JP4044740B2 - レジスト材料及びパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細加工技術に適した新規な化学増幅ポジ型レジスト材料及びこれを用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。遠紫外線リソグラフィーは、0.2μm以下の加工も可能であり、光吸収の低いレジスト材料を用いた場合、基板に対して垂直に近い側壁を有したパターン形成が可能となる。また、近年、遠紫外線の光源として高輝度なKrFエキシマレーザーを利用する技術が注目されており、これが量産技術として用いられているためには、光吸収が低く、高感度なレジスト材料が要望されている。
【0003】
このような観点から、近年開発された酸を触媒とした化学増幅ポジ型レジスト材料(特公平2−27660号、特開昭63−27829号公報等に記載)は、感度、解像度、ドライエッチング耐性が高く、優れた特徴を有するもので、遠紫外線リソグラフィーに特に有望なレジスト材料である。
【0004】
化学増幅型レジストの欠点として、露光からPEB(Post Exposure Bake)までの放置時間が長くなると、パターン形成した際にラインパターンがT−トップ形状になる、即ちパターン上部が太くなるという問題〔PED(Post Exposure Delay)と呼ぶ〕、又は塩基性の基板、特に窒化珪素、窒化チタン基板上での基板付近のパターンが太くなるいわゆる裾引き現象という問題がある。T−トップ現象は、レジスト膜表面の溶解性が低下するためと考えられ、基板面での裾引きは、基板付近で溶解性が低下するためと考えられる。また、露光からPEBまでの間に酸不安定基の脱離の暗反応が進行して、ラインの残し寸法が小さくなるという問題も生じている。これらのことは、化学増幅レジストの実用に供する場合の大きな欠点となっている。この欠点のため、従来の化学増幅ポジ型レジスト材料は、リソグラフィー工程での寸法制御を難しくし、ドライエッチングを用いた基板加工に際しても寸法制御を損ねるという問題がある〔参考:W.Hinsberg,et.al.,J.Photopolym.Sci.Technol.,6(4),535−546(1993).,T.Kumada,et.al.,J.Photopolym.Sci.Technol.,6(4),571−574(1993).〕。
【0005】
化学増幅ポジ型レジスト材料において、PEDあるいは基板面の裾引きの問題の原因は、空気中あるいは基板表面の塩基性化合物が大きく関与していると考えられている。露光により発生したレジスト膜表面の酸は空気中の塩基性化合物と反応、失活し、PEBまでの放置時間が長くなればそれだけ失活する酸の量が増加するため、酸不安定基の分解が起こり難くなる。そのため、表面に難溶化層が形成され、パターンがT−トップ形状となるものである。
【0006】
ここで、塩基性化合物を添加することにより、空気中の塩基性化合物の影響を抑えることができるため、PEDにも効果があることは良く知られている(USP5609989号、WO98/37458号、特開昭63−149640号、特開平5−113666号、同5−232706号、同5−249662号の各公報に記載)。
【0007】
塩基性化合物としては、窒素含有化合物がよく知られており、沸点150℃以上のアミン化合物もしくはアミド化合物が挙げられる。具体的には、ピリジン、ポリビニルピリジン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,4−ルチジン、キノリン、イソキノリン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、イミダゾール、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−キノリンカルボン酸、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−(p−クロロフェニル)−4,6−トリクロロメチル−s−トリアジンなどのトリアジン化合物が挙げられる。これらの中では、特にピロリドン、N−メチルピロリドン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、1,2−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0008】
しかし、これらの窒素含有化合物は弱塩基で、T−Top問題を緩和できるが、高反応性の酸不安定基、例えば1−エトキシエチルなどのアセタール基を用いた場合の反応の制御、すなわち酸拡散の制御ができない。弱塩基の添加は、特にPEDにおける暗反応が未露光部分進行し、アセタール系酸脱離基におけるライン寸法の縮小(スリミング)、ライン表面の膜減りを引き起こした。前記問題を解決するには、強塩基を添加するのが効果的であった。しかし、塩基性度が高いほどいいわけではなく、超強塩基といわれるDBUあるいはDBNあるいはプロトンスポンジあるいはテトラメチルアンモニウムハオドロオキサイドなど4級アミンの添加においても十分な効果を得ることができなかった。
【0009】
塩基性化合物をレジスト組成物に添加する効果は、環境安定性の向上だけでなく解像力向上が挙げられる。塩基添加によって感度が低下するが、酸発生のコントラストが向上する。添加した塩基のモル数より発生した酸のモル数が少ない露光領域では、酸は塩基と中和することにより失括し、触媒反応を起こすことができないが、中和点を超えたところで急激に酸が発生し、触媒反応を引き起こす。塩基添加による中和点付近の急激な酸発生現象は、畠山らによってSPIE symp. Proc., 3333, 62, (1998)においてプロトンジャンプと呼ばれた。更に畠山らはプロトンジャンプの機構についての詳細な検討を行い、J. Potopoly. Sci. Technol., Vol13, (4), p519 (2000)において、露光により発生した酸と塩基との中和反応と、酸触媒反応とが同時に起こる競争反応説を提案した。ここで、光発生酸と添加塩基との中和反応を速度論的に解いて、中和反応の反応速度定数が大きい塩基ほどコントラストが高いことを示した。
【0010】
本発明者らが種々の塩基を添加して実験したところ、酸との反応速度定数とpKaとは特に密接な関係がないことが判明した。例えば、超強塩基といわれるDBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]-7-undecene)あるいはDBN(1,5-Diazabicyclo[4.3.0]-5-nonene)あるいはプロトンスポンジ(proton sponge)あるいはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなど4級アミンあるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムよりも、塩基性の劣るトリエタノールアミンの方が高い反応速度定数を得た。更に、トリエタノールアミンよりも、トリス{2−(メトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス[2−{(2−メトキシエトキシ)メトキシ}エチル]アミンの方が、更には前述物質よりトリス{2−(アセトキシ)エチル}アミン、更にはN,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリルの方が高い反応速度であり、高いコントラストを得ることができた。ちなみにこれらの塩基のpKaは7前後の値と推定され、13程度のDBUあるいはDBN、あるいは4級アンモニウムヒドロキシドあるいはプロトンスポンジよりはるかに弱塩基である。
【0011】
【化5】
【0012】
このことにより、レジスト中に添加する塩基として、特に超強塩基である必要はなく、ヒドロキシ基、エーテル基、特にはエステル基、カルボニル基、カーボネート基、シアノ基、ラクトン環などの水和性基を持つアミンが有効であることが明らかになったが、更にコントラストの高いレジスト材料が求められている。
【0013】
一方、近年、密集パターンと孤立パターンとの寸法比が問題になっている。マスク上の寸法が同じであっても、現像後の密集パターンと孤立パターンに寸法差が生じる。特に波長を超える寸法において、上記問題が深刻である。これは、密集パターンと孤立パターンの像形成における光干渉の違いにより、光学強度が異なるためである。例えば、波長248nm、NA0.6、σ0.75の光学条件で、0.18ミクロンラインのピッチを変えたときの寸法を図1に示す。0.36ミクロンピッチ(0.18ミクロンライン、0.18ミクロンスペース)でライン寸法が0.18ミクロンになるように規格化すると、光学像の寸法(Aerial Image)が、ピッチの拡大とともに一旦細くなって太くなっていく。
【0014】
図1に、現像後のレジスト寸法を求めた結果も示す。レジスト寸法はKLA−テンコール社(旧フィンリ社)から販売されているシミュレーションソフトウェアPROLITH2Ver.6.0を用いた。レジスト寸法は、ピッチの拡大とともに細くなり、更に酸拡散長の増大(25〜70nm)によってますます細くなっていく。密集パターンに比べて孤立パターンの寸法が細くなる粗密依存性の問題が深刻化している。粗密依存性を小さくする方法として酸拡散を小さくする方法が有効であることは、上記シミュレーション結果から理解できる。しかしながら、酸拡散を小さくしすぎると、現像後のレジストパターンの側壁が、定在波による凹凸や肌荒れが起きたり、ラインエッジラフネスが大きくなる問題が生じる。ラインのラフネスを小さくするために適当な拡散距離の酸発生剤を用いる方法があるが、これではこれ以上の粗密依存性を改善することができない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、より高いコントラスト、即ちより広いフォーカスマージンを有するとともに、密集パターンと孤立パターンの寸法比の問題を解決したレジスト材料及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的にする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、アリール基と水和性基を1分子中に有する塩基性化合物が、上記目的を達成する上で極めて効果的であることを知見した。
即ち、塩基の拡散を考察してみると、酸拡散と逆の結果が予想される。塩基拡散が大きいほど孤立ラインが太くなっていき、粗密依存性が改善されると考えられる。更に、塩基の拡散は、スムージング効果により低在波による凹凸やラインエッジラフネスの低減も期待できる。本発明者らは、アリール基を持つ塩基の拡散が比較的大きいと考え、塩基拡散を拡大するアリール基と、酸との反応速度が高いヒドロキシ基、エーテル基、特にはエステル基、カルボニル基、カーボネート基、シアノ基、ラクトン環などの水和性基を1分子中に併せ持つ塩基が極めて有効であることを知見し本発明に至ったものである。
【0017】
まず、本発明は、aは1であり、bは2である下記一般式(1)で表される塩基性化合物を用いるが、参考例として一般式(2)及び一般式(3)で表される塩基性化合物を提供する。
【化6】
(上式中、R0は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ラクトン環、又はカーボネート基を含んでも良い。aは独立して1又は2であり、bは独立して1又は2であるが、各化合物中ではa+b=3を満足する。Xは酸素原子又は硫黄原子である。)
また、参考例として、下記一般式(5)〜(9)からなる一群から選ばれる塩基性化合物の1種又は2種以上を含有することを特徴とするレジスト材料を提供する。
【化7】
(上式中、R1は独立して炭素数6〜20のアリール基又はアラルキル基であってヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ラクトン環、又はカーボネート基を含んでいても良い。R2、R4、R7は独立して炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R3、R6は独立して水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はアルコキシ基であって、ヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ラクトン環、又はカーボネート基を含んでいても良く、R5は独立して単結合又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基である。R8は独立して炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基であって、ヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ラクトン環、カーボネート基、又はシアノ基を含んでいても良い。R7とR8はそれぞれ結合して環を形成しても良い。R9は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、チオエーテル基、カーボネート基を含んでいても良い。aは独立して1又は2であり、bは独立して1又は2であるが、各化合物中a+b=3である。)
また、(A)一般式(1)で表される塩基性化合物からなる一群から選ばれる塩基性化合物と、(B)有機溶剤と、(C1)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂と、(D)酸発生剤とを含有するポジ型レジスト材料、及びさらに(E)溶解阻止剤を含有するポジ型レジスト材料を提供する。さらに、(A)一般式(1)で表される塩基性化合物からなる一群から選ばれる塩基性化合物と、(B)有機溶剤と、(C2)アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベース樹脂と、(D)酸発生剤と、(F)酸によって架橋する架橋剤とを含有するネガ型レジスト材料を提供する。なお、アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性とは、10〜30℃において、2.38重量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液に対する溶解度が0〜20Å/sec未満であり、アルカリ可溶性とは、20〜30,000Å/secである。
また更に、(1)これらの化学増幅レジスト材料を基板上に塗布する工程と、(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
一般式(5)〜(8)中R1で示される炭素数6〜20のアリール基又はアラルキル基は下記一般式(4)−1〜(4)−2に示すことができる。
【化8】
【0019】
一般式(4)−1、(4)−2中、R10は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、アセトキシ基であり、xとyは、0≦x≦5、0≦y≦7を満たす整数である。R11は単結合あるいは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基である。
【0020】
フェニル基を有する塩基は主にKrFエキシマレーザー用、ナフチル基を有する塩基はArFエキシマレーザー光における透明度が高く、好ましく用いられる。
【0021】
また、一般式(5)〜(8)の括弧b内の置換基は具体的には下記(5)−1〜(5)−4、(6)−1〜(6)−11、(7)−1〜(7)−24、(8)−1に例示することが出来る。
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
一般式(9)におけるR9は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状のアルキレン基であり、少なくとも1個以上のヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、チオエーテル基、カーボネート基を含むが、R9と窒素原子とからなる環状構造として具体的には下記(9)−1〜(9)−9を例示できる。
【化13】
【0026】
塩基の代表的合成法を以下に例示する。
一般式(1)、(2)および(3)に示される塩基性化合物は例えば以下に挙げる方法により製造できるが、これらに限定されるものではない。以下詳しく説明する。
【0027】
一般式(1)および(2)に示される塩基性化合物はそれぞれアクリル酸エステル化合物およびアクリロニトリルへのベンジルアミン又はジベンジルアミンの付加反応により効率的に合成できる。
【化14】
(式中、R0、a、bは前記と同様である。)
【0028】
アクリル酸エステル化合物(S2)およびアクリロニトリル(S3)の使用量は、アミン化合物(S1)1モルに対し、a=1すなわちアミン化合物(S1)がベンジルアミンである場合には1.0〜10モル、特に1.6〜2.4モルとすることが望ましく、a=2すなわちアミン化合物(S1)がジベンジルアミンである場合には0.5〜5.0モル、特に0.8〜1.2モルとすることが望ましい。反応は無溶媒又は溶媒中で行なう。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶媒類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン極性溶媒類、ギ酸、酢酸などのカルボン酸類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン類、及び水の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。反応温度は、反応速度に応じて0℃から溶媒の還流温度までの範囲で選択する。反応には、反応速度を向上させるために触媒として、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸又はそれらの塩類、p−トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、しゅう酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸類又はそれらの塩類を加えてもよい。また、アクリル酸エステル化合物およびアクリロニトリルの重合を防止するため、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ベンゾキノン、フェニレンジアミンなどの重合禁止剤を加えてもよい。反応時間は、ガスクロマトグラフィー(GC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常2〜200時間程度である。反応混合物を直接、あるいは通常の水系後処理(aqueous work−up)の後に減圧濃縮することにより目的の塩基性化合物(1)又は(2)を得る。得られた塩基性化合物(1)又は(2)は必要があれば蒸留、クロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することができる。
【0029】
一般式(3)に示される塩基性化合物はハロゲン化ベンジルによるモルホリン又はチオモルホリンのベンジル化により効率的に合成できる。
【化15】
(上式中、Xは前記と同様である。Yはハロゲン原子を示す。)
【0030】
ハロゲン化ベンジル(S4)の使用量は、アミン化合物(S5)1モルに対し、0.2〜15モル、特に0.4〜1.2モルとすることが望ましい。反応は無溶媒又は溶媒中で行なう。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶媒類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン極性溶媒類、ギ酸、酢酸などのカルボン酸類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、及び水の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。反応の促進のために他の塩基性化合物を添加してもよく、他の塩基性化合物の例として、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどの第三級アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸塩、水素化ナトリウムなどの金属水素化物、ブチルリチウムなどのアルキル金属をあげられる。他の塩基性化合物の使用量は、ハロゲン化ベンジル(S4)1モルに対し0.8〜10モル特に1.0〜5.0モルとすることが望ましい。反応温度は反応速度に応じて0℃から溶媒の還流温度までの範囲で選択する。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常2〜200時間程度である。反応混合物から固形物をろ過により除去後、あるいは通常の水系後処理(aqueous work−up)の後に減圧濃縮することにより目的の塩基性化合物(3)を得る。得られた塩基性化合物(3)は必要があれば蒸留により精製することができる。
【0031】
本発明のレジスト材料で使用される(B)成分の有機溶媒としては、酸発生剤、ベース樹脂、溶解阻止剤等が溶解可能な有機溶媒であれば何れでも良い。このような有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチルの他、安全溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0032】
(C1)と(C2)成分としてあげられるベースポリマーは、KrFエキシマレーザー用レジスト用としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)、及びPHSとスチレン、インデン、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミドNカルボン酸エステルとの共重合体、、EB用、EUV用、X線用としては前記重合体に加えてポリヒドロキシビニルナフタレン、ポリヒドロキシビニルアントラセン、アセナフテン等が挙げられ、ArFエキシマレーザー用レジストとしては、(メタ)アクリル酸エステル系、ノルボルネンと無水マレイン酸との交互共重合系、テトラシクロドデセンと無水マレイン酸との交互共重合系、ポリノルボルネン系、開環重合によるメタセシス重合系、F2エキシマレーザー用として上記KrF、ArF用ポリマーのフッ素置換体及びテトラフルオロエチレンとの共重合体あげられるが、これらの重合系ポリマーに限定されることはない。なお、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸又はアクリル酸の略である。ポジ型レジストの場合、フェノールあるいはカルボキシル基あるいはフッ素化アルキルアルコールの水酸基の水素原子を酸不安定基で置換することによって、未露光部の溶解速度を下げる場合が一般的である。
【0033】
ベースポリマーの酸不安定基と、本発明における塩基性化合物の酸不安定基とは、種々選定されるが、同様のものが挙げられる。特に下記式(10)、(11)で示される基、下記式(12)で示される炭素数4〜40の3級アルキル基、炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等であることが好ましい。
【化16】
【0034】
式(10)、(11)においてR12、R15は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。R13、R14は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでも良く、cは0〜10の整数である。R13とR14、R13とR15、R14とR15はそれぞれ結合して環を形成しても良い。式(12)において、R16、R17、R18は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R16とR17、R16とR18、R17とR18とは互いに結合して環を形成してもよい。
【0035】
式(10)に示される酸不安定基を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(10)−1〜(10)−9で示される置換基が挙げられる。
【0036】
【化17】
【0037】
式(10)−1〜(10)−9中、R19は同一又は非同一の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状またか環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基を示す。R20は存在しないかあるいは炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状またか環状のアルキル基を示す。R21は炭素数6〜20のアリール基を示す。
式(11)で示される酸不安定基を(11)−1〜(11)−23に例示する。
【化18】
【0038】
また、ベース樹脂の水酸基の水素原子の1モル%以上が一般式(11a)あるいは(11b)で表される酸不安定基によって分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化19】
【0039】
式中、R22、R23は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状またか環状のアルキル基を示す。または、R22とR23は結合して環を形成してもよく、環を形成する場合にはR22、R23は炭素数1から8の直鎖状又は分岐状ののアルキレン基を示す。R24は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、eは0又は1〜10の整数である。Aは、d+1価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又はNHCONH−を示す。dは1〜7の整数である。
【0040】
一般式(11a)、(11b)に示される架橋型アセタールは、具体的には下記(11)−24〜(11)−31に挙げられる。
【化20】
【0041】
式(12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1ーエチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等、または以下(12)−1〜(12)−18に挙げることができる。
【化21】
【0042】
式中、R25は同一又は非同一の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基を示す。R26、R28は存在しないかあるいは炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を示す。R27は炭素数6〜20のアリール基を示す。
【0043】
更に(12)−19、(12)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR29を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていても良い。式(12)−19中R25は前述と同様、R29は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、アリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。fは1〜3の整数である。
【化22】
【0044】
さらに、R25、R26、R27、R28は酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記(13)−1〜(13)−7に示すことができる。
【化23】
【0045】
酸不安定基として炭素数1〜6のトリアルキルシリル基を用いることができるが、炭素数1〜6のトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられる。
酸不安定基として炭素数4〜20のオキソアルキル基を用いることができるが、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基又は下記式で表される基が挙げられる。
【化24】
【0046】
ベースポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した場合、5,000〜100,000とすることが好ましく、5,000に満たないと成膜性、解像性に劣る場合があり、100,000を越えると解像性に劣る場合がある。
【0047】
(D)成分の酸発生剤としては、下記一般式(14)のオニウム塩、式(15)のジアゾメタン誘導体、式(16)のグリオキシム誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド−イルスルホネート誘導体等が挙げられる。
【0048】
【化25】
(但し、R30は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、M+はヨードニウム、スルホニウムを表し、K-は非求核性対向イオンを表し、gは2又は3である。)
【0049】
R30のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、2−オキソシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0050】
【化26】
(但し、R31、R32は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン化アリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。)
【0051】
R31、R32のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロベンゼン基、クロロベンゼン基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼン基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0052】
【化27】
(但し、R33、R34、R35は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン化アリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。また、R34、R35は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R34、R35はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。)
【0053】
R33、R34、R35のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R31、R32で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R34、R35のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0054】
オニウム塩としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0055】
ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0056】
グリオキシム誘導体としては、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0057】
β−ケトスルホン誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
【0058】
ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等が挙げられる。
【0059】
スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等が挙げられる。
【0060】
イミド−イル−スルホネート誘導体としては、フタルイミド−イル−トリフレート、フタルイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トリフレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−n−ブチルスルホネート等が挙げられる。
【0061】
好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル誘導体が用いられる。
【0062】
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるが、両者を組み合わせることにより、プロファイルの微調整を行うことが可能である。
酸発生剤の配合量は、全ベース樹脂100重量部に対して0.2〜50重量部、特に0.5〜40重量部とすることが好ましく、0.2重量部に満たないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50重量部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。
【0063】
(E)成分の溶解阻止剤としては、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化する分子量3,000以下の化合物、特に2,500以下の低分子量フェノールあるいはカルボン酸誘導体の一部あるいは全部を酸に不安定な置換基で置換した化合物を挙げることができる。
分子量2,500以下のフェノールあるいはカルボン酸誘導体としては、ビスフェノールA、ビスフェノールH、ビスフェノールS、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン等が挙げられ、酸に不安定な置換基としては、ベースポリマーと同様のものが挙げられる。
【0064】
好適に用いられる溶解阻止剤の例としては、ビス(4−(2’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ))プロパン、2,2−ビス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン、4,4−ビス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、トリス(4−(2’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(2’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシメチルフェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)エタン等が挙げられる。
【0065】
本発明のレジスト材料中における溶解阻止剤の添加量は任意であるが、レジスト材料中のベース樹脂100重量部に対して好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。20重量部より多いとモノマー成分が増えるためレジスト材料の耐熱性が低下する場合がある。
【0066】
(F)成分としての架橋剤として、分子内に2個以上のヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物が挙げられ置換グリコウリル誘導体、尿素誘導体、ヘキサ(メトキシメチル)メラミン等が好適に用いられる。
例えば、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメチルメラミン、テトラヒドロキシメチル置換グリコールウリル類及びテトラメトキシメチルグリコールウリルのようなテトラアルコキシメチル置換グリコールウリル類、置換及び道間ビスーヒドロキシメチルフェノール類、ビスフェノールA等のフェノール製化合物とエピクロロヒドリン等の縮合物が挙げられる。
特に好適な架橋剤は、1,3,5,7−テトラメトキシメチルグリコールウリルなどの1,3,5,7−テトラアルコキシメチルグリコールウリル又は1,3,5,7−テトラヒドロキシメチルグリコールウリル、2,6−ジヒドロキシメチルp−クレゾール、2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,2’,6,6’−テトラヒドロキシメチルビスフェノールA、及び1,4−ビス−[2−(2−ヒドロキシプロピル)]−ベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
添加量は任意であるがレジスト材料中のベース樹脂に対して好ましくは1〜25重量部、より好ましくは5〜20重量部である。これらは単独でも2種以上併用して添加しても良い。
【0067】
また、本発明の塩基以外に、従来から用いられている本発明の塩基以外の塩基を1種あるいは2種以上併用することもできる。 従来から用いられている塩基としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0068】
第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0069】
第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0070】
第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0071】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0072】
芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0073】
さらに、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示される。
【0074】
スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示される。
【0075】
ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0076】
アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0077】
更に下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
【化28】
式中、n=1、2、3である。側鎖Xは同一でも異なっていても良く、下記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。
【0078】
【化29】
【0079】
側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成しても良い。
【0080】
ここでR300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいても良い。
R303は単結合、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいても良い。
【0081】
一般式(B)−1で表される化合物は具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−フォルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0082】
なお、本発明塩基性化合物の配合量は全ベース樹脂100重量部に対して好ましくは0.001〜2重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部である。配合量が0.001重量部より少ないと配合効果がない場合があり、2重量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0083】
本発明のパターン形成方法は、本発明のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、次いで溶媒を蒸発させ膜を固化するための好ましくは50〜200℃での加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下、好ましくは3〜300nmの高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むものである。必要に応じて加熱とは、例えば酸触媒反応を促進させるためであり、好ましくは50〜180℃にて加熱できる。
【0084】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[合成例]
本発明の塩基性化合物を以下に示す方法で合成した。
[合成例1](N−ベンジル)ジエタノールアミンの合成。
【化30】
ジエタノールアミン105g、炭酸カリウム138g、テトラヒドロフラン1000gの混合物に20℃で臭化ベンジル171gを加えたのち、20時間攪拌した。反応混合物をトルエンで希釈したのち、固形物をろ別、得られたろ液を減圧濃縮した。減圧蒸留により精製を行ない(N−ベンジル)ジエタノールアミン172gを得た(収率88%)。
【0085】
[合成例2]N−ベンジルビス(2−アセトキシエチル)アミンの合成。
【化31】
(N−ベンジル)ジエタノールアミン19.5g、トリエチルアミン30.3g、テトラヒドロフラン100gの混合物に20℃で無水酢酸25.0gを加え、5時間攪拌した。水100gを加えて反応を停止したのち、酢酸エチルで抽出、水洗、減圧濃縮を行なった。減圧蒸留により精製を行ないN−ベンジルビス(2−アセトキシエチル)アミン26.8gを得た(収率96%)。
【0086】
[合成例3]N,N−ビス(2−メトキシエチル)p−メトキシベンジルアミンの合成。
【化32】
ジエタノールアミンの替わりにビス(2−メトキシエチル)アミンを、ベンジルブロミドの替わりにp−メトキシベンジルアミンを用いた以外は合成例1と同様の方法によりN,N−ビス(2−メトキシエチル)p−メトキシベンジルアミンを得た(収率90%)。
【0087】
[合成例4]N−(3,5−ジメトキシベンジル)ビス(2−アセトキシエチル)アミンの合成。
【化33】
臭化ベンジルの替わりに3,5−ジメトキシベンジルブロミドを用いた以外は合成例1、2と同様の方法によりN−(3,5−ジメトキシベンジル)ビス(2−アセトキシエチル)アミンを得た(収率82%)。
【0088】
[合成例5]3,3’−(ベンジルイミノ)ジプロピオン酸メチルの合成。
【化34】
アクリル酸メチル94.7gとメタノール50gの混合物にベンジルアミン53.6gを加え、50℃で200時間放置した。減圧濃縮後、減圧蒸留により精製を行ない3,3’−(ベンジルイミノ)ジプロピオン酸メチル135gを得た(沸点:131℃/31Pa、収率97%)。
IR (薄膜): ν =3086,3028,2991,2953,2837,1738,1603,1495,1437,1356,1331,1250,1196,1174,1130,1043,739,698cm-1
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.47(4H,t,J=7.2Hz),2.80(4H,t,J=7.2Hz),3.58(2H,s),3.64(6H,s),7.20−7.35(5H,m).
【0089】
[合成例6]3,3’−(ベンジルイミノ)ジプロピオニトリルの合成。
【化35】
アクリル酸メチルの替わりにアクリロニトリルを用いた以外は合成例5と同様の方法により3,3’−(ベンジルイミノ)ジプロピオニトリルを合成した(沸点:162℃/24Pa、収率93%)。
IR (薄膜): ν =3085,3062,3030,2953,2933,2837,2247,1603,1496,1454,1421,1373,1335,1263,1134,1078,1028,737,700cm-1
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.46(4H,t,J=6.9Hz),2.90(4H,t,J=6.9Hz),3.72(2H,s),7.20−7.40(5H,m).
【0090】
[合成例7]3,3’−(2−p−ヒドロキシフェニルエチルイミノ)ジプロピオン酸メチルの合成。
【化36】
ベンジルアミンの替わりに2−p−ヒドロキシフェニルエチルアミンを用い、減圧蒸留を行なわなかった以外は合成例5と同様の方法により3,3’−(2−p−ヒドロキシフェニルエチルイミノ)ジプロピオン酸メチルを合成した(定量的収率)。
【0091】
[合成例8]3,3’−(3、4、5−トリメトキシベンジルイミノ)ジプロピオン酸エチルの合成。
【化37】
アクリル酸メチルの替わりにアクリル酸エチルを、ベンジルアミンの替わりに3、4、5−トリメトキシベンジルアミンを用いた以外は合成例5と同様の方法により3,3’−(3、4、5−トリメトキシベンジルイミノ)ジプロピオン酸エチルを合成した(収率84%)。
【0092】
[合成例9]N−ベンジルモルホリンの合成。
【化38】
モルホリン192g、テトラヒドロフラン1000gの混合物に20℃で臭化ベンジル171gを加え16時間攪拌した。エーテルで希釈、有機層を水洗後、減圧濃縮した。減圧蒸留により精製を行ないN−ベンジルモルホリン168gを得た(沸点64℃/40Pa、収率95%)。
IR (薄膜): ν =3062,3028,2956,2893,2852,2806,2764,1603,1496,1454,1396,1351,1315,1286,1263,1117,1070,1009,914,866,804,741,698cm-1
1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=2.45(4H,m),3.51(2H,s),3.72(4H,m),7.20−7.35(5H,m).
【0093】
[合成例10]N−フェニルモルホリンの合成。
【化39】
合成例8の臭化ベンジルの代わりに臭化ベンゼンを加え、同様の方法でN−フェニルモルホリンを合成した。
【0094】
[実施例、参考例及び比較例]
レジスト評価例
ポリマー、酸発生剤、塩基、溶解阻止剤、架橋剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と乳酸エチル(EL)の70:30重量比率の混合溶媒に表1〜3に示す組成で溶解させ、0.1umサイズのテフロン(登録商標)フィルターでろ過することによってレジスト溶液を調製した。
次に、得られたレジスト液を、シリコンウェハーにDUV−30(日産化学製)を55nmの膜厚で製膜して、KrF光(248nm)で反射率を1%以下に抑えた基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で90秒間ベークし、レジストの厚みを550nmの厚さにした。
これをエキシマレーザーステッパー(ニコン社、NSR−S202A,NA−0.60、σ0.75(通常照明)を用いて露光量とフォーカスを変化させながら露光し、露光後直ちに110℃で90秒間ベークし、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で60秒間現像を行って、パターンを得た。
【0095】
得られたレジストパターンを次のように評価した。結果を表1〜3に示す。
評価方法:
0.18μmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop)(これを感度とする。)として、この時のフォーカスマージンDoF(μm)を求めた。フォーカスマージンの定義は、パタ−ンの膜減りがないことと、寸法が、0.18um±10%の寸法内であることとした。
次に、現像後の0.18umのラインアンドスペース1:1が寸法通りに仕上がる露光量で孤立ラインの寸法を測長し、ラインアンドスペースパターンの寸法から孤立パターンの寸法を引いてI/Gバイアスを求めた。
【0096】
【発明の効果】
本発明の塩基を含むレジストは広いフォーカスマージンと小さなI/Gバイアス(密集パターンと孤立パターンの寸法差)という優れた特徴を持つことがわかった。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【化40】
【0101】
【化41】
【0102】
【化42】
【0103】
【化43】
【0104】
【化44】
【0105】
【化45】
【図面の簡単な説明】
【図1】0.18ミクロンラインのピッチを変えたときのライン寸法を示す。
Claims (5)
- さらに、有機溶剤と、酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂と、酸発生剤とを含有する請求項1に記載のポジ型レジスト材料。
- さらに、溶解阻止剤を含有する請求項2に記載のポジ型レジスト材料。
- さらに、有機溶剤と、アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベース樹脂と、酸発生剤と、酸によって架橋する架橋剤とを含有し、ネガ型である請求項1に記載のレジスト材料。
- 請求項2〜4のいずれかに記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
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