JP3753223B2 - 定着装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置において未定着画像を加熱加圧定着するのに用いられる定着装置に係り、特に、定着部材とエンドレスベルトとの間に形成されたニップ部に記録媒体を通過させる、所謂ベルトニップ方式の定着装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のベルトニップ方式の定着装置としては、例えば加熱源を有する回転可能な加熱定着ロールと、この加熱定着ロールに圧接し且つ共に転動するエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に配設されて、前記エンドレスベルトを加熱定着ロールに向けて押圧して当該エンドレスベルトと加熱定着ロールとの間にニップ部を形成する圧力パッドとを備え、このニップ部にシートを通過させることで、当該シート上の未定着トナー像を加熱加圧定着するようにしたものが知られている(特開平8−262903号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなベルトニップ方式の定着装置においては、エンドレスベルト及び加圧パッドの間の摩擦係数が大きいと、エンドレスベルト駆動のためのトルクが増大し、エンドレスベルトを駆動させるための加熱定着ロールに働く応力つまり駆動トルクも大きくなるため、薄肉の加熱定着ロールコアのギア受け部に働く応力が大きくなり、ギアやコアの破損を引き起こしてしまうという技術的課題がみられた。また、このような態様にあっては、当然のごとく駆動モーターの負荷も大きくなり、より多くの電力が必要になってしまうことになる。
更に、加熱定着ロールによるエンドレスベルトの駆動力に比べて、エンドレスベルト及び加圧パッドの間の摩擦力が無視できないほど大きくなると、加熱定着ロールとエンドレスベルトとの間でスリップが生じ、このような条件下で未定着トナー像を保持したシートをニップ部に通すと、このスリップがシート上の未定着トナー像に画像のずれを引き起こしてしまうという技術的課題もみられた。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、特開平10−213984号公報には、加圧パッドとエンドレスベルトとの間に、潤滑剤として変性シリコーンオイルを介在させると共に、この加圧パッドの表面にポリテトラフルオロエチレンを含浸させたガラス繊維シートを被覆することで、エンドレスベルトの滑りを良好にする技術が提案されている。
また、特開平11−219052号公報には、エンドレスベルトの内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材を設け、このエンドレスベルトを介してニップ部に潤滑剤を供給することで、エンドレスベルトの滑りを良好にする技術も提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの技術を採用した場合、初期的にはエンドレスベルト駆動のためのトルクを低減させることができるものの、時間の経過と共にエンドレスベルト駆動のためのトルクが増大し、上述したような問題が発生してしまうという技術的課題がみられた。
【0006】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、経時的なエンドレスベルトの駆動トルクの増大を防止し、安定した走行性能を確保することにより、高品質の画像を安定して得ることのできる定着装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の基本的構成は、図1に示すように、回転可能に配設される定着部材1と、前記定着部材1に回転可能に圧接配置され、前記定着部材1との間に形成されるニップ部Nに未定着トナー像Tを担持した記録媒体Kが挟持されるエンドレスベルト2と、前記エンドレスベルト2の内側に固定配設され、前記定着部材1側に向けて当該エンドレスベルト2を押圧する加圧部材3と、前記ニップ部Nを加熱する加熱源Hとを備え、前記加圧部材3の前記エンドレスベルト2との対向部に多孔質樹脂部材4を設けると共に、当該多孔質樹脂部材4内に潤滑剤を保持させたものである。
特に、本発明は、多孔質樹脂部材4として多孔質樹脂繊維織布及び多孔質樹脂フィルムを積層した態様や、四弗化エチレン多孔質樹脂からなる態様を用いたことを特徴とする。
【0008】
このような技術的手段において、定着部材1は、回転可能に配設されるものであれば、ロール状、ベルト状等適宜選定して差し支えない。
また、エンドレスベルト2は、図1に示すように非張架状態で支持されるものであってもよいし、例えば複数のロールに掛け渡すなどして張架支持されるものであってもよい。
【0009】
更に、加圧部材3は、固定配設されて前記定着部材1に向けて前記エンドレスベルト2を押圧するものであれば適宜選定して差し支えないが、定着時の熱による劣化を防止するという観点からすれば、耐熱性を具備するもので構成することが好ましい。
【0010】
更にまた、加熱源Hは、ニップ部Nを加熱するものであれば、例えば図1に示すように定着部材1を内部加熱するタイプや、また定着部材1を外部加熱するタイプのように、定着部材1を介してニップ部Nを加熱するものは勿論のこと、エンドレスベルト2や加圧部材3を加熱することでニップ部Nを加熱するもの等、適宜選定して差し支えない。
【0011】
また、多孔質樹脂部材4は、多数の孔を有する樹脂からなるものであって、例えば、樹脂を発泡させて多孔質化したものや、樹脂を一軸あるいは二軸方向に延伸して多孔質化したもの等が挙げられる。
ここで、樹脂を一軸あるいは二軸方向に延伸して多孔質化した多孔質樹脂部材を採用する態様にあっては、例えば、当該多孔質樹脂にて織られた繊維(多孔質樹脂繊維織布)や、前記多孔質樹脂繊維織布及び多孔質樹脂を膜化したもの(多孔質樹脂フィルム)を積層したものが挙げられるが、特に本発明の代表的態様としては後者の態様が用いられる。
また、多孔質樹脂部材4に用いられる材質については、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂等より適宜選定して差し支えないが、耐熱性、離型性、耐久性、耐摺動性等を考慮すると、特に本発明の代表的態様としては多孔質化した四弗化エチレン樹脂(四弗化エチレン多孔質樹脂)を用いたものが挙げられる。
【0012】
更に、本願発明においては、前記多孔質樹脂部材4に潤滑剤を保持させる必要があるが、この手法については、予め多孔質樹脂部材4に潤滑剤を含浸させるようにしてもよいし、また、外部より多孔質樹脂部材4に潤滑剤を供給するようにしてもよい。
ここで、後者の態様においては、簡易且つ安定的に潤滑剤を供給するという観点からすれば、前記エンドレスベルト2の内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段5を具備させることが好ましい。
【0013】
また、潤滑剤については、オイル、グリース等より適宜選定して差し支えないが、潤滑性の向上という観点からすればオイルを用いることが好ましい。
そして、潤滑剤としてオイルを採用する場合、その種類については、シリコーンオイルやフッ素オイル等より適宜選定して差し支えないが、安全性を考慮すればシリコーンオイルを用いることが好ましい。
更に、潤滑剤としてシリコーンオイルを用いる態様にあっては、その粘度が常温で50〜3000csであることが好ましい。ここで、この下限値はシリコーンオイルの不必要な蒸発を防止するという観点に基づいて定められたものであり、一方、上限値はシリコーンオイルが摺動抵抗が大きくなる要因となってしまうのを防止する観点に基づいて定められたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は、本発明が適用された定着装置の実施の形態1の概略構成を示したものである。
同図において、本実施の形態に係る定着装置は、定着部材としての加熱定着ロール10と、薄膜状のエンドレスベルト20と、加圧部材としての押圧パッド30とを備えている。
ここで、エンドレスベルト20は、その内側に配置された押圧パッド30により加熱定着ロール10に押圧されており、加熱定着ロール10とエンドレスベルト20との間に、未定着トナー像Tが担持された記録媒体としての記録シートSが通過可能なニップ部Nが形成されるようになっている。
【0015】
本実施の形態において、加熱定着ロール10は、円筒状のコア11と、その表面に形成された弾性層12,離型層13とを有し、コア11の内部には加熱源14が設けられている。
【0016】
前記コア11の材質としては、機械的強度に優れ、熱伝導性の良好な材質のものであれば特に制限はないが、例えば、アルミニウム、SUS、鉄、銅、真鍮等の金属や合金等が挙げられる。
【0017】
また、前記弾性層12の材質としては、該弾性層12として公知の材質のものの中から適宜選択でき、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。そして、この弾性層12を前記コア11の表面に形成する手法としては、特に制限はなく、例えば、それ自体公知の注入成型法またはコーティング法等が採用できる。
【0018】
更に、前記離型層13は、未定着トナー像Tのオフセットを好適に防止すると共に、安定した状態で定着装置を稼動させるために設けられるものであって、その材質としては、耐熱性がありトナーに対し適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が用いられる。
【0019】
更にまた、前記加熱源14としては、前記コア11の内部に収容することができる形状、構造のものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ハロゲンヒーター等を用いることができる。前記加熱源14により加熱された加熱定着ロール10の表面温度は、例えば、該加熱定着ロール10表面に接触配置される感温素子15で計測するようにし、制御手段によりその温度を一定に制御することができる。
前記感温素子15としては、特に制限はなく、例えば、サーミスター、温度センサー等が用いられる。前記制御手段としては、特に制限はなく、たとえば、温度コントローラー、コンピューターなどが用いられる。
尚、符号16は、加熱定着ロール10を回転駆動するモーターである。
【0020】
また、前記エンドレスベルト20としては、その形状、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じてそれ自体公知のものの中から適宜選択して使用することができる。前記エンドレスベルト20の構造としては、単層構造であっても良いが、本実施の形態においては、図2に示すように、基材21表面に離型層としての樹脂皮膜22を形成したものが用いられる。
ここで、エンドレスベルト20の基材21の材質としては、例えば、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のポリマーや、ステンレス、ニッケル、銅等の金属が用いられる。
そして、樹脂皮膜22は、表面に付着するトナーの剥離性のよいものが好ましく、その材質としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素樹脂が用いられる。
【0021】
更に、押圧パッド30は、断面略凹字状の支持体31と、該支持体31上に配置された弾性体32と、エンドレスベルト20と対向する支持体31及び弾性体32を覆うように固定配設された低摩擦シート33と、エンドレスベルト20がスムーズに回転するように設けられたベルト走行ガイド34とから構成されている。
【0022】
そして、前記ベルト走行ガイド34の両端には、エンドレスベルト20の寄りを規制する鍔状の部材(図示せず)が設けられている。支持体31は、弾性体32を固定する機能を有し、該支持体31は、圧縮コイルスプリング(図示せず)によりエンドレスベルト20を介して加熱定着ロール10を押圧するようになっている。
【0023】
前記押圧パッド30の形状、構造、大きさ等については特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、また、単一の部材からなる構造であってもよいし、本実施の形態のように異なる機能を有する複数の部材からなる構造であってもよい。
【0024】
前記弾性体32の材質としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを用いることができる。ここで、シリコーンゴムを採用する場合には、潤滑剤としてシリコーンオイルを使用するとシリコーンゴムが膨潤するので、これを防ぐためにその表面をフッ素樹脂またはフッ素ゴムのコート層を設けることが好ましい。
【0025】
また、本実施の形態において、低摩擦シート33としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂を二軸方向に延伸して多孔質化した多孔質樹脂が用いられている。その形状としては、フィルム形状、織布形状、フィルム/織布貼り合せ形状など適宜選定して差し支えないが、本実施の形態では、図3に示すように、フィルム層33aと織布層33bとを貼り合せたものを用いており、フィルム層33aをエンドレスベルト20に対向させるように配置している。これは、この構成のものが最も耐久性、耐摺動性に優れるという理由によるものである。
【0026】
また、前記ベルト走行ガイド34には、エンドレスベルト20の内面に潤滑剤としてのシリコーンオイルを供給する潤滑剤供給手段としてのオイル供給部40が配設されている。このオイル供給部40は、エンドレスベルト20の内面に接触配置されるフェルト41とこのフェルト41を保持するケース42とを備えており、フェルト41には、粘度50〜3000csの粘度を有するシリコーンオイルが含浸されている。
また、フェルト41は、エンドレスベルト20の軸方向のほぼ全域に当接し、エンドレスベルト20の回転に伴って、このエンドレスベルト20の内周面全面にシリコーンオイルを供給する。シリコーンオイルの供給量は多い必要はなく、従って、フェルト41のエンドレスベルト20に対する当接圧力は小さく、微妙に接触する程度でよい。
尚、シリコーンオイルを含浸させるフェルト41については、多数の連続気孔を有し、定着温度における耐熱性を有すると共に適度の弾性率を有するものであればよく、スポンジ等であってもよい。
【0027】
次に、本実施の形態に係る定着装置の作動について説明する。
図2において、モーター16が回転駆動されると、加熱定着ロール10が回転し、加熱定着ロール10の回転に従動してエンドレスベルト20も回転する。
このとき、加熱定着ロール10とエンドレスベルト20との間に形成されたニップ部Nの入口に、未定着トナー像Tを保持する記録シートSが存在すると、該記録シートSが前記ニップ部Nに取り込まれ、ニップ部Nを通過する。ニップ部Nにおいては、加熱定着ロール10と、押圧パッド30により加熱定着ロール10側に押圧されたエンドレスベルト20とによって前記記録シートSがプレスされ、また、加熱定着ロール10によって該記録シートSが加熱される。その結果、該記録シートS上の未定着トナー像Tが記録シートS上に加熱加圧定着される。
【0028】
エンドレスベルト20が回転しているとき、このエンドレスベルト20の内周面には、フェルト41によってシリコーンオイルが塗布されている。そして、塗布されたシリコーンオイルは、エンドレスベルト20の回転に伴ってニップ部Nすなわちエンドレスベルト20の内周面に接触する押圧パッド30の低摩擦シート33との対向部に到達する。
ここで、本実施の形態では、低摩擦シート33が多孔質樹脂で構成されていることから、シリコーンオイルが多孔質樹脂の内部に保持されると共に表面より滲み出すようになり、その結果、常にエンドレスベルト20と押圧パッド30(低摩擦シート33)との間の摩擦係数は安定して低く押さえられることになる。
従って、エンドレスベルト20の駆動トルクが経時的に増大するという事態を有効に回避することができる。
また、加熱定着ロール10の回転とエンドレスベルト20の回転との間にスリップ等の不具合が生じることはなく、円滑な回転駆動が維持されることから、長期にわたって円滑な画像の加熱加圧定着を繰り返し行うことができる。
【0029】
◎実施の形態2
本実施の形態は、実施の形態1と略同様であるが、オイル供給部40を取り外す代わりに、予めシリコーンオイルを含浸させた低摩擦シート33を用いるようにしたものである。
尚、本実施の形態に係る定着装置の構成要素のうち、実施の形態1に係る定着装置と同様のものについては、実施の形態1と同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0030】
本実施の形態においても、低摩擦シート33が多孔質樹脂で構成されていることから、低摩擦シート33内にシリコーンオイルを所定量保持させることができ、その結果、常にエンドレスベルト20と押圧パッド30(低摩擦シート33)との間の摩擦係数が安定して低く押さえられることになる。
従って、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0031】
【実施例】
◎実施例1
実施の形態1で説明した定着装置(図2参照)において、加熱定着ロール10は外径24mm、肉厚0.5mm、長さ310mmの円筒状で鉄製のコア11の外表面に、弾性層12としてシリコーンゴム(ゴム硬度33度:JIS−A)を500μmの厚みに被覆し、弾性層12の表面には離型層13として厚さ30μmのPFAチューブを被覆している。コア11の内部には、加熱源14として960W(通常時600W)のハロゲンランプが配設され、加熱定着ロール10の表面温度は、加熱定着ロール10の表面に当接した状態で配置された感温素子15の温度センサーと、図示しない温度コントローラーとによって約175℃に制御されている。
【0032】
エンドレスベルト20は、周長94mm、肉厚75μm、長さ330mmの熱硬化性ポリイミドを基材21とし、該基材21の外周面にパーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)を30μmの厚みにコーティングして樹脂皮膜22を形成した。弾性体32は、幅10mm、肉厚5mm、長さ320mmのシリコーンゴムであり、その表面に配置された低摩擦シート33は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)多孔質樹脂繊維織布及びPTFE多孔質樹脂フィルムを貼り合せたものである。また、薄膜状のエンドレスベルト20を介して圧縮コイルスプリング(図示せず)により加熱定着ロール10を30kgの荷重で押圧している。
【0033】
加熱定着ロール10へのエンドレスベルト20の巻き付け角度は、約40°であり、この時のニップ部Nの幅は、約10mmであった。モーター16からの駆動力が加熱定着ロール10に伝達され、加熱定着ロール10及びエンドレスベルト20は、104mm/secの速度で回転させた。
【0034】
また、オイル供給部40のフェルト41は、幅10mm、厚さ5mm、長さ300mmのフェルトに、潤滑剤としてジメチルシリコーンオイル(常温における粘度100cs)を約5cm3含浸させている。
また、押圧パッド30の表面すなわち低摩擦シート33にもジメチルシリコーンオイルが保持されている。
【0035】
上述した定着装置を用い、モーター16によって加熱定着ロール10及びエンドレスベルト20を連続して駆動し、かかるモーター負荷トルクの測定を行った。そして、このときのモーター負荷トルクから、エンドレスベルト20を加熱定着ロール10から離間させ加熱定着ロール10だけを駆動させるのに必要なモーター負荷トルクを差し引き、モーター負荷トルク差分を算出した。
駆動時間とモーター負荷トルク差分との関係を図4(●参照)に示す。
これによれば、初期時に0.013N・m程度であった差分が、55時間動作させた後でも0.011N・mとなっていることから、時間の経過に関係なく、モーター負荷トルクが略一定になっていることが把握される。
【0036】
◎実施例2
実施の形態2で説明した定着装置、すなわち、図2においてエンドレスベルト20の内面に当接させたフェルト41を取り外す代わりに、予めジメチルシリコーンオイル(常温における粘度100cs)を含浸させた低摩擦シート33(PTFE多孔質樹脂繊維織布及びPTFE多孔質樹脂フィルムとの貼り合わせシート)を用いるようにした定着装置で、実施例1と同様の評価実験を行った。
駆動時間とモーター負荷トルク差分との関係を図4(■参照)に示す。
これによれば、初期時に0.008N・m程度であった差分が、50時間経過後に0.012N・mと、時間の経過と共にモーター負荷トルクが緩やかに上昇していることが把握される。ただし、これは次に説明する比較例と比べて大幅な改善が図られたものといえる。
【0037】
◎比較例
実施例1で説明した定着装置で、低摩擦シート33を従来より用いられているPTFEを含浸させたガラス繊維シートに変更し、実施例1及び実施例2と同様の評価実験を行った。
駆動時間とモーター負荷トルク差分との関係を図4(▲参照)に示す。
これによれば、初期時においては、0.011N・m程度であった差分が、わずか24時間後には0.023N・mまで増大してしまうことが判明した。これは、シリコーンオイルの枯渇に伴って駆動トルクが増大したことが原因であるといえる。
【0038】
以上により、低摩擦シート33として、多孔質樹脂を用いることの優位性が把握される。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加圧部材のエンドレスベルトとの対向部に多孔質樹脂部材を設け、多孔質樹脂部材内に潤滑剤を保持させるようにしたので、長期にわたって多孔質樹脂部材から潤滑剤を滲み出させることが可能となり、その結果、経時的なエンドレスベルトの駆動トルクの増大を防止し、安定した走行性能を確保することができ、高品質の画像を安定して得ることができる。
特に、本発明において、多孔質樹脂部材として多孔質樹脂繊維織布及び多孔質樹脂フィルムを積層した態様や、四弗化エチレン多孔質樹脂からなる態様を用いたので、耐久性、耐摺動性に優れ、より安定した走行性能を確保することができ、高品質の画像を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る定着装置の概要を示す説明図である。
【図2】 実施の形態1に係る定着装置の概要を示す説明図である。
【図3】 低摩擦シートの断面図である。
【図4】 定着ロールの駆動時間とモーター負荷トルク差分との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1…定着部材,2…エンドレスベルト,3…加圧部材,4…多孔質樹脂部材,5…潤滑剤供給手段,H…加熱源,K…記録媒体,T…未定着トナー像,10…加熱定着ロール,14…加熱源,20…エンドレスベルト,30…押圧パッド,33…低摩擦シート,33a…フィルム層,33b…織布層,40…オイル供給部,S…記録シート
Claims (5)
- 回転可能に配設される定着部材と、
前記定着部材に回転可能に圧接配置され、前記定着部材との間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体が挟持されるエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの内側に固定配設され、前記定着部材側に向けて当該エンドレスベルトを押圧する加圧部材と、
前記ニップ部を加熱する加熱源とを備え、
加圧部材は、前記エンドレスベルトとの対向部に設けられ且つ潤滑剤が保持可能な多孔質樹脂部材を有し、この多孔質樹脂部材が多孔質樹脂繊維織布及び多孔質樹脂フィルムを積層したものであることを特徴とする定着装置。 - 回転可能に配設される定着部材と、
前記定着部材に回転可能に圧接配置され、前記定着部材との間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体が挟持されるエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの内側に固定配設され、前記定着部材側に向けて当該エンドレスベルトを押圧する加圧部材と、
前記ニップ部を加熱する加熱源とを備え、
加圧部材は、前記エンドレスベルトとの対向部に設けられ且つ潤滑剤が保持可能な多孔質樹脂部材を有し、この多孔質樹脂部材が四弗化エチレン多孔質樹脂からなることを特徴とする定着装置。 - 請求項1又は2に記載の定着装置において、
前記エンドレスベルトの内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を具備させたことを特徴とする定着装置。 - 請求項1又は2に記載の定着装置において、
前記潤滑剤がシリコーンオイルであることを特徴とする定着装置。 - 請求項4に記載の定着装置において、
前記シリコーンオイルの粘度が常温で50〜3000csであることを特徴とする定着装置。
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