JP2017127154A5 - - Google Patents

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振動型アクチュエータ及び電子機器
本発明は、2つの曲げ振動モードを組み合わせて駆動する振動型アクチュエータと、振動型アクチュエータを備える電子機器に関する。
圧電素子等の電気−機械エネルギ変換素子と弾性体とを接合してなる振動体と被駆動体(接触体)を加圧接触させ、振動体に励起した駆動振動によって振動体と接触体とを相対的に移動させる様々な振動型アクチュエータが知られている。そして、振動型アクチュエータには、振動体に励起する駆動振動として2つの曲げ振動モードを組み合わせた駆動方法を用いるものが知られている(特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、矩形平板状の弾性体と、弾性体の一方の面に接合された圧電素子と、弾性体の厚み方向に突出するように弾性体の他方の面の短手方向中央部において長手方向に所定間隔で設けられた2つの突起部とを有する振動体が開示されている。圧電素子への電圧印加により、突起部の上端面に弾性体の厚み方向と長手方向の両方向を含む面内で楕円運動を生じさせる。よって、弾性体の厚み方向において接触体と突起部の上端面とを加圧接触させることにより、振動体と接触体とを弾性体の長手方向(2つの突起部を結ぶ方向)に相対的に移動させることができる。
特許文献2には、矩形平板状の弾性体と、弾性体の一方の面に接合された圧電素子と、弾性体の厚み方向に突出するように弾性体の他方の面の短手方向中央部において長手方向に所定間隔で設けられた2つの角柱状の突起部とを有する第1の振動体が開示されている。圧電素子への電圧印加により、弾性体の長手方向と厚み方向の両方向を含む面内(弾性体の短手方向と直交する面内)での楕円運動を突起部の先端部に生じさせる。よって、突起部において弾性体の短手方向と直交する面の先端部に対して接触体を弾性体の厚み方向で加圧接触させることにより、第1の振動体と接触体とを弾性体の長手方向に相対的に移動させることができる。
また、特許文献2には、矩形平板状の弾性体と、弾性体の一方の面に接合された圧電素子と、弾性体の他方の面の各長辺側において長手方向に所定間隔で2カ所ずつ合計4カ所に設けられた角柱状の突起部とを有する第2の振動体が開示されている。圧電素子への電圧印加により、突起部の上端面に弾性体の厚み方向と長手方向の両方向を含む面内で楕円運動を生じさせる。よって、弾性体の厚み方向において接触体と突起部の上端面とを加圧接触させることにより、第2の振動体と接触体とを弾性体の長手方向に相対的に移動させることができる。
特許文献3には、矩形平板状の弾性体、弾性体の一方の面に接合された圧電素子、及び、弾性体の他方の面において弾性体の厚み方向に突出するように設けられた1つの突起部を有する振動体が開示されている。圧電素子への電圧印加により、突起部の上端面に弾性体の厚み方向と長手方向の両方向を含む面内で楕円運動を生じさせる。よって、弾性体の厚み方向において接触体と突起部の上端面とを加圧接触させることにより、振動体と接触体とを弾性体の長手方向に相対的に移動させることができる。
特許第4261964号公報 特許第3363510号公報 特開2006−115559号公報
特許文献1に記載された振動体では、接触体と接触する突起部が弾性体の平面上で、弾性体の長手方向及び短手方向の各方向で対称的に配置されているため、突起部の先端部に加圧力が加えられても、振動体の重心回りの回転モーメントは発生し難い。そのため、重心支持された振動体は自身の姿勢を安定した状態に保つことができ、これにより、駆動効率の高い振動型アクチュエータを実現することができる。
しかし、特許文献1に記載された振動体に励起する振動モードの共振周波数は、振動体の小型化に伴って高くなるため、駆動回路等の周辺機構の制約によって駆動周波数に上限がある場合には、振動体を小型化するにも限界がある。そこで、振動体の更なる小型化が必要な場合には、より共振周波数の低い振動モードを利用する必要が生じる。
特許文献2に記載された第1の振動体の励振に用いられる振動モードの共振周波数は、特許文献1に記載された振動体の励振に用いられる振動モードの共振周波数よりも低い。そのため、特許文献2に記載された第1の振動体は、振動体の小型化が必要な用途に適していると考えられる。しかし、特許文献2に記載された第1の振動体では、接触体との加圧接触のために加圧力が加えられる突起部の接触部が、振動体の重心に対して偏った位置にある。そのため、振動体の重心回りに回転モーメントが発生してしまい、振動体自体の姿勢を安定して保持することが難しいという問題がある。また、特許文献2に記載された第2の振動体では、4つの突起部のうち、対角に位置するものは同位相で楕円運動を行うが、弾性体の長手方向で対向する突起部に生じる楕円運動は逆位相となる。そのため、4つの突起部の先端部に接触体を加圧接触させても、効率よく駆動力を取り出すことができないという問題がある。
特許文献3に記載された振動体の励振に用いられる振動モードの共振周波数は、特許文献1に記載された振動体の励振に用いられる振動モードの共振周波数よりも低い。しかし、特許文献3に記載された振動体も、特許文献2に記載された第1の振動体と同様に、接触体との加圧接触のために加圧力が加えられる突起部の接触部が、振動体の重心に対して偏った位置にある。そのため、振動体の重心回りに回転モーメントが発生してしまい、振動体自体の姿勢を安定して保持することが難しいという問題がある。
本発明は、小型化が可能であると共に振動体の姿勢を安定して保持することができる振動型アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明に係る振動型アクチュエータは、平板状の弾性体と、前記弾性体の一方の面に接合される電気−機械エネルギ変換素子と、前記弾性体に設けられた少なくとも1つの突起部と、を有する振動体と、前記突起部の先端で前記振動体と加圧接触する接触体とを備える振動型アクチュエータであって、前記振動体には、互いに交わらずに前記弾性体の短辺と交わる2本の節線を有し、且つ、前記弾性体の2つの長辺を結ぶ節線を有さない第1の曲げ振動モードの振動と、前記弾性体の短手方向に前記弾性体の平板平面を2分割し、前記弾性体の長手方向に前記弾性体の平板平面を3分割した合計6つの領域において、それぞれの領域内に前記弾性体の平板平面の面外方向の振動における振幅極大が存在し、隣り合う領域において前記振幅極大における振動が逆位相となる第2の曲げ振動モードの振動の励起が可能であり、前記第1の曲げ振動モードの振動と前記第2の曲げ振動モードの振動を組み合わせた駆動振動により、前記弾性体の長手方向と直交する面内で前記突起部の先端に楕円運動を生じさせて、前記振動体と前記接触体を前記弾性体の短手方向で相対的に移動させることを特徴とする。
本発明によれば、振動型アクチュエータの小型化を実現することができる。また、本発明によれば、振動体の姿勢を安定して保持することができるため、安定した駆動特性を得ることができると共に、高い駆動性能を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る振動型アクチュエータの概略構成を示す斜視図と、振動型アクチュエータを構成する振動体とその周辺構成を示す外観斜視図である。 図1に示す振動体に励起させる2つの曲げ振動モード(モードA,B)を説明する斜視図である。 図1に示す振動体の図2に示すモードAの振動による変形に伴う突起部及び接触部の動きを説明する図である。 図1に示す振動体の図2に示すモードBの振動による変形に伴う接触部の動きを説明する図である。 図1に示す振動体に組立誤差がない場合のモードBの振動に伴う節線と、組立誤差が生じた場合のモードBの振動に伴う節線を模式的に示す図である。 図1に示す振動体を構成する圧電素子の電極パターンを示す図である。 従来例に係る振動体と図1に示す振動体のそれぞれの概略構成を示す斜視図と、被駆動体(接触体)からそれぞれの振動体に対して作用する加圧力の振動体の姿勢へ影響を模式的に示す図である。 図1に示す振動体の姿勢を安定に維持するための接触部の位置と加圧力との関係を説明する図である。 振動体の姿勢を安定して保持することが可能な条件を満たす接触部の配置を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る振動型アクチュエータの概略構成を示す斜視図と、振動型アクチュエータを構成する振動体とその周辺構成を示す外観斜視図である。 図10に示す振動体に励起させる2つの曲げ振動モードを説明する斜視図である。 図10に示す振動体のモードAの振動による変形と突起部及び接触部の動きを説明する図である。 図10に示す振動体のモードBの振動による変形と突起部及び接触部の動きを説明する図である。 本発明の第3実施形態に係る振動型アクチュエータを構成する振動体の概略構成を示す斜視図と、振動体に励起される2つの曲げ振動モード毎の突起部の動きを説明する斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る振動型アクチュエータを構成する振動体の概略構成を示す斜視図と、振動体に励起される2つの曲げ振動モード毎の突起部の動きを説明する斜視図である。 本発明の第5実施形態に係る振動型アクチュエータを構成する振動体の製造工程を簡略的に示す図である。 図16に示す振動体の第1の変形例及び第2の変形例に係る振動体の概略構成を示す斜視図である。 図16に示す振動体の第3の変形例及び第4の変形例に係る振動体の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す振動体を備える顕微鏡の外観斜視図である。 図1に示す振動体を備える撮像装置の概略構成を示す上面図とブロック図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る振動型アクチュエータ1の概略構成を示す斜視図である。また、図1(b)は、振動型アクチュエータ1を構成する振動体10とその周辺構成を示す外観斜視図である。振動型アクチュエータ1は、振動体10及び被駆動体(接触体)2を有する。振動体10は、弾性体11、圧電素子12及び2つの突起部13を有する。振動体10は、フレキシブルプリント基板15(以下「FPC15」と記す)を介して、基台3に保持される。
なお、図1(a),(b)に示すように、三次元の直交座標系(X方向、Y方向及びZ方向)を定め、適宜、以下の説明に用いることとする。後述するように、X方向は、接触体2と振動体10との相対的な移動方向であり、振動体10の短手方向でもある。Z方向は、振動体10と接触体2とを加圧接触させるための加圧方向である。また、Y方向は、X方向及びZ方向と直交する方向であり、振動体10の長手方向でもある。
弾性体11は、マルテンサイト系のステンレス鋼であるSUS420J2等の金属材料からなり、X方向を短手方向、Y方向を長手方向、Z方向を厚み方向とする矩形平板状の形状を有する。2つの突起部13は、弾性体11の一方の面(接触体2側の面)のY方向端部、且つ、X方向の略中央において、Z方向に突出するように設けられている。電気−機械エネルギ変換素子である圧電素子12の一方の面(弾性体11側の面)は、弾性体11の他方の面(圧電素子12側の面)に接合されている。また、圧電素子12の他方の面(FPC15側の面)は、ベース部材がポリイミドフィルム等の樹脂材料で構成されているFPC15に接合されている。FPC15においてY方向に延出した部分には孔部17が設けられており、孔部17にボルト4を通してボルト4を基台3に締結することにより、FPC15が基台3に固定され、これにより振動体10がFPC15を介して基台3に保持される。このように、FPC15を基台3に固定する構成とすることにより、振動体10を支持するための新たな支持部材は不要となるため、部品点数と組立工程を削減することができる。なお、FPC15の基台3に対する固定方法は、ボルト4による締結に限定されるものではなく、例えば、押さえ板による挟み込みや接着剤による接着等の他の方法を用いても構わない。
突起部13の先端部は、Z方向に作用する加圧力によって接触体2と加圧接触する接触部14となっている。接触部14と接触体2を加圧接触させるための加圧方法特に制限されない。例えば、バネ等による弾性力を接触体2から振動体10に対して又は振動体10から接触体2に対して加える方法や、FPC15に弾性力を持たせてその弾性力を接触部14に与える方法を用いることができる。また、永久磁石を用いて接触体2と弾性体11との間に磁気回路を形成して、接触部14と接触体2とを加圧接触させる方法を用いることもできる。
接触部14は、所定の摩擦係数を有すると共に、耐摩耗性に優れていることが望ましい。そこで、例えば、突起部13をプレス加工等により弾性体11と一体的に形成し、突起部13の先端部に熱処理や表面研磨を施す。これにより、所定の摩擦係数と耐摩耗性を有する接触部14を形成することができる。突起部13、接触部14及び弾性体11を一体形成した場合、これらを別々に形成する場合に比べて、組立工数を減らすことができると共に、突起部13の位置合わせを行う必要がなくなることで、部品間の寸法や性能のバラつきを抑えることができる。なお、突起部13と接触部14を形成する方法は、上述した方法に限定されるものではなく、種々の製造方法を用いることができる。例えば、突起部13は、エッチング加工によって形成してもよく、弾性体11と別に製造した後に弾性体11に固定(接合)してもよい。また、接触部14は、メッキ処理等により形成することもできる。
次に、振動体10に励起させる2つの曲げ振動モードについて説明する。振動型アクチュエータ1では、振動体10に2つの曲げ振動モードの振動を励起させ、励起させた振動を組み合わせた駆動振動により、弾性体11の長手方向と直交する面内で同一方向に楕円軌跡を描く楕円運動を接触部14に生じさせる。これにより、接触部14が接触体2に対してX方向に摩擦駆動力を与えることで、接触体2と振動体10とをX方向に相対的に移動させることができる。
振動体10の形状は、2つの曲げ振動モードの共振周波数差が所望の値を取るように設計される。具体的には、振動体10の長手方向(Y方向)の寸法である長辺長さと短手方向(X方向)の寸法である短辺長さ、及び、厚み方向(Z方向)の寸法である厚みの設計により、2つの曲げ振動モードの共振周波数差を所望の値に近付けることができる。本実施形態では、長辺長さ、短辺長さ及び厚みを、大凡、20:16:1の比に設定している。また、振動体10の形状は、2つの曲げ振動モードの共振周波数のうち高い方の共振周波数をfr、2つの曲げ振動モードの共振周波数の差をΔfとしたときに、0<Δf<fr×0.15の関係が成立するように設計されている。
図2は、振動体10に励起する2つの曲げ振動モードを説明する斜視図である。図2(a)は、第1の曲げ振動モード(以下「モードA」という)での振動体10の変形を模式的に示しており、図2(b)は、第2の曲げ振動モード(以下「モードB」という)での振動体10の変形を模式的に示している。図3は、モードAの振動による振動体10の変形に伴う突起部13及び接触部14の動きを説明する図であり、図3(a)はZ方向から見た状態を示しており、図3(b)はY方向から見た状態を示している。図4は、モードBの振動による振動体10の変形に伴う接触部14の動きを説明する図であり、図4(a)はZ方向から見た状態を示しており、図4(b)はY方向から見た状態を示している。
モードAの振動は、X方向における1次の屈曲振動であり、弾性体11のY方向に略平行な2本の節線Y1,Y2を有する。略平行な2本の節線Y1,Y2とは、節線Y1,Y2が、連続的な曲線で、振動体10の2つの短辺S1,S2と交差し、且つ、互いに交差することなく、且つ、弾性体11の長辺L1,L2と交差せずに並列に並んでいることを意味する。なお、2つの曲げ振動モード(モードA,B)は、振動体10のXY平面に対する面外方向(Z方向)の振動であるため、以下の説明において、節線や節とは、振動体10においてZ方向の振動が殆ど生じない位置(振幅極小位置)を意味する。
2つの突起部13は、図3(b)に示されるようにモードAの振動の腹となる位置の近傍に配置されているため、モードAの振動により同位相でZ方向に往復運動を行う。このとき、2つの突起部13が設けられた位置では、モードAの振動によってX方向とY方向の変位は殆ど生じず、2つの突起部13をそれぞれZ方向に最も大きく変位させることができる。つまり、突起部13の先端の接触部14を、モードAの振動によって、Z方向のみに最大限に往復運動させることができる。
モードBの振動は、2次のねじり振動であり、弾性体11のY方向と略平行な1本の節線Y3と、X方向と略平行な2本の節線X1,X2を有する。略平行な2本の節線X1,X2とは、節線X1,X2が、連続的な曲線で、弾性体11の2つの長辺L1,L2と交差し、且つ、互いに交差することなく、且つ、弾性体11の短辺S1,S2と交差せずに並列に並んでいることを意味する。弾性体11のY方向と略平行な節線Y3とは、節線Y3が、連続的な曲線で、弾性体11の2つの短辺S1,S2と交差し、且つ、長辺L1,L2と交差せずに長辺L1,L2と並列に並んでいることを意味する。つまり、モードBの振動には、弾性体11の短手方向に弾性体11の平板平面を2分割し、弾性体11の長手方向に弾性体11の平板平面を3分割した合計6つの領域の各領域内に、弾性体11の平板平面の面外方向の振動における振幅極大が存在する。そして、これら6つの領域の隣り合う領域では、振幅極大における振動が逆位相となる。
2つの突起部13は、図4(a)に示されるように、節線Y3の位置の近傍(X方向の略中央)であって節線X1に近い短辺S1の近傍と節線X2に近い短辺S2の近傍に配置されているため、モードBの振動により同位相でX方向に往復運動を行う。このとき、2つの突起部13が設けられた位置では、モードBの振動によってY方向とZ方向の変位は殆ど生じない。また、接触部14におけるX方向の往復運動は突起部13の高さで変位拡大される。そのため、突起部13のZ方向の高さで設定されるものであり、突起部13により接触部14をそれぞれX方向に最も大きく変位させることができる。つまり、突起部13の先端の接触部14を、モードBの振動によって、X方向のみに最大限に往復運動させることができる。
モードA,Bの各振動を組み合わせることにより、モードAの振動の腹の位置とモードBの振動の節線の位置とを略一致させることができる。したがって、この略一致する位置の近傍、且つ、弾性体11の短辺S1,S2の近傍に突起部13を設けることにより、高い出力を得ることができる。また、突起部13の先端の接触部14を、Z方向及びX方向に大きく変位させることができるため、接触部14は、接触部14に加圧接触する接触体2に対して大きな摩擦駆動力を与えることができる。
なお、上記背景技術において説明した特許文献1に記載された振動体には、一次の面外曲げ振動モードの振動と二次の面外曲げ振動モードの振動を組み合わせた駆動振動が励起される。一次の面外曲げ振動は、2つの突起部を結ぶ方向と略平行に2本の節線が現れる振動である。また、二次の面外曲げ振動は、2つの突起部を結ぶ方向及び突起部の突出方向の両方向と直交する方向と略平行に3本の節線が現れる振動である。振動型アクチュエータ1を構成する振動体10に励起されるモードAの振動は、特許文献1に記載された振動体に励起される一次の面外曲げ振動と同じである。
ここで、特許文献1に記載された振動体と振動型アクチュエータ1を構成する振動体10とが、突起部が設けられている位置を除いて同等の形状を有する場合を考える。この場合に、振動体10の励振に用いられるモードBの共振周波数が137kHzであるならば、特許文献1に記載された振動体の励振に用いられる二次の面外曲げ振動モードの共振周波数は211kHzとなる。このように、振動体10では、特許文献1に記載された振動体と比較して、駆動周波数fdを下げることができるため、振動型アクチュエータ1を駆動するための駆動回路を安価に構成することが可能になる。
また、特許文献1に記載された振動体について、二次の面外曲げ振動モードの共振周波数を図2(b)のモードBの共振周波数に近付け、且つ、一次の面外曲げ振動モードと組み合わせることを考えた場合、振動体の長辺長さを約1.25倍に延ばす必要が生じる。つまり、共振周波数を同等とした場合に、特許文献1に記載された振動体のサイズは、振動型アクチュエータ1を構成する振動体10のサイズよりも大きくなってしまう。換言すれば、図2のモードA,Bの各振動を組み合わせた駆動振動が励起される振動体10は、特許文献1に記載された振動体よりも小型化が可能である。更に、振動体10では、低次の曲げ振動モードを利用しているため、モードA,Bの各共振周波数のうち高い方の共振周波数frの付近に他の不要振動モードが少なく、よって、不要振動によるモードA,Bの各振動の励起が阻害され難い利点がある。
なお、振動体10の形状(各辺の寸法比)やモードA,Bの共振周波数差Δfは、モードA,Bの振動を組み合わせて駆動振動を励起することが可能な値であればよく、また、要求特性や用途、配設スペース等に応じた設計が可能であるため特定の値に限定されない。更に、振動体10には、加工工程や組立工程において生じる寸法ずれによって形状に非対称性が生じ、支持位置や周辺部品の取り付け位置のずれにより配設状態に非対称性が生じることがある。その場合、2つの曲げ振動モードのモード形状に偏りが生じ、例えば、モードAの2本の節線Y1,Y2のいずれか1本が、弾性体11の長辺と交差し、弾性体11の平面の投影面外に延出する可能性がある。
図5(a)は、振動体10に組立誤差がない場合のモードBの振動に伴う節線を模式的に示す図である。図5(b)は、振動体10に組立誤差が生じた場合のモードBの振動に伴う節線を模式的に示す図である。図5(a)に示すモードBの理想的なモード形状が、振動体10の形状の非対称性により、図5(b)に実線部(黒く塗り潰した部分)で示すような節線の位置が変化したモード形状となってしまうこともある。しかし、突起部13の位置で上述した所定の方向の振動変位が生じていれば、接触部14から接触体2に駆動力を与えることが可能である。特に、モードBのモード形状が図5(b)に示したように節線が変形した場合でも、その極近傍における振動の振幅は、振動の腹の位置と比較すると十分に小さいため、図5(b)に破線で示す位置に節を持つモードと見なしても実質的に問題はない。つまり、2つの曲げ振動モードが有する節の位置は、その主要な特徴や本発明の技術思想から逸脱することがない範囲にあればよい。
図6は、圧電素子12の電極パターンを示す図である。圧電素子12は、矩形平板状の圧電セラミックスの表面(FPC15との接合面)に図6に示すA相電極16aとB相電極16bが形成され、裏面(弾性体11との接合面)には不図示の全面電極が形成された構造を有する。A相電極16aとB相電極16bは、モードBのY方向に略平行な1本の節線Y3を境界にして、X方向に2分割されるように形成されており、Z方向の同一方向に分極処理されている。FPC15からA相電極16aに交流電圧V1が印加され、B相電極16bに交流電圧V2が印加される。不図示の全面電極は、グラウンド電極として用いられる。なお、圧電素子12を弾性体11に接着した状態で不図示の全面電極は弾性体11と導通するため、全面電極からは弾性体11の表面を通して導通を取り出すことができる。また、圧電セラミックスにスルーホールを設けて或いは圧電セラミックスの側面から電極を引き回して、圧電素子12の表面から全面電極の導通を取り出すこともできる。
交流電圧V1,V2の電圧値と周波数が同一である場合に、交流電圧V1,V2が同位相でA相電極16aとB相電極16bに入力されると、A相電極16aとB相電極16bの各領域で生じる伸縮方向は同じ向きとなる。よって、A相電極16aとB相電極16bの各領域で生じる伸縮方向が同じ向きであるモードAの共振周波数付近に交流電圧V1,V2の周波数を近付けることで、振動体10にモードAの振動を励起することができる。一方、交流電圧V1,V2の電圧値と周波数が同一である場合に、交流電圧V1,V2が逆位相でA相電極16aとB相電極16bに入力されると、A相電極16aとB相電極16bの各領域で生じる伸縮方向は逆向きとなる。よって、A相電極16aとB相電極16bの各領域で生じる伸縮方向が逆向きであるモードBの共振周波数付近に交流電圧V1,V2の周波数を近付けることで、振動体10にモードBの振動を励起することができる。
振動体10は、上述の通り、モードA,Bの共振周波数を近付けて駆動される。つまり、モードA,Bの各共振周波数が接近するように設計される。また、駆動周波数fdは、本実施形態では、モードAとモードBの共振周波数の近傍の周波数に設定される。そのため、A相電極16aとB相電極16bのそれぞれに、駆動周波数fdで電圧値が同じ交流電圧V1,V2を位相を90°ずらして印加すると、振動体10には、モードA,Bのそれぞれの振動は位相が90°ずれて励起される。その結果、接触部14にZX面内で楕円運動を生じさせることができ、接触部14が接触体2に対して摩擦駆動力を与えることにより、振動体10と接触体2とを相対的にX方向に移動させることができる。
なお、本実施形態では、圧電素子12を構成する圧電セラミックスは、A相電極16aとB相電極16bがそれぞれ形成された領域で同一方向に分極処理されているものとした。しかし、モードA,Bの振動を振動体10に励起することができる限りにおいて圧電素子12の構成に制限はなく、圧電セラミックスに形成される電極パターンや分極方向は図6を参照して説明した構成に限定されるものではない。
次に、振動型アクチュエータ1における振動体10の姿勢保持の特徴について説明する。ここでは、上記背景技術で説明した特許文献2に記載された第1の振動体を従来例として取り上げて、振動体10と比較する。図7(a)は、従来例に係る(特許文献2に記載された)振動体90の概略構成を示す斜視図であり、図7(b)は、不図示の接触体から振動体90に対して作用する加圧力の振動体90へ影響を模式的に示す図である。図7(c)は、振動体10の概略構成を示す斜視図であり、図7(d)は、不図示の接触体から振動体10に対して作用する加圧力の振動体10へ影響を模式的に示す図である。なお、図7(c)については、図1(b)の一部と同じであるため、説明を省略する。
振動体90は、矩形平板状の弾性体91、弾性体91の一方の面に接合された圧電素子92、及び、弾性体91の他方の面にその長手方向(X方向)において所定間隔で設けられた2つの角柱状の突起部93を有する。不図示の接触体は、突起部93において弾性体91の短手方向(Z方向)と直交する面の先端部94に加圧接触しており、先端部94にZX面内で楕円運動を生じさせることにより、X方向に駆動される。このとき、図7(b)に示すように、接触体から振動体90の重心に対して偏りのある位置に加圧力Fが加わるため、加圧力Fを先端部94で受けたときに回転のモーメントMが発生する。その結果、振動体90の姿勢が傾き、加圧力Fによる先端部94での圧力分布にばらつきが生じてしまうことで、接触体に対する摩擦駆動力の伝達ロスが大きくなってしまうという問題が生じる。
これに対して図7(c)に示されるように、振動体10では、突起部13は振動体10の重心を通るZ方向の軸に対して略回転対称となる位置に配置されている。また、図1(b)に示されるように、基台3に対するFPC15の固定部となる孔部17の位置も、振動体10の重心を通るZ方向の軸に対して略回転対称となる位置に配置されている。よって、FPC15により振動体10は加圧力と対になる方向から重心支持されている。ここで、図7(d)に示されるように、2つの接触部14がY方向において重心から距離a1,a2の位置にあり、接触部14に加圧力Fが加わると仮定する。この場合、2つの接触部14の一方にはモーメントM1(=F×a1)が生じ、他方にはモーメントM2(=F×a2)が生じる。
しかし、2つの接触部14は“a1=a2”の関係が成り立つ位置に配置されているために“M2=−M1”となり、振動体10には結果的にモーメントが生じない。これは、接触部14における加圧力Fとその位置ベクトルの外積の総和と、振動体10の重心に作用する加圧力とその位置ベクトルの外積とが一致することを示している。つまり、接触部14が接触体2から加圧力を受けるときに、振動体10の重心回りに力のモーメントが発生しないため、加圧力Fは基台3により重心支持されるFPC15の支持部(ボルト4の取り付け位置)で生じる反力と釣り合う。こうして、振動体10は、姿勢が保持された状態で、安定して接触部14で接触体2からの加圧力を受けることができる。
図8は、振動体10の姿勢を安定に保持するための接触部14の位置と加圧力Fとの関係を説明する図である。振動体10の重心を原点(0,0,0)とし、振動体10は接触部14を介して加圧力F=(0,0,Fz)を受け、加圧力Fと対になる方向から振動体10は重心支持されているものとする。この状態で、振動体10に設けられた1つ以上の任意の接触点ai=(xi,yi,zi)(i=1,2,・・)を考える。接触部14に加圧力Fが作用した状態を、接触点aiが加圧力Fiを受け、加圧力Fと同じ方向にのみ接触点aiに力が加えられると仮定すると、下記式(1),(2)が成り立つ。この場合に、振動体10の姿勢を保持するために生じるモーメントを相殺させるためには、下記式(3)が成立する必要がある。そして、接触点aiのZ方向位置ziについて、zi=z1(i=1,2,・・)の平面を考えたときに、式(3)の加圧力FiはZ方向にのみ成分を持つ。よって、接触点ai´=(xi,yi)(i=1,2,・・・)を与えたときに、式(3)は下記式(4)の通りにより簡潔に表すことができる。
Fi=(0,0,Fzi)(Fzi≧0、i=1,2,・・) ・・・(1)
ΣFzi=Fz>0 ・・・(2)
ΣFi×ai=0 ・・・(3)
ΣFzi×ai´=0 ・・・(4)
ここで、加圧力Fziは、スカラー量であり、接触点ai´の位置ベクトルの係数である。よって、上記式(4)の条件を満たすためには、接触点ai´が1カ所の場合はその接触点ai´が振動体10の重心と一致していればよく、接触点ai´が2カ所の場合は、2つの接触点ai´を結ぶ直線上に振動体10の重心があればよい。また、接触点ai´が3カ所以上の場合は、3カ所の以上の接触点ai´で囲う領域内に重心である原点(0,0)が存在すればよい。
図9(a),(b),(c)はそれぞれ、接触部CFが1カ所の場合、2カ所の場合及び3カ所以上の場合の一例としての4カ所の場合に、振動体の姿勢を安定して保持することが可能な条件を満たす接触点の配置を説明する図である。なお、接触部CFが1カ所の場合は後述する振動体20に、接触部CFが2カ所の場合は上述した振動体10に、接触部CFが4カ所の場合は後述する振動体30にそれぞれ対応する。接触部CFが1カ所の場合には、接触部CFの領域内に重心が存在すればよい。接触部CFが2カ所の場合には、接触部CF内の領域内の任意の接触点ai´(xi,yi)(i=1,2)を結ぶ直線上に重心が存在すればよい。接触部14が3カ所以上の場合には、任意の接触点ai´(xi,yi)(i=1,2,3,・・・)で囲まれる領域内に重心が存在すればよい。このような条件が満たされる場合には、振動型アクチュエータの駆動停止時に振動体が加圧力Fを受けても、振動体の姿勢が実質的に傾くことなく、全ての接触部CFが同時に接触体と接触した状態を維持することができる。
なお、振動体に駆動振動を励起した際に複数の接触点aiにおける摩擦駆動力のばらつきを小さくするためには、それぞれの接触点aiで受ける加圧力Fiが可能な限り等しいことが望ましい。そのためには、接触点aiは、振動体の重心を通るZ方向の軸に対して略回転対称となる位置にあることが望ましく、振動型アクチュエータ1では、振動体10の2つの接触部14の重心が振動体10の重心と一致するように設計されている。これにより、2つの接触部14での加圧むらを小さくすることができ、接触体2に対する摩擦駆動力の伝達ロスを小さくすることができる。また、組立精度や寸法公差によるZ方向位置ziのばらつきは、FPC15を基台3に固定する支持部がZ方向に弾性変形可能であれば、接触点aiで生じる加圧力のバラつきを緩和することができる。
以上の説明の通り、本実施形態に係る振動型アクチュエータ1は、振動体10に駆動振動を励起させる2つの曲げ振動モードの共振周波数を低くすることができ、逆に、共振周波数を高くすることなく小型化することができる。また、このような効果と同時に、振動型アクチュエータ1は、接触体2からの加圧力に対して振動体10の姿勢を安定して保持することができる効果を奏する。
<第2実施形態>
図10(a)は、本発明の第2実施形態に係る振動型アクチュエータ1Aの概略構成を示す斜視図である。また、図1(b)は、振動型アクチュエータ1Aを構成する振動体20とその周辺構成を示す外観斜視図である。なお、振動型アクチュエータ1Aにおいて、第1実施形態で説明した振動型アクチュエータ1と共通する構成要素については、同じ名称及び同じ符号を用いて、ここでの重複する説明を省略する。
振動型アクチュエータ1Aは、振動体20及び接触体2を有する。振動体20は、弾性体11、圧電素子12及び1つの突起部23を有する。突起部23の先端部は、接触体2と加圧接触する接触部24となっている。振動体20は、FPC15を介して、基台3に保持される。突起部23は、弾性体11の中央部(モードBの節線Y3の近傍、且つ、モードBの節線X1,X2の中間部(Y方向中央近傍))に設けられている。突起部23は突起部13と同等であり、接触部24は接触部14と同等である。
振動型アクチュエータ1Aでは、突起部23の先端の接触部24のみが接触体2に対して摩擦駆動力を与える。そのため、複数の突起部を持つ振動体で生じ得る各接触部での楕円運動のバラつきによる接触体2に対する滑りのロスを無くすことができる。また、振動体10のように2つの突起部13が隔てて配置されていないため、接触体2の小型化が可能となり、これにより、振動型アクチュエータ1A全体としての小型化と、振動型アクチュエータ1Aの配設スペースを省スペース化することができる。
振動体20に駆動振動を励起するための2つの曲げ振動モードは、第1実施形態で説明したモードA,Bであるため、ここでの説明を省略する。また、圧電素子12に対する交流電圧の印加方法、接触部24とこれに作用する加圧力との関係も、第1実施形態で説明した通りであるため、ここでの説明を省略する。
モードA,Bと突起部23(接触部24)との関係について説明する。図11は、振動体20に励起する2つの曲げ振動モードを説明する斜視図である。図11(a)は、モードAでの振動体20の変形を模式的に示しており、図11(b)は、モードBでの振動体20の変形を模式的に示している。図12は、モードAの振動による振動体20の変形に伴う突起部23及び接触部24の動きを説明する図であり、図12(a)はZ方向から見た状態を示しており、図12(b)はY方向から見た状態を示している。図13は、モードBの振動による振動体20の変形に伴う突起部23及び接触部24の動きを説明する図であり、図13(a)はZ方向から見た状態を示しており、図13(b)はY方向から見た状態を示している。
突起部23は、モードAの振動の腹となる位置の近傍、且つ、モードBの振動のY方向に略平行な節線Y3となる位置の近傍、且つ、モードBの振動のX方向に略平行な2本の節線X1,X2の間の領域に配置されている。突起部23をモードAの振動の腹となる位置に配置することにより、接触部24は、不要な方向の振動変位成分を持たずにZ方向に大きな往復運動を行うことができる。また、モードBの振動は、X方向を除く不要な方向の振動変位成分を持たないため、接触部24にX方向の往復運動だけを生じさせることができる。特に、突起部23は、Y方向において、X方向に略平行な2本の節線X1,X2の中間部に配置されることが望ましく、これにより、モードBの振動により接触部24で生じるX方向の往復運動を最大限に取り出すことが可能となる。
すなわち、上述の通りに突起部23を配置することにより、モードAの振動によりZ方向の往復振動を最大限に取り出すことができ、且つ、モードBの振動によりX方向の往復振動を最大限に取り出すことができるため、大きな摩擦駆動力を発生させることができる。また、突起部23が弾性体11の中央部に配置されているため、接触体2からの加圧力に対して、第1実施形態で図7(a),(b)を参照して説明したような回転のモーメントが振動体20に生じることはない。よって、第1実施形態で説明した振動体10の支持構成を振動体20に対して適用することができ、これにより、振動体20の姿勢を傾かせることなく接触体2から安定して加圧力を受けることができるため、安定した駆動特性を得ることができる。
<第3実施形態>
図14(a)は、本発明の第3実施形態に係る振動型アクチュエータを構成する振動体30の概略構成を示す斜視図である。振動体30は、弾性体11、圧電素子12及び4つの突起部33を有する。それぞれの突起部33の先端部は、不図示の接触体と加圧接触する接触部34となっている。振動体30は、FPC15を介して、基台3に保持される。振動体30は、弾性体11のY方向端にそれぞれ2つずつの突起部23が設けられている点で、弾性体11のY方向端にそれぞれ1つずつの突起部13が設けられている振動体10(第1実施形態)と異なる。なお、振動体30において、第1実施形態で説明した振動体10と共通する構成要素については、同じ名称及び同じ符号を用いて、ここでの重複する説明を省略する。また、突起部33は突起部13と同等であり、接触部34は接触部14と同等である。
第1実施形態で説明した振動体10では、接触部14のZ方向の往復運動をモードAの振動から取り出し、X方向の往復運動をモードBの振動からを取り出した。これに対して、振動体30では、X方向の往復運動をモードAの振動から取り出し、Z方向の往復運動をモードBの振動から取り出す。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、接触体と振動体30との接触面積を増加させることができるため、同じ接触体から振動体10と振動体30のそれぞれに加圧力が作用したときには、接触部34が受ける面圧を接触部14が受ける面圧よりも小さくすることができる。これにより、接触部34の摩耗量を低減させて、振動型アクチュエータの耐久性を向上させることができる。また、振動体30は、振動体10よりも接触体に対する接触部を多く有するため、振動体30の姿勢がより安定することで接触部34が受ける加圧力のばらつきが低減され、これにより接触体に対する摩擦駆動力の伝達ロスを低減させることができる。
振動体30に駆動振動を励起するための2つの曲げ振動モードは、第1実施形態で説明したモードA,Bであるため、ここでの説明を省略する。また、圧電素子12に対する交流電圧の印加方法、接触部34とこれに作用する加圧力との関係も、第1実施形態で説明した通りであるため、ここでの説明を省略する。
モードA,Bの振動と突起部33(接触部34)の動きについて説明する。突起部33は、モードAの振動の2つの節線Y1,Y2の近傍であって、モードBの振動の節線Y3から離れた振動の腹となる位置の近傍、且つ、モードBの振動の節線X1,X2から近い弾性体11の短辺近傍に配置されている。これにより、突起部33には、不要な方向の振動変位成分を持たせずに、X方向に大きな往復運動を行わせることができる。
図14(b)は、振動体30に励起されるモードAの振動による振動体30の変形に伴う突起部33の動きを説明する図である。図14(b)には、モードAの振動が励起された際に突起部33に生じるX方向の往復運動のある瞬間における運動方向が矢印D1で示されている。4つの突起部33のうち、弾性体11のX方向で対向する2つの突起部では、X方向の変位方向が逆方向(往復運動が逆位相)になっていることがわかる。また、4つの突起部33のうち、弾性体11のY方向で対向する2つの突起部では、X方向の変位方向が同じ方向(往復運動が同位相)になっていることがわかる。
図14(c)は、振動体30に励起されるモードBの振動による弾性体11の変形に伴う突起部33の動きを説明する図である。図14(c)には、モードBの振動が励起された際に突起部33に生じるZ方向の往復運動のある瞬間における運動方向が矢印D2で示されている。前述のモードAの場合と同様に、4つの突起部33のうち、弾性体11のX方向で対向する2つの突起部では、Z方向の変位方向が逆方向(往復運動が逆位相)になっていることがわかる。また、4つの突起部33のうち、弾性体11のY方向で対向する2つの突起部では、Z方向の変位方向が同じ方向(往復運動が同位相)になっていることがわかる。
これらのことから、位相を90°ずらしてモードA,Bの振動を励起させることにより、4つの接触部34の全てに接触体を同じ方向に駆動可能な楕円運動を生じさせることができる。このとき、振動体30においてX方向で対向する2つの突起部33には逆位相で楕円運動が生じているため、4つの接触部34のうちY方向で対向する2組の接触部34が、交互に接触体と接触する。
振動体30を用いた振動型アクチュエータでは、4つの接触部34に存在する加圧力のばらつきによって生じる摩擦駆動力の伝達ロスを小さく抑えることができ、振動体30の耐久性を向上させることができる。また、4つの接触部34は、弾性体11に対してX方向及びY方向において対称的に配置されているため、接触体からの加圧力に対して、第1実施形態で図7(a),(b)説明したような回転のモーメントが振動体30に生じることはない。よって、第1実施形態で説明した振動体10の支持構成を振動体30に対して適用することができ、これにより、振動体30は、その姿勢を傾かせることなく接触体から安定して加圧力を受けて、安定した駆動特性を発揮することができる。
<第4実施形態>
図15(a)は、本発明の第4実施形態に係る振動型アクチュエータを構成する振動体40の概略構成を示す斜視図である。振動体40は、弾性体11、圧電素子12及び2つの突起部43を有する。それぞれの突起部43の先端部は、不図示の接触体と加圧接触する接触部44となっている。振動体40は、FPC15を介して、基台3に保持される。振動体40は、モードBの節線X1,X2の中間部において、モードAの節線Y1,Y2の近傍に2つの突起部23が設けられている点で、弾性体11の略中央に1つの突起部23が設けられている振動体20(第2実施形態)と異なる。なお、振動体40において、第1実施形態で説明した振動体10と共通する構成要素については、同じ名称及び同じ符号を用いて、ここでの重複する説明を省略する。また、突起部43は振動体10の突起部13と同等で有り、接触部44は振動体10の接触部14と同等である。
第2実施形態で説明した振動体20では、接触部24のZ方向の往復運動をモードAの振動から取り出し、X方向の往復運動をモードBの振動からを取り出した。これに対して、振動体40では、第3実施形態で説明した振動体30と同様に、X方向の往復運動をモードAの振動から取り出し、Z方向の往復運動をモードBの振動から取り出す。これにより、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、同じ接触体から加圧力が振動体20と振動体40のそれぞれに作用したときを比較すると、接触体との接触面積が振動体40では振動体20よりも大きいため、接触部24が受ける面圧よりも接触部44が受ける面圧を小さくすることができる。これにより、接触部44の摩耗量を低減させて、耐久性を向上させることができる。また、振動体40は、振動体20よりも接触体に対する接触部を多く有するため、振動体40の姿勢がより安定することで接触部44が受ける加圧力のばらつきが低減され、接触体に対する摩擦駆動力の伝達ロスを低減させることができる。
振動体40に駆動振動を励起するための2つの曲げ振動モードは、第1実施形態で説明したモードA,Bであるため、ここでの説明を省略する。また、圧電素子12に対する交流電圧の印加方法、接触部44とこれに作用する加圧力との関係も、第1実施形態で説明した通りであるため、ここでの説明を省略する。
モードA,Bの振動と突起部43(接触部44)の動きについて説明する。突起部43は、モードAの振動の2つの節線Y1,Y2となる位置の近傍であって、モードBの振動の節線Y3から離れた振動の腹となる位置の近傍、且つ、モードBの振動の節線X1,X2の略中央に配置されている。これにより、突起部33には、不要な方向の振動変位成分を持たせずに、X方向に大きな往復運動を行わせることができる。
図15(b)は、振動体40に励起されるモードAの振動による弾性体11の変形に伴う突起部43の動きを説明する図である。図15(b)には、モードAの振動が励起された際に突起部43に生じるX方向の往復運動のある瞬間における運動方向が矢印D3で示されており、2つの突起部43ではX方向の変位方向が逆方向になっていることがわかる。図15(c)は、振動体40に励起されるモードBの振動による弾性体11の変形に伴う突起部43の動きを説明する図である。図15(c)には、モードBの振動が励起された際に突起部43に生じるZ方向の往復運動のある瞬間における運動方向が矢印D4で示されており、2つの突起部43ではZ方向の変位方向が逆方向になっていることがわかる。よって、位相を90°ずらしてモードA,Bの振動を励起させることにより、2つの接触部44に、接触体を同じ方向に駆動可能な楕円運動を生じさせることができる。2つの突起部43は、逆位相で楕円運動が生じているために交互に接触体と接触して、接触体をX方向に駆動する。
振動体40では、2つの接触部44は、弾性体11に対してX方向及びY方向において対称的に配置されているため、接触体からの加圧力に対して、第1実施形態で図7(a),(b)説明したような回転のモーメントが振動体40に生じることはない。よって、第1実施形態で説明した振動体10の支持構成を振動体40に対して適用することができ、これにより、振動体40は、その姿勢を傾かせることなく接触体から安定して加圧力を受けて、安定した駆動特性を発揮することができる。
<第5実施形態>
図16は、本発明の第5実施形態に係る振動型アクチュエータを構成する振動体50の製造工程を簡略的に示す図である。振動体50は、弾性体51と、弾性体51のY方向端に設けられた2つの突起部53と、弾性体51に接合された圧電素子12とを有し、2つの突起部53の各先端部が接触部54となっている。圧電素子12は、第1実施形態で説明した圧電素子12と同じである。
振動体50の製造工程は、概略、次の通りである。最初に、Y方向に突出する突出部58を有する平板状の弾性体51を準備する。なお、突出部58が一体形成された弾性体51は、例えば、ワイヤ加工等による切り出しや金型によるパンチング等によって作製することができるが、その作製方法には制限はない。続いて、曲げ加工により突出部58をZ方向に突出させることにより突起部53を形成する。突起部53が形成された弾性体51に熱処理等を施すことにより硬度を高めた後、突起部53の先端部に研磨処理を施す。これにより、突起部53の先端部に、耐摩耗性に優れ、且つ、所望の摩擦係数を有する接触部54を形成することができる。そして、弾性体51において突起部53が突出している向きの反対側の面に圧電素子12を接合することにより、振動体50を作製することができる。
こうして作製された振動体50は、Z方向から見たときに圧電素子12と2つの突起部53とが重複しないため、突起部53は圧電素子12が接合されている方向、つまり、接触体からの加圧力が作用するZ方向への弾性変形が可能となる。このように突起部53にばね性を持たせることにより、接触体に対する接触部54の加圧状態を安定させることができ、これにより、安定した駆動特性を得ることができる。
例えば、第1実施形態で説明した振動体10において、弾性体11のZ方向に弾性変形が可能な突起部13を弾性体11に一体形成する場合には、絞り加工等によりボス形状とする手法を用いることが考えられる。しかし、この場合、振動体10の小型化に伴って加工が困難になるという問題が生じる。これに対して、振動体50には、小型化した場合であっても、突起部53を曲げ加工により容易に形成することができる利点がある。また、振動体50は、弾性体51に対して突起部53を曲げ加工により簡単に形成することができるため、例えば、溶接等によって突起部を弾性体に接合する場合よりも、組立工程を簡略化することができ、部品点数を減らすこともできる。更に、振動体50には、摩擦材を用いることなく、突起部53が形成された弾性体51の熱処理とその後の研磨処理によって、簡単に所望する特性を有する接触部54を形成することができる利点がある。
振動体50に駆動振動を励起するための2つの曲げ振動モードは、第1実施形態で説明したモードA,Bであるため、ここでの説明を省略する。また、圧電素子12に対する交流電圧の印加方法、接触部54とこれに作用する加圧力との関係も、第1実施形態で説明した通りであるため、ここでの説明を省略する。
振動体50は、第1実施形態で説明した振動体10の突起部13を、弾性体11と一体的に曲げ加工により形成可能な突起部53に変更した形態と考えることができる。よって、第3実施形態で説明した振動体30についても、4つの突起部33を弾性体11と一体的に曲げ加工により形成可能な突起部に変更した形態へと変更することができることは、言うまでもない。
曲げ加工により弾性体と一体的に形成可能な突起部の形態は、突起部53のように、弾性体51のZ方向と平行となるように折り曲げた形態に限定されるものではない。図17(a)は、振動体50の第1の変形例に係る振動体60の概略構成を示す斜視図であり、図17(b)は、振動体50の第2の変形例に係る振動体70の概略構成を示す斜視図である。振動体60,70において、振動体50と共通する構成要素については、同じ名称及び同じ符号を用いて、ここでの重複する説明を省略する。
振動体60は、弾性体51と一体的に形成され、X方向から見たときに略Z型の形状とされた突起部63を有しており、突起部63の上端面(Z方向と略直交する面)が接触体との接触部64となっている。振動体70は、弾性体51と一体的に形成され、X方向から見たときに略C型の形状とされた突起部73を有しており、突起部73の上端面が接触体との接触部74となっている。突起部63,73はそれぞれ、少なくとも一部がZ方向から見たときに圧電素子12と重複しないように形成される。突起部63,73には、接触体からの加圧力が作用するZ方向におけるばね性の調整が容易であり、また、接触体との接触面積の調整も容易であるという特徴がある。これにより、接触体に対する安定した駆動特性を得ることができると共に、耐久性を向上させることが可能となる。
図18(a)は、振動体50の第3の変形例に係る振動体80Aの概略構成を示す斜視図である。振動体80Aは、突出部58を曲げて突起部53が形成された弾性体51(図16参照)と同様に、突出部を曲げて突起部83が形成され、突起部83の上端面が接触体との接触部84となっている弾性体81を有する。そして、振動体80Aでは、弾性体81において突起部83が突出している側の面上に、圧電素子12が接合されている。振動体80Aでも、振動体50と同様の効果が得られ、また、圧電素子12が弾性体81の突起部83側に設けられているため、振動体50と比較して、更に省スペース化を図ることができる。
図18(b)は、振動体50の第4の変形例に係る振動体80Bの概略構成を示す斜視図である。振動体80Bは、弾性体11と、圧電素子12と、2つの突起部87と1つの接触部88が一体的に曲げ加工等によって形成された部材とを有し、この部材は弾性体11の面上に溶接されている。振動体80Bでは、モードA,Bの2つの曲げ振動モードの振動を弾性体11に励起したときに2つの突起部87で生じる振動変位は同一であるため、接触部88に安定した楕円運動を生じさせることができる。このとき、接触体と接触部88の接触面積が十分に大きくなるため、接触部88での面圧を低下させて、耐久性を向上させることが可能となる。また、2つの突起部87には、加圧方向に対する所望のばね定数を形状によって設定することができる。更に、駆動方向(X方向)における接触部88の幅を短くすることにより、接触体に対する所定の加圧力に対して面圧を維持することができると共に、駆動方向での楕円運動のバラつきを小さくすることができる。これにより、摩擦駆動力の伝達ロスを小さく抑えることができ、安定した駆動特性を得ることが可能となる。
上記のいずれの実施形態であっても、弾性体に設けられる突起部には、接触部における駆動方向の振動の振幅を拡大させると共に、形状を工夫することによって加圧力に対して所望のばね定数を与えることができる。また、接触部は、接触体に駆動力を伝達すると共に、配置によって加圧力に対する振動体の姿勢を決めるものである。そのため、突起部や接触部の形状は、上述した内容に基づいて、所望する特性が得られるように、適宜、設定することができる。
<第6実施形態>
第6実施形態では、第1実施形態で説明した振動体10を備える電子機器の一例として、X−Yステージを備える顕微鏡の構成について説明する。図19は、顕微鏡400の外観斜視図である。顕微鏡400は、撮像素子と光学系を内蔵する撮像部410と、基台上に設けられ、少なくとも2つの振動体10によりX−Y面内で移動される接触体としてのステージ420を有するステージ装置の一例である自動ステージ430を有する。少なくとも1つの振動体10は、ステージ420のX方向駆動に用いられ、振動体10のX方向がステージ420のX方向と一致するように配置される。また、少なくとも1つの振動体10は、ステージ420のY方向駆動に用いられ、振動体10のX方向がステージ420のY方向と一致するように配置される。振動体10の駆動方法については、説明済みであるため、ここでの説明を省略する。
被観察物をステージ420の上面にセットし、拡大画像を撮像部410で撮影する。観察範囲が広範囲にある場合には、2つの振動体10の駆動を制御することによってステージ420をXY面内の所望の方向に移動させて位置決めし、被観察物を撮影する。こうして多数の画像を撮影し、撮影画像を不図示のコンピュータ等で画像処理により結合させることにより、観察範囲が広範囲で高精細な1枚の画像を取得することができる。
<第7実施形態>
第7実施形態では、第1実施形態で説明した振動体10を備える電子機器の一例としての撮像装置について説明する。図20(a)は、撮像装置700の概略構成を示す上面図である。撮像装置700は、撮像素子710及び電源ボタン720を搭載したカメラ本体730を備える。また、撮像装置700は、第1レンズ群(不図示)、第2レンズ群320、第3レンズ群(不図示)、第4レンズ群340、振動型駆動装置620,640を有するレンズ鏡筒740を備える。レンズ鏡筒740は、交換レンズとして取り換え可能であり、撮影対象に合わせて適したレンズ鏡筒740をカメラ本体730に取り付けることができる。撮像装置700では、2つの振動型駆動装置620,640によってそれぞれ、第2レンズ群320,第4レンズ群340の駆動が行われる。
振動型駆動装置620は、第1実施形態で説明した振動体10と、円環状の接触体と、振動体10の圧電素子12に駆動信号を印加する駆動回路を有する。接触体は、ラジアル方向が光軸と略直交するように、レンズ鏡筒740内に配置される。接触体は、レンズ鏡筒740内に配置された状態で、光軸と略直交する摺動面を有する。例えば、3つの振動体10が、それぞれの接触部14が接触体の摺動面と加圧接触し、光軸を中心とする円の接線方向に接触体に対して摩擦駆動力(推力)を与えるように、光軸を中心とする円周上に等間隔で円環状の基台に固定される。なお、振動体10の駆動方法については、説明済みであるため、ここでの説明を省略する。このような構成により、振動型駆動装置620では、接触体を光軸回りに回転させ、不図示のギア等を介して接触体の回転出力を光軸方向での直進運動に変換することによって、第2レンズ群320を光軸方向に移動させる。振動型駆動装置640は、振動型駆動装置620と同様の構成を有することにより、第4レンズ群340を光軸方向に移動させる。
図20(b)は、撮像装置700の概略構成を示すブロック図である。第1レンズ群310、第2レンズ群320、第3レンズ群330、第4レンズ群340及び光量調節ユニット350が、レンズ鏡筒740内部の光軸上の所定位置に配置される。第1レンズ群310〜第4レンズ群340と光量調節ユニット350とを通過した光は、撮像素子710に結像する。撮像素子710は、光学像を電気信号に変換して出力し、その出力は、カメラ処理回路750へ送られる。
カメラ処理回路750は、撮像素子710からの出力信号に対して増幅やガンマ補正等を施す。カメラ処理回路750は、AEゲート755を介してCPU790に接続されると共に、AFゲート760とAF信号処理回路765とを介してCPU790に接続されている。カメラ処理回路750において所定の処理が施された映像信号は、AEゲート755と、AFゲート760及びAF信号処理回路765を通じてCPU790へ送られる。なお、AF信号処理回路765は、映像信号の高周波成分を抽出して、オートフォーカス(AF)のための評価値信号を生成し、生成した評価値をCPU790へ供給する。
CPU790は、撮像装置700の全体的な動作を制御する制御回路であり、取得した映像信号から、露出決定やピント合わせのための制御信号を生成する。CPU790は、決定した露出と適切なフォーカス状態が得られるように、振動型駆動装置620,640及びメータ630の駆動を制御することによって、第2レンズ群320、第4レンズ群340及び光量調節ユニット350の光軸方向位置を調整する。CPU790による制御下において、振動型駆動装置620は第2レンズ群320を光軸方向に移動させ、振動型駆動装置640は第4レンズ群340を光軸方向に移動させ、光量調節ユニット350はメータ630により駆動制御される。
振動型駆動装置620により駆動される第2レンズ群320の光軸方向位置は第1リニアエンコーダ770により検出され、検出結果がCPU790に通知されることで、振動型駆動装置620の駆動にフィードバックされる。同様に、振動型駆動装置640により駆動される第4レンズ群340の光軸方向位置は第2リニアエンコーダ775により検出され、検出結果がCPU790に通知されることで、振動型駆動装置640の駆動にフィードバックされる。光量調節ユニット350の光軸方向位置は、絞りエンコーダ780により検出され、検出結果がCPU790へ通知されることで、メータ630の駆動にフィードバックされる。
撮像装置700の所定のレンズ群を光軸方向に移動させる用途に振動型アクチュエータを用いた場合、レンズ群を停止させた状態でも大きな保持力が維持される。これにより、レンズ鏡筒や撮像装置本体に外力が作用しても、レンズ群にずれが生じることを抑制することができる。
ここでは、円環状の接触体を有する振動型駆動装置620,640を用いてレンズ群を光軸方向に移動させる例について説明したが、振動型アクチュエータ(振動体)を用いてレンズ群を光軸方向に移動させる構成は、これに限られない。例えば、振動体10は接触体2を直線的に駆動することができる。よって、レンズを保持した保持部材を接触体に取り付け、レンズの光軸方向と接触体の駆動方向とが略平行となる構成とすることによって、レンズ群を光軸方向に移動させて、レンズ群を位置決めすることができる。また、レンズ鏡筒に手ぶれ補正用レンズが内蔵される場合に、手ぶれ補正用レンズを光軸と略直交する面内の任意の方向に移動させる手ぶれ補正ユニットに、振動体10を用いることができる。その場合、光軸方向と略直交する面内において直交する2方向にレンズ保持部材を移動させることができるように、レンズ保持部材を駆動する1又は複数の振動体10を配置する。手ぶれ補正ユニットは、手ぶれ補正用レンズを駆動する構成に代えて、撮像装置の本体に内蔵される撮像素子710を光軸と直交する面内の任意の方向に移動させる構成としてもよい。
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
上記実施形態では、振動体10を用いた電子機器として、顕微鏡400と撮像装置700を取り上げたが、振動体10は、その他の電子機器への適用が可能である。例えば、撮像装置700では、振動体10を用いて回転駆動力を取り出す構成とした。このような振動体10を用いた回転駆動力は、例えば、画像形成装置の感光ドラム等の駆動や多関節ロボットにおけるアームの回転駆動等に適用することができる。
1,1A 振動型アクチュエータ
2 被駆動体(接触体)
10,20,30,40,50,60,70,80A,80B 振動体
11,51 弾性体
12 圧電素子
13,23,33,43,53,63,73,83,87 突起部
14,24,34,44,54,64,74,84,88 接触部
15 フレキシブルプリント基板(FPC)
58 突出部
400 顕微鏡
700 撮像装置

Claims (16)

  1. 板状の弾性体と、
    前記弾性体の一方の面に接合される電気−機械エネルギ変換素子と、
    前記弾性体に設けられた少なくとも1つの突起部と、を有する振動体と、
    前記突起部の先端で前記振動体と加圧接触する接触体とを備える振動型アクチュエータであって、
    前記振動体には、互いに交わらずに前記弾性体の短辺と交わる2本の節線を有し、且つ、前記弾性体の2つの長辺を結ぶ節線を有さない第1の曲げ振動モードの振動と、前記弾性体の短手方向に前記弾性体の平板平面を2分割し、前記弾性体の長手方向に前記弾性体の平板平面を3分割した合計6つの領域において、それぞれの領域内に前記弾性体の平板平面の面外方向の振動における振幅極大が存在し、隣り合う領域において前記振幅極大における振動が逆位相となる第2の曲げ振動モードの振動の励起が可能であり、
    前記第1の曲げ振動モードの振動と前記第2の曲げ振動モードの振動を組み合わせた駆動振動により、前記弾性体の長手方向と直交する面内で前記突起部の先端に楕円運動を生じさせて、前記振動体と前記接触体を前記弾性体の短手方向で相対的に移動させることを特徴とする振動型アクチュエータ。
  2. 前記第1の曲げ振動モードが有する2本の節線は、
    前記弾性体の有する2つの長辺のうち少なくとも1つの長辺とは交わらないことを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
  3. 前記第1の曲げ振動モードが有する2本の節線は、
    前記弾性体の有する2つの長辺とは交わらないことを特徴とする請求項1又は2に記載の振動型アクチュエータ。
  4. 前記第2の曲げ振動モードは、
    互いに交わらずに前記弾性体の長辺と交わる2本の節線と前記弾性体の短辺と交わる1本の節線とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  5. 前記第2の曲げ振動モードが有する前記2本の節線は、
    前記弾性体の2つの短辺と交わらないことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  6. 前記弾性体の長辺と交わる前記第2の曲げ振動モードの2本の節線は、前記弾性体の短辺と交わらないことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  7. 前記振動体は、前記突起部を1つ有し、
    前記接触体から前記振動体へ作用する加圧力の加圧方向から見たときに、1つの前記突起部の先端の任意の点と前記振動体の重心とが一致するように、1つの前記突起部が前記弾性体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  8. 1つの前記突起部は、前記弾性体の中央部に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の振動型アクチュエータ。
  9. 前記振動体は、前記突起部を2つ有し、
    前記接触体から前記振動体へ作用する加圧力の加圧方向から見たときに、2つの前記突起部のそれぞれの先端の任意の点を結ぶ直線上に前記振動体の重心があるように、2つの前記突起部が前記弾性体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  10. 2つの前記突起部は、前記弾性体の短辺近傍で、前記弾性体の短辺と交わる前記第2の曲げ振動モードの1本の節線の近傍に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の振動型アクチュエータ。
  11. 2つの前記突起部は、前記弾性体の短辺と交わる前記第1の曲げ振動モードの2本の節線の近傍で、前記弾性体の長辺と交わる前記第2の曲げ振動モードの2本の節線の中間部に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の振動型アクチュエータ。
  12. 前記振動体は、前記弾性体の短辺近傍に設けられた少なくとも3つの前記突起部を有し、
    前記接触体から前記振動体へ作用する加圧力の加圧方向から見たときに、少なくとも3つの前記少なくとも3つの突起部のそれぞれの先端の任意の点を結ぶ領域内に前記振動体の重心があるように、少なくとも3つの前記突起部が前記弾性体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  13. 4つの前記突起部が、前記弾性体の短辺近傍で、前記弾性体の短辺と交わる前記第1の曲げ振動モードの2本の節線の近傍に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の振動型アクチュエータ。
  14. 前記突起部は、前記弾性体の厚み方向から見たときに、前記突起部の少なくとも一部は前記電気−機械エネルギ変換素子と重複しないように前記弾性体に設けられていることを特徴とする請求項10又は13に記載の振動型アクチュエータ。
  15. 前記突起部は、前記弾性体と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  16. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータと、
    前記振動型アクチュエータを構成する振動体と接触体のうち前記振動型アクチュエータの駆動によって移動する方に接合されて、前記振動型アクチュエータの駆動によって所定の位置に移動して位置決めされる部材と、を備えることを特徴とする電子機器。
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