JP3752692B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は画像形成装置に係り、特に記録ヘッドのノズル面と対向する側にノズル回復装置を備えた画像形成装置に関する。
インクジェット方式の画像形成装置は、記録ヘッドから記録紙にインクを吐出して記録紙上に画像を形成する。このような画像形成装置では、記録ヘッドのノズルの洗浄や乾燥防止のため、たとえばノズルからインクを所定時間毎に吐出させたり(予備吐出)、ブレードでノズルを拭き取りしてノズル洗浄を行なうなどのノズル回復処理が行なわれる。 このノズル回復処理は、たとえば記録ヘッドを画像形成領域外まで退避して行うと、装置全体が著しく大型化したり、メンテナンスに要する時間が長くなり画像形成の効率化が低下する問題があった。これを解決するために、記録ヘッドと対向して配置された回転体にプラテン部とメンテナンスユニットを設けた技術が知られている(特許文献1参照)。
即ち、特許文献1の画像形成装置では、回転体のプラテン部の反対側には記録ヘッドの吐出面を被覆するキャップやノズルをワイピングするプレードなどが備えられ、回転体を回転させてキャップ、ブレードを記録ヘッドに接触させて記録ヘッドのメンテナンスを行う。
しかし、記録紙の全面に画像を形成する全面縁なしプリント時には、記録紙からはみ出たインクがプラテン部に打滴されるため、次に搬送されてくる記録紙裏面が汚れる虞がある。これを解決するために、所定間隔をおいて配置された複数の支持片からなるプラテンを、記録紙の搬送と同期して回転させて記録する技術が知られている(特許文献2参照)。この画像形成装置では、プラテンが記録紙の裏面側に隠れているので、記録紙からはみ出たインクによってプラテンが汚れることなく全面縁なしプリントを行える。
特開2001−71521号公報 特開2001−80145号公報
特許文献2に記載された画像形成装置では、プラテンが回転体の周面に設けられている為、プラテンに記録紙の密着ができず記録紙が波打つほか、記録紙を支持するプラテンの記録紙との接触面が曲面であるために記録ヘッドのノズルから打滴されるインクの飛翔距離を一定にできず、画質が低下する問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ノズルと記録紙とのクリアランスを一定に保持して良好な画質を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、記録媒体の搬送方向と略直交する方向にその長手方向が配置されたライン型の記録ヘッドと、前記記録ヘッドと平行に配置され吸引手段と連通された吸引パイプと、前記吸引パイプの外周面に回動自在に支持され第1の開口部と第2の開口部とが形成された回転体と、前記回転体の第1の開口部に記録媒体の搬送方向に平行に移動可能に設けられたプラテンと、前記回転体の第2の開口部に設けられノズルをキャッピング可能なキャップ部材と、を有し、前記回転体の第1の開口部が前記吸引パイプと連通された状態で前記プラテン上に記録媒体を吸着して記録媒体を搬送路に沿って平行に移動することを特徴としている。
本発明によれば、第1の開口部が吸引パイプと連通された状態で記録媒体を吸着して搬送路に沿って水平に移動するプラテン上を記録媒体が搬送されるので、記録媒体の波打ちを防止でき、ノズルと記録媒体とのクリアランスを一定にしてインクの飛翔距離を一定に保つことができる。これにより、インクの着弾精度を向上でき、良好な画質を得ることができる。なお、プラテンとしては吸引パイプと連通されてエアが吸引される吸引孔を備えたものが用いられ、この吸引孔を介して記録媒体がプラテンに吸着される。
請求項2に記載された本発明によれば、回転体の第2の開口部が吸引パイプと連通された状態で、キャップ部材はノズルをキャッピングしてノズルを吸引するので、ノズルの詰まりが防止できる。
請求項3に記載された本発明によれば、プラテンには記録ヘッドのノズルに対して進退するブレードが設けられ、ブレードをノズルに当接した状態でプラテンを移動してノズルをブレードで拭き取るので、ノズルに付着した異物等を除去できる。
請求項4に記載された本発明によれば、回転体並びにプラテンはその前記記録媒体の搬送方向と直行する長手方向に於いて分割されるとともに、その分割された部分に於いて各々独立して駆動可能であるので、用紙サイズに合ったプラテンを駆動できる。
また、請求項5に記載された本発明によれば、プラテンは記録媒体の搬送方向に独立して移動する第1のプラテン板と、第2のプラテン板とから構成されるので記録媒体の搬送が容易となる。
また、本明細書において「記録」とは、文字を含む広い意味で画像を形成する概念を表すものとする。また、「記録媒体」は、記録ヘッドによって画像が形成される媒体(被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体、記録紙など呼ばれるもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含むものとする。
「フルライン型の記録ヘッド」は、通常、記録媒体の相対的な送り方向(たとえば記録媒体の搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、相対移動方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。また、記録ヘッドにおけるノズルの配列形態は、1列のライン状配列に限定されず、複数列からなるマトリックス配列でもよい。さらには、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズルを有する短尺記録ヘッドユニットを複数個組み合わせることによって、これらユニット全体として記録媒体の全幅に対応するノズル列を構成する形態もあり得る。
本発明によれば、ノズル回復処理用の回転体に水平移動するプラテンを設けたので、ノズルの回復処理ができると共に、記録ヘッドのノズルと記録紙とのクリアランスを一定に保持して良好な画質を得ることができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態について詳説する。図1は第1の実施の形態における画像形成装置10の構成を示す側面図であり、図2は、画像形成装置10に用いられるノズル回復装置14の構成を示す斜視図である。
画像形成装置10は、記録ヘッド12と、記録ヘッド12に対向して配置された記録ヘッド12のノズル回復装置14と、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を案内する固定ガイド板18A、18Bと、記録紙16が供給される給紙部20と、画像記録済みの記録紙を外部に排出する排紙部22と、を備えている。
記録ヘッド12は、記録紙16の紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを記録紙の搬送方向と直交する方向(主走査方向、すなわち図1の紙面に対し垂直方向)に配置した、いわゆるライン型記録ヘッドで構成されている。記録ヘッドは記録紙16の搬送方向(矢印A)に沿って上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した記録ヘッド12が配置される。
記録ヘッド12の記録紙16の搬送方向上流側(図1の右側)には搬送ローラ24と固定ガイド板18Aが配置され、搬送ローラ24のさらに搬送方向上流側には給紙部20が設けられている。給紙部20には記録紙(カット紙)16が積層装填されたカセット21が着脱自在にセットされている。サイズの異なる記録紙16が装填された複数のカセットを併設した構成としてもよい。なお、符号27は、カセット21から搬送ローラ24までカット紙を搬送供給させる供給ローラである。
記録ヘッド12の搬送方向下流側(図1左側)には、固定ガイド板18Bが設けられ、その下流側には排出ローラ23を持つ排紙部22が設けられている。排紙部22には画像形成済みの記録紙を集積する排紙トレー(不図示)が配設される。
搬送ローラ24の少なくとも一つには後述するモータ109(図5参照)の動力が伝達され、給紙部20から案内された記録紙16は搬送ローラ24に案内されて図1上の右から左へと搬送され、記録ヘッド12にて画像が形成された後、排紙部22から排出される。
ノズル回復装置14は記録紙16の搬送経路の下方で、記録ヘッド12のノズル面に対向する位置で記録ヘッド12に略平行に設けられている。このノズル回復装置14は図2に示すように主として回転体30、32、プラテン板34、36、記録ヘッド12と略平行に配置された1本の液受けパイプ38などから構成されている。
図2に示すように回転体30、32は略円筒状の形状からなり、記録ヘッド12の主走査方向と平行な方向に配置されてポンプPと連結された、固定の液受けパイプ38に回転可能に軸支されている。回転体30、32は、同軸上に配置されるとともに、それぞれの回転体30、32は独立して回転できる。また、回転体30、32の主走査方向側の両端部にはモータ40、41の駆動ギア42A、42Bと噛合するギア44A、44Bが形成され、これにより回転体30、32はモータ40、41によりそれぞれ独立して回転駆動される。なお、液受けパイプ38はその一部が切り欠かれて切り欠き部46が形成され、ポンプPを作動させてこの切り欠き部46から廃液を導入して吸引できる。また、液受けパイプ38の内壁は、内壁に付着した流体が流れ易いように撥液処理が施されている。これにより、インクの回収が容易となる。本形態では、各色一体ヘッドに対して1つのノズル回復装置14であるが、各色ヘッドが独立でそれぞれ複数ヘッドがある場合、ヘッドに対向する側に複数回復装置を持つことでインクを再利用できる。
回転体30、32はその周面の一部が切り欠かれて長孔48、50が形成されている。
図1に示したように長孔48、50は、回転体30、32を回転させて長孔48、50を上部側に向けて位置させたときには、図1に示すように前述した液受けパイプ38の切り欠き部46と連通され、長孔48、50を介してエアを回転体30、32内部に吸引できる。また、回転体30、32には、記録紙16を支持するためのプラテン板34、36が長孔48、50の一部を塞ぐように設けられている。このプラテン板34、36には吸引孔34a、36aが形成されており、長孔48、50の内部をポンプPを用いて減圧すると吸引孔34a、36aを介して記録紙を吸着できる。プラテン板34、36は、図2上で左側のプラテン34の寸法L1が、右側のプラテン36の寸法L2より短く形成されている。
これらプラテン板34、36は長孔48、50近傍に取り付けられたモータ56の駆動軸であるスクリューシャフト58と螺合され、スクリューシャフト58の駆動によりプラテン板34、36を記録紙16の搬送方向、すなわち副走査方向(矢印B方向)に沿って駆動される。また、プラテン板34、36には図1に示すように記録ヘッド12のノズル面をワイピングするブレード60が備えられている。図3に示すようにこのブレード60は、プラテン板34、36に設けられたモータ62の出力軸に直結された楕円形状カム64と係合して、プラテン板34、36に形成された案内溝66に沿って昇降され、これにより長孔48、50からブレード60を突出させてブレード60先端を記録ヘッド12のノズル面に当接できる。この状態でプラテン板34、36を副走査方向に沿って駆動させると、ブレード60は副走査方向に沿って移動され、ブレード60先端でノズル面をワイピングする。なお、同図では説明の便宜上ブレード60は1部のみ示されているが、記録ヘッド12のノズル面全面をワイピングできるようにプラテン板34、36に沿うように設置されている。
図1に示すように回転体30、32の周面において、前記開口部48、50と180°対向する位置には開口部67A、67Bが形成され、この開口部67A、67Bには非画像形成時において記録ヘッド12のノズル面を被覆するためのキャップ68A、68Bが取り付けられている。開口部67A、67Bは、図4に示すように回転体30、32を回転させてキャップ68A、68Bを上側に向けて位置決めしたときには、開口部67A、67Bは前述した液受けパイプ38の切り欠き部46と連通され、キャップ68A、68Bを介してエアを吸引できる。また、キャップ68A、68Bによって記録ヘッド12のノズル面が密封(キャッピング)される。なお、キャップ68は、ゴムなどの弾性部材にて構成されている。かかる形態により、インクの乾燥を抑えることができる。
図1における符号70は固定ガイド板18A近傍に設けられ、記録紙の位置および大きさを読み取り、記録紙16へのインク吐出タイミングを決定するための記録紙検出部、符号72、73はノズル回復装置14近傍に設けられ回転体30、32の回転位相を検出する位相検出部、符号74、75はプラテン板34、36近傍に設けられ、プラテン板34、36の位置を検出するプラテン板検出部である。
図5は画像形成装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。画像形成装置10は通信インターフェース100、システムコントローラ102、プリント制御部110、ヘッドドライバ112、センサ部114などを備えている。
通信インターフェース100は、ホストコンピュータ120から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。ホストコンピュータ120から送出された画像データは通信インターフェース100を介して画像形成装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ104に記憶される。
システムコントローラ102は通信インターフェース100、画像メモリ104、モータドライバ106などの各部を制御する制御部である。システムコントローラ102は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ120との間の通信制御、画像メモリ104の読み書き制御などを行うとともに、モータ40、41への回転体30、32の回転指令や、モータ56によるプラテン板34、36の位置決め、モータ62によるブレード60の駆動、モータ109による記録紙16の搬送などを制御する制御信号を生成する。
モータドライバ106は、システムコントローラ102からの制御信号にしたがってモータ40、41、56、62、109を駆動するドライバ(駆動回路)である。
プリント制御部110はセンサ部114からの検出結果をもとに、ヘッドドライバ112などの各部を制御する制御部である。プリント制御部110は、システムコントローラ102の制御に従い、画像メモリ104内の画像データから画像形成制御用の信号を生成するための各種加工などの処理を行い、生成した画像形成制御信号(画像データ)をヘッドドライバ112に供給する。ヘッドドライバ112はプリント制御部110から与えられる画像データに基づいて、記録ヘッド12の各色(K、C、M、Y)の記録ヘッドを駆動する。
プリント制御部110に備えられたセンサ部114は、前述した記録紙検出部70、位相検出部72、73、プラテン板検出部74、75などを含むブロックであり、これら各検出部によって検出された検出結果はプリント制御部110に提供される。プリント制御部110では、各検出部によって検出された検出結果をもとに所定の演算処理が行なわれ、これら処理結果をシステムコントローラ102に提供する。すなわち、記録紙検出部70における検出結果をもとにインク吐出タイミングなどが決定され、位相検出部72、73の検出結果をもとに、回転体30、32の駆動位置の検出がなされる。また、プラテン板検出部74、75の検出結果をもとに、プラテン板34、36の位置が検出される。このほかにも、プリント制御部104によってあらかじめ定められた時間または記録回数経過後には、後述する記録ヘッド12のノズルの洗浄動作がなされる。
次に、上記の如く構成された画像形成装置10の作用について説明する。
画像記録開始前の休止中の状態では回転体30、32は、図4に示すように開口部67A、67B(不図示)が記録ヘッド12のノズル面に対向するように位置される。この状態では、開口部67A、67Bが液受けパイプ38の切り欠き部46と連結されている。
記録ヘッド12のノズルはキャップ68A、68Bでキャッピングされており、記録ヘッド12のノズルをエアと遮断して、ノズルのインクの乾燥が防止できる。更に、キャップ68A、68Bにてキャッピングした状態で吸引すると、ノズルからインクの吸引ができ、ノズルの詰まりを防止できる。すなわち、画像形成装置10の電源投入時などにおいて、システムコントローラ102(図5参照)はポンプPを駆動させて開口部67を介してエアを吸引させる。これによりキャップ68A、68B内部が減圧されて、記録ヘッド12のノズルからインクが吸引される。次いで、システムコントローラ102はモータドライバ106を介してモータ40、41を駆動し、回転体30、32を回転させて、キャップ68A、68Bを記録ヘッド12のノズルから外し、ノズルの密封状態を開放させる。なお、記録ヘッド12には不図示の昇降装置が設けられており、回転体30、32の回転に伴い同図の矢印Cで示す上方向に記録ヘッド12が移動され、キャップ68A、68Bの基端部縁が記録ヘッド12のノズルと接触することを回避してもよい。
回転体30、32は回転し、キャッピング位置(図4参照)から略180度回転した図1の位置で停止する。これにより、長孔48、50が記録ヘッド12のノズル面に対向するとともに、長孔48、50が液受けパイプ38の切り欠き部46と連結される。さらに、プラテン板34、36は同図に示す記録紙16搬送経路に沿うように位置し、図1に示した記録ヘッド12とプラテン板34、36とが対向した画像形成位置となる。
図5において、印刷すべき画像のデータがホストコンピュータ120から通信インターフェース100を介して入力され、画像メモリ104に蓄えられる。システムコントローラ102はモータドライバ106を介してモータ109を駆動し、図1に示した給紙部20から記録紙16を引き出し、固定ガイド板18を介して記録紙16を記録ヘッド12まで搬送する。
記録紙16が記録ヘッド12に到達すると記録紙16への記録が行われる。すなわち、図5における画像メモリ104に蓄えられた画像データはプリント制御部110に送られ、ヘッドドライバ112を介してインク色ごとのドットのデータに変換される。ヘッドドライバ112はこのドットデータを取り込み、記録ヘッド12の駆動制御信号を生成する。ヘッドドライバ112で生成された駆動制御信号が記録ヘッド12のノズルに加えられることによって、ノズルからインクが記録紙16の記録面に吐出される。なお、記録ヘッド12は、センサ部114の記録紙検出部70からの検出結果をもとに記録紙16の搬送速度に同期して記録ヘッドからのインク吐出タイミングが制御され、記録紙16の搬送を停止させることなく記録紙16上に画像を形成できる。
ここで、図6(1)〜(8)は、この画像形成時のノズル回復装置14のプラテン板34、36と記録紙16の搬送位置の関係を示す側面図である。なお、以下の説明において、プラテン板34の奥側に設けられているプラテン板36は、プラテン板34と同様の動作をするためにその記載を省略している。
図6(1)に示すように記録紙16がプラテン板34まで搬送ローラ24で搬送されつつ、プラテン板34の吸引孔34aによるエア吸引によって記録紙16がプラテン板34に吸着される。図6(2)に示すようにプラテン板34が記録紙16の裏面に位置して、記録紙16によって覆われる位置となった場合には、図6(3)に示すようにモータ56(図5参照)を駆動してプラテン板34を記録紙16の搬送方向(矢印D方向)に沿って移動する。なお、この際のプラテン板34と記録紙16との位置関係は、記録紙検出部70およびプラテン板検出部74、75を介してシステムコントローラ102によって認識される。この状態のまま記録紙16はその平面性が維持されつつ搬送される(図6(4))。ここで、全面縁無しプリント時には同図に示すように記録ヘッド12のノズルからは記録紙16前端部からはみ出るようにインクが吐出されるが、プラテン板34は記録紙16の裏面に位置して覆われているので、プラテン板34にインクは付着しない。
この後、図6(5)(6)に示すようにプラテン板34は記録ヘッド12と対向する位置で移動し、記録紙16に画像が形成される。したがって、記録紙16の平面性がプラテン板34によって保たれつつ記録紙16への画像形成が可能である。
全面縁無しプリント時には、図6(7)、図6(8)に示すように記録ヘッド12からは記録紙16後端部からはみ出た位置にインクが吐出されるが、余剰インクは長孔48、吸引パイプ38を介して吸引されて除去される。また、プラテンが用紙サイズ幅より狭いので、両サイドのはみ出したインクも回収可能である。図6(5)、(6)ではプラテンは停止し、プラテン上を記録紙16が搬送ローラ24の搬送力で滑る。
ここで、記録紙のサイズに応じてプラテン板34、36のいずれかを用いる場合について説明する。
システムコントローラ102は記録紙検出部70によって、図1におけるカセット21から搬送される記録紙のサイズを検出し、サイズに応じてモータ40、41のいずれかを駆動させる(図2参照)。すなわち、システムコントローラ102によって搬送される記録紙16がプラテン36に対応するサイズと判断された場合には、システムコントローラ102は図1に示した状態からモータ40を駆動して、長孔48が記録ヘッド12のノズル面に対向する位置から略180度回転した位置まで回転体30を回転させる。これにより、回転体30の長孔48Aと液受けパイプ38の切り欠き部46との連結が解除され、プラテン板34の長孔48Aは密封される。この状態で、図2に示したようにプラテン36に対応するサイズの記録紙16は回転体32側を搬送され、プラテン板36にて吸着されて搬送され、記録紙16への画像形成が行なわれる。回転体32の長孔50のみが液受けパイプ38の切り欠き部46と連結されるので、記録紙16が搬送されない回転体30側の切り欠き部46を密封でき、プラテン板36による吸引孔36aのエア吸引力低下を防止して、プラテン板36への記録紙16の吸着力を保持する。
システムコントローラ102によってカセット21から搬送される記録紙のサイズがプラテン34に対応するサイズと判断した場合には、システムコントローラ102は図1に示した状態からモータ41を駆動して、長孔50が記録ヘッド12のノズル面に対向する位置から略180度回転した位置まで回転体32を回転させる。回転体32の長孔50と液受けパイプ38の切り欠き部46との連結が解除され、プラテン板36側の切り欠き部46が密封される。この状態で、記録紙16は回転体30側を搬送されて、プラテン板34にて吸着されつつ案内されて、記録紙16への画像形成が行なわれる。したがって、回転体30の長孔48のみが液受けパイプ38の切り欠き部46と連結され、記録紙16が搬送されないプラテン板36側のエア吸引を停止でき、プラテン板34による吸引孔34aのエア吸引力低下を防止できる。
このように、記録紙16が搬送される以外の部分のプラテン板による記録紙の吸引は、回転体を回転させて停止でき、これにより記録紙16が搬送される部分のプラテン板の吸引力低下を防止できる。記録紙16への画像形成後、システムコントローラ102によってモータ40、41が駆動され、図1に示した記録ヘッド12とプラテン板34、36とが対向する位置まで回転体30、32が駆動されて画像形成準備状態に戻る。
なお、あらかじめ定められた時間または記録回数経過後、もしくは吐出不良検出装置によって記録ヘッド12の吐出不良が検出された場合に、以下に示す記録ヘッド12のメンテナンスを行う。
すなわち、所定時間または所定回数に達するまで記録動作が連続的に行われた場合、またはノズルの吐出不良が図示しない吐出不良検出装置にて検出された場合には、システムコントローラ102は、次に搬送される記録紙16の先端を記録紙検出部70によって検出しておき、現在搬送中の記録紙16の後端が記録ヘッド12との対向位置を通過した後に、ヘッドドライバ112を介して記録ヘッド12における少なくとも検出された不吐出ノズルからプリントに寄与しないインクを吐出させる(空吐出)。つまり、現在搬送中の記録紙16の後端と、次に搬送される記録紙16の先端との搬送間隔を利用し、記録ヘッド12との対向位置に記録紙16の相互間の隙間(紙間)が位置されたときに、その紙間に向けて記録ヘッド12のノズルからプリントに寄与しないインクを吐出させる。吐出されたインクは長孔48、50から吸引されて除去される。
また、プリント制御部110は、モータドライバ106を介してモータ62を駆動し、図1におけるプラテン板34に設けられたブレード60を長孔48、50から進出させる。さらに、プリント制御部110はモータ56を駆動してプラテン板34を副走査方向(矢印B方向)に駆動させて記録ヘッド12のノズル面をワイピングする。これにより、未使用による乾燥したインクや粘性が変化した不良インクを記録ヘッド12のノズルから除去でき、かつ、ノズル面と平行にワイピングされるので、除去不良が発生しない。ノズル洗浄後、モータドライバ106によってモータ62が駆動され、記録ヘッド12のノズル面からブレード60を退避させる。
このように、本実施の形態の画像形成装置10によれば、ノズル回復装置14によってノズル吸引、ノズルの払拭、ノズル乾燥防止(キャッピング)、記録紙搬送の4種類の状態を切りかえることができ、空吐出を含め5種類のメンテナンスを実行することができるので、複雑で大掛かりなメンテナンス部材やその移動機構が不要にでき、メンテナンス時間を大幅に短縮できる。とくに、記録紙16を吸着して水平移動するプラテン板34によって記録媒体の波打ちを防止できるので、インクの着弾精度を向上でき、良好な画質を得ることができる。また、プラテン板34は、記録紙16の裏面に位置して覆われた状態で移動制御されるので、全面縁なしプリント時に記録紙16からはみ出たインクがプラテン板に打滴されることなく、記録媒体裏面の汚れを防止できる。
次に、本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態について詳説する。
第2の実施の形態の画像形成装置は、プラテン板の構成が異なり、その他の構成は前述した第1の実施の形態に係る画像形成装置10とほぼ同一で同一の番号を付して詳細説明は省略する。
図7に示すように第2の実施の形態の画像形成装置150に用いられるメンテナンスユニット152は、回転体30、32の長孔48、50に記録紙16の搬送方向上流側に設けられたプラテン板34、36に対向して、記録紙16の搬送方向下流側にプラテン板154、156が設けられている。これらプラテン板154、156には吸引孔154a、156aが形成され、長孔48、50を塞ぐように配置されるとともに、長孔48、50近傍に取り付けられたモータ158の駆動軸であるスクリューシャフト160と螺合されている。したがって、スクリューシャフト160の駆動によりプラテン板154、156を記録紙16の搬送方向、すなわち副走査方向(矢印B方向)に沿って駆動できる。なお、プラテン板156は図7におけるプラテン板154の奥側で回転体32に取り付けられているので、図7において示されていない。また、符号162は、プラテン板156の位置を検出するためのプラテン板検出部である。
上記の如く構成された画像形成装置150の作用について説明する。
図8(1)〜(9)は画像形成時のメンテナンスユニット152のプラテン板34、154の移動と記録紙16の搬送位置の関係を示す説明図である。以下の説明において、図8におけるプラテン板34、154奥側に設けられているプラテン板36およびプラテン板156は示されていないが、プラテン板34およびプラテン板154と同様の動作をする。
図8(1)に示すように記録紙16が固定ガイド板18Aまで搬送ローラ24にて搬送されつつ、図8(2)に示すようにプラテン板34が移動し、プラテン板34の吸引孔34aによるエア吸引によって記録紙16がプラテン板34に吸着される。同8(2)に示すようにプラテン板34が記録紙16の裏面に位置して、記録紙16によって隠れる位置となった場合には、図8(3)に示すようにモータ56(図5参照)を駆動してプラテン板34を記録紙16の搬送方向(矢印D方向)に沿って移動させる。この状態のまま記録紙16はその平面性が保持されつつ搬送される(図8(4))。ここで、全面縁無しプリント時には同図に示すように記録ヘッド12のノズルからは記録紙16前端部からはみ出るようにインクが吐出されるが、プラテン板34は記録紙16の裏面に位置し、幅も記録紙より狭いので、プラテン板34がインクで汚れない。図8(5)に示すように記録紙16がプラテン板154まで搬送されると、図8(6)に示すようにモータ56、158が駆動されてプラテン板34、154が図8の右側に向かって移動する。
次いで、図8(7)に示すようにプラテン板154が記録紙16を吸着すると、プラテン板34は図8(8)に示すように右側に移動し、図8(1)に示した位置まで戻る。図8(8)に示すようにプラテン板154は、記録紙16とともに搬送方向に沿って移動する。全面縁無しプリント時には図8(9)に示すように記録ヘッド12からは記録紙16後端部からはみ出るようにインクが吐出されるが、プラテン板154は記録紙16の裏面に位置しているので、プラテン板154がインクで汚れることがない。はみ出たインクは長孔48、50から吸引されて除去される。この後、画像記録済みの記録紙16は排紙部22まで搬送されて排出され、プラテン板154は図8(1)に示した位置まで戻り、当該全面縁なしプリントの画像形成が終了する。図8(5)ではプラテンは停止し、図8(6)、(7)ではプラテン上を搬送ローラ24の搬送力で記録紙16が滑る。
画像形成後、システムコントローラ102によってモータ56、158が駆動され、図8(1)に示した位置までプラテン板34およびプラテン板154が駆動されて画像形成準備状態に戻る。
前記第2の実施の形態は、2つのプラテン板34、154を用いて記録紙の受け渡しを行うので、記録紙の搬送がスムーズになると共に生産性が良くなる。
上述したような実施の形態に示した画像形成装置の構成は、インクジェットプリンタに限定されるものではない。たとえば、本実施の形態では記録紙16にインクを吐出して記録紙16上に画像を形成する画像形成装置に適用した例を示したが、これに限ることなく、たとえば現像用処理液を塗布する処理装置などにも本発明を適用できる。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す側面図 本発明の実施の形態に係る画像形成装置に用いられるノズル回復装置の斜視図 本発明の実施の形態に係る画像形成装置に用いられるノズル回復装置のブレードの構造を示す斜視図 本発明の実施の形態に係る画像形成装置の側面図 本発明の実施の形態に係る画像形成装置のシステム構成を示す要部ブロック図 本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置のプラテン板と記録紙の位置関係を示す説明図 本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置を示す側面図 本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置のプラテン板と記録紙の位置関係を示す説明図
符号の説明
10…画像形成装置、12…記録ヘッド、14…ノズル回復装置、16…記録紙、30、32…回転体、34、36、154、156…プラテン板、38…液受けパイプ、46…切り欠き部、60…ブレード、68A、68B…キャップ、102…システムコントローラ、110…プリント制御部、P…ポンプ

Claims (5)

  1. 記録媒体の搬送方向と略直交する方向にその長手方向が配置されたライン型の記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドと平行に配置され、吸引手段と連通された吸引パイプと、
    前記吸引パイプの外周面に回動自在に支持され、第1の開口部と第2の開口部とが形成された回転体と、
    前記回転体の第1の開口部に、記録媒体の搬送方向に平行に移動可能に設けられたプラテンと、
    前記回転体の第2の開口部に設けられノズルをキャッピング可能なキャップ部材と、を有し、
    前記回転体の第1の開口部が前記吸引パイプと連通された状態で前記プラテン上に記録媒体を吸着して記録媒体を搬送路に沿って平行に移動することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記回転体の第2の開口部が前記吸引パイプと連通された状態で、前記キャップ部材は前記ノズルをキャッピングしてノズルを吸引することを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
  3. 前記プラテンには前記記録ヘッドのノズルに対して進退するブレードが設けられ、ブレードをノズルに当接した状態でプラテンを移動してノズルをブレードで拭き取ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された画像形成装置。
  4. 前記回転体並びにプラテンはその前記記録媒体の搬送方向と直行する長手方向に於いて分割されるとともに、その分割された部分に於いて各々独立して駆動可能であることを特徴とする請求項1ないしは請求項3のいずれか1に記載された画像形成装置。
  5. 前記プラテンは記録媒体の搬送方向に独立して移動する第1のプラテン板と、第2のプラテン板とから構成されることを特徴とする請求項1ないしは請求項4のいずれか1に記載された画像形成装置。

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