JP3751518B2 - 化学増幅レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細加工技術に適した新規な化学増幅レジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。遠紫外線リソグラフィーは、0.3μm以下の加工も可能であり、光吸収の低いレジスト材料を用いた場合、基板に対して垂直に近い側壁を有したパターン形成が可能となる。また、近年、遠紫外線の光源として高輝度なKrFエキシマレーザーを利用する技術が注目されており、これが量産技術として用いられているためには、光吸収が低く、高感度なレジスト材料が要望されている。
このような観点から、近年開発された酸を触媒とした化学増幅ポジ型レジスト材料(特公平2−27660号公報、特開昭63−27829号公報等に記載)は、感度、解像度、ドライエッチング耐性が高く、優れた特徴を有するもので、遠紫外線リソグラフィーに特に有望なレジスト材料である。
【0003】
しかしながら、化学増幅型レジストの欠点として、露光からPEB(PostExposure Bake)までの放置時間が長くなると、パターン形成した際にラインパターンがT−トップ形状になる、即ち、パターン上部が太くなるという問題〔PED(Post Exposure Delay)と呼ぶ。〕、又は塩基性の基盤、特に窒化珪素、窒化チタン基盤上での基盤付近のパターンが太くなるいわゆる裾引き現象という問題がある。
T−トップ現象は、レジスト膜表面の溶解性が低下するためと考えられ、基盤面での裾引きは、基盤付近で溶解性が低下するためと考えられる。
また、露光からPEBまでの間に酸不安定基の脱離の暗反応が進行して、ポジ型レジストにおいてラインの残し寸法が小さくなるという問題も生じている。
これらは、化学増幅レジストの実用に供する場合の大きな欠点となっている。この欠点のため、従来の化学増幅ポジ型レジスト材料は、リソグラフィー工程での寸法制御を難しくし、ドライエッチングを用いた基板加工に際しても寸法制御を損ねるという問題がある〔参考:W.Hinsberg,et.al.,J.Photopolym.Sci.Technol.,6(4),535−546(1993).,T.Kumada,et.al.,J.Photopolym.Sci.Technol.,6(4),571−574(1993).〕。
【0004】
化学増幅ポジ型レジスト材料において、PEDあるいは基盤面の裾引きの問題の原因は、空気中あるいは基盤表面の塩基性化合物が大きく関与していると考えられている。露光により発生したレジスト膜表面の酸は空気中の塩基性化合物と反応、失活し、PEBまでの放置時間が長くなればそれだけ失活する酸の量が増加するため、酸不安定基の分解が起こり難くなる。そのため、表面に難溶化層が形成され、パターンがT−トップ形状となるものである。
ここで、塩基性化合物を添加することにより、空気中の塩基性化合物の影響を抑えることができるため、PEDにも効果があることは良く知られている(特開平5−232706号、特開平5−249683号、特開平5−158239号、特開平5−249662号、特開平5−257282号、特開平5−289322号、特開平5−289340号、特開平6−194834号、特開平6−242605号、特開平6−242606号、特開平6−263716号、特開平6−263717号、特開平6−266100号、特開平6−266111号、特開平7−128859号、特開平7−92678号、特開平7−92680号、特開平7−92681号、特開平7−120929号、特開平7−134419号の各公報等記載)。
【0005】
塩基性化合物としては、窒素含有化合物がよく知られており、沸点150℃以上のアミン化合物もしくはアミド化合物が挙げられる。具体的には、ピリジン、ポリビニルピリジン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,4−ルチジン、キノリン、イソキノリン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、イミダゾール、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−キノリンカルボン酸、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−(p−クロロフェニル)−4,6−トリクロロメチル−s−トリアジンなどのトリアジン化合物が挙げられる。これらの中では、特にピロリドン、N−メチルピロリドン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、1,2−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの窒素含有化合物は全て酸解離定数pKaが2〜6の範囲で、T−トップ問題を緩和できるが、高反応性の酸不安定基を用いた場合の反応の制御、すなわち酸拡散の制御ができない。
弱塩基の添加は、特にPEDにおける暗反応が未露光部分進行し、PEDにおけるライン寸法の縮小(スリミング)、ライン表面の膜減りを引き起こす。前記問題を解決するには、pKaが7以上の強塩基を添加するのがよい。
しかし、pKaが高ければ高いほどいいわけではなく、超強塩基といわれるDBU(1,8−ジアザビシクロ[5、4,0]−7−ウンデセン)あるいはDBN(1,5−ジアザビシクロ[4、3,0]−5−ノネン)あるいはプロトンスポンジあるいはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなど四級アミンの添加においても十分な効果を得ることができない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討した結果、塩基性化合物として、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミンと一般式(I)〜(III)と(1)〜(4)で表されるカルボニル基、エステル基又はカーボネート基を持つアミンが最もレジストの膜減り防止に対する効果が高く、フォーカスマージン拡大効果及び寸法安定性に対する効果が高いことを見いだした。
【化5】
(式中、nは1、2又は3、好ましくは1又は2である。置換基Xは同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に−R1−O−R2または−R1−C(=O)−O−R61を示す。R1は同一または異種の炭素数1〜5のアルキレン基を示す。R2は同一または異種の、カルボニル基もしくはエステル基を含む直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜20のアルキル基を示す。R61はカルボニル基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシル基、ラクトン環を含んでもよい同一又は異種の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を示す。同一置換基中のR1とR2、R1とR61はそれぞれ結合して環を形成してもよい。置換基Yは同一または異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。)
【化6】
上式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜5のアルキレン基、R2は同一又は異種のカルボニル基、又はエステル基を含む直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、R3は水素原子又は直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、R4は、同一又は異種の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基でカルボニル基、エステル基、又はエーテル基を含んでもよい。)
【化7】
(式中、R62は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。pは0、1又は2でありp+q=3である。R63は同一または異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜15のアルキル基を示し、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシル基を含んでもよい。R64はカルボニル基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシル基、ラクトン環を含んでもよい同一又は異種の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を示す。)
【化8】
(式中、R65は同一または異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜15のアルキル基を示し、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシル基を含んでもよい。)
【0008】
また、本発明は、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミンと一般式(I)〜(III)と(1)〜(4)で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上である成分(A)と、(B)有機溶剤と、(C1)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂と、(D)酸発生剤とを含有することができ、さらに、(E)溶解阻止剤を含有することができるポジ型レジスト組成物を提供する。
また、本発明は、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミンと一般式(I)〜(III)と(1)〜(4)で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上である成分(A)と、(B)有機溶剤と、(C2)アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベース樹脂と、(D)酸発生剤と、(F)酸によって架橋する架橋剤とを含有することができるネガ型レジスト組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミンと一般式(I)〜(III)と(1)〜(4)で示される塩基性化合物から選ばれる1種または2種以上を含有する塩基性化合物を含有するレジスト組成物に関する。
一般式(I)〜(III)と(1)〜(4)で示される塩基性化合物として具体的には、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン{一般式(I)、(III)に該当}、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン{一般式(I)と(II)と(3)に該当}、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン{一般式(I)、(II)に該当}、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン{一般式(I)、(4)に該当}、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン{一般式(I)、(2)に該当}、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン{一般式(I)、(3)に該当}、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン{一般式(I)、(4)に該当}、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトン{一般式(I)に該当}を例示できるが、これらに制限されない。
【0010】
本発明で使用される成分(B)の有機溶剤としては、酸発生剤、ベース樹脂、溶解阻止剤等が溶解可能な有機溶媒であれば何れでも良い。このような有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチルの他、安全溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0011】
本発明で用いる成分(C)のベースポリマーは、ポジ型レジスト組成物の場合は、酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂(C1)を用いることができ、ネガ型レジスト組成物の場合は、アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベース樹脂(C2)を用いることができる。なお、アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性とは、2.38重量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液に対する溶解度が0〜20Å/sec未満であり、アルカリ可溶性とは20〜300Å/secである。
成分(C)としてあげられるベースポリマーは、波長248nmのKrFエキシマレーザーレジスト用、波長3〜20nmのEUVレジスト用、EBレジスト用、X線レジスト用としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)、およびPHSとスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミドNカルボン酸エステル、との共重合体、波長193nmのArFエキシマレーザーレジスト用としては、(メタ)アクリル酸エステル系、ノルボルネンと無水マレイン酸との交互共重合系、ポリノルボルネン系、メタセシス開環重合系、波長157nmのF2エキシマレーザー用としては上記ポリマーのフッ素置換物などがあげられるが、これらの重合系ポリマーに限定されることはない。ここで、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。
ポジ型レジスト組成物に用いられるベースポリマー(C1)は、ベースポリマー(C2)において、フェノールあるいはカルボキシル基の水酸基の水素原子を酸不安定基で置換したものであり、当該置換によって、未露光部の溶解速度を下げたものが一般的である。
【0012】
酸不安定基としては、種々選定されるが、特に下記一般式(5)、(6)で示される基、下記一般式(7)で示される炭素数4〜40の三級アルキル基、炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等であることが好ましい。
【化9】
上式中、R6、R9は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。
R7、R8は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでも良く、aは0〜10の整数である。 R7とR8、R7とR9,R8とR9はそれぞれ結合して環を形成しても良い。
また、R6,R9,R12としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基等の非置換又は置換アリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基も挙げることができる。
【0013】
一般式(5)に示される酸不安定基を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0014】
一般式(6)で示される酸不安定基を例示すると、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−sec−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−tert−アミロキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基等の直鎖状もしくは分岐状アセタール基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等の環状アセタール基等が挙げられ、好ましくはエトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシプロピル基が挙げられる。
また、ベースポリマーの水酸基の水素原子の0.1%以上が下記の一般式(8a)あるいは(8b)で表される酸不安定基(架橋基)によって分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化10】
上式中、R19、R20は、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を示す。また、R19とR20は、結合して環を形成してもよく、環を形成する場合には、R19、R20は炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
R21は、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、bは、0又は1〜10の整数である。
Aは、a価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは、−CO−O−、−NHCO−O−又はNHCONH−を示す。aは2〜8の整数、a'は1〜7の整数であり、a=(a'+1)を満足する。
【0015】
式(7)のR10、R11、R12は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R10とR11、R10とR12、R11とR12とは互いに結合して環を形成してもよい。また、これらの基が酸素原子を含み、或いは炭素原子に結合する水素原子が水酸基に置換されたり、2個の水素原子が酸素原子で置換されてカルボニル基を形成してもよい。
一般式(7)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビニル基、2−エチル−2−ノルボルニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0016】
また、酸不安定基として用いられる炭素数1〜6のトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられる。
また、酸不安定基として用いられる炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基、又は下記式で示される基等が挙げられる。
【化11】
【0017】
成分(C)のベースポリマーの重量平均分子量は、5,000〜100,000とすることが好ましく、5,000に満たないと成膜性、解像性に劣る場合があり、100,000を越えると解像性に劣る場合がある。
【0018】
成分(D)の酸発生剤としては、下記一般式(9)のオニウム塩、一般式(10)のジアゾメタン誘導体、一般式(11)のグリオキシム誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド−イルスルホネート誘導体等が挙げられる。
【化12】
上式中、R30は、同一でも異なっていても良い炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、M+はヨードニウム、スルホニウムを表し、K-は非求核性対向イオンを表し、bは2又は3である。
R31、R32は、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン化アリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。
R33、R34、R35は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン化アリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。また、R34、R35は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R34、R35はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。
【0019】
一般式(9)におけるR30の炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、2−オキソシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、2,3,4,5、6−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0020】
一般式(10)におけるR31、R32の炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。炭素数6〜12のハロゲン化アリール基としては、フルオロベンゼン基、クロロベンゼン基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼン基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0021】
一般式(11)におけるR33、R34、R35の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数6〜12のハロゲン化アリール基、炭素数7〜12のアラルキル基としては、R31、R32で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R34、R35の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0022】
一般式(9)におけるオニウム塩として、具体的には、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0023】
一般式(10)のジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0024】
一般式(11)のグリオキシム誘導体としては、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0025】
β−ケトスルホン誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
さらに、ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体、フタルイミド−イル−トリフレート、フタルイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トリフレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−n−ブチルスルホネート等のイミド−イル−スルホネート誘導体等が挙げられる。
【0026】
好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル誘導体が用いられる。
【0027】
酸発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるが、両者を組み合わせることにより、プロファイルの微調整を行うことが可能である。
酸発生剤の配合量は、全ベース樹脂100重量部に対して0.2〜50重量部、特に0.5〜40重量部とすることが好ましく、0.2重量部に満たないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50重量部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。
【0028】
(E)成分の溶解阻止剤としては、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化する分子量3,000以下の化合物、特に2,500以下の低分子量フェノールあるいはカルボン酸誘導体の一部あるいは全部を酸に不安定な置換基で置換した化合物を挙げることができる。
分子量2,500以下のフェノールあるいはカルボン酸誘導体としては、ビスフェノールA、ビスフェノールH、ビスフェノールS、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン等が挙げられ、酸に不安定な置換基としては、ベースポリマーの酸不安定基と同様のものが挙げられる。
好適に用いられる溶解阻止剤の例としては、ビス(4−(2’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ))プロパン、2,2−ビス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン、4,4−ビス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、トリス(4−(2’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(2’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシメチルフェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)エタン等が挙げられる。
本発明のレジスト材料中における溶解阻止剤の添加量としては、好ましくはレジスト材料中の固形分100重量部に対して20重量部以下、更に好ましくは15重量部以下である。20重量部より多いとモノマー成分が増えるためレジスト材料の耐熱性が低下する場合がある。
【0029】
成分(F)の架橋剤として、分子内に2個以上のヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物が挙げられ、置換グリコールウリル誘導体、尿素誘導体、ヘキサ(メトキシメチル)メラミン等が好適に用いられる。
例えば、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメチルメラミン、テトラヒドロキシメチル置換グリコールウリル類及びテトラメトキシメチルグリコールウリルのようなテトラアルコキシメチル置換グリコールウリル類、ビス−ヒドロキシメチルフェノール類、ビスフェノールA等のフェノール化合物とエピクロロヒドリン等の縮合物が挙げられる。
特に好適な架橋剤は、1,3,5,7−テトラメトキシメチルグリコールウリルなどの1,3,5,7−テトラアルコキシメチルグリコールウリル又は1,3,5,7−テトラヒドロキシメチルグリコールウリル、2,6−ジヒドロキシメチルp−クレゾール、2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,2’,6,6’−テトラヒドロキシメチルビスフェノールA、および1,4−ビス−[2−(2−ヒドロキシプロピル)]−ベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
架橋剤は、酸によって架橋する架橋剤を好ましく用いることができる。
添加量は任意であるがレジスト組成物中の全固形分に対して1〜25重量部、好ましくは5〜20重量部である。これらは単独でも2種以上併用して添加しても良い。
【0030】
また、本発明の塩基以外に、従来から用いられている本発明の塩基以外の塩基を1種あるいは2種以上併用することもできる。 従来から用いられている塩基としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0031】
更に、下記一般式(B)−1及び(B)−2で示される塩基性化合物を配合することもできる。
【化13】
(式中、R41、R42、R43、R47、R48はそれぞれ独立して直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜20のアルキレン基、R44、R45、R46、R49、R50は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はアミノ基を示し、R44とR45、R45とR46、R44とR46、R44とR45とR46、R49とR50はそれぞれ結合して環を形成してもよい。S、T、Uはそれぞれ0〜20の整数を示す。但し、S、T、U=0のとき、R44、R45、R46、R49、R50は水素原子を含まない。)
ここで、R41、R42、R43、R47、R48のアルキレン基としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8のものであり、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等が挙げられる。
また、R44、R45、R46、R49、R50のアルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜6のものであり、これらは直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
更に、R44とR45、R45とR46、R44とR46、R44とR45とR46、R49とR50が環を形成する場合、その環の炭素数は1〜20、より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜6であり、またこれらの環は炭素数1〜6、特に1〜4のアルキル基が分岐していてもよい。
S、T、Uはそれぞれ0〜20の整数であり、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8の整数である。
【0032】
上記(B)−1、(B)−2の化合物として、具体的には、トリス{2−(メトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス[2−{(2−メトキシエトキシ)メトキシ}エチル]アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6等が挙げられる。
なお、本発明塩基化合物の配合量は全ベース樹脂100重量部に対して0.001〜2重量部、特に0.01〜1重量部が好適である。配合量が0.001重量部より少ないと配合効果がなく、2重量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0033】
本発明の塩基の合成法としては、アミン類のマイケル付加(式IVに例示)、アルキル化(式Vに例示)、あるいはアルカノールアミンのアシル化、エーテル化(式VIに例示)を単独あるいは組み合わせて用いることが効率的な合成のために好ましいが、これらの方法に限定されない。
【化14】
(式中のRおよびR’は同一でも異なっていてもよい置換または非置換のメチル基を示す。R’’はアルキレン基を示す。R’’’は置換または非置換のメチル基(エーテル化の場合)あるいは置換または非置換のアシル基(アシル化の場合)を示す。Zはハロゲンなどの脱離基を示す。)
【0034】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
本発明の塩基化合物を以下に示す処方で合成した。
[合成例1]トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミンの合成。
【化15】
トリエタノールアミン6.00g、ギ酸200gの混合物を20時間、100℃に加熱した。ギ酸を減圧留去、酢酸エチルで希釈後、飽和重曹水で中和した。分液、水洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。減圧蒸留により精製を行ないトリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン8.10gを得た(沸点:127−131℃/60Pa、収率86%)。
IR (薄膜): ν =2954,2839,1722,1458,1362,1282,1165,1076,1005cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.86(6H,t,J=5.9Hz),4.19(6H,t,J=5.9Hz),8.03(3H,s)。
【0035】
[合成例2]トリス(2−アセトキシエチル)アミンの合成。
【化16】
トリエタノールアミン14.9gをTHF150gに溶解させ、トリエチルアミン40.4gを加えた。氷浴上で冷却し、塩化アセチル27.5gを30℃を超えない温度で滴下した。この反応液を油浴上で75℃に加熱し、2時間加熱還流した。熟成終了後室温まで戻して水100gを加えて反応を停止、分液した有機層にジクロロメタン200gを加えた。この有機層をさらに水100gを用いて洗浄した。有機層を減圧濃縮し、次いで減圧蒸留することで目的のトリス(2−アセトキシエチル)アミン20.6gを得た(沸点:145−148℃/70Pa、収率75%)。
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.02(9H,s),2.80(6H,t),4.08(6H,t)。
【0036】
[合成例3]トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミンの合成。
【化17】
塩化アセチルを塩化プロピオニルに代えた以外は合成例2と同様の方法でトリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミンを合成した(沸点:154−155℃/30Pa、収率82%)。
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=1.09(9H,t),2.29(6H,q),2.80(6H,t),4.08(6H,t)。
【0037】
[合成例4]トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミンの合成。
【化18】
塩化アセチルを塩化ブチリルに代えた以外は合成例2と同様の方法でトリス(2−ブチリルオキシエチル)アミンを合成した(沸点:183−185℃/30Pa、収率68%)。
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.92(9H,t),1.62(6H,m),2.25(6H,t),4.09(6H,t),2.81(6H,t)。
【0038】
[合成例5]トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミンの合成。
【化19】
塩化アセチルを塩化イソブチリルに代えた以外は合成例2と同様の方法でトリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミンを合成した(沸点:179−180℃/30Pa、収率87%)。
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=1.13(18H,d),2.51(3H,m),2.82(6H,t),4.09(6H,t)。
【0039】
[合成例6]トリス(2−バレリルオキシエチル)アミンの合成。
【化20】
塩化アセチルを塩化バレリルに代えた以外は合成例2と同様の方法でトリス(2−バレリルオキシエチル)アミンを合成した(沸点:190−193℃/30Pa、収率75%)。
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.89(9H,t),1.32(6H,m),1.58(6H,m),2.28(6H,t),4.10(6H,t)。
【0040】
[合成例7]トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミンの合成。
【化21】
塩化アセチルを塩化ピバロイルに代えた以外は合成例2と同様の方法でトリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミンを合成した(沸点:183−185℃/30Pa、収率60%)。
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=1.17(27H,s),2.83(6H,t),4.09(6H,t)。
【0041】
[合成例8]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミンの合成。
【化22】
トリエタノールアミン14.9gをTHF150gに溶解させ、トリエチルアミン40.4gを加えた。氷浴上で冷却し、塩化アセチル15.7gを30℃を超えない温度で滴下した。 この反応液を油浴上で75℃に加熱し、2時間加熱還流した。ついで塩化アセトキシアセチル20.5gを加えさらに2時間加熱還流した。放冷後、水100gを加えて反応を停止、分液した有機層にジクロロメタン200gを加えた。この有機層をさらに水100gを用いて洗浄した。有機層を減圧濃縮し、次いで減圧蒸留することで目的のN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン18.3gを得た(沸点:153−155℃/24Pa、収率55%)。
IR (薄膜): ν =2958,2837,1740,1425,1373,1238,1198,1082,1043cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.03(6H,s),2.13(3H,s),2.75−2.85(6H,m),4.08(4H,t,J=6.2Hz),4.19(2H,t,J=6.0Hz),4.58(2H,s)。
【0042】
[合成例9]トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミンの合成。
【化23】
塩化アセチルをクロロギ酸メチルに代えた以外は合成例2と同様の方法でトリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミンを合成した。
【0043】
[合成例10]トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミンの合成。
【化24】
塩化アセチルをピロカルボン酸ジtert−ブチルに代えた以外は合成例2と同様の方法でトリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミンを合成した。
【0044】
[合成例11]トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミンの合成。
【化25】
塩化アセチルをクロロアセトンに代えた以外は合成例2と同様の方法でトリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミンを合成した。
【0045】
[合成例12]トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミンの合成。
【化26】
塩化アセチルをクロロ酢酸メチルに代え、ヨウ化ナトリウム1.0gを添加した以外は合成例2と同様の方法でトリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミンを合成した。
【0046】
[合成例13]トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミンの合成。
【化27】
クロロ酢酸メチルをクロロ酢酸tert−ブチルに代えた以外は合成例12と同様の方法でトリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミンを合成した。
【0047】
[合成例14]トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミンの合成。
【化28】
クロロ酢酸メチルをクロロ酢酸シクロヘキシルに代えた以外は合成例12と同様の方法でトリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミンを合成した。
【0048】
[合成例15]トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミンの合成。
【化29】
アクリル酸メチル21.2gに0℃で激しく攪拌しながら28%アンモニア水5.00gを加え、20時間かけて徐々に25℃まで昇温した。減圧濃縮後、減圧蒸留により精製しトリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミンを得た(沸点:143℃/70Pa、収率76%)。
IR (薄膜): ν =2954、2839、1738、1437、1255、1200、1172cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.41(6H,t,J=7.7Hz),2.73(6H,t,J=7.7Hz),3.63(9H,s)。
【0049】
[合成例16]トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミンの合成。
【化30】
アクリル酸メチルをアクリル酸エチルに代えた以外は合成例15と同様の方法でトリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミンを合成した。
【0050】
[合成例17]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化31】
ジエタノールアミン10.0gに20〜30℃で、アクリル酸メチル9.01gを加え20時間放置した。減圧濃縮によりN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンを得た(収率98%)。
IR (薄膜): ν =3385(br.),2953,2881,2833,1734,1439,1404,1363,1259,1198,1035cm-1。1H−NMR(270MHz in CDCl3) : δ=2.48(2H,t,J=6.3Hz),2.62(4H,t,J=5.1Hz),2.83(2H,t,J=6.3Hz),3.01(1H,br.s),3.58(4H,t,J=5.1Hz),3.67(3H,s)。
【0051】
[合成例18]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化32】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン9.29g、トリエチルアミン12.8g、4−ジメチルアミノピリジン50mg、THF50mlの混合物に20〜30℃で、無水酢酸を加え20時間攪拌した。水を加えて反応を停止後、酢酸エチルで抽出、有機層を水洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、減圧蒸留により精製を行ないN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン13.2gを得た(沸点:118−123℃/21Pa、収率99%)。
IR (薄膜): ν =2954,2837,1740,1437,1373,1238,1203,1039cm-1
1H−NMR(270MHz in CDCl3) : δ=2.02(6H,s),2.42(2H,t,J=7.1Hz),2.74(4H,t,J=5.9Hz),2.87(2H,t,J=7.1Hz),3.64(3H,s),4.07(4H,t,J=5.9Hz)。
【0052】
[合成例19]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化33】
アクリル酸メチルをアクリル酸エチルに代えた以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミンを合成した(収率94%)。
IR (薄膜): ν =3400(br.),2951,2875,2829,1732,1462,1400,1371,1255,1190,1039cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=1.24(3H,t,J=7.2Hz),2.46(2H,t,J=7.1Hz),2.60(4H,m),2.82(2H,t,J=7.1Hz),3.17(2H,br.s),3.57(4H,m),4.12(2H,q,J=7.2Hz)。
【0053】
[合成例20]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化34】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミンに代えた以外は合成例18と同様の方法でN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミンを合成した。
【0054】
[合成例21]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化35】
アクリル酸メチルをアクリル酸2−メトキシエチルに代えた以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミンを合成した(収率97%)。
【0055】
[合成例22]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化36】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミンに代えた以外は合成例18と同様の方法でN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミンを合成した(沸点:146−148℃/9.3Pa、収率86%)。
IR (薄膜): ν =2954,2893,2825,1738,1456,1371,1238,1198,1130,1039cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.02(6H,s),2.46(2H,t,J=7.1Hz),2.74(4H,t,J=6.0Hz),2.88(2H,t,J=7.1Hz),3.36(3H,s),3.56(2H,m),4.08(4H,t,J=6.0Hz),4.20(2H,m)。
【0056】
[合成例23]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化37】
アクリル酸メチルをアクリル酸2−ヒドロキシエチルに代えた以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミンを合成した(収率99%)。
【0057】
[合成例24]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化38】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミンに代えた以外は合成例18と同様の方法でN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミンを合成した(沸点:164−166℃/27Pa、収率96%)。
IR (薄膜): ν =2960,2837,1740,1443,1375,1236,1190,1043cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=.2.02(6H,s),2.05(3H,s),2.45(2H,t,J=6.9Hz),2.75(4H,t,J=6.1Hz),2.88(2H,t,J=6.9Hz),4.08(4H,t,J=6.1Hz),4.25(4H,s)。
【0058】
[合成例25]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミンの合成。
【化39】
アクリル酸メチルをアクリル酸メトキシカルボニルメチルに代えた以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミンを合成した。
【0059】
[合成例26]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミンの合成。
【化40】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミンに代えた以外は合成例18と同様の方法でN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミンを合成した(沸点:154−157℃/17Pa、収率60%)。
IR (薄膜): ν =2956、2837、1740、1439、1377、1236、1180、1041cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.02(6H,s),2.54(2H,t,J=7.1Hz),2.76(4H,t,J=5.9Hz),2.92(2H,t,J=7.1Hz),3.74(3H,s),4.09(4H,t,J=5.9Hz),4.59(2H,s)。
【0060】
[合成例27]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化41】
アクリル酸メチルをアクリル酸2−オキソプロピルに代えた以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミンを合成した(収率98%)。
【0061】
[合成例28]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化42】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミンに代えた以外は合成例18と同様の方法でN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミンを合成した(沸点:165℃/27Pa、収率85%)。
IR (薄膜): ν =2960、2837、1736、1421、1373、1238、1174、1041cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.02(6H,s),2.13(3H,s),2.55(2H,t,J=7.1Hz),2.76(4H,t,J=5.9Hz),2.92(2H,t,J=7.1Hz),4.08(4H,t,J=5.9Hz),4.63(2H,s)。
【0062】
[合成例29]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化43】
アクリル酸メチルをアクリル酸テトラヒドロフルフリルに代えた以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミンを合成した(収率97%)。
【0063】
[合成例30]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化44】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミンに代えた以外は合成例18と同様の方法でN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミンを合成した(沸点:165℃/20Pa、収率76%)。
IR (薄膜): ν =2958、2873、1740、1450、1371、1238、1193、1039cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.56(1H,m),1.80−2.10{2.02(6H,s)を含む10H,m},2.47(2H,t,J=7.1Hz),2.74(4H,t,J=6.0Hz),2.88(2H,t,J=7.1Hz),3.70−4.20{4.06(4H,t,J=6.0H)を含む9H,m}。
【0064】
[合成例31]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミンの合成。
【化45】
アクリル酸メチルをアクリル酸(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)に代えた以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミンを合成した。
【0065】
[合成例32]N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミンの合成。
【化46】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミンに代え、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なった以外は合成例18と同様の方法でN,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミンを合成した(収率70%)。
IR (薄膜): ν =2962、2837、1792、1743、1668、1456、1437、1373、1240、1196、1095、1043cm-1
【0066】
[合成例33]N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化47】
アクリル酸メチルをアクリル酸(4−ヒドロキシブチル)に代えた以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミンを合成した。
【0067】
[合成例34]N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化48】
トリエタノールアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミンに代えた以外は合成例1と同様の方法でN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミンを合成した(収率70%)。
IR (薄膜): ν =2960,2839,1722,1466,1363,1254,1176,1065cm-1。1H−NMR(270MHz in CDCl3) : δ=1.65−1.80(4H,m),2.44(2H,t,J=7.2Hz),2.80(4H,t,J=5.8),2.89(2H,t,J=7.2Hz),4.05−4.25(8H,m),8.03(2H,s),8.04(1H,s)。
【0068】
[合成例35]N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化49】
トリエタノールアミンをN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミンに代えた以外は合成例1と同様の方法でN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミンを合成した(収率40%)。
IR (薄膜): ν =2956,2839,1722,1456,1275,1254,1173,1061cm-1。1H−NMR(270MHz in CDCl3) : δ=2.47(2H,t,J=7.0Hz),2.80(4H,t,J=5.9Hz),2.90(2H,t,J=7.0Hz),4.19(4H,t,J=5.9Hz),4.25−4.40(4H,m),8.03(2H,s),8.06(1H,s)。
【0069】
[合成例36]N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンの合成。
【化50】
ジエタノールアミンをビス(2−メトキシエチル)アミンに代え、減圧蒸留により精製した以外は合成例17と同様の方法でN,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミンを合成した(沸点:71−75℃/27Pa、収率93%)。
IR (薄膜): ν =2951,2927,2877,2818,1740,1437,1254,1198,1119cm-1。1H−NMR(270MHz in CDCl3) : δ=2.46(2H,t,J=7.3Hz),2.69(4H,t,J=6.0Hz),2.89(2H,t,J=7.3Hz),3.31(6H,s),3.43(4H,t,J=6.0Hz),3.64(3H,s)。
【0070】
[合成例37]N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化51】
2−アミノエタノール5.00gに20〜30℃でアクリル酸メチル15.5gを加え20時間放置した後、減圧濃縮することによりN−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン19.2gを得た(定量的)。
IR (薄膜): ν =3467(br.),2954,2839,1738,1439,1361,1257,1201,1176,1038cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.43(4H,t,J=6.8Hz),2.55(2H,m),2.75(4H,t,J=6.8Hz),2.93(1H,br.s),3.54(2H,m),3.64(6H,s)。
【0071】
[合成例38]N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化52】
N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン5.00g、トリエチルアミン2.97g、4−ジメチルアミノピリジン50mg、THF25gの混合物に20〜30℃で、無水酢酸2.56gを加え、5時間攪拌した。水を加えて反応を停止後、酢酸エチルで抽出、有機層を水洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、減圧蒸留により精製を行ないN−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン5.30gを得た(沸点:120℃/15Pa、収率92%)。
IR (薄膜): ν =2954,2839,1740,1439,1373,1238,1200,1176,1039cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.01(3H,s),2.41(4H,t,J=6.9Hz),2.67(2H,t,J=6.0Hz),2.79(4H,t,J=6.9Hz),3.63(6H,s),4.06(2H,t,J=6.0Hz)。
【0072】
[合成例39]N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化53】
アクリル酸メチルをアクリル酸エチルに代えた以外は合成例37と同様の方法でN−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミンを合成した(収率82%)。
IR (薄膜): ν =3502(br.),2981,2829,1734,1463,1371,1346,1255,1184,1039cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=1.23(6H,t,J=7.1Hz),2.42(4H,t,J=6.7Hz),2.57(2H,m),2.77(4H,t,J=6.7Hz),2.96(1H,m),3.55(2H,m),4.10(4H,q,J=7.1Hz)。
【0073】
[合成例40]N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化54】
N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンをN−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミンに代えた以外は合成例38と同様の方法でN−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミンを合成した。
【0074】
[合成例41]N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化55】
2−アミノエタノールを3−アミノ−1−プロパノールに代えた以外は合成例37と同様の方法でN−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンを合成した(定量的)。
IR (薄膜): ν =3435(br.),2953,2841,1738,1439,1358,1331,1255,1200,1174,1134,1051cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=1.66(2H,m),2.47(4H,t,J=7.0Hz),2.60(2H,m),2.76(4H,t,J=7.0Hz),3.65(9H,s),3.68(2H,m),3.83(1H,br.s)。
【0075】
[合成例42]N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化56】
N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンをN−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンに代えた以外は合成例38と同様の方法でN−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンを合成した。
【0076】
[合成例43]N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化57】
2−アミノエタノールを2−メトキシエチルアミンに代えた以外は合成例37と同様の方法でN−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンを合成した(沸点:81−85℃/27Pa、収率96%)。
IR (薄膜): ν=2953,2839,1740,1437,1255,1200,1176,1119cm-1。1H−NMR(270MHz in CDCl3) : δ=2.44(4H,t,J=7.2Hz),2.63(2H,t,J=6.1Hz),2.81(4H,t,J=7.2Hz),3.31(3H,s),3.41(2H,t,J=6.1Hz),3.64(6H,s)。
【0077】
[合成例44]N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化58】
n−ブチルアミン5.00gに20〜30℃でアクリル酸メチル12.9gを加え20時間放置した後、減圧濃縮することによりN−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン16.7gを得た。(定量的)。
IR (薄膜): ν=2954、1740、1437、1254、1198、1174cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.87(3H,t,J=7.2Hz),1.15−1.45(4H,m),2.37(2H,t,J=7.4Hz),2.41(4H,t,J=7.1Hz),2.73(4H,t,J=7.1Hz),3.64(6H,s)。
【0078】
[合成例45]N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミンの合成。
【化59】
アクリル酸メチルをアクリル酸2−メトキシエチルに代えた以外は合成例44と同様の方法でN−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミンを合成した(沸点:156℃/28Pa、収率90%)。
IR (薄膜): ν =2956、2931、2875、2819、1736、1456、1375、1252、1182、1130、1036cm-1。1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.86(3H,t,J=7.2Hz),1.15−1.45(4H,m),2.37(2H,t,J=7.1Hz),2.46(4H,t,J=7.4Hz),2.74(4H,t,J=7.4Hz),3.35(6H,s),3.56(4H,m),4.19(4H,m)。
【0079】
[合成例46]N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミンの合成。
【化60】
トリエタノールアミンをN−メチルジエタノールアミンに代えた以外は合成例2と同様の方法でN−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミンを合成した。
【0080】
[合成例47]N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミンの合成。
【化61】
トリエタノールアミンをN−エチルジエタノールアミンに代えた以外は合成例2と同様の方法でN−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミンを合成した。
【0081】
[合成例48]N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミンの合成。
【化62】
トリエタノールアミンをN−メチルジエタノールアミンに代えた以外は合成例7と同様の方法でN−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミンを合成した。
【0082】
[合成例49]N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミンの合成。
【化63】
トリエタノールアミンをN−エチルジエタノールアミンに代えた以外は合成例9と同様の方法でN−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミンを合成した
【0083】
[合成例50]N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミンの合成。
【化64】
トリエタノールアミンをN−メチルジエタノールアミンに代えた以外は合成例10と同様の方法でN−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミンを合成した
【0084】
[合成例51]トリス(メトキシカルボニルメチル)アミンの合成。
【化65】
28%アンモニア水5.00gとTHF50gの混合物に0〜10℃でクロロ酢酸メチル29.4g、つづいて飽和炭酸カリウム水溶液70gを加え、その後室温で20時間攪拌した。ジエチルエーテルで抽出、水洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮しトリス(メトキシカルボニルメチル)アミンを得た。。
【0085】
[合成例52]トリス(エトキシカルボニルメチル)アミンの合成。
【化66】
クロロ酢酸メチルをクロロ酢酸エチルに代えた以外は合成例51と同様の方法でトリス(エトキシカルボニルメチル)アミンを合成した。
【0086】
[合成例53]N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミンの合成。
【化67】
アンモニア水をn−ブチルアミンに代えた以外は合成例51と同様の方法でN−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミンを合成した。
【0087】
[合成例54]N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミンの合成。
【化68】
アンモニア水をn−ヘキシルアミンに代えた以外は合成例51と同様の方法でN−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミンを合成した。
【0088】
[合成例55]β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンの合成。
【化69】
5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン5.10gに20〜30℃でジエチルアミン4.00gを加え、20時間放置後、減圧濃縮することにβ−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトン得た。
【0089】
実施例1
表1の実施例1に示す割合で、ポリマー、酸発生剤、塩基、溶解阻止剤、架橋剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と乳酸エチル(EL)の70:30重量比率の混合溶媒600重量部に溶解させ、0.1μmサイズのテフロンフィルターでろ過することによってレジスト溶液を調製した。
【0090】
実施例2〜63、比較例1〜12
表1〜5に示す条件で、実施例1に準じて実施した。また、使用したアミン1〜55の構造およびポリマー1〜8の構造と重量平均分子量(Mw)とその数平均分子量(Mn)に対する比を示す。
【0091】
レジストの評価
ポリマー、酸発生剤、塩基、溶解阻止剤、架橋剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と乳酸エチル(EL)の70:30重量比率の混合溶媒に溶解させ、0.1μmサイズのテフロンフィルターでろ過することによってレジスト溶液を調製した。
次に、得られたレジスト液を、シリコンウェハーにDUV−30(日産化学社製)を55nmの膜厚で製膜して、KrF光(248nm)で反射率を1%以下に抑えた基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で90秒間ベークし、レジストの厚みを550nmの厚さにした。
これをエキシマレーザーステッパー(ニコン社、NSR−S202A,NA−0.5、σ0.75、2/3輪帯照明)を用いて露光量とフォーカスを変化させながら露光し、露光後直ちに110℃で90秒間ベークし、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で60秒間現像を行って、パターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
0.16μmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop)としてレジスト感度とし、この時の「フォーカスマージン」を求めた。フォーカスマージンの定義は、パタ−ンの膜減りがないことと、寸法が、0.16μm±10%の寸法内であることとした。
結果を表1〜5に示す。
【0092】
【発明の効果】
一般式(I)〜(III)と(1)〜(4)で表されるカルボニル基、エステル基又はカーボネート基を持つアミンを含む本発明のレジスト組成物は、レジストの膜減り防止に対する効果が高く、フォーカスマージン拡大効果及び寸法安定性に対する効果が高い。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】
【化70】
【0099】
【化71】
【0100】
【化72】
【0101】
【化73】
【0102】
【化74】
【0103】
【化75】
【0104】
【化76】
【0105】
【化77】
【0106】
【化78】
【0107】
【化79】
【0108】
【化80】
Claims (6)
- トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミンとN,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミンと下記一般式(1)〜(4)で示される塩基性化合物とから選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする化学増幅レジスト組成物。
- 下記一般式(I)
で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を含有するレジスト組成物であって、上記一般式(I)中のnが、1又は2であり、
上記塩基性化合物が、下記一般式( II )で示される化合物から選ばれる1種又は2種以上を含有する化学増幅レジスト組成物。
- さらに、有機溶剤と、酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂と、酸発生剤とを含有し、ポジ型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学増幅レジスト組成物。
- さらに、溶解阻止剤を含有することを特徴とする請求項4に記載の化学増幅レジスト組成物。
- さらに、有機溶剤と、アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベース樹脂と、酸発生剤と、酸によって架橋する架橋剤とを含有し、ネガ型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学増幅レジスト組成物。
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