JP3757393B2 - 連結装置を有する組立式額縁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絵画等の収納品を容易に取り替えができる連結装置を有する組立式額縁に関する。特に、連結装置、額縁フレーム及び裏板ホルダーの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、組立式の額縁には種々の連結装置、額縁フレーム及び裏板ホルダーがある。この組立式の額縁においては、額縁の外周を構成しているフレーム材は、その両端を所定の角度に切断して成る額縁フレームを互いに連結装置によって結合したものである。また、裏板ホルダーは、このフレーム材若しくは連結装置に掛止して、額縁を該裏板ホルダーによって、壁等に取り付けている。
【0003】
特開平08−24099(特願平06−181808)によれば、連結具(連結装置に相当する。)は基板、保持枠及び蓋板を主な構成部材としてストッパーにより額縁フレームを固定するという、複雑な構造であった。また、実開平03−72770(実願平01−135204)によれば、結合装置(連結装置に相当する。)は、額縁フレームの結合に従来のビス止めに代わってハンドル操作により一挙動作で緊締作業が行われていた。しかし、このハンドル操作による緊締作業では、フレームを締め付けて固定しているために、フレーム材及び結合装置の部材の変形、クリープ、撓みなどにより締め付けが弱くなる欠点があったので、外れる危険性があった。
【0004】
また、実開平03−44465(実願平01−105479)によれば、結合装置(連結装置に相当する。)は、該結合装置と額縁フレームとの結合を為すため、部材であるジョイント金具と該額縁フレームとの結合を額縁フレームの裏板に設けた切込み部分にジョイントのストッパーを掛止して結合している。この掛止を開放するためにジョイントに設けた押下用摘みで押し下げて開放することになっている。この押し下げ動作のとき、切込み部分の角部で怪我をする危険性があるので、押下用摘みにガード用囲いを設けた。
【0005】
しかし、この囲いも十分でなく、時として怪我の危険性も残っている。さらに、特開平11−4737(特願平09−160207)においては、連結金具(連結装置に相当する。)は、額縁フレームの後側縁に沿う内側に設けられた凸縁に、凹溝が設けられており、該凹溝と連結金具の突出片が嵌合して結合するものである。この嵌合状態を確認するには、額縁フレームの凹溝を側面より観察する必要があるが、見ずらいきらいがある。従って、確認が十分にできない欠点があった。
【0006】
また、特開平08−24097(特願平06−181809)によれば、裏板ホルダーは額縁フレームの端部に掛止している状態で、掛け止めがやや不十分なこともあり、衝撃に弱くややもすると外れ易い欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、連結装置を有する組立式額縁において、該連結装置における上記の欠点である複雑な構造を簡素化し、ハンドル操作による緊締作業のような不十分な締め付け作業を無くし、額縁フレームの切込み部分の角部での危険性を回避し、さらに該連結装置と額縁フレームとの嵌合を容易に確認することができる額縁フレームと連結装置を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、組立式額縁に掛止する裏板ホルダーの欠点である掛け止めがやや不十分で衝撃に弱くややもすると外れ易い欠点を解消することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による連結装置を有する組立式額縁においては、下記のような手段を取った。
【0010】
請求項1記載の本発明は、額縁フレームの端部同士を所定角度に結合する連結装置を有する組立式額縁において、該連結装置は、該所定角度を有する両基板片から成る基板と、該基板の外側端部に沿って配設した両側面と、該基板の各々の基板片の内側に設けた押下げ摘みと、該基板片の中央付近に設けた突起と、該基板片に設けた切り溝とから構成され、且つ、その基板及び両側面を一体成形され、該額縁フレームには、凹溝と側面溝と嵌合孔と補助孔とを形成し、該連結装置の両側面を該額縁フレームに形成した凹溝に挿入し、該連結装置の突起を補助孔に遊嵌させて該額縁フレームとの組立を一時的に保持し、さらに、該連結装置の突起を嵌合孔に嵌合させることにより該額縁フレームの端部同士を所定角度に結合し、前記額縁フレームは、その断面形状を変形したコ字型とし、該コ字型の下辺には円弧状のフレーム縁取と内側に下側挟持片とを設け、上辺には裏板ホルダーと嵌合する両側に挟持溝縁を有する挟持溝を設けた平面状の上側挟持片とを設け、側面にはフレーム側面を設け、さらに、上側挟持片に連結装置の突起と嵌合する嵌合孔及び補助孔を穿設したことを特徴とする組立式額縁である。
【0011】
これは、構造簡単な連結装置と額縁フレームとにより、組立が簡単な額縁を提供することができるようになった。また、連結装置と額縁フレームとの結合は、該連結装置の突起と該額縁フレームの嵌合孔との嵌合によるので、該額縁フレームには連結装置との嵌合用の切り込み部分が無くなり、切り込み部分の角部による危険が無くなった。以下の請求項2乃至3に記載した発明も、同様の額縁フレームを使用しているので、角度による危険は無くなった。さらに、連結装置と額縁フレームとの結合は、該連結装置の突起と該額縁フレームの嵌合孔との嵌合とにより知ることができるが、この嵌合を額縁フレームの裏側の上面から容易に知ることができるので、結合を容易に確認することができる。
【0012】
なお、本発明による額縁フレーム同士を所定角度に結合することは、各角部を全て同一の所定角度にすることを意味するものではない。各角部の夫々の予定された所定角度にすればよい。以下の請求項に記載の発明においても同様である。
【0016】
また、連結装置の基板と両側面を一体成形することにより、生産数量の多い場合にはコストダウンを図ることができるようになった。
【0017】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載された組立式額縁において、前記裏板ホルダーは、一端側に前記額縁フレームの上側挟持片を挟持する外側片及び内側片を設けたU型形状とし、該U型形状の空間部の外側片には外側片溝と外側片段差を設け、他端側に収納物全体の裏板を押圧する円弧状の弾性片を設けたことにより、該額縁フレームの挟持溝の両側に設けられた挟持溝縁に裏板ホルダーの外側片溝と外側片段差を掛止し、前記裏板ホルダーの円弧状の先端部近傍には紐孔を設けたことを特徴とする組立式額縁である。
【0018】
これは、裏板ホルダーの外側片及び内側片とで、額縁フレームの上側挟持片を挟持したので、裏板ホルダーを強固に額縁フレームに取り付けることができ外れなくなった。
【0026】
これは、構造簡単な連結装置、裏板ホルダー及び額縁フレームとにより、組立が簡単な額縁を提供することができるようになった。さらに、該裏板ホルダーに紐孔を設け、該紐孔に紐を通して展示するので、額縁を壁等に展示するときに容易になり、さらに壁等への掛止が完全となったので、額縁が壁等より外れて落下するような不測の事態を招かなくなった。

【0027】
請求項3記載の本発明は、前記請求項2に記載された組立式額縁において、裏板ホルダーは、前記U型形状の頂部と円弧状の弾性片との接続部に生じる紐掛け用のホルダー溝部及び弾性片の先端部とホルダー摘みとの間に摘み段部を設け、該組立式額縁の上辺の額縁フレームの中央に配置した裏板ホルダーの紐孔と、左右の両側辺の夫々の額縁フレームの中央から下側に配置した夫々の裏板ホルダーの紐孔と、に紐を通したことを特徴とする組立式額縁である。
【0028】
これは、前記紐を額縁フレームの上辺の裏板ホルダーの近辺で束ねて、掛止用フックに引掛けると良い。すなわち、左右の夫々の裏板ホルダーを左右の両側辺の夫々の額縁フレームの適宜位置に、例えば、該両側辺の下半分の位置に配置すると、前記組立式額縁の重量バランスが良いので、組立式額縁を壁等に取り付ける際に、前記上辺の裏板ホルダーの近辺で束ねた紐を壁等の掛止用フックに掛止するのに適切である。言ってみれば、3点紐掛け式額縁というものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【0030】
図1は、連結装置、額縁フレーム及び裏板ホルダーとを有する組立式額縁の裏側から見た分解斜視図である。図2乃至図5は、連結装置と額縁フレームとの結合状態を順次示した額縁の背面から見た背面図である。すなわち、図2は、連結装置と額縁フレームとの結合前の背面図である。図3は、連結装置に上部に図示した額縁フレームが完全に挿嵌された状態で、下部の額縁フレームが連結装置の途中まで挿嵌され始めた状態を示した背面図である。図4は、連結装置に上部に図示した額縁フレームが完全に挿嵌された状態で、下部の額縁フレームが連結装置の中間位置まで挿嵌された状態を示した背面図である。図5は、連結装置に両額縁フレームが完全に挿嵌された状態を示す背面図である。また、図6は、連結装置と額縁フレームとの挿嵌された状態及び収納物全体の挿嵌状態を示す断面図である。
【0031】
図7は、裏板ホルダーの斜視図である。図8は、額縁フレームと裏板ホルダーとの嵌合を説明するための側面図である。図9は、額縁フレームと裏板ホルダーとの嵌合を示す断面図である。図10は、裏板ホルダーを額縁フレームに挿嵌した状態を額縁の裏から見た背面図である。
【0032】
図11は、組立式額縁を裏からみた背面図である。図12は、収納物全体を額縁フレームに取り付け、さらに、裏板ホルダーを額縁フレームに挿嵌した状態を示す断面図である。
【0033】
図13は、他の実施形態における3点紐掛け式額縁を裏から見た背面図である。図14は、他の実施形態における3点紐掛け式額縁の側面図である。図15は、他の実施形態における3点紐掛け式額縁の説明のための斜視図である。
【0034】
次に、本発明の実施の形態について図1乃至図6及び図11により説明する。
【0035】
組立式額縁Aは、図11に示すように、額縁フレーム30aと額縁フレーム30bとを連結装置1aで結合し、額縁フレーム30bと額縁フレーム30cとを連結装置1bで結合し、額縁フレーム30cと額縁フレーム30dとを連結装置1cで結合し、そして、額縁フレーム30dと額縁フレーム30aとを連結装置1dで結合すると、四辺形の額縁が組み立てられる。さらに、裏板ホルダー50a,50b,50c,50d,50e,50fを額縁フレーム30a,30b,30c,30dにそれぞれ取り付けるようにした構成となっている。
【0036】
なお、ここでは図11に示す四辺形の組立式額縁Aについて説明したが、本発明の実施の形態は四辺形の組立式額縁Aに限定されるものではなく、前記同様に順次額縁フレーム30a,30b・・・の夫々の隣り合う額縁フレーム同士を連結装置1a,1b・・・で結合することにより、多角形の額縁についても組み立てられる構成となっている。
【0037】
次に、各構成の詳細について説明する。まず、連結装置について説明する。
【0038】
図1に示すように、連結装置1は、所定角度αを有する両基板片2a,2bから成るL型板状の基板2を設け、該基板2の外側端部に沿って配設した両側面3a,3bを設け、該両基板片2a,2bには、該基板2の内側に押下げ摘み4a,4b及び基板片2a,2bの中央付近に突起5a,5bを設け、さらに、前記両側面3a,3b側にて基板片2a,2bに切り欠いた切り溝6a,6bを設けたものである。
【0039】
なお、図1乃至図4は、該切り溝6a,6bは、基板片2a,2bの側面3a,3b側に設けられているが、これに限定されるものではない。該突起5a,5bを避けた位置であれば、基板片2a,2bの適宜の位置にて切り欠いて切り溝6a,6bとすれば良い。要するに、後記する押下げ摘み4a,4bを押し下げたとき、基板片2a,2bが弾性力に抗して変形して押し下げられれば良い。
【0040】
次に、押下げ摘みについて詳細に説明する。
【0041】
図1に示すように、連結装置1の内側で両基板片2a,2bの端部の内側への突出片に押下げ摘み4a,4bが設けられている。該押下げ摘み4aは額縁の裏側(すなわち、図1の状態)から見たときに、一方を垂直に立ち上げた摘み垂直面4a1とし、その頂点を丸めて、他方を逆円弧状の傾斜面とした摘み傾斜面4a2とした突起形状としている。これは、押下げ摘み4aを指先で押し下げたとき、押し下げ易くした形状である。
【0042】
また、一方を垂直にしたのは摘み垂直面4a1の前方(すなわち、連結装置の角部の方向)へ指先が掛からないように配慮したものである。すなわち、該摘み垂直面4a1の前方は組立途中の若しくは組立解除途中の額縁フレーム30a(例えば、図3または図4の状態)の端部31aがあり鋭利な角度となっているために、怪我の危険を回避するためである。また、垂直形状の摘み垂直面4a1は、額縁フレーム30aの嵌合孔33aとの嵌合を確実なものにするためである。以上の説明は、押下げ摘み4aについて述べたが、押下げ摘み4bについても同様である。
【0043】
次に、押下げ摘み4a,4bの操作について説明する。
【0044】
絵画等の収納品72を取り替えるために、組立式額縁Aの組立を解除するとき、押下げ摘み4aを下方へ押し下げる。そうすると、突起5aと嵌合孔33aとの嵌合が解除され、連結装置1と額縁フレーム30aとの結合状態が解除される。
【0045】
このように、突起5aと嵌合孔33aとの嵌合及び解除ができるように、連結装置1には工夫がしてある。すなわち、前記連結装置1の切り溝6aは、押下げ摘み4aを下方へ押下げたとき、突起5aと額縁フレーム30aの嵌合孔33aとの掛止を解くために、基板片2aに弾力を持たせたものである。
【0046】
該基板片2aの弾性力により押下げ摘み4aを下方へ押下げることができるのである。該基板片2aは、弾性力を必要とするので、素材として合成樹脂成形品若しくは薄板のステンレス、鋼板等を使用すると良い。以上の説明は、押下げ摘み4aの操作について述べたが、押下げ摘み4bの操作についても同様である。
【0047】
次に、突起について詳細に説明する。
【0048】
図1に示すように、突起5aは、額縁の裏側(すなわち、図1の状態)から見たときに、連結装置1の角部側を垂直に立ち上げた突起垂直面5a1とし、基板片2aの端部側へ該突起垂直面5a1の頂部に平面を設け突起平面部5a3とし、さらに、該突起平面部5a3より下方へ傾斜して突起傾斜面5a2とした突起形状である。以上の説明は、突起5aの形状について述べたが、突起5bの形状についても同様である。
【0049】
該突起5aは、額縁フレーム30aに穿設された嵌合孔33aに嵌合し、該連結装置1と該額縁フレーム30aとを結合して固定するものである。結合の詳細は後記する。なお、該突起5a及び嵌合孔33aは、図1においては、額縁Aの裏面から見て共に四辺形をしているが、該四辺形に限定されるものではない。突起と嵌合孔との嵌合が可能な手段ならば、いずれの形状でも良い。例えば、突起を先端部を球形とした円柱で、嵌合孔を円形としても良い。要するに、嵌合して固定する形状ならば良い。以上の説明は、突起5aと嵌合孔33aについて述べたが、突起5bと嵌合孔33bについても同様である。
【0050】
また、連結装置1を構成している部材の素材について説明すると、基板2と両側面3a,3bとを一体成形しても良い。そのときは合成樹脂成形品を選択することが適切である。また、一体成形することが不適当なときは、両側面3a,3bは金属板またはアルミニウム若しくは亜鉛合金等のダイキャスト成形品等で製作し、基板2は弾性力を必要とするために弾性体であるステンレス材、合成樹脂成形品等で製作し、両側面3a,3bにネジ止め等の適切な組立手段で取り付ければよい。いずれにしろ、額縁の製品の大きさ、市場規模等に応じた生産手段をとり、適正な価格にする必要がある。
【0051】
次に、額縁フレームについて説明する。
【0052】
図1乃至図6に示すように、額縁フレーム30aは、押出し成形品にて、その断面形状をコ字型としているが、完全なコ字型ではなく、変形した型である。詳しく説明すると、コ字型の下辺(図1に示す下部の形状)には円弧状のフレーム縁取34aと内側に下側挟持片35aとを設け、上辺(図1に示す上部の形状)には挟持溝36aを設けた平面状の上側挟持片37aを設け、コ字型の側面にはフレーム側面38aを設けたものである。
【0053】
また、該フレーム縁取34aを円弧状とし、その端部を丸めた形状としてフレーム縁取端部34a1としている。このような形状としたのは、意匠効果を高めるためである。さらに、円弧状のフレーム縁取34aの表面に線条の凹凸の意匠を施すと意匠効果をより一層高めることができる。
【0054】
また、上側挟持片37aの内側には、凹溝32a1を設け、下側挟持片35aの内側には凹溝32a2を設けている。これは、連結装置1の側面3aを挿嵌するための溝である。さらに、該凹溝32a1,32a2とフレーム側面38aとの間には側面溝40a1,40a2を設けている。これは、該凹溝32a1,32a2に代わって、該側面溝40a1,40a2に連結装置1の側面3aを挿嵌しても良い。また、これらの凹溝32a1,32a2と側面溝40a1,40a2を構成しているリブにより上側挟持片37a及び下側挟持片35aを補強している。
【0055】
また、上側挟持片37aには、連結装置1の突起5aと嵌合する嵌合孔33aを穿設し、該嵌合孔33aの前方(端部31aの方向)に補助孔39aが穿設されている。該補助孔39aにも、前記突起5aと嵌合するが、固定するものではなく、遊嵌である。これは、連結装置1と額縁フレーム30aとを組立若しくは解除の途中で一時的に保持するものである。これにより、組立若しくは解除作業が容易となる。詳細は後記する。
【0056】
また、追加して説明すると、額縁フレーム30aの断面形状は、図8に示すように、上側挟持片37aを設けている。該上側挟持片37aには、一段下がった平行な位置に挟持溝36aを設けている。その段差を成す部分には窪みを持った挟持溝縁36a1を設け、反対側には挟持溝36aの端面を成して窪みを持った挟持溝縁36a2を設けている。窪みを持っている該挟持溝縁36a1,36a2には、裏板ホルダー50aの外側片51bが嵌合する。該裏板ホルダー50aとの嵌合の詳細については後記する。
【0057】
更に、額縁フレーム30aの素材について説明すると、ステンレス、合成樹脂若しくはアルミニウム素材等の押出し成形品を選択することが適切である。以上の説明は、額縁フレーム30aの形状、突起5aと嵌合孔33aとの嵌合及び挟持溝36aと裏板ホルダー50aの外側片51bとの嵌合について述べたが、額縁フレーム30bについても同様である。
【0058】
次に、連結装置と額縁フレームとの結合について説明する。
【0059】
以下の説明では、主として額縁フレーム30aと連結装置1との嵌合について説明するが、額縁フレーム30bと連結装置1との嵌合も同様のため、説明を省略する場合もある。以下に、結合の手順の一例を説明する。
【0060】
図1乃至図6に示すように、まず、該連結装置1と額縁フレーム30a、30bとを図1または図2のように置く。次に、図3に示すように、片側の額縁フレーム30aを連結装置1に挿嵌する。次に、図3に示すように、もう一方の額縁フレーム30bを連結装置1に挿入し、さらに、図4に示す位置まで挿入し、次に、図5に示すように、挿嵌して、額縁フレーム30a,30bの端部31a,31b同士を当接して、所定角度αとなり、この角部の組立を完了する。順次、各角部の連結装置に額縁フレームを挿嵌すると、組立式額縁の組立が完了する。なお、収納品72を取り替えるときは、上記の作業を逆に行えば良い。
【0061】
以下に、結合の詳細を説明する。
額縁フレーム30aの上側挟持片37aに設けた凹溝32a1と下側挟持片35aに設けた凹溝32a2に、連結装置1の側面3aを挿入すると、図3に示す位置では、端部31aが突起5aに乗り上げ、順次図4の位置まで挿入すると、補助孔39aに該突起5aが嵌合し仮止めとなる。このときは遊嵌となる。さらに、挿入すると、図5に示すように、該突起5aは該額縁フレーム30aの嵌合孔33aに突出して嵌合する。そうすると、突起垂直面5a1と嵌合孔33aの端面とが当接し、同様に、額縁フレーム30bを連結装置1に嵌合させる。但し、図3及び図4では、額縁フレーム30bは当初より突起5bと嵌合孔33bは嵌合した状態になっている。そうすると、前記額縁フレーム30a,30bは端部31a,31b同士が当接し、所定角度αに結合することとなる。また、該突起5aと該嵌合孔33aとの嵌合は、組立式額縁Aの裏側の上面から容易に観察することができるので、十分な嵌合かどうかを簡単に見分けることができる。
【0062】
なお、収納品72を取り替えるときは、上記の作業を逆に行えば良い。特に、図4に示す前記補助孔39aに突起5aを遊嵌させると、額縁フレーム30aと連結装置1とは仮止めの状態になる。同様に、額縁フレーム30bと連結装置1とを仮止め状態にする。順次、他の角部についても、額縁フレームと連結装置とを仮止め状態にすると、全ての角部で仮止め状態になるので、このときに収納品72を取り替えると良い。このように収納品72の取り替え作業において、全ての部材を分解する必要が無くなり、取り替え作業が容易となった。
【0063】
また、該額縁フレーム30a,30bの端部31a,31b同士は結合状態では、所定角度αとなる。図1乃至図5の場合は、フレーム角度βは45度に設定されているので、所定角度αは90度になる。但し、該所定角度αは、90度に限定するものではない。四辺形の額縁の場合は、90度に設定するのが一般的と思われるが、多角形の場合の所定角度若しくは変形した意匠の額縁フレームの所定角度においては、適宜の角度に設定される。但し、α=2βとなるのが良い。また、所定角度α=90度、フレーム角度β=45度の四辺形の場合は、額縁フレームの上辺と下辺が同じ部品となり、左右の額縁フレームが同じとなるので、部品の共通化、同一角度による生産の共有化などのメリットがある。同様に、多角形でも、α=2βとすると、適宜に部品の共通化を図ることができる。
【0064】
また、図1に示す裏板ホルダー50bは、額縁フレーム30bに嵌合するものである。勿論、図示していないが、裏板ホルダー50aは額縁フレーム30aにも嵌合するものである。嵌合の詳細は後記する。
【0065】
次に、裏板ホルダーの形状及び作用について図7乃至図10により説明する。
【0066】
額縁フレーム30aに掛止する裏板ホルダー50aは、一端側をU型形状51とし該U型形状51の頂部より他端側へ円弧状とした弾性片54を延設し、該弾性片54の端部側に紐孔リブ551立設し該紐孔リブ551に紐孔55aを設け、さらに該紐孔リブ551の頂部に円弧状から平坦形状としたホルダー摘み56を設けたものである。
【0067】
該U型形状51は、開口側を開口部52、その奥を空間部53とし、片方の脚を内側片51aとし、他方の脚を外側片51bとしたものである。該空間部53の形状は、該内側片51aでは、開口部52側には一段下がった内側片段差51a2を設け、奥側には内側片突起51a1を設け、そして、該外側片51bでは、開口部52側には一段上がった外側片段差51b2を設け、奥側には外側片溝51b1を設けている。なお、U型形状51の空間部53は、額縁フレーム30aの上側挟持片37aを挿入し固定するものである。
【0068】
図8、図9及び図12に示すように、裏板ホルダー50aの開口部52より額縁フレーム30aの上側挟持片37aをU型形状51で挟み込むように空間部53に挿入すると、外側片51bに設けた外側片溝51b1と外側片段差51b2とが、該上側挟持片37aの挟持溝36aに設けられた挟持溝縁36a1,36a2に嵌合し固定される。また、同時に内側片51aに設けられた内側片突起51a1と内側片段差51a2とで該上側挟持片37aを挟み込むように固定する。
【0069】
また、裏板ホルダー50aの素材は、弾性力を有するもの、例えば合成樹脂成形品、バネ性のある鋼板若しくはステンレス等を選択すると、その弾性力により挟み込む力はより強固になる。また、円弧状の弾性片54の下部は内側片51aの外側の平坦部より若干下がった位置にある。これは、収納物全体70を額縁フレーム30aに挿入し固定したときに、収納物全体70の裏板73に弾性片54を押し付けて、裏板ホルダー50aと額縁フレーム30aとをより強固に固定するためである。
【0070】
また、前記裏板ホルダー50aの円弧状の弾性片54の先端部側に紐孔リブ551を立設し該紐孔リブ551に穿設された紐孔55aを設けた。該紐孔55aは設けなくても良い。通常は、該紐孔55aに紐90を通して組立式額縁Aを壁等に掛止することができる。
【0071】
しかし、紐孔55aが無い場合は、U型形状51の頂部と円弧状の弾性片54との接続部に生じるホルダー溝部57または円弧状の弾性片54の先端部とホルダー摘み56との間に生じた溝である摘み段部58に紐90を引掛けて壁等に掛ければ良い。なお、紐掛けをしない場合は当然ながら裏板ホルダー50aは不要である。紐掛けしない場合は、額縁自体を壁等に寄り掛ければ良い。
【0072】
次に、紐の掛け方を説明する。
【0073】
図11に示すように、裏板ホルダー50a,50eに紐90を掛ければ良い。または、該紐90を裏板ホルダー50b,50dに掛ければ良い。または、該紐90を裏板ホルダー50a,50e,50b,50dに掛ければ良い。このように適宜裏板ホルダーを選択して紐90を掛ければ良い。さらに、裏板ホルダー50a,50b,50c,50d,50e,50fの位置は、適宜選択すれば良い。さらに付け加えて説明すると、裏板ホルダーの個数は図11の6個に限定されるものではないので、適宜選択すれば良い。
【0074】
次に、図12により額縁フレーム30aによる収納物全体70の収納状態について説明する。該収納物全体70は、透明シート71、収納品72及び裏板73とから構成されている。該収納品72は、絵画、写真のみならず説明図等の展示用シートをも含むものである。
【0075】
展示するものは、絵画、写真のみならず、例えば商品説明用の説明書き等も額縁に入れて説明することもあり、表彰状等も額縁に保管されるのが通常である。また、裏板73は合成樹脂のシート又は薄板材若しくは合板等である。本発明における額縁は、絵画、写真用だけではなく、広く一般の展示物の展示用も含むものである。
【0076】
次に、他の実施の形態における3点紐掛け式額縁について説明する。
【0077】
これは、組立式額縁の重量バランスを考慮して、裏板ホルダーの配置を適切にしたものである。図13乃至図15に示すように、該組立式額縁Aの上辺の額縁フレーム30aの中央に配置した裏板ホルダー50aの紐孔55aと、左右の両側辺の夫々の額縁フレーム30b、30dの中央から下側に配置した夫々の裏板ホルダー50b、50dの紐孔55b、55dと、に紐90を通す。
【0078】
そして、前記紐90の紐の頂部91,91を額縁フレーム30aの上辺の裏板ホルダー50aの近辺で束ねて、掛止用フック95に掛止すると良い。すなわち、左右の夫々の裏板ホルダー50b、50dを左右の両側辺の夫々の額縁フレーム30b、30dの適宜位置に、例えば、該側辺の中央から下側の半分(すなわち、下側半分)の位置に配置すると、前記組立式額縁Aの重量バランスが良いので、前記紐の頂部91、91を束ねて組立式額縁Aを壁96等の適宜位置に取付けた掛止用フック95に掛止するのに適切である。
【0079】
詳しく説明すると、図13に示すように、額縁フレーム30aの上辺を長さLaとすると、その半分(1/2×La)の位置に配置された裏板ホルダー50aと、左右の額縁フレーム30b、30dの両側辺の長さLb、Ldの夫々の下側半分(1/2×Lb,1/2×Ld)の適宜位置に配置された裏板ホルダー50b、50dとに、紐90を通し、裏板ホルダー50aの紐孔55a近傍の紐の頂部91、91を束ねて、図13に示すように掛止用フック95に掛止すると良い。なお、図13では、LbとLdは同じ長さである。
【0080】
しかし、変形した額縁では、LbとLdは違う場合もある。変形した四辺形の場合も、重量バランスを考慮すると、裏板ホルダーは左右の額縁フレームの両側辺の長さの下側半分の適宜位置に配置することが良い。その他の多角形の場合も同様に、重量バランスを考慮して、裏板ホルダーを重心位置の下側半分の適宜位置に配置すると良い。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、以上の説明から、以下に記載されるような効果を奏する。
【0082】
本発明の組立式額縁では、額縁フレーム、連結装置及び裏板ホルダーを構成部材としているので、複雑な部材が無く、構造を簡素化したので、ハンドル操作による緊締作業のような不十分な締め付け作業を無くし、組立が簡単にできる額縁を提供することができた。
【0083】
また、額縁フレームの切込み部分の角部を無くしたので、該角部による危険性を回避することができ、さらに、該連結装置と額縁フレームとの嵌合を突起と嵌合孔により容易に確認することができるようになった。
【0084】
また、裏板ホルダーの掛け止めを確実にするために、紐を紐孔に通す、またはホルダー溝部等に引掛けることにより、外れ易さの欠点を解消することができた。
【0085】
さらに、本発明の3点紐掛け式額縁の場合は、額縁の重量バランスを配慮したので、額縁の取り付けが容易となり、額縁の取付取外しの作業がより容易となった。
【0086】
以上の説明は、開示された実施の形態のすべての点で例示であり制限的なものではない。従って、本発明の範囲は、上記の説明に限定されたものではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による連結装置、額縁フレーム及び裏板ホルダーとを有する組立式額縁の裏側から見た分解斜視図である。
【図2】本発明による連結装置と額縁フレームとの結合前の背面図である。
【図3】本発明による連結装置に上部に図示した額縁フレームが完全に挿嵌された状態で、下部の額縁フレームが連結装置の途中まで挿嵌され始めた状態を示した背面図である。
【図4】本発明による連結装置に上部に図示した額縁フレームが完全に挿嵌された状態で、下部の額縁フレームが連結装置の中間位置まで挿嵌された状態を示した背面図である。
【図5】本発明による連結装置に両額縁フレームが完全に挿嵌された状態を示す背面図である。
【図6】本発明による連結装置と額縁フレームとの挿嵌された状態及び収納物全体の挿嵌状態を示す断面図である。
【図7】本発明による裏板ホルダーの斜視図である。
【図8】本発明による額縁フレームと裏板ホルダーとの嵌合を説明するための断面図である。
【図9】本発明による額縁フレームと裏板ホルダーとの嵌合を示す断面図である。
【図10】本発明による裏板ホルダーを額縁フレームに嵌挿した状態を額縁の裏から見た背面図である。
【図11】本発明による組立式額縁を裏からみた背面図である。
【図12】本発明による裏板ホルダーを額縁フレームに挿嵌し、さらに、収納物は額縁フレームに取り付けた状態を示す断面図である。
【図13】本発明による他の実施形態における3点紐掛け式額縁を裏から見た背面図である。
【図14】本発明による他の実施形態における3点紐掛け式額縁の側面図である。
【図15】本発明による他の実施形態における3点紐掛け式額縁の説明のための斜視図である。
【符号の説明】
A 組立式額縁 α 所定角度 β フレーム角度
1,1a,1b,1c,1d、・・・ 連結装置
2 基板 2a,2b 基板片 3a,3b 側面
4a,4b 押下げ摘み 4a1 摘み垂直面
4a2 摘み傾斜面
5a,5b 突起 5a1 突起垂直面
5a2 突起傾斜面 5a3 突起平面部
6a,6b 切り溝
30a,30b、30c、30d、・・・ 額縁フレーム
31a,31b 端部
32a1,32a2 凹溝
33a,33b 嵌合孔
34a フレーム縁取
34a1 フレーム縁取端部
35a,35b 下側挟持片
36a,36b 挟持溝 36a1,36a2 挟持溝縁
37a、37b 上側挟持片 38a,38b フレーム側面
39a,39b 補助孔
40a1,40a2 側面溝
50a,50b,50c,50d,50e,50f 裏板ホルダー
51 U型形状
51a 内側片 51a1 内側片突起 51a2 内側片段差
51b 外側片 51b1 外側片溝 51b2 外側片段差
52 開口部 53 空間部 54 弾性片
55a,55b,55d 紐孔
551 紐孔リブ 56 ホルダー摘み
57 ホルダー溝部 58 摘み段部
70 収納物全体 71 透明シート 72 収納品 73 裏板
90 紐 91 紐の頂部 95 掛止用フック 96 壁

Claims (3)

  1. 額縁フレームの端部同士を所定角度に結合する連結装置を有する組立式額縁において、該連結装置は、該所定角度を有する両基板片から成る基板と、該基板の外側端部に沿って配設した両側面と、該基板の各々の基板片の内側に設けた押下げ摘みと、該基板片の中央付近に設けた突起と、該基板片に設けた切り溝とから構成され、且つ、その基板及び両側面を一体成形され、該額縁フレームには、凹溝と側面溝と嵌合孔と補助孔とを形成し、該連結装置の両側面を該額縁フレームに形成した凹溝に挿入し、該連結装置の突起を補助孔に遊嵌させて該額縁フレームとの組立を一時的に保持し、さらに、該連結装置の突起を嵌合孔に嵌合させることにより該額縁フレームの端部同士を所定角度に結合し、前記額縁フレームは、その断面形状を変形したコ字型とし、該コ字型の下辺には円弧状のフレーム縁取と内側に下側挟持片とを設け、上辺には裏板ホルダーと嵌合する両側に挟持溝縁を有する挟持溝を設けた平面状の上側挟持片とを設け、側面にはフレーム側面を設け、さらに、上側挟持片に連結装置の突起と嵌合する嵌合孔及び補助孔を穿設したことを特徴とする組立式額縁。
  2. 請求項1に記載された組立式額縁において、前記裏板ホルダーは、一端側に前記額縁フレームの上側挟持片を挟持する外側片及び内側片を設けたU型形状とし、該U型形状の空間部の外側片には外側片溝と外側片段差を設け、他端側に収納物全体の裏板を押圧する円弧状の弾性片を設けたことにより、該額縁フレームの挟持溝の両側に設けられた挟持溝縁に裏板ホルダーの外側片溝と外側片段差を掛止し、前記裏板ホルダーの円弧状の先端部近傍には紐孔を設けたことを特徴とする組立式額縁。
  3. 請求項2に記載された組立式額縁において、裏板ホルダーは、前記U型形状の頂部と円弧状の弾性片との接続部に生じる紐掛け用のホルダー溝部及び弾性片の先端部とホルダー摘みとの間に摘み段部を設け、該組立式額縁の上辺の額縁フレームの中央に配置した裏板ホルダーの紐孔と、左右の両側辺の夫々の額縁フレームの中央から下側に配置した夫々の裏板ホルダーの紐孔と、に紐を通したことを特徴とする組立式額縁。
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