部位で合致するようなタイミングを待ってレジストローラ9から送り出される。送り出された転写紙Sは帯電手段20によって搬送転写ベルト5に静電吸着させられて搬送転写ベルト5と共に搬送され、各感光体1Y,1M,1C,1BK毎に設けられた転写手段8Y、8M、8C、8BKと対向する転写部を通過する間に各色のトナー像を順次転写され、こうして色重ねされることによりフルカラーのトナー画像が転写紙S上に担持される。
【0038】
フルカラーのトナー画像を担持した転写紙Sは図示しない分離手段あるいは曲率分離により搬送転写ベルト5より分離され、定着装置13を通過する間にフルカラートナー画像は転写紙Sに溶融加圧定着され、こうしてフルカラー画像が完成する。その後、転写紙Sはトレイ10に対向した当該画像形成装置の上部に設けられた排紙トレイ15に排紙される。搬送転写ベルト5は転写紙Sが分離された後、除電手段22により除電され、クリーニング手段24により搬送転写ベルト5の表面に付着した紙粉やトナーが除去され次の画像形成に備えられる。
【0039】
〈例2〉画像形成装置の構成および画像形成プロセスの概要
この例では、図1に示した構成を全て具備しており、構成の一部が異なることにより、フルカラー画像の形成もできるし、また、モードを切り替えることにより、ブラック単一色による画像形成も可能である。
【0040】
図2に示した画像形成装置は、基本的な構成は前記図1に示した画像形成装置と同じである。異なる点は、図1における転写手段8BK、8C、8M、8Yおよび支持ローラ5a、ブラシローラ20などが図4に示すように、共通の支持体40に軸支されていることである。支持体40はこれら転写手段8BK、8C、8M、8Yや支持ローラ5a、ブラシローラ20などの幅方向(図2の紙面を貫く方向)に対向している少なくとも2つの板状体からなる枠状体からなり、転写手段8BKの回転軸と同一軸線上の軸8BK−1に枢支されている。軸8BK−1は当該画像形成装置本体と一体的の不動部材に固定されている。よって、支持体40は軸8BK−1を中心に感光体1C,1M,1Yに対して近づきあるいは遠ざかる向きに揺動可能である。
【0041】
支持体40の下部には軸Pが植設されている。軸Pには緊縮性のばね41の一端側が掛けられている。ばね41の他端は左方に位置する図示しない不動部材に掛けられていて、このばね41の弾性により支持体40は軸8BK−1を中心にして時計まわりの向きに回動するように付勢されている。この付勢による支持体40の回動は、支持体40が不動部材に設けたストッパ42に当接することにより阻止されている。支持体40がストッパ42に当接した状態にあるとき、転写手段8BKをはじめ、転写手段8C、8M、8Yは、それぞれ対応する感光体1BK、1C、1M、1Yに対して転写に必要な適度の接触圧で接触した状態にある。この状態における各部材の配置構成は図1に示した各部材の配置構成と同じであり、フルカラー画像を形成することができる。このときのモードをフルカラー画像モードと称する。
【0042】
軸Pは不動部材に固定されたソレノイド4のプランジャとワイヤ44により連結されている。ソレノイド43をオン(励磁状態)にするとプランジャがワイヤ44を引くので、ばね41の弾性に抗して支持体40は矢印46の向きに揺動させられ、ストッパ48に当接した位置で揺動を停止する。このとき、図2に示すように、転写手段8BKは感光体1BKに適度の接触圧で接触した状態にあるが、他の転写手段8C、8M、8Yなどはそれぞれが対応する感光体1C、1M、1Yから転写不能な距離だけ離間した位置に支持体40と共に移動した状態になる。この状態における各部材の配置構成では、転写可能なのはブラックの感光体1BKだけであり、ブラックのみの単一色の画像形成が可能となる。このときのモードを白黒画像モードと称する。
【0043】
白黒画像モードからフルカラー画像モードにモードが切り替えられるとき、ソレノイド43はオフ(非励磁状態)にされる。ソレノイド43をオフにすると、支持体40はばね41に引かれて、転写手段8C、8M、8Yがそれぞれ対応する感光体1BK、1C、1M、1Yに接触するように復元し、フルカラー画像モードでの画像形成が可能になる。フルカラー画像モードから白黒画像モードにモードが切り替えるられるとき、ソレノイド43はオンにされる。
【0044】
このように、ソレノイド43のオン、オフの制御により搬送転写ベルト5および転写手段8Y,8M,8Cを感光体1Y,1C,1Mに対して接、離させてフルカラー画像モード、白黒画像モードでの各部材の配置構成を得ることができる。モードの切り替えに際しては、ソレノイド43のオン、オフが切り替えられるだけでなく、このような機械的な接離動作に連動して、画像形成プロセスについても画像形成を必要とする感光体まわりのプロセス機器のみを作動するように制御手順が切り替えられる。
【0045】
図3は、モードの切り替え手段を示したもので、当該画像形成装置の操作パネル48にはモード切り替えスイッチ(図示せず)が配備されている。このモード切り替えスイッチの切り替え操作に応じて、切り替え信号がこの画像形成装置の画像形成プロセスを制御するCPUを含む制御装置52に入力されるようになっている。
【0046】
制御装置52は、上記切り替えスイッチからの信号を入力することにより、これに応じて、単一色モードあるいは複数色モードを実現するべく、所要の画像形成プロセスのシーケンスを設定し、同時に、ソレノイド43をオン或いはオフにする信号を出力する。かかる構成により、操作パネル48に設けた切り替えスイッチを操作するだけで、フルカラー画像モードと白黒画像モードとを相互に切り替えることができる。
【0047】
操作パネル48に設けた上記モード切り替えスイッチ、ソレノイド43、支持体40などはモード切り替え手段の一例を構成する。この例における白黒画像モードでは、ブラックのみの画像形成および転写を可能としたが、これに限らず、第4色目の現像装置のトナーの色を変えることにより、ブラック以外の任意の一色のみの画像形成および転写を行なうようにすることもできる。その場合を含めて白黒画像モードは、単一色モードと称することができる。
【0048】
同様に、フルカラー画像モードの変形として、異なる2色以上の組み合わせによる画像形成を可能とすることもできる。その場合を含めて、フルカラー画像モードは複数色モードと称することができる。
【0049】
図2は、図1に示したようにフルカラー画像モードの状態から、ブラックのみの白黒画像モードに切り替えたときの状態を示している。このように、白黒画像モードでは、モード切り替え手段により搬送転写ベルト5を感光体1BK以外の感光体1C、1M、1Yなどから離間させ、かつ、感光体1BK以外の感光体について画像形成の各機器を動作させない。
【0050】
このように、使用しない色用の画像形成部は動作させないので、白黒画像の出力中にカラー用の感光体や現像剤等が劣化してしまうことはない。転写紙Sはレジストローラ9に送られた後、ブラシローラ20による吸着手段により搬送転写ベルト5に静電吸着されるので、搬送転写ベルト5が1色目のイエローの感光体1Yから離間していても転写紙Sを感光体1BKからトナー像の転写位置まで確実に搬送することができる。
【0051】
モード切り替えを行なうことにより、図2に示すように、カラー用の感光体1C,1M,1Y1と搬送転写ベルト5を離間させた場合でも確実に転写紙Sの搬送を行うためには、転写紙Sが搬送転写ベルト5に吸着されてから感光体1BKの転写位置(感光体1BKと転写種8BKとの当接位置)に到達するまでの時間より長い時間にわたって十分な静電吸着力を維持する必要があり、そのため搬送転写ベルト5が高抵抗材料であることが要求される。
【0052】
ただし抵抗が高すぎると十分な転写性能を得るために非常に高い電圧が必要となる上、異常放電を起こして画像不良が発生する場合があるため、搬送転写ベルト5に用いる材料の抵抗としては1012〜1016〔Ω・cm〕の範囲のものを使用することが望ましく、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等の樹脂や、これらの樹脂にカーボンなどを分散させて抵抗を調整した材料を用いることができる。
【0053】
これらの樹脂のフィルムを継ぎ合わせてベルト形状としたり、シームレスベルトに成形したりして搬送転写ベルトを作製する。搬送転写ベルト5の厚さは薄すぎると強度の面で問題があり、厚すぎると転写性能を得るためにより高電圧が必要となるため、50〜200〔μm〕とするのが望ましい。
【0054】
タンデム方式の画像形成装置について、搬送転写ベルト5の長さを短くすること、つまり、搬送転写ベルト5の支持ローラ5aと支持ローラ5bとの間隔を、転写搬送ベルト5が転写に必要な最小限の長さ(例えば、転写搬送ベルト5の平坦部が第1色目のイエローの転写手段8Yから第4色目のブラックの転写手段8BKまでの領域にわたって対向し得るような最小限の長さ)まで短くして画像形成装置の小型化を図った場合、必然的に支持ローラ5bと転写手段8BKが近接し、また支持ローラ5aと転写手段8Yとが近接することとなるため、従来にはなかった問題が発生する。
【0055】
すなわち、支持ローラ5aと転写手段8Y間の距離や、支持ローラ5bと転写手段8BK間の距離が短い上、特に、支持ローラ5aについてはブラシローラ20の対向電極としての機能を持たせるために低抵抗としているため、転写電流の大きさに対して搬送転写ベルト5の裏面を通じて支持ローラ5aに漏洩する電流の量が無視できない大きさとなってしまうのである。
【0056】
したがって従来のように、4色の転写電流を同一にする設定では転写手段と支持ローラの間隔が短い1色目(イエロー)、4色目(ブラック)にかかる転写手段8Y、8BKが転写電流不足となってしまい、また、1色目(イエロー)から4色目(ブラック)に向かうにつれて、各転写手段に印加する転写電流を徐々に増加させる設定ではブラシローラ20の対向電極としての機能を持たせるために低抵抗としている1色目(イエロー)の転写手段8Yが転写電流不足となってしまう。
【0057】
〈例3〉〔請求項1に対応する説明〕
そこで図1或いは図2に示した画像形成装置において、支持ローラ8Y,8BKに漏洩してしまう電流量を考慮し、支持ローラ5aに近い1色目(イエロー)の転写手段8Yと支持ローラ5bに近い4色目(ブラック)の転写手段8BKに印加される転写電流を支持ローラ5a,5bから離れている2色目(シアン)、3色目(マゼンタ)の転写手段8C,8Mに印加される転写電流より大きく設定することで4色とも良好な転写性能を得ることができる。搬送転写ベルト5の支持ローラ5a、5bに近い1色目(イエロー)の転写手段8Y、最終色の転写手段8BKでは必要な転写性能が得られる電流に支持ローラ5a、5bに漏洩する電流を上乗せした値を転写電流の制御値とする。
【0058】
このように、支持ローラ5aに近接する転写手段8Yの電荷ほど支持ローラ5aに,また、支持ローラ5bに近接する転写手段8BKの電荷ほど支持ローラ5bに漏洩しやすいことを考慮して、支持ローラ5aに近接する転写手段8Yに印加される転写電流や支持ローラ5bに近接する転写手段8BKに印加される転写電流をあらかじめ転写手段8Cや転写手段8Mに印加される転写電流よりも大きく設定することで、転写手段8Yや転写手段8BKに与えた電荷の一部が搬送転写ベルト5の裏面を通じて支持ローラ5aや支持ローラ5bに漏洩してしまっても転写に必要な電荷量は確保され、良好な画像が得られる。なお、具体的な設定にあたっては、後で述べるように、支持ローラ5a,5bへの電荷の流れ易さは転写手段と支持ローラの距離だけでなく、支持ローラ自体の抵抗の影響も受けるのでこの点も考慮する。
【0059】
〈例4〉〔請求項2に対応する説明〕
前記〈例3〉において、支持ローラから近接して配置されている1色目(ブラック)の転写手段8BK、4色目(イエロー)の転写手段8Yに印加する転写電流を、支持ローラから離れている転写手段8M,転写手段8Cなどに印加する転写電流と比べてどれだけ大きくするのかは搬送転写ベルト5の材質、転写手段と支持ローラとの距離、プロセススピードにより異なる。
【0060】
また、従動側の支持ローラ、例えば支持ローラ5aはブラシローラ20の対向電極としての機能を高めるために低抵抗の金属ローラを使用し、駆動側の支持ローラ5bは搬送転写ベルト5のスリップを防止するためにゴムや樹脂など摩擦係数の高い材料で表面を被覆したものを使用する。その場合、従動側の支持ローラ5aに対して駆動側の支持ローラ5bの抵抗値が大きくなり、これら各支持ローラの抵抗値は異なることとなる。このため転写電流の漏洩しやすさが異なり、搬送転写ベルトの材質、転写手段と支持ローラの距離、プロセススピードだけでなく、支持ローラの抵抗値も考慮して転写電流の増加量を決定する。
【0061】
本例の場合、支持ローラ5aと転写手段8Y,支持ローラ5bと転写手段8BKの距離が同じでも、駆動側の支持ローラ5bに比べて低抵抗の従動側の支持ローラ5aに近接する転写手段8Yに印加する転写電流の増加分を駆動側の支持ローラ5bに近接する転写手段8BKに印加する転写電流よりも大きくなるように設定することでより良好な画像を得ることができる。
【0062】
数色モード、つまりフルカラー画像モードにおいて、フルカラー画像を作成するべく4色目のブラックのトナー像を転写する場合と、単一色モードつまり白黒モードでブラックのトナー像のみを転写する場合とでは、必要な転写性能を得るための実質的な転写電流の値は変化しない。しかし、フルカラーの場合には上流の3色の転写により搬送転写ベルト5や転写紙Sが帯電しているため、感光体方向に電流が流れにくく、転写には寄与しない支持ローラ5bに漏洩してしまう電流の割合が大きくなる。
【0063】
そこで、図2により説明したように、複数色モードと単一色モードとが切り替えられるタイプの画像形成装置においては、複数色モードでは単一色モードの場合よりも、支持ローラ5bに近接して配置された転写手段、例えば転写手段8BKの転写電流を大きめの設定値に変化させれば、十分な転写性能が得られる。したがって、モードにより電流の漏洩を考慮した転写電流の増加分を変化させることでモードが異なっても良好な画像を得ることができる。
【0064】
〈例〉〔請求項に対応する説明〕
従来技術にかかる図5に示した水平方向配列のタンデム方式の画像形成装置では、ファーストプリントを速くするため搬送経路を短くすると、反転部分のない直線的な搬送経路となり、給紙側のトレイ10や排紙トレイ15が装置の左右方向の側部より突き出てしまい、装置の占有面積が大きくなってしまう。一方、占有面積を小さくしようとすると図5に示したように、装置下部の給紙用のトレイ10から装置上部の排紙トレイ15までの破線で示す転写材の搬送経路がS字型となり、搬送経路が長くなってファーストプリントが遅くなってしまう。
【0065】
これに対し、図1、図2に例示した画像形成装置のように転写材搬送ベルト5を鉛直方向に沿って配置し、この鉛直方向にわたり感光体1Y、1M、1C、1BKを配置し、これら感光体の下方に給紙用のトレイ10、これら感光体の上方に配置トレイ15を配置したレイアウトとしたときには、転写紙Sの搬送経路は極端なS型とはならず搬送経路は短縮されてフアーストプリントが速くなるし、給紙側のトレイ10や排紙トレイ15も画像形成装置の側部に突き出ないので、装置の専有面積も大きくなることがない。よって、図5に示す配置構成に比べて省スペースと高速のファーストプリントの両方を容易に両立することができる。
【0066】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、転写材担持体を支持している複数の支持部材にそれぞれ近接して配置された全ての転写手段の転写電流を、支持部材から離れて配置されている転写手段の転写電流よりも大きくなるように制御することとしたので、支持部材と転写手段とが近接する場合でも良好な画像が得られるので、タンデム方式の画像形成装置を小型化することができ、小型で高速出力が可能な画像形成装置を得ることができる。
【0067】
請求項2記載の発明では、転写材坦持体の材質や支持部材と転写手段の距離だけでなく支持部材の抵抗も考慮して転写電流値を設定することでより高画質の画像を得ることができる。
【0069】
請求項記載の発明によれば、像坦持体を垂直方向に配列することで省スペースと高速のファーストプリントを両立可能な画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるフルカラー画像を形成することのできる画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明にかかる画像形成装置であって、白黒画像を出力中における各部材の状態を説明した図である。
【図3】モード切り替え手段の一例を説明したブロック図である。
【図4】モード切り替え手段の機械的な構成部分の説明図である。
【図5】従来の画像形成装置の概略構成を説明した図である。
【符号の説明】
1BK,1C,1M,1Y (像担持体としての)感光体
5 (転写材担持体としての)搬送転写ベルト
5a,5b (支持部材としての)支持手段

Claims (3)

  1. 複数の支持部材にそれぞれ支持されて回転可能な無端ベルト状の転写材担持体と、この転写材担持体に沿って配置された複数の像担持体と、これら各像担持体上に形成された画像を前記転写材担持体上に担持された転写材に順次転写するための複数の転写手段とを備えた画像形成装置において、
    前記転写材担持体をそれぞれ支持している複数の支持部材に近接して配置された全ての転写手段の転写電流を支持部材から離れて配置されている転写手段の転写電流より大きくなるように制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、前記複数の支持部材の抵抗に応じ、低抵抗の支持部材に近接して配置された転写手段の転写電流が、高抵抗の支持部材に近接して配置された転写手段の転写電流よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記転写材担持体が鉛直方向に沿って配置されていて、この鉛直方向にわたり、前記複数の像担持体がそれぞれ配置されていることを特徴とする画像形成装置。
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