JP3756589B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、挿入部の先端部に処置具起上台を設け、かつ前記先端部に弾性体からなる先端カバーが着脱自在に装着される内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガストロスコープや十二指腸スコープなどの医療用内視鏡はその挿入部を患者の体腔内に挿入して患部の観察を行うだけでなく、鉗子などの処置具を用いて組織の採取や治療を行い得るように構成されている。このため、鉗子等の処置具を挿通するチャンネルが操作部から挿入部先端まで形成されており、挿入部の先端部にはチャンネルを通じて導入された鉗子等の処置具を所望の患部に向けて導出させる処置具起上台が設けられ、その処置具起上台の起上量を操作することにより処置具を所望の向きに導出させるようになっている。
【0003】
処置具起上装置は基本的に挿入部の先端構成部に配置した起上軸を中心に回動可能な処置具起上台と、この処置具起上台に先端を連結した操作ワイヤとで構成されており、術者が操作部で前記操作ワイヤを進退操作することにより、前記処置具起上台の起上角度を変化させ、処置具を所望の方向に向けて導出させる。
【0004】
ところで、内視鏡の使用時、処置具起上台の起上軸と先端構成部との嵌合部や、操作ワイヤの端部に接続されている操作ワイヤ固定部材と処置具起上台との嵌合部に体腔内の液状物が侵入し易い。したがって、内視鏡使用後には内視鏡を洗浄(消毒)する必要があったが、特に操作ワイヤ固定部材や起上軸の部分が複雑で奥深く位置するためにこれらの部分を洗浄するのに大変な手間がかかっていた。
【0005】
そこで、特開平7−32001号公報では、挿入部の先端構成部に対して先端カバーを着脱可能に装着し、先端カバーと先端構成部との係止を、先端構成部に突出して設けた係止部に、先端カバーの後端側に設けた係止孔を嵌入させて行うように内視鏡を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平7−323001号公報に示された内視鏡では、先端構成部に設けた先端カバー用係止部が、先端構成部の外表面に対して垂直に立ち上がって突出しているために、先端カバーを先端構成部の先端側からスライドさせて装着しようとすると、先端カバーの端部が係止部に突き当たってしまう。そこで、先端カバーを装着する際、その先端カバーを指で引っぱり上げるように変形させて、先端カバーの係止孔を係止部に嵌入させなければならず、この作業がかなり面倒であり、先端カバーの装着に多大な手間がかかっていた。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、比較的簡単な構成でありながら先端構成部に対しての先端カバーの装着性が良い内視鏡を提供することを目的にしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、被検体に挿入するための挿入部と、前記挿入部の先端側部分を構成する先端構成部と、前記先端構成部に着脱自在に装着するために弾性体からなる筒形状の先端カバーと、前記先端構成部に設けられ処置具の延出方向を変更するために回動操作により回動可能な処置具起上台と、前記先端カバーが前記先端構成部に装着されたときに前記先端カバーに形成された係止部と係合するための、前記先端構成部の前記処置具起上台の回動面の延長線上に位置する部位に前記処置具起上台の起上方向に突出して設けられた凸部と、前記処置具起上台の起上したときの前方側壁面に設けられ、前記処置具起上台を起上して前記先端カバーを前記先端構成部に装着するときに前記先端カバーの内周面と当接可能に前記処置具起上台の先端側から後方側にかけて前記処置具起上台が起上する方向に前記先端カバーを装着する前記先端構成部の装着部位よりも高くなるように傾斜した斜面部と、を有することを特徴とする内視鏡である。
請求項2に係る発明は、被検体に挿入するための挿入部と、前記挿入部の先端側部分を構成する先端構成部と、前記先端構成部に着脱自在に装着するために弾性体からなる筒形状の先端カバーと、前記先端構成部に設けられ処置具の延出方向を変更するために回動操作により回動可能な処置具起上台と、前記先端カバーが前記先端構成部に装着されたときに前記先端カバーに形成された開口部の縁部に係止するための、前記先端構成部の前記処置具起上台の回動面の延長線上に位置する部位に前記処置具起上台の起上方向に突出して設けられた抜け止め部と、前記処置具起上台の起上したときの前方側壁面に設けられ、前記処置具起上台を起上して前記先端カバーを前記先端構成部に装着するときに前記先端カバーの内周面に当接可能に前記処置具起上台の先端側から後方側にかけて前記処置具起上台が起上する方向に前記先端カバーを装着する前記先端構成部の装着部位よりも高くなるように傾斜した斜面部と、を有することを特徴とする内視鏡である。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1ないし図5を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1は内視鏡の先端構成部から先端カバーを取り外した内視鏡先端部の斜視図、図2及び図3は内視鏡の先端構成部における先端部本体へ先端カバーを装着する手順を示す先端カバーを断面した先端構成部の側面図、図4(a)は先端カバーの平面図、図4(b)は先端カバーの背面図、図5は内視鏡全体を概略的に示す斜視図である。
【0010】
本実施形態の内視鏡は電子式内視鏡1であり、図5に示すように、この内視鏡1は主に、細長で柔軟な挿入部2と、挿入部2の手元側端部に位置して術者の把持部を兼ねる操作部3と、操作部3の一側部から延出して図示しない光源装置、ビデオプロセッサに接続される図示しないコネクタを先端に設けたユニバーサルコード4とで構成されている。
【0011】
挿入部2は先端側から順に先端構成部(先端部)5、複数の湾曲駒を連設したものを芯材とした上下左右に湾曲自在な湾曲部6、及び柔軟性を有する可撓管部7を連接して構成されている。操作部3に設けた湾曲操作ノブ8を操作することによって湾曲部6が湾曲して先端構成部5を所望の方向へ向けるようになっている。
【0012】
図1に示すように、挿入部2の先端構成部5は、ポリサルホン等の電気的絶縁性のある材料で先端部本体9が形成されている。この先端部本体9は基端部9aの前方に上端を平坦な面9bとした半円柱部9cを連続して形成してなり、半円柱部9cの一側方には、起上室10が切り欠き形成されている。
【0013】
先端部本体9の半円柱部9cにおける上端面9bには、挿入部2の軸方向(長手方向)と直交する側方を視野方向とする対物レンズ11と、この視野方向に照明光を出射して照明する照明レンズ12が長手方向に隣接して設けられている。さらに先端部本体9の基端側には、対物レンズ11の表面を洗浄するための洗浄液の送液、及び対物レンズ11の表面に付着した水滴を除去するための送気あるいは体腔内への送気等を行う送気・送水ノズル13が設けられている。送気・送水ノズル13は挿入部2に内設された送気送水管路(図示せず)と連通する。
【0014】
図示しないが、先端部本体9内には、対物レンズ11の結像位置に位置して、CCD等の撮像素子が配置されている。撮像素子は対物レンズ11で結像された像を光電変換する。この撮像信号は撮像素子に接続された信号ケーブルを通じてユニバーサルコード4等を経て、接続されるビデオプロセッサあるいはカメラコントロールユニットに伝送される。ビデオプロセッサあるいはカメラコントロールユニットでは信号処理を行い、標準的な映像信号に変換し、図示しないカラーモニタにおいて、撮像素子に結像された内視鏡画像を再生表示する。
【0015】
同じく図示しないが、先端部本体9における照明レンズ12の内側にはライトガイドファイバ束の先端面が配置されている。このライトガイドファイバ束は、挿入部2、操作部3を経てユニバーサルコード4内に挿通されており、これをユニバーサルコード4の末端にあるライトガイドコネクタを図示しない光源装置に接続することにより、光源装置から供給される照明光を伝送し、その先端面から照明レンズ12を経て対物レンズ11の視野方向に照明光を出射させるようになっている。
【0016】
対物レンズ11、照明レンズ12、送気・送水ノズル13が設けられた半円柱部9cの側方に位置する起上室10内には軸支ピン14に軸支した処置具起上台15が設置されている。つまり、処置具起上台15はその基端側が起上室10の下部において先端部本体9に両端が支持された軸支ピン14に軸支した状態で配置され、上端側部分が前後に揺動するように取り付けられている。この処置具起上台15の先端寄りの部分には挿入部2内を挿通された処置具起上ワイヤ16の先端が接続されている。
【0017】
また、処置具起上台15はその手前側壁部が処置具誘導面を形成しており、この処置具誘導面に対向して先端部本体9には、挿入部2に内設された処置具チャンネル(図示せず)に連通する処置具チャンネル開口部(図示せず)が形成されている。そして、この処置具チャンネル開口部から突出される図示しない処置具は処置具起上台15の傾き角度(起上角度)により、その突出方向が規制され、所望方向に処置具を導出させるようにしている。処置具起上台15は起上させた状態での前方側、つまり処置具誘導面と反対側の壁面部が、中間部分から先端部にかけて前方から後方に湾曲する斜面部17を形成している。
【0018】
さらに、先端部本体9にはシリコンゴム等の弾性体からなる先端カバー20が嵌合される。先端カバー20は先端部本体9を包み込む有底筒状に形成され、先端部は半球形状の丸みが形成されている。先端カバー20はその開口部から先端部本体9に嵌め込み、その開口部が先端部本体9の基端部まで嵌め込まれる構成になっている。先端部本体9の基端部には平坦な嵌合面22が形成され、先端カバー20の開口部内周面21はその嵌合面22を含む形状に密着して適合するように形成されている。先端部本体9には先端カバー20の開口端23が当たる段部端面24が形成されている。
【0019】
先端部本体9の嵌合面22には係止部としての係止凸部26が突出して設けられている。また、先端部本体9に先端カバー20が嵌合したとき、この係止凸部26の位置に対応して、先端カバー20にはその係止凸部26が嵌合して係止する係止部としての係止孔27が形成されている。この係止凸部26は処置具起上台15の位置よりも後方手前側に位置し、かつ処置具起上台15の回動面方向の延長線上に位置している。
【0020】
先端カバー20の上面部には観察・処置用開口部28が、対物レンズ11、照明レンズ12、送気・送水ノズル13及び処置具起上台15を露出させる状態で開口されている。また、図4で斜線にて示すように、先端カバー20の開口部28の後端側左右部分には部分的に厚肉部29を設けており、先端部本体9に先端カバー20を装着する際、先端カバー20が過剰に変形することを防止するようになっている。
【0021】
前記処置具起上ワイヤ16は挿入部2内に挿通され、その基端は操作部3内に組み込まれた起上操作機構に連結される。この起上操作機構は操作部3に設けた処置具起上操作ノブ31によって操作され、この処置具起上操作ノブ31を回動する操作を行うことにより、処置具起上ワイヤ16を牽引して処置具起上台15の傾き角度を変更させ、処置具の先端部が突出される方向を可変できるようにしている。
【0022】
また、挿入部2内に設けられていた処置具チャンネルの基端側は、操作部3に設けた処置具挿入口32に連通し、この処置具挿入口32から処置具を挿通できるようにしている。
図5に示すように、操作部3においての、使用者が把持する把持部本体33の基端部側(図5では右方側)の端部には、前記湾曲操作ノブ8や処置具起上操作ノブ31の他に、送気・送水操作を行わせる送気・送水ボタン35、吸引操作を行わせる吸引ボタン36、ビデオプロセッサあるいはカメラコントロールユニットに対して静止画の指示等の画像制御の指示操作を行う複数の操作スイッチ37が設けられている。
【0023】
次に、先端カバー20を先端部本体9に装着する方法について説明する。まず、先端カバー20を先端部本体9に装着する前に、操作部3の把持部本体33に設けられている処置具起上操作ノブ31を回動させて処置具起上台15を起上させる。このとき、処置具起上台15の斜面部17は挿入部2の先端側から後端側にかけて高くなるように斜めに形成される。この状態で、先端部本体9の先端側からシリコンゴム等の弾性体からなる先端カバー20を嵌め込むようにして装着していくと、その途中で先端カバー20の内周面21の縁が処置具起上台15の斜面部17に突き当たる。
【0024】
そこで、先端カバー20をさらに押し込んでいくと、図2で示すように先端カバー20の内周面21は処置具起上台15の斜面部17に沿って弾性変形をしながら押し広げられながら嵌り込んで行く。従って、先端カバー20の開口端23が先端部本体9の嵌合面22に突設している係止凸部26上を通過する直前には先端カバー20の内周面21と係止凸部26との干渉を小さくするので、先端カバー20は係止凸部26を乗り越え易くなる。
【0025】
図3で示すように、先端カバー20の開口端23が先端部本体9の段部端面24に当たる状態での完全に装着された状態では係止凸部26が先端カバー20の係止孔27に嵌り込んで係止する。この完全に装着された状態では押し広げられた先端カバー20はその弾性により元に戻り、先端カバー20の内周面21は先端部本体9の嵌合面22に密着するので、係止凸部26と先端カバー20の係止孔27との係止高さは十分に確保できる設定が可能であり、先端カバー20が先端部本体9から脱落することを防止する上で有効である。
【0026】
また、先端カバー20の開口部28の後端側には一部厚肉部29を設けてあるので、先端カバー20を先端部本体9に装着していく過程で弾性体からなる先端カバー20の過剰な変形を防止し、先端カバー20の部分が例えば畳み込まれる現象を防止する。つまり、先端カバー20を先端部本体9に装着する際、先端カバー20の開口部28の周縁は自由端であり、変形し易いが、その変形し易い開口部28の近傍を厚肉にすることにより、装着する際、開口部28の周縁が変形しにくくなる。このため、先端部本体9に対する先端カバー20の装着性が良い。なお、厚肉にする部分は変形し易い部分ならどこでも良く、例えば、先端カバー20の開口端23側の開口周縁部分に設けてもよい。
【0027】
このように構成された本実施形態の内視鏡1では、先端部本体9に設けている処置具起上台15を起上させた状態で先端カバー20を先端部本体9に装着する際、処置具起上台15に形成されている先端側から後端側にかけて高くなる斜面部17に沿って先端カバー20の内周面21が押し広げられて、係止凸部26に係止孔27が嵌るので、使用者が、先端カバー20を装着するとき、その先端カバー20を引っ張り上げて先端カバー20の係止孔27を係止凸部26に嵌め込むといった頻雑な作業が不要になり、使用者にとって使い易くなる。
【0028】
(第2実施形態)
図6ないし図10を参照して本発明の第2実施形態を説明する。図6は内視鏡の先端構成部から先端カバーを取り外した内視鏡先端部の斜視図、図7は同じく内視鏡の先端構成部から先端カバーを取り外した内視鏡先端部の寸法関係を示す一部断面した内視鏡先端部の側面図、図8ないし図10は内視鏡の先端部本体へ先端カバーを装着する順序を示す説明図である。
【0029】
前述した第1実施形態のものとの相違点を中心に述べると、この第2実施形態での先端カバー40は、略半球形状先端部の内腔に、ステンレススチール等の剛性のある材料によって形成したインサート部材42が一体的にインサート形成されている。インサート部材42は内視鏡1の先端部本体9の先端側部分の一部を覆うように形成されている。インサート部材42の先端内面部には、内視鏡1の先端部本体9に着脱自在に係着固定するための係止部45が設けられている。この係止部45は、インサート部材42の先端内面部に形成した係止凹部46と、この係止凹部46に先端カバー40における本体部材47との間に空間部を残して形成した係止壁部48とからなり、後述する先端部本体47の係止凸部49が係止凹部46の底部から処置具起上台15とは反対側へ差し込んで係止壁部48に係着するようになっている。
【0030】
一方、剛性の先端部本体9の半円柱部9cの先端面には前記係止部45と係合することにより先端カバー20を着脱自在に固定する係合手段としてのL字形状の係止凸部49が設けられている。係止凸部49は処置具起上台15とは反対側に向けて屈曲先端が突き出している。
【0031】
また、処置具チャンネル開口部(図示せず)に隣接し、処置具起上ワイヤ16が配置されている付近の先端部本体9には高周波ナイフの切れを防止する為、絶縁ブロック51が埋設されている。
先端部本体9の基端部9aには、その先端部本体9の一部および絶縁ブロック51を取り囲むように略円筒状の絶縁部材52が被嵌して環装されている。従って、先端部本体9の外周面53と絶縁部材52のカバー密着面54との間には段差が形成されているが、その段差の端面には先端カバー20の開口端23が乗り越え易いように、エポキシ系の接着剤でテーパ部55を設け、先端カバー装着ガイド用斜面部を形成している。
【0032】
また、絶縁部材52の上面には平坦な嵌合面56が形成されるが、先端カバー20の開口部内周面21はその嵌合面56を含む形状に適合する形状に形成されている。嵌合面56の先端には突起状の抜止め部57が形成され、装着状態の先端カバー20における観察・処置用開口部28の縁部に係止するようになっている。抜止め部57は処置具起上台15に対向した位置に設けられている。つまり、処置具起上台15の位置よりも後方手前側に位置し、かつ処置具起上台15の回動面方向の延長線上に位置している。
【0033】
次に、先端カバー40を先端部本体9に装着する方法について説明する。まず、先端カバー40を先端部本体9に装着する前に、操作部3の把持部本体33に設けられている処置具起上操作ノブ31を回動させて処置具起上台15を起上させる。このとき、図7で示すように、処置具起上台15の斜面部17は挿入部2の先端側から後端側にかけて高くなるように斜めに形成される。
【0034】
この場合、処置具起上台15の斜面部17の先端側端部から先端部本体9の下側外周面53の部分まで測った挿入部2の径方向の長さを「a」とし、処置具起上台15の斜面部17の後端側端部から先端部本体9の下側外周面53の部分まで測った挿入部2径方向の長さを「b」とし、先端カバー40の内周面21の内径を「c」としたときの、3つの寸法の関係は a<c<b となっている。また、先端カバー40の内周面21の径は先端部本体9の外周面53の径より大きく、かつ絶縁部材52のカバー密着面54の径より小さく設定されている。
【0035】
この状態で先端部本体9に、先端側からシリコンゴム等の弾性体からなる先端カバー40を嵌め込むようにして装着していくと、その途中で処置具起上台15の先端側と先端部本体9の外周面53との径方向の長さaと、先端カバー40の内周面21の内径cとの寸法関係はa<cとなっているので、先端カバー40の端面部23は処置具起上台15の斜面部17の途中で突き当たる(図8参照)。
【0036】
さらに、先端カバー40を装着していくと、端面部23の部分は先端部本体9に沿って弾性変形をしながら押し広げられる(図9参照)。そして、処置具起上台15の斜面部17の後端側は絶縁部材52に突設している抜止め部57よりも高いので、先端カバー40の端面部23が斜面部17の後端側を越えた後は、開口端面部23は抜止め部57と干渉せずに絶縁部材52の嵌合面56に落ち込んでいく。先端カバー20の開口端面部23の下端縁ではテーパ部55の斜面でガイドされ、引っ掛かりにくい。
【0037】
次に、先端カバー40の係止凸部49の先端が、先端カバー40のインサート部材42が突き当たって係止凹部46内に位置したところで、先端カバー40のインサート部材42の外側から把持し、処置具起上台15のある位置とは反対の向きに傾けるように変形させる。そして、先端カバー40の変形を復元させれば、先端部本体9の先端にあるL字状の係止凸部49が、先端カバー40の係止壁部48に引っ掛り、係止凹部32に嵌め込む。そして、先端カバー40の開口端面部23の部分は絶縁部材52の基端部に設けた段差状の口部端面24に突き当たる。そして、先端カバー40の抜止め部57は観察・処置用開口部28の周縁に密に嵌り係合状態になる。この作業で、先端カバー40を内視鏡1の先端部本体9に装着する作業は完了し、図10に示す状態となる。
【0038】
このとき、絶縁部材52の密着面54の外径は、絶縁体からなる先端カバー本体47の内径よりも大きく設定しており、先端カバー40を装着した状態において絶縁部材52と先端カバー40の本体部材47は常に密着させていることにより絶縁部材52と先端カバー40の本体部材47の隙間には体腔内液が侵入しないので体腔内液を介して高周波電流が外表面に漏れることを防止できる。
【0039】
このように構成された本実施形態の内視鏡1では、絶縁部材52の密着面54の外径を先端カバー40の本体部材47の内径よりも大きく設定して高周波電流の漏れを防止している内視鏡1においても先端部本体9に設けている処置具起上台15を起上させた状態で、先端カバー40を先端部本体9に装着する際、処置具起上台15に形成されている先端側から後端側にかけて高くなる斜面部17に沿って先端カバー40の本体部材47の内周面21が押し広げられて斜面部17を越えた後は、絶縁部材52の密着面54に抜止め部57を越えて自然に落ち込んでいくので、使用者が先端カバー40を装着するときに先端カバー40の本体部材47を引っぱり上げて絶縁部材52の抜止め部57に乗り越えさせるといった頻雑な作業が不要になり、使用者にとって使い易くなる。
【0040】
さらに、本実施形態においては内視鏡を電子内視鏡としているが、内視鏡は電子内視鏡に限定されるものではなく、ファイバースコープであっても良く、また、処置具起上台の起上位置についても、最大起上位置に限定されるものではなく、最大起上位置と倒置位置の中間の位置であっても良い。
【0041】
[付記]
(1) 挿入部の先端部に処置具起上台を設け、かつ前記先端部に弾性体からなる先端カバーが着脱自在に装着される内視鏡において、前記処置具起上台に起上させたときに挿入部の先端側から後端側にかけて高くなる斜面を設けたことを特徴とする内視鏡。
(2) 挿入部の先端部に先端カバーを装着したとき、前記先端カバーの内周面の一部と前記先端部の基端部側の外表面の一部とが全周的に密着する付記1項の内視鏡。
(3) 挿入部の先端部に処置具起上台を設け、かつ前記先端部に弾性体からなる先端カバーが着脱自在に装着される内視鏡において、前記処置具起上台の表面に起上させたときに前記挿入部の先端側から後端側にかけて高くなる斜面を設け、かつ前記斜面の最大高さが前記先端カバーが装着される先端部の基端部外表面よりも外周側へ突出する高さとなるように構成したことを特徴とする内視鏡。
【0042】
(4) 先端部に先端カバーを装着したとき、前記先端カバーの内周面の一部と前記先端部の基端部側の外表面の一部とが全周的に密着する付記1項の内視鏡。
(5) 挿入部先端部に処置具起上台を設け、かつ前記先端部に弾性体からなる先端カバーが着脱自在に装着される内視鏡において、前記処置具起上台の表面に起上させたときに挿入部の先端側から後端側にかけて高くなる斜面を設けるとともに、前記処置具起上台の起上時の斜面先端側端部から先端部外表面までの挿入部径方向の長さをa、前記処置具起上台起上時の斜面後端側端部から先端部外表面までの挿入部径方向の長さをb、前記先端カバーの後端側内周面の内径をcとしたとき、前記a、b、cの寸法関係が、a<c<bとなるように構成したことを特徴とする内視鏡。
(6) 挿入部の先端部に先端カバーを装着したとき、前記先端カバーの内周面の一部と前記先端部の基端部側の外表面の一部とが全周的に密着する付記5項の内視鏡。
【0043】
(付記2、4、6の目的)
先端カバーの装着性を向上させる方法としては、係止部近傍の先端カバーの内周面と先端構成部の外表面との間に隙間を設けることも考えられるが、隙間を設けると先端カバーと先端構成部との係止高さが減少するので、先端カバーの先端構成部に対する固定力が低下する。あるいは高周波電流を用いた処置を行うと、前記先端カバーと先端構成部との隙間に侵入した体腔内液を介して高周波電流が外表面側に漏れるおそれがあり、万一、前記先端部の外表面が体腔内壁に接していると電流が体腔内壁に流れてしまうという可能性があった。
付記2、4、6の発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、先端カバーの先端構成部に対する固定力を十分に有し、かつ、高周波電流を用いた処置を行う場合でも内視鏡の先端部の外表面に高周波電流が漏れることを防止した先端構成部に対して着脱自在な先端カバーの装着性が良い内視鏡を提供することを目的にしている。
【0044】
(8) 弾性体からなる先端カバーが挿入部先端部に着脱自在に装着される内視鏡において、前記先端カバーの外周面の少なくとも一部を厚肉にしたことを特徴とする内視鏡。
(9) 弾性体からなる先端カバーが挿入部先端部に着脱自在に装着される内視鏡において前記先端カバーの開口部近傍の少なくとも一部を厚肉にしたことを特徴とする内視鏡。
(10)弾性体からなる先端カバーが挿入部先端部に着脱自在に装着される側視型内視鏡において、前記先端カバーの観察窓開口部の少なくとも一部を厚肉にしたことを特徴とする内視鏡。
(11)弾性体からなる先端カバーが挿入部先端部に着脱自在に装着される側視型内視鏡において、前記先端カバーの観察窓開口部の基端側を厚肉にしたことを特徴とする内視鏡。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡単な構成で、先端カバーの先端部本体に対する装着性を向上する。カバーの装着時には起上台を起上させておき、先端カバー挿入部先端側から押し込むことによって先端カバーの内周が斜面に沿って徐々に拡開するので、従来のようにカバーを引っ張って変形させるような操作を必要とせず容易に装着可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る内視鏡の先端構成部から先端カバーを取り外した内視鏡先端部の斜視図。
【図2】同じく第1実施形態に係る内視鏡の先端構成部における先端部本体へ先端カバーを装着する手順を示す先端カバーを断面した先端構成部の側面図。
【図3】同じく第1実施形態に係る内視鏡の先端構成部における先端部本体へ先端カバーを装着する手順を示す先端カバーを断面した先端構成部の側面図。
【図4】(a)は同じく第1実施形態に係る内視鏡の先端カバーの平面図、(b)はその先端カバーの背面図。
【図5】同じく第1実施形態に係る内視鏡の全体を概略的に示す斜視図。
【図6】第2実施形態に係る内視鏡の先端構成部から先端カバーを取り外した内視鏡先端部の斜視図。
【図7】同じく第2実施形態に係る内視鏡の先端構成部から先端カバーを取り外した内視鏡先端部の寸法関係を示す一部断面した内視鏡先端部の側面図。
【図8】同じく第2実施形態に係る内視鏡の先端構成部における先端部本体へ先端カバーを装着する手順を示す先端カバーを断面した先端構成部の側面図。
【図9】同じく第2実施形態に係る内視鏡の先端構成部における先端部本体へ先端カバーを装着する手順を示す先端カバーを断面した先端構成部の側面図。
【図10】同じく第2実施形態に係る内視鏡の先端構成部における先端部本体へ先端カバーを装着する手順を示す先端カバーを断面した先端構成部の側面図。
【符号の説明】
1…内視鏡、2…挿入部、3…操作部、5…先端構成部、9…先端部本体、 10…起上室、15…処置具起上台、20…先端カバー、17…斜面部、40…先端カバー。
Claims (2)
- 被検体に挿入するための挿入部と、
前記挿入部の先端側部分を構成する先端構成部と、
前記先端構成部に着脱自在に装着するために弾性体からなる筒形状の先端カバーと、
前記先端構成部に設けられ処置具の延出方向を変更するために回動操作により回動可能な処置具起上台と、
前記先端カバーが前記先端構成部に装着されたときに前記先端カバーに形成された係止部と係合するための、前記先端構成部の前記処置具起上台の回動面の延長線上に位置する部位に前記処置具起上台の起上方向に突出して設けられた凸部と、
前記処置具起上台の起上したときの前方側壁面に設けられ、前記処置具起上台を起上して前記先端カバーを前記先端構成部に装着するときに前記先端カバーの内周面と当接可能に前記処置具起上台の先端側から後方側にかけて前記処置具起上台が起上する方向に前記先端カバーを装着する前記先端構成部の装着部位よりも高くなるように傾斜した斜面部と、
を有することを特徴とする内視鏡。 - 被検体に挿入するための挿入部と、
前記挿入部の先端側部分を構成する先端構成部と、
前記先端構成部に着脱自在に装着するために弾性体からなる筒形状の先端カバーと、
前記先端構成部に設けられ処置具の延出方向を変更するために回動操作により回動可能な処置具起上台と、
前記先端カバーが前記先端構成部に装着されたときに前記先端カバーに形成された開口部の縁部に係止するための、前記先端構成部の前記処置具起上台の回動面の延長線上に位置する部位に前記処置具起上台の起上方向に突出して設けられた抜け止め部と、
前記処置具起上台の起上したときの前方側壁面に設けられ、前記処置具起上台を起上して前記先端カバーを前記先端構成部に装着するときに前記先端カバーの内周面に当接可能に前記処置具起上台の先端側から後方側にかけて前記処置具起上台が起上する方向に前記先端カバーを装着する前記先端構成部の装着部位よりも高くなるように傾斜した斜面部と、
を有することを特徴とする内視鏡。
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