JP3753131B2 - アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変位素子を用いて駆動部を駆動させ、被駆動部に駆動力を摩擦伝達するアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、2つの圧電素子などの電気機械変換素子(変位素子)を直交するように構成し、互いに直交する変位素子の交点に設けられた変位合成部を所定の軌跡を描くように駆動することにより、ロータなどの被駆動部を所定の方向に駆動するアクチュエータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図19は、従来のアクチュエータを説明するための図である。図19に示すように、従来のアクチュエータ700は、2つの電気機械変換素子(積層型の第1圧電素子101及び第2圧電素子102)を略直角に交差させて配置し、それらの交差側端部にチップ部材103を接着剤により接合している。一方、第1及び第2圧電素子101,102の他端部をベース部材104に接着剤により接合している。また、第1及び第2圧電素子101,102、チップ部材103及びベース部材104などで構成された駆動部110は、チップ部材103がロータ120に接触するように、2つの加圧部130により付勢されている。加圧部130は、2つの腕を有するねじりコイルばねであり、駆動部110は、2つの加圧部130のそれぞれの腕により位置が固定されている。
【0004】
従来のアクチュエータ700では、第1及び第2圧電素子101,102にそれぞれ所定の位相差を有する駆動信号を印加することにより、各圧電素子は異なった位相で駆動され、第1及び第2圧電素子101,102の交点に設けられたチップ部材103が所定の楕円軌道を描くように駆動される。また、ベース部材104は、剛体ではなく、弾性体であるため、第1圧電素子101又は第2圧電素子102の振動が、ベース部材104を介して第2圧電素子102又は第1圧電素子101に伝達される。チップ部材103が楕円軌道を描くように駆動されている間、一定の区間でチップ部材103がロータ120に接触し、チップ部材103とロータ120との間に作用する摩擦力により、ロータ120が所定の方向に回転駆動される。そして、ロータ120の回転軸121を直接出力軸とすることにより、またはロータ120の回転軸121に垂直な端面にピンを設け、このピンによりリンクレバーなどを係合させることにより、他の装置に駆動力を供給することができる。
【0005】
また、図20は、従来のアクチュエータの他の例を説明するための図である。図20に示すように、従来のアクチュエータ800は、図19に示すアクチュエータ700と同じ構成の駆動部110を備えている。また、ベース部材104は、チップ部材103がロータ120に接触するように、加圧部230により付勢されている。加圧部230は、圧縮コイルばねであり、ベース部材104の一端を付勢しており、ベース部材104の他端は固定部材240で固定されている。したがって、駆動部110は、ベース部材104の一点を支点とするピボット動作を行い、チップ部材103が所定の楕円軌道を描くように駆動される。
【0006】
なお、アクチュエータ800の動作は、上記の図19に示すアクチュエータ700の動作と同じであるので説明を省略する。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−54289号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図19に示す従来のアクチュエータ700では、ロータ120に過大な外力が働いた場合、摩擦接触している駆動部110が大きく揺動してしまい、第1及び第2圧電素子101,102に通じる配線の断線が生じる可能性があり、さらに、アクチュエータの駆動精度にも影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
また、図20に示す従来のアクチュエータ800では、ベース部材104も弾性体として振動するため、駆動部110全体の振動状態に影響を及ぼす可能性がある。さらに、駆動部110及び加圧部230の構成が、駆動部110の中心軸に対して対称でないため、ロータ120の駆動方向によってチップ部材103の描く楕円軌道が異なり、結果として回転速度などの特性値に差が生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、アクチュエータの駆動部の無用な揺動を防止することができるアクチュエータを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアクチュエータは、所定の変位を発生させる複数の変位部と、前記複数の変位部の一端に各々結合され、前記複数の変位部の変位を合成するための合成部と、前記複数の変位部の他端を固定するための固定部とからなる駆動部と、前記合成部により駆動力が伝達されて駆動する被駆動部と、前記駆動部と前記被駆動部とを加圧接触させる加圧部と、前記固定部の変形量が最小となる位置又はその近傍に配置され、前記駆動部が前記被駆動部の駆動方向へ移動することを規制する規制部と、前記駆動部を保持するホルダとを備え、前記被駆動部の外側に前記駆動部の前記合成部を当接させ、前記ホルダに形成された凸形状の前記規制部が前記固定部に形成された凹形状の溝に嵌合されること、又は前記ホルダに形成された凹形状の前記規制部が前記固定部に形成された凸形状の突起に嵌合される。
【0012】
この構成によれば、固定部の変形量が最小となる位置又はその近傍に配置される規制部によって、駆動部が被駆動部の駆動方向へ移動することが規制されるため、変位部の駆動に影響を与えることなく、アクチュエータの駆動部の無用な揺動を防止することができる。
【0013】
また、固定部に凹形状の溝が形成され、この溝に凸形状の突起である規制部が嵌合されることによって、駆動部が被駆動部の駆動方向へ移動することが規制されるため、変位部の駆動に影響を与えることなく、アクチュエータの駆動部の無用な揺動を防止することができる。
【0014】
さらに、固定部に凸形状の突起が形成され、この突起に凹形状の溝である規制部が嵌合されることによって、駆動部が被駆動部の駆動方向へ移動することが規制されるため、変位部の駆動に影響を与えることなく、アクチュエータの駆動部の無用な揺動を防止することができる。
【0015】
また、上記のアクチュエータにおいて、前記加圧部は、前記駆動部への加圧を前記被駆動部の駆動方向へも作用させることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、加圧部が、駆動部への加圧を被駆動部の駆動方向へも作用させるため、駆動部が揺動したとしても、元の位置に自己復帰することができ、過大な揺動を防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態であるアクチュエータについて説明する。図1は、第1の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す一部透視図であり、図2は、図1に示すアクチュエータの被駆動部及び押さえ部材を除く構成を示す透視図であり、図3は、図1に示すアクチュエータのA−A線断面図である。なお、図2において、x軸はチップ部材との接触部における被駆動部の駆動方向を表し、y軸はチップ部材との接触部と回転軸とを結ぶ方向を表し、z軸は被駆動部の回転軸方向を表す。
【0019】
図1〜3において、アクチュエータ100は、被駆動部20を駆動する駆動部10と、その駆動部10を被駆動部20に加圧接触させる加圧部30と、駆動部10が図2に示すz軸方向に移動することを規制する押さえ部材40と、駆動部10を保持するホルダ50とからなる。駆動部10は、例えば90度の挟み角度で交差された2本の変位素子(変位部に相当する)1,2と、その交点に接着されたチップ部材(合成部に相当する)3と、変位素子1,2の基端に接着されたベース部材(固定部に相当する)4とから構成されている。
【0020】
変位素子1,2(以下、第1圧電素子1、第2圧電素子2とする。)には、圧電効果により電気信号を変位に変換する積層型の圧電素子が用いられている。チップ部材3には、安定して高い摩擦係数が得られ、摩耗しにくい金属材料が用いられる。ベース部材4には、製造し易く強度が得られる金属材料が用いられる。また、ベース部材4と圧電素子1,2との接着及びチップ部材3と圧電素子1,2との接着には、ベース部材4の材料及びチップ部材3の材料に応じて適宜選択される接着剤が用いられ、特に、接着力や強度に優れたエポキシ系樹脂の接着剤が用いられる。
【0021】
ここで、本実施形態において変位素子として用いる積層型圧電素子について説明する。圧電素子は、PZT等の圧電特性を示す複数のセラミック薄板と電極を交互に積層したものであり、各セラミック薄板と電極とは接着剤等により固定されている。1つおきに配置された各電極群は、それぞれ信号線を介して駆動電源に接続されている。信号線に所定の電圧を印加すると、2つの電極に挟まれた各セラミック薄板には、その積層方向に電界が発生し、その電界は1つおきに同じ方向である。従って、各セラミック薄板は、1つおきに分極の方向が同じになる(隣り合う2つのセラミック薄板の分極方向は逆となる)ように積層されている。なお、圧電素子の両端部には、保護層が設けられている。
【0022】
駆動電源により直流の駆動電圧を各電極の間に印加すると、全てのセラミック薄板が同方向に伸び又は縮み、圧電素子全体として伸縮する。駆動電源により交流の駆動電圧(交流信号)を各電極の間に印加すると、その電界に応じて各セラミック薄板は同方向に伸縮を繰り返し、圧電素子全体として伸縮を繰り返す。圧電素子には、その構造や電気的特性により決定される固有の共振周波数が存在する。交流の駆動電圧の周波数が圧電素子の共振周波数と一致すると、インピーダンスが低下し、圧電素子の変位が増大する。圧電素子は、その外形寸法に対して変位が小さいため、低い電圧で駆動するためには、この共振現象を利用することが望ましい。
【0023】
駆動部10は、ホルダ50に設けられた規制部51により摺動可能に保持されている。ベース部材4は、x軸(図2参照)に垂直な2平面を備えており、規制部51は、その2平面に各々対向して、平行且つ平滑な側面を有している。駆動部10は、ベース部材4及び規制部51のそれぞれ2平面が互いに当接し、摺動することによって、ホルダ50に対してyz平面内(図2参照)での移動のみ可能に保持される。なお、ベース部材4と規制部51とが当接する各面は、互いに低摩擦で摺動可能なように、必要に応じて摩擦低減材料の塗布が行われる。この摩擦低減材料としては、例えば、グリス等が用いられる。
【0024】
加圧部30は、例えばねじりコイルばねなどで構成され、ホルダ50に設けられたばね案内軸53にそのコイル部分を貫通させるとともに、2つの腕は、図2に示すベース部材4の下端部に当接しており、ベース部材4を加圧するように配置されている。加圧部30は、図2に示す矢印71及び矢印72に示す方向の力をベース部材4に加える。その結果、駆動部10は、被駆動部20の内周面に所定の圧力で押し付けられ、図2に示す矢印73に示す力を被駆動部20から受けることとなる。なお、本実施の形態における矢印の向きは、力の働く方向を示し、矢印の長さは、力の大きさを示しており、このことは他の実施の形態においても同様である。
【0025】
被駆動部20は、例えば、円筒形状のロータであり、アルミニウムなどの金属で作製され、チップ部材3との接触による摩耗を防ぐため、チップ部材3との接触部位にはアルマイトなどの表面処理が施されている。チップ部材3が描く楕円軌跡81と、矢印73に示す押し付け力によって発生する摩擦力とによって、被駆動部20は、回転軸21を中心に両矢印82(図1参照)に示すように正方向又は逆方向に回転する。回転軸21は、ホルダ50に設けられた回転軸保持部52によって回転可能に保持されている。回転軸保持部52は、滑り軸受又は転がり軸受である。また、駆動部10は、回転軸方向において、ホルダ50の当接面55と、押さえ部材40とに挟まれるように配置されており、回転軸方向への移動が制限されている。駆動部10への電源供給は、リード線61〜64によって行われる。リード線61〜64は、一対の圧電素子1,2の各電極にはんだにより接合され、ホルダ50に設けられた穴を通って外部に引き出されている。
【0026】
次に、アクチュエータ100における被駆動部20の回転原理について説明する。第1圧電素子1及び第2圧電素子2にそれぞれ所定の位相差を有する駆動信号を印加することにより、各圧電素子1,2は異なった位相で駆動され、各圧電素子1,2の交点に設けられたチップ部材3が所定の楕円軌道(円軌道を含む)を描くように駆動される。チップ部材3が所定の楕円軌道を描くように駆動されている間、一定の区間でチップ部材3が被駆動部20の内周面に接触し、チップ部材3と被駆動部20の内周面との間に作用する摩擦力により、被駆動部20が所定方向に回転される。また、駆動信号の位相のずれ方向を逆にすることによりチップ部材3の軌道の方向が逆転し、被駆動部20の回転を逆転させることができる。上記アクチュエータ100において、互いに直交する独立した2つの運動を合成すると、その交点は楕円振動の式(Lissajousの式)に従った軌跡を描く。
【0027】
なお、本実施の形態では、第1圧電素子1及び第2圧電素子2にそれぞれ所定の位相差を有する駆動信号を印加することにより、各圧電素子1,2を異なった位相で駆動する2相駆動であるが、本発明は特にこれに限定されず、第1圧電素子1及び第2圧電素子2のうちのいずれか一方の圧電素子を駆動することにより、他方の圧電素子を従動させる単相駆動であってもよい。例えば、第1圧電素子1のみを駆動させ、その振動をベース部材4を介して第2圧電素子2に伝達させ、第2圧電素子2を所定の位相差を持って共振させる。そうすると、第1圧電素子1と第2圧電素子2との交点に設けられたチップ部材3は楕円軌道(円軌道を含む)を描くように駆動される。
【0028】
チップ部材3と被駆動部20とは、図面上では線接触しているが、実際には、所定の幅を有して面接触している。さらに、チップ部材3と被駆動部20との接触部の位置は、各構成要素の製作誤差、特に、被駆動部20の芯振れや真円度により、被駆動部20の回転に伴って変化する。そのため、チップ部材3と被駆動部20との接触状態を安定して維持しなければ、摩擦力に変動が生じる可能性がある。その結果、被駆動部20に回転むらが生じ、安定した駆動が困難となる可能性がある。しかしながら、本実施の形態において、規制部51は、駆動部10を図2に示すyz平面内のみ移動可能に保持している。したがって、チップ部材3と被駆動部20との接触部の位置が変化しても、加圧部30によって追従して接触状態を保つことが可能である。なお、加圧部30がばねである場合、チップ部材3と被駆動部20との接触部の位置が変化しても加圧力の変動が小さくなるようにばね定数をできるだけ小さくしたほうがよい。
【0029】
このように、ベース部材4の変形量が最小となる位置又はその近傍に配置される規制部51によって、駆動部10が被駆動部20の駆動方向へ移動することが規制されるため、アクチュエータ100の駆動部10の無用な揺動を防止することができる。
【0030】
また、アクチュエータ100では、規制部51によって駆動部10のx軸方向への移動が規制されているため、駆動方向の逆転により摩擦力の向きが変化した場合や外力が働いた場合でも駆動部10の無駄な揺動が抑止され、エネルギーのロス、被駆動部20の停止位置の変動、リード線の屈曲による断線等の不具合を防止することができる。
【0031】
なお、第1の実施形態において、規制部51は、回転軸保持部52と一体に設けられている。すなわち、規制部51は、回転軸保持部52を囲むように構成されている。したがって、第1の実施形態のように、回転駆動を行い、なおかつ駆動部10が被駆動部20の内部に設置されたアクチュエータにおいては、このような構成にすることによって、所要の機能を損なうことなく、アクチュエータ全体を小型化あるいは高密度化することができる。
【0032】
さらに、回転軸保持部52と一体の規制部51は、チップ部材3とベース部材4との間に配置されるので、駆動部10の内側のデッドスペースを有効的に利用することができ、さらなる省スペース化を実現することができる。同時に、駆動部10、特に、第1及び第2圧電素子1,2をアクチュエータ全体に対して相対的に大きくすることができるので、アクチュエータの高速化及び高出力化をも実現することができる。
【0033】
また、第1の実施形態において、被駆動部20は多回転可能な円筒形状であるが、本発明は特にこれに限定されず、被駆動部20が所定角度の回転動作のみを必要とする場合、被駆動部20は、必要な角度のみ切り出した形状、例えば、円弧形状又は扇形形状でもよい。
【0034】
また、第1の実施形態では、被駆動部20の内側から駆動部10のチップ部材3を当接させる構成であるが、本発明は特にこれに限定されず、被駆動部20の外側から駆動部10のチップ部材3を当接させる構成であってもよい。この場合、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態であるアクチュエータについて説明する。図4は、第2の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す一部透視図であり、図5は、図4に示すアクチュエータの被駆動部及び押さえ部材を除く構成を示す透視図であり、図6は、図4に示すアクチュエータのB−B線断面図であり、図7は、図4に示すアクチュエータのC−C線断面図である。なお、図5において、x軸は被駆動部の駆動方向を表し、y軸は駆動部が被駆動部に当接する方向を表し、z軸は駆動部に対して垂直な方向を表す。
【0036】
第1の実施形態では、被駆動部20が回転駆動であるのに対し、第2の実施形態では、被駆動部20がリニア駆動となっている。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成については説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0037】
駆動部10は、ホルダ50に設けられた規制部51により摺動可能に保持されており、yz平面内(図5参照)での移動のみ可能である。規制部51は、ホルダ50に形成された凸形状の突起(凸部)により構成される。この規制部51がベース部材4に形成された凹形状の溝(凹部)41に嵌合されることで駆動部10のx軸方向(図5参照)の移動を規制する。駆動部10は、ホルダ50に形成された規制部51及びベース部材4に形成された溝41のそれぞれ2平面が互いに当接し、摺動することによって、ホルダ50に対してyz平面内(図5参照)での移動のみ可能に保持される。
【0038】
被駆動部20は、リニアガイド(図示省略)により図4の両矢印82に示す方向(図5のx軸方向)にのみ移動可能に保持されている。チップ部材3が描く楕円軌跡81と矢印73に示す方向への押し付け力によって発生する摩擦力により、被駆動部20は、両矢印82に示す方向に移動する。
【0039】
このように、駆動部10を保持するホルダ50に形成された凸形状の規制部51がベース部材4に形成された凹形状の溝41に嵌合され、駆動部10が被駆動部20の駆動方向へ移動することが規制されるため、アクチュエータ200の駆動部10の無用な揺動を防止することができる。
【0040】
なお、第2の実施形態では、駆動部10を保持するホルダ50に形成された凸形状の規制部51がベース部材4に形成された凹形状の溝41に嵌合されるが、本発明は特にこれに限定されず、ホルダ50に形成された凹形状の溝をベース部材4に形成された凸形状の突起に嵌合してもよい。この場合、上記と同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、第2の実施形態では、被駆動部20の外側から駆動部10のチップ部材3を当接させる構成である。
【0042】
第1の実施形態及び第2の実施形態における駆動部10は、y軸に平行な線に対して線対称な形状であり、規制部51と当接するベース部材4の2平面は、線対称軸近傍に設けられている。これは、駆動部10において、線対称軸近傍が最も変形量が小さいためである。駆動部10は、全ての構成要素が弾性変形しており、第1及び第2圧電素子1,2が発生する変位により、ベース部材4も変形する。アクチュエータの設計にあたり、アクチュエータ全体で振動状態のシミュレーションを行うことが好ましいが、振動状態が非常に複雑となるため、駆動部10のみで振動状態のシミュレーションを行うほうが現実的である。そこで、駆動部10の変形の様子についてシミュレーションを行った結果の一例を図8〜11に示す。
【0043】
図8は、第1の実施形態において、駆動部10の或る時点での変形状態を示す図である。図9は、図8より楕円軌道が1/4周期進んだ時点での変形状態を示す図である。図10は、図8より楕円軌道が1/2周期進んだ時点での変形状態を示す図である。図11は、図8より楕円軌道が3/4周期進んだ時点での変形状態を示す図である。なお、図8〜11において、破線は静止時における駆動部10を示し、実線は駆動時における振動状態の駆動部10を示す。
【0044】
ここで、駆動部10の変形が図8から図11へと進むに連れて、チップ部材4は、紙面に向かって右回りに楕円軌跡を描くこととなる。図8〜11に示すように、ベース部材4における駆動部10の線対称軸Jの近傍Hのみが、常時変形量が最小(略0)である。したがって、駆動部10を保持する場合、駆動部10の変形量が最小(略0)となる位置、すなわち、駆動部10の線対称軸Jにおいて駆動部10を保持する構成とすれば、駆動部10の振動状態への影響を最小にすることができる。そして、アクチュエータとしての特性との関係で駆動部10の振動状態への影響を実質的に無視し得る範囲において、駆動部10の線対称軸の近傍で駆動部10を保持する構成としてもよい。逆に、変形量の大きい箇所で駆動部10を保持した場合、駆動部10の振動状態への影響を避けることができず、実際の駆動とシミュレーションとの乖離が大きくなる。さらに、駆動部10を保持する箇所へ振動が伝わることとなり、エネルギーのロスにもつながる。本発明のアクチュエータ100における規制部51は、駆動部10の変形量が最小(略0)となる位置又はその近傍に設けられることで、上述のように駆動部10が必要な方向のみ移動可能という機能を損なうことなく、かつ駆動部10の振動をほとんど妨げることなく被駆動部20に伝達することを可能とし、被駆動部20の高効率駆動を実現している。
【0045】
なお、図8〜11では、図1〜3に示す第1の実施形態の駆動部10の駆動状態を示しているが、図4〜7に示す第2の実施形態の駆動部10においても同様の挙動を示すことは言うまでもない。
【0046】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態であるアクチュエータについて説明する。図12は、第3の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す透視図であり、図13は、図12に示すアクチュエータの駆動時における動作を示す透視図である。なお、図12及び図13において、被駆動部20は、チップ部材3との接触部周辺のみを簡略化して図示している。また、図12において、x軸は、チップ部材との接触部における被駆動部の駆動方向を表し、y軸は、駆動部が中立位置にある時の上記接触部と回転軸とを結ぶ方向を表し、z軸は被駆動部の回転軸方向を表す。
【0047】
第3の実施形態におけるアクチュエータ300と第1の実施形態におけるアクチュエータ100とはほぼ同じ構成であり、加圧部30であるねじりコイルばねとその案内軸とが異なっている。そこで、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成については説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0048】
第3の実施形態における加圧部30は、2箇所のコイル部分を有するねじりコイルばねである。加圧部30の2箇所のコイル部分は、駆動部10を保持するホルダ(図示省略)に一体に設けられたばね案内軸53,54に貫通されるとともに、2つの腕は、ベース部材4の両側面付近に当接するように配置されている。図12に示すように、アクチュエータ300の静止時(被駆動部20が外力を受けていない時)において、加圧部30は、矢印71,72に示す方向への力をベース部材4に加える。その結果、駆動部10は被駆動部20の内周面に所定の圧力で押し付けられ、矢印73に示す力を被駆動部20から受ける。
【0049】
ここで、加圧部30によって発生する力71,72は、それぞれx軸方向及びy軸方向(図12参照)の分力71x,71y,72x,72yに分解される。図12に示すように、チップ部材3が被駆動部20を駆動させる際に働く摩擦力の方向(図12のx軸方向)には、分力71xと分力72xとが作用しており、互いに釣り合っている。また、図12に示すように、チップ部材3が被駆動部20を押し付ける力の方向(図12のy軸方向)には、分力71yと分力72yとが作用しており、互いに釣り合っている。図12に示すアクチュエータ300を駆動させた場合、図13に示すように、チップ部材3が楕円軌跡81を描き、被駆動部20は矢印82に示す方向に駆動される。その結果、チップ部材3は、矢印74に示す方向の摩擦力を被駆動部20から受ける。
【0050】
この際、第1及び第2の実施形態のように、規制部51とベース部材4とが略隙間なく嵌合していれば問題はないが、何らかの要因により図13に示すように嵌合が緩く、規制部51とベース部材4とのがたつきが大きい場合、上記の摩擦力により、駆動部10が被駆動部20の駆動方向(x軸方向)に揺動する可能性がある。あるいは、被駆動部20に外力を受けた場合でも同様の現象が生じる可能性がある。そこで、第3の実施形態のアクチュエータ300では、ベース部材4の両側面を加圧部30の2つの腕によって加圧する。これにより、駆動部10は、その揺動に伴って加圧部30の揺動方向の腕のねじれ角が大きくなることで、矢印72’に示す方向(図13参照)へのより大きな力を受けることになり、同時に、駆動部10は、加圧部30の反対側の腕から矢印71’に示す方向へのより小さな力を受けることになる。したがって、加圧部30による加圧力が被駆動部20の駆動方向へも作用するので、駆動部10が何らかの要因により揺動した場合、その要因が取り除かれれば駆動部10は元の中立位置に自己復帰し、さらに駆動部10が大きく揺動しようとした場合、駆動部10には元の中立位置に戻ろうとする力がより大きく働き、図13に示すように、駆動部10の過大な揺動を防止することができる。
【0051】
なお、x軸方向の力、あるいは回転軸周りのトルクとしては、他にも規制部51からの反力(図13の矢印75,76)や、他の分力も受けるものの、これらの力は、加圧部30から受ける力に比して小さい。
【0052】
さらに、駆動部10が大きく揺動した場合、加圧部30から受ける矢印71’に示す方向の力は、ばねの腕の先端に働くため、同じねじれ角でも発生力としては小さくなり、加圧部30から受ける矢印72’に示す方向の力は、ばねの腕の根元に働くため、より大きな発生力を得ることができる。
【0053】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態であるアクチュエータについて説明する。図14は、第4の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す透視図であり、図15は、図14に示すアクチュエータの駆動時における動作を示す透視図である。なお、図14及び図15において、被駆動部20は、チップ部材3との接触部周辺のみを簡略化して図示している。また、図14において、x軸は、チップ部材との接触部における被駆動部の駆動方向を表し、y軸は、接触部と回転軸とを結ぶ方向を表し、z軸は、被駆動部の回転軸方向を表す。
【0054】
第4の実施形態におけるアクチュエータ400と第3の実施形態におけるアクチュエータ300とはほぼ同じ構成であり、加圧部30であるねじりコイルばねの数が異なっている。そこで、以下の説明において、第3の実施形態と同じ構成については説明を省略し、第3の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0055】
第4の実施形態における加圧部30は、第1加圧部31及び第2加圧部32で構成される。第1加圧部31及び第2加圧部32は、それぞれねじりコイルばねである。第1加圧部31のコイル部分は、ホルダ(図示省略)に一体に設けられたばね案内軸53に貫通されるとともに、2つの腕のうちの一方は、ベース部材4の側面付近に当接するように配置され、他方は、ベース部材4の下面付近に当接するように配置されている。第2加圧部32のコイル部分は、ホルダ(図示省略)50に一体に設けられたばね案内軸54に貫通されるとともに、2つの腕のうちの一方は、ベース部材4の側面付近に当接するように配置され、他方は、ベース部材4の下面付近に当接するように配置されている。図14に示すように、アクチュエータ400の静止時(被駆動部20が外力を受けていない時)において、第1加圧部31は、矢印71,77に示す方向への力をベース部材4に加え、第2加圧部32は、矢印72,78に示す方向への力をベース部材4に加える。その結果、駆動部10は被駆動部20の内周面に所定の圧力で押し付けられ、矢印73に示す力を被駆動部20から受ける。
【0056】
ここで、第1加圧部31によって発生する矢印71,77に示す力の合力は、第2加圧部32によって発生する矢印72,78に示す力の合力と釣り合っている。図14に示すアクチュエータ400を駆動させた場合、図15に示すように、チップ部材3が楕円軌跡81を描き、被駆動部20は矢印82に示す方向に駆動される。その結果、チップ部材3は、矢印74に示す方向の摩擦力を被駆動部20から受ける。
【0057】
この際、第1及び第2の実施形態のように、規制部51とベース部材4とが略隙間なく嵌合していれば問題はないが、何らかの要因により図15に示すように嵌合が緩く、規制部51とベース部材4とのがたつきが大きい場合、上記の摩擦力により、駆動部10が被駆動部20の駆動方向(x軸方向)に揺動する可能性がある。あるいは、被駆動部20に外力を受けた場合でも同様の現象が生じる可能性がある。そこで、第4の実施形態のアクチュエータ400では、ベース部材4の両側面を第1加圧部31及び第2加圧部32によって加圧する。これにより、駆動部10は、その揺動に伴って加圧部30の揺動方向の腕のねじれ角が大きくなることで、矢印72’,78’に示す方向(図15参照)へのより大きな力を受けることになり、同時に、駆動部10は、加圧部30の反対側の腕から矢印71’,77’に示す方向へのより小さな力を受けることになる。したがって、加圧部30による加圧力が被駆動部20の駆動方向へも作用するので、駆動部10が何らかの要因により揺動した場合、その要因が取り除かれれば駆動部10は元の中立位置に自己復帰し、さらに駆動部10が大きく揺動しようとした場合、駆動部10には元の中立位置に戻ろうとする力がより大きく働き、図15に示すように、駆動部10の過大な揺動を防止することができる。
【0058】
なお、x軸方向の力、あるいは回転軸周りのトルクとしては、他にも規制部51からの反力(図15の矢印75,76)や、他の分力も受けるものの、これらの力は、第1加圧部31及び第2加圧部32から受ける力に比して小さい。
【0059】
さらに、駆動部10が大きく揺動した場合、第1加圧部31から受ける矢印71’に示す力は、ばねの腕の先端に働くため、同じねじれ角でも発生力としては小さくなり、第2加圧部32から受ける矢印72’に示す力は、ばねの腕の根元に働くため、より大きな発生力を得ることができる。
【0060】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態であるアクチュエータについて説明する。図16は、第5の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す透視図であり、図17は、図16に示すアクチュエータの駆動時における動作を示す透視図である。なお、図16及び図17において、被駆動部20は、チップ部材3との接触部周辺のみを簡略化して図示している。また、図16において、x軸は、チップ部材との接触部における被駆動部の駆動方向を表し、y軸は、接触部と回転軸とを結ぶ方向を表し、z軸は、被駆動部の回転軸方向を表す。
【0061】
第5の実施形態におけるアクチュエータ500と第3の実施形態におけるアクチュエータ300とはほぼ同じ構成であり、加圧部30であるねじりコイルばねが駆動部10を加圧する力の数が異なっている。そこで、以下の説明において、第3の実施形態と同じ構成については説明を省略し、第3の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0062】
第5の実施形態における加圧部30は、ねじりコイルばねであり、加圧部30のコイル部分は、ホルダ(図示省略)50に一体に設けられたばね案内軸53に貫通されるとともに、2つの腕のうちの一方は、ベース部材4の側面付近に当接するように配置され、他方は、同じくホルダに一体に設けられた係止軸56に引っ掛けられるように配置されている。図16に示すように、アクチュエータ400の静止時(被駆動部20が外力を受けていない時)において、加圧部30は、矢印71に示す方向への力をベース部材4に加え、駆動部10は、常に図面に向かって左上方に押し当てられている。その結果、駆動部10は被駆動部20の内周面に所定の圧力で押し付けられ、矢印73に示す力を被駆動部20から受ける。
【0063】
ここで、加圧部30によって発生する矢印71に示す方向への力は、それぞれx軸方向及びy軸方向(図16参照)の矢印71x,71yに示す方向の分力に分解される。図16に示すように、チップ部材3が被駆動部20を駆動させる際に働く摩擦力の方向(図16のx軸方向)には、矢印71xに示す分力が作用している。駆動部10は、矢印71に示す方向への力の分力(矢印71x)で左側に片寄せされており、規制部51からは矢印75に示す反力を受けている。すなわち、アクチュエータ500では、加圧部30による加圧力が左右対称でない。図16に示すアクチュエータ500を駆動させた場合、図17に示すように、チップ部材3が楕円軌跡81を描き、被駆動部20は矢印82に示す方向に駆動される。その結果、チップ部材3は、矢印74に示す方向の摩擦力を被駆動部20から受ける。
【0064】
この際、第1及び第2の実施形態のように、規制部51とベース部材4とが略隙間なく嵌合していれば問題はないが、何らかの要因により図17に示すように嵌合が緩く、規制部51とベース部材4とのがたつきが大きい場合、上記の摩擦力により、駆動部10が被駆動部20の駆動方向(x軸方向)に揺動する可能性がある。あるいは、被駆動部20に外力を受けた場合でも同様の現象が生じる可能性がある。そこで、第5の実施形態のアクチュエータ500では、ベース部材4の下端面を加圧部30の一方の腕によって加圧する。これにより、駆動部10は、その揺動に伴って加圧部30の揺動方向の腕のねじれ角が大きくなることで矢印71’に示す方向へのより大きな力を受けることになる。したがって、加圧部30による加圧力が被駆動部20の駆動方向へも作用するので、駆動部10が何らかの要因により揺動した場合、その要因が取り除かれれば駆動部10は元の中立位置に自己復帰し、さらに駆動部10が大きく揺動しようとした場合、駆動部10には元の中立位置に戻ろうとする力がより大きく働き、図17に示すように、駆動部10の過大な揺動を防止することができる。特に、加圧部30が駆動部10を一方向から加圧する構成は、被駆動部20の回転が一方向(本実施の形態では図17の矢印82に示す方向=反時計回りの方向)のみ使用される場合に有効である。
【0065】
なお、図16に示すアクチュエータ500において、加圧部30は、ベース部材4の右下端部を左上方に加圧しているが、本実施の形態は特にこれに限定されず、加圧部30は、ベース部材4の左下端部を右上方に加圧してもよい。この場合、被駆動部20の回転が時計回りの方向(図17の矢印82に示す方向とは逆の方向)のみ使用される場合に有効である。
【0066】
本発明に係るアクチュエータは、様々な装置に適用可能であるが、例えば、監視カメラに適用した例について以下に説明する。
【0067】
図18は、上記の第1,3〜5実施の形態におけるアクチュエータ100,300,400をパン・チルトに用いたカメラの一例を示す図である。
【0068】
カメラ(監視カメラ)600は、フォーカスレンズ、ズームレンズ及び透過光量を調節するための絞りを収納する鏡胴601と、鏡胴601を通して入射する被写体光像を光電変換して画像信号(電気画像)として出力する撮像センサ602と、鏡胴601及び撮像センサ602をチルト方向に駆動するチルト駆動ユニット603と、鏡胴601及び撮像センサ602をパン方向に駆動するパン駆動ユニット604とを備えて構成される。被写体を撮像する撮像部610は、鏡胴601と撮像センサ602とで構成される。撮像部610は、チルト駆動ユニット603を介してカメラ保持台板605に保持されており、カメラ保持台板605は、パン駆動ユニット604を介して基台606に保持されている。つまり、撮像部610及びカメラ保持台板605は、各々チルト駆動ユニット603及びパン駆動ユニット604の回転軸21に固定されており、チルト駆動ユニット603及びパン駆動ユニット604のホルダ50は、各々カメラ保持台板605及び基台606に固定されている。
【0069】
撮像センサ602は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)で構成される。チルト駆動ユニット603は、被駆動部20が回転可能なアクチュエータ100,300,400のいずれかで構成され、撮像部610をチルト方向に駆動させる。チルト駆動ユニット603のホルダ50はカメラ保持台板605に固定されており、被駆動部20の回転軸21と鏡胴601とは固定されている。アクチュエータ100,300,400の被駆動部20が所定の方向に回転することによって、撮像部610も所定の方向に回転し、チルト方向の視線走査が行われる。パン駆動ユニット604は、被駆動部20が回転可能なアクチュエータ100,300,400のいずれかで構成され、撮像部610をパン方向に駆動させる。パン駆動ユニット604のホルダ50は基台606に固定されており、被駆動部20の回転軸21とカメラ保持板605とは固定されている。アクチュエータ100,300,400の被駆動部20が所定の方向に回転することによって、撮像部610も所定の方向に回転し、パン方向の視線走査が行われる。
【0070】
従来は、パン・チルト方向の視線走査をモータ及びギアによって行っていたが、本実施の形態では、パン・チルト方向の視線走査をカメラの大きさに比して大トルクが得られる上述のアクチュエータによって行うことで、カメラの小型化を実現することができる。
【0071】
なお、本実施の形態においてカメラ600は監視カメラであるが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、WebカメラやPCカメラ等のパン・チルトを行うカメラであればよい。また、本発明に係るアクチュエータをパン方向のみに駆動するカメラ又はチルト方向にのみ駆動するカメラに用いてもよい。
【0072】
また、パン・チルト駆動する対象はカメラに限定されず、例えば、レーザー、LED等の発光素子や、表示装置等としてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、変位素子として積層型の圧電素子を用いたが、本発明は特にこれに限定されず、単層の圧電素子と金属製の弾性体とを直列接続したものを用いてもよい。この場合、圧電素子を駆動源として弾性体を共振させることにより大きな変位を得ることができる。
【0074】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0075】
(1)所定の変位を発生させる複数の変位部と、前記複数の変位部の一端に各々結合され、前記複数の変位部の変位を合成するための合成部と、前記複数の変位部の他端を固定するための固定部とからなる駆動部と、前記合成部により駆動力が伝達されて駆動する被駆動部と、前記駆動部と前記被駆動部とを加圧接触させる加圧部と、前記駆動部が前記被駆動部の駆動方向へ移動することを規制する規制部とを備えることを特徴とするアクチュエータ。
【0076】
(2)前記固定部は、前記複数の変位部の変位にともなって変形し、前記規制部は、前記固定部の変形量が最小となる位置又はその近傍に配置され、前記駆動部が前記被駆動部の駆動方向へ移動することを規制することを特徴とする上記(1)記載のアクチュエータ。
【0077】
(3)前記被駆動部の回転軸と、前記回転軸を回転可能に保持する回転軸保持部とをさらに備え、前記規制部は、前記回転軸保持部と一体に設けられていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のアクチュエータ。
【0078】
(4)前記規制部は、前記合成部と前記固定部との間に設けられていることを特徴とする上記(3)記載のアクチュエータ。
【0079】
(5)前記固定部は、凹形状の溝が形成されており、前記規制部は、前記溝に嵌合される凸形状の突起であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のアクチュエータ。
【0080】
(6)前記加圧部は、前記駆動部への加圧を前記被駆動部の駆動方向へも作用させることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のアクチュエータ。(7)被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部をチルト方向に駆動するチルト駆動ユニットと、前記撮像部をパン方向に駆動するパン駆動ユニットとを備え、前記チルト駆動ユニット及び前記パン駆動ユニットは、上記付記(1)〜(6)のいずれかに記載のアクチュエータで構成されることを特徴とするカメラ。
【0081】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前記固定部の変形量が最小となる位置又はその近傍に配置される規制部によって、駆動部が被駆動部の駆動方向へ移動することが規制されるため、変位部の駆動に影響を与えることなく、アクチュエータの駆動部の無用な揺動を防止することができる。
【0082】
また、固定部に凹形状の溝が形成され、この溝に凸形状の突起である規制部が嵌合されることによって、駆動部が被駆動部の駆動方向へ移動することが規制されるため、変位部の駆動に影響を与えることなく、アクチュエータの駆動部の無用な揺動を防止することができる。
【0083】
さらに、固定部に凸形状の突起が形成され、この突起に凹形状の溝である規制部が嵌合されることによって、駆動部が被駆動部の駆動方向へ移動することが規制されるため、変位部の駆動に影響を与えることなく、アクチュエータの駆動部の無用な揺動を防止することができる。
【0084】
請求項2に記載の発明によれば、加圧部が、駆動部への加圧を被駆動部の駆動方向へも作用させるため、駆動部が揺動したとしても、元の位置に自己復帰することができ、過大な揺動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す一部透視図である。
【図2】 図1に示すアクチュエータの被駆動部及び押さえ部材を除く構成を示す透視図である。
【図3】 図1に示すアクチュエータのA−A線断面図である。
【図4】 第2の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す一部透視図である。
【図5】 図1に示すアクチュエータの被駆動部及び押さえ部材を除く構成を示す透視図である。
【図6】 図4に示すアクチュエータのB−B線断面図である。
【図7】 図4に示すアクチュエータのC−C線断面図である。
【図8】 第1の実施形態において、駆動部10の或る時点での変形状態を示す図である。
【図9】 図8より楕円軌道が1/4周期進んだ時点での変形状態を示す図である。
【図10】 図8より楕円軌道が1/2周期進んだ時点での変形状態を示す図である。
【図11】 図8より楕円軌道が3/4周期進んだ時点での変形状態を示す図である。
【図12】 第3の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す透視図である。
【図13】 図12に示すアクチュエータの駆動時における動作を示す透視図である。
【図14】 第4の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す透視図である。
【図15】 図14に示すアクチュエータの駆動時における動作を示す透視図である。
【図16】 第5の実施形態におけるアクチュエータの構成を示す透視図である。
【図17】 図16に示すアクチュエータの駆動時における動作を示す透視図である。
【図18】 上記の第1,3〜5実施の形態におけるアクチュエータをパン・チルトに用いたカメラの一例を示す図である。
【図19】 従来のアクチュエータを説明するための図である。
【図20】 従来のアクチュエータの他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 第1圧電素子(変位部)
2 第2圧電素子(変位部)
3 チップ部材(合成部)
4 ベース部材(固定部)
10 駆動部
20 被駆動部
21 回転軸
30 加圧部
40 押さえ部材
50 ホルダ
51 規制部
52 回転軸保持部
53 ばね案内軸
61,62,63,64 リード線
100 アクチュエータ
Claims (2)
- 所定の変位を発生させる複数の変位部と、前記複数の変位部の一端に各々結合され、前記複数の変位部の変位を合成するための合成部と、前記複数の変位部の他端を固定するための固定部とからなる駆動部と、
前記合成部により駆動力が伝達されて駆動する被駆動部と、
前記駆動部と前記被駆動部とを加圧接触させる加圧部と、
前記固定部の変形量が最小となる位置又はその近傍に配置され、前記駆動部が前記被駆動部の駆動方向へ移動することを規制する規制部と、
前記駆動部を保持するホルダとを備え、
前記被駆動部の外側に前記駆動部の前記合成部を当接させ、
前記ホルダに形成された凸形状の前記規制部が前記固定部に形成された凹形状の溝に嵌合されること、又は前記ホルダに形成された凹形状の前記規制部が前記固定部に形成された凸形状の突起に嵌合されることを特徴とするアクチュエータ。 - 前記加圧部は、前記駆動部への加圧を前記被駆動部の駆動方向へも作用させることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
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