以下、本発明に従って構成された切削ブレードの交換装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明に従って構成された切削ブレードの交換装置を装備した切削装置の要部斜視図が示されている。
図1に示された切削装置は、静止基台2を具備している。この静止基台2上には、被加工物を保持し矢印Xで示す切削送り方向に移動せしめるチャックテーブル機構3が配設されている。
図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、静止基台2の上面に配設された第1の案内レール31aと第2の案内レール31bを備えている。この第1の案内レール31aと第2の案内レール31bは、それぞれ一対のレール部材311、311とからなっており、図において矢印Xで示す切削送り方向に沿って互いに平行に延設されている。この第1の案内レール31aと第2の案内レール31b上には、それぞれ第1の支持基台32aと第2の支持基台32bが第1の案内レール31aと第2の案内レール31bに沿って移動可能に配設されている。即ち、第1の支持基台32aと第2の支持基台32bにはそれぞれ被案内溝321、321が設けられており、この被案内溝321、321を第1の案内レール31aと第2の案内レール31bを構成する一対のレール部材311、311に嵌合することにより、第1の支持基台32aと第2の支持基台32bは第1の案内レール31aと第2の案内レール31bに沿って移動可能に構成される。
第1の支持基台32aと第2の支持基台32b上にはそれぞれ第1の円筒部材33aと第2の円筒部材33bが配設され、この第1の円筒部材33aと第2の円筒部材33bの上端にそれぞれ第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bが回転可能に配設されている。この第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bは多孔質セラミッックスの如き適宜の多孔性材料から構成されており、図示しない吸引手段に接続されている。従って、第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bを図示しない吸引手段によって吸引源に選択的に連通することにより、載置面341、341上に載置された被加工物を吸引保持する。また、第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bは、それぞれ第1の円筒部材33aと第2の円筒部材33b内に配設されたパルスモータ(図示せず)によって適宜回動せしめられるようになっている。なお、第1の円筒部材33aと第2の円筒部材33bの上端部には、それぞれ第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bを挿通する穴を有しそれぞれ上記第1の支持基台32aと第2の支持基台32bを覆う第1のカバー部材35aと第2のカバー部材35bが配設されている。この第1のカバー部材35aと第2のカバー部材35bの上面には、それぞれ後述する切削ブレードの位置を検出するための第1のブレード検出手段36aと第2のブレード検出手段36bが配設されている。
図1に基づいて説明を続けると、図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bをそれぞれ第1の案内レール31aと第2の案内レール31bに沿って図1において矢印Xで示す切削送り方向に移動させるための第1の切削送り手段37aと第2の切削送り手段37bを備えている。第1の切削送り手段37aと第2の切削送り手段37bは、それぞれ第1の案内レール31aと第2の案内レール31bを構成する一対のレール部材311、311の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、雄ネジロッド371の一端部を回転可能に支持する軸受372と、雄ネジロッド371の他端に連結され該雄ネジロッド371を正転または逆転駆動するパルスモータ373とからなっている。このように構成された第1の切削送り手段37aと第2の切削送り手段37bは、それぞれ雄ネジロッド371が上記第1の支持基台32aと第2の支持基台32bに形成された雌ネジ322に螺合される。従って、第1の切削送り手段37aと第2の切削送り手段37bは、それぞれパルスモータ373を駆動して雄ネジロッド371を正転または逆転駆動することにより、上記第1の支持基台32aと第2の支持基台32bに配設された第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bをそれぞれ第1の案内レール31aと第2の案内レール31bに沿って図1において矢印Xで示す切削送り方向に移動することができる。
図示の実施形態における切削装置は、上記第1の案内レール31aと第2の案内レール31bを跨いで配設された門型の支持フレーム4を備えている。この門型の支持フレーム4は、第1の案内レール31aの側方に配設された第1の柱部41と、第2の案内レール31bの側方に配設された第2の柱部42と、第1の柱部41と第2の柱部42の上端を連結し矢印Xで示す切削送り方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って配設された支持部43とからなり、中央部には上記第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bの移動を許容する開口44が設けられている。第1の柱部41と第2の柱部42の上端部はそれぞれ幅広に形成されており、この上端部にはそれぞれ後述する切削手段のスピンドルユニットの移動を許容する開口411と421が設けられている。上記支持部43の一方の面には矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って一対の案内レール431、431が設けられており、他方の面には図3に示すように紙面に垂直な方向(図1において(矢印Yで示す割り出し送り方向)に沿って一対の案内レール432、432が設けられている。
図示の実施形態における切削装置は、上記門型の支持フレーム4の支持部43に設けられた一対の案内レール431、431に沿って移動可能に配設された第1のアライメント手段5aと第2のアライメント手段5bを備えている。第1のアライメント手段5aと第2のアライメント手段5bは、それぞれ移動ブロック51と、該移動ブロック51を一対の案内レール431、431に沿って移動するための移動手段52、52と、移動ブロック51に装着された撮像手段53、53とからなっている。移動ブロック51、51にはそれぞれ上記一対の案内レール431、431と嵌合する被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を一対の案内レール431、431に嵌合することにより、移動ブロック51、51は一対の案内レール431、431に沿って移動可能に構成される。
移動手段52、52は、それぞれ一対の案内レール431、431の間に平行に配設された雄ネジロッド521と、雄ネジロッド521の一端部を回転可能に支持する軸受522と、雄ネジロッド521の他端に連結され該雄ネジロッド521を正転または逆転駆動するパルスモータ523とからなっている。このように構成された移動手段52、52は、それぞれ雄ネジロッド521が上記移動ブロック51、51に形成された雌ネジ512に螺合される。従って、移動手段52、52は、それぞれパルスモータ523を駆動して雄ネジロッド521を正転または逆転駆動することにより、移動ブロック51、51を一対の案内レール431、431に沿って図2において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動することができる。
上記移動ブロック51、51にそれぞれ装着された撮像手段53、53は、それぞれ撮像素子(CCD)を備えており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
上記門型の支持フレーム4を構成する支持部43の他方の面(上記第1のアライメント手段5aと第2のアライメント手段5bが配設された面と反対側の面)には、第1の切削手段6aと第2の切削手段6bが配設されている。第1の切削手段6aと第2の切削手段6bについて、図2および図3を参照して説明する。第1の切削手段6aと第2の切削手段6bは、それぞれ割り出し移動基台61と切り込み移動基台62およびスピンドルユニット63を具備している。割り出し移動基台61は、一方の面に上記支持部43の他方の面に設けられた一対の案内レール432、432と嵌合する被案内溝611、611が設けられており、この被案内溝611、611を一対の案内レール432、432に嵌合することにより、割り出し移動基台61は一対の案内レール432、432に沿って移動可能に構成される。また、割り出し移動基台61の他方の面には、図3に示すように矢印Zで示す切り込み送り方向(第1のチャックテーブル34aと第2のチャックテーブル34bの載置面341に垂直な方向)に沿って一対の案内レール612、612(図3には一方の案内レールのみが示されている)が設けられている。なお、割り出し移動基台61、61の一方の面には、後述する割り出し送り手段の雄ネジロッドの挿通を許容する逃げ溝613、613が上下方向に段差を設けて設けられている。
上記切り込み移動基台62は、上下方向に延びる被支持部621と、該被支持部621の下端から直角に水平に延びる装着部622とからなっている。図2に示すように被支持部621における装着部622側の面には上記割り出し移動基台61の他方の面に設けられた一対の案内レール612、612と嵌合する被案内溝623、623(図3には一方の被案内溝のみが示されている)が設けられており、この被案内溝623、623を一対の案内レール612、612に嵌合することにより、切り込み移動基台62は一対の案内レール612、612に沿って矢印Zで示す切り込み送り方向に移動可能に構成される。このようにして割り出し移動基台61に装着された切り込み移動基台62は、図1に示すように装着部622が門型の支持フレーム4の上記割り出し移動基台61が装着された他方の面側から開口44を通して上記第1のアライメント手段5aと第2のアライメント手段5bが装着された一方の面側に突出して配置される。
上記スピンドルユニット63は、第1の切削手段6aと第2の切削手段6bの切り込み移動基台62を形成する装着部622の下面にそれぞれ装着されている。このスピンドルユニット63は、それぞれ図4に示すようにスピンドルハウジング631と、該スピンドルハウジング631に回転可能に支持され図示しないサーボモータによって回転せしめられる回転スピンドル632と、該回転スピンドル632の先端部に装着されたブレード装着部材633と、回転スピンドル632の先端部に設けられた図示しない雄ネジと螺合しブレード装着部材633を固定する固定ナット634と、ブレード装着部材633に装着される切削ブレード635と、該切削ブレード635をブレード装着部材633との間で挟持固定するための締結ナット638とを具備している。
ブレード装着部材633は、円筒状の装着部633aと、該装着部633aの一端に設けられたフランジ部633bとを具備しており、装着部633aの他端部(先端部)に雄ネジ633cが形成されている。なお、回転スピンドル632の先端面には、軸心に係合凹部632aが形成されている。
切削ブレード635は、アルミニウム等の金属材によって形成され中央部に嵌合穴636aを備えた環状のハブ636と、該環状のハブ636の一方の側面に砥粒をニッケルメッキによって固定し、環状のハブ636の外周部をエッチングにより除去して切れ刃となる砥石ブレード637を突出させた電鋳砥石ブレードからなっている。なお、環状のハブ636の側面には環状の被把持部636bが突出して形成されている。この被把持部636bの外周面には、後述するブレード交換装置を構成する切削ブレード把持手段の把持爪が係合する環状溝636cが形成されている、このように構成された切削ブレード635は、環状のハブ636の嵌合穴636aをブレード装着部材633の円筒状の装着部633aに嵌合する。そして、締結ナット638を円筒状の装着部633aに形成された雄ネジ633cに螺合することにより、切削ブレード635はブレード装着部材633のフランジ部633bと締結ナット638によって挟持固定される。なお、締結ナット638の側面には、後述するブレード交換装置を構成する締結ナット着脱手段の回動ピンが嵌合する4個のピン嵌合穴638aがそれぞれ90度の位相をもって設けられている。また、締結ナット638の外周面には、後述するブレード交換装置を構成する締結ナット着脱手段のナット把持爪が係合する環状溝638bが形成されている。
なお、第1の切削手段6aの回転スピンドル632と第2の切削手段6bの回転スピンドル632は、図2に示すように軸線方向が矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って配設されている。そして、第1の切削手段6aの回転スピンドル632に装着される切削ブレード635と第2の切削手段6bの回転スピンドル632に装着される切削ブレード635は、互いに対向して配設されている。
また、図示の実施形態におけるスピンドルユニット63は、図5に示すように上記スピンドルハウジング631を覆うスピンドルカバー64と、該スピンドルカバー64の先端に装着され上記切削ブレード635を覆うブレードカバー65を備えている。ブレードカバー65は、スピンドルカバー64の先端に装着された第1のカバー部材651と、該第1のカバー部材651の前面に装着され側方に移動可能に配設された第2のカバー部材652とからなっており、該第2のカバー部材652は図示しないエアーピストン機構によって図5において実線で示す開放位置と、図5において2点鎖線で示す閉止位置に位置付けられる。この第2のカバー部材652は、切削時には図5において2点鎖線で示す閉止位置に位置付けられ、切削ブレードの交換時には図5において実線で示す開放位置に位置付けられる。なお、第1のカバー部材651と第2のカバー部材652には、それぞれ切削水供給ノズル66が配設されている(図5には第2のカバー部材652に配設された切削水供給ノズル66のみが示されている)。この第1のカバー部材651および第2のカバー部材652に配設された切削水供給ノズル66は、図示しない切削水供給手段に接続されている。
図示の実施形態における第1の切削手段6aと第2の切削手段6bは、上記割り出し移動基台61、61を一対の案内レール432、432に沿って図2において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動するための割り出し送り手段64、64を具備している。割り出し送り手段64、64は、それぞれ一対の案内レール432、432の間に平行に配設された雄ネジロッド641と、雄ネジロッド641の一端部を回転可能に支持する軸受642と、雄ネジロッド641の他端に連結され該雄ネジロッド641を正転または逆転駆動するパルスモータ643とからなっている。なお、雄ネジロッド641、641は、上記割り出し移動基台61、61に設けられた逃げ溝613、613とそれぞれ対応する高さ位置に配設されている。このように構成された割り出し送り手段64、64は、それぞれ雄ネジロッド641、641が上記割り出し移動基台61、61に形成された雌ネジ614、614に螺合される。従って、割り出し送り手段64、64は、それぞれパルスモータ643、643を駆動して雄ネジロッド641、641を正転または逆転駆動することにより、割り出し移動基台61、61を一対の案内レール432、432に沿って図1において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動することができる。この割り出し移動基台61、61が移動する際に雄ネジロッド641、641が、割り出し移動基台61、61に設けられた逃げ溝613、613を挿通することにより、割り出し移動基台61、61はその移動が許容される。
また、図示の実施形態における第1の切削手段6aと第2の切削手段6bは、図2および図3に示すように上記切り込み移動基台62、62を一対の案内レール612、612に沿って矢印Zで示す切り込み送り方向に移動するための切り込み送り手段65、65を具備している。切り込み送り手段65、65は、それぞれ一対の案内レール612、612と平行に配設された雄ネジロッド651と、雄ネジロッド651の一端部を回転可能に支持する軸受652と、雄ネジロッド651の他端に連結され該雄ネジロッド651を正転または逆転駆動するパルスモータ653とからなっている。このように構成された切り込み送り手段65、65は、それぞれ雄ネジロッド651が上記切り込み移動基台62の被支持部621に形成された雌ネジ621aに螺合される。従って、切り込み送り手段65、65は、それぞれパルスモータ653を駆動して雄ネジロッド651を正転または逆転駆動することにより、切り込み移動基台62を一対の案内レール612、612に沿って図1および図3において矢印Zで示す切り込み送り方向に移動することができる。
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記回転スピンドル632に装着する切削ブレード635を交換するための切削ブレード交換装置7を具備している。切削ブレード交換装置7は、上記門型の支持フレーム4の後方(第1の切削手段6aと第2の切削手段6bが配設された側)に配置されている。この切削ブレード交換装置7は、上記門型の支持フレーム4の後方両側に配設された第1のブレードラック機構71aおよび第2のブレードラック機構71bと、該第1のブレードラック機構71aと第2のブレードラック機構71bとの間に配設された案内手段74と、該案内手段74に沿って移動せしめられる可動基板75とを具備している。
第1のブレードラック機構71aおよび第2のブレードラック機構71bは、それぞれ上記回転スピンドル632から離隔した位置に上記案内手段74を挟んで対向して配設されている。この第1のブレードラック機構71aおよび第2のブレードラック機構71bは、それぞれ図6および図7に示すようにブレードラック72と、該ブレードラック72を図6に示す作用位置と図7に示す退避位置に位置付けるブレードラック位置付け手段73とからなっている。
上記ブレードラック72について、図8を参照して説明する。
図示の実施形態におけるブレードラック72は、ラック基台721と、該ラック基台721の一方の面に取付けられた第1のブレード収容手段722および第2のブレード収容手段723を備えている。ラック基台721の両端面には、それぞれ2個の被案内ピン721aが設けられている。また、ラック基台721の図8において下側の側面には、後述する移動手段を連結するための連結部721bが設けられている。なお、ラック基台721の他方の面には、錘724が装着されている。
第1のブレード収容手段722は、ラック基台721の一方の面に一端が取付けられた支持軸722aと、該支持軸722aに嵌挿された環状の押圧部材722bと、該押圧部材722bとラック基台721との間に配設された非常に弱いばね力の圧縮コイルスプリング722cとからなっている。なお、支持軸722aの他端面には係合凹部722dが形成されている。また、支持軸722aには、他端部外周面に切削ブレード635が挿入された状態で位置規制する規制手段722eが配設されている。この規制手段722eは、ボールと該ボールを径方向外側に押圧するスプリングとからなっており、ボールに作用する力が所定の値までは規制機能が働くようになっている。従って、上記押圧部材722bは、規制手段722eによって支持軸722aの他端側への移動が規制される。このように構成された第1のブレード収容手段722には、使用前の切削ブレード635のハブ636に設けられた嵌合穴636aが支持軸722aに嵌挿して数個収容される。このとき上記押圧部材722bを圧縮コイルスプリング722cのばね力に抗して後退せしめる。また、上記規制手段722eのボールを後退させて、切削ブレード635を規制手段722eより支持軸722aの一端側に位置付ける。このようにして、支持軸722aに嵌挿された切削ブレード635は、圧縮コイルスプリング722cのばね力によって押圧部材722bを介して規制手段722eに向けて押圧される。従って、圧縮コイルスプリング722cおよび押圧部材722bは、切削ブレード635を規制手段722eに向けて押圧する押圧手段として機能する。
また、第2のブレード収容手段723も上記第1のブレード収容手段722と同様に、ラック基台721の一方の面に一端が取付けられた支持軸723aと、該支持軸723aに嵌挿された環状の押圧部材723bと、該押圧部材723bとラック基台721との間に配設された非常に弱いばね力の圧縮コイルスプリング723cとからなっている。なお、支持軸723aの他端面には係合凹部723dが形成されている。また、支持軸723aには、他端部外周面に上記切削ブレードが挿入された状態で位置規制する規制手段723eが配設されている。この規制手段723eは、ボールと該ボールを径方向外側に押圧するスプリングとからなっており、ボールに作用する力が所定の値までは規制機能が働くようになっている。従って、上記押圧部材723bは、規制手段723eによって支持軸723aの他端側への移動が規制される。このように構成された第2のブレード収容手段723には、使用済みの切削ブレード635のハブ636に設けられた嵌合穴636aが支持軸723aに嵌挿して数個収容される。このとき上記押圧部材723bを圧縮コイルスプリング723cのばね力に抗して後退せしめる。また、上記規制手段723eのボールを後退させて、切削ブレード635を規制手段723eより支持軸723aの一端側に位置付ける。このようにして、支持軸723aに嵌挿された切削ブレード635は、圧縮コイルスプリング723cのばね力によって押圧部材723bを介して規制手段723eに向けて押圧される。従って、圧縮コイルスプリング723cおよび押圧部材723bは、切削ブレード635を規制手段723eに向けて押圧する押圧手段として機能する。
次に、上記ブレードラック位置付け手段73について、図6および図7を参照して説明する。
図示の実施形態におけるブレードラック位置付け手段73は、上記基台2上に所定の間隔を置いて立設された一対の案内レール731、731を備えている。一対の案内レール731、731には、それぞれ案内溝732が設けられている。この案内溝732は、上下方向に形成された第1の案内部732aと、該第1の案内部732aの上端から直角に屈曲する第2の案内部732bとからなっており、第1の案内部732aと第2の案内部732bの接続部732cの内側が円弧状に形成されている。このように形成された案内溝732にラック基台721の両端面にそれぞれ設けられた被案内ピン721aが挿入される。
図示の実施形態におけるブレードラック位置付け手段73は、ラック基台721を一対の案内レール731、731に設けられた案内溝732に沿って移動せしめる移動手段733を備えている。移動手段733は、図示の実施形態においてはエアシリンダからなり、そのピストンロッド733aが上記ラック基台721に設けられた連結部721bに連結されている。この移動手段733は、ラック基台721を図6に示す作用位置と図7に示す退避位置に位置付ける。なお、ラック基台721が図6に示す作用位置に位置付けられると、ラック基台721に取付けられた第1のブレード収容手段722および第2のブレード収容手段723の支持軸722aおよび支持軸723aは、上記回転スピンドル632と平行となる。また、ラック基台721が図7に示す退避位置に位置付けられると、ラック基台721は錘724の作用によって回動し、ラック基台721に取付けられた第1のブレード収容手段722および第2のブレード収容手段723の支持軸722aおよび支持軸723aが上記回転スピンドル632の軸線に対して垂直となる。即ち、ラック基台721が図7に示す退避位置に位置付けられると、第1のブレード収容手段722および第2のブレード収容手段723の支持軸722aおよび支持軸723aは上下方向に向けられる。従って、第1のブレード収容手段722に使用前の切削ブレード635を収容する作業が容易となるともに、後述するように第2のブレード収容手段723に収容された使用済の切削ブレード635を取り出す作業が容易となる。
上記案内手段74は、図9に示すように矩形状の案内板741と、該案内板741の両側に設けられ矢印Xで示す切削送り方向に延びる一対の案内レール742、742を備えている。このように構成された案内手段74は、図示しない固定部材に取付けられている。
上記可動基板75の一端には、図10に示すようにL字状の被案内部材76が取付けられており、この被案内部材76の両側に上記一対の案内レール742、742と係合する一対の被案内レール761、761が設けられている。この一対の被案内レール761、761を上記一対の案内レール742、742と係合することにより、可動基板75は被案内部材76を介して一対の案内レール742、742に沿って移動可能に支持される。なお、被案内部材76の上面には、雌ネジ762aを備えた移動ブロック762が取付けられている。
上記案内手段74を構成する案内板741の下面には、図9に一部を破断して示すように上記可動基板75を一対の案内レール742、742に沿って移動せしめる位置付け手段77が配設されている。この位置付け手段77は、上記一対の被案内レール761、761と平行に配設され上記移動ブロック762の雌ネジ762aと螺合する雄ネジロッド771と、該雄ネジロッド771の一端に連結され案内板741の下面に取付けられたパルスモータ772とからなっている。なお、雄ネジロッド771の他端は、案内板741の下面に取付けられた軸受773によって回転可能に支持されている。このように構成された位置付け手段77は、パルスモータ772を正転または逆転することにより、可動基板75を一対の案内レール742、742に沿って図9において矢印Xで示す方向に移動せしめる。なお、位置付け手段77は、後述する第1の締結ナット着脱機構および第2の締結ナット着脱機構を上記回転スピンドル632の先端面と対向するブレード着脱位置に位置付ける締結ナット着脱機構位置決め手段と、後述する切削ブレード着脱機構を回転スピンドル632の先端面と対向するブレード着脱位置と上記第1のブレードラック機構71aおよび第2のブレードラック機構71bのブレードラック72の第1の収容手段722と対向する使用前ブレード受け取り位置および第2の収容手段723と対向する使用済みブレード収納位置に位置付ける切削ブレード着脱機構手段として機能する。
図10に基づいて説明を続けると、上記可動基板75の上面には、上記スピンドルユニット63の締結ナット638を着脱するための第1の締結ナット着脱機構8aおよび第2の締結ナット着脱機構8bと、切削ブレード635を回転スピンドル632の先端に着脱するための第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bが配設されている。なお、第1の締結ナット着脱機構8aおよび第1の切削ブレード着脱機構9aと第2の締結ナット着脱機構8bおよび第2の切削ブレード着脱機構9bは、可動基板75の上面に線対称で配設されている。第1の締結ナット着脱機構8aおよび第2の締結ナット着脱機構8bは、可動基板75の上面に設けられた案内レール751上に配設され、該案内レール751に沿って移動可能に支持されている。この第1の締結ナット着脱機構8aおよび第2の締結ナット着脱機構8bは、それぞれナット回動手段81とナット把持手段82および移動手段83を具備している。
上記ナット回動手段81について、図10および図11を参照して説明する。
図示の実施形態におけるナット回動手段81は、上記案内レール751上に配設されたモータケース811と、該モータケース811内に配設された電動モータ812と、該電動モータ812の駆動軸812aに連結された回動部材813を具備している。モータケース811の底壁811aには上記案内レール751に係合する被案内溝811bが設けられており、この被案内溝811bを案内レール751に係合することにより、モータケース811は案内レール751に沿って移動可能に支持される。電動モータ812は、図示の実施形態においては正転すると上記締結ナット638を緩める方向に回転し、逆転すると締結ナット638を締め付ける方向に回転するようになっている。
上記回動部材813の図11において右端部には右端面から突出する4個の回動ピン814がそれぞれ90度の位相をもって配設されている。この回動ピン814は基端(図11において左端)に円形状の係合部814aを備えており、この係合部814aが回動部材813の図11において右端部に設けられたシリンダ穴813aに摺動可能に配設されている。シリンダ穴813a内には圧縮スプリング815が配設されており、この圧縮スプリング815によって回動ピン814は図11において右方に移動すべく附勢されている。なお、シリンダ穴813aの図11において右端には、回動ピン814の係合部814aと係合し回動ピン814の右方への移動を規制するストッパー部813bが設けられている。上述した4個の回動ピン814は、上記締結ナット638に設けられた4個のピン嵌合穴638aに嵌合する位置に配設されている。
上記ナット把持手段82は、上記回動部材813の外周にそれぞれ90度の位相をもって配設された4個の把持部材821と、該4個の把持部材821を図11において実線で示す開放位置と2点鎖線で示す把持位置に作動する作動リング822と、該作動リング822を図11において実線で示す後退位置と2点鎖線で示す作用位置に作動せしめるエアシリンダ823とからなっている。把持部材821は、先端(図11において右端)に把持爪821aを備えており、基端部(図11において左端部)が上記回動部材813に支軸824によって揺動可能に支持されている。このように支持された把持部材821と回動部材813との間には圧縮スプリング825が配設されており、この圧縮スプリング825によって把持部材821は把持爪821a側が支軸824を中心として常に径方向外側即ち開放位置に向けて附勢されている。
作動リング822は、図11において左端部に設けられた被案内部822aと、図11において右端部に設けられた作動部822bとを備えており、被案内部822aが回動部材813上を移動可能に支持される。そして、作動リング822の作動部822bは、上記把持部材821に当接するようになっている。上記エアシリンダ823は、上記モータケース811の上壁811cに配設され、そのピストンロッド823aが作動リング822に連結されている。
このように構成されたナット把持手段82は、図11において実線で示す後退位置からエアシリンダ823を作動して作動リング822を2点鎖線で示す作用位置に移動すると、把持部材821を実線で示す開放位置から2点鎖線で示す把持位置に作動せしめる。このように、把持部材821が把持位置に作動せしめられると、把持爪821aが上記締結ナット638の外周面に形成された環状溝638bと係合することができる。
上記移動手段83は、図10に示すように案内レール751と平行に配設されたエアシリンダ831と、該エアシリンダ831のピストンロッド831aと上記モータケース811とを連結する連結部材832とからなっている。エアシリンダ831を作動することにより、連結部材832を介してモータケース811を案内レール751に沿って移動せしめる。
次に、上記第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bについて、図10および図12を参照して説明する。
図示の実施形態における第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bは、可動基板75の上面に設けられた案内レール752上に配設され、該案内レール752に沿って移動可能に支持されている。この第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bは、それぞれ第1の切削ブレード把持手段91aおよび第2の切削ブレード把持手段91bと、該第1の切削ブレード把持手段91aおよび第2の切削ブレード把持手段91bが装着された支持プレート92と、該支持プレート92を回動するパルスモータ93(図12参照)を具備している。
第1の切削ブレード把持手段91aと第2の切削ブレード把持手段91bは、実質的に同一の構成であるので同一部材には同一符号を付して説明する。
第1の切削ブレード把持手段91aと第2の切削ブレード把持手段91bは、上記切削ブレード635のハブ636の外周を把持するための複数(図示の実施形態においては4個)の把持部材911と、該4個の把持部材911を作動する把持部材作動手段912と、4個の把持部材911の中心に配設され上記回転スピンドル632の先端面に形成された係合凹部632aに係合する位置決め手段913を備えている。
4個の把持部材911は、把持部材作動手段912の外周に沿って90度の位相をもって周方向に配設され、先端に把持爪911aを備えている。把持部材作動手段912は、4個の把持部材911をそれぞれ径方向に作動するように構成され、支持プレート92に装着されている。位置決め手段913は、把持部材作動手段912の端面中心に取付けられたロッド913aと、該ロッド913aの先端部に摺動可能に装着され先端が円錐形状に形成された置決め部材913bと、該位置決め部材913bと把持部材作動手段912の端面との間に配設された圧縮スプリング913cとからなっている。なお、位置決め部材913bとロッド913aとの間には、図示の状態から位置決め部材913bがロッド913aから抜け出すのを防止するためのストッパー機構が設けられている。
上述した第1の切削ブレード把持手段91aおよび第2の切削ブレード把持手段91bの支持プレート92の中心には、図12に示すように回動軸921が取付けられている。回転軸921の端面に形成されたネジ部921aを支持プレート92の中心に設けられた穴に挿通し、このネジ部921aにナット922を螺合することにより、回動軸921が支持プレート92に取付けられる。なお、回動軸921と支持プレート92との間には、図示しない相対回転を規制する回転規制機構が配設されている。この回動軸921にパルスモータ93の駆動軸93aが連結されている。パルスモータ93は案内レール752上に配設されたモータケース94内に配設されている。モータケース94の底壁94aには上記案内レール752に係合する被案内溝94bが設けられており、この被案内溝94bを案内レール752に係合することにより、モータケース94は案内レール752に沿って移動可能に支持される。
図示の実施形態における第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bは、図10に示すように上記モータケース94を案内レール752に沿って移動せしめる移動手段95を具備している。この移動手段95は、案内レール752と平行に配設されたエアシリンダ951と、該エアシリンダ951のピストンロッド951aと上記モータケース94とを連結する連結部材952とからなっている。エアシリンダ951を作動することにより、連結部材952を介してモータケース94を案内レール752に沿って移動せしめる。
図示の実施形態における切削ブレード交換装置7を装備した切削装置は以上のように構成されており、以下その作動について主に図1および図2を参照して説明する。
先ず、被加工物の切削加工について説明する。
図示しない被加工物搬送手段によって半導体ウエーハ等の被加工物が第1のチャックテーブル34a上に搬送される。このとき第1のチャックテーブル34aは、図1に示す被加工物着脱位置に位置付けられている。第1のチャックテーブル34a上に載置された被加工物は、図示しない吸引手段を作動することにより、第1のチャックテーブル34a上に吸引保持される(第1の被加工物保持工程)。
上述したように被加工物を吸引保持した第1のチャックテーブル34aは、第1の切削送り手段37aの作動により第1のアライメント手段5aの撮像手段53の直下に位置付ける。第1のチャックテーブル34aが撮像手段53の直下に位置付けたならば、撮像手段53によって第1のチャックテーブル34a上に保持された被加工物の表面が撮像され、被加工物の表面に形成された切削領域が検出される。そして、第1の切削手段6aの割り出し送り手段64および第2の切削手段6bの割り出し送り手段64を作動して、それぞれの切削ブレード635と上記撮像手段53によって検出された切削領域との位置合わせを行うアライメントが実施される(第1のアライメント工程)。
第1のチャックテーブル34a上に保持された被加工物に対して第1のアライメント工程を実施している間に、図示しない被加工物搬送手段によって被加工物が図1に示す被加工物着脱位置に位置付けられている第2のチャックテーブル34b上に搬送される。第2のチャックテーブル34b上に載置された被加工物は、図示しない吸引手段を作動することにより、第2のチャックテーブル34b上に吸引保持される(第2の被加工物保持工程)。
第2のチャックテーブル34b上に被加工物を吸引保持したならば、第2のチャックテーブル34bは第2の切削送り手段37bの作動により第2のアライメント手段5bの撮像手段53の直下に位置付けられる。そして、第2のアライメント手段5bによって第2のチャックテーブル34bに保持された被加工物の切削すべき領域を検出する第2のアライメント工程を実施する。なお、第2のアライメント工程は、上述した第1のアライメント工程と同様に実施する。
一方、上記第1のアライメント工程が終了したならば、第1のチャックテーブル34aを切削領域に移動する。そして、第1の切削手段6aの切削ブレード635と第2の切削手段6bの切削ブレード635を第1のチャックテーブル34aに保持されている被加工物の切削領域に位置付ける。次に、第1の切削手段6aの切削ブレード635と第2の切削手段6bの切削ブレード635を回転しつつ第1のチャックテーブル34aを切削送りすることにより、第1のチャックテーブル34aに保持された被加工物に所定の切削加工を施す(第1の切削工程)。
上述した第1の切削工程が終了したならば、上記第2のアライメント工程が実施された被加工物を保持した第2のチャックテーブル34bを切削領域に移動する。そして、上記第1の切削工程を実施した後に第1の切削手段6aおよび第2の切削手段6bによって上述した第1の切削工程と同様に第2のチャックテーブル34bに保持された被加工物に対して第2の切削工程を実施する。
上述した第1の切削工程が終了した加工済みの被加工物を保持した第1のチャックテーブル34aは、切削領域から被加工物着脱位置に向けて移動せしめられる。ここで、第1のチャックテーブル34a上に保持されている加工済みの被加工物の吸引保持が解除される。そして、加工済みの被加工物は、図示しない被加工物搬送手段によって次工程に搬送される。
以上のようにして、被加工物を次工程に搬送したならば、第1のチャックテーブル34aに次の半導体ウエーハ10を保持する上記第1の被加工物保持工程を実施する。そして、上記第1のアライメント工程、第1の切削工程を順次実施する。
一方、上述した第2の切削工程が実施された加工済みの被加工物を保持した第2のチャックテーブル34bは、切削領域から被加工物着脱位置に向けて移動せしめられる。ここで、第2のチャックテーブル34b上に保持されている加工済みの被加工物の吸引保持が解除される。そして、加工済みの被加工物は、図示しない被加工物搬送手段によって次工程に搬送される。このようにして、加工済みの被加工物を次工程に搬送したならば、第2のチャックテーブル34bに次の被加工物を保持する上記第2の被加工物保持工程を実施する。そして、上記第2のアライメント工程、第2の切削工程を順次実施する。
上述したように第1の切削工程および第2の切削工程を実施することにより、第1の切削手段6aおよび第2の切削手段6bの切削ブレード635の砥石ブレード637は磨耗する。この磨耗が所定量に達すると切削精度が維持されなくなるため、切削ブレード635は所定時間使用したら新しい切削ブレードと交換する必要がある。以下、切削ブレード635の交換作業について、図13乃至図19を参照して説明する。なお、ブレードラック72の第1のブレード収容手段722には複数の使用前の切削ブレード635が収容され、このブレードラック72は図6に示す作用位置に位置付けられている。
先ず、図13に示すように、切削ブレード交換装置7の位置付け手段77を作動して、可動基板75を一対の案内レール742、742に沿って移動し、第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bの第1の切削ブレード把持手段91aを第1ブレードラック機構71aおよび第2のブレードラック機構71bのブレードラック72における使用前の切削ブレード635が収容されている第1のブレード収容手段722と対向する使用前ブレード受け取り位置に位置付ける。次に、移動手段95を作動して第1の切削ブレード把持手段91aを第1のブレード収容手段722に向けて前進させ、位置決め部材913bを第1のブレード収容手段722の支持軸722aの他端面に設けられた係合凹部722dに係合せしめ、支持軸722aの軸心と第1の切削ブレード把持手段91aの位置決め部材913bの軸心とを合致させる。そして、第1の切削ブレード把持手段91aの把持部材作動手段912を作動して4個の把持部材911を径方向内側に作動し、4個の把持部材911の先端に設けられた把持爪911aを切削ブレード635の環状のハブ636に形成された環状溝636cに係合せしめる。この結果、使用前の切削ブレード635は4個の把持部材911によって把持される(使用前切削ブレード把持工程)。
上述した使用前切削ブレード把持工程を実施したならば、移動手段95を作動して第1の切削ブレード把持手段91aを後退させるとともに、位置付け手段77を作動して図14に示すように第1の締結ナット着脱手段8aおよび第2の締結ナット着脱手段8bのナット回動手段81およびナット把持手段82を回転スピンドル632と対向するブレード着脱位置に位置付ける。そして、移動手段83を作動してナット回動手段81およびナット把持手段82を回転スピンドル632に向けて前進せしめる。この結果、回動部材813に配設された4個の回動ピン814が締結ナット638の端面に当接して圧縮スプリング815のスプリング力に抗して後退せしめられる。また、ナット把持手段82のエアシリンダ823を作動して作動リング822を図11において2点鎖線で示す作動位置に移動し、把持部材821を2点鎖線で示す把持位置に作動せしめることにより、把持爪821aを締結ナット638の外周面に形成された環状溝638bと係合する。次に、電動モータ812を正転駆動すると、4個の回動ピン814が締結ナット638に形成された4個のピン嵌合穴638aと合致したとき4個のピン嵌合穴638aに嵌合する。この結果、電動モータ812の正転駆動力は4個の回動ピン814を介して締結ナット638に伝達され、締結ナット638が緩められブレード装着部材633から外される。このようにしてブレード装着部材633から外された締結ナット638は、ナット把持手段82の把持部材821によって把持されている(締結ナット取り外し工程)。なお、締結ナット取り外し工程を実施する際には、図14には省略しているがスピンドルユニット63の第2のカバー部材652は図5において実線で示す開放位置に位置付けられる。なお、締結ナット取り外し工程を実施する際には、図14には省略しているがスピンドルユニット63の第2のカバー部材652は図5において実線で示す開放位置に位置付けられる。
上述した締結ナット取り外し工程を実施したならば、移動手段83を作動してナット回動手段81およびナット把持手段82後退させるとともに、位置付け手段77を作動して図15に示すように第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bの第2の切削ブレード把持手段91bを回転スピンドル632と対向するブレード着脱位置に位置付ける。次に、移動手段95を作動して第2の切削ブレード把持手段91bを回転スピンドル632に向けて前進させ、位置決め部材913bを回転スピンドル632の先端面に形成された係合凹部632aと係合せしめる。そして、第2の切削ブレード把持手段91bの把持部材作動手段912を作動して4個の把持部材911を径方向内側に作動し、4個の把持部材911の先端に設けられた把持爪911aを切削ブレード635の環状のハブ636に形成された環状溝636cに係合せしめる。この結果、使用済みの切削ブレード635は、4個の把持部材911によって把持される(使用済み切削ブレード取り外し工程)。
上述した使用済み切削ブレード取り外し工程を実施したならば、図16に示すように移動手段95を作動して第2の切削ブレード把持手段91bを後退させるとともに、パルスモータ93を作動して支持プレート92を180度回動し、第1の切削ブレード把持手段91aと第2の切削ブレード把持手段91bを反転する。この結果、上記使用前切削ブレード把持工程において使用前の切削ブレード635を把持した第1の切削ブレード把持手段91aが、回転スピンドル632と対向するブレード交換装置に位置付けられる(切削ブレード把持手段反転工程)。
次に、図17に示すように移動手段95を作動して第1の切削ブレード把持手段91aを回転スピンドル632に向けて前進させ、位置決め部材913bを回転スピンドル632の先端面に形成された係合凹部632aと係合せしめる。このとき、第1の切削ブレード把持手段91aの4個の把持部材911によって把持されている使用前の切削ブレード635は、環状のハブ636の嵌合穴636aがブレード装着部材633の円筒状の装着部633aに嵌合する。そして、第1の切削ブレード把持手段91aの把持部材作動手段912を作動して4個の把持部材911を径方向外側に作動し、4個の把持部材911による切削ブレード635の把持を解除する。この結果、使用前の切削ブレード635がブレード装着部材633の円筒状の装着部633aに装着されることになる(使用前切削ブレード装着工程)。
上述した使用前切削ブレード装着工程を実施したならば、移動手段95を作動して第1の切削ブレード把持手段91aを後退するとともに、位置付け手段77を作動して図18に示すように第1の締結ナット着脱手段8aおよび第2の締結ナット着脱手段8bのナット回動手段81および上記締結ナット取り外し工程において締結ナット638を把持しているナット把持手段82を回転スピンドル632と対向するブレード着脱位置に位置付ける。次に、移動手段83を作動してナット回動手段81およびナット把持手段82を回転スピンドル632に向けて前進せしめる。この結果、ナット把持手段82に把持された締結ナット638は、ブレード装着部材633の円筒状の装着部633aに当接する。そして、電動モータ812を逆転駆動すると、回転力がナット回動手段81の4個の回動ピン814を介して締結ナット638に伝達され、締結ナット638が装着部633aに形成された雄ネジ633cに螺合し締め付けられる。そして、ナット把持手段82のエアシリンダ823を作動して作動リング822を図11において2点鎖線で示す作用位置から実線で示す後退位置に移動することにより、把持部材821を2点鎖線で示す把持位置から実線で示す開放位置に作動せしめる。この結果、使用前の切削ブレード635は、ブレード装着部材633のフランジ部633bと締結ナット638によって挟持固定される(使用前切削ブレード固定工程)。
上述した使用前切削ブレード固定工程を実施したならば、移動手段83を作動してナット回動手段81およびナット把持手段82を後退するとともに、位置付け手段77を作動して可動基板75を一対の案内レール742、742に沿って移動し、第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bの第2の切削ブレード把持手段91b(使用済み切削ブレードを把持している)を第1ブレードラック手段71aおよび第2のブレードラック手段71bのブレードラック72における第2のブレード収容手段723と対向する使用済みブレード収納位置に位置付ける。次に、図19に示すように移動手段95を作動して第2の切削ブレード把持手段91bを第2のブレード収容手段723に向けて前進させ、位置決め部材913bを第2のブレード収容手段723の支持軸723aの他端面に設けられた係合凹部723dに係合せしめるとともに、第2の切削ブレード把持手段91bに把持された使用済み切削ブレード635を第2のブレード収容手段723の支持軸723aに嵌合し収容する。そして、第2の切削ブレード把持手段91bによる使用済み切削ブレード635の把持を解除する(使用済み切削ブレード収容工程)。次に、移動手段95を作動して第2の切削ブレード把持手段91bを後退せしめ、図10に示す状態に戻る。
上述した切削ブレードの交換作業を所定の稼働時間毎に実施し、ブレードラック72の第1のブレード収容手段722に収容された使用前の切削ブレードが全て交換されたならば、第1ブレードラック機構71aおよび第2のブレードラック機構71bのブレードラック位置付け手段73を作動してブレードラック72を図7に示す退避位置に位置付ける。そして、ブレードラック72の第2のブレード収容手段723に収容された使用済の切削ブレードを取り出すとともに、第1のブレード収容手段722に使用前の切削ブレードを収容する。このとき、ブレードラック72の第1のブレード収容手段722および第2のブレード収容手段723の支持軸722aおよび支持軸723aは上下方向に向けられるので、第2のブレード収容手段723に収容された使用済の切削ブレードを取り出す作業が容易となるとともに、第1のブレード収容手段722に使用前の切削ブレードを収容する作業が容易となる。
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、図示の実施形態においては第1の切削手段6aおよび第2の切削手段6bに対応して第1の締結ナット着脱機構8aおよび第2の締結ナット着脱機構8bと第1の切削ブレード着脱機構9aおよび第2の切削ブレード着脱機構9bを備えて例を示したが、切削手段が1個の場合には1個の締結ナット着脱機構と切削ブレード着脱機構を具備すればよい。
なお、上述した切削ブレード交換装置7と第1の切削手段6aおよび第2の切削手段6bとの間には可動式のシャッターを配設し、切削作業時にシャッターによって遮蔽することにより、飛散した切削水が切削ブレード交換装置7の構成部材に付着するのを防止することが望ましい。