JP3752997B2 - 切屑飛散防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切屑飛散防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
切削加工で発生する切屑は非常に広範囲に飛散し、これらの切屑を広範囲にわたって清掃しなければならなかった。そのため、切削加工機全体がカバーで覆われた切屑飛散防止装置が提案されているが、このような装置を用いた場合、カバーが大きいために依然として広範囲に切屑が飛散してしまうという欠点の他に、加工液を使用せずに加工する場合には、切屑がカバー内のスライド部等の段差部に切屑が堆積するので、カバーを開けて内部の清掃をするために頻繁に切削加工を中止しなければならないという欠点があった。
【0003】
また、図3に示すように、工具7の上方を覆ったカバーが工具台もしくは工具に取り付けられた切屑飛散防止装置1を使用すると、切刃先端から上方に飛散した切屑をカバーの内面に衝突させることにより切屑を下方に落下させることができるが、水平方向に飛散した切屑や加工液は、広範囲に飛散してしまう。また、工具7の切刃部であるチップ8を交換する場合には、ボルト18を緩めてカバーを取り外さなければならず、容易にチップを交換することができないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、切削加工で発生する切屑を飛散させず、かつ容易に工具のチップを交換することができる切屑飛散防止装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された切屑飛散防止装置を提供するものである。
【0006】
請求項1の切屑飛散防止装置は、切削加工機の工具台に固定可能な基部と、基部に固定可能に支持された中間体と、中間体に移動可能に支持され、かつ固定手段によって選択的に前記中間体に固定されうる、被加工物側に開口を有するカバー部と、中間体と該カバー部の間に配設された弾性体とを備え、カバー部は、中間体に固定されている場合には、切削加工時にカバー部の開口が被加工物を固定した切削加工機の主軸を覆う主軸カバーと当接することによって、工具先端と被加工物の間の加工部を覆い、中間体に対して移動可能にされた場合には、工具台とカバー部の開口部を接近させることができるように構成されている。
【0007】
このような構成により、切削加工時には、中間体を基部と工具台に固定することによって、カバー部で加工部を包囲することができるので、切屑の飛散を防止でき、工具交換時には、中間体を基部と工具台に関して移動可能にすることによって、カバー部の開口から工具先端を突出させ、容易に工具のチップを交換することができる。
【0008】
請求項2の切屑飛散防止装置は、カバー部が主軸カバー上で切り込み方向に移動できるように、切り込み方向に回転可能なローラがカバー部の外面に支持されている。
【0009】
このような構成により、切り込み方向に切削加工する場合にも確実に加工部を閉鎖させることができ、切屑の飛散を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例の切屑飛散防止装置を示す。本発明の切屑飛散防止装置は、全体的に1で示されている。切屑飛散防止装置1は、工具台6に固定されて共に移動可能な基部2と、基部2と工具台6の間に取り付けられている中間体3と、発生する切屑を下方に落下させるために工具7と被加工物20の加工部を覆うカバー部4とで構成されている。
【0011】
図1に示すように、基部2は、中間体3を介して工具台6に支持されている。図2に示すように、基部2には、固定ボルト18aと位置決めボルト18bを通す案内溝21が設けられている。この案内溝21を通して固定ボルト18aと位置決めボルト18bの各々を工具台6のねじ穴6aとねじ穴6bのそれぞれに締め付けることによって基部2が工具台6に固定される。したがって、基部2は、工具台6の送り方向及び切り込み方向の移動に従って移動することができる。
【0012】
図1に示すように、中間体3は、基部2と工具台6の間に配置されている。中間体3には、固定ボルト18aと位置決めボルト18bを受容するための案内溝(図示せず)が設けられている。中間体3のこの案内溝と基部2の案内溝21を通して位置決めボルト18bを締め付けることによって、中間体3は基部2及び工具台6に固定される。こうして、中間体3は、工具台6の送り方向及び切り込み方向の移動に従って移動することができる。また、位置決めボルト18bを緩めることによって、中間体3は基部2に関して切削加工機10の主軸方向に移動可能となり、それゆえ、中間体3に移動可能に支持されているカバー部4の移動可能な範囲が広くなる。したがって、工具7のチップ8を交換するために、位置決めボルト18bを緩め、中間体3とカバー部4を主軸と反対の方向(図2において矢印Bの方向)に移動させ、カバー部4から工具7の先端を突出させることができる。一方、工具7は、工具台6のねじ部6a、6bを通して2本のボルト18a、18bをスペーサ17に押圧することにより、工具台6に固定することができる。
【0013】
図1に示すように、カバー部4は全体的に閉鎖した構造となっており、カバー部4内で発生した切屑を落下させるために、カバー部4の底面は開放している。また、カバー部4の被加工物側の側面には、カバー部4が切り込み方向に移動した時にもカバー部4が被加工物20と当接しないような寸法の開口が設けられている。また、工具側を覆うために、カバー部4の工具側の側面には、工具台6の形状に適合した形状の開口が設けられている。主軸案内板16上でカバー部4が切り込み方向に移動することができるように、カバー部4の外側には切り込み方向に回転可能なローラ14が設けられている。
【0014】
カバー部4の内面に接続されたカバー保持具12が基部2上で移動可能に支持されている。カバー部保持具12の側面には、中間体3に一端を保持されたばね5の他端が接続されており、カバー部4は、工具7を包囲した状態で基部2に対して被加工物側に付勢されている。このばね5をガイドするために、棒状の案内具13がばね5の中に挿入されており、案内具13の一端はカバー保持具12に接続され、案内具13の他端は中間体3に設けられている案内具受容通路11の中に収納されている。
【0015】
切削加工中に工具台7がカバー部4と共に被加工物20に向けて移動すると、カバー部4は、主軸9を囲む主軸カバー15に連接された主軸案内板16と接触する。さらに工具7が被加工物20に向けて移動すると、ばね5が圧縮され、カバー部4と主軸案内板16が当接してカバー部4は下方のみが開放された状態となる。工具7が被加工物20の切り込み方向に移動する場合にも、カバー部4に設けたローラ14が主軸案内板16上で回転してカバー部4と主軸案内板16が当接した状態を保つので、カバー部が下方のみが開放された状態を保っている。以上のようにカバー部4が閉鎖されているので、切削加工を行う際には、発生する切屑をカバー部4の内面に衝突させてカバー部4の下方に落下させることができる。
【0016】
次に、以上の記載によって構成された切屑飛散防止装置1を用いて工具7のチップ8を交換する手順について説明する。最初に、被加工物20から工具台6を離し、切削加工機10の主軸9の回転を停止させる。次に、固定ボルト18aを締めた状態で工具7を工具台6に固定したまま、位置決めボルト18bだけを緩めることによって、中間体3を案内溝の長手方向、すなわち主軸方向に移動可能な状態とし、中間体3とカバー部4を主軸から離れる方向(矢印Bの方向)に手で移動させることによって、工具7の先端のチップ8がカバー部4の開口から突出した状態とする。この状態で、作業者は工具7の先端のチップ8を交換する。チップ交換後には、中間体3を主軸方向(矢印Bの反対方向)に手で移動させ、位置決めボルト18bを所定位置で締めることにより、中間体3を基部2と工具6に固定させる。
【0017】
次に切削加工手順について説明する。工具7を被加工物20に向けて移動させる時、カバー部4のローラ14で主軸カバー15と接触させ、カバー部4を下方のみが開放した状態にする。さらに工具7を送り方向(図1において矢印Aの方向)に又は切り込み方向に移動させることにより、切削加工を行うことができ、この時に発生した切屑は、直接的に落下するか、あるいはカバー部4の内面に衝突した後にカバー部の下方に落下する。このように切屑を特定の場所に集中して配置することができる。
【0018】
本発明の切屑飛散防止装置は、任意の切削加工において適用できるが、特に、加工液を使用しないドライ切削において工具を冷却するためのエアや、霧の形態の加工液を含んだエアを加工部に向けて噴射する際に切屑が飛散する場合でも、下方のみが開放した閉鎖構造となっている本発明のカバー部を使用することにより、切屑や液体等を特定の場所に集中して配置することができる。
【0019】
主軸案内板16は、主軸カバー15の上部を延長させることにより、主軸カバーに組み込んでもよい。また、本実施例では、基部2と中間体3と工具台6を固定するためのボルトは2本であるが3本以上でもよい。また、本実施例では、図1に示すように工具は主軸方向に延びているが、工具を主軸と直角に向けた場合でも本発明の切屑飛散防止装置1を使用することができる。当然、本実施例で説明したばね5と異なる付勢手段を採用しても本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の切屑飛散防止装置の部分断面図である。
【図2】切屑飛散防止装置の基部の上面図である。
【図3】従来の切屑飛散防止装置の斜視図である。
【符号の説明】
1…切屑飛散防止装置
2…基部
3…中間体
4…カバー部
5…弾性体
6…工具台
7…工具
15…主軸カバー

Claims (2)

  1. 切削加工機の工具台に固定可能な基部と、
    該基部に固定可能に支持された中間体と、
    該中間体に移動可能に支持され、かつ固定手段によって選択的に前記中間体に固定されうる、被加工物側に開口を有するカバー部と、
    前記中間体と該カバー部の間に配設された弾性体とを備え、
    前記カバー部は、前記中間体に固定されている場合には、切削加工時にカバー部の開口が被加工物を固定した切削加工機の主軸を覆う主軸カバーと当接することによって、工具先端と被加工物の間の加工部を覆い、前記中間体に対して移動可能にされた場合には、前記工具台と前記カバー部の開口部を接近させることができるように構成されていることを特徴とする切屑飛散防止装置。
  2. カバー部が主軸カバー上で切り込み方向に移動できるように、切り込み方向に回転可能なローラがカバー部の外面に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の切屑飛散防止装置。
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